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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004901
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】連結器具
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/06 20060101AFI20250108BHJP
   E01C 9/08 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
F16B5/06 E
E01C9/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104787
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
(71)【出願人】
【識別番号】523245067
【氏名又は名称】KiC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】月山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】吉川 宗範
【テーマコード(参考)】
2D051
3J001
【Fターム(参考)】
2D051DA11
2D051DB16
3J001FA05
3J001GA02
3J001GB01
3J001HA04
3J001JA10
3J001JB02
3J001KA05
3J001KA19
3J001KB04
(57)【要約】
【課題】部品点数を減らすことにより管理を容易とすることができる連結器具を提供する。
【解決手段】連結器具1は、地面Gに並べられた複数の敷き鉄板51,52それぞれの端部を敷き鉄板51,52の厚さ方向から挟み込んで繋ぐために用いられる。連結器具1は、複数の敷き鉄板51,52それぞれの端部を厚さ方向から挟み込むベース部10及び蓋部20を備える。蓋部20は、敷き鉄板51,52の上面に接触する蓋板部21と、蓋板部21と一体形成され、蓋板部21の下面に位置するねじ軸部22と、を備える。ベース部10は、敷き鉄板51,52の下面に接触するベース板部11と、ベース板部11の上面に位置し、ねじ軸部22が螺合するねじ穴部12と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に並べられた複数の敷板それぞれの端部を前記敷板の厚さ方向から挟み込んで繋ぐために用いられる連結器具であって、
前記複数の敷板それぞれの端部を前記厚さ方向から挟み込むベース部及び蓋部を備え、
前記蓋部は、
前記敷板の上面に接触する蓋板部と、
前記蓋板部と一体形成され、前記蓋板部の下面に位置する螺合部と、を備え、
前記ベース部は、
前記敷板の下面に接触するベース板部と、
前記ベース板部の上面に位置し、前記螺合部が螺合する被螺合部と、を備える、
連結器具。
【請求項2】
前記蓋板部は、前記蓋部の前記ベース部に対する回転方向に並べられ、専用工具のピンが挿入可能な複数の工具孔を有する、
請求項1に記載の連結器具。
【請求項3】
前記工具孔は、前記蓋板部の厚さ方向に貫通しつつ、前記ベース部に向かうにつれて穴幅が広がるテーパ部を有する、
請求項2に記載の連結器具。
【請求項4】
前記蓋板部は、前記螺合部が前記被螺合部に螺合するように前記蓋部を前記ベース部に対して回転させる際に前記敷板の上面に摺動する摺動面を有し、
前記摺動面には、前記蓋部の回転方向に沿う同心円状に複数の溝部が形成されている、
請求項1から3の何れか1項に記載の連結器具。
【請求項5】
前記蓋板部の厚さは、前記ベース板部の厚さよりも薄く形成されている、
請求項1から3の何れか1項に記載の連結器具。
【請求項6】
前記ベース部及び前記蓋部は、前記螺合部が前記被螺合部に螺合した状態で、前記厚さ方向から見て重なる円形をなす、
請求項1から3の何れか1項に記載の連結器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のジョイントは、少なくとも二枚の敷き鉄板を挟み込んで繋ぐために用いられる。このジョイントは、敷き鉄板を挟み込むベース部及びカップ部と、カップ部をベース部に対して固定するボルト及びナットと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6641675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、部品点数が多く、これに伴い製品を保管又は運搬する際の管理がしづらかった。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、部品点数を減らすことにより管理を容易とすることができる連結器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る連結器具は、
