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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004860
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
   A22C 11/00 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
A22C11/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104723
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】503049427
【氏名又は名称】匠技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】玉置 完次
(72)【発明者】
【氏名】今浦 博志
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011BA06
(57)【要約】
【課題】カッターによって切断された結束部の切断残部の固着によって、短尺燻製連鎖状ソーセージ材料が、竿にぶら下がった状態で残ることがない切断装置を提供することを目的とする。
【解決手段】カッターユニット2に、カッターユニット2が切断方向にスライド移動するとき、カッター23より後方となる位置に、かき落とし部材24を設け、カッターユニット2が切断方向にスライド移動すると、まず、カッター23が結束部201を切断したのち、かき落とし部材24のかき落とし片27が、結束部201の両側のソーセージ202部分を押圧し、竿300に固着状態の結束部201の切断残部をかき落とすようにした。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド移動するスライダーと、前記スライダーとともにスライド移動するカッターを有するカッターユニットを備え、
ソーセージと結束部とが交互に連続した長尺の連鎖状ソーセージ材料が、竿に螺旋状に巻回されるとともに、前記結束部が間欠的かつ前記竿に長手方向に間隔を空けて受けられて、前記竿に懸架された状態で、
前記カッターユニットが、竿の上方で、前記スライダーとともに、前記カッターを竿の長手方向にスライドすることによって、
前記カッターが、前記結束部の竿に受けられた部分を切断して複数の短尺の連鎖状ソーセージ材料とするようにした切断装置であって、
前記カッターのスライド移動に追従して、あるいは、前記カッターのスライド移動完了後に、前記カッターの後方からスライドし、前記連鎖状ソーセージ材料の前記結束部の前記カッターで切断された部分の両側を押圧可能なかき落とし手段を備えることを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記カッターユニットが、前記かき落とし手段を一体に備えている請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記かき落とし手段が、前記スライダーのスライド方向の方向に前記スラーダーとともにスライドする部材本体と、左右対称の一対のかき落とし片を備え、
この一対のかき落とし片が、前記竿を両側から挟んだ状態になるとともに、前記かき落とし片の下端が、前記竿から離接する方向に移動可能に前記部材本体に枢支されている請求項1または請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記一対のかき落とし片の前記竿より下方側を、互いに近づく方向に付勢する付勢手段を備えている請求項3に記載の切断装置。
【請求項5】
前記かき落とし片の下端部に下端に向かって他方のかき落とし片から遠ざかる方向に傾斜したテーパ面をそれぞれ備えている請求項4に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束部が竿の上面に間欠的に受けられた状態となるように、竿にループ状に巻き掛けられた長尺燻製連鎖状ソーセージ材料の、結束部の、竿の上面に間欠的に受けられた部分をカッターで切断し、複数の短尺燻製連鎖状ソーセージ材料とすることができる連鎖状ソーセージ材料の切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燻製ソーセージは、たとえば、以下のようにして製造されている。
(1)鳥獣類の挽肉または刻み肉を塩や香辛料で調味したものを、羊、豚、牛等の腸や、人工材料からなるケーシング内に充填するとともに、ソーセージの長さごとにケーシングをねじって結束部を形成したのち、長尺の生連鎖状ソーセージ材料を形成する。
