IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロート製薬株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004896
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】眼科組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/10 20170101AFI20250108BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250108BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20250108BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20250108BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20250108BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20250108BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20250108BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
A61K47/10
A61P27/02
A61K9/08
A61K47/32
A61K47/44
A61K47/22
A61K47/20
A61K47/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104778
(22)【出願日】2023-06-27
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100135242
【弁理士】
【氏名又は名称】江守 英太
(72)【発明者】
【氏名】中田 温子
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD34
4C076DD37
4C076DD57
4C076DD59
4C076DD60
4C076EE16
4C076EE23
4C076FF70
(57)【要約】
【課題】ソフトコンタクトレンズの弾性率を低減することのできる新たな眼科組成物を提供すること。
【解決手段】(A)レチノール及びその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、アズレンスルホン酸及びその塩、クロルフェニラミン及びその塩、並びにテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールと、を含有し、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを含有しない、眼科組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)レチノール及びその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、アズレンスルホン酸及びその塩、クロルフェニラミン及びその塩、並びにテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールと、を含有し、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを含有しない、眼科組成物。
【請求項2】
成分(B)が、プロピレンオキシドの平均重合度(PO)に対するエチレンオキシドの平均重合度(EO)の割合(EO/PO)が1.0~5.0であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含む、請求項1に記載の眼科組成物。
【請求項3】
成分(B)の含有量が眼科組成物の総量を基準として0.01~0.9w/v%である、請求項1に記載の眼科組成物。
【請求項4】
(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリオキシエチレンヒマシ油を更に含有する、請求項1に記載の眼科組成物。
【請求項5】
(D)ポリビニルピロリドンを更に含有する、請求項1に記載の眼科組成物。
【請求項6】
pHが5~9である、請求項1に記載の眼科組成物。
【請求項7】
ソフトコンタクトレンズ用である、請求項1に記載の眼科組成物。
【請求項8】
ベンザルコニウム及び/又はその塩を更に含有しない、請求項1に記載の眼科組成物。
【請求項9】
ソルビン酸及び/又はその塩を更に含有しない、請求項1に記載の眼科組成物。
【請求項10】
クロルヘキシジン、アレキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド、及びポリアミノプロピルビグアニド、並びにそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を更に含有しない、請求項1に記載の眼科組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトコンタクトレンズは水分を多く含んでおり、ハードコンタクトレンズに比べて柔らかく装用感が良好であることから、広く使用されている。ここで、ソフトコンタクトレンズに使用するための製剤として、例えば、亜鉛化合物と、クエン酸又はその塩を含有する眼科組成物が報告されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-155414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ソフトコンタクトレンズが眼科組成物に接触した際に、眼科組成物の組成によってはソフトコンタクトレンズの形状や物性が変化する場合があり、ソフトコンタクトレンズの弾性率を高めるような眼科組成物を用いると、ソフトコンタクトレンズ装用時及び/又は装着時にゴロゴロ感やゴワゴワ感、装用感の悪さ等による不快感が生じるという問題がある。そのため、ソフトコンタクトレンズの弾性率を低減することのできる眼科組成物の創出が望まれる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ソフトコンタクトレンズの弾性率を低減することのできる新たな眼科組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、レチノール及びその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、アズレンスルホン酸及びその塩、クロルフェニラミン及びその塩、並びにテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとを含有し、かつ、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを含有しない眼科組成物が、意外にもソフトコンタクトレンズの弾性率を低減させることができることを見出した。
【0007】
本発明は、例えば、以下の各発明を提供する。
[1](A)レチノール及びその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、アズレンスルホン酸及びその塩、クロルフェニラミン及びその塩、並びにテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールと、を含有し、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを含有しない、眼科組成物。
[2]成分(B)が、プロピレンオキシドの平均重合度(PO)に対するエチレンオキシドの平均重合度(EO)の割合(EO/PO)が1.0~5.0であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含む、[1]に記載の眼科組成物。
[3]成分(B)の含有量が眼科組成物の総量を基準として0.01~0.9w/v%である、[1]又は[2]に記載の眼科組成物。
[4](C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリオキシエチレンヒマシ油を更に含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の眼科組成物。
[5](D)ポリビニルピロリドンを更に含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の眼科組成物。
[6]pHが5~9である、[1]~[5]のいずれかに記載の眼科組成物。
[7]ソフトコンタクトレンズ用である、[1]~[6]のいずれかに記載の眼科組成物。
[8]ベンザルコニウム及び/又はその塩を更に含有しない、[1]~[7]のいずれかに記載の眼科組成物。
[9]ソルビン酸及び/又はその塩を更に含有しない、[1]~[8]のいずれかに記載の眼科組成物。
[10]クロルヘキシジン、アレキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド、及びポリアミノプロピルビグアニド、並びにそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を更に含有しない、[1]~[9]のいずれかに記載の眼科組成物。
[11](A)レチノール及びその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、アズレンスルホン酸及びその塩、クロルフェニラミン及びその塩、並びにテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールと、を含有し、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを含有しない、ソフトコンタクトレンズの弾性率低減剤。
[12](A)レチノール及びその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、アズレンスルホン酸及びその塩、クロルフェニラミン及びその塩、並びにテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールと、を含有し、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを含有しない、ソフトコンタクトレンズ装用時及び/又は装着時の不快感低減剤。
