(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004850
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/103 20210101AFI20250108BHJP
H01M 50/636 20210101ALI20250108BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M50/636
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104710
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志村 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】大林 叔朗
(72)【発明者】
【氏名】山中 篤
(72)【発明者】
【氏名】千原 真志
(72)【発明者】
【氏名】杉江 和紀
(72)【発明者】
【氏名】米川 紘輔
(72)【発明者】
【氏名】平尾 康裕
【テーマコード(参考)】
5H011
5H023
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011CC06
5H011DD13
5H023AA03
5H023AS02
(57)【要約】
【課題】端面上の溶接部の突出を抑制する。
【解決手段】本開示に基づく二次電池10において、第1端面部216Aは、第1側面部215Aの幅方向Wにおける一方端から第2側面部215Bに向かって延出している。第2端面部216Bは、第2側面部215Bの幅方向Wにおける一方端から第1側面部215Aに向かって延出している。端面溶接部220は、第1端面部216Aの先端縁および第2端面部216Bの先端縁を互いに接続している。第1端面部216Aの先端縁は、幅方向Wにおいて第1側面部215Aとの接続部分より筐体200の中央側に位置している。第2端面部216Bの先端縁は、幅方向Wにおいて第2側面部215Bとの接続部分より筐体200の中央側に位置している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
前記電極体を収容する筐体とを備え、
前記筐体は、高さ方向における寸法、および、前記高さ方向に直交する厚さ方向における寸法より、前記高さ方向および前記厚さ方向の両方に直交する幅方向における寸法が長くなるように構成されており、
前記筐体は、開口が設けられた本体部と、前記開口を閉塞する封口体とを有し、
前記本体部は、
前記高さ方向の一方側に位置する底面部と、
前記底面部の前記厚さ方向における一方端から前記高さ方向に沿って起立する第1側面部と、
前記底面部の前記厚さ方向における他方端から前記高さ方向に沿って起立する第2側面部と、
前記第1側面部の前記幅方向における一方端から前記第2側面部に向かって延出する第1端面部と、
前記第2側面部の前記幅方向における一方端から前記第1側面部に向かって延出する第2端面部と、
前記第1端面部の先端縁および前記第2端面部の先端縁を互いに接続する端面溶接部とを有し、
前記第1端面部の先端縁は、前記幅方向において前記第1側面部との接続部分より前記筐体の中央側に位置し、
前記第2端面部の先端縁は、前記幅方向において前記第2側面部との接続部分より前記筐体の中央側に位置している、二次電池。
【請求項2】
前記端面溶接部は、前記高さ方向に沿って一方向にのみ延びている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記第1端面部は、前記第1側面部から連なって前記厚さ方向に沿って延びる第1基部と、前記第1基部から前記筐体の中央側に向かって延びる第1内側面部と、該第1内側面部から前記厚さ方向に沿って延びて前記第1端面部の前記先端縁を有する第1先端部とを有し、
前記第2端面部は、前記第2側面部から連なって前記厚さ方向に沿って延びる第2基部と、前記第2基部から前記筐体の中央側に向かって延びる第2内側面部と、該第2内側面部から前記厚さ方向に沿って延びて前記第2端面部の前記先端縁を有する第2先端部とを有し、
前記端面溶接部は、前記第1先端部上および前記第2先端部上に位置し、かつ、前記幅方向において前記第1基部および前記第2基部より前記筐体の中央側に位置している、請求項1または請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記本体部は、前記第1先端部および前記第2先端部の間に設けられた注液口と、該注液口を封止する封止部材とをさらに有し、
