(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004907
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】雄端子、コネクタ、及び雄端子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/04 20060101AFI20250108BHJP
H01R 13/41 20060101ALI20250108BHJP
H01R 43/16 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
H01R13/04 B
H01R13/41
H01R43/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104797
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城田 昌直
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 利一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
【テーマコード(参考)】
5E063
5E087
【Fターム(参考)】
5E063GA03
5E087EE07
5E087FF02
5E087FF18
5E087GG06
5E087MM04
5E087RR02
5E087RR03
5E087RR27
5E087RR47
(57)【要約】
【課題】汎用性を高めた雄端子、コネクタ、及び雄端子の製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】金属板から形成された雄端子11であって、基部11Aと、基部11Aから延びる相手接続部11Bと、を備えている。基部11A及び相手接続部11Bは、金属板の板厚方向と直交する一方向に連なって延びている。相手接続部11Bは、板厚方向における寸法が基部11Aの板厚方向における寸法よりも大きい厚肉部11Eを有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板から形成された雄端子であって、
基部と、前記基部から延びる相手接続部と、を備え、
前記基部及び前記相手接続部は、前記金属板の板厚方向と直交する一方向に連なって延びており、
前記相手接続部は、前記板厚方向における寸法が前記基部の前記板厚方向における寸法よりも大きい厚肉部を有している、雄端子。
【請求項2】
前記一方向から見た前記厚肉部の外形形状は、円形状である、請求項1に記載の雄端子。
【請求項3】
前記一方向及び前記板厚方向に直交する幅方向において、前記基部の幅寸法は、前記厚肉部よりも大きい、請求項2に記載の雄端子。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の雄端子と、
前記雄端子が圧入される圧入孔が形成された誘電体と、
を備え、
前記板厚方向における前記基部の厚み寸法は、前記金属板の板厚と同じであり、
前記基部は、前記圧入孔に圧入されて前記誘電体に保持され、
前記厚肉部の少なくとも一部が前記誘電体の外部に配置されている、コネクタ。
【請求項5】
前記圧入孔は、前記基部が圧入される第1領域と、前記雄端子を圧入する際に前記厚肉部が非圧入状態で通過する第2領域と、を有し、
前記板厚方向における前記第2領域の寸法は、前記第1領域よりも大きい、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
金属板をプレス加工して形成する雄端子の製造方法であって、
雄端子は、基部と、前記基部から延びる相手接続部と、を備え、
前記基部及び前記相手接続部は、前記金属板の板厚方向と直交する一方向に連なって延びており、