[13](A)レチノール及びその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、アズレンスルホン酸及びその塩、クロルフェニラミン及びその塩、並びにテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールと、を含有し、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを含有しない、ソフトコンタクトレンズの目への装着を容易にさせる剤。
[14](A)レチノール及びその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、アズレンスルホン酸及びその塩、クロルフェニラミン及びその塩、並びにテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールと、を含有し、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを含有しない、ソフトコンタクトレンズ装用時及び/又は装着時の目の疲れの低減剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レチノール及びその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、アズレンスルホン酸及びその塩、クロルフェニラミン及びその塩、並びにテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種を含有しながら、ソフトコンタクトレンズの弾性率を低減することのできる眼科組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書において、特に記載のない限り、含有量の単位「%」は「w/v%」を意味し、「g/100mL」と同義である。
【0010】
本実施形態に係る眼科組成物は、(A)レチノール及びその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、アズレンスルホン酸及びその塩、クロルフェニラミン及びその塩、並びにテルペノイドからなる群より選択される少なくとも1種(単に「(A)成分」とも表記する。)と、(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(単に「(B)成分」とも表記する。)と、を含有し、ジブチルヒドロキシトルエン(「BHT」とも表記する。別名:2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール)及びブチルヒドロキシアニソール(「BHA」とも表記する。別名:3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール)を含有しない。
【0011】
〔(A)成分〕
(A)成分は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0012】
本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分の含有量は特に限定されず、(A)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、(A)成分の総含有量が、0.00001~1w/v%であることが好ましく、0.00005~0.5w/v%であることがより好ましく、0.00008~0.3w/v%であることが更に好ましく、0.0001~0.2w/v%であることが特に好ましく、0.0005~0.15w/v%であることが特により好ましい。
【0013】
〔(A)成分:レチノール及びその誘導体〕
レチノール及びその誘導体は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。レチノールの誘導体としては、例えば、レチノールパルミチン酸エステル(別名:パルミチン酸レチノール)、酢酸レチノール、レチナール、レチノイン酸等が挙げられる。
【0014】
レチノール及びその誘導体としては、本発明による効果をより一層高める観点から、レチノールパルミチン酸エステルが好ましい。
【0015】
レチノール又はその誘導体は、市販されているものを使用してもよい。レチノール及びその誘導体は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
本実施形態に係る眼科組成物におけるレチノール及びその誘導体の含有量は特に限定されず、レチノール及びその誘導体の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。レチノール及びその誘導体の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、レチノール及びその誘導体の総含有量が、0.0005~0.06w/v%であることが好ましく、0.001~0.055w/v%であることがより好ましく、0.002~0.05w/v%であることが更に好ましく、0.003~0.045w/v%であることが更により好ましく、0.004~0.04w/v%であることが特に好ましく、0.005~0.03w/v%であることが特により好ましい。また、レチノール及びその誘導体の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、レチノール及びその誘導体の総含有量が、1000~100000IU/100mlであることが好ましく、3000~80000IU/100mlであることがより好ましく、5000~70000IU/100mlであることが更に好ましく、8000~60000IU/100mlであることが特に好ましく、10000~55000IU/100mlであることが特により好ましい。なお、「IU」とは、第十七改正日本薬局方ビタミンA定量法等に記載の手法により求められる国際単位を意味する。例えば、第十七改正日本薬局方の医薬品各条において、酢酸レチノールの場合、1gにつきビタミンA250万単位以上を含むこと、レチノールパルミチン酸エステルの場合、1gにつきビタミンA150万単位以上を含むことが記載されている。
【0017】
〔(A)成分:トコフェロール及びその誘導体〕
トコフェロール及びその誘導体は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。トコフェロールの誘導体としては、例えば、トコフェロール酢酸エステル(別名:酢酸トコフェロール)、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール等が挙げられる。
【0018】
トコフェロール及びその誘導体としては、本発明による効果をより一層高める観点から、トコフェロール酢酸エステルが好ましい。
【0019】
トコフェロール及びその誘導体は、市販されているものを使用してもよい。トコフェロール及びその誘導体は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
本実施形態に係る眼科組成物におけるトコフェロール及びその誘導体の含有量は特に限定されず、トコフェロール及びその誘導体の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。トコフェロール及びその誘導体の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、トコフェロール及びその誘導体の総含有量が、0.001~0.5w/v%であることが好ましく、0.003~0.3w/v%であることがより好ましく、0.005~0.1w/v%であることが更に好ましく、0.008~0.08w/v%であることが特に好ましく、0.01~0.05w/v%であることが特により好ましい。
【0021】
〔(A)成分:アズレンスルホン酸及びその塩〕
アズレンスルホン酸及びその塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。アズレンスルホン酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0022】
アズレンスルホン酸及びその塩としては、本発明による効果をより一層高める観点から、アズレンスルホン酸のアルカリ金属塩が好ましく、アズレンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0023】
アズレンスルホン酸及びその塩は、市販されているものを使用してもよい。アズレンスルホン酸及びその塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
本実施形態に係る眼科組成物におけるアズレンスルホン酸及びその塩の含有量は特に限定されず、アズレンスルホン酸及びその塩の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。アズレンスルホン酸及びその塩の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、アズレンスルホン酸及びその塩の総含有量が、0.001~0.05w/v%であることが好ましく、0.002~0.04w/v%であることがより好ましく、0.003~0.03w/v%であることが更に好ましく、0.0035~0.025w/v%であることが特に好ましく、0.004~0.02w/v%であることが特により好ましい。
【0025】
〔(A)成分:クロルフェニラミン及びその塩〕
クロルフェニラミン及びその塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。クロルフェニラミンの塩としては、例えば、クロルフェニラミンマレイン酸塩等が挙げられる。
【0026】
クロルフェニラミン及びその塩としては、本発明による効果をより一層高める観点から、クロルフェニラミンマレイン酸塩が好ましい。
【0027】
クロルフェニラミン及びその塩は、市販されているものを使用してもよい。クロルフェニラミン及びその塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
