(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004898
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】音声出力制御装置および音声出力制御方法
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20250108BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20250108BHJP
G10L 25/51 20130101ALI20250108BHJP
G10L 17/26 20130101ALI20250108BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04R1/10 101
H04R1/10 104
G10L25/51
G10L17/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104782
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 浩
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA01
(57)【要約】
【課題】耳部に装着して使用する音声出力装置において、周辺の音声を適切に重畳して出力すること。
【解決手段】スピーカを耳部に装着して使用する音声出力装置10を制御する音声出力制御装置20であって、音声を出力するよう制御する音声出力制御部29と、周辺の音声を収音した周辺音データを取得する周辺音取得部21と、周辺音取得部21によって取得された周辺音データから、特定音を抽出する抽出部23と、を備え、音声出力制御部29は、抽出部23によって特定音が抽出された場合、特定音を重畳した音声を出力するよう制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカを耳部に装着して使用する音声出力装置を制御する音声出力制御装置であって、
音声を出力するよう制御する音声出力制御部と、
周辺の音声を収音した周辺音データを取得する周辺音取得部と、
前記周辺音取得部によって取得された前記周辺音データから、特定音を抽出する抽出部と、
を備え、
前記音声出力制御部は、前記抽出部によって前記特定音が抽出された場合、前記特定音を重畳した音声を出力するよう制御する、
音声出力制御装置。
【請求項2】
振動を検出したセンサデータを取得するセンサデータ取得部と、
前記センサデータ取得部によって取得された前記センサデータから、前記振動の周期を算出する算出部と、
を備え、
前記特定音は、足音であり、
前記音声出力制御部は、前記抽出部によって抽出された足音の周期と、前記算出部によって算出された振動の周期とが一致しない場合、他者の足音が含まれているとして、前記足音を重畳した音声を出力するよう制御する、
請求項1に記載の音声出力制御装置。
【請求項3】
前記特定音を特定音記憶部に記憶する操作を受け付ける操作受付部、
を備え、
前記抽出部は、前記周辺音データから、前記特定音記憶部に記憶された前記特定音を抽出する、
請求項1に記載の音声出力制御装置。
【請求項4】
前記特定音は、乳幼児の泣き声、または、ペットの鳴き声、である、
請求項3に記載の音声出力制御装置。
【請求項5】
スピーカを耳部に装着して使用する音声出力装置を制御する音声出力制御方法であって、
音声を出力するよう制御する音声出力制御ステップと、
周辺の音声を収音した周辺音データを取得する周辺音取得ステップと、
前記周辺音取得ステップによって取得された前記周辺音データから、特定音を抽出する抽出ステップと、
を含み、
前記音声出力制御ステップは、前記抽出ステップによって前記特定音が抽出された場合、前記特定音を重畳した音声を出力するよう制御する、
音声出力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声出力制御装置および音声出力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
音出力部を耳に装着した使用者が、音出力部を通じて音楽や音声などの音を聴いている状態であっても、当該使用者に近づいてくる人や物体に気付かせることを可能にする音出力装置に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術では、超音波センサを用いて、周囲に存在する被検知対象物を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが耳部に音声出力装置を装着している状態では、周辺の音声が聞こえにくくなる。周辺の音声の中には、ユーザが聞き逃すことが好ましくない音声も含まれる。