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特開2025-48797極低温液体中の少なくとも1つの不純物の割合を決定するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025048797
(43)【公開日】2025-04-03
(54)【発明の名称】極低温液体中の少なくとも1つの不純物の割合を決定するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/04 20060101AFI20250326BHJP
【FI】
F25J3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024161578
(22)【出願日】2024-09-19
(31)【優先権主張番号】FR2309982
(32)【優先日】2023-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・クレサック
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ル・ボット
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・マション
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA08
4D047DA03
4D047DB05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】空気からガスを分離するためのシステムから試料採取された、極低温液体中に溶解した不純物の含有率を決定するためのシステム、及び対応する決定方法を提供する。
【解決手段】極低温液体中に溶解した不純物の割合を決定する決定システム2であり、初期体積の極低温液体を受容する容器3と、不純物が濃縮されたある体積の残留極低温液体が得られるまで初期体積の極低温液体を気化させるための気化手段84(気化手段は、容器の下部に配設されており、極低温液体を気化させる加熱表面を備える)、残留極低温液体中の不純物の割合を決定するための手段と、を備え、気化手段が液体吸入ダクト、液体排出ダクトを備え、気化手段が吸入ダクトと排出ダクトとの間の熱サイフォン効果をもたらし、加熱表面が排出ダクトの内部表面を備え、気化手段がある体積の残留極低温液体を使用して加熱表面を湿潤状態に保つように構成されている決定システム。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)であって、前記少なくとも1つの不純物は、前記極低温液体よりも揮発性が低く、
・ 初期体積の前記極低温液体を受容することが可能な容器(3)と、
・ 前記不純物が濃縮されたある体積の残留極低温液体が得られるまで前記初期体積の極低温液体を気化させるための気化手段(84)と、ここで、前記気化手段は、前記容器(3)の下部に配設されており、前記極低温液体を気化させることが可能な加熱表面を備え、
・ 前記残留極低温液体中の不純物の割合を決定するための手段と、
を備え、
前記決定システム(2)は、前記気化手段(84)が、少なくとも1つの極低温液体吸入ダクト(42)と複数の極低温液体排出ダクト(44)とを備え、前記気化手段(84)が、少なくとも1つの前記吸入ダクト(42)と複数の前記排出ダクト(44)との間の熱サイフォン効果をもたらすことが可能であり、前記加熱表面が、前記排出ダクト(44)の内部表面を備えることを特徴とする、極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項2】
前記排出ダクト(44)は前記吸入ダクト(42)を取り囲んでいる、請求項1に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項3】
前記排出ダクト(44)は、前記吸入ダクト(42)よりも小さい直径を有する、請求項1又は2に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項4】
前記気化手段(84)は、円筒の全体形状の熱伝導性の本体(4)を備え、前記本体(4)の高さ(H)にわたって前記吸入ダクト(42)及び前記排出ダクト(44)が作られており、前記吸入ダクト(42)及び前記排出ダクト(44)は、前記容器(3)の底部を画定する前記本体(4)の面(46)に現れている、請求項1~3のいずれか一項に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項5】
前記本体(4)は、前記吸入ダクト(42)と前記排出ダクト(44)との間に配設された断熱ライニング(47)を備える、請求項4に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項6】
前記気化手段は、前記排出ダクト(44)に近接した前記本体(4)の凹部内に配設された少なくとも1つの電気ヒータを備える、請求項4又は5に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項7】
前記気化手段(84)は、加熱カートリッジの形態の複数の電気ヒータを備え、前記本体(4)は、前記排出ダクト(44)の周りに配設された複数の空間(41)であって、前記加熱カートリッジを収める複数の空間(41)を有し、複数の前記空間(41)は、前記容器(3)の前記底部を画定する前記本体(4)の前記面(46)には現れていない、請求項6に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項8】
複数の前記空間(41)は、前記本体(4)の高さ(H)の少なくとも一部にわたって、前記本体(4)の周囲の複数の凹部(45)によって分離されている、請求項7に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項9】
前記本体(4)は、前記容器(3)の底部を画定する前記面(46)の対向面(48)を有し、前記気化手段(84)は、前記対向面(48)に配設されたマニホールド(8)を備え、前記マニホールド(8)は、前記吸入ダクト(42)を前記排出ダクト(44)に流体接続する、請求項4~8のいずれか一項に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項10】
ジャケット(5)が、前記気化手段(84)を取り囲んでおり、前記ジャケット(5)は、前記気化手段(84)と接触する冷却液を収容するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項11】
前記対向面(48)は、前記ジャケット(5)から現れており、前記吸入ダクト(42)及び前記排出ダクト(44)は、前記容器(3)の底部を画定する前記面(46)から前記ジャケット(5)を通って延在する、請求項9に従属する請求項10に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項12】
前記対向面(48)は、前記空間(41)に前記加熱カートリッジを挿入するための開口部を有する、請求項7又は8に従属する請求項11に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項13】