本実施形態に係る眼科組成物におけるクロルフェニラミン及びその塩の含有量は特に限定されず、クロルフェニラミン及びその塩の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。クロルフェニラミン及びその塩の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、クロルフェニラミン及びその塩の総含有量が、0.001~0.05w/v%であることが好ましく、0.003~0.045w/v%であることがより好ましく、0.004~0.04w/v%であることが更に好ましく、0.005~0.035w/v%であることが特に好ましく、0.006~0.03w/v%であることが特により好ましい。
【0029】
〔(A)成分:テルペノイド〕
テルペノイドは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。テルペノイドとしては、例えば、メントール、メントン、カンフル(「ショウノウ」又は「樟脳」ともいう。)、ボルネオール(「リュウノウ」又は「竜脳」ともいう。)、ゲラニオール、ネロール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール及び酢酸リナリルが挙げられる。テルペノイドはd体、l体及びdl体のいずれであってもよく、l-メントール、d-メントール、dl-メントール、dl-カンフル、d-カンフル、dl-ボルネオール及びd-ボルネオールが挙げられる。ただし、ゲラニオール、ネロール及びシネオール等のようにテルペノイドによっては光学異性体が存在しない場合がある。
【0030】
また、テルペノイドとして、テルペノイドを含有する精油を使用してもよい。このような精油としては、例えば、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ローズ油、ケイヒ油、スペアミント油、樟脳油、クールミント及びハッカ油が挙げられる。
【0031】
テルペノイドとしては、本発明による効果をより一層高める観点から、メントール、ペパーミント油、クールミント、ハッカ油が好ましく、メントールがより好ましく、l-メントールが更に好ましい。
【0032】
テルペノイドは、市販されているものを使用してもよい。テルペノイドは、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
本実施形態に係る眼科組成物におけるテルペノイドの含有量は特に限定されず、テルペノイドの種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。テルペノイドの含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、テルペノイドの総含有量が、0.0001~0.5w/v%であることが好ましく、0.0005~0.4w/v%であることがより好ましく、0.0008~0.3w/v%であることが更に好ましく、0.001~0.2w/v%であることが特に好ましく、0.005~0.1w/v%であることが特により好ましい。
【0034】
〔(B)成分:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール〕
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
【0035】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、例えば、POE(196)POP(67)グリコール(ポロキサマー407、プルロニックF-127)、POE(200)POP(70)グリコール、POE(120)POP(40)グリコール(プルロニックF-87)、POE(160)POP(30)グリコール(プルロニックF-68、ポロキサマー188)、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール(プルロニックP-85、ポロキサマー235)、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(プルロニックL-44、ポロキサマー124)、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(プルロニックP123、ポロキサマー403)等が挙げられる。
【0036】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、本発明による効果をより一層高める観点から、プロピレンオキシドの平均重合度(PO)に対するエチレンオキシドの平均重合度(EO)の割合(EO/PO)が1.0~5.0であるものが好ましく、1.5~4.5であるものがより好ましく、2.0~4.0であるものが更に好ましく、2.5~3.5であることが特に好ましく、2.8~3.0であることが特により好ましい。
【0037】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、本発明による効果をより一層高める観点から、POE(196)POP(67)グリコール(ポロキサマー407、プルロニックF-127)、POE(200)POP(70)グリコール、POE(120)POP(40)グリコール(プルロニックF-87)、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール(プルロニックP-85、ポロキサマー235)、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(プルロニックL-44、ポロキサマー124)が好ましく、POE(196)POP(67)グリコール(ポロキサマー407、プルロニックF-127)がより好ましい。
【0038】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、市販されているものを使用してもよい。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0039】
本実施形態に係る眼科組成物におけるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの含有量は特に限定されず、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。
【0040】
本実施形態に係る眼科組成物におけるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの総含有量が、0.001~3w/v%であることが好ましく、0.005~2w/v%であることがより好ましく、0.008~1w/v%であることが更に好ましく、0.01~0.9w/v%であることが特に好ましく、0.01~0.5w/v%であることが特により好ましい。
【0041】
(A)成分がレチノール及びその誘導体である場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1万IUに対して、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの総含有量が、0.0001~30gであることが好ましく、0.0006~6.7gであることがより好ましく、0.0011~2gであることが更に好ましく、0.0016~1.125gであることが特に好ましく、0.0018~0.5gであることが特により好ましい。
【0042】
(A)成分がトコフェロール及びその誘導体である場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの総含有量が、0.002~3000質量部であることが好ましく、0.016~667質量部であることがより好ましく、0.08~200質量部であることが更に好ましく、0.12~113質量部であることが特に好ましく、0.2~50質量部であることが特により好ましい。
【0043】
(A)成分がアズレンスルホン酸及びその塩である場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの総含有量が、0.02~3000質量部であることが好ましく、0.12~1000質量部であることがより好ましく、0.26~334質量部であることが更に好ましく、0.4~258質量部であることが特に好ましく、0.5~125質量部であることが特により好ましい。
【0044】
(A)成分がクロルフェニラミン及びその塩である場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの総含有量が、0.02~3000質量部であることが好ましく、0.1~667質量部であることがより好ましく、0.2~250質量部であることが更に好ましく、0.28~180質量部であることが特に好ましく、0.3~84質量部であることが特により好ましい。
【0045】
(A)成分がテルペノイドである場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの総含有量が、0.002~30000質量部であることが好ましく、0.012~4000質量部であることがより好ましく、0.026~1250質量部であることが更に好ましく、0.05~900質量部であることが特に好ましく、0.1~100質量部であることが特により好ましい。
【0046】
〔(C)成分:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリオキシエチレンヒマシ油〕
本実施形態に係る眼科組成物は、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリオキシエチレンヒマシ油(単に「(C)成分」とも表記する。)をさらに含有することが好ましい。眼科組成物が(C)成分を含有することで、本発明による効果がより顕著に奏される。