(2)このようにして形成された長尺の生連鎖状ソーセージ材料を竿に所望の長さでループさせながら、竿にらせん状に巻き掛けるとともに、各ループの上端となる結束部を竿に受けられる状態で竿に吊るした状態にする。
(3)上記のようにして竿に吊るした状態で長尺の連鎖状ソーセージ材料を燻製装置内に入れて加熱燻煙して、長尺燻製連鎖状ソーセージ材料を得る。
(4)このようにして得られた長尺燻製連鎖状ソーセージ材料を、燻製装置から取り出し、各結束部を切断して燻製ソーセージを得る。
【0003】
ところで、連鎖状ソーセージ材料を各結束部で切断して、1つのソーセージとすることができる切断装置として、ドラム内に連鎖状ソーセージ材料を投入し、ドラムを回転させながら、ドラム内部に設けられたカッターが引っ掛かった結束部をカットするようにした回転ドラム式切断装置がある(特許文献1)。
しかし、このドラム回転式切断装置の場合、ドラム内に投入される連鎖状ソーセージ材料があまり長尺であると、ドラム内で連鎖状ソーセージ材料同士が絡み合い、うまく切断できないという問題がある。
【0004】
したがって、長尺燻製連鎖状ソーセージ材料を、上記ドラム回転式切断装置で絡まない長さの短尺連鎖状ソーセージ材料に切断したのち、ドラム回転式切断装置にこの短尺連鎖状ソーセージ材料をドラム内に投入するようにしている。
この長尺燻製連鎖状ソーセージ材料を短尺連鎖状ソーセージ材料に切断する切断装置として切断装置100が既に提案されている(特許文献2)。
【0005】
この切断装置100は、図6に示すように、支柱110と、カッターユニット支持部120と、カッターユニット130と、竿搬送装置140と、短尺連鎖状ソーセージ材料受け部材150を備えている。
カッターユニット支持部120は、支柱110に片持ちで支持されていて、ガイドバー121と、電動機(図示せず)で回転駆動する駆動プーリ122と、従動プーリ123と、駆動プーリ122および従動プーリ123に掛け渡された無端ベルト124を備えている。
【0006】
ガイドバー121は、支柱110に支持されて水平に保持されている。
無端ベルト124は、駆動プーリ122の駆動方向に回転するようになっている。
【0007】
カッターユニット130は、スライダー131と、スライダー131に支持された2枚のカッター132、132を備えている。
スライダー131は、無端ベルト124に固定されるベルト固定部133と、2枚のカッター132、132を支持するカッター支持部134を備えている。
【0008】
すなわち、カッターユニット130は、無端ベルト124の駆動に伴いガイドバー121にガイドされながら、支柱110方向に進退するようになっている。
また、カッターユニット130は、図示していないが、カム機構を用いて少なくともカッター支持部134を昇降させる昇降手段を備えている。
【0009】
そして、この切断装置100は、以下の(1)~(6)の動作を繰り返し、連続的に、短尺連鎖状ソーセージ材料が得られるようになっている。
(1)カッターユニット130を、カッター132が竿300の一側端を臨む切断開始位置(図6に示す位置)に移動させる。このとき、カッター支持部134は、カッター132を上方の非切断位置になるように上記昇降手段により上昇している。
(2)竿300に巻き掛けられた状態の長尺燻製連鎖状ソーセージ材料200を竿300の長手方向の両端が竿搬送手段140の受部141に受けられた状態で、竿搬送手段140によって、竿300の中心軸がカッターユニット130のカッター132、132の直下になるように搬送する。
(3)カッターユニット130のカッター132、132が竿300に巻き掛けられた長尺燻製連鎖状ソーセージ材料200の結束部201を切断可能位置となるように、上記昇降手段によってカッター支持部134を下降させる。
(4)カッターユニット130を竿300の他側端に向かって移動させながら、竿300上の結束部201をカッター132、132によって切断する。
(5)この切断によって、長尺燻製ソーセージ材料200が、図示していないが、1ループの長さの複数の短尺燻製ソーセージ材料となり、下方の受け籠または受け台などの短尺燻製ソーセージ材料受け部材150に受けられる。
短尺燻製ソーセージ材料受け部材150に受けられた短尺燻製ソーセージ材料は、後工程の回転ドラム式切断装置に投入される。