極低温蒸留によって空気からガスを分離するためのシステムであって、請求項1~12のいずれか一項に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の含有率を決定するための決定システム(2)と、前記分離するためのシステム内を循環する流体の試料を採取するための手段と、試料採取された前記流体が気体である場合に前記流体を液化するための手段と、試料採取され、場合により液化された前記流体を、その不純物の割合を決定するように前記容器(3)に送達するための手段と、を備える、システム。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)を使用して、極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)であって、前記少なくとも1つの不純物は、前記極低温液体よりも揮発性が低く、前記決定方法は、
・ 充填するステップ(110、210)中に前記極低温液体が気化することを防止する充填温度及び充填圧力に保たれた前記初期体積の極低温液体で前記容器(3)を充填するステップ(110、210)と、
・ 気化させるステップ(120、220)中に前記極低温液体を前記極低温液体の圧力で気化温度にする前記気化手段によって、前記ある体積の残留極低温液体が得られるまで、前記極低温液体を気化させるステップ(120、220)と、ここで、前記圧力は、前記充填圧力以下であり、前記気化によって生じたガスは、前記容器(3)から排出され、
・ 前記残留極低温液体中の前記不純物の割合を決定するステップ(130、230)と、
を備える、極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)。
【請求項15】
前記気化させるステップ(120、220)中の前記容器(3)内の圧力は、0.2バール~0.3バールの範囲の値、好ましくは0.2バールに等しい値にされる、請求項14に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)。
【請求項16】
前記不純物の割合を決定するステップ(230、130)は、前記残留極低温液体の試料を採取すること(232)と、次いで、ガスをもたらすように、試料採取された前記残留極低温液体を気化させること(234)、又は、ガスをもたらすように前記残留極低温液体のすべてを気化させること(132)と、次いで、試料採取された前記残留極低温液体若しくはすべての前記残留極低温液体の気化によって得られた前記ガスをガス分析器に送達すること(236、134)と、を備える、請求項14又は15に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)。
【請求項17】
前記容器(3)を空にするステップ(240、140)と、それに続く、前記極低温液体の前記充填温度以下の温度の液体を前記決定システム(2)の前記ジャケット(5)に導入することによって前記容器(3)を冷却するステップ(250、150)と、を備える、請求項10~12のいずれか一項に記載の決定システム(2)を使用して、請求項16に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学工業に関し、例えば空気からガスを分離するためのシステムから試料採取された極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するためのシステム、及び対応する決定方法に関する。
【0002】
空気からガスを分離するためのシステムは、空気から様々な成分を分離するための低圧蒸留塔及び中圧蒸留塔を備える。空気は塔に入る前に浄化されるが、不純物が塔の供給空気に残っており、特に、一方の塔内の酸素気化器において濃縮される。具体的にいうと、これらの不純物の大部分は、これらの不純物のほとんどすべてが気化器の液相に留まり、ほとんどないに等しい不純物が気相で再び気化器から出ていくような気液平衡係数を有する。そのため、液相の不純物の割合は、連続的な気化サイクルに伴って増加し、最終的に、気化器のアルミニウムマトリックスに液体堆積物又は固体堆積物の形態で蓄積する。
【0003】
蒸留の前に実施される吸収プロセスは、塔の供給空気から、重質炭化水素、換言すれば、4つより多くの炭素原子を有するものと、不飽和結合を有する炭化水素とを除去することを可能にする。これらの吸収プロセスによってかろうじて捕捉されるか又は全く捕捉されない不純物は、特に軽質炭化水素及びプロパンである。1つ又は2つの炭素原子を有する軽質炭化水素は、酸素への高い溶解性を有し、そのため、気化器内の酸素と反応することができる純粋相を生じさせない。しかしながら、プロパンは酸素への溶解性が比較的なく、したがって、気化器内の液体酸素と接触すると純粋相を生じさせる可能性があり、この純粋相は、特に、この不純物から放出されるエネルギーが気化器のアルミニウムマトリックスの燃焼をトリガするのに十分なものであるとき、爆発する状況を発生させる可能性がある。
【0004】
更に、気化器内に存在する不純物が酸素と反応しないときでも、それは、他のすべての不純物の蓄積、したがって酸素と反応する不純物の蓄積も加速する。これは特に、液体酸素の動作温度を上回る凝固温度を有する二酸化炭素及び亜酸化窒素の場合に当てはまる。これらの不純物が吸収プロセスによって捕捉されず、気化器の液体酸素に固相を生じさせることが起こり得、これは、気化器の気化ダクトを閉塞させる可能性がある。「デッドエンドボイリング」と呼ばれるこの仕組みは、気化されている液体に含有されるすべての不純物、特に炭化水素の濃縮を加速し、そのため、気化マトリックスの燃焼のリスクを増大させる。
【0005】
したがって、蒸留塔及び/又は気化器の酸素浴における不純物の許容可能な最大量を維持するため、そして空気からガスを分離するためのシステムの動作安全性を保証するために、そこに入る不純物の割合を監視する必要がある。
【0006】
克服すべき1つの問題は、測定される不純物、特に二酸化炭素及び亜酸化窒素についての非常に低い溶解性及び気液平衡係数を考えると、これらの不純物のレベルが極めて低いことである。不純物の許容可能な最大量を制御することができるようにするためには、100ppb(百億分の1)未満、好ましくは10~50ppbの割合を測定することが必要である。これらの測定は、連続的なものであってもよいし、又は不純物の臨界割合に達するかなり前に措置を講じることを可能にする頻度で実施されてもよい。
【0007】
現在、蒸留される空気中の又は気化器の酸素中の不純物の含有率を決定するための技法は、複雑な機器を使用し、相当な運転スキルを必要とする。これらの技法は、蒸留塔又は気化器に入る極低温液体を試料採取し、特別な装置内で気化させて、次いでそれを分析することができるようにすることを必要とするガス分析器のみを使用する。好みに応じて、試料は、気化器が空気からガスを分離するためのシステムの臨界点であることを考えて、気化器の入口で、又は気化器の出口で、又は必要に応じて様々な気化段階の合間に採取される。
【0008】
これらの先行技術の技法は、試料とその不純物の完全な気化を行い、分析されるガスを得るようにすることを伴い、ここで、不純物の割合は極低温液体の試料中の不純物の割合と同一であり、気化は、ガス分析器によって得られる測定値を歪めないように、試料採取する又は試料を気化させるためのデバイスへの不純物の蓄積を防止する条件下で実施される。
【0009】
極低温液体中の不純物の割合を測定しやすくするために、本発明者らは、文献FR3066596及びFR3066597に記載されている、この割合を分析するための装置及び方法を発展させた。本装置は、容器内での分析される極低温液体の大量の試料の気化を可能にし、そのように気化されたガスは開回路で排出され、試料の不純物が濃縮される残留量の極低温液体がこの気化の終わりに保持される。次いで、容器は閉じた状態に保たれ、残留量の極低温液体が容器内で完全に気化され、それにより、初期試料のそれよりも遥かに高い不純物の割合を有し、したがってガス分析器が遥かに測定しやすいガスが得られる。
【0010】