【0047】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、例えば、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5)、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10)、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20)、ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30)、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40)、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80)、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100)等が挙げられる。ポリオキシエチレンヒマシ油としては、例えば、ポリオキシエチレン(3)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油3)、ポリオキシエチレン(10)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油10)、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油35)、ポリオキシエチレン(70)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油70)等が挙げられる。
【0048】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、本発明による効果をより一層高める観点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60が好ましい。ポリオキシエチレンヒマシ油としては、本発明による効果をより一層高める観点から、ポリオキシエチレンヒマシ油10が好ましい。
【0049】
(C)成分は、市販されているものを使用してもよい。(C)成分は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明による効果をより一層高める観点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンヒマシ油を組み合わせて用いることが好ましく、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60及びポリオキシエチレンヒマシ油10を組み合わせて用いることがより好ましい。
【0050】
本実施形態に係る眼科組成物における(C)成分の含有量は特に限定されず、(C)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。(C)成分の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、(C)成分の総含有量が、0.0001~10w/v%であることが好ましく、0.0008~8w/v%であることがより好ましく、0.001~5w/v%であることが更に好ましく、0.005~3w/v%であることが特に好ましく、0.01~1w/v%であることが特により好ましい。
【0051】
(A)成分がレチノール及びその誘導体である場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対する(C)成分の含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1万IUに対して、(C)成分の総含有量が、0.001~5gであることが好ましく、0.005~3gであることがより好ましく、0.008~2gであることが更に好ましく、0.01~1gであることが特に好ましく、0.03~0.5gであることが特により好ましい。
【0052】
(A)成分がトコフェロール及びその誘導体である場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対する(C)成分の含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(C)成分の総含有量が、0.001~50質量部であることが好ましく、0.005~30質量部であることがより好ましく、0.01~20量部であることが更に好ましく、0.05~10質量部であることが特に好ましく、0.1~5質量部であることが特により好ましい。
【0053】
(A)成分がアズレンスルホン酸及びその塩である場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対する(C)成分の含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(C)成分の総含有量が、0.001~50質量部であることが好ましく、0.005~40質量部であることがより好ましく、0.01~30質量部であることが更に好ましく、0.05~20質量部であることが特に好ましく、0.1~15質量部であることが特により好ましい。
【0054】
(A)成分がクロルフェニラミン及びその塩である場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対する(C)成分の含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(C)成分の総含有量が、0.001~50質量部であることが好ましく、0.005~40質量部であることがより好ましく、0.01~30質量部であることが更に好ましく、0.05~20質量部であることが特に好ましく、0.1~10質量部であることが特により好ましい。
【0055】
(A)成分がテルペノイドである場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対する(C)成分の含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(C)成分の総含有量が、0.001~50質量部であることが好ましく、0.008~40質量部であることがより好ましく、0.01~35質量部であることが更に好ましく、0.05~30質量部であることが特に好ましく、0.1~25質量部であることが特により好ましい。
【0056】
〔(D)成分:ポリビニルピロリドン〕
本実施形態に係る眼科組成物は、(D)ポリビニルピロリドン(単に「(D)成分」とも表記する。)をさらに含有することが好ましい。眼科組成物が(D)成分を含有することで、本発明による効果がより顕著に奏される。ポリビニルピロリドンは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
【0057】
ポリビニルピロリドンのK値は、特に限定されるものではないが、本発明の効果を顕著に奏することができる観点から、10~200が好ましく、30~150がより好ましく、60~120がさらに好ましい。また、その中でも、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK60、ポリビニルピロリドンK90が好ましく、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90がより好ましく、ポリビニルピロリドンK90がさらに好ましい。なお、ポリビニルピロリドンのK値(粘性特性値)は、第十七改正日本薬局方「ポビドン」に記載の方法に準じて算出される。K値は、表示K値の90~108%であることから、例えば、「K90」とは、K値(粘性特性値)が81.0~97.2の範囲にあるものをいう。
【0058】
本実施形態に係る眼科組成物におけるポリビニルピロリドンの含有量は特に限定されず、ポリビニルピロリドンの種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。ポリビニルピロリドンの含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、ポリビニルピロリドンの総含有量が、0.0001~10w/v%であることが好ましく、0.005~8w/v%であることがより好ましく、0.001~5w/v%であることが更に好ましく、0.005~4w/v%であることが特に好ましく、0.01~3w/v%であることが特により好ましい。
【0059】
(A)成分がレチノール及びその誘導体である場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対する(D)成分の含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1万IUに対して、(D)成分の総含有量が、0.0001~10gであることが好ましく、0.005~8gであることがより好ましく、0.001~5gであることが更に好ましく、0.003~4gであることが特に好ましく、0.005~3gであることが特により好ましい。
【0060】
(A)成分がトコフェロール及びその誘導体である場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対する(D)成分の含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(D)成分の総含有量が、0.002~200質量部であることが好ましく、0.001~100質量部であることがより好ましく、0.05~80質量部であることが更に好ましく、0.1~70質量部であることが特に好ましく、0.2~60質量部であることが特により好ましい。
【0061】
(A)成分がアズレンスルホン酸及びその塩である場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対する(D)成分の含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(D)成分の総含有量が、0.002~200質量部であることが好ましく、0.001~100質量部であることがより好ましく、0.05~80質量部であることが更に好ましく、0.1~70質量部であることが特に好ましく、0.2~60質量部であることが特により好ましい。
【0062】
(A)成分がクロルフェニラミン及びその塩である場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対する(D)成分の含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(D)成分の総含有量が、0.003~350質量部であることが好ましく、0.005~300質量部であることがより好ましく、0.01~200質量部であることが更に好ましく、0.05~150質量部であることが特に好ましく、0.1~100質量部であることが特により好ましい。
【0063】