(6)切断終了後、カッター支持部134を、カッター132を上方の非切断位置になるように上記昇降手段により上昇させるとともに、竿搬送装置が空になった竿300を、カッターユニット130の下方から空の竿300の受部(図示せず)に搬送するとともに、長尺燻製連鎖状ソーセージ材料200が巻き掛けられた次の竿300をカッター132,132の直下にくるように搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004-276198号公報
【特許文献2】特開2005-34081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記のように長尺の生連鎖状ソーセージを竿に巻き掛けた状態で加熱燻煙すると、煙の油分等によって、長尺燻製連鎖状ソーセージ材料200の結束部201が竿300に接着あるいは粘着によって固着状態となってしまう場合がある。
このように結束部201が、竿300に上記のようにして固着状態になると、上記のようにカッター132によって結束部201が切断されても、短尺燻製連鎖状ソーセージ材料が、自然落下せず、竿300からぶら下がった状態に残ってしまうことがある。
したがって、作業者が短尺の燻製ソーセージ材料の竿300に固着状態となった結束部201の部分を手や治具などを用いて竿から剥離して、短尺の燻製ソーセージ材料を上記受け台、受け籠、ホッパーなどの短尺燻製ソーセージ材料受け部に受けさせるように落とす必要がある。
【0012】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、カッターによって切断された結束部の切断残部の固着によって、短尺燻製連鎖状ソーセージ材料が、竿にぶら下がった状態で残ることがない切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため本発明に係る切断装置(以下、「本発明の切断装置」)は、スライド移動するスライダーと、前記スライダーとともにスライド移動するカッターを有するカッターユニットを備え、ソーセージと結束部とが交互に連続した長尺の連鎖状ソーセージ材料が、竿に螺旋状に巻回されるとともに、前記結束部が間欠的かつ前記竿に長手方向に間隔を空けて受けられて、前記竿に懸架された状態で、前記カッターユニットが、竿の上方で、前記スライダーとともに、前記カッターを竿の長手方向にスライドすることによって、前記カッターが、前記結束部の竿に受けられた部分を切断して複数の短尺の連鎖状ソーセージ材料とするようにした切断装置であって、前記カッターのスライド移動に追従して、あるいは、前記カッターのスライド移動完了後に、前記カッターの後方からスライドし、前記連鎖状ソーセージ材料の前記結束部の前記カッターで切断された部分の両側を押圧可能なかき落とし手段を備えることを特徴としている。
【0014】
本発明において、カッターで切断された部分の両側で押圧される部分は、結束部のカッターで切断された切断残部、あるいは、この切断残部に連続するソーセージ部分のいずれでも構わないが、ソーセージ部分が好ましい。
本発明において、カッターは、結束部を確実に切断できれば、1枚刃でも、2枚刃以上でも構わない。
【0015】
本発明の切断装置において、かき落とし手段は、カッターが結束部を切断方向にスライド移動するのに追従してカッターを後方からスライドすれば、カッターユニットと別体にしても構わないが、カッターユニットに一体化されていることが好ましい。
すなわち、かき落とし手段の駆動源を別途設ける必要がなく、装置全体をコンパクトにすることができる。
【0016】
本発明の切断装置において、かき落とし手段は、前記スライダーのスライド方向の方向に前記スラーダーとともにスライドする部材本体と、左右対称の一対のかき落とし片を備え、
この一対のかき落とし片が、前記竿を両側から挟んだ状態になるとともに、前記かき落とし片の下端が、前記竿から離接する方向に移動可能に前記部材本体に枢支されている構成とすることが好ましい。
すなわち、上記構成のようにすれば、支持部をスライダーのスライド方向後方にスライダーとともにスライドするように取り付けるだけでよい。したがって、部品点数を大きく増やすことなく、従来の切断装置を利用して製造することができ、従来に比べほとんどコストアップすることがない。
【0017】
また、上記かき落とし手段は、特に限定されないが、前記一対のかき落とし片の前記竿より下方側を、互いに近づく方向に付勢する付勢手段を備えていることが好ましい。
すなわち、上記構成にすれば、かき落とし片の下端が竿を挟んで、定位置に保持された状態を保つことができ、スライドに伴い、ソーセージ部分を確実に押圧して強い安定した力でカキ落とすことができる。
付勢手段としては、特に限定されないが、たとえば、コイルばね、板バネ、ゴム弾性体などが挙げられる。
【0018】