この革新的な手法には、濃度が測定される不純物が、それが含まれている極低温液体よりも低い揮発性を有することが必要となるが、開回路での気化中に蒸発する不純物の量が残留極低温液体中に残る不純物の量と比較してごくわずかであることも必要となる。これらの条件は、不純物とそれらの溶媒との熱力学的平衡の値に依存し、これら値自体は、気化圧力及び温度に依存する。気化圧力が低いほど、気化がより残留極低温液体中の不純物の濃縮の助けとなる。
【0011】
これらの熱力学的平衡の値に基づくと、残留極低温液体中の不純物の濃縮は、問題を呈さないはずである。より具体的にいうと、これらの値に依存して、残留極低温液体が15バールに維持された酸素であるとき、開回路での気化中に蒸気として逃げる亜酸化窒素又は二酸化炭素又はプロパンの量は、極低温液体に残っている不純物の量の2%未満のままである。
【0012】
しかしながら、本発明者らは、気化した極低温液体が、不純物が過剰濃縮された領域を有するとき、又は気化熱を伝える装置の壁に極低温液体の気化乾固(vaporization of the cryogenic liquid to dryness)が起きるときに、開回路での気化中に気相に逃げる不純物の量が、実際には遥かに多くなる可能性があることに注目した。特に、この壁が過剰に加熱された場合、熱力学的平衡が曲がり、気相に逃げる不純物の量が多くなる。このような過剰加熱を回避するために、不純物の濃縮を大気圧よりも高い圧力で実施することができるが、これは、不純物が過剰濃縮された領域が液体に形成されるのを防止しない。
【0013】
極低温液体の試料の全体気化を提案する先行技術技法が、極低温液体が気化デバイスの加熱壁の部分で局所的に気化乾固することなく、そして気化によって形成されたガスに不純物を加える不純物の堆積物をこの加熱壁に生じさせることなく、極低温液体を気泡温度で気化させることを可能にしないことに留意されたい。
【0014】
最後に、本発明者らによって提案された手法の別の問題は、100以上の濃縮係数(concentration factor)を用いて、残留極低温液体中の不純物をかなり濃縮するために、開回路で極低温液体の試料の99%を気化させる必要があり、これにより、開回路でのこの気化ステップ中に極低温液体を気化乾固させる加熱壁を有しないことが困難になることである。これは、空気からガスを分離するためのシステムの安全性を保証するために、分析サイクルの持続時間が1時間未満に制限される場合に、更に困難になる。具体的にいうと、本発明者らによって提案された分析装置は、別の試料を受容するために、すべての残留極低温液体が気化され、ガス分析器に送達された後に、試料が気化される容器が冷却されなければならないサイクルで動作する。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、極低温液体中の少なくとも1つの不純物の割合を決定するためのシステム及び方法、並びに空気からガスを分離するためのシステムを提供することによって、上記欠点の少なくともいくつかを克服することを目的としており、これにより、液体の一部分を気化させ、そうして生じた蒸気をガス分析器に送達する前に、液体の該一部分中の不純物の濃縮を、極低温液体の一部分において不純物が濃縮されている間の不純物の過剰な気化によって歪められない濃縮係数で行うことが可能になる。
【0016】
このために、本発明は、極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するためのシステムを提案し、少なくとも1つの不純物は、極低温液体よりも揮発性が低く、本システムは、
・ 初期体積の極低温液体を受容することが可能な容器と、
・ 不純物が濃縮されたある体積の残留極低温液体が得られるまで初期体積の極低温液体を気化させるための気化手段と、気化手段は、容器の下部に配設されており、極低温液体を気化させることが可能な加熱表面を備え、
・ 残留極低温液体中の不純物の割合を決定するための手段と、を備え、
決定システムは、気化手段が、少なくとも1つの極低温液体吸入ダクトと複数の極低温液体排出ダクトとを備え、気化手段が、吸入ダクトと複数の排出ダクトとの間の熱サイフォン効果をもたらすことが可能であり、加熱表面が、排出ダクトの内部表面を備えることを特徴とする。
【0017】
換言すれば、気化手段は、ある体積の残留極低温液体を使用して該加熱表面を湿潤状態に保つように構成される。
【0018】
本発明により、ある体積の残留極低温液体において不純物を濃縮することを可能にする初期体積の極低温液体の気化が、わずかでない量の不純物がこの気化中に気相に逃げることなく行われる。具体的にいうと、この気化を可能にする気化手段の加熱表面は、ある体積の残留極低温液体によって全体的に浸漬され又は全体的に湿潤化されている。したがって、この加熱表面に堆積物を生じさせる場合がある、極低温液体の気化乾固がない。それは、極低温液体の気化を可能にすること、したがってこの気化を可能にする熱を放出することとして定義される。気化手段の他の表面は、極低温液体と比較して比較的高温であり得るが、極低温液体を気化させない。加熱表面は、例えば、容器の下部に形成されている。
【0019】
気化手段によってもたらされる熱サイフォン効果は、極低温液体を撹拌し、したがって極低温液体への不純物が過剰に濃縮された領域の形成を回避することを可能にし、これはまたこれらの不純物の過剰な気化も回避する。
【0020】
本発明では、排出ダクトは、その内部表面がこの気化を可能にする温度に極低温液体を加熱するので、極低温液体の気化を可能にするものである。気化手段は、例えば、重力の影響下で排出ダクトをある体積の残留極低温液体中に少なくとも部分的に浸漬させるように容器の下部に配置され、残留極低温液体によって浸漬されていない排出ダクトの内部表面でさえ、熱サイフォン効果による排出ダクト内の残留極低温液体の循環により湿潤状態のままである。
【0021】
1つの実施形態では、排出ダクトは、例えば、吸入ダクトを取り囲んでいる。更に、排出ダクトは、吸入ダクトよりも小さい直径を有する。このようにして小さい直径の排出ダクト内に極低温液体を分配することにより、極低温液体が蒸発しやすくなり、これらのダクトの加熱表面が湿潤状態に保たれやすくなる。吸入ダクト及び排出ダクトは、好ましくは、円形断面を有し、排出ダクトは、好ましくは、吸入ダクトの周りに角度方向に均等に分配されている。
【0022】
気化手段は、例えば、円筒の全体形状の熱伝導性の本体を備え、本体の高さにわたって、吸入ダクト及び排出ダクトは作られており、容器の底部を画定する本体の面に現れている。
【0023】
容器の底部は、例えば、本体の円筒形状の基部に対応する本体の面と同じ表面積を有する、容器の下部の一部を形成する。したがって、この面は、この面に現れているダクトの開口部を無視すれば平坦である。それは、例えば、極低温液体の初期体積の1パーセント又は少なくとも1パーセントを形成する残留極低温液体のすべての体積を蒸発手段が重力によって収めることを可能にするために、例えば、容器の下部と同一平面にある。したがって、ダクトは地面に対して垂直に配設され、容器の底部を画定する面は水平に配設される。
【0024】
熱伝導性の本体は、例えば、銅又はアルミニウムで作られた、好ましくは一部品の構成部品を形成する良好な熱伝導体である。この本体の表面は、例えば、平滑であるかテクスチャ加工されており、特に、排出ダクトの内部表面は、例えば、壁の気化熱交換係数及び/又は湿潤化を、そのでこぼこ、テクスチャ加工の幾何学形状、マイクロフィン若しくは他の手段の存在により向上させる表面を有する。
【0025】