前記金属板を前記板厚方向と直交する向きに圧縮して前記金属板の板厚よりも厚肉の厚肉部を前記相手接続部の少なくとも一部に形成する厚肉部形成工程を備える、雄端子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、雄端子、コネクタ、及び雄端子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高速通信に用いられるコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速通信用コネクタでは、信号の反射を抑えるために、特性インピーダンスの整合をはかることが必要である。特許文献1のコネクタには、長さ方向において一定の板厚とされた端子が用いられている。このため、特許文献1の端子における相手接続部の厚みは、フープ材等の母材の板厚に依存することになる。母材の板厚の種類は限られており、これにより、相手接続部の厚みのバリエーションも限られてしまう。このため、このコネクタに嵌合可能な相手側コネクタのバリエーションが限られることになり、コネクタの汎用性に欠けてしまう懸念がある。
【0005】
本開示は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、汎用性を高めた雄端子、コネクタ、及び雄端子の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示の雄端子は、
金属板から形成された雄端子であって、
基部と、前記基部から延びる相手接続部と、を備え、
前記基部及び前記相手接続部は、前記金属板の板厚方向と直交する一方向に連なって延びており、
前記相手接続部は、前記板厚方向における寸法が前記基部の前記板厚方向における寸法よりも大きい厚肉部を有している。
【0007】
第2の開示のコネクタは、
第1の開示の雄端子と、
前記雄端子が圧入される圧入孔が形成された誘電体と、
を備え、
前記板厚方向における前記基部の寸法は、前記金属板の板厚と同じであり、
前記基部は、前記圧入孔に圧入されて前記誘電体に保持され、
前記厚肉部の少なくとも一部が前記誘電体の外部に配置されている。
【0008】
第3の開示の雄端子の製造方法は、
金属板をプレス加工して形成する雄端子の製造方法であって、
前記雄端子は、基部と、前記基部から延びる相手接続部と、を備え、
前記基部及び前記相手接続部は、前記金属板の板厚方向と直交する一方向に連なって延びており、
前記金属板を前記板厚方向と直交する向きに圧縮して前記金属板の板厚よりも厚肉の厚肉部を前記相手接続部の少なくとも一部に形成する厚肉部形成工程を備える。
【発明の効果】
【0009】
第1から第3の開示によれば、コネクタの汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態のコネクタの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1に示すコネクタであって回路基板に取り付けた状態のコネクタを示す側断面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す雄端子の製造過程で雄端子が連なるように形成された連鎖端子の正面図である。
【
図8】
図8は、他の実施形態の雄端子の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)金属板から形成された雄端子であって、
基部と、前記基部から延びる相手接続部と、を備え、
前記基部及び前記相手接続部は、前記金属板の板厚方向と直交する一方向に連なって延びており、
前記相手接続部は、前記板厚方向における寸法が前記基部の前記板厚方向における寸法よりも大きい厚肉部を有している、雄端子。
【0012】
(1)の雄端子は、相手接続部が有する厚肉部によって、対応する相手側端子金具のバリエーションを増やすことができ、ひいては、対応する相手側コネクタのバリエーションを増やすことができる。
【0013】
(2)前記一方向から見た前記厚肉部の外形形状は、円形状である、(1)に記載の雄端子。
【0014】
(2)の雄端子は、相手接続部の周方向において、相手端子金具との接触圧に斑を生じ難くすることができる。
【0015】
(3)前記一方向及び前記板厚方向に直交する幅方向において、前記基部の幅寸法は、前記厚肉部よりも大きい、(1)または(2)に記載の雄端子。
【0016】
(3)の雄端子は、例えば、誘電体に雄端子を圧入する構成とした場合、基部における相手接続部よりも幅方向に突出した部分を利用して、誘電体に保持される構成とすることができる。
【0017】
(4)(1)から(3)のいずれかに記載の雄端子と、
前記雄端子が圧入される圧入孔が形成された誘電体と、
を備え、
前記板厚方向における前記基部の厚み寸法は、前記金属板の板厚と同じであり、