そこで、耳部に装着して使用する音声出力装置において、周辺の音声を適切に重畳して出力することが望まれる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、耳部に装着して使用する音声出力装置において、周辺の音声を適切に重畳して出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る音声出力制御装置は、スピーカを耳部に装着して使用する音声出力装置を制御する音声出力制御装置であって、音声を出力するよう制御する音声出力制御部と、周辺の音声を収音した周辺音データを取得する周辺音取得部と、前記周辺音取得部によって取得された前記周辺音データから、特定音を抽出する抽出部と、を備え、前記音声出力制御部は、前記抽出部によって前記特定音が抽出された場合、前記特定音を重畳した音声を出力するよう制御する。
【0007】
本開示に係る音声出力制御方法は、スピーカを耳部に装着して使用する音声出力装置を制御する音声出力制御方法であって、音声を出力するよう制御する音声出力制御ステップと、周辺の音声を収音した周辺音データを取得する周辺音取得ステップと、前記周辺音取得ステップによって取得された前記周辺音データから、特定音を抽出する抽出ステップと、を含み、前記音声出力制御ステップは、前記抽出ステップによって前記特定音が抽出された場合、前記特定音を重畳した音声を出力するよう制御する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、耳部に装着して使用する音声出力装置において、周辺の音声を適切に重畳して出力することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る音声出力制御装置を含む音声出力装置の構成例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、第一実施形態に係る音声出力装置の制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第二実施形態に係る音声出力制御装置を含む音声出力装置の構成例を示す概略図である。
【
図4】
図4は、第二実施形態に係る音声出力装置の制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第三実施形態に係る音声出力制御装置を含む音声出力装置の構成例を示す概略図である。
【
図6】
図6は、第四実施形態に係るイヤホンの構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第四実施形態に係る電子機器の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。本実施形態では、イヤホンおよびヘッドホンなどの耳元で音声出力する機器を総称して「音声出力装置」と表現する。音声出力装置は、音声出力機能を有する電子耳栓および補聴器を含んでもよい。本開示に係る音声出力制御装置および音声出力制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
[第一実施形態]
(音声出力装置)
図1は、第一実施形態に係る音声出力制御装置を含む音声出力装置の構成例を示す概略図である。音声出力装置10は、ユーザの耳部に装着して使用する。音声出力装置10は、ユーザが耳部に装着した状態において、収音した周辺音から特定音が抽出された場合、特定音を重畳して出力して、ユーザが特定音に注意を払うように促す。音声出力装置10は、収音用マイクロフォン11と、スピーカ19と、制御部(音声出力制御装置)20とを備える。
【0012】
収音用マイクロフォン11は、周囲の音声を収音するマイクロフォンである。収音用マイクロフォン11は、周辺音を収音する。収音用マイクロフォン11は、例えば、耳元に装着する本体部に配置されている。収音用マイクロフォン11は、収音した周辺音データを周辺音取得部21へ出力する。
【0013】
スピーカ19は、音声出力装置10において音声を出力する音声出力部である。スピーカ19は、例えば、イヤホン、ヘッドホン、電子耳栓および補聴器などにおいて音声を出力する部分である。スピーカ19は、一対の右耳用スピーカと左耳用スピーカとを備える。本実施形態では、右耳用スピーカと左耳用スピーカとの区別を特に要しないので、左右を区別せずにスピーカ19として説明する。スピーカ19は、例えば、再生中の音楽、再生中の映像の音声などのコンテンツ音声を出力する。スピーカ19は、音声出力制御部29からの音声信号に基づいて音声を出力する。
【0014】
スピーカ19は、ユーザに視聴させる音声を出力する。スピーカ19は、音声出力制御部29において、音楽データの右チャンネルデータおよび左チャンネルデータをD/A変換して得られた電気信号を音に変換して右耳用スピーカおよび左耳用スピーカから出力する。
【0015】
収音用マイクロフォン11は、スピーカ19と同じ筐体に配置されていてもよい。収音用マイクロフォン11は、例えば、イヤホン、ヘッドホン、電子耳栓および補聴器などのハウジングに配置されている。
