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  • 特開-抗アレルギー剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004906
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】抗アレルギー剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/125 20160101AFI20250108BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20250108BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20250108BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20250108BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20250108BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250108BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20250108BHJP
   A61K 31/733 20060101ALI20250108BHJP
   A61K 31/702 20060101ALI20250108BHJP
   C08B 37/18 20060101ALN20250108BHJP
   C07H 3/06 20060101ALN20250108BHJP
【FI】
A23L33/125
A61P37/08
A61P11/06
A61P11/02
A61P17/04
A61P17/00
A61P37/04
A61K31/733
A61K31/702
C08B37/18
C07H3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104794
(22)【出願日】2023-06-27
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000125381
【氏名又は名称】学校法人藤田学園
(71)【出願人】
【識別番号】511045475
【氏名又は名称】株式会社農
(71)【出願人】
【識別番号】313014608
【氏名又は名称】ウェルネオシュガー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】舩坂 好平
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 彩子
(72)【発明者】
【氏名】藤井 匡
(72)【発明者】
【氏名】栃尾 巧
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 学之
(72)【発明者】
【氏名】原 和志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 修啓
(72)【発明者】
【氏名】平林 克樹
(72)【発明者】
【氏名】山川 早紀
(72)【発明者】
【氏名】藤木 理代
(72)【発明者】
【氏名】山田 千佳子
【テーマコード(参考)】
4B018
4C057
4C086
4C090
【Fターム(参考)】
4B018MD31
4B018MD33
4B018ME07
4C057BB04
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086EA20
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA34
4C086ZA59
4C086ZA89
4C086ZB09
4C086ZB13
4C090AA09
4C090BA43
4C090BB39
4C090BC01
4C090DA23
4C090DA27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アレルギーに対する予防・治療効果に優れる抗アレルギー剤を提供すること。
【解決手段】1-ケストース及びイヌリンを有効成分として含有する、抗アレルギー剤。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-ケストース及びイヌリンを有効成分として含有する抗アレルギー剤。
【請求項2】
アレルギーが、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎及び食物アレルギーよりなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1記載の抗アレルギー剤。
【請求項3】
1-ケストース及びイヌリンを有効成分として含有する抗アレルギー用飲食品。
【請求項4】
アレルギーが、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎及び食物アレルギーよりなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項3記載の抗アレルギー用飲食品。
【請求項5】
1-ケストース及びイヌリンを有効成分として含有するIgE産生抑制剤。
【請求項6】
1-ケストース及びイヌリンを有効成分として含有するIgA産生促進剤。
【請求項7】
1-ケストース及びイヌリンを有効成分として含有する腸管免疫賦活剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗アレルギー剤に関し、さらに詳細には日常的に摂取可能で食物アレルギー等に対し優れた予防・治療効果を有する抗アレルギー剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギーは、ウイルスや細菌などの異物に対する防御機能である免疫が過剰に反応して引き起こされる症状であり、その反応に関与する抗体や細胞の違いによりI型~IV型に分類される。このうちI型アレルギーは、免疫グロブリンとしてIgEが関与する反応であり、組織中のマスト細胞や血中の好塩基球上の高親和性IgEレセブター(FcεRI)と結合したIgE抗体にアレルゲンが結合することにより、マスト細胞や好塩基球からヒスタミン等種々の化学伝達物質が遊離し、平滑筋収縮、血管透過性亢進、腺分泌亢進などをきたしアレルギー症状が出現する。I型アレルギーには、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどが含まれる。