(A)成分がテルペノイドである場合、本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分に対する(D)成分の含有比率としては、特に制限されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(D)成分の総含有量が、0.1~10000質量部であることが好ましく、0.3~8000質量部であることがより好ましく、0.5~6000質量部であることが更に好ましく、0.8~7000質量部であることが特に好ましく、1~3000質量部であることが特により好ましい。
【0064】
〔無機塩類〕
本実施形態に係る眼科組成物は、無機塩類を更に含有することが好ましい。眼科組成物が無機塩類を更に含有することで、本発明による効果がより顕著に奏される。無機塩類は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
【0065】
無機塩類としては、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の金属の塩化物;塩化アンモニウム;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム等の金属の硫酸塩;亜硫酸水素ナトリウム;亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0066】
無機塩類としては、本発明による効果をより一層高める観点から、金属の塩化物が好ましく、塩化ナトリウムがより好ましい。
【0067】
無機塩類は、市販されているものを使用してもよい。無機塩類は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0068】
本実施形態に係る眼科組成物における無機塩類の含有量は特に限定されず、無機塩類の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。無機塩類の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、無機塩類の総含有量が、0.0001~10w/v%であることが好ましく、0.001~5w/v%であることがより好ましく、0.01~1w/v%であることが更に好ましい。
【0069】
〔緩衝剤〕
本実施形態に係る眼科組成物は、緩衝剤をさらに含有することが好ましい。眼科組成物が緩衝剤を更に含有することで、本発明による効果がより顕著に奏される。緩衝剤は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
【0070】
緩衝剤としては、例えば、無機酸由来の緩衝剤である無機緩衝剤、及び有機酸又は有機塩基由来の緩衝剤である有機緩衝剤等が挙げられる。
【0071】
無機緩衝剤としては、例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤等が挙げられる。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸又はその塩(ホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩等)等が挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸又はその塩(リン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等)等が挙げられる。炭酸緩衝剤としては、炭酸又はその塩(炭酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ土類金属塩等)等が挙げられる。また、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤又は炭酸緩衝剤として、ホウ酸塩、リン酸塩又は炭酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、ホウ酸緩衝剤として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等);リン酸緩衝剤として、リン酸又はその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等);炭酸緩衝剤として、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム等)等が挙げられる。
【0072】
有機緩衝剤としては、例えば、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、トリス緩衝剤、AMPD緩衝剤等が挙げられる。クエン酸緩衝剤としては、クエン酸又はその塩(クエン酸アルカリ金属塩、クエン酸アルカリ土類金属塩等)等が挙げられる。酢酸緩衝剤としては、酢酸又はその塩(酢酸アルカリ金属塩、酢酸アルカリ土類金属塩等)等が挙げられる。乳酸緩衝剤としては、乳酸又はその塩(乳酸アルカリ金属塩、乳酸アルカリ土類金属塩等)等が挙げられる。コハク酸緩衝剤としては、コハク酸又はその塩(コハク酸アルカリ金属塩等)等が挙げられる。また、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、乳酸緩衝剤又はコハク酸緩衝剤として、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩又はコハク酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、クエン酸緩衝剤として、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等);酢酸緩衝剤として、酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等);乳酸緩衝剤として、乳酸又はその塩(乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム等);コハク酸緩衝剤としてコハク酸又はその塩(コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム等)などが例示できる。トリス緩衝剤としては、例えば、トロメタモール又はその塩(トロメタモール塩酸塩等)等が挙げられる。AMPD緩衝剤としては、例えば、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール又はその塩等が挙げられる。
【0073】
緩衝剤としては、本発明による効果をより一層高める観点から、無機緩衝剤が好ましく、ホウ酸緩衝剤(例えば、ホウ酸及びホウ砂の組み合わせ等)がより好ましく、ホウ酸及びホウ砂の組み合わせがさらに好ましい。
【0074】
緩衝剤は、市販されているものを使用してもよい。緩衝剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0075】
本実施形態に係る眼科組成物における緩衝剤の含有量は特に限定されず、緩衝剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。緩衝剤の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、緩衝剤の総含有量が、0.01~10w/v%であることが好ましく、0.05~5w/v%であることがより好ましく、0.1~3w/v%であることが更に好ましい。
【0076】
本実施形態に係る眼科組成物のpHは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されるものではない。本実施形態に係る眼科組成物のpHとしては、例えば、5~9であることが好ましく、5.5~8.5であることがより好ましく、6~8であることがさらに好ましい。
【0077】
本実施形態に係る眼科組成物は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は、眼科組成物の製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定され得るが、例えば、0.4~2.0とすることができ、0.6~1.8とすることが好ましく、0.8~1.6とすることがより好ましい。浸透圧比は、第十七改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(凝固点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500~650℃で40~50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いることができる。
【0078】
本実施形態に係る眼科組成物の粘度は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば、特に限定されるものではない。本実施形態に係る眼科組成物の粘度としては、例えば、回転粘度計(TV-20型粘度計、東機産業社製、ローター;1°34’×R24)で測定した20℃における粘度が1~100mPa・sであることが好ましく、1~20mPa・sであることがより好ましく、1~10mPa・sであることが更に好ましい。
【0079】
本実施形態に係る眼科組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記成分の他に種々の薬理活性成分及び生理活性成分から選択される成分を組み合わせて適当量含有していてもよい。当該成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造販売承認基準2017年版(一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会 監修)に記載された眼科用薬における有効成分が例示できる。眼科用薬において用いられる成分として、具体的には、例えば、次のような成分等が挙げられる。
抗アレルギー剤:例えば、クロモグリク酸又はその塩(例えば、クロモグリク酸ナトリウム)、トラニラスト、ペミロラストカリウム、アシタザノラスト、アンレキサノクス、イブジラスト等。
クロルフェニラミン及びその塩以外の抗ヒスタミン剤:例えば、ジフェンヒドラミン又はその塩(例えば、塩酸ジフェンヒドラミン)、イプロヘプチン又はその塩(例えば、塩酸イプロヘプチン)、レボカバスチン又はその塩(例えば、塩酸レボカバスチン)、ケトチフェン又はその塩(例えば、フマル酸ケトチフェン)、ペミロラストカリウム、オロパタジン又はその塩(例えば、オロパタジン塩酸塩)、エピナスチン又はその塩(例えば、エピナスチン塩酸塩)等。