本体は、好ましくは、吸入ダクトと排出ダクトとの間に配設された断熱ライニングを備える。その結果として、吸入ダクト内の極低温液体は、そこで気化せず、吸入ダクトの内部表面に堆積物を形成しないように、かなりの低温状態のままである。この断熱ライニングは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(「テフロン(登録商標)」ともいう)から作られている。
【0026】
気化手段は、特に、排出ダクトに近接した本体の凹部内に配設された少なくとも1つの電気ヒータを備える。このヒータは、例えば、吸入ダクトと排出ダクトとの間に、又は排出ダクトの周りに配設された加熱抵抗器又は加熱カートリッジである。
【0027】
好みに応じて、気化手段は、加熱カートリッジの形態の複数の電気ヒータを備え、本体は、排出ダクトの周りに配設された複数の空間であって、加熱カートリッジを収める複数の空間を有し、複数の空間は、容器の底部を画定する本体の面に現れていない。これらの空間は、熱伝導性本体内の排出ダクトに平行に、かつ排出ダクトから距離をあけて延在するが、排出ダクトの内部表面を極低温液体の気化を可能にする温度に保つために互いにかなり近くに延在する。空間は、好ましくは、排出ダクトの周りに角度方向に均等に配設されている。
【0028】
空間は、例えば、本体の高さの少なくとも一部にわたって、本体の周囲の複数の凹部によって分離されている。これらの凹部は、極低温液体の気化中に加熱カートリッジによって加熱される本体の質量を制限するが、容器の壁を充填温度にするための後続のステップ中に冷却される本体の質量も制限する。この後続のステップは、容器を充填するときに正確に評価することができなければならない新たな初期体積の極低温液体中の不純物の割合の新たな決定を実施するのに必要である。
【0029】
加熱カートリッジを収める空間同士の間にある凹部は、本体の外側円筒壁上に開いていることによって、例えば、バレルの形態の円筒の本体全体を与える。凹部は、本発明に係る決定システムのコストを削減することを可能にする。
【0030】
本体は、容器の底部を画定する面の対向面を有し、気化手段は、特に、対向面に配設されたマニホールドを備え、マニホールドは、吸入ダクトを排出ダクトに流体接続する。このマニホールドは、例えば、流体循環チャンバを備える、本体の対向面に取り付けられた銅製の構成部品である。マニホールドは、本体の下に垂直に配設されているので常に残留極低温液体で充填されており、したがって、不純物の堆積物を形成させない。
【0031】
本発明に係る2つの別個の決定のための2つの気化ステップの合間に容器を冷却するために、ジャケットが気化手段を取り囲んでおり、ジャケットは、気化手段と接触する冷却液を収容するように構成される。当然ながら、他の冷却手段が考えられる。
【0032】
ジャケットは、例えば、円筒タンクなどである容器の少なくとも下部を取り囲む環状ジャケットである。
【0033】
好みに応じて、対向面はジャケットから現れており、吸入ダクト及び排出ダクトは、容器の底部を画定する面からジャケットを通って延在する。これにより、1つ又は複数のヒータに電力を供給しやすくなる。対向面は、例えば、加熱カートリッジを空間に挿入するための開口部を有する。これにより、これらのカートリッジを設置及び交換しやすくもなる。
【0034】
本発明の別の主題は、極低温蒸留によって空気からガスを分離するためのシステムであり、本システムは、本発明に係る極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するためのシステムと、分離システム内を循環する流体の試料を採取するための手段と、試料採取された流体をそれがガスである場合に液化するための手段と、試料採取され、場合により液化された流体を、その不純物の割合を決定するように容器に送達するための手段と、を備える。
【0035】
当然ながら、本発明の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の含有率を決定するためのシステム及び方法は、他のシステム、例えば二酸化炭素が分離される、例えば、別のタイプのガスを分離するためのシステムに適用可能である。
【0036】
本発明はまた、本発明に係る少なくとも1つの不純物の割合を決定するためのシステムを使用して、極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための方法に関し、少なくとも1つの不純物は、極低温液体よりも揮発性が低く、本方法は、
・ 充填するステップ中に極低温液体が気化することを防止する充填温度及び充填圧力に保たれた初期体積の極低温液体で容器を充填するステップと、
・ 気化させるステップ中に、極低温液体の圧力で極低温液体をその気化温度にする気化手段によって、ある体積の残留極低温液体が得られるまで、極低温液体を気化させるステップと、この圧力は、充填圧力以下であり、気化によって生じたガスは、容器から排出され、
・ 残留極低温液体中の不純物の割合を決定するステップと、を備える。
【0037】
充填温度及び充填圧力は、極低温液体を形成する要素又は化合物の液体状態に対応するそれぞれの温度及び圧力範囲内にある。極低温液体は、本発明に係る空気からガスを分離するためのシステムにおいて極低温液体が試料採取された場所の下流の、液体状態の空気又は液体状態の酸素である。この試料は、具体的には、例えば、空気からガスを分離するためのシステムの蒸留塔の入口で、若しくはこれらの塔のうちの一方の酸素気化器の入口で、又は酸素気化器の出口で、若しくは必要に応じて異なる気化段階の合間に採取される。
【0038】
気化ステップは、大気圧で、又は真空ポンプ若しくは吐き出し器などの真空発生システムによって制御される真空下で行われる。例えば、気化ステップ中の容器内の圧力は、0.2バール~0.3バールの範囲の値、好ましくは0.2バールに等しい値にされる。これにより、気化温度を低下させ、結果として気液平衡係数を更により低減することを可能にする。更に、これにより、加熱表面と極低温液体との温度差が増加し、これは、気化ステップの持続時間を短縮することを可能にする。
【0039】
気化ステップ中に気化された極低温液体の量は、極低温液体の初期体積と残留極低温液体の体積との比に対応する濃縮係数が正確にわかるように制御される。これは、気化ステップの持続時間と、この気化ステップ中の温度及び圧力パラメータとを監視することによって行うことができる。
【0040】
次いで、決定ステップは、残留極低温液体の試料を採取することと、次いで、ガスをもたらすように、試料採取された液体を気化させること、又はガスをもたらすように残留極低温液体のすべてを気化させることと、次いで、試料採取された液体若しくはすべての残留極低温液体の気化によって得られたガスをガス分析器に送達することと、を備える。結果として、ガス分析器は、濃縮された不純物の割合を検出するはずであり、したがって非常に正確でも非常に高価でもある必要はない。
【0041】
本発明に係るガス分離システムにおいて極低温液体中の不純物の割合をしっかりと制御するために、本発明に係る決定方法は、容器を空にするステップと、それに続く、極低温液体の充填温度以下の温度の液体を決定システムのジャケットに導入することによって容器を冷却するステップと、を備える。空にするステップは、ガス分析器によって実施される不純物の割合の決定を妨害しないように、残留極低温液体の試料採取、又はすべての残留極低温液体の気化によって得られたガスの送達の後に続く。冷却されると、容器は空気からガスを分離するためのシステムから試料採取された新たな初期体積の極低温液体を受容し、その不純物の割合の新たな決定を実施することができる。
【0042】
本発明の更なる特徴及び利点が、以下の説明、及び添付の概略図を参照して指標として与えられる複数の非限定的な例示的な実施形態の両方からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の1つの実施形態における、本発明に係る極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための方法のステップを示す。