【0003】
I型アレルギーのうち食物アレルギーは、「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」と定義され(非特許文献1)、近年増加の一途を辿っている(非特許文献2)。食物アレルギーにおいては、食物経口曝露は免疫寛容を誘導し、アレルギー感作は経皮曝露により生じるという二重抗原曝露仮説が定説である(非特許文献3)。このような背景から、食物アレルギーの予防には、早期アレルゲン経口摂取が実施されている。しかしながら、離乳食による早期多種アレルゲン経口摂取は、保護者の負担が大きいこと(非特許文献4)や、アレルゲン摂取前に食物アレルゲンに感作している場合があること(非特許文献5)などの課題が存在する。以上の背景から、簡便かつ効果的な食物アレルギーの予防方法の研究は社会的に非常に重要であり、例えば、日常的に摂取可能な食品成分により、腸管免疫系において主要な役割を果たすIgA産生を増強させ、経口免疫寛容を誘導することができればアレルギーの予防・改善に有用であると考えられる。
【0004】
近年、食物アレルギーには腸内細菌叢が関与していることが明らかとなり、アレルギー抑制作用を有するプロバイオティクス及びプレバイオティクスについて種々検討がなされている。例えば、ラクトバチルス・プランタラム(特許文献1)、ラクトバチルス・パラカゼイ(特許文献2)、エンテロコッカス・デュランス(特許文献3)、ガラクトオリゴ糖(特許文献4)、フラクトオリゴ糖(特許文献5)などのアレルギー抑制作用について報告されているが、より高い効果が得られる抗アレルギー剤が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-80497号公報
【特許文献2】国際公開第2019/208149
【特許文献3】国際公開第2019/230183
【特許文献4】特開2014-101305号公報
【特許文献5】特開2006-321786号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Boyce JA, Assa’ad A, Burks AW, et al. Guidelines for the diagnosis and management of food allergy in the United States: summary of the NIAID-Sponsored Expert Panel report. J Am Acad Dermatol. 2011;64(1):175-192. doi:10.1016/j.jaad.2010.11.020
【非特許文献2】Tang MLK, Mullins RJ. Food allergy: is prevalence increasing? Intern Med J. 2017;47(3):256-261. doi:10.1111/imj.13362
【非特許文献3】Lack G. Epidemiologic risks for food allergy. J Allergy Clin Immunol. 2008;121(6):1331-1336. doi:10.1016/j.jaci.2008.04.032
【非特許文献4】Voorheis P, Bell S, Cornelsen L, et al. Challenges experienced with early introduction and sustained consumption of allergenic foods in the Enquiring About Tolerance (EAT) study: A qualitative analysis. J Allergy Clin Immunol. 2019;144(6):1615-1623. doi:10.1016/j.jaci.2019.09.004
【非特許文献5】Du Toit G, Roberts G, Sayre PH, et al. Randomized trial of peanut consumption in infants at risk for peanut allergy. N Engl J Med. 2015;372(9):803-813. doi:10.1056/NEJMoa1414850
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、アレルギーに対する予防・治療効果に優れる抗アレルギー剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、1-ケストースとイヌリンを併用することにより、相乗的な抗アレルギー効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、1-ケストース及びイヌリンを有効成分として含有する抗アレルギー剤又は飲食品である。
【0010】
また本発明は、1-ケストース及びイヌリンを有効成分として含有するIgE産生抑制剤、IgA産生促進剤又は腸管免疫賦活剤である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の抗アレルギー剤は、安全性が高い食品成分を有効成分とするものであるため日常的に摂取することができ、IgE産生抑制ないしIgA産生促進に基づき、食物アレルギーなどのアレルギーを簡便かつ効果的に予防・治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】OVA誘発性食物アレルギーモデルマウスにおける症状の重症度の増加を示すグラフ((a) BALB/cマウスのアレルギースコア(b)OVAの経口投与前と30分後の直腸温の変化(c)血清中のOVA特異的IgE(d)血清中の総IgA)。統計的有意性は、両側スチューデントt検定または一元配置分散分析によって決定した(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001)。
