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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004897
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20250108BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
B60R16/023 P
H04L12/28 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104780
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坂野 将秀
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA02
5K033BA06
5K033CB08
5K033DB12
5K033DB14
(57)【要約】
【課題】設計者に膨大な手間を強いることなく、特定の車両の通信仕様を得られるようにする。
【解決手段】情報処理装置20は、複数種の車両におけるECU間の通信経路を集約した情報、及びそれぞれの通信経路でデータを授受できるデータ通信規格を、通信経路毎に表した情報を含むアーキテクチャーモデル情報を取得することと、特定の車両において必要になる必要通信経路を指定する情報、及び必要通信経路を通じて授受する必要のある必要データを指定する情報を含むバリエーション情報を取得することと、アーキテクチャーモデル情報及びバリエーション情報に基づいて、必要データと当該必要データを送信するべき通信経路との関係を指定する通信仕様を生成することと、を行い、通信仕様を生成する際、必要データ毎に定められているデータ通信規格を満たすように、必要データ毎に通信経路を指定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の車両におけるECU間の通信経路を集約した情報、及びそれぞれの前記通信経路でデータを授受できる1又は複数のデータ通信規格を、前記通信経路毎に表した情報を含むアーキテクチャーモデル情報を取得することと、
特定の車両において必要になる必要通信経路を指定する情報、及び前記必要通信経路を通じて授受する必要のある必要データを指定する情報を含むバリエーション情報を取得することと、
前記アーキテクチャーモデル情報及び前記バリエーション情報に基づいて、前記必要データと当該必要データを送信するべき前記通信経路との関係を指定する通信仕様を生成することと、を行い、
前記通信仕様を生成する際、前記必要データ毎に定められている前記データ通信規格を満たすように、前記必要データ毎に前記通信経路を指定する
情報処理装置。
【請求項2】
前記通信仕様を生成する際、前記データ通信規格において定められている送信先のECUが同一であるという第1条件を満たす複数の前記必要データがある場合には、前記第1条件を満たす複数の前記必要データをグループ化したデータセットで通信を行うことを、前記通信仕様において定める
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記通信仕様を生成する際、前記第1条件に加え、前記データ通信規格において定められているデータの送信周期が同一であるという第2条件を満たす複数の前記必要データがある場合には、前記第1条件と前記第2条件とを満たす複数の前記必要データをグループ化したデータセットで通信を行うことを、前記通信仕様において定める
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通信仕様を生成する際、前記第1条件と前記第2条件に加え、前記データ通信規格において定められているセキュリティレベルが同一であるという第3条件を満たす複数の前記必要データがある場合には、前記第1条件と前記第2条件と前記第3条件とを満たす複数の前記必要データをグループ化したデータセットで通信を行うことを、前記通信仕様において定める
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通信仕様を生成する際、複数の前記必要データの総容量が予め定められた設定容量以下となるように、前記第1条件と前記第2条件と前記第3条件とを満たす複数の前記必要データをグループ化したデータセットで通信を行うことを、前記通信仕様において定める