ステロイド剤:例えば、プロピオン酸フルチカゾン、フランカルボン酸フルチカゾン、フランカルボン酸モメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド等。
充血除去剤:例えば、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸フェニレフリン、dl-塩酸メチルエフェドリン等。
眼筋調節薬剤:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはネオスチグミンメチル硫酸塩、トロピカミド、ヘレニエン、硫酸アトロピン、塩酸ピロカルピン等。
アズレンスルホン酸及びその塩以外の消炎剤:例えば、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アラントイン、トラネキサム酸、リゾチーム、塩化リゾチーム、インドメタシン、プラノプロフェン、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ケトプロフェン、フェルビナク、ベンダザック、ピロキシカム、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、イプシロン-アミノカプロン酸、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、グリチルリチン酸又はその塩(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム)、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛等。
レチノール及びその誘導体、並びにトコフェロール及びその誘導体以外のビタミン類:例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、パントテン酸カルシウム、シアノコバラミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム等。
アミノ酸類:例えば、L-アルギニン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、リジン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ吉草酸、トリメチルグリシン、タウリン、アスパラギン酸及びそれらの塩等。
収斂剤:例えば、亜鉛華等。
その他:例えば、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルフイソミジン及びそれらの塩等。
【0080】
本実施形態に係る眼科組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その製剤形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。このような添加物として、例えば、医薬品添加物事典2021(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物等が挙げられる。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性溶媒。
キレート剤:例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA,エデト酸)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等。
基剤:例えば、オクチルドデカノール、酸化チタン、臭化カリウム、プラスチベース等。
pH調節剤:例えば、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、並びにポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンヒマシ油以外の界面活性剤:例えば、チロキサポール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ステアリン酸ポリオキシル等の非イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、N-アシルタウリン塩等の陰イオン界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性イオン界面活性剤等。
増粘剤:例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子化合物;グアーガム;ヒドロキシプロピルグアーガム;アラビアゴム;カラヤガム;キサンタンガム;寒天;アルギン酸及びその塩(ナトリウム塩等);ヘパリン類似物質、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリノイド、ヒアルロン酸及びその塩(ナトリウム塩等)、コンドロイチン硫酸及びその塩(ナトリウム塩等)等のムコ多糖類;デンプン;キチン及びその誘導体;キトサン及びその誘導体;カラギーナン;ブドウ糖等の単糖類等。
ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール以外の安定化剤:例えば、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、シクロデキストリン、モノエタノールアミン、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ヨウ化カリウム等。
防腐剤:例えば、アルキルポリアミノエチルグリシン類、塩化ベンゼトニウム、塩化ポリドロニウム、安息香酸ナトリウム、エタノール、クロロブタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、グローキル(ローディア社製 商品名)等。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン等。
グリコール類:例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール等。
油類:例えば、ゴマ油、ヒマシ油、ダイズ油、オリーブ油等の植物油;スクワラン等の動物油;流動パラフィン、ワセリン等の鉱物油等。
【0081】
本実施形態に係る眼科組成物は、本発明による効果をより一層高める観点から、ベンザルコニウム及び/又はその塩を含有しないことが好ましい。ベンザルコニウムの塩としては、例えば、ベンザルコニウム塩化物等が挙げられる。
【0082】
本実施形態に係る眼科組成物は、本発明による効果をより一層高める観点から、ソルビン酸及び/又はその塩を含有しないことが好ましい。ソルビン酸の塩としては、例えば、ソルビン酸カリウム等が挙げられる。
【0083】
本実施形態に係る眼科組成物は、本発明による効果をより一層高める観点から、クロルヘキシジン及びその塩(クロルヘキシジン塩酸塩、クロルヘキシジン酢酸塩、クロルヘキシジングルコン酸塩等)、アレキシジン及びその塩(アレキシジン二塩酸塩等)、ポリヘキサメチレンビグアニド及びその塩(ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩等)、並びにポリアミノプロピルビグアニド及びその塩(ポリアミノプロピルビグアニド塩酸塩等)からなる群より選択される少なくとも1種を含有しないことが好ましく、クロルヘキシジン及びその塩(クロルヘキシジン塩酸塩、クロルヘキシジン酢酸塩、クロルヘキシジングルコン酸塩等)、アレキシジン及びその塩(アレキシジン二塩酸塩等)、ポリヘキサメチレンビグアニド及びその塩(ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩等)、並びにポリアミノプロピルビグアニド及びその塩(ポリアミノプロピルビグアニド塩酸塩等)を含有しないことがより好ましい。
【0084】
本実施形態に係る眼科組成物が水を含有する場合、水の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、水の含有量が、80w/v%以上100w/v%未満であることが好ましく、85w/v%以上99.5w/v%以下であることがより好ましく、90w/v%以上99.2w/v%以下であることが更に好ましい。
【0085】
本実施形態に係る眼科組成物に使用される水は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであればよい。このような水として、例えば、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水、注射用蒸留水等を挙げることができる。それらの定義は第十七改正日本薬局方に基づく。
【0086】
本実施形態に係る眼科組成物は、所望量の(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて他の成分を所望の濃度となるように添加及び混和することにより調製することができる。例えば、精製水でそれらの成分を溶解又は分散させ、所定のpH及び浸透圧比に調整し、濾過滅菌等により滅菌処理することで調製できる。
【0087】
本実施形態に係る眼科組成物は、目的に応じて種々の製剤形態をとることができる。製剤形態として、例えば、液剤、ゲル剤、半固形剤(軟膏等)等が挙げられる。
【0088】