図2】本発明の1つの実施形態における、本発明に係る極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するためのシステムを示し、本システムは、具体的には、容器と、容器の底部のセクションに示された気化手段とを備える。
図3図2に示される気化手段の要素の斜視図を示す。
図4図3の要素の断面の斜視図である。
図5図1に示される本発明の実施形態の変形形態における、本発明に係る極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための方法のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1に示す本発明の一実施形態によれば、極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための本発明に係る決定方法100が、図2に示す極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための本発明に係る決定システム2によって実施され、本決定システム2は、本発明に係る極低温蒸留によって空気からガスを分離するためのシステムの一部を形成する。
【0045】
割合が決定される少なくとも1つの不純物は、例えばプロパンである。極低温液体中のプロパン以外の不純物の割合も、当然ながら、好ましくは決定方法100によって決定され、決定システム2は、そのような複数の決定を可能にする。本発明の本実施形態で決定される不純物は、極低温液体よりも揮発性が低い。
【0046】
この空気からガスを分離するためのシステムは、分離システム内を循環する流体の試料を採取するための手段を備える。本発明の本実施形態では、これらの試料採取手段が、ガス分離システムの酸素気化器の入口で液体酸素の試料を採取することを想定しており、この酸素気化器は、ガス分離システムの蒸留塔内に配設されている。このように試料採取された液体酸素は、決定システム2に送達される。
【0047】
本システムは、円筒タンクの形態の容器3を備え、この容器は、液体酸素を収容することが可能であり、図示されていない脚部で垂直に配設されている。容器3は、液体入口32、液体出口34、及びガス出口36を有する。
【0048】
分離システムから試料採取された液体酸素が、容器3を初期体積の極低温液体、すなわちこの場合は液体酸素で充填するステップである決定方法100の第1のステップ110中に、容器3の液体入口32を通して容器3に送達される。
【0049】
この極低温液体の初期体積は予め決定されている。これを正確に得るために、容器3は、極低温液体が液体出口34を通って容器3から溢れるまで充填され、容器3におけるこの位置は、この液体が液体出口34に達したときに容器3が所定の初期体積の極低温液体で充填されているように決定されている。
【0050】
容器3内の極低温液体の高さは、この場合、h1である。この高さは、垂直軸Zに沿って地面に対して垂直に測定される。
【0051】
充填ステップ110中、極低温液体の圧力及び温度が、極低温液体が気化するのを防止する。極低温液体の温度は、特に、このステップ中にかけられる圧力におけるその気化温度よりも低い。
【0052】
決定方法100の後続のステップは、ある体積の残留極低温液体が得られるまで極低温液体を気化させるステップ120である。このステップでは、容器3の液体入口32及び出口34は閉じているが、容器3の上部に配設されたガス出口36は開いている。具体的にいうと、蒸気に変わった極低温液体が、この気化ステップ120中にガス出口36を介して排出される。
【0053】
この気化は、極低温液体をその気化温度にする、容器3の下部に配設された気化手段84によって実施され、容器3内の気化圧力を得るために、約0.2バール絶対圧の圧力に達するまで、真空が適用される。この低圧により、気化温度(又は気泡温度)が大気圧でのものよりも低くなり、これにより気化ステップ120の持続時間が短縮する。更に、この低圧は、気液平衡係数を低下させ、大量の不純物を気相に逃がすことを防止する。
【0054】
気化ステップ120は、初期体積の極低温液体中に存在する不純物を、気化ステップ120の終わりに残されたある体積の残留極低温液体において濃縮することを可能にする。この残留極低温液体の体積は、この気化ステップ120中に気化されるガスの量を制御することによって、又はこのステップの持続時間とこの気化ステップ120中の容器3内の温度及び圧力パラメータとを制御することによって、又は液体のレベル及び/又は容器3内の質量の変動を測定することによって、予め決定されている。このようにして、ある体積の残留極低温液体中の不純物の濃縮係数が、極低温液体の初期体積と残留極低温液体の体積との比として正確に決定される。指標として、本発明の本実施形態では、容器3は1.3リットルの容量を有し、極低温液体の初期体積は0.8リットルである。
【0055】
気化手段84は、図3でより具体的に見ることができる。気化手段84は、高さHの円筒の全体形状を有する銅製の本体4を備える。本体4は、容器3の下部にこの高さHに沿って垂直に配設されており、円筒の基部に対応する本体の面46が水平に配設され、容器3の底部を形成するようになっている。換言すれば、容器3を形成する円筒タンクの基部は、円筒タンクのアルミニウム壁と同一平面である本体4の面46によって部分的に形成されている。
【0056】
したがって、円筒の他方の基部に対応する本体4の対向面48は、容器3の底部を形成する面46に対して地面に近接して水平方向に配設される。
【0057】
本体4は、その高さにわたって、本体4を貫通する垂直に配設されたダクト43、すなわち、本体4の中心にある吸入ダクト42と、吸入ダクト42を取り囲む排出ダクト44とを有する。排出ダクト44は、吸入ダクト42よりも小さい直径を有する。銅製のマニホールド8が、吸入ダクト42と排出ダクト44との流体連通を確立するように、対向面48に取り付けられている。マニホールド8は、気化手段84の一部を形成する。
【0058】
当然、容器3の下部と気化手段84とは、極低温液体を収容するための漏れ止め手段を形成している。
【0059】
気化手段84はまた、本体4内に排出ダクト44の周りに配設された空間41(図4で見える)に収められた加熱カートリッジを備える。これらの空間41は、容器3の底部を形成する面46には現れることなく、本体4内の排出ダクト44に平行に延在する。しかしながら、これらの空洞41に加熱カートリッジを挿入し、これらの加熱カートリッジに電力を供給することを可能にするために、空間41は対向面48には現れている。
【0060】
溝の形態の凹部45が、空間41同士の間の本体4の円筒表面に作られており、これは、特に、本体4と、容器3の下半分、特に気化手段84の部分を取り囲むジャケット5内を循環することを意図した冷却液との熱交換のための表面積を増大させるためのものである。より具体的には、ジャケット5は、環状ジャケットの形態をとり、その第1の円形縁部は、本体4を取り囲むとともに対向面48と境を接しており、その第2の円形縁部は、容器3の液体出口34の少し下で容器3を取り囲んでいる。このジャケット5の目的について、以下で説明する。
【0061】
気化手段84は、排出ダクト44内で熱サイフォン効果を有する浴気化器として作用する。具体的にいうと、気化ステップ120中、加熱カートリッジは、電力が供給され、排出ダクト44内に存在する極低温液体の温度をその気化温度にし、気化した酸素とごくわずかな不純物をガス出口36に逃がす。熱流により循環が生じ、極低温液体が、吸入ダクト42内を本体4の面46から対向面48へと循環し、次いでマニホールド8を横断して排出ダクト44に極低温液体を供給する。