前記基部は、前記圧入孔に圧入されて前記誘電体に保持され、
前記厚肉部の少なくとも一部が前記誘電体の外部に配置されている、コネクタ。
【0018】
(4)のコネクタは、基部と誘電体の構成を従来の構成から大きく変更しなくとも、誘電体の外部に厚肉部を配置することによって、対応する相手側端子金具のバリエーションを増やすことができる。
【0019】
(5)前記圧入孔は、前記基部が圧入される第1領域と、前記雄端子を圧入する際に前記厚肉部が非圧入状態で通過する第2領域と、を有し、
前記板厚方向における前記第2領域の寸法は、前記第1領域よりも大きい、(4)に記載のコネクタ。
【0020】
(5)のコネクタは、板厚方向における圧入孔の第2領域の寸法が第1領域よりも大きいので、雄端子を圧入孔に圧入する際に、厚肉部と圧入孔との間に生じる摩擦力を抑えることができる。したがって、圧入のために雄端子に付与する押圧力を抑えることができる。
【0021】
(6)金属板をプレス加工して形成する雄端子の製造方法であって、
雄端子は、基部と、前記基部から延びる相手接続部と、を備え、
前記基部及び前記相手接続部は、前記金属板の板厚方向と直交する一方向に連なって延びており、
前記金属板を前記板厚方向と直交する向きに圧縮して前記金属板の板厚よりも厚肉の厚肉部を前記相手接続部の少なくとも一部に形成する厚肉部形成工程を備える、雄端子の製造方法。
【0022】
(6)の雄端子の製造方法は、厚肉部形成工程によって、相手接続部の少なくとも一部の厚さを母材である金属板の板厚よりも厚く形成することができるので、対応する相手側端子金具のバリエーションを増やすことができ、ひいては、対応する相手側コネクタのバリエーションを増やすことができる。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
<実施形態1>
本開示を具体化した実施形態1のコネクタ10を、
図1から
図7を参照して説明する。コネクタ10は、回路基板50に実装される基板用コネクタである(
図6参照)。コネクタ10は、
図1に示すように、雄端子11と、誘電体12と、外導体13と、ハウジング14と、を備える。コネクタ10は、図示しない相手コネクタに嵌合される。相手コネクタは、通信用の信号が伝送されるケーブルの端末に接続されたシールドコネクタである。本実施形態1において、図中、「前側」、「後側」、「上側」、「下側」、「右側」、及び「左側」は、それぞれ「F」、「B」、「U」、「D」、「R」、及び「L」で表される。なお、前後方向は、コネクタ10が相手コネクタに嵌合する方向である。
【0024】
[雄端子の構成]
雄端子11は、導電性を有する金属板から形成される。雄端子11は、全体として細長く延びるように形成されている。雄端子11は、基部11Aと、相手接続部11B(タブ)と、基板接続部11Cと、相手接続部11Bと基板接続部11Cとの間に配置される繋ぎ部11Dと、厚肉部11Eと、を有している。
【0025】
図2に示すように、基部11Aは、板厚方向を上下方向に向けつつ前後方向に延びて形成されている。基部11Aの上下方向の寸法(厚み寸法)は、母材である金属板の板厚と同じである。すなわち、基部11Aの上下方向に母材である金属板の板厚方向が対応している。
【0026】
相手接続部11Bは、相手側コネクタの図示しない相手端子に接続される。相手接続部11Bは、基部11Aの前端から前向きに延びている。相手接続部11B及び基部11Aは、母材である金属板の板厚方向と直交する前後方向(一方向)に連なって延びている。
【0027】
基板接続部11Cは、前後方向に延びて形成されている。基板接続部11Cは、基部11A及び相手接続部11Bよりも後側下方に配置されている。基板接続部11Cは、回路基板50の導電部分に半田付けして接続される(
図6参照)。繋ぎ部11Dは、基部11Aの後端から斜め後側下向きに傾斜して延びている。繋ぎ部11Dの下端は、基板接続部11Cの前端に連なっている。
【0028】
厚肉部11Eは、相手接続部11Bに設けられている。厚肉部11Eにおける上下方向の寸法は、基部11Aの上下方向における寸法よりも大きく形成されている(
図2、3参照)。前後方向(一方向)から見た厚肉部11Eの外形形状は、円形状をなしている(
図3参照)。前後方向(一方向)及び上下方向(板厚方向)に直交する左右方向(幅方向)において、基部11Aの幅寸法は、厚肉部11Eよりも大きい(