本実施形態に係る眼科組成物は、例えば、点眼剤(点眼液又は点眼薬ともいう。また、点眼剤には人工涙液、コンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む。)、洗眼剤(洗眼液又は洗眼薬ともいう。また、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む。)、コンタクトレンズ用組成物[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤)、コンタクトレンズ装着液及びコンタクトレンズ装用中の点眼剤の両方の用途に用いられる、コンタクトレンズ装着点眼液等]として用いることができる。なお、「コンタクトレンズ」は、ハードコンタクトレンズ、及びソフトコンタクトレンズ(イオン性及び非イオン性の双方を包含し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ及び非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの双方を包含する)を含む。本実施形態に係る眼科組成物の好適な一例として、点眼剤、洗眼剤、コンタクトレンズ用組成物が挙げられ、より好適な例として、コンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤、コンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズ装着点眼液が挙げられ、更に好適な例として、コンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤が挙げられる。また、本実施形態に係る眼科組成物の好適な別の一例として、ソフトコンタクトレンズ用眼科組成物(ソフトコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤、ソフトコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤、ソフトコンタクトレンズ装着液、ソフトコンタクトレンズ装着点眼液)が挙げられ、より好適な例として、ソフトコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤が挙げられる。
【0089】
ここで、ソフトコンタクトレンズの「イオン性」とは、薬生薬審発0330第6号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知,薬生機審発0330第4号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知「ソフトコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズ用消毒剤の製造(輸入)承認申請に際し添付すべき資料の取り扱い等について」(令和3年3月30日)に則り、原材料ポリマーの構成モノマーのうち陰イオンを有するモノマーのモル%が0.5%以上であるものをいう。
【0090】
薬生薬審発0330第6号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知,薬生機審発0330第4号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知「ソフトコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズ用消毒剤の製造(輸入)承認申請に際し添付すべき資料の取り扱い等について」(令和3年3月30日)において、グループ1に分類されるソフトコンタクトレンズは非イオン性で含水率が50%未満であり、グループ2に分類されるソフトコンタクトレンズは非イオン性で含水率が50%以上であり、グループ3に分類されるソフトコンタクトレンズはイオン性で含水率が50%未満であり、グループ4に分類されるソフトコンタクトレンズはイオン性で含水率が50%以上である。
【0091】
ソフトコンタクトレンズの「含水率」とは、ソフトコンタクトレンズ中の水の割合を示し、具体的には以下の計算式により求められる。
含水率(%)=(含水した水の重量/含水状態のソフトコンタクトレンズの重量)×100
かかる含水率はISO18369-4:2017の記載に従って、重量測定方法により測定され得る。
【0092】
本実施形態に係る眼科組成物は、本願発明の効果をより顕著に奏する観点から、ソフトコンタクトレンズに用いられることが好ましく、グループ2のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに用いられることがより好ましい。
【0093】
また、本実施形態に係る眼科組成物は、ソフトコンタクトレンズの装用感の悪化を低減できることから、ソフトコンタクトレンズは、2週間連続装用又は、コンベンショナルタイプが好ましく、2週間連続装用がより好ましい。
【0094】
本実施形態に係る眼科組成物は、本発明による効果をより顕著に発揮できることから、点眼剤(コンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む。)として用いることが好ましく、ソフトコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤に用いられることがより好ましく、グループ2のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤に用いられることが更に好ましい。本実施形態に係る眼科組成物が点眼剤である場合、その用法・用量としては、効果を奏し、副作用の少ない用法・用量であれば特に限定されないが、例えば成人(15歳以上)及び7歳以上の小児の場合、1回1~3滴、1~2滴、又は2~3滴を1日2~4回、又は5~6回点眼して用いる方法を例示でき、1回1~2滴又は1回1~3滴を1日4回又は1日5~6回点眼して用いる方法が好ましく、1回1~3滴、1日5~6回がより好ましい。
【0095】
また、本実施形態に係る眼科組成物が点眼剤である場合、人工涙液であってもよい。なお、当該人工涙液は、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤、充血除去剤、眼筋調節薬剤、消炎剤、ビタミン剤等の有効成分を含有しないことが好ましい。
【0096】
本実施形態に係る眼科組成物は、任意の容器に収容して提供される。本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器は、複数回の使用量が収容されるマルチドーズ型であってもよく、単回の使用量が収容されるユニットドーズ型であってもよい。
【0097】
本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器の材質については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。好ましくはプラスチック製である。プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリプロピレン、高密度ポリプロピレン、エチレン・プロピレンコポリマー、エチレン・酢酸ビニルコポリマー、ポリメチルペンテン、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー等のポリオレフィン;ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら2種以上を混合したもの等が挙げられる。本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器がマルチドーズ型の場合、プラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器がユニットドーズ型の場合、プラスチックとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら2種以上を混合したものが好ましい。また、プラスチックが環状オレフィンコポリマー及びポリエチレンを含有する場合、環状オレフィンコポリマーとポリエチレンポリエチレンの含有比率は、例えば、50:50~95:5、55:45~90:10、又は60:40~85:15であってもよい。また、本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器は、容器内部を視認できる透明容器であってもよく、容器内部の視認が困難な不透明容器であってもよい。好ましくは透明容器である。ここで、「透明容器」とは、無色透明容器及び有色透明容器の双方が含まれる。
【0098】
本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器には、ノズルが装着されてもよい。ノズルの材質については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。好ましくはプラスチック製である。プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリプロピレン、高密度ポリプロピレン、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー等のポリオレフィン;ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら2種以上を混合したもの等が挙げられる。ノズルの材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
【0099】
本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器の形状及び容量は特に限定されず、用途に応じて適宜設定すればよい。例えば、本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器がマルチドーズ型の容器であって、点眼剤、点眼して使用する洗眼剤、又はコンタクトレンズ装着液を収容する容器の場合、例えば、容量が1mL以上50mL以下であってよく、2mL以上40mL以下であることが好ましく、4mL以上25mL以下であることがより好ましい。また、本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器がユニットドーズ型の場合、例えば、容量が0.01mL以上1mL以下であってよく、0.05mL以上0.8mL以下であることが好ましく、0.1mL以上0.5mL以下であることがより好ましい。さらに、容器が、洗眼カップを使用する洗眼剤又はコンタクトレンズケア用液を収容する容器であれば、例えば、容量が40mL以上600mL以下であってよい。
【0100】
本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器は、包囲体に密封されてもよい。包囲体は特に制限されず、例えば、エージレスオーマック(三菱ガス化学社製)、オキシガード(東洋製罐社製)、オキシデック(東洋製罐社製)、オキシキャッチ(共同印刷社製)、ダイアミロン(三菱ケミカル社製)、ハイスターO2(スタープラスチック工業社製)、Cryovac(シールドエアー社製)等が挙げられる。
【0101】