【0062】
この循環は、気化手段84内の、特に排出ダクト44の内部表面によって形成されたその加熱表面上の極低温液体の良好な撹拌及び良好な均質性を可能にする。
【0063】
気化手段84は、気化していない極低温液体の体積が残留極低温液体の所定の体積に達する蒸発ステップ120の終わりに、この加熱表面が依然として極低温液体に浸漬されているか又は極低温液体で湿潤状態であるように構成される。指標として、本発明の本実施形態では、本体4は、7mm(ミリメートル)の高さHを有し、容器内の残留極低温液体の体積が達する高さhは、本体4の高さHの少なくとも50%である。したがって、排出ダクト44内の熱サイフォン効果によって引き起こされる循環は、それらの内部表面を湿潤状態に保つことを可能にする。
【0064】
このようにして、気化表面である加熱表面は、局所的にでも気化乾固なく気化熱を伝達する。加熱表面は極低温液体によって全体的に湿潤化されるので、加熱表面上に気液界面がない。不純物の堆積物がそこに形成されず、蒸気は、液相で残っている不純物の量と比較してごくわずかな量の不純物との熱力学的平衡状態で逃げる。
【0065】
気化熱が吸入ダクト42内の極低温液体に伝わるのを回避するために、その内部表面は、例えばテフロン(登録商標)で作られた断熱ライニング47で被覆されている。
【0066】
加熱カートリッジと本体4の良好な伝導性とにより、気化手段内の熱流が制御され、これにより、加熱表面の温度を管理することが可能になる。特に、本体4の材料は、排出ダクト44の内部表面の温度を均一化することを可能にする。
【0067】
排出ダクト44は、その内部表面の良好な湿潤化を促進するために円形断面を有し、この内部表面は、熱交換係数を向上させ、熱流を増加させ、この気化ステップ120の持続時間を短縮するために、平滑であるか又はテクスチャ加工されており、例えば、多孔質であるか又はフィンを有する。低圧が容器3内に加えられることにより、特に、過剰な量の不純物を気相に逃がすリスクを冒すことなく、加熱表面の温度と液体の気化温度との温度差を増大させることが可能になる。
【0068】
本体4の構成、特にそのダクト43の配設により、残留極低温液体の体積が非常に少なくても、常に湿潤状態である大きい加熱表面を有することが可能になる。
【0069】
指標として、これらの気化手段84の熱出力は、15分未満で極低温液体の初期体積の99%を気化させることを可能にする。
【0070】
気化ステップ120の終わりに、ガス出口36が閉じられ、容器は遮断され、所定の体積の残留極低温液体を収容している。
【0071】
そして次のステップは、残留極低温液体中の不純物の割合を決定するステップ130である。
【0072】
この決定ステップ130は、閉じたままにされた容器3内のすべての体積の残留極低温液体を気化させること132と、次いで、そのように気化され不純物が濃縮されたガスをガス分析器6(図2に示す)に送達すること134とを含む。このガス分析器は、ガス中のプロパンの割合を決定し、次いで、この割合を濃縮係数で割って、空気からガスを分離するためのシステムから試料採取された液体酸素中のプロパンの含有率を決定する。当然ながら、本決定ステップ130において、他のタイプの不純物の割合、特に、空気からガスを分離するためのシステムから試料採取された液体酸素中の亜酸化窒素の割合及び二酸化炭素の割合を同じ方法で決定することも可能である。
【0073】
次のステップは、例えば、不純物を含有しない不活性ガスを容器3に送達することによって、容器3を空にするステップ140である。変形形態では、吐き出し器又は真空ポンプによって、容器内に残っているガスに真空が適用される。
【0074】
冷却ステップ150中に容器3がより冷却されるほど、その間に、極低温液体の充填温度以下の温度の液体が、ジャケット5にその下部で設けられた液体入口52を通してジャケット5に送達される。この液体は、例えば液体酸素である。ジャケットの上部にあるガス出口56が、容器3の高温壁と接触するジャケット5内の液体の蒸発によって生じる気相を放出することを可能にする。
【0075】
冷却液は、次いで、ジャケット5の底部に位置する出口54を通してジャケット5から排出され、決定システム2は、決定方法100の新たな実施の準備が整う。
【0076】
次に、本発明に係る決定方法100の変形形態が、本発明に係る決定方法200のステップを示す図5に関連して提示される。
【0077】
本発明に係る決定方法200は、容器3を充填するステップ210と、極低温液体を気化させるステップ220とを含み、これらは、それぞれ、上述した充填するステップ110及び気化させるステップ120と同一である。
【0078】
この変形形態では、残留極低温液体中の不純物の割合を決定する後続のステップ230中、残留極低温液体の体積のすべてが気化されるわけではなく、この体積の残留極低温液体のうち所定の体積の試料が採取され232、この試料は、全体的に気化され234、ガス分析器6に送達される236。このガス分析器は、決定ステップ130と同じ方法で、これから不純物の割合を決定する。
【0079】
この変形形態では、極低温液体の試料が別個の容器内で気化されるのと同時に、容器3を空にするステップ240を実施することが可能となる。この空にするステップ240中、容器3に残っている極低温液体は、例えば、気化され、容器3のガス出口36を通して排出される。
【0080】
次いで、容器3は、決定方法100の冷却ステップ150と同一である冷却ステップ250中に冷却される。冷却液がジャケット5から排出されると、決定システム2は、決定方法200の新たな実施の準備が整う。
【0081】
本発明は、酸素、窒素、又はアルゴンなどの、空気の分離から生じる極低温液体のコンテキストで説明されている。本発明が、例えば、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、ヘリウム、メタン、クリプトン、キセノン、ネオンといった任意の極低温液体に適用されることは言うまでもない。
【0082】
当然ながら、本発明は説明したばかりの例に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなしに、これらの例に多数の改良を行うことができる。特に、本願において想起された本発明の様々な実施形態の変形形態の特徴を、これらの変形形態が相互に適合しないものでないならば、本発明を実現するために組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)であって、前記少なくとも1つの不純物は、前記極低温液体よりも揮発性が低く、
・ 初期体積の前記極低温液体を受容することが可能な容器(3)と、
・ 前記不純物が濃縮されたある体積の残留極低温液体が得られるまで前記初期体積の極低温液体を気化させるための気化手段(84)と、ここで、前記気化手段は、前記容器(3)の下部に配設されており、前記極低温液体を気化させることが可能な加熱表面を備え、
・ 前記残留極低温液体中の不純物の割合を決定するための手段と、
を備え、
前記決定システム(2)は、前記気化手段(84)が、少なくとも1つの極低温液体吸入ダクト(42)と複数の極低温液体排出ダクト(44)とを備え、前記気化手段(84)が、少なくとも1つの前記吸入ダクト(42)と複数の前記排出ダクト(44)との間の熱サイフォン効果をもたらすことが可能であり、前記加熱表面が、前記排出ダクト(44)の内部表面を備えることを特徴とする、極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項2】