【0016】
収音用マイクロフォン11およびスピーカ19と、制御部20とは、有線または無線でデータ通信可能に接続されている。無線接続されている場合、例えば、Bluetooth(登録商標)、または、NFMI(Near-Field Magnetic Induction)を含む近距離無線通信や近距離電磁誘導が用いられる。
【0017】
(音声出力制御装置)
制御部20は、音声出力装置10を制御する。制御部20は、スピーカ19からの音声の出力を制御する。制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置である。制御部20は、図示しない記憶部に記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。制御部20には図示しない内部メモリが含まれ、データの一時記憶などに用いられる。制御部20は、周辺音取得部21と、周辺状況取得部22と、抽出部23と、音声出力制御部29とを有する。周辺状況取得部22は、必須の構成ではない。
【0018】
周辺音取得部21は、周辺の音声を収音した周辺音データを取得する。周辺音取得部21は、収音用マイクロフォン11が収音した周辺音データを取得する。
【0019】
周辺状況取得部22は、周辺の状況を取得する。周辺状況取得部22は、周辺に人通りが少なく、犯罪などが発生しやすい状況であるかを取得する。周辺状況取得部22は、例えば、周辺音取得部21が取得した周辺音データの音圧(信号レベル)が音圧閾値以下である場合、周辺の状況は静かで、犯罪などが発生しやすい状況であるとする。
【0020】
周辺状況取得部22は、例えば、スピーカ19と同じ筐体に配置された、図示しない照度センサが取得した照度データに基づいて、周辺の明るさを取得してもよい。周辺状況取得部22は、例えば、照度が照度閾値以下である場合、周辺が暗く、犯罪などが発生しやすい状況であるとする。
【0021】
抽出部23は、周辺音取得部21によって取得された周辺音データから、特定音を抽出する。抽出部23は、周辺音データに音声処理を行って、特定音を抽出する。抽出部23は、例えば、図示しない特定音の音声認識辞書を用いて、特定音を抽出する。特定音を抽出する方法は限定されない。
【0022】
特定音は、ユーザが音声出力装置10を使用していて周辺音が聞こえにくいときに、ユーザが聞くことが好ましい音である。特定音は、例えば、足音、または、車両など移動体の走行音である。特定音は、例えば、乳幼児の泣き声、または、ペットの鳴き声である。
【0023】
抽出部23は、周辺状況取得部22によって、周辺の状況は静かで、犯罪などが発生しやすい状況であると判定された場合に限って、特定音を抽出してもよい。周辺が静かで、犯罪などが発生しやすい状況では、音声出力装置10を使用しているユーザに特定音を聞かせることにより、周囲に注意を向けるように促すことが望ましい。周辺が賑やかであるなど犯罪が発生しにくい状況では、特定音である足音をユーザに聴かせる必要が低いためである。
【0024】
抽出部23は、特定音が足音である場合、近づく足音のみを抽出してもよい。抽出部23は、例えば、音圧(信号レベル)が増加する特定音のみを抽出する。
【0025】
音声出力制御部29は、音声を出力するよう制御する。音声出力制御部29は、スピーカ19からの音声の出力を制御する。より詳しくは、音声出力制御部29は、スピーカ19において、音楽データを音として出力する制御を行う。音声出力制御部29は、音楽データの右チャンネルデータおよび左チャンネルデータをD/A変換して増幅した信号をスピーカ19から出力させる。
【0026】
音声出力制御部29は、抽出部23によって特定音が抽出された場合、特定音を重畳した音声を出力するよう制御する。より詳しくは、音声出力制御部29は、再生中のコンテンツ音声に特定音を重畳して音声を出力する。
【0027】
音声出力制御部29は、特定音を重畳する重畳比を変化させて、特定音を強調して出力したり、コンテンツ音声を強調して出力したりしてもよい。
【0028】
(音声出力制御方法)
次に、
図2を用いて、音声出力装置10における情報処理について説明する。
図2は、第一実施形態に係る音声出力装置の制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。音声出力装置10の電源がONされている間、収音用マイクロフォン11によって、周辺の音声が収音される。収音された周辺音データは、周辺音取得部21へ出力される。
【0029】
制御部20は、周辺音の取得を開始する(ステップS101)。より詳しくは、制御部20は、周辺音取得部21によって、収音用マイクロフォン11が収音した周辺音データを取得する。制御部20は、ステップS102に進む。
【0030】
制御部20は、特定音を抽出する(ステップS102)。より詳しくは、制御部20は、抽出部23によって、周辺音取得部21によって取得された周辺音データから、特定音を抽出する。制御部20は、ステップS103へ進む。