さらに、上記かき落とし手段は、特に限定されないが、前記かき落とし片の下端部に下端に向かって他方のかき落とし片から遠ざかる方向に傾斜したテーパ面をそれぞれ備えている構成とすることが好ましい。
すなわち、上記構成にすれば、竿をスライダーの下方から2つのかき落とし片の間に挿入する際に、竿がまずテーパ面に当たるため、2つのかき落とし片の下端側の間隔が開く方向に移動しやすい。したがって、付勢手段を設けたものにおいても竿を2つのかき落とし片の間のかき落とし位置まで正確に挿入しやすくなる。
【0019】
本発明の切断装置は、長尺の連鎖状ソーセージ材料を巻き掛けた状態で竿をカッターユニットの下方まで搬送する竿搬送機構を備えていてもよい。
竿搬送機構としては、特に限定されないが、たとえば、駆動手段によって、回転駆動される一対のチェーンやタイミングベルトなどの無端ベルトを竿の両端が受けること可能なピッチで平行に配置するとともに、前記無端ベルトの外周面に竿の端部を下方から受けることが溝を備えた竿受部を所望ピッチに設ける構成、前記無端ベルト間にバーを掛け渡しこのバーに竿受部を設ける構成、バーの上に設けられた竿受部間に竿を掛け渡すとともに、バーを、竿を受けた状態で移動させる搬送手段を備えた構成などが挙げられる。
【0020】
本発明の切断装置は、回転ドラム式の切断装置を連設し、本発明の切断装置によって得られた短尺の連鎖状ソーセージ材料を受け台から回転ドラム式の切断装置に直接投入できるようにしても構わないし、一旦受け台から回転ドラム式の切断装置に手作業やベルトコンベヤを用いて搬送するようにしても構わない。
【発明の効果】
【0021】
本発明の切断装置は、上記のように、スライド移動するスライダーと、前記スライダーとともにスライド移動するカッターを有するカッターユニットを備え、ソーセージと結束部とが交互に連続した長尺の連鎖状ソーセージ材料が、竿に螺旋状に巻回されるとともに、前記結束部が間欠的かつ前記竿に長手方向に間隔を空けて受けられて、前記竿に懸架された状態で、前記カッターユニットが、竿の上方で、前記スライダーとともに、前記カッターを竿の長手方向にスライドすることによって、前記カッターが、前記結束部の竿に受けられた部分を切断して複数の短尺の連鎖状ソーセージ材料とするようにした切断装置であって、前記カッターのスライド移動に追従して、あるいは、前記カッターのスライド移動完了後に、前記カッターの後方からスライドし、前記連鎖状ソーセージ材料の前記結束部の前記カッターで切断された部分の両側を押圧可能なかき落とし手段を備えるので、加熱燻煙によって結束部が竿に固着状態になり、カッターによって結束部を切断しただけでは、結束部の切断残部が切断によって形成された短尺の連鎖状ソーセージ材料が、竿から離れ落ちない場合においても、切断部の両側のソーセージ部分をかき落とし部材が押圧して結束部の切断残部の固着部分を剥離する。
したがって、作業者が、手や治具を使って落とすという作業が不要になり、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の切断装置の第1の実施の形態をあらわし、その要部をカッターユニットのスライド方向に直交する方向から見た図である。
図2図1の切断装置の要部をカッターユニットの切断動作時の後方側から見た図である。
図3図1の切断装置の、カッター支持部を切断動作時のスライド方向の前方側からみた図である。
図4図1の切断装置の、かき落とし部材を切断動作時のスライド方向の後方側からみた図である。
図5】かき落とし部材の変形例を示し、そのカッター支持部を切断動作時のスライド方向の後方側からみた図である。
図6】特許文献2の切断装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の切断装置をその実施の形態を示す図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の切断装置の要部をカッターユニットのスライド方向に直交する方向から見た側面図、図2は、図1の切断装置の要部をカッターユニットの切断動作時の後方から見た図、図3図1の切断装置の、カッター支持部を切断動作時のスライド方向の前方側からみた図、図4は、図1の切断装置の、カッター支持部を切断動作時のスライド方向の後方側からみた図である。
【0024】
図1図4に示すように、この切断装置1は、カッターユニット2が以下のようになっている以外は、基本的に従来の切断装置と同様の構成を備えている。
図2に示すように、カッターユニット2は、2ユニット平行に設けられ、図1および図2に示すように、スライダー21と、カッター支持部22と、2枚のカッター23、23と、かき落とし部材24を備えている。