前記排出ダクト(44)は前記吸入ダクト(42)を取り囲んでいる、請求項1に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項3】
前記排出ダクト(44)は、前記吸入ダクト(42)よりも小さい直径を有する、請求項1又は2に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項4】
前記気化手段(84)は、円筒の全体形状の熱伝導性の本体(4)を備え、前記本体(4)の高さ(H)にわたって前記吸入ダクト(42)及び前記排出ダクト(44)が作られており、前記吸入ダクト(42)及び前記排出ダクト(44)は、前記容器(3)の底部を画定する前記本体(4)の面(46)に現れている、請求項1又は2に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項5】
前記本体(4)は、前記吸入ダクト(42)と前記排出ダクト(44)との間に配設された断熱ライニング(47)を備える、請求項4に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項6】
前記気化手段は、前記排出ダクト(44)に近接した前記本体(4)の凹部内に配設された少なくとも1つの電気ヒータを備える、請求項に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項7】
前記気化手段(84)は、加熱カートリッジの形態の複数の電気ヒータを備え、前記本体(4)は、前記排出ダクト(44)の周りに配設された複数の空間(41)であって、前記加熱カートリッジを収める複数の空間(41)を有し、複数の前記空間(41)は、前記容器(3)の前記底部を画定する前記本体(4)の前記面(46)には現れていない、請求項6に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項8】
複数の前記空間(41)は、前記本体(4)の高さ(H)の少なくとも一部にわたって、前記本体(4)の周囲の複数の凹部(45)によって分離されている、請求項7に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項9】
前記本体(4)は、前記容器(3)の底部を画定する前記面(46)の対向面(48)を有し、前記気化手段(84)は、前記対向面(48)に配設されたマニホールド(8)を備え、前記マニホールド(8)は、前記吸入ダクト(42)を前記排出ダクト(44)に流体接続する、請求項に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項10】
ジャケット(5)が、前記気化手段(84)を取り囲んでおり、前記ジャケット(5)は、前記気化手段(84)と接触する冷却液を収容するように構成されている、請求項1又は2に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項11】
前記対向面(48)は、前記ジャケット(5)から現れており、前記吸入ダクト(42)及び前記排出ダクト(44)は、前記容器(3)の底部を画定する前記面(46)から前記ジャケット(5)を通って延在する、請求項9に従属する請求項10に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項12】
前記対向面(48)は、前記空間(41)に前記加熱カートリッジを挿入するための開口部を有する、請求項に従属する請求項11に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
【請求項13】
極低温蒸留によって空気からガスを分離するためのシステムであって、請求項1又は2に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の含有率を決定するための決定システム(2)と、前記分離するためのシステム内を循環する流体の試料を採取するための手段と、試料採取された前記流体が気体である場合に前記流体を液化するための手段と、試料採取され、場合により液化された前記流体を、その不純物の割合を決定するように前記容器(3)に送達するための手段と、を備える、システム。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)を使用して、極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)であって、前記少なくとも1つの不純物は、前記極低温液体よりも揮発性が低く、前記決定方法は、
・ 充填するステップ(110、210)中に前記極低温液体が気化することを防止する充填温度及び充填圧力に保たれた前記初期体積の極低温液体で前記容器(3)を充填するステップ(110、210)と、
・ 気化させるステップ(120、220)中に前記極低温液体を前記極低温液体の圧力で気化温度にする前記気化手段によって、前記ある体積の残留極低温液体が得られるまで、前記極低温液体を気化させるステップ(120、220)と、ここで、前記圧力は、前記充填圧力以下であり、前記気化によって生じたガスは、前記容器(3)から排出され、
・ 前記残留極低温液体中の前記不純物の割合を決定するステップ(130、230)と、
を備える、極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)。
【請求項15】
前記気化させるステップ(120、220)中の前記容器(3)内の圧力は、0.2バール~0.3バールの範囲の値、好ましくは0.2バールに等しい値にされる、請求項14に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)。
【請求項16】
前記不純物の割合を決定するステップ(230、130)は、前記残留極低温液体の試料を採取すること(232)と、次いで、ガスをもたらすように、試料採取された前記残留極低温液体を気化させること(234)、又は、ガスをもたらすように前記残留極低温液体のすべてを気化させること(132)と、次いで、試料採取された前記残留極低温液体若しくはすべての前記残留極低温液体の気化によって得られた前記ガスをガス分析器に送達すること(236、134)と、を備える、請求項14に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)。
【請求項17】
前記容器(3)を空にするステップ(240、140)と、それに続く、前記極低温液体の前記充填温度以下の温度の液体を前記決定システム(2)の前記ジャケット(5)に導入することによって前記容器(3)を冷却するステップ(250、150)と、を備える、請求項10に記載の決定システム(2)を使用して、請求項16に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
当然ながら、本発明は説明したばかりの例に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなしに、これらの例に多数の改良を行うことができる。特に、本願において想起された本発明の様々な実施形態の変形形態の特徴を、これらの変形形態が相互に適合しないものでないならば、本発明を実現するために組み合わせることができる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)であって、前記少なくとも1つの不純物は、前記極低温液体よりも揮発性が低く、
・ 初期体積の前記極低温液体を受容することが可能な容器(3)と、
・ 前記不純物が濃縮されたある体積の残留極低温液体が得られるまで前記初期体積の極低温液体を気化させるための気化手段(84)と、ここで、前記気化手段は、前記容器(3)の下部に配設されており、前記極低温液体を気化させることが可能な加熱表面を備え、