本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器が包囲体に密封される場合、包囲体に脱酸素剤を同封してもよい。脱酸素剤は特に制限されず、例えば、エージレス(三菱ガス化学社製)、StabilOx(Multisorb社製)、ウェルパック(タイセイ社製)、エバーフレッシュ(鳥繁産業社製)、オキシーター(上野製薬社製)、キーピット(ドレンシー社製)、ケプロン(ケプロン社製)、サンソカット(アイリス・ファインプロダクツ社製)、サンソレス(博洋社製)、セキュール(ニッソー樹脂社製)、タモツ(大江化学工業社製)、バイタロン(常盤産業社製)、モデュラン(日本化薬フードテクノ社製)、ワンダーキープ(パウダーテック社製)、鮮度保持剤C(凸版印刷社製)をそのまま、又は適宜包装したもの等が挙げられる。
【0102】
(A)成分、及び(B)成分を含有し、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを含有しない眼科組成物はソフトコンタクトレンズの弾性率を顕著に低下させる作用を有している。したがって、本発明の一実施形態として、(A)成分、及び(B)成分を含有し、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを含有しない、ソフトコンタクトレンズの弾性率低減剤が提供される。また、本発明の一実施形態として、眼科組成物に(A)成分、及び(B)成分を配合すること、並びにジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを配合しないことを含む、前記眼科組成物にソフトコンタクトレンズの弾性率を低減させる作用を付与する方法が提供される。また、本発明の一実施形態として、眼科組成物に(A)成分、及び(B)成分を配合すること、並びにジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを配合しないことを含む、ソフトコンタクトレンズの弾性率を低減させる方法が提供される。なお、使用する(A)成分及び(B)成分の種類並びにそれらの配合量、含有比率、その他に配合する成分の種類及びその配合量、眼科組成物の製剤形態等については、上記本実施形態に係る眼科組成物と同様である。
【0103】
ここで、本実施形態における眼科組成物によるソフトコンタクトレンズの弾性率の低減割合(以下、「弾性率低下率」ともいう)は、以下の式で算出される。
[式]弾性率低下率(%)=((A)成分を含まないこと及び(B)成分の含有量以外は眼科組成物と組成が同一である組成物(比較組成物)に浸漬したソフトコンタクトレンズの弾性率(Pa)-眼科組成物に浸漬したソフトコンタクトレンズの弾性率(Pa))/比較組成物に浸漬したソフトコンタクトレンズの弾性率(Pa)×100
なお、当該弾性率低下率は特に限定されないが、10~50%であることが好ましい。
【0104】
ソフトコンタクトレンズの弾性率が低下すると、ソフトコンタクトレンズがふんわりとし、これによりソフトコンタクトレンズ装用時及び/又は装着時のゴロゴロ感やゴワゴワ感、装用感の悪さによる不快感を低減することができる。したがって、本発明の一実施形態として、(A)成分、及び(B)成分を含有し、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを含有しない、ソフトコンタクトレンズ装用時及び/又は装着時の不快感低減剤が提供される。また、本発明の一実施形態として、眼科組成物に(A)成分、及び(B)成分を配合すること、並びにジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを配合しないことを含む、前記眼科組成物にソフトコンタクトレンズ装用時及び/又は装着時の不快感を低減させる作用を付与する方法が提供される。また、本発明の一実施形態として、眼科組成物に(A)成分、及び(B)成分を配合すること、並びにジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを配合しないことを含む、ソフトコンタクトレンズ装用時及び/又は装着時の不快感を低減させる方法が提供される。なお、使用する(A)成分及び(B)成分の種類並びにそれらの配合量、含有比率、その他に配合する成分の種類及びその配合量、眼科組成物の製剤形態等については、上記本実施形態に係る眼科組成物と同様である。
【0105】
ソフトコンタクトレンズの弾性率が高いと装着時にゴロゴロ感や不快感を生じやすく、ソフトコンタクトレンズが目にフィットしにくいところ、ソフトコンタクトレンズの弾性率を低減することでソフトコンタクトレンズの目への装着が容易になる。したがって、本発明の一実施形態として、(A)成分、及び(B)成分を含有し、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを含有しない、ソフトコンタクトレンズの目への装着を容易にさせる剤が提供される。また、本発明の一実施形態として、眼科組成物に(A)成分、及び(B)成分を配合すること、並びにジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを配合しないことを含む、前記眼科組成物にソフトコンタクトレンズの目への装着を容易にさせる作用を付与する方法が提供される。また、本発明の一実施形態として、眼科組成物に(A)成分、及び(B)成分を配合すること、並びにジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを配合しないことを含む、ソフトコンタクトレンズの目への装着を容易にさせる方法が提供される。なお、使用する(A)成分及び(B)成分の種類並びにそれらの配合量、含有比率、その他に配合する成分の種類及びその配合量、眼科組成物の製剤形態等については、上記本実施形態に係る眼科組成物と同様である。
【0106】
ソフトコンタクトレンズの弾性率が高いと角結膜上に適切な状態でフィットしにくいため、ソフトコンタクトレンズによる刺激が生じたり、ソフトコンタクトレンズ装用による不快感や違和感が生じるため、目の疲れを感じやすくなる。ソフトコンタクトレンズの弾性率が低下すると装用時及び装着時の刺激が少なくなり、不快感や違和感が少なくなるため、目の疲れを感じにくい。したがって、本発明の一実施形態として、(A)成分、及び(B)成分を含有し、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを含有しない、ソフトコンタクトレンズ装用時及び/又は装着時の目の疲れの低減剤が提供される。また、本発明の一実施形態として、眼科組成物に(A)成分、及び(B)成分を配合すること、並びにジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを配合しないことを含む、前記眼科組成物にソフトコンタクトレンズ装用時及び/又は装着時の目の疲れを低減する作用を付与する方法が提供される。また、本発明の一実施形態として、眼科組成物に(A)成分、及び(B)成分を配合すること、並びにジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールを配合しないことを含む、ソフトコンタクトレンズ装用時及び/又は装着時の目の疲れを低減する方法が提供される。なお、使用する(A)成分及び(B)成分の種類並びにそれらの配合量、含有比率、その他に配合する成分の種類及びその配合量、眼科組成物の製剤形態等については、上記本実施形態に係る眼科組成物と同様である。
【実施例0107】
以下、試験例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】
[コンタクトレンズの弾性率の評価]
<試験液とソフトコンタクトレンズ(SCL)の準備>
表1に示す眼科組成物を常法に従い調製した。なお、表1における各成分の単位はw/v%である。ソフトコンタクトレンズ(SCL)として、『クラリティ ワンデー』(グループ2のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ、クーパービジョン社製)を使用した。生理食塩液(大塚製薬工場社製)を12ウェルプレート(BD Falcon、No.35-3043)に4mLずつ分注し、各ウェルにソフトコンタクトレンズを1枚ずつ浸漬させて、4時間以上室温で静置した。ソフトコンタクトレンズの水分をリントフリーペーパーで軽く拭き取った後、表1に記載の各眼科組成物を12ウェルプレート(BD Falcon、No.35-3043)に4mLずつ分注しソフトコンタクトレンズを1枚ずつ入れ、34℃で18時間静置した。
【0109】
<弾性率の算出>
MCR302レオメーター(AntonPaar社製)を使用し、パラレルプレートPP12/P12(直径12mm、格子目加工;1×0.5、製品番号:23935)、キャッププレートP-PTD200/80-77/SS/P2(格子目加工、製品番号:7894)、測定温度34℃、周波数1Hz、測定時間「時間設定なし」モードに設定し、ひずみ量0.01~1%に対するせん断応力(Pa)を測定した。具体的には、キャッププレートの上に生理食塩液0.5mLを滴下し、その上に水分を拭き取ったソフトコンタクトレンズ(SCL)の凸面を載せ(キャッププレート側にレンズの凸面を向けて載せる)、生理食塩液0.5mLをSCLの上に滴下した。パラレルプレートを降下させてキャッププレートに近づけ、2種のプレートの距離0.1mmでSCLが挟み込まれるように位置を設定し、せん断応力(Pa)の測定を開始した。測定間隔は、ひずみ量0.01~0.1%を均等に5点及びひずみ量0.1~1%を均等に5点で測定した。その後、ひずみ量0.01~0.1%の測定間隔2点目である0.0325%と、ひずみ量0.1~1%の測定間隔の1%を式1に用いて、弾性率(Pa)を算出した。測定は3回行い、その平均値を平均弾性率とした。
[式1]弾性率(Pa)=せん断応力/ひずみ量=(ひずみ量1%のせん断応力)-(ひずみ量0.0325%のせん断応力)/(1-0.0325)
【0110】
<弾性率低下率の算出>
次に、対照となる眼科組成物に浸漬したソフトコンタクトレンズ(SCL)の平均弾性率に対する、実施例の眼科組成物に浸漬したSCLの平均弾性率の低下率(弾性率低下率)を求めた。具体的には、式2を用いて弾性率低下率を算出した。なお、以下の式2において、実施例1~5および比較例2~3については比較例1を対照とした。結果を表1に併記する。
[式2]対照の比較例に対する弾性率低下率(%)=(対照の眼科組成物に浸漬したSCLの平均弾性率(Pa)-実施例の眼科組成物に浸漬したSCLの平均弾性率(Pa))/対照の眼科組成物に浸漬したSCLの平均弾性率(Pa)×100
【0111】
【表1】