前記封止部材は、前記幅方向において前記第1基部および前記第2基部より前記筐体の中央側に位置している、請求項3に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示には、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2013-125737号公報(特許文献1)には、電極体を収容するケースを備える二次電池が開示されている。ケースの本体部は、一枚の金属板が折り曲げられると共に、折り曲げられた金属板の縁部同士が溶接されることで形成されている。金属板は、底面部と、一対の側面部と、4つの半部端面部とを備えている。互いに対向する半部端面部の縁部同士は、突き合わされて溶接により接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次電池のエネルギー密度向上のため、二次電池の筐体の大型化が求められている。特許文献1に開示されるような二次電池において、端面同士が並ぶ方向(幅方向)にケースをより長くすることが検討されている。しかしながら、ケースを幅方向に長くすると、端面上の溶接部が幅方向に突出し、二次電池の取り扱いが難しくなる場合がある。
【0005】
本開示は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、端面上の溶接部が突出することを抑制できる二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づく二次電池は、電極体と、筐体とを備えている。筐体は、電極体を収容している。筐体は、高さ方向における寸法、および、厚さ方向における寸法より、幅方向における寸法が長くなるように構成されている。厚さ方向は、高さ方向に直交する。幅方向は、高さ方向および厚さ方向の両方に直交する。筐体は、開口が設けられた本体部と、開口を閉塞する封口体とを有している。本体部は、底面部と、第1側面部と、第2側面部と、第1端面部と、第2端面部と、端面溶接部とを有している。底面部は、高さ方向の一方側に位置している。第1側面部は、底面部の厚さ方向における一方端から高さ方向に沿って起立している。第2側面部は、底面部の厚さ方向における他方端から高さ方向に沿って起立している。第1端面部は、第1側面部の幅方向における一方端から第2側面部に向かって延出している。第2端面部は、第2側面部の幅方向における一方端から第1側面部に向かって延出している。端面溶接部は、第1端面部の先端縁および第2端面部の先端縁を互いに接続している。第1端面部の先端縁は、幅方向において第1側面部との接続部分より筐体の中央側に位置している。第2端面部の先端縁は、幅方向において第2側面部との接続部分より筐体の中央側に位置している。
【0007】
上記の構成によれば、第1端面部および第2端面部の各先端縁が上記のように位置していることで、端面溶接部が幅方向において突出することを抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、端面上の溶接部が突出することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】一実施形態に係る二次電池の分解斜視図である。
【
図3】
図1に示すIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】一実施形態に係る二次電池を端面側から見た図である。
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、一実施形態において本体部を成型する過程を模式的に示す図である。
【
図6】
図1に示すVI-VI線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0011】
図1は、一実施形態に係る二次電池の斜視図である。
図2は、一実施形態に係る二次電池の分解斜視図である。
図3は、
図1に示すIII-III線に沿った断面図である。
図4は、一実施形態に係る二次電池を端面側から見た図である。
【0012】
図1から
図4に示すように、本開示の一実施形態に係る二次電池10は、電極体100と、筐体200と、正極端子としての正極部材620と、負極端子としての負極部材520とを備えている。
【0013】
筐体200は、略直方体形状を有している。筐体200は、高さ方向Hにおける寸法、および、厚さ方向Tにおける寸法より、幅方向Wにおける寸法が長くなるように構成されている。厚さ方向Tは、高さ方向Hに直交する方向である。幅方向Wは、高さ方向Hおよび厚さ方向Tの両方に直交する方向である。なお、厚さ方向Tは、後述する正極110および負極120(
図6参照)が並んで配置される方向と平行な方向である。
【0014】
筐体200は、電極体100および電解液(不図示)を収容している。筐体200は、開口OPが設けられた本体部210と、開口OPを閉塞する封口体510とを有している。