図2】OVA誘発性食物アレルギーモデルマウスの1-ケストース単独投与群(Kes)、イヌリン単独投与群(Inu)、1-ケストース及びイヌリン併用群(Kes+Inu)それぞれにおける症状の重症度の軽減を示すグラフ((e) BALB/cマウスのアレルギースコア(f)OVAの経口投与前と30分後の直腸温の変化(g)血清中のOVA特異的IgE(h)血清中の総IgA)。統計的有意性は、両側スチューデントt検定または一元配置分散分析によって決定した(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の抗アレルギー剤は、1-ケストース及びイヌリンを有効成分とするものである。1-ケストース及びイヌリンは、スクロースのフラクトース側にD-フラクトースがβ-(2→1)結合で順次脱水重合したフラクタンであり、GFn(G:グルコース、F:フラクトース、n:フラクトースの数(n≧2))で表される。1-ケストースはn=2(GF)のオリゴ糖である。これに対しイヌリンはn≧6の多糖類であり、フラクトースの平均重合度(n)が好ましくは6~60、より好ましくは7~30、さらに好ましくは7~20、特に好ましくは8~15の範囲のものである。イヌリンは、チコリ、キクイモなどの植物由来のものでも、公知の酵素法等により合成されたものであってもよい。
【0014】
本発明の抗アレルギー剤における1-ケストースとイヌリンの含有質量比は、特に制限されるものではないが、抗アレルギー効果の観点から、1:10~10:1が好ましく、2:8~8:2がより好ましく、4;6~6:4がさらに好ましい。
【0015】
上記1-ケストースとイヌリンを併用することにより、それぞれの単独使用と比べ、相乗的なIgE産生抑制効果及びIgA産生増強効果を示し、ヒトを含む動物のアレルギーを効果的に予防ないし治療・緩和することができる。対象となるアレルギー疾患ないし症状としては、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎及び食物アレルギーなどのI型アレルギーが例示され、特に食物アレルギーに対して好適である。アレルゲンを含む食物としては、例えば、卵、乳、食肉(牛肉、鶏肉、豚肉等)、穀物(大豆、小麦、そば、ごま、落花生、アーモンド等)、やまいも、魚介類(あわび、いか、いくら、えび、かに、さけ、さば等)、果物(バナナ、キウイフルーツ、もも、りんご等)等が挙げられる。アレルゲンとしては、例えば、卵のオボアルブミン、オボムコイド、リゾチーム等、乳のカゼイン、βラクトグロブリン等、小麦のグリアジン、グルテニン等が例示される。
【0016】
また1-ケストースとイヌリンの併用による相乗的なIgA産生促進作用に基づき、腸管免疫を賦活し、腸管免疫に関連する疾患に対して予防・治療効果を得ることができる。腸管免疫に関連する疾患としては、例えば、黄色ブドウ球菌、サルモネラ、病原性大腸菌等の細菌感染症、インフルエンザウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス等のウイルス感染症、クローン病、潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患等が挙げられる。
【0017】
したがって、本発明には、抗アレルギー剤、IgE産生抑制剤、IgA産生促進剤、腸管免疫賦活剤(以下これらを総称して「抗アレルギー剤等」ということがある)等が含まれる。
【0018】
本発明の抗アレルギー剤等は、上記有効成分に、必要に応じ、薬学的に許容される担体と組み合わせて製剤化できる。薬学的に許容される担体としては、例えば、グルコース、乳糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水等が挙げられる。さらに必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤、賦形剤等の慣用の添加剤を適宜添加することもできる。その剤型は特に限定されないが、液剤、粉剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤等が例示され、常法に従って製造することができる。
【0019】
本発明の抗アレルギー剤等の用量は特に制限されるものではないが、例えば、成人1日の用量として体重1kg当たり0.1~5g程度であり、好ましくは0.5~1g程度である。
【0020】
本発明の抗アレルギー剤等は飲食品の形態とすることもでき、上記有効成分に、公知の食品添加物及び/又は食品素材を配合し、常法に従って調製され、その形態も特に制限されるものではなく、例えば、パン、ビスケット、ホットケーキ、麺、錠菓等のデンプンを主体とする食品、ガム、キャンディー、和菓子等の菓子類、ハム、ソーセージ等の畜肉食品、ちくわ、かまぼこ等の魚肉食品、魚介類食品、ドレッシング、醤油、ジャム、ふりかけ等の調味料、茶、ジュース、清涼飲料、酒類等の飲料等が挙げられる。飲食品には、抗アレルギー用途の表示が許可又は届出された特定保健用食品及び機能性表示食品が含まれる。
【0021】
本発明の抗アレルギー剤等は、飼料ないしペットフードの形態とすることもでき、上記有効成分に公知の飼料素材、ゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等を適宜配合し、常法に従って調製される。その形態も特に制限されるものではなく、ペレット状、フレーク状、マッシュ状等任意の形態が例示され、例えば、牛、豚、鶏、羊、馬等の家畜用飼料や犬、猫等のペットフード等として利用できる。
【実施例0022】
以下、本発明の実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0023】
実 施 例 1
OVAアレルギーモデルマウスを使用して1-ケストースとイヌリンの食物アレルギーに対する効果を調べた。
【0024】
(1)試料および方法
[試料]
1-ケストース(Kes;伊藤忠製糖(株)社製、商品名iKesクリスタル)およびイヌリン(Inu;(株)帝人社製、商品名イヌリア(登録商標)HD、平均重合度8-13)を使用した。
【0025】