図3参照)。
【0029】
[雄端子の製造方法の一例]
雄端子11は、母材である金属板をプレス加工して切り出して形成される。具体的には、先ず、金属板をプレス加工することによって、雄端子11の外形形状を形成する外形形成工程を実行する。外形形成工程では、相手接続部11B、基部11A、繋ぎ部11D、及び基板接続部11Cがこの順で一直線状に連なった形態で外形が金属板から切り出される。例えば、外形形成工程では、
図7に示すように、複数の雄端子11の基部11A同士が左右方向に連なるように形成された連鎖端子30を形成する。外形形成工程を実行した状態において、相手接続部11Bの上下方向の寸法は、基部11Aの上下方向の寸法と同じ、すなわち、母材である金属板の板厚と同じである(
図7における点線の形状)。
【0030】
次に、相手接続部11Bの少なくとも一部に金属板の板厚よりも厚肉の厚肉部11Eを形成する圧肉部形成工程を実行する。厚肉部形成工程では、金属板から切り出されて金属板と同じ板厚の相手接続部11Bを、金属板の板厚方向と直交する向き(左右方向)に圧縮する。これにより、相手接続部11Bに金属板の板厚よりも厚肉の厚肉部11Eを形成する(
図7における二点鎖線の形状)。
【0031】
[誘電体の構成]
誘電体12は、絶縁性の合成樹脂製である。
図1に示すように、誘電体12は、全体としてブロック状に形成されている。誘電体12は、側面から見るとL字形をなしている。誘電体12は、前後方向に延びる端子装着部12Aと、端子装着部12Aの後端に連なって上下方向に延びる端子引出部12Bと、を有している。
【0032】
図4に示すように、端子装着部12Aは、左右一対の圧入孔12Cが形成されている。各圧入孔12Cには、雄端子11が圧入される。
図5に示すように、各圧入孔12Cは、端子装着部12A内を前後方向に貫通している。各圧入孔12Cの後部における左右方向の寸法は、前部よりも大きく形成されている。
【0033】
各圧入孔12Cは、第1領域R1と、第2領域R2と、を有している。第1領域R1は、各圧入孔12Cにおける左右方向中央部を除いた領域である。第1領域R1の上下方向の寸法H1(
図4参照)は、雄端子11の基部11Aの上下方向の寸法よりも僅かに大きい。言い換えると、第1領域R1の上下方向の寸法H1は、雄端子11の母材である金属板の板厚における公差の最大値と同程度である。
【0034】
第2領域R2は、各圧入孔12Cにおける左右方向中央部の領域である。第2領域R2は、圧入孔12Cにおいて前後方向の全体にわたって形成されている。
図4に示すように、前方から見て第2領域R2は、各圧入孔12Cの上側の内面が弧状をなして上向きに凹んで形成され、下側の内面が弧状をなして下向きに凹んで形成されている。第2領域R2におけるこれらの凹みは、前方から見て同一円周上に形成されている。第2領域R2の上下方向(板厚方向)における寸法H2は、雄端子11の相手接続部11Bの上下方向の寸法(相手接続部11Bの直径)における公差の最大値よりも僅かに大きい。第2領域R2における上下方向(板厚方向)の寸法H2は、第1領域R1における上下方向(板厚方向)の寸法H1よりも大きい。
【0035】
図5に示すように、端子引出部12Bの後面には、前向きに凹んで収容凹部12Dが形成されている。収容凹部12Dは、端子引出部12Bの上部において左右方向に延び、後向きの奥面に各圧入孔12Cの後端が連通して開口しており、左右両側において下方に延び、下端が端子引出部12Bの下面に開口している。
【0036】
[誘電体に対する雄端子の組付けの一例]
誘電体12の各圧入孔12Cには、後方から雄端子11が挿入される。具体的には、雄端子11の姿勢を、相手接続部11Bを基部11Aの前方に配置しつつ、基板接続部11Cを相手接続部11B及び基部11Aよりも下方に配置した姿勢にして、雄端子11を誘電体12の後方から近づける。そして、各圧入孔12Cに雄端子11を挿入する。このとき、相手接続部11Bは、第2領域R2を前向きに移動する。第2領域R2の上下方向の寸法H2は、雄端子11の相手接続部11Bの上下方向の寸法(相手接続部11Bの直径)における公差の最大値よりも僅かに大きい。このため、相手接続部11Bと第2領域R2を形成する面との間に生じる摩擦力の大きさは、軽微である。つまり、雄端子11を圧入孔12Cに圧入する際に、相手接続部11Bの厚肉部11Eは、非圧入状態で第2領域R2を前向きに通過する。