請求項4に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている車両は、複数のECUを備えている。複数のECUは、バスを介して互いに接続している。複数のECUは、バスを介して必要なデータを授受する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-121156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のECUを有する特許文献1のような車両では、車両の種類によって、車両に搭載されるECUの種類は異なる。そして、車両に搭載されるECUの種類によって、ECU間の通信経路、及びECU間でのデータの通信規格は異なる。そのため、複数のECUを有する車両を新たに設計する場合、当該車両で採用する通信経路、及び当該通信経路で授受する必要のあるデータの種類を考慮して、例えばデータの送信タイミングといった通信のルールを設計し直す必要がある。一方で、車両に搭載されるECUの数は膨大である。従来は、設計者自らがこうした膨大な数のECUの組み合わせを考慮して通信ルールを車両毎に設計していた。そのため、1つの車両あたりの通信ルールの設計に膨大な労力がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための情報処理装置は、複数種の車両におけるECU間の通信経路を集約した情報、及びそれぞれの前記通信経路でデータを授受できる1又は複数のデータ通信規格を、前記通信経路毎に表した情報を含むアーキテクチャーモデル情報を取得することと、特定の車両において必要になる必要通信経路を指定する情報、及び前記必要通信経路を通じて授受する必要のある必要データを指定する情報を含むバリエーション情報を取得することと、前記アーキテクチャーモデル情報及び前記バリエーション情報に基づいて、前記必要データと当該必要データを送信するべき前記通信経路との関係を指定する通信仕様を生成することと、を行い、前記通信仕様を生成する際、前記必要データ毎に定められている前記データ通信規格を満たすように、前記必要データ毎に前記通信経路を指定する。
【発明の効果】
【0006】
上記の技術思想では、設計者に膨大な手間を強いることなく、特定の車両の通信仕様を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、設計システムの概略構成図である。
図2図2は、アーキテクチャーモデル情報を模式的に表した図である。
図3図3は、仕様生成処理の処理手順を表したフローチャートである。
図4図4は、必要データのグループ化の態様を模式的に表した図である。
図5図5は、必要データのグループ化の態様を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、情報処理装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
<全体構成>
図1に示す設計システム10は、例えば車両の設計施設に設置される。設計システム10は、情報処理装置20と、ディスプレイ12と、入力機器14と、を備えている。
【0009】
情報処理装置20は、いわゆるコンピュータである。情報処理装置20は、CPU21と、データベース22と、一次記憶装置23と、を備えている。データベース22は、不揮発性のメモリである。一次記憶装置23は、揮発性のメモリである。データベース22は、CPU21が実行するべき処理が記述されたプログラムWを予め記憶している。また、データベース22は、アーキテクチャーモデル情報AMを予め記憶している。アーキテクチャーモデル情報AMの詳細は後述する。
【0010】
ディスプレイ12は、情報処理装置20と通信可能である。ディスプレイ12は、情報処理装置20のCPU21が出力する信号に応じた映像を表示する。入力機器14は、情報処理装置20と通信可能である。入力機器14は、情報処理装置20に外部から情報を入力するためのものである。入力機器14は、例えば、キーボード及びマウスである。
【0011】
情報処理装置20のCPU21は、データベース22が記憶しているプログラムWを実行することにより、仕様生成処理を実行可能である。仕様生成処理は、車両における通信仕様を生成するための処理である。仕様生成処理は、設計者が新たな車両を設計する際に利用される。ここで、設計対象の車両は、複数の車載装置と、これらの車載装置を制御するための複数のECUと、を備えている。通信仕様は、これらのECU間で授受されるデータと、データの授受において利用すべき通信経路RTとの関係を指定するものである。なお、本実施形態では、1つの通信経路RTを次のように規定する。すなわち、1つの通信経路RTは、2つのECUを繋ぐ経路である。一方のECUは、データの送信元となるECUである。他方のECUは、データの送信先となるECUである。ECUは、「Electronic Control Unit」の略記である。