[OVAの調整]
マウスの感作に用いたOVAは市販の鶏卵卵白から硫酸アンモニウム沈殿法、硫酸及び等電点沈殿法を組み合わせることにより分離精製した。純度はSDS-PAGEにてシングルバンドであることを確認したものを用いた。
【0026】
[動物実験]
本明細書における実験動物のすべての手順は名古屋学芸大学の動物実験倫理委員会の承認を得た(課題番号 128)。実験飼料はCLEA Japan(日本、東京)によりペレット状に精製された。対照飼料の組成はAIN-93Gを基準とした。BALB/cマウス(5週齢)(日本エスエルシー株式会社)を使用し、飼育は、室温24±2℃、明暗サイクル12時間で行った。水は自由に摂取可能な状態で飼育した。
【0027】
[飼育]
1週予備飼育を行い、6週齢にてnon-Allergy (non-Alle)、Allergy (Alle)、1-Kestose(Kes)(5%Kestose)、Inulin(Inu)(5%Inulin)、1-Kestose+Inulin(Kes+Inu)(1-Kestose2.5% & Inulin2.5%)の5群各6匹ずつ分けて飼育した(non-Allergy群及びAllergy群で各1匹ずつdrop out)。OVAアレルギーモデルマウスは試験2週時にOVA (100μg +100μl水酸化アルミニウム)、試験4、5、6、7、8週にOVA (50μg +50μl 水酸化アルミニウム)を腹腔内に投与することによってアレルギーを誘導した。飼料摂取量及び各マウスの体重の測定は毎週実施した。試験8週時にOVA (50mg)経口投与を行い、直腸温変化量及びAllergy scoreを評価した。採血は、解剖時に心臓より実施し、血清は-20℃にて保存した。酵素結合免疫吸着測定法(Elisa)により血清中のOVA特異的IgE及び総IgAを測定した。
【0028】
[アレルギースコア(Allergy score)の評価と直腸温度の測定]
アレルギースコアはOVA経口投与直後から30分後までの以下の症状スコア(Symptom score)を記録し、最高スコアをマウスのアレルギースコアとした。症状スコアはLi MD らの方法(Li XM, Serebrisky D, Lee SY, et al. A murine model of peanut anaphylaxis: T- and B-cell responses to a major peanut allergen mimic human responses. J Allergy Clin Immunol. 2000;106(1 Pt 1):150-158. doi:10.1067/mai.2000.107395)を用いて評価した。
【0029】
<アレルギースコア>
(スコア)(内容)
0:症状なし
1:鼻や頭の周りを掻いたりこすったりする
2:目や口の周りのふくらみ、下痢、毛の逆立ち、活動低下、呼吸数の増加を伴う
活動低下
3:喘鳴、呼吸困難、口や尾の周りのチアノーゼ
4:突いてから活動しない、震えや痙攣
5:死亡
【0030】
<直腸温>
直腸温は、OVA経口投与前及び投与後30分における直腸温を携帯用ディジタル温度計(芝浦電子:TD-300)で測定した。
【0031】
[酵素結合免疫吸着測定法(Elisa)]
<OVA- specific (s)IgE>
96wellマイクロプレートにOVA溶液(1mg/ml PBS)を4℃ 一晩静置し固相した。1%スキムミルク/PBSTで37℃ 1hブロッキングした後、血清(1:10 PBS)を加え37℃ 1hインキュベートした。その後POD-linked anti-mouse IgE(NORDIC IMMUNOLOGY Product code GAM/IgE(Fc)/PO 1:1000 PBS)を37℃ 1hインキュベートしTMBにて発色させ、1N HClで発色停止した。吸光度はMICROPLATE READER(コロナ電気株式会社)を用いて450nmで測定した。
【0032】
<Total -IgA>
96wellマイクロプレートにANTI-MOUSE IgA(α-CHAIN SPECIFIC)Affinity Isolated Antigen Specific Antibody Developed in Sheep Product No.M1272 (1mg/1ml PBS)を4℃ 一晩静置し固相した。Protein free Blocking Bufferで37℃ 1hブロッキングした後、試料溶液(1:10 PBS)を加え37℃ 1hインキュベートした。その後POD-linked anti-mouse IgA(ZYMED Laboratories Lot No.60203562 1:5000 PBS)を37℃ 1hインキュベートしTMBにて発色させ、1N HClで発色停止した。吸光度はMICROPLATE READER(コロナ電気株式会社)を用いて450nmで測定した。
【0033】
[統計解析]
動物試験データはPrism version 9.5.0(GraphPad, San Diego, CA, USA)を用いて解析した。データは、平均±平均の標準誤差(SEM)として示し、両側スチューデント t 検定(two-sided Student's t-test)または一元配置分散分析(one-way ANOVA followed)およびBonferroniの多重比較検定を行った。
【0034】
(2)結果
Non-Alle群と比べると、Alle群では、アレルギースコア、OVA特異的IgE量が有意に高く、直腸温度、Total IgA量が有意に低かった(図1(a)-(d))。またKes+Inu群では、Kes群及びInu群と比較して、KesとInuの投与量が半量ずつであるにもかかわらず、アレルギースコア、OVA特異的IgE量及び直腸温度が低く、総IgA量が高かった(図1(e)-(h))。この結果から、1-ケストースとイヌリンの併用により、それぞれの単独投与と比較して相乗的な抗アレルギー効果及び腸管免疫賦活効果を示すことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の抗アレルギー剤は、安全性が高い食品成分であり、日常的に摂取することができ、アレルギーに対し優れた予防・治療効果が得られるため、抗アレルギー用途の医薬品、食品等として利用可能なものである。

図1
図2