【0025】
スライダー21は、下端部にカッター支持部22を昇降させる昇降手段21aを備えているとともに、上端が図示していないが、図6に示す従来の切断装置100と同様に無端ベルトに固定され、無端ベルトの駆動によってスライド移動するようになっている。
カッター支持部22は、アーム22aを介して昇降手段21aの下端に固定されていて、昇降手段の昇降動作に同期して昇降するようになっている。
【0026】
2枚のカッター23、23は、図3図4に示すように、スライダー21のスライド方向で前後に交差するように配置されている。
【0027】
かき落とし部材24は、図3に示すカッター支持部22の切断動作時にカッター23、23のスライド方向後方に位置するようにカッター支持部22に取り付けられている。
そして、かき落とし部材24は、図4に示すように、アーム状の部材本体26と、この部材本体26の一側に上端部が回動自在に枢支された左右対称形状の一対のかき落とし片27、27を備えている。
【0028】
すなわち、部材本体26は、その一側部の、カッター23、23に対面する側の面に、かき落とし片27、27が挿入される溝26aが形成され、他側がカッター支持部22に固定支持されている。
溝26aは、その両側壁26bが、上端側が他方の側壁26bと平行で、下端部が下端に向かってその幅が同じテーパ角で拡がる拡幅部26cになっている。
また、溝26aは、その底の上端部にかき落とし片27、27を枢支する2つの枢支軸26d、26dが突設されている。
【0029】
かき落とし片27、27は、それぞれ枢支部27aと、枢支部27aの幅方向の一側から下方に延出する平板状をしたかき落とし部27bを備える対称形状をしていて、枢支部27aが枢支軸26d、26dに枢支されて、枢支軸26d、26dを中心に、回動自在に部材本体26に支持されている。
また、この切断装置1は、図2に示すように、同時にスライド移動する2つのカッターユニット2が平行に設けられていて、同時に2本の竿300に巻き掛けられた長尺燻製ソーセージ材料200を切断できるようになっている。
【0030】
この切断装置1は、上記のようになっており、竿300に巻き掛けられた長尺燻製ソーセージ材料200が以下のようにして短尺燻製ソーセージ材料に切断することができる。
すなわち、図1あるいは図2に示すように、まず、竿搬送装置(図示せず)によって搬送されてきた長尺燻製ソーセージ材料200が巻き掛けられた2本の竿300が、2つのカッターユニット2の対応するカッターユニット2の下方を臨む位置まで搬送される。
【0031】
そして、2つのカッターユニット2を切断開始位置に配置した状態で、2つのカッターユニット2の昇降手段21aがそれぞれ作動してカッター支持部22を、カッター23、23が結束部201の切断可能高さ(カッター23の刃先が、竿300に接しないようにすることが好ましい)になるまで下降させる。
また、この下降によって、図3および図4に示すように、竿300がかき落とし片27、27のかき落とし部27b、27b間に入り込む。
【0032】
このとき、溝26aが、その下端にテーパ面となった拡幅部26cを備えているので、竿300がかき落とし部27b、27b間に入り込もうとすると、かき落とし片27が枢支軸26dに回動自在に支持されているので、竿300が当たると、竿300から逃げるように回動する。
したがって、竿300がスムーズにかき落とし部27b、27b間に入り込む。
また、竿300に大きく跳ね上げられても拡幅部26cの壁面によって回動幅が規制されて、かき落とし部27bがかき落とし作用位置に常に維持される。
【0033】
つぎに、2つのカッターユニット2が、それぞれ切断開始位置から、竿300の他端近傍の切断終了位置までスライド移動する。
そして、カッターユニット2は、スライド移動する間に、図3に示すように、2つのカッター23、23が竿300にループ状に巻き掛けられた長尺燻製ソーセージ材料200の、各ループの竿300の上側に掛けられた結束部201を切断していく。
【0034】
上記のようにカッター23、23で切断されて得られる短尺燻製ソーセージ材料に、両側に切断残部あるいは片側の切断残部が竿300に固着状態になって、短尺燻製ソーセージ材料が竿300にぶら下がって残っている場合、かき落とし部材24のかき落とし部27bが切断端部に隣接するソーセージ202部分をスライド方向に押圧して、切断残部の固着部分を引きはがして、竿300にぶら下がって残っている短尺燻製ソーセージ材料を下方の受け部3に受けられるように落とす。
【0035】