【0031】
制御部20は、特定音を抽出したか否かを判定する(ステップS103)。より詳しくは、制御部20は、抽出部23によって、特定音を抽出したと判定する場合(ステップS103でYes)、ステップS104へ進む。制御部20は、抽出部23によって、特定音を抽出したと判定しない場合(ステップS103ででNo)、ステップS105へ進む。
【0032】
特定音を抽出したと判定する場合(ステップS103でYes)、制御部20は、特定音を重畳して音声を出力する(ステップS104)。より詳しくは、制御部20は、音声出力制御部29によって、再生中のコンテンツ音声に特定音を重畳して音声を出力する。制御部20は、ステップS105へ進む。
【0033】
制御部20は、終了するか否かを判定する(ステップS105)。制御部20は、音声出力装置10の電源がOFFされた時などに、本処理を終了すると判定する。制御部20は、終了すると判定する場合(ステップS105でYes)、このフローチャートの処理を終了する。制御部20は、終了すると判定しない場合(ステップS105でNo)、ステップS101の処理を再度実行する。
【0034】
このようにして、特定音が抽出された場合、特定音を重畳した音声を出力する。
【0035】
(効果)
上述したように、本実施形態では、特定音が抽出された場合、前記特定音を重畳した音声を出力することができる。本実施形態は、ユーザが音声出力装置10を耳部に装着した状態において、収音した周辺音から特定音が抽出された場合、特定音を重畳して出力することができる。本実施形態によれば、イヤホンなどのような耳部に装着して使用する音声出力装置において、周辺の音声を適切に重畳して出力することができる。本実施形態によれば、音声出力装置を使用しているときに、ユーザが特定音に注意を払うように促すことができる。
【0036】
本実施形態は、特定音が足音である場合、近づく足音のみを抽出することができる。本実施形態によれば、ユーザが注意を払う必要がある特定音を抽出することができる。本実施形態によれば、コンテンツの快適な視聴を妨げないようにできる。
【0037】
[第二実施形態]
図3、
図4を参照しながら、本実施形態に係る音声出力装置10Aについて説明する。
図3は、第二実施形態に係る音声出力制御装置を含む音声出力装置の構成例を示す概略図である。
図4は、第二実施形態に係る音声出力装置の制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。音声出力装置10Aは、基本的な構成は第一実施形態の音声出力装置10と同様である。以下の説明においては、音声出力装置10と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。音声出力装置10Aは、加速度センサ12Aと、センサデータ取得部24Aと、算出部25Aとを有する点と、音声出力制御部29Aにおける処理とが、第一実施形態と異なる。
【0038】
本実施形態では、特定音は、足音である。
【0039】
加速度センサ12Aは、振動を検出するセンサである。加速度センサ12Aは、例えば、センサデータを取得する加速度センサである。加速度センサ12Aは、例えば、ユーザの歩行時の振動を検出する。加速度センサ12Aは、取得したセンサデータをセンサデータ取得部24Aへ出力する。センサデータは、X軸方向の加速度データとY軸方向の加速度データとZ軸方向の加速度データとを含む。
【0040】
加速度センサ12Aは、例えば、耳元に装着する本体部に配置されている。加速度センサ12Aは、スピーカ19と同じ筐体に配置されていてもよい。加速度センサ12Aは、例えば、イヤホン、ヘッドホン、電子耳栓および補聴器などのハウジングに配置されている。なお、加速度センサ12Aは、制御部20A内に配置されていてもよい。
【0041】
加速度センサ12Aと、制御部20Aとは、有線または無線でデータ通信可能に接続されている。
【0042】
センサデータ取得部24Aは、振動を検出したセンサデータを取得する。センサデータ取得部24Aは、加速度センサ12Aからセンサデータを取得する。
【0043】
算出部25Aは、センサデータ取得部24Aによって取得されたセンサデータから、振動の周期を算出する。算出部25Aは、例えば、歩行時の振動の周期を算出する。
【0044】
音声出力制御部29Aは、抽出部23によって抽出された足音の周期と、算出部25Aによって算出された振動の周期とが一致しない場合、他者の足音が含まれているとして、足音を重畳した音声を出力するよう制御する。音声出力制御部29Aは、抽出部23によって抽出された足音の周期と、算出部25Aによって算出された振動の周期とが一致する場合、足音を重畳せずに、そのまま再生中のコンテンツ音声を出力するよう制御する。
【0045】
抽出された足音の周期と、算出された振動の周期とが一致する場合、ユーザ自身の足音を特定音として抽出していると推測される。抽出された足音の周期と、算出された振動の周期とが一致しない場合、ユーザ以外の第三者の足音を特定音として抽出していると推測される。