・ 前記残留極低温液体中の不純物の割合を決定するための手段と、
を備え、
前記決定システム(2)は、前記気化手段(84)が、少なくとも1つの極低温液体吸入ダクト(42)と複数の極低温液体排出ダクト(44)とを備え、前記気化手段(84)が、少なくとも1つの前記吸入ダクト(42)と複数の前記排出ダクト(44)との間の熱サイフォン効果をもたらすことが可能であり、前記加熱表面が、前記排出ダクト(44)の内部表面を備えることを特徴とする、極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
[2] 前記排出ダクト(44)は前記吸入ダクト(42)を取り囲んでいる、[1]に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
[3] 前記排出ダクト(44)は、前記吸入ダクト(42)よりも小さい直径を有する、[1]又は[2]に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
[4] 前記気化手段(84)は、円筒の全体形状の熱伝導性の本体(4)を備え、前記本体(4)の高さ(H)にわたって前記吸入ダクト(42)及び前記排出ダクト(44)が作られており、前記吸入ダクト(42)及び前記排出ダクト(44)は、前記容器(3)の底部を画定する前記本体(4)の面(46)に現れている、[1]~[3]のいずれか一項に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
[5] 前記本体(4)は、前記吸入ダクト(42)と前記排出ダクト(44)との間に配設された断熱ライニング(47)を備える、[4]に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
[6] 前記気化手段は、前記排出ダクト(44)に近接した前記本体(4)の凹部内に配設された少なくとも1つの電気ヒータを備える、[4]又は[5]に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
[7] 前記気化手段(84)は、加熱カートリッジの形態の複数の電気ヒータを備え、前記本体(4)は、前記排出ダクト(44)の周りに配設された複数の空間(41)であって、前記加熱カートリッジを収める複数の空間(41)を有し、複数の前記空間(41)は、前記容器(3)の前記底部を画定する前記本体(4)の前記面(46)には現れていない、[6]に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
[8] 複数の前記空間(41)は、前記本体(4)の高さ(H)の少なくとも一部にわたって、前記本体(4)の周囲の複数の凹部(45)によって分離されている、[7]に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
[9] 前記本体(4)は、前記容器(3)の底部を画定する前記面(46)の対向面(48)を有し、前記気化手段(84)は、前記対向面(48)に配設されたマニホールド(8)を備え、前記マニホールド(8)は、前記吸入ダクト(42)を前記排出ダクト(44)に流体接続する、[4]~[8]のいずれか一項に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
[10] ジャケット(5)が、前記気化手段(84)を取り囲んでおり、前記ジャケット(5)は、前記気化手段(84)と接触する冷却液を収容するように構成されている、[1]~[9]のいずれか一項に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
[11] 前記対向面(48)は、前記ジャケット(5)から現れており、前記吸入ダクト(42)及び前記排出ダクト(44)は、前記容器(3)の底部を画定する前記面(46)から前記ジャケット(5)を通って延在する、[9]に従属する[10]に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
[12] 前記対向面(48)は、前記空間(41)に前記加熱カートリッジを挿入するための開口部を有する、[7]又は[8]に従属する[11]に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)。
[13] 極低温蒸留によって空気からガスを分離するためのシステムであって、[1]~[12]のいずれか一項に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の含有率を決定するための決定システム(2)と、前記分離するためのシステム内を循環する流体の試料を採取するための手段と、試料採取された前記流体が気体である場合に前記流体を液化するための手段と、試料採取され、場合により液化された前記流体を、その不純物の割合を決定するように前記容器(3)に送達するための手段と、を備える、システム。
[14] [1]~[12]のいずれか一項に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定システム(2)を使用して、極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)であって、前記少なくとも1つの不純物は、前記極低温液体よりも揮発性が低く、前記決定方法は、
・ 充填するステップ(110、210)中に前記極低温液体が気化することを防止する充填温度及び充填圧力に保たれた前記初期体積の極低温液体で前記容器(3)を充填するステップ(110、210)と、
・ 気化させるステップ(120、220)中に前記極低温液体を前記極低温液体の圧力で気化温度にする前記気化手段によって、前記ある体積の残留極低温液体が得られるまで、前記極低温液体を気化させるステップ(120、220)と、ここで、前記圧力は、前記充填圧力以下であり、前記気化によって生じたガスは、前記容器(3)から排出され、
・ 前記残留極低温液体中の前記不純物の割合を決定するステップ(130、230)と、
を備える、極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)。
[15] 前記気化させるステップ(120、220)中の前記容器(3)内の圧力は、0.2バール~0.3バールの範囲の値、好ましくは0.2バールに等しい値にされる、[14]に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)。
[16] 前記不純物の割合を決定するステップ(230、130)は、前記残留極低温液体の試料を採取すること(232)と、次いで、ガスをもたらすように、試料採取された前記残留極低温液体を気化させること(234)、又は、ガスをもたらすように前記残留極低温液体のすべてを気化させること(132)と、次いで、試料採取された前記残留極低温液体若しくはすべての前記残留極低温液体の気化によって得られた前記ガスをガス分析器に送達すること(236、134)と、を備える、[14]又は[15]に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)。
[17] 前記容器(3)を空にするステップ(240、140)と、それに続く、前記極低温液体の前記充填温度以下の温度の液体を前記決定システム(2)の前記ジャケット(5)に導入することによって前記容器(3)を冷却するステップ(250、150)と、を備える、[10]~[12]のいずれか一項に記載の決定システム(2)を使用して、[16]に記載の極低温液体中に溶解した少なくとも1つの不純物の割合を決定するための決定方法(100、200)。
【外国語明細書】