【0015】
本体部210の開口OPは、幅方向Wの一方側に設けられている。本体部210は、アルミニウムなどの金属によって構成されている。
【0016】
本体部210は、底面部211と、天面部212と、第1側面部215Aと、第2側面部215Bと、第1端面部216Aと、第2端面部216Bと、端面溶接部220と、注液口224と、封止部材225とを有している。
【0017】
底面部211は、高さ方向Hの一方側に位置している。底面部211は、高さ方向Hから見て略矩形状の外形を有している。
【0018】
天面部212は、高さ方向Hの他方側に位置している。天面部212は、高さ方向Hから見て略矩形状の外形を有している。
【0019】
本実施形態において、天面部212は、第1天面部213Aと、第2天面部213Bと、天面溶接部214とを有している。
【0020】
第1天面部213Aおよび第2天面部213Bは、厚さ方向Tにおいて対向している。第1天面部213Aおよび第2天面部213Bは、互いに溶接されることで接合されている。当該溶接により、天面溶接部214が形成されている。天面溶接部214は、幅方向Wに沿って一方向に延びている。
【0021】
なお、天面部212は、全体として一の板状部材であってもよい。本体部210が底面部211の反対に開口を有する場合、天面部212がこの開口を封止する封口体であってもよい。
【0022】
第1側面部215Aは、底面部211の厚さ方向Tにおける一方端から高さ方向Hに沿って起立している。第2側面部215Bは、底面部211の厚さ方向Tにおける他方端から高さ方向Hに沿って起立している。第1側面部215Aおよび第2側面部215Bは、厚さ方向Tから見て矩形状の外形を有している。第1側面部215Aおよび第2側面部215Bは、高さ方向Hに対して傾いていてもよい。第1側面部215Aおよび第2側面部215Bは、底面部211から離れるにつれて互いに近づくように延びてもよい。
【0023】
第1側面部215Aは、天面部212に接続されており、具体的には第1天面部213Aの端縁に接続されている。第2側面部215Bは、天面部212に接続されており、具体的に第2天面部213Bの端縁に接続されている。
【0024】
第1端面部216Aは、第1側面部215Aの幅方向Wにおける一方端から第2側面部215Bに向かって延出している。第1端面部216Aの先端縁は、幅方向Wにおいて第1側面部215Aとの接続部分より筐体200の中央側に位置している。
【0025】
第1端面部216Aは、第1基部217Aと、第1内側面部218Aと、第1先端部219Aとを有している。第1基部217Aは、第1側面部215Aから連なって厚さ方向Tに沿って延びている。第1内側面部218Aは、第1基部217Aから筐体200の中央側に向かって延びている。第1内側面部218Aは、幅方向Wに対して斜めに傾いている。第1先端部219Aは、第1内側面部218Aから厚さ方向Tに沿って延びており、第1端面部216Aの先端縁を有している。
【0026】
第2端面部216Bは、第2側面部215Bの幅方向Wにおける一方端から第1側面部215Aに向かって延出している。第2端面部216Bの先端縁は、幅方向Wにおいて第2側面部215Bとの接続部分より筐体200の中央側に位置している。
【0027】
第2端面部216Bは、第2基部217Bと、第2内側面部218Bと、第2先端部219Bとを有している。第2基部217Bは、第2側面部215Bから連なって厚さ方向Tに沿って延びている。第2内側面部218Bは、第2基部217Bから筐体200の中央側に向かって延びている。第2内側面部218Bは、幅方向Wに対して斜めに傾いている。第2先端部219Bは、第2内側面部218Bから厚さ方向Tに沿って延びており、第2端面部216Bの先端縁を有している。
【0028】
端面溶接部220は、第1端面部216Aの先端縁および第2端面部216Bの先端縁を互いに接続している。すなわち、端面溶接部220は、第1端面部216Aの先端縁と第2端面部216Bの先端縁とが溶接により接続されることで、形成される。当該溶接方法は特に限定されないが、たとえばレーザ溶接であってよい。端面溶接部220は、上記溶接により形成される溶接ビードを含む。溶接ビードは、第1端面部216Aおよび第2端面部216Bから、筐体200の外側に向かって突出している。
【0029】
端面溶接部220は、高さ方向Hに沿って一方向にのみ延びている。端面溶接部220は、第1先端部219A上および第2先端部219B上に位置している。端面溶接部220は、幅方向Wにおいて第1基部217Aおよび第2基部217Bより筐体200の中央側に位置している。
【0030】