【0046】
抽出された足音の周期と、算出された振動の周期とが一致しない場合、ユーザ以外の第三者の歩行による歩行音であるので、足音をコンテンツ音声に重畳して出力する。抽出された足音の周期と、算出された振動の周期とが一致する場合、ユーザ自身の歩行による歩行音であるので、足音をコンテンツ音声に重畳する必要がない。
【0047】
次に、
図4を用いて、音声出力装置10Aにおける情報処理について説明する。音声出力装置10Aの電源がONされている間、収音用マイクロフォン11によって、周辺の音声が収音される。収音された周辺音データは、周辺音取得部21へ出力される。音声出力装置10Aの電源がONされている間、加速度センサ12Aによって、センサデータが取得される。取得されたセンサデータは、センサデータ取得部24Aへ出力される。
【0048】
ステップS112、ステップS113、ステップS116、ステップS117は、
図2に示すフローチャートのステップS102、ステップS103、ステップS104、ステップS105と同様の処理を行う。
【0049】
制御部20Aは、加速度および周辺音の取得を開始する(ステップS111)。より詳しくは、制御部20Aは、センサデータ取得部24Aによって、加速度センサ12Aから振動を検出したセンサデータを取得する。制御部20Aは、周辺音取得部21によって、収音用マイクロフォン11が収音した周辺音データを取得する。制御部20Aは、ステップS112に進む。
【0050】
制御部20Aは、振動の周期を算出する(ステップS114)。より詳しくは、制御部20Aは、算出部25Aによって、センサデータ取得部24Aによって取得されたセンサデータから、振動の周期を算出する。制御部20Aは、ステップS115へ進む。
【0051】
制御部20Aは、特定音の周期と、振動の周期が一致しないか否かを判定する(ステップS115)。制御部20Aは、特定音の周期と、振動の周期が一致しないと判定する場合(ステップS115でYes)、ステップS116へ進む。制御部20Aは、特定音の周期と、振動の周期が一致しないと判定しない場合(ステップS115でNo)、ステップS117へ進む。
【0052】
このようにして、抽出された足音の周期と、算出された振動の周期とが一致しない場合、他者の足音が含まれているとして、足音を重畳した音声を出力する。
【0053】
(効果)
上述したように、本実施形態では、抽出された足音の周期と、算出された振動の周期とが一致しない場合、他者の足音が含まれているとして、足音を重畳した音声を出力することができる。本実施形態によれば、ユーザの足音と第三者の足音とを区別することができる。本実施形態は、ユーザが注意を払うべき周辺の音声を適切に重畳して出力することができる。
【0054】
本実施形態によれば、ユーザの足音のみの場合はコンテンツ音声に重畳しないので、コンテンツの快適な視聴を妨げないようにできる。
【0055】
[第三実施形態]
図5を参照しながら、本実施形態に係る音声出力装置10Bについて説明する。
図5は、第三実施形態に係る音声出力制御装置を含む音声出力装置の構成例を示す概略図である。音声出力装置10Bは、操作部13Bと、特定音記憶部14Bと、操作受付部26Bとを有する点と、抽出部23Bと、音声出力制御部29Bとにおける処理とが、第一実施形態と異なる。
【0056】
本実施形態では、特定音は、乳幼児の泣き声、または、ペットの鳴き声、である。
【0057】
本実施形態では、ユーザが音声出力装置を使用中に特定音が聞こえた際に、操作部13Bに対して登録操作を行うことによって、そのときに聞こえている特定音を収音用マイクロフォン11により収音して記憶する。
【0058】
操作部13Bは、特定音の登録操作を受付可能である。操作部13Bは、例えば、耳元に装着する本体部に配置された登録ボタンである。操作部13Bは、例えば、スピーカ19と同じ筐体に配置された登録ボタンである。操作部13Bは、例えば、イヤホン、ヘッドホン、電子耳栓および補聴器などのハウジングに配置された登録ボタンである。操作部13Bは、操作情報を操作受付部26Bに出力する。
【0059】
特定音記憶部14Bは、特定音を記憶する。本実施形態では、特定音記憶部14Bは、操作部13Bを介して登録操作がされた特定音を記憶する。特定音記憶部14Bは、図示しない通信部などによる通信機能を介して特定音を取得する外部サーバ等の記憶装置であってもよいし、制御部20B内に配置されていてもよい。特定音記憶部14Bは、操作受付部26Bからの制御信号に基づいて、特定音を登録する。
【0060】
操作受付部26Bは、特定音を特定音記憶部14Bに記憶する操作を受け付ける。操作受付部26Bは、操作部13Bが受け付けた登録操作の操作情報を取得して制御信号を出力する。操作受付部26Bは、登録操作を受け付けると、収音用マイクロフォン11で収音した周辺音を特定音として特定音記憶部14Bに記憶する。