【0012】
<アーキテクチャーモデル情報>
図2に示すように、アーキテクチャーモデル情報AMは、総経路情報ARと、総規格情報ASと、適用情報APと、を含んでいる。
【0013】
総経路情報ARは、複数種の車両におけるECU間の通信経路RTを集約した情報である。図2では、総経路情報ARを模式的に表している。また、図2では、複数のECUのうちの5つのみを代表で示している。本実施形態における複数種の車両は、例えば、特定の車両製造メーカにおいて販売している全ての車種、及び将来的に設計が見込まれる全ての車種を含む、実現可能な全ての種類の車両である。総経路情報ARに集約されている通信経路RTは、これらの全種類の車両を対象に、各車種で採用される通信経路RTのパターンを全車種分集めたものである。
【0014】
例えば、総経路情報ARは、図2で模式的に表している通信経路RTを表にまとめたものである。例えば、この表は、1つの通信経路RTに対して4つ用意された識別値を通信経路RT毎にまとめたものである。4つの識別値は、経路識別値と、第1識別値と、第2識別値と、経由識別値である。経路識別値は、各通信経路RTに割り当てられている通信経路RT毎の識別値である。第1識別値は、対象の通信経路RTが繋いでいる2つのECUのうちの一方のECU識別値である。第2識別値は、対象の通信経路RTが繋いでいる2つのECUのうちの他方のECU識別値である。経由識別値は、対象の通信経路RTが2つのECUの間で中継用の他のECUを経由する場合の、経由のパターンを示す識別値である。経由識別値が存在していることからわかるように、例えば図2に示すECU1とECU3という2つのECUに関して、これらを繋ぐ通信経路RTは複数存在する。なお、ECU識別値は、各ECUに割り当てられているECU毎の識別値である。
【0015】
総規格情報ASは、通信経路RT毎に用意されたデータ通信規格DSを、全ての通信経路RT分まとめたものである。データ通信規格DSは、それぞれの通信経路RTでデータを授受できる通信の規格を表にまとめたものである。データ通信規格DSは、1つの通信経路RTにつき1つ又は複数用意されている。例えば、図2に示す通信経路RT1では、データ通信規格DSが1つのみ用意されている。一方、図2に示す通信経路RT2では、データ通信規格DSが複数用意されている。なお、各データ通信規格DSには、個別の規格識別値が割り当てられている。1つの通信経路RTに対して複数のデータ通信規格DSが用意されている場合、これら複数のデータ通信規格DSの規格識別値は互いに異なっている。各データ通信規格DSの規格識別値は、総経路情報ARにおける通信経路RTを示す情報、すなわち経路識別値に紐づけられている。
【0016】
データ通信規格DSには、次の複数の項目が定められている。複数の項目は、データの送信元のECU、データの送信先のECU、データの送信周期、1回の送受信当たりのデータの容量、セキュリティレベル、及び当該データ通信規格DSが対象としている通信経路RTである。これらの複数の項目のうち、データの送信元のECU、データの送信先のECU、及び通信経路RTは、既に説明した識別値で表されている。本実施形態において、セキュリティレベルは、「0」又は「1」のいずれかである。セキュリティレベルが「0」であることは、データに対してセキュリティ情報の付与が不要であることを意味する。セキュリティレベルが「1」であることは、データに対してセキュリティ情報の付与が必要であることを意味する。なお、上述のとおり、1つの通信経路RTに対して複数のデータ通信規格DSが用意されていることがある。この場合、これらの複数のデータ通信規格DSでは、互いに共通の内容が設定されている項目と、互いに異なる内容が設定され得る項目とがある。共通の内容が設定されている項目は、データの送信元のECU、データの送信先のECU、及び通信経路RTである。異なる内容が設定され得る項目は、データの送信周期、データの容量、及びセキュリティレベルである。
【0017】
適用情報APは、通信経路RT毎に用意された適用リストLPを、全ての通信経路RT分まとめたものである。ここで、ある1つの通信経路RTで送受信されるデータは複数種存在する。上記の適用リストLPは、ある1つの通信経路RTで送受信されるデータの種類と、その種類のデータを送受信する際に用いるべきデータ通信規格DSとの対応関係を、データの種類毎に定めたものである。ここでいうデータの種類とは、例えば、吸入空気量、燃料噴射量といった各センサによって検出される各パラメータの種類である。そして、図2に示すように、適用リストLPでは、ある通信経路RTで授受される複数種のデータのデータ識別値と、各データに適用するデータ通信規格DSの規格識別値と、が対応付けて示されている。データ識別値は、各データに割り当てられているデータ毎の識別値である。