また、本実施形態において、本体部210は、上述の端面溶接部220として、複数の端面溶接部220を有している。複数の端面溶接部220は、互いに離隔している。複数の端面溶接部220は、高さ方向Hに並んでいる。また、端面溶接部220は、天面溶接部214と連なるように設けられてもよい。
【0031】
また、本実施形態においては、216Aおよび216Bの高さ方向Hにおける一方端縁も、溶接により、底面部211に接合される。第1端面部216Aおよび第2端面部216Bの高さ方向における他方端縁も、溶接により、天面部212に接合される。
【0032】
注液口224は、二次電池10の製造過程において筐体200内に電解液を注入するための貫通孔である。封止部材225は、注液口224を封止している。封止部材225は、筐体200内への電解液の注入後に注液口224を封止するために設けられる。
【0033】
注液口224は、第1先端部219Aおよび第2先端部219Bの間に設けられている。封止部材225は、幅方向Wにおいて第1基部217Aおよび第2基部217Bより筐体200の中央側に位置している。注液口224の孔形状は特に限定されないが、たとえば円形状である。本体部210は、上述の注液口224として、複数の注液口224を有していてもよい。
【0034】
ここで、本体部210の成型方法について説明する。
図5Aは、一実施形態において、本体部を成型するために準備される板状部材を示す平面図である。
図5Bは、一実施形態において、板状部材を折り曲げた直後の状態を示す平面図である。
図5Aおよび
図5Bで示される板状部材210Pにおいては、本体部210の各構成に対応する箇所に、本体部210の各構成を示す番号と同じ番号を付している。
【0035】
図5Aに示されるように、板状部材210Pは平板状の外形を有する。板状部材210Pは、具体的にはアルミニウムからなる薄板を打ち抜くことで準備される。このとき、板状部材210Pには、注液口224に対応する複数の切り欠きが形成される。
【0036】
そして、
図5Aおよび
図5Bで示されるように、板状部材210Pを複数箇所折り曲げることで、底面部211、第1天面部213A、第2天面部213B、第1側面部215A、第2側面部215B、第1端面部216A、および、第2端面部216Bが成型される。このため、本体部210は、様々な大きさに容易に成型され得る。なお、上述の各面部は、板状部材210Pをロールフォーミング成型することで、成型されてもよい。そして、このように成型された板状部材210Pの先端縁同士を、注液口224に対応する切り欠きを避けて溶接することで、天面溶接部214および端面溶接部220などが形成され(
図4参照)、本体部210が成型される。本体部210の開口OPは、底面部211、天面部212、第1側面部215A、および、第2側面部215Bの、各々の端縁により形成されている。
【0037】
図1から
図3に示すように、封口体510は、開口OPを閉塞する。封口体510は、平板形状を有する。封口体510は、アルミニウム等の金属によって構成されている。封口体510には、負極部材520および正極部材620が設けられている。封口体510は、たとえばレーザ溶接等によって開口OPに固定されている。封口体510には、圧力開放弁515が設けられている。圧力開放弁515は、筐体200の内圧が所定圧以上となると破断するように設けらている。圧力開放弁515が破断することで、筐体200内のガスが筐体200外に排出されるため、筐体200内の内圧が低下する。
【0038】
負極部材520は、封口体510の外表面に設けられている。負極部材520は、負極端子として機能する。負極部材520は、負極端子板521および絶縁プレート522とを有する。
【0039】
負極端子板521は、略直方体形状に形成されている。負極端子板521は、絶縁プレート522によって保持されている。絶縁プレート522は、封口体510の外表面に固定されている。絶縁プレート522は、封口体510と負極端子板521との間を絶縁している。負極端子板521および絶縁プレート522の各々には、後述する負極連結ピン533を挿通させるための貫通孔が設けられている。
【0040】
正極部材620は、封口体510の外表面に設けられている。正極部材620は、正極端子として機能する。正極部材620は、正極端子板621および端子ブロック622とを有する。
【0041】
正極端子板621は、直方体形状に形成されている。正極端子板621は、アルミニウム等の金属によって構成されている。
【0042】
端子ブロック622は、直方体形状に形成されている。端子ブロック622は、正極端子板621を構成する金属とは異なる金属(鉄など)によって構成されている。端子ブロック622は、封口体510の外表面に溶接等によって固定されている。当該端子ブロック622に正極端子板621が溶接等によって固定されている。本体部210および封口体510は、端子ブロック622を介して正極端子板621に電気的に接続されており、正極端子板621と同じ極性に帯電している。正極端子板621および端子ブロック622の各々には、後述する正極連結ピン633を挿通させるための貫通孔が形成されている。