【0061】
抽出部23Bは、周辺音データから、特定音記憶部14Bに記憶された特定音を抽出する。
【0062】
音声出力制御部29Bは、抽出部23Bによって特定音が抽出された場合、特定音を重畳した音声を出力するよう制御する。より詳しくは、音声出力制御部29Bは、再生中のコンテンツ音声に特定音を重畳して音声を出力する。
【0063】
このようにして、周辺音データから、乳幼児の泣き声、または、ペットの鳴き声など、記憶された特定音を抽出する。
【0064】
(効果)
上述したように、本実施形態では、周辺音データから、記憶された特定音を抽出することができる。本実施形態は、ユーザが登録した、ユーザが聞き漏らしたくない周辺の音声を適切に重畳して出力することができる。
【0065】
[第四実施形態]
図6、
図7を参照しながら、本実施形態に係る音声出力装置10Cについて説明する。
図6は、第四実施形態に係るイヤホンの構成例を示すブロック図である。
図7は、第四実施形態に係る電子機器の構成例を示すブロック図である。本実施形態では、音声出力装置10Cは、ユーザが使用するスマートフォンまたはウェアラブル端末のような電子機器30Cによって、第一実施形態の制御部20の機能の一部が実装されている点で第一実施形態と異なる。
【0066】
音声出力装置10Cは、例えば、ワイヤレスイヤホンである。音声出力装置10Cは、収音用マイクロフォン11と、通信部18Cと、スピーカ19と、制御部20Cとを備える。音声出力装置10Cは、電子機器30Cから受信した音声信号に基づいて音声を出力する。
【0067】
本実施形態では、収音用マイクロフォン11は、例えば、電子機器30Cに配置されていてもよい。
【0068】
通信部18Cは、通信ユニットである。通信部18Cは、電子機器30Cとデータを通信可能に接続する。本実施形態では、通信部18Cは、電子機器30Cから、コンテンツ音声を含むデータを受信し、収音した周辺音データを送信する。通信部18Cは、例えば、Bluetooth、または、NFMIを含む近距離無線通信や近距離電磁誘導が可能である。本実施形態では、通信部18Cは、電子機器30Cと、Bluetooth接続によってペアリング可能である。
【0069】
制御部20Cは、周辺音取得部21と、通信制御部28Cと、音声出力制御部29Cとを有する。
【0070】
通信制御部28Cは、通信部18Cを制御することで、電子機器30Cと無線通信を行う。本実施形態では、通信制御部28Cは、電子機器30Cへ周辺音データを送信する。本実施形態では、通信制御部28Cは、電子機器30Cから、出力用の音声信号を受信する。
【0071】
音声出力制御部29Cは、電子機器30Cから受信した音声信号に基づいて、スピーカ19から音声を出力するよう制御する。
【0072】
(電子機器)
電子機器30Cは、音声出力装置10Cのユーザが携帯する、スマートフォン、ウェアラブル端末などの携帯用電子機器である。電子機器30Cは、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部31Cと、地図情報記憶部32Cと、通信部38Cと、制御部40Cとを有する。
【0073】
GNSS受信部31Cは、GNSS衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信機などで構成される。GNSS受信部31Cは、受信したGNSS信号を位置情報取得部41Cに出力する。
【0074】
地図情報記憶部32Cは、地図情報を記憶する。地図情報記憶部32Cは、記憶している地図情報を地図情報取得部42Cへ出力する。地図情報記憶部32Cは、図示しない通信部などによる通信機能を介して地図情報を取得する外部サーバ等の記憶装置であってもよい。
【0075】
地図情報は、例えば、人通りが少ない場所、暗い道、犯罪の発生地点、および、犯罪の発生可能性が高い場所などのような、一人歩きが危険な場所の情報を含んでもよい。地図情報は、例えば、人通りが多い場所、監視カメラが設置されている場所、警察署または交番が近い場所などのような、一人歩きでも安全な場所の情報を含んでもよい。地図情報は、自宅、通学先、勤務先、アルバイト先などの情報を含んでもよい。
【0076】
通信部38Cは、通信ユニットである。通信部38Cは、音声出力装置10Cとデータを通信可能に接続する。本実施形態では、通信部38Cは、音声出力装置10Cへ音声信号を送信し、周辺音データを受信する。通信部38Cは、例えば、Bluetooth、または、NFMIを含む近距離無線通信や近距離電磁誘導が可能である。本実施形態では、通信部38Cは、音声出力装置10Cと、Bluetooth接続によってペアリング可能である。
【0077】
制御部40Cは、例えば、CPUなどで構成された演算処理装置である。制御部40Cは、図示しない記憶部に記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。制御部40Cは、位置情報取得部41Cと、地図情報取得部42Cと、周辺状況取得部43Cと、抽出部44Cと、出力音声生成部45Cと、通信制御部48Cとを備える。制御部40Cには図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは制御部40Cにおけるデータの一時記憶などに用いられる。