設置面に並べられた複数の敷板それぞれの端部を前記敷板の厚さ方向から挟み込んで繋ぐために用いられる連結器具であって、
前記複数の敷板それぞれの端部を前記厚さ方向から挟み込むベース部及び蓋部を備え、
前記蓋部は、
前記敷板の上面に接触する蓋板部と、
前記蓋板部と一体形成され、前記蓋板部の下面に位置する螺合部と、を備え、
前記ベース部は、
前記敷板の下面に接触するベース板部と、
前記ベース板部の上面に位置し、前記螺合部が螺合する被螺合部と、を備える。
【0007】
前記蓋板部は、前記蓋部の前記ベース部に対する回転方向に並べられ、専用工具のピンが挿入可能な複数の工具孔を有する、ようにしてもよい。
【0008】
前記工具孔は、前記蓋板部の厚さ方向に貫通しつつ、前記ベース部に向かうにつれて穴幅が広がるテーパ部を有する、ようにしてもよい。
【0009】
前記蓋板部は、前記螺合部が前記被螺合部に螺合するように前記蓋部を前記ベース部に対して回転させる際に前記敷板の上面に摺動する摺動面を有し、前記摺動面には、前記蓋部の回転方向に沿う同心円状に複数の溝部が形成されている、ようにしてもよい。
【0010】
前記蓋板部の厚さは、前記ベース板部の厚さよりも薄く形成されている、ようにしてもよい。
【0011】
前記ベース部及び前記蓋部は、前記螺合部が前記被螺合部に螺合した状態で、前記厚さ方向から見て重なる円形をなす、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、部品点数を減らすことにより管理を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る蓋部がベース部から取り外された状態の連結器具の正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る蓋部がベース部から取り外された状態の連結器具の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る蓋部がベース部に取り付けられた状態の連結器具の側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る連結器具の平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る連結器具の底面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る蓋部の斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る蓋部の工具孔付近の断面図である。
図8】(A)は、本発明の一実施形態に係る連結器具の断面図であり、(B)は、比較例に係る連結器具の断面図である。
図9】(A),(B)は比較例に係る異物が入り込んだ敷き鉄板とベース部の概略断面図であり、(C)は本発明の一実施形態に係る異物が入り込んだ敷き鉄板とベース部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る連結器具について図面を参照して説明する。
図1図2及び図3に示すように、連結器具1は、二枚の敷き鉄板51,52をその厚さ方向から挟み込んで繋ぐために用いられる。
連結器具1は、ベース部10と、蓋部20と、を備える。連結器具1は、ベース部10と蓋部20の2つの別々の部品からなる。蓋部20はベース部10にねじ止めにより着脱可能に構成されている。ベース部10と蓋部20は、それぞれ金属、例えば、鉄により形成されている。
【0015】
蓋部20は、ベース部10に装着されることにより敷き鉄板51,52を上面から押さえ込む。蓋部20は、蓋板部21と、ねじ軸部22と、を備える。
蓋板部21とねじ軸部22は、金属、例えば、鉄により、境界面なく一体形成されている。蓋板部21は、円板状をなす。蓋板部21の厚さT1は、ベース部10の後述するベース板部11の厚さT2よりも薄く形成されている。
蓋板部21は、敷き鉄板51,52の上面に接触する摺動面21aを有する。図6及び図7に示すように、摺動面21aには、複数の溝部21bと山部21yが形成されている。複数の溝部21bは、同心円状に配置されている。詳しくは、複数の溝部21bと山部21yは、それぞれ、蓋部20の回転方向Cに延びる円形をなし、蓋部20の径方向Rに交互に並べられている。溝部21bは、回転方向Cから見て台形形状をなす。山部21yは、径方向Rに並ぶ2つの溝部21bの間に形成されている。山部21yは、回転方向Cから見て下側を向く角部を有する二等辺三角形をなす。