【0043】
なお、正極部材620は、封口体510との間に絶縁プレートが配置され、正極部材620と封口体510とが電気的に絶縁されていてもよい。この場合には、端子ブロック622に替えて絶縁プレートを配置してもよいし、端子ブロック622と封口体510との間に絶縁プレートを配置してもよい。
【0044】
二次電池10は、負極連結部材530、正極連結部材630、第1絶縁部材540、第2絶縁部材550、およびインシュレータ560,660、をさらに備える。
【0045】
負極連結部材530は、負極集電部120Nと負極端子板521とを連結する。負極集電部120Nは、電極体100のうち後述する負極タブ122nが複数束ねられることで形成された部分である。負極連結部材530は、負極側第1負極集電体531、負極側第2負極集電体532、および負極連結ピン533とを含む。
【0046】
負極側第1負極集電体531は、薄板状の導電部材によって構成されている。負極側第1負極集電体531は、レーザー溶接、あるいは、超音波溶接等によって負極集電部120Nに接続されている。
【0047】
負極側第2負極集電体532は、薄板状の導電部材によって構成されている。負極側第2負極集電体532は、レーザー溶接、あるいは、超音波溶接等によって負極側第1負極集電体531に接続されている。負極側第2負極集電体532は、負極連結ピン533を保持する保持部532aを有する。保持部532aは、平板形状を有する。保持部532aには、貫通孔が設けられており、負極連結ピン533の基端が挿入される。
【0048】
負極連結ピン533は、負極側第2負極集電体532と負極端子板521とを連結する。負極連結ピン533は、円柱状部を含んでいる。当該円柱状部の先端側は、封口体510、絶縁プレート522および負極端子板521を貫通し、負極端子板521にかしめられている。
【0049】
正極連結部材630は、正極集電部110Pと正極端子板621とを連結する。正極集電部110Pは、電極体100のうち後述する正極タブ112pが複数束ねられることで形成された部分である。正極連結部材630は、正極側第1正極集電体631、正極側第2正極集電体632、および正極連結ピン633とを含む。
【0050】
正極側第1正極集電体631は、薄板状の導電部材によって構成されている。正極側第1正極集電体631は、レーザー溶接、あるいは、超音波溶接等によって正極集電部110Pに接続されている。
【0051】
正極側第2正極集電体632は、薄板状の導電部材によって構成されている。正極側第2正極集電体632は、レーザー溶接、あるいは、超音波溶接等によって正極側第1正極集電体631に接続されている。正極側第2正極集電体632は、正極連結ピン633を保持する保持部632aを有する。保持部632aは、平板形状を有する。保持部632aには、貫通孔が設けられており、正極連結ピン633の基端が挿入される。
【0052】
正極連結ピン633は、正極側第2正極集電体632と正極端子板621とを連結する。正極連結ピン633は、円柱状部を含んでいる。当該円柱状部の先端側は、封口体510、端子ブロック622および正極端子板621を貫通し、正極端子板621にかしめられている。
【0053】
第1絶縁部材540は、略板状形状を有する。第1絶縁部材540は、封口体510の内表面に接触するように配置されている。第1絶縁部材540には、上記負極連結ピン533が挿通される貫通孔542と、上記正極連結ピン633が挿通される貫通孔642とが設けられている。
【0054】
第2絶縁部材550は、第1絶縁部材540と電極体100との間に配置されている。第2絶縁部材550には、負極集電部120Nが挿通されるスリット552と、正極集電部110Pが挿通されるスリット652とが設けられている。
【0055】
第1絶縁部材540と第2絶縁部材550とは、それらの間に収容空間が形成されるように組み付けられる。当該収容空間には、上記スリット552に挿通された負極集電部120N、負極側第1負極集電体531、負極側第2負極集電体532、上記スリット652に挿通された正極集電部110P、正極側第1正極集電体631、および正極側第2正極集電体632が配置される。
【0056】
インシュレータ560は、負極連結ピン533の上記円柱状部を被覆する形状を有している。インシュレータ560は、負極連結ピン533と筐体200(より特定的には封口体510)との間を絶縁している。
【0057】
インシュレータ660は、正極連結ピン633の上記円柱状部を被覆する形状を有している。インシュレータ660は、正極連結ピン633と筐体200(より特定的には封口体510)との間を絶縁している。