【0018】
なお、上記の総規格情報ASで説明したとおり、1つの通信経路RTには、データ通信規格DSが1つのみ設定されている場合と、データ通信規格DSが複数設定されている場合とがある。1つの通信経路RTに対してデータ通信規格DSが1つのみ設定されている場合、この通信経路RTで授受される全てのデータは、同一のデータ通信規格DSで授受される。この点を反映し、例えば図2に示す通信経路RT1のように、1つの通信経路RTに対してデータ通信規格DSが1つのみ設定されている場合、この通信経路RTでは適用リストLPが1つのみ用意されている。
【0019】
一方、例えば図2に示す通信経路RT2のように、1つの通信経路RTに対して複数のデータ通信規格DSが設定されている場合、この通信経路RTで授受される各データは、様々なデータ通信規格DSを利用して授受される。そして、各データに適用されるデータ通信規格DSの当てはめ方のパターンは様々存在する。具体的には、例えば、同一種類のデータであっても、車両に適用されている各種のプログラムの違いに応じて、当該データを送信する際に適用するべきデータ通信規格DSが異なり得る。この点を反映し、1つの通信経路RTに対して複数のデータ通信規格DSが用意されている場合、当該通信経路RTに対して複数の適用リストLPが用意されている。そして、各適用リストLPでは、各データに対する複数のデータ通信規格DSの割り当て方が異なっている。例えば、通信経路RT1に対して用意されている複数の適用リストLPのうちの2つを比較したとする。一方の適用リストLPでは、データ「A」とデータ「C」に対して第1データ通信規格DS1が割り当てられ、データ「B」に対して第2データ通信規格DS2が割り当てられている。これに対して、他方の適用リストLPでは、データ「A」とデータ「B」に対して第1データ通信規格DS1が割り当てられ、データ「C」に対して第2データ通信規格DS2が割り当てられている。こういった具合で、適用リストLP毎に、各データに対するデータ通信規格DSの割り当て方は異なっている。なお、各適用リストLPには、個別の適用識別値が割り当てられている。データ通信規格DSと同様、1つ通信経路RTに対して複数の適用リストLPが用意されている場合、これら複数の適用リストLPの適用識別値は互いに異なっている。各適用リストLPの適用識別値は、総経路情報ARにおける通信経路RTを示す情報、すなわち経路識別値に紐づけられている。
【0020】
<バリエーション情報>
設計者は、仕様生成処理を利用して新たな車両の通信仕様を生成する際、事前にバリエーション情報Vを作成する。バリエーション情報Vは、設計対象となる特定の車両における通信の基本情報を指定するための情報である。具体的には、バリエーション情報Vは、複数の必要通信経路を指定する情報、及び複数の必要データを指定する情報を含んでいる。必要通信経路は、設計対象の車両で必要になる通信経路RTである。必要データは、必要通信経路を通じて授受する必要のあるデータである。必要通信経路を指定する情報は、例えば、必要通信経路を示す経路識別値である。必要データを指定する情報は、例えば、必要データを示すデータ識別値である。なお、必要通信経路及び必要データは、基本的には、設計対象の車両に搭載する複数の車載装置の種類によって決まる。すなわち、車両に搭載すべき複数の車載装置の種類が決まると、それらの車載装置を制御する上で必要になる複数のECUが決まる。車両に搭載すべき複数のECUが決まると、それらの複数のECUを繋ぐ通信経路RTが決まる。また、車両に搭載すべき複数のECUが決まると、それらのECUが行う処理内容との兼ね合いで必要データが決まる。こういった観点から、複数の必要通信経路及び複数の必要データは定められている。そして、バリエーション情報Vで指定されている複数の必要データは、バリエーション情報Vで指定されている複数の必要通信経路のうちのいずれかで送信できるもののみになっている。ただし、バリエーション情報Vでは、各必要データをいずれの通信経路RTを利用して送信するかは指定されていない。ここで、設計車両で利用する複数の必要通信経路と複数の必要データが決まると、各必要データに要求される送信周期、1回の送受信あたりのデータの容量、及びセキュリティレベルも決まる。これに伴い、本実施形態のバリエーション情報Vでは、必要データ毎に、これらの3つの項目も指定されている。
【0021】
<仕様生成処理の詳細>