【0037】
続いて、基部11Aが第1領域R1に進入する。第1領域R1の上下方向の寸法H1は、雄端子11の母材である金属板の板厚における公差の最大値と同程度である。このため、基部11Aと第1領域R1を形成する面との間に生じる摩擦力の大きさは、相手接続部11Bと第2領域R2を形成する面との間に生じる摩擦力よりも大きいものになる。これにより、基部11Aは、圧入によって圧入孔12Cに保持される。言い換えると、基部11Aは、圧入孔12Cに圧入されて誘電体12に保持される。
【0038】
さらに、雄端子11の圧入孔12Cへの挿入を進めると、
図6に示すように、相手接続部11Bは、第2領域R2を前向きに通過して、端子装着部12Aの前方に突出する。これとともに、繋ぎ部11Dは、収容凹部12Dの奥面に沿うように配置され、収容凹部12D内に収容される。このとき、基板接続部11Cは、端子引出部12Bの下方に突出するように配置される。厚肉部11Eは、後端部を除いて誘電体12の前方(誘電体12の外部)に配置される。つまり、厚肉部11Eの一部は、誘電体12の外部に配置される。
【0039】
[外導体の構成]
外導体13は、亜鉛又は亜鉛合金によって成形されている。外導体13は、外部から雄端子11に侵入するノイズを抑制し、かつ雄端子11から外部へのノイズの漏洩を抑制するシールド部材として機能する。
【0040】
図1に示すように、外導体13は、後部に収容部13Aを有し、前部に包囲部13Bを有し、包囲部13Bと収容部13Aとが連結する位置に壁部13Cを有している。収容部13Aは、後方から見て門型形状をなしている。収容部13Aの前端は、壁部13Cの後面に連なっている。
【0041】
収容部13A及び壁部13Cの下端には、下方に円柱状をなして突出する複数のボス13Eを有している。具体的には、ボス13Eは、壁部13Cの左右方向両側に一つずつ配置され、収容部13Aの後端部に一つずつ配置されている。各ボス13Eは、回路基板50に形成された取付孔50Aに位置決めして挿入される(
図6参照)。
【0042】
包囲部13Bは、四隅が丸みを帯びた角筒状をなして前後方向に延びている。包囲部13Bの後端は、壁部13Cの前面に連なっている。包囲部13Bの内側の後部には、誘電体12の端子装着部12A及び雄端子11の相手接続部11B及び基部11Aが収容される(
図6参照)。雄端子11の相手接続部11Bは、包囲部13B内の前部に突出して配置される(
図6参照)。包囲部13Bは、相手コネクタとの嵌合状態において、内側の前部において相手コネクタの外導体に導通可能に接触する(図示せず)。壁部13Cは、平板状をなし、包囲部13Bと収容部13Aとの間を仕切るとともに、包囲部13Bの後端から径方向外側に張り出して形成されている。壁部13Cには、前後方向に貫通した挿通孔13Dが形成されている。包囲部13Bは、挿通孔13Dを介して収容部13A内に連通している。
【0043】
外導体13には、雄端子11を装着した誘電体12が後方から挿入される。具体的には、端子装着部12Aを端子引出部12Bの前方に配置するとともに、基板接続部11Cを下方に突出した姿勢にして、外導体13の後方から雄端子11を装着した誘電体12を近づける。そして、挿通孔13Dに端子装着部12Aを挿通し、包囲部13Bに端子装着部12Aを圧入する(
図6参照)。そして、端子引出部12Bの前面が壁部13Cの後面に接触したところで、外導体13への、誘電体12の挿入が完了する(
図6参照)。このとき、相手接続部11Bは、包囲部13B内の前側に配置される(
図6参照)。
【0044】
[ハウジングの構成]
ハウジング14は、絶縁性の合成樹脂材によって形成されている。ハウジング14は、背面視矩形の板状をなす基壁14Aと、基壁14Aから前方に突出する角筒状の嵌合筒部14Bと、を有している。嵌合筒部14B内には、相手コネクタの相手ハウジングが嵌合される(図示せず)。嵌合筒部14Bの上壁の内面には、ロック突起14Dが形成されている(
図6参照)。相手ハウジングのロックアームがロック突起14Dに係止されることにより、コネクタ10と相手コネクタとが嵌合状態に保持されるようになっている(図示せず)。基壁14Aには、前後方向に貫通した貫通孔14Cが形成されている。貫通孔14C内には、外導体13の包囲部13Bが圧入される(
図6参照)。
【0045】
次に、本構成の効果を例示する。