【0058】
上記の負極部材520、正極部材620、封口体510、負極連結部材530、正極連結部材630、第1絶縁部材540、第2絶縁部材550、およびインシュレータ560,660は、組み込まれて蓋アセンブリ50を構成している。
【0059】
蓋アセンブリ50は、負極集電部120Nと負極連結部材530とが溶接等で固定され、かつ、正極集電部110Pと正極連結部材630とが溶接等で固定された状態で封口体510が開口OPに取り付けられることにより、本体部210に固定される。
【0060】
なお、封口体510には、第2の注液口572および第2の封止部材574がさらに設けられてもよい。第2の注液口572は、注液口224と同様に、二次電池10の製造過程において筐体200内に電解液を注入するための貫通孔である。第2の封止部材574は、第2の注液口572を封止している。第2の封止部材574は、筐体200内への電解液の注入後に第2の注液口572を封止するために設けられる。
【0061】
図6は、
図1に示すVI-VI線に沿った断面図である。なお、
図6においては、便宜上、二次電池10の筐体200を省略し、電極体100のみを示している。
図6を参照して、電極体100の詳細について説明する。
【0062】
図6に示すように、電極体100は、複数の正極110および複数の負極120と、セパレータ130とを備えている。複数の正極110および複数の負極120は、セパレータ130によって絶縁された状態で厚さ方向Tに交互に並ぶように配置されている。
【0063】
各負極120は、幅方向Wを長手とし、高さ方向Hを短手とする長方形形状に形成されている。各負極120は、負極集電箔122と、負極集電箔122の両面に設けられた負極活物質層124と、を有している。負極集電箔122は、負極活物質層124が設けられていない負極タブ122n(
図3参照)を有している。負極タブ122nは、幅方向Wにおける一方側に向かって突出している。
【0064】
各正極110は、幅方向Wを長手とし、高さ方向Hを短手とする長方形形状に形成されている。各正極110は、正極集電箔112と、厚さ方向Tにおける正極集電箔112の両面に設けられた正極活物質層114と、を有している。正極集電箔112は、正極活物質層114が設けられていない正極タブ112p(
図3参照)を有している。正極タブ112pは、負極タブ122nと同様に、幅方向Wの一方側に向かって突出している。
【0065】
セパレータ130は、正極110および負極120間を絶縁している。セパレータ130は、絶縁材料からなり、イオンの透過を許容する微小な空隙を有している。セパレータ130は、つづら折り状に形成されている。
【0066】
セパレータ130は、つづら折り状に形成される前の状態では長方形形状を呈している。セパレータ130は、正極110および負極120間につづら折り状に形成されながら配置される。セパレータ130は、複数の介在部132aと、複数の第1折返し部132bと、複数の第2折返し部132cと、最外被覆部132dと、を有している。
【0067】
各介在部132aは、厚さ方向Tに互いに隣り合う正極110および負極120間に介在している。つまり、各介在部132aは、正極110および負極120間を絶縁する機能を有している。各介在部132aは、矩形状の領域で構成されている。
【0068】
各第1折返し部132bは、正極110が間に位置するように厚さ方向Tに互いに隣り合う介在部132aの高さ方向Hの一方側端部同士を連結している。第1折返し部132bは、正極110の高さ方向Hの一方側(上方)に配置されている。
【0069】
各第2折返し部132cは、負極120が間に位置するように厚さ方向Tに互いに隣り合う介在部132aの高さ方向Hの他方側端部同士を連結している。第2折返し部132cは、負極120の高さ方向Hの他方側(下方)に配置されている。
【0070】
最外被覆部132dは、各第1折返し部132bおよび各第2折返し部132cをまとめて被覆している。より詳細には、最外被覆部132dは、全ての正極110、全ての負極120、全ての介在部132a、全ての第1折返し部132bおよび全ての第2折返し部132cを、幅方向Wと平行な中心軸まわりに巻回しながらまとめて被覆している。最外被覆部132dの終端132eは、厚さ方向Tに正極活物質層114および負極活物質層124と重ならない範囲に設定されている。本実施形態では、最外被覆部132dの終端132eは、各正極110,各負極120よりも下方に設けられている。なお、複数の正極110、複数の負極120、およびセパレータ130の周面と底面には、絶縁フィルム(不図示)が被覆されていてもよい。
【0071】