設計者は、バリエーション情報Vを作成すると、作成したバリエーション情報Vを情報処理装置20のデータベース22に記憶させる。その後、設計者は、情報処理装置20のCPU21に対して仕様生成処理の実行を指示する。この指示を受けて、CPU21は、仕様生成処理を開始する。なお、逐一の説明は割愛するが、CPU21は、仕様生成処理では、アーキテクチャーモデル情報AM及びバリエーション情報Vで示されている各種の識別値を参照することによって通信経路RTなどを特定する。また、逐一の説明は割愛するが、CPU21は、仕様生成処理では、一次記憶装置23を適宜利用する。
【0022】
図3に示すように、CPU21は、仕様生成処理を開始すると、先ずステップS10の処理を実行する。ステップS10において、CPU21は、データベース22からアーキテクチャーモデル情報AMを取得する。また、CPU21は、データベース22からバリエーション情報Vを取得する。この後、CPU21は、処理をステップS20に進める。なお、CPU21は、ステップS10では、情報処理装置20とは異なる情報処理装置である外部サーバからアーキテクチャーモデル情報AMとバリエーション情報Vとを取得してもよい。この場合、外部サーバにアーキテクチャーモデル情報AMとバリエーション情報Vとを記憶させておけばよい。そして、情報処理装置20と外部サーバとを通信可能にしておけばよい。
【0023】
ステップS20において、CPU21は、バリエーション情報Vで指定されている必要通信経路毎の適用リストLPを特定する。具体的には、先ずCPU21は、アーキテクチャーモデル情報AMの総経路情報ARに含まれている全ての通信経路RTの中から、バリエーション情報Vで指定されている複数の必要通信経路を特定する。そして、CPU21は、特定した必要通信経路毎に次のことを行う。すなわち、CPU21は、アーキテクチャーモデル情報AMの適用情報APの中から、必要通信経路に紐づけられている適用リストLPを特定する。なお、対象の必要通信経路に対して複数の適用リストLPが用意されている場合、CPU21は、バリエーション情報Vで指定されている必要通信経路の組み合わせ及び必要データの組み合わせ等に基づいて、複数の適用リストLPの中の最適な適用リストLPを1つ特定する。CPU21は、1つの必要通信経路につき1つの適用リストLPを特定すると、処理をステップS30に進める。
【0024】
ステップS30において、CPU21は、バリエーション情報Vで指定されている必要データ毎の必要データ規格DSXを生成する。具体的には、ステップS30では、CPU21は以下の処理を行う。すなわち、CPU21は、ステップS20で特定した必要通信経路毎の適用リストLPを利用して、バリエーション情報Vで指定されている各必要データに対応するデータ通信規格DSを特定する。例えば、複数の必要データのうちの1つを第1データと呼称する。この第1データに関して、CPU21は、ステップS20で特定した適用リストLPのうち、当該第1データのデータ識別値を含んでいる適用リストLPを参照する。そして、CPU21は、この適用リストLPに基づいて、第1データに対応する規格識別値を特定する。そして、CPU21は、アーキテクチャーモデル情報AMの総規格情報ASの中から、特定した規格識別値に対応するデータ通信規格DSを特定する。そして、CPU21は、特定したデータ通信規格DSに第1データのデータ識別値を付す。このようにして得られる、データ通信規格DSとデータ識別値との1セットを、CPU21は、第1データについての必要データ規格DSXとして取り扱う。なお、バリエーション情報Vで指定されている必要データと必要通信経路との組み合わせによっては次のことがあり得る。すなわち、バリエーション情報Vで指定されている複数の必要通信経路の中に、第1データを送信できるルートが複数存在する複数ケースがある。この複数ケースの場合、第1データを送信できるルートの個数分だけ、第1データのデータ識別値を含んでいる適用リストLPが存在する。そこで、CPU21は、複数ケースの場合、次の基準のもと、複数の適用リストLPのうちのいずれか1つに対応するデータ通信規格DSを選択する。すなわち、CPU21は、バリエーション情報Vにおいて第1データに対して指定されているの送信周期、データの容量、及びセキュリティレベルに当てはまるデータ通信規格DSを選択する。この選択を行っても未だデータ通信規格DSを1つに絞り込めない場合、CPU21は、更なる絞り込みを行う。すなわち、CPU21は、上記の基準によって絞り込んだ複数のデータ通信規格DSの中から、予め定められたルールに従って1つのデータ通信規格DSを選択する。予め定められたルールは、例えば、第1データを送信できる複数のルートの中の最短ルートに対応するデータ通信規格DSを選択することである。予め定められたルールは、車両の通信を効率よく行う観点において定めたものであればよい。CPU21は、以上に説明した第1データと同様の要領で、バリエーション情報Vで指定されている全ての必要データについての必要データ規格DSXを生成する。そして、CPU21は、1つの必要データにつき1つの必要データ規格DSXを得る。この後、CPU21は、処理をステップS40に進める。