なお、溝部21bは、台形形状に限らず、V溝形状、U溝形状等の他の溝形状であってもよい。また、山部21yは、二等辺三角形に限らず、二等辺三角形以外の三角形、さらに三角形以外の多角形で形成されていてもよい。
【0016】
ねじ軸部22は、蓋板部21の下面の中央に位置し、蓋部20の回転中心軸Jの方向(上下方向)に延びる円柱状をなす。ねじ軸部22の外周面には、ねじ(雄ねじ)が形成されている。
【0017】
図2に示すように、蓋板部21は、専用工具2の各ピン2aが嵌まる複数の工具孔21hを有する。複数の工具孔21hは、蓋部20のベース部10に対する回転方向Cに並べられる。本例では、4つの工具孔21hが等角度(90°)間隔に配置される。
専用工具2は、連結器具専用の特殊工具である。専用工具2は、複数のピン2aと、複数のピン2aが表面に固定される基板(図示略)と、この基板の裏面に固定されるボルト頭部(図示略)と、を備える。作業者は、連結器具1を取り付ける際、各ピン2aを工具孔21hに挿入した状態で、電動ドライバにてボルト頭部を回転させることにより、蓋部20をベース部10に対して回転させる。連結器具1の取り付け方法については後で詳述する。
【0018】
工具孔21hは、蓋板部21の厚さ方向に貫通する円形孔として形成される。図7に示すように、工具孔21hの内周面は、ストレート部21sと、テーパ部21tと、を備える。
ストレート部21sは、蓋部20の回転中心軸Jの方向に延び、この方向において同一の孔径を有する。
テーパ部21tは、ストレート部21sよりもベース部10に近い位置に形成されている。テーパ部21tは、ベース部10に近づくにつれて孔径(孔幅)が大きくなるように形成されている。テーパ部21tのストレート部21sに接する位置の孔径は、ストレート部21sの孔径と同一である。
【0019】
図1図2及び図3に示すように、ベース部10は、地面Gに設置され、敷き鉄板51,52を下面から支持する。ベース部10は、ベース板部11と、ねじ穴部12と、側面接触部13a,13bと、を備える。
ベース板部11は、蓋板部21と同一径を有する円板状をなす。図4及び図5に示すように、ベース板部11と21は、回転中心軸Jの方向から見て重なっている。
【0020】
図2に示すように、ねじ穴部12は、ベース板部11の中央に位置する。ねじ穴部12には、ねじ軸部22が螺合するねじ穴が形成されている。このねじ穴は、回転中心軸Jの方向に延び、ベース板部11を貫通し、内周面にねじ(雌ネジ)が形成されている。
【0021】
側面接触部13a,13bは、ベース板部11の上面に位置し、ねじ穴部12を中心に互いに反対側に配置される。側面接触部13a,13bの両側面には、敷き鉄板51,52の側面が接触する。
【0022】
図2及び図3に示すように、ベース板部11は、敷き鉄板51,52の下面を支持する支持面11a,11bを備える。支持面11aは敷き鉄板51の下面を支持し、支持面11bは敷き鉄板52の下面を支持する。支持面11aと11bは、側面接触部13a,13bを境界部として略半円形状をなす。支持面11a,11bには、それぞれ複数の溝部11cと山部11yが形成されている。各溝部11cと各山部11yは、横断面としては上述した各溝部21bと各山部21yと同形状をなし、側面接触部13aと13bが並ぶ方向に延び、この並ぶ方向に直交する方向に交互に並んでいる。すなわち、各溝部11cと各山部11yは、ストライプ状に配置されている。連結器具1が敷き鉄板51,52を挟み込んだ状態で、各溝部11cと各山部11yにより敷き鉄板51,52が位置ズレ(特に、2つの敷き鉄板51,52の互いに離れる方向への位置ズレ)することが抑制される。
【0023】
次に、連結器具1の取り付け方法について説明する。専用工具2と連結器具1はセットで工事現場に持ち込まれる。
作業者は、まず、ベース部10を地面Gに設置する。そして、ベース部10のベース板部11の支持面11a,11bそれぞれに矩形状の敷き鉄板51,52の端部を設置する。このとき、敷き鉄板51,52それぞれの側面が互いに対面した状態となり、また、敷き鉄板51,52の側面が側面接触部13a,13bの両側面に接触又は接近した状態となる。
【0024】
次に、蓋部20のねじ軸部22をベース部10のねじ穴部12に螺合させるように、蓋部20を回転方向Cに回転させる。この際、専用工具2の各ピン2aを蓋部20の工具孔21h内に挿入し、専用工具2を電動ドライバ(図示略)にて回転方向Cに回転させる。これにより、蓋部20の回転とともに蓋部20がベース部10に近づき、蓋部20の摺動面21aが敷き鉄板51,52の上面に接触する。さらに、蓋部20を回転させることにより、蓋部20の摺動面21aが敷き鉄板51,52の上面に摺動しつつ、蓋部20(摺動面21a)とベース部10(支持面11a,11b)の間に敷き鉄板51,52が挟持された状態となる。摺動面21aには同心円状の溝部21bと山部21yが形成されるため、摺動面21aの摺動時に摺動抵抗が大きくなることが抑制される。