上述したように、本開示の一実施形態に係る二次電池10において、端面溶接部220は、第1端面部216Aの先端縁および第2端面部216Bの先端縁を互いに接続している。第1端面部216Aの先端縁は、幅方向Wにおいて第1側面部215Aとの接続部分より筐体200の中央側に位置している。第2端面部216Bの先端縁は、幅方向Wにおいて第2側面部215Bとの接続部分より筐体200の中央側に位置している。
【0072】
上記の構成によれば、第1端面部216Aおよび第2端面部216Bの各先端縁が上記のように位置していることで、特に端面溶接部220が溶接ビードを含む場合に、端面溶接部220が幅方向Wにおいて突出することを抑制できる。
【0073】
さらに、端面溶接部220は、高さ方向Hに沿って一方向にのみ延びている。これにより、端面溶接部220の溶接長さを短くできる。ひいては、筐体200の溶接歪みを抑制できる。
【0074】
さらに、第1端面部216Aは、第1基部217Aと、第1内側面部218Aと、第1先端部219Aとを有している。第1基部217Aは、第1側面部215Aから連なって厚さ方向Tに沿って延びている。第1内側面部218Aは、第1基部217Aから筐体200の中央側に向かって延びている。第1先端部219Aは、第1内側面部218Aから厚さ方向Tに沿って延びており、第1端面部216Aの先端縁を有している。第2端面部216Bは、第2基部217Bと、第2内側面部218Bと、第2先端部219Bとを有している。第2基部217Bは、第2側面部215Bから連なって厚さ方向Tに沿って延びている。第2内側面部218Bは、第2基部217Bから筐体200の中央側に向かって延びている。第2先端部219Bは、第2内側面部218Bから厚さ方向Tに沿って延びており、第2端面部216Bの先端縁を有している。端面溶接部220は、第1先端部219A上および第2先端部219B上に位置している。端面溶接部220は、幅方向Wにおいて第1基部217Aおよび第2基部217Bより筐体200の中央側に位置している。
【0075】
上記の構成によれば、第1基部217Aおよび第2基部217Bが厚さ方向Tに沿って延びるため本体部210の端面全体の面積を小さくできる。また、第1先端部219Aおよび第2先端部219Bも厚さ方向Tに沿って延びるため、これらを突き合わせて端面溶接部220を形成することが容易となる。さらに、端面溶接部220が第1先端部219A上および第2先端部219B上に位置していることで、端面溶接部220が幅方向Wにおいて突出することをより抑制できる。
【0076】
本体部210は、注液口224と、封止部材225とをさらに有している。注液口224は、第1先端部219Aおよび第2先端部219Bの間に設けられている。封止部材225は、注液口224を封止している。封止部材225は、幅方向Wにおいて第1基部217Aおよび第2基部217Bより筐体200の中央側に位置している。
【0077】
上記の構成によれば、本体部210を構成する板状の部材を打ち抜くことなく容易に注液口224を設けることができる。また、封止部材225が二次電池10側の他の物品と接触することを抑制できる。このため、二次電池10の取り扱いがより容易となる。
【0078】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0079】
10 二次電池、50 蓋アセンブリ、100 電極体、110 正極、110P 正極集電部、112 正極集電箔、112p 正極タブ、114 正極活物質層、120 負極、120N 負極集電部、122 負極集電箔、122n 負極タブ、124 負極活物質層、130 セパレータ、132a 介在部、132b 第1折返し部、132c 第2折返し部、132d 最外被覆部、132e 終端、200 筐体、210 本体部、210P 板状部材、211 底面部、212 天面部、213A 第1天面部、213B 第2天面部、214 天面溶接部、215A 第1側面部、215B 第2側面部、216A 第1端面部、216B 第2端面部、217A 第1基部、217B 第2基部、218A 第1内側面部、218B 第2内側面部、219A 第1先端部、219B 第2先端部、220 端面溶接部、224 注液口、225 封止部材、510 封口体、515 圧力開放弁、520 負極部材、521 負極端子板、522 絶縁プレート、530 負極連結部材、531 第1負極集電体、532 第2負極集電体、532a,632a 保持部、533 負極連結ピン、540 第1絶縁部材、542,642 貫通孔、550 第2絶縁部材、552,652 スリット、560,660 インシュレータ、572 第2の注液口、574 第2の封止部材、620 正極部材、621 正極端子板、622 端子ブロック、630 正極連結部材、631 第1正極集電体、632 第2正極集電体、633 正極連結ピン、OP 開口。