すなわち、この切断装置1は、かき落とし部材24を備えているので、燻煙時に油分等によって竿300に結束部201が固着していても、カッター23による切断後に、竿300に固着状態で残った短尺燻製ソーセージ材料を、作業者が手や治具を使ってカキ落とすという作業をなくすことができる。
また、従来の切断装置に、かき落とし部材24を装着するようにできるので、コストを懸けず本発明の切断装置1とすることができる。
【0036】
なお、この切断装置1で得られる短尺燻製連鎖状ソーセージ材料は、一旦受け台3に受けたのち、別に配置された回転ドラム式の切断装置に運び、回転ドラム式の切断装置で個別ノソーセージに切断分離するようにしても構わないし、特許文献1のように、この切断装置1と切断する回転ドラム式の切断装置とユニット化して、短尺連鎖状ソーセージ受け部材20に受けられた短尺燻製連鎖状ソーセージ材料を連続的あるいは間欠的に回転ドラム式の切断装置に投入できるようにしても構わない。
【0037】
つぎに、図5は、かき落とし部材の変形例をあらわしている。
図5に示すように、このかき落とし部材25は、部材本体28と、一対のかき落としへ片29,29を備えている。
【0038】
部材本体28は、上記かき落とし部材24の部材本体26と同様に溝28aを備えている。
溝28aは、底の上下方向の中間位置に2つの枢支軸28bが設けられている。
【0039】
2つのかき落とし片29は、対称形状に形成されていて、枢支軸28bに回動自在に枢支される枢支部29aがその上下方向の中間位置に設けられている。
また、2つのかき落とし片29は、その上端部に、他方のかき落とし片29の方向に延出する円柱状の突起29bが設けられている。
2つのかき落とし片29の上端部間には、かき落とし片29の上端部間が拡がる方向、すなわち、かき落とし片29の下端同士が近づく方向に付勢する付勢手段としてのコイルばね29cの端部が突起29bに嵌合して状態に介装されている。
【0040】
2つのかき落とし片29は、枢支部29aより下方がかき落とし部29dとなっている。
かき落とし部29dは、その下端側に竿300の抜け止めの係止爪部29eが他方のかき落とし部29d方向に突設されている。
【0041】
かき落とし片29の下端である係止爪部29eの下面は、下方に向かって徐々に他方のかき落とし片29のかき落とし部29dとの間隔が拡がるテーパ面29fとなっている。
【0042】
上記のように、このかき落とし部材28は、コイルばね29cによって、下端部のかき落とし部29d同士が近づくように付勢されているので、かき落とし部29d間に入り込んだ竿300からかき落とし部29dが離れない状態に維持される。
したがって、かき落とし部29dがソーセージ202部分を押圧する際に、かき落とし部29dが逃げ動くことがなく、スライドに伴い、ソーセージ202部分を確実に押圧して強い安定した力でカキ落とすことができる。
【0043】
また、2つのかき落とし部29dがその下端にテーパ面29eを備えているので、カッター支持部とともに、下降するに伴い、竿300がテーパ面29fに押し当たり、付勢力に抗して竿300が一旦2つのかき落とし片29の下端間を押し拡げることができる。
したがって、2つのかき落とし片29間に竿300をスムーズかつ確実に入り込ませることができる。
【0044】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。上記の実施の形態では、長尺燻製連鎖状ソーセージ材料を切断するために用いられていたが、ボイルした連鎖状ソーセージ材料や、生の連鎖状ソーセージ材料の切断に使用しても構わない。
上記の実施の形態では、かき落とし部材がカッターユニットに一体になっていたが、たとえば、カッターユニットとは別の駆動機構でスライダーに同期してあるいは時間差でスライドさせる構造としても構わない。
【0045】
上記の実施の形態では、カッターユニットを2ユニット備えていたが、1ユニットでも構わないし、3ユニット以上でも構わない。
【符号の説明】
【0046】
1 切断装置
2 カッターユニット
20 短尺燻製ソーセージ材料受け部材
21 スライダー
21a 昇降手段
22 カッター支持部
22a アーム
23 カッター
24 かき落とし部材
25 かき落とし部材
26 部材本体
26a 溝
26b 側壁
26c 拡幅部
26d 枢支軸
27 かき落とし片
27a 枢支部
27b かき落とし部
28 部材本体
28a 溝
28b 枢支軸
29 かき落としへ片
29a 枢支部
29b 突起
29c コイルばね
29d かき落とし部
29e 係止爪部
29f テーパ面
200 長尺燻製ソーセージ材料
201 結束部
202 ソーセージ
300 竿
図1
図2
図3
図4
図5
図6