以上により、連結器具1の取り付けが完了し、連結器具1が敷き鉄板51,52の端部同士を連結した状態となる。連結器具1は、複数用意され、2つの敷き鉄板51,52が対向する部位において互いに離れた位置に取り付けられる。
【0025】
連結器具1を敷き鉄板51,52から取り外す際には、蓋部20を連結器具1の取り付け時とは反対方向に回転させる。そして、蓋部20をベース部10から取り外した後に敷き鉄板51,52を搬出し、最後に、ベース部10を地面Gから回収して、連結器具1の取り外しが完了となる。
【0026】
次に、図8(A),(B)を参照しつつ、本実施形態に係る蓋部20の蓋板部21を薄くできることについて比較例と比較しつつ説明する。
比較例に係る図8(B)に示す連結器具101では、ボルトBにより蓋部120がベース部110に固定される。蓋部120の上面には、ボルトBの頭部が位置する凹部121が形成され、さらに、凹部121の底面にはボルトBの軸部が通過する軸通過孔122が形成されている。このように、比較例では、蓋部120ではボルトBの頭部に押される分の厚みtが必要となり、蓋部120が厚くなってしまっていた。
【0027】
この点、本実施形態では、図8(A)に示すように、厚みtが必要ないため、蓋部20を薄く形成することができる。
また、比較例では、凹部121内に土砂等が溜まって、連結器具101の取り外し時に、ボルトBの頭部の操作が困難となる。この点、本実施形態では、工具孔21hは貫通孔であるため、比較例に比べて土砂等の異物が溜まりづらく、また、土砂等が溜まったとしても専用工具2の各ピン2aを工具孔21hに挿入することにより工具孔21h内の異物が落下しやすい。このため、連結器具1の取り外し作業が異物により阻害されることが抑制される。特に、この作用効果は、工具孔21hにテーパ部21tが形成されることにより得られやすい。
【0028】
次に、小石又は土砂等の異物が連結器具1と敷き鉄板51,52との間に入り込んだ場合の作用効果について説明する。
図9(A),(B)に示す比較例では、本実施形態の各山部11yが省略されて、ベース部210の支持面211が平面で形成されている。この比較例において、敷き鉄板51,52と支持面211との間に異物Dが入り込むと、異物Dは、連結器具の取り付け完了後であっても、蓋部とベース部との間で作用する締結力Fにより、図9(B)に示すように粉砕するおそれがある。これにより、敷き鉄板51,52とベース部210との間に隙間Skが生じて、比較例では連結器具が敷き鉄板51,52を挟持する挟持力が弱まる。
この点、本実施形態では、図9(C)に示すように、山部11yの高さ未満の異物Dであれば、各山部11yの頂点が敷き鉄板51,52に接触する。このため、異物Dは、敷き鉄板51,52とベース部10の支持面11a,11bとの間に挟持されずに粉砕しない。よって、蓋部とベース部10との間で作用する締結力Fが維持され、敷き鉄板51,52を挟持する挟持力が維持される。
上記では、ベース部10と敷き鉄板51,52との間に異物Dが入り込んだ場合について説明したが、蓋部20と敷き鉄板51,52との間に異物Dが入り込んだ場合も、これと同様に、山部21yの高さ未満の異物Dは粉砕せずに挟持力が維持される。
【0029】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)連結器具1は、設置面である地面Gに並べられた複数の敷き鉄板51,52(敷板)それぞれの端部を敷き鉄板51,52の厚さ方向から挟み込んで繋ぐために用いられる。連結器具1は、複数の敷き鉄板51,52それぞれの端部を厚さ方向から挟み込むベース部10及び蓋部20を備える。蓋部20は、敷き鉄板51,52の上面に接触する蓋板部21と、蓋板部21と一体形成され、蓋板部21の下面に位置する螺合部の一例であるねじ軸部22と、を備える。ベース部10は、敷き鉄板51,52の下面に接触するベース板部11と、ベース板部11の上面に位置し、ねじ軸部22が螺合する被螺合部の一例であるねじ穴部12と、を備える。
この構成によれば、蓋板部21とねじ軸部22が一体形成されているため、ボルト等が不要となり、部品点数を減らすことができ、連結器具1の管理を容易とすることができる。
【0030】
(2)蓋板部21は、蓋部20のベース部10に対する回転方向Cに並べられ、専用工具2のピン2aが挿入可能な複数の工具孔21hを有する。
従来、一般的な工具(レンチ)にて連結器具の取り外しが可能であるため、敷き鉄板の盗難のリスクがあった。この点、上記構成によれば、連結器具1の取り外しに専用工具2が必要であり、一般的な工具では連結器具1を取り外せない。このため、敷き鉄板51,52の盗難を抑制することができる。