【0078】
位置情報取得部41Cは、電子機器30Cの現在位置を示す位置情報を取得する。本実施形態では、位置情報取得部41Cは、GNSS受信部31Cが取得した電波の信号に基づいて、電子機器30Cの位置情報を取得する。
【0079】
地図情報取得部42Cは、地図情報記憶部32Cから地図情報を取得する。地図情報取得部42Cは、電子機器30Cの現在位置に対応する地図情報を取得する。
【0080】
周辺状況取得部43Cは、地図情報取得部42Cによって取得された地図情報に基づいて、犯罪などが発生しやすい状況であるか否かを示す情報を取得する。周辺状況取得部43Cは、例えば、現在位置に対応する、一人歩きが危険な場所という情報が取得されると、犯罪などが発生しやすい状況であるものとする。周辺状況取得部43Cは、例えば、現在位置に対応する、一人歩きでも安全な場所という情報が取得されると、犯罪などが発生しやすい状況ではないものとする。
【0081】
抽出部44Cは、音声出力装置10Cから受信した周辺音データから、特定音を抽出する。特定音を抽出する方法は、第一実施形態と同様である。
【0082】
出力音声生成部45Cは、音声出力装置10Cから音声を出力させる音声信号を生成する。出力音声生成部45Cは、コンテンツ音声を再生する音声信号を生成する。より詳しくは、出力音声生成部45Cは、スピーカ19において、音楽データを音として出力する音声信号を生成する。
【0083】
出力音声生成部45Cは、抽出部44Cによって特定音が抽出された場合、特定音を重畳した音声を出力する音声信号を生成する。出力音声生成部45Cは、音声出力装置10Cにおいて再生中のコンテンツ音声に特定音を重畳した音声の音声信号を生成する。
【0084】
出力音声生成部45Cは、周辺状況取得部43Cが取得した周辺状況に応じて、特定音を重畳する重畳比を変化させて、特定音を強調して出力したり、コンテンツ音声を強調して出力したりする音声信号を生成してもよい。出力音声生成部45Cは、例えば、周辺状況が、犯罪などが発生しやすい状況である場合、他の場合に比べて、特定音を強調して出力してもよい。出力音声生成部45Cは、例えば、周辺状況が、犯罪などが発生しにくい状況である場合、他の場合に比べて、コンテンツ音声を強調して出力してもよい。
【0085】
出力音声生成部45Cは、地図情報取得部42Cによって取得された地図情報に基づいて、現在位置が自宅、通学先、勤務先、アルバイト先から近い場合、特定音を重畳する重畳比を変化させてもよい。出力音声生成部45Cは、例えば、自宅、通学先、勤務先、アルバイト先から近い場合、特定音を強調して出力してもよい。これは、自宅などを第三者に不用意に知られる可能性を抑えるためである。
【0086】
通信制御部48Cは、通信部38Cを制御することで、音声出力装置10Cと無線通信を行う。本実施形態では、通信制御部48Cは、音声出力装置10Cから周辺音データを受信する。本実施形態では、通信制御部48Cは、音声信号を音声出力装置10Cへ送信する。
【0087】
このようにして、周辺状況に応じて、特定音を重畳する重畳比を変化させて、特定音を強調して出力したり、コンテンツ音声を強調して出力したりする。
【0088】
(効果)
上述したように、本実施形態では、周辺状況に応じて、特定音を重畳する重畳比を変化させて、特定音を強調して出力したり、コンテンツ音声を強調して出力したりすることができる。本実施形態によれば、例えば、周辺状況が、犯罪などが発生しやすい状況である場合、他の場合に比べて、特定音を強調して出力できる。本実施形態によれば、例えば、周辺状況が、犯罪などが発生しにくい状況である場合、他の場合に比べて、コンテンツ音声を強調して出力できる。
【0089】
図示した音声出力装置の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0090】
音声出力装置の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0091】
上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。本実施形態では、特定音を重畳するとしたが、重畳ではなく、一対のスピーカの内、一方のスピーカにコンテンツ音声を出力し、もう一方のスピーカに特定音を出力しても良い。また、重畳するのは特定音を含んだ周辺音データとしてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10 音声出力装置
11 収音用マイクロフォン
19 スピーカ
20 制御部(音声出力制御装置)
21 周辺音取得部
22 周辺状況取得部
23 抽出部
29 音声出力制御部