【0025】
ステップS40において、CPU21は、バリエーション情報Vで指定されている複数の必要データのグループ化を行う。このグループ化を行うにあたり、CPU21は、ステップS30で生成した必要データ毎の必要データ規格DSXを参照する。なお、以下では、CPU21が必要データ規格DSXを参照する点については逐一の説明は割愛する。
【0026】
ステップS40の処理を詳述する。先ずCPU21は、送信元のECUが同一であるという前提条件を満たす複数の必要データの一群を1つのグループに指定する。そのことで、CPU21は、複数の必要データを複数のグループに分ける。この後、CPU21は、前提条件によってグループ分けしたグループ毎に、さらに以下の処理を行う。この処理の内容を、図4及び図5を参照して説明する。なお、図4及び図5において実線の四角は必要データを表している。
【0027】
先ずCPU21は、前提条件を満たしている複数の必要データの中に、第1条件を満たしている必要データが複数存在する場合、これら第1条件を満たしている複数の必要データの一群を1つのグループに指定する。そのことで、図4の二点鎖線G1で示すように、CPU21は、前提条件を満たしている複数の必要データを複数のグループに分ける。第1条件は、必要データ規格DSXで定められている送信先のECUが同一であり、且つ必要データ規格DSXで定められている通信経路RTが同一であることである。
【0028】
さらに、CPU21は、第1条件を満たしている複数の必要データの中に、第2条件を満たしている必要データが複数存在する場合、第1条件と第2条件とを満たしている複数の必要データの一群を1つのグループに指定する。そのことで、図4の一点鎖線G2で示すように、CPU21は、第1条件を満たしている複数の必要データを複数のグループに分ける。第2条件は、必要データ規格DSXで定められている送信周期が同一であることである。
【0029】
さらに、CPU21は、第1条件と第2条件とを満たしている複数の必要データの中に、第3条件を満たしている必要データが複数存在する場合、第1条件と第2条件と第3条件とを満たしている複数の必要データの一群を1つのグループに指定する。そのことで、図4の点線G3で示すように、CPU21は、第1条件と第2条件とを満たしている複数の必要データを複数のグループに分ける。第3条件は、必要データ規格DSXで定められているセキュリティレベルが同一であることである。図4では、セキュリティレベルが「0」である必要データを白抜きで示している。図4では、セキュリティレベルが「1」である必要データを黒塗りで示している。
【0030】
この後、CPU21は、第1条件と第2条件と第3条件とを満たしている複数の必要データの一群を対象に、次のことを行う。すなわち、CPU21は、図5の点線G4で示すように、1つのグループに含まれる複数の必要データの総容量が設定容量以下になるように、第1条件と第2条件と第3条件とを満たしている複数の必要データをグループ分けする。設定容量は、一度の送受信で許容される必要データの総容量の最大値である。図5では、図4において点線G3で囲んでいる6つの必要データを2つずつのグループに分けた例を表している。図5では、図4と同様、セキュリティレベルに応じて必要データを白抜き又は黒塗りで示している。
【0031】
この後、CPU21は、各グループに、個別のグループ識別値IDを付す。図5では、グループ識別値IDを「Q1」、「Q2」、「Q3」で表している。なお、例えば第1条件又は第2条件が満たされないことに起因して、グループ化ができない必要データも存在し得る。こうした必要データについては、CPU21は、それ単独で個別のグループ識別値IDを付す。図3に示すように、CPU21は、各グループにグループ識別値IDを付与すると、処理をステップS50に進める。
【0032】