【0031】
(3)工具孔21hは、蓋板部21の厚さ方向に貫通しつつ、ベース部10に向かうにつれて穴幅が広がるテーパ部21tを有する。
この構成によれば、異物が工具孔21h内から下側へ抜けやすくなり、工具孔21hの目詰まりの発生を抑制できる。このため、工具孔21h内に異物が挟まって、専用工具2を利用した蓋部20の回転操作が困難となることが抑制される。
【0032】
(4)蓋板部21は、ねじ軸部22がねじ穴部12に螺合するように蓋部20をベース部10に対して回転させる際に敷き鉄板51,52の上面に摺動する摺動面21aを有する。摺動面21aには、蓋部20の回転方向Cに沿う同心円状に複数の溝部21bが形成されている。
この構成によれば、上述のように、異物の粉砕後も異物が溝部21b内に留まるため、蓋部20とベース部10との間で作用する挟持力が維持されやすい。
【0033】
(5)蓋板部21の厚さT1は、ベース板部11の厚さT2よりも薄く形成されている。
この構成によれば、敷き鉄板51,52の上面から蓋部20が突出する高さを低く抑えることができる。これにより、トラック等のタイヤが蓋部20に乗り上げてもタイヤに負担となりづらい。また、連結器具1のデザイン性も高めることができる。
【0034】
(6)ベース部10及び蓋部20は、ねじ軸部22がねじ穴部12に螺合した状態で、敷き鉄板51,52の厚さ方向から見て重なる円形をなす。
この構成によれば、上方向から見たときの蓋部20の向きという概念がなくなるため、敷き鉄板51,52の厚さにより蓋部20の向きが変わることがなくなる。よって、連結器具1の取り付けが容易となる。
【0035】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0036】
(変形例)
上記実施形態においては、連結器具1は、2枚の敷き鉄板51,52の間に取り付けられていたが、3枚以上の鉄板の間に取り付けられていてもよい。
【0037】
上記実施形態においては、蓋部20は、4つの工具孔21hを有していたが、2つ、3つ又は5つ以上の工具孔21hを有していてもよい。
また、工具孔21hは省略されてもよい。この場合、専用工具にて蓋部20を外周から把持した状態で、この専用工具を蓋部20とともに回転させてもよい。
【0038】
上記実施形態においては、工具孔21hはテーパ部21tを備えていたが、テーパ部21tが省略され、工具孔21hの上下方向の全域がストレート部21sとして形成されてもよい。
また、工具孔21hのストレート部21sが省略され、工具孔21hの上下方向の全域がテーパ部21tとして形成されてもよい。
さらに、ストレート部21sとテーパ部21tの位置関係が反対であってもよく、すなわち、ストレート部21sがテーパ部21tの下側に位置していてもよい。この場合、ストレート部21sはテーパ部21tの最大径以上の孔径を有する。
上記実施形態においては、工具孔21hは円形孔として形成されていたが、円形孔に限らず、多角形孔、又は楕円形孔として形成されてもよい。
【0039】
上記実施形態においては、摺動面21aには同心円状の溝部21bと山部21yが形成されていたが、溝部21bと山部21yはストライプ状に配置されていてもよい。また、溝部21bと山部21yは省略され、摺動面21aが平面で形成されてもよい。
上記実施形態においては、蓋板部21の厚さT1は、ベース板部11の厚さT2よりも薄く形成されていたが、これに限らず、ベース板部11の厚さT2と同等、又は、ベース板部11の厚さT2よりも厚く形成されていてもよい。
上記実施形態においては、ベース部10のベース板部11及び蓋部20の蓋板部21は、回転中心軸Jの方向から見て円形をなしていたが、円形に限らず、小判型、楕円形、長方形等の多角形をなしていてもよい。
【0040】
上記実施形態においては、蓋部20は、外周にねじが形成された円柱状のねじ軸部22を備えていたが、これに限らず、内周にねじが形成された円筒状のねじ部を備えていてもよい。この場合、ベース部10は、ねじ穴部12に代えて外周にねじが形成された円柱状のねじ軸部を備える。
【符号の説明】
【0041】
1,101 連結器具
2 専用工具
2a ピン
10,110,210 ベース部
11 ベース板部
11a,11b 支持面
11c,21b 溝部
11y,21y 山部
12 ねじ穴部
13a,13b 側面接触部
20,120 蓋部
21 蓋板部
21a 摺動面
21h 工具孔
21s ストレート部
21t テーパ部
22 ねじ軸部
51,52 敷き鉄板
121 凹部
122 軸通過孔
B ボルト
C 回転方向
D 異物
G 地面
J 回転中心軸
R 径方向
Sk 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9