ステップS50において、CPU21は、通信仕様リストを生成する。通信仕様リストは、各種の必要データと、それぞれの必要データを送信するべき通信経路RTとの関係を指定する通信仕様をまとめたものである。通信仕様リストは、具体的には、ステップS40で最終的にグループ化したグループ毎に、通信に関する設定内容をまとめた表である。設定内容は、グループ識別値ID、送信元のECU、送信先のECU、利用する通信経路RT、送信周期、セキュリティレベル、送信対象となる各必要データ、グループ化の要否を含んでいる。CPU21は、各グループに関して、それぞれに含まれる各必要データの必要データ規格DSXの内容を反映するかたちで、通信仕様リストを生成する。CPU21は、通信仕様リストの設定内容のうち、送信元のECU、送信先のECU、利用する通信経路RT、送信対象の各種の必要データを、既に説明した識別値を利用して表す。CPU21は、グループ化の要否も、専用の識別値で表す。この識別値が要を示すものである場合、送信対象の各必要データをグループ化したデータセットで通信を行うことが指定される。なお、CPU21は、ステップS40でグループ化できなかった必要データについては、グループ化の要否に否を設定するとともに、送信対象の必要データを1つのみ指定する。CPU21は、通信仕様リストを生成すると、通信仕様リストを生成した旨のメッセージをディスプレイ12に表示する。CPU21は、通信仕様リストの内容をディスプレイ12に表示してもよい。CPU21は、通信仕様リストの内容をディスプレイ12に表示する場合、通信仕様リストに表されている各識別値を実際のECU名などに変換してディスプレイ12に表示する。CPU21は、ディスプレイ12で必要な表示を行うと、ステップS50の処理を終了する。それとともに、CPU21は、仕様生成処理を終了する。
【0033】
以上のとおり、CPU21は、上記のステップS10からステップS50の処理を通じて通信仕様リストを生成する。これらステップS10からステップS50の処理の中で、CPU21は、アーキテクチャーモデル情報AMとバリエーション情報Vとに基づいて通信仕様リストを生成する。
【0034】
<実施形態の作用>
CPU21は、ステップS30では、必要データ毎の必要データ規格DSXを生成する。各必要データ規格DSXには、対象の必要データを送信すべき通信経路RTが定められている。CPU21は、ステップS40では、これらの各通信経路RTを実現しつつ、且つ各必要データ規格DSXにおける他の項目の全てを満たすようにクループ化を行う。すなわち、CPU21は、通信仕様リストの生成にあたり、各必要データのそれぞれに定められているデータ通信規格DSの各項目の全てを満たすように、必要データ毎の通信経路RTとともに各グループを定める。
【0035】
<実施形態の効果>
(1)CPU21は、仕様生成処理では、アーキテクチャーモデル情報AMとバリエーション情報Vとを取得すると、当該バリエーション情報Vで指定される必要通信経路と必要データとの関係を定めた通信仕様リストを生成する。こうした仕様生成処理を利用できることは、設計者にとって次の利点がある。すなわち、設計者は、設計対象の車両の通信仕様を設計する上で、当該車両で採用したいバリエーション情報Vを用意しさえすればよい。したがって、設計者は、過度な手間を要さずに、新たな車種の通信仕様リストを得ることができる。
【0036】
(2)送信先のECUが同一の複数の必要データを一まとめで送信できることは、通信効率をよくする観点において好ましい。本実施形態のCPU21は、通信仕様リストでは、送信先のECUが同一の複数の必要データをグループ化したデータセットで通信を行うことを定める。CPU21がこうした通信仕様リストを生成することは、設計者にとって次の利点がある。すなわち、送信先との関連でグループ化すべき必要データの組み合わせを設計者自身が探す手間が不要になる。
【0037】
(3)送信周期が同一の複数の必要データを一まとめで送信できることは、各必要データの適切な送信タイミングを担保しつつ通信効率をよくする観点において好ましい。本実施形態のCPU21は、通信仕様リストでは、送信周期が同一の複数の必要データをグループ化したデータセットで通信を行うことを定める。CPU21がこうした通信仕様リストを生成することは、設計者にとって次の利点がある。すなわち、送信周期との関連でグループ化すべき必要データの組み合わせを設計者自身が探す手間が不要になる。
【0038】
(4)セキュリティレベルが同一の複数の必要データを一まとめで送信できることは、各必要データのセキュリティレベルを担保しつつ通信効率をよくする観点において好ましい。本実施形態のCPU21は、通信仕様リストでは、セキュリティレベルが同一の複数の必要データをグループ化したデータセットで通信を行うことを定める。CPU21がこうした通信仕様リストを生成することは、設計者にとって次の利点がある。すなわち、セキュリティレベルとの関連でグループ化すべき必要データの組み合わせを設計者自身が探す手間が不要になる。
【0039】
(5)一度に送受信できる必要データの総容量は予め定め決まっている。そのため、複数の必要データをグループ化するにしても、一度の送受信で許容される総容量に収まるように各グループを設定することが好ましい。本実施形態のCPU21は、通信仕様リストでは、1つのグループに含まれる複数の必要データの総容量が設定容量以下となるようにグループ化したデータセットで通信を行うことを定める。CPU21がこうした通信仕様リストを生成することは、設計者にとって次の利点がある。すなわち、必要データの容量を考慮してグループ化すべき必要データの組み合わせを設計者自身が探す手間が不要になる。
【0040】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0041】
・必要データのグループ化に関して、複数の必要データの総容量が設定容量以下になるようにグループ分けをすることは必須ではない。すなわち、第1条件と第2条件と第3条件とを満たすという観点のみで、複数の必要データをグループ化してもよい。そして、そうしたグループ毎に、通信に関する設定内容を通信仕様リストに表してもよい。
【0042】
・必要データをグループ化する上で、第3条件を考慮することは必須ではない。すなわち、第1条件と第2条件とを満たすという観点のみで、複数の必要データをグループ化してもよい。そして、そうしたグループ毎に、通信に関する設定内容を通信仕様リストに表してもよい。
【0043】
・必要データをグループ化する上で、第2条件を考慮することは必須ではない。すなわち、第1条件を満たすという観点のみで、複数の必要データをグループ化してもよい。そして、そうしたグループ毎に、通信に関する設定内容を通信仕様リストに表してもよい。
【0044】
・必要データをグループ化することは必須ではない。仕様生成処理で生成される通信仕様は、必要データと、必要データを送信すべき通信経路との関係を指定するものであればよい。通信仕様は、リストでなくてもよい。
【0045】
・通信仕様を生成する際、各必要データのそれぞれに定められているデータ通信規格DSの各項目の全てを満たすようにして必要データ毎の通信経路RTを指定したりグループ化を行ったりすることは必須ではない。各必要データに定められているデータ通信規格DSの各項目のうち、必要な項目を満たすようにして必要データ毎の通信経路RTが指定してあればよい。グループ化についても同様である。
【0046】
・アーキテクチャーモデル情報AMの内容は、上記実施形態の例に限定されない。アーキテクチャーモデル情報AMは、全体として、上記実施形態の総経路情報AR、総規格情報AS、及び適用情報APに対応する内容を含んだものであればよい。各情報の表し方及びまとめ方は適宜変更可能である。例えば、総規格情報ASと適用情報APとが別々ではなく一まとめになっていてもよい。アーキテクチャーモデル情報AMは、複数種の車両におけるECU間の通信経路を集約した情報と、それぞれの通信経路でデータを授受できる1又は複数のデータ通信規格を、通信経路毎に表した情報とを含んでいればよい。
【0047】
・1つの通信経路RTを、データの送信元のECUと、データの送信先のECUと、それらを繋ぐ経路として取り扱うことは必須ではない。例えば、データの送信元のECUと、データの送信先のECUとの間に、中継用の他のECUが介在している場合に、データの送信元のECUから中継用のECUまでを1つの通信経路RTとして取り扱ってもよい。
【0048】
・データ通信規格の内容は、上記実施形態の例に限定されない。データ通信規格で規定する項目を上記実施形態のものから増減させてよい。データ通信規格は、ある特定の通信経路でデータを授受する上で必要になる通信の規格を定めたものであればよい。
【0049】
・セキュリティレベルを3つ以上にしてもよい。セキュリティレベルを3つ以上にする場合、データにセキュリティ情報を付与するか否かに加え、セキュリティ情報を付与する際のセキュリティの度合いを指定することもできる。
【0050】
・バリエーション情報Vの内容は、上記実施形態の例に限定されない。バリエーション情報Vは、必要通信経路を指定する情報と、必要データを指定する情報とを含んでいればよい。例えば、上記実施形態のバリエーション情報Vから、必要データ毎の送信周期、データの容量、及びセキュリティレベルを廃止してもよい。
【0051】
・必要通信経路を示す情報は、必要通信経路を示す経路識別値に限定されない。必要通信経路を示す情報は、必要通信経路を示すことができるものであればよい。同様に、必要データを指定する情報は、必要データを示すデータ識別値に限定されない。
【符号の説明】
【0052】
20…情報処理装置 21…CPU 22…データベース
図1
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図5