母材である金属板から形成された雄端子11であって、基部11Aと、基部11Aから延びる相手接続部11Bと、を備えている。基部11A及び相手接続部11Bは、母材である金属板の板厚方向(上下方向)と直交する前後方向(一方向)に連なって延びている。相手接続部11Bは、板厚方向(上下方向)における寸法が基部11Aの板厚方向(上下方向)における寸法よりも大きい厚肉部11Eを有している。
【0046】
この構成によれば、相手接続部11Bが有する厚肉部11Eによって、対応する相手側端子金具のバリエーションを増やすことができ、ひいては、対応する相手側コネクタのバリエーションを増やすことができる。
【0047】
前後方向(一方向)から見た厚肉部11Eの外形形状は、円形状である。この構成によれば、相手接続部11Bの周方向において、相手端子金具との接触圧に斑を生じ難くすることができる。
【0048】
前後方向(一方向)及び上下方向(板厚方向)に直交する左右方向(幅方向)において、基部11Aの幅寸法は、厚肉部11Eよりも大きい。この構成によれば、誘電体12に雄端子11を圧入する構成とした場合、基部11Aにおける相手接続部11Bよりも幅方向に突出した部分を利用して、雄端子11を誘電体12に保持させることができる。
【0049】
コネクタ10は、雄端子11と、雄端子11が圧入される圧入孔12Cが形成された誘電体12と、を備えている。上下方向(板厚方向)における基部11Aの厚み寸法は、母材である金属板の板厚と同じであり、基部11Aは、圧入孔12Cに圧入されて誘電体12に保持され、厚肉部11Eの少なくとも一部が誘電体12の外部に配置されている。この構成によれば、基部11Aと誘電体12の構成を従来の構成から大きく変更しなくとも、誘電体12の外部に厚肉部11Eを配置することによって、対応する相手側端子金具のバリエーションを増やすことができる。
【0050】
圧入孔12Cは、基部11Aが圧入される第1領域R1と、雄端子11を圧入する際に厚肉部11Eが非圧入状態で通過する第2領域R2と、を有し、上下方向(板厚方向)における第2領域R2の寸法は、第1領域R1よりも大きい。この構成によれば、上下方向における圧入孔12Cの第2領域R2の寸法が第1領域R1よりも大きいので、雄端子11を圧入孔12Cに圧入する際に、厚肉部11Eと圧入孔12Cとの間に生じる摩擦力を抑えることができる。したがって、雄端子11を圧入孔12Cに圧入するために雄端子11に付与する押圧力を抑えることができる。
【0051】
金属板をプレス加工して形成する雄端子の製造方法であって、雄端子11は、基部11Aと、基部11Aから延びる相手接続部11Bと、を備えている。基部11A及び相手接続部11Bは、金属板の板厚方向と直交する前後方向(一方向)に連なって延びている。雄端子の製造方法は、金属板を板厚方向と直交する向きに圧縮して金属板の板厚よりも厚肉の厚肉部11Eを相手接続部11Bに形成する厚肉部形成工程を備えている。この構成によれば、厚肉部形成工程によって、相手接続部11Bの少なくとも一部の厚さを母材である金属板の板厚よりも厚く形成することができる。すなわち、相手接続部11Bの少なくとも一部の厚さを、対向する相手端子金具に応じて変更可能である。そのため、対応する相手側端子金具のバリエーションを増やすことができ、ひいては、対応する相手側コネクタのバリエーションを増やすことができる。
【0052】
<他の実施形態>
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0053】
実施形態1とは異なり、前後方向から見た厚肉部の外形形状を多角形状としてもよい。例えば、
図8に示すように、外形形成工程を実行した状態において、相手接続部111Bの左右方向(幅方向)の寸法を母材である金属板の板厚と同じにしておき(
図8における点線の形状)、相手接続部111Bを軸線周りに45度捻じるように加工する。45度捻じるように加工した後の相手接続部111Bの上下方向の寸法は、母材である金属板の板厚(基部111Aの板厚)よりも大きい寸法となる(
図8における二点鎖線の形状)。
【0054】
実施形態1とは異なり、板厚方向と直交する前後方向に相手接続部を圧縮(すなわち、ヘッダー加工)して厚肉部を形成してもよい。
【0055】
実施形態1とは異なり、厚肉部形成工程において、厚肉部を相手接続部の少なくとも一部に形成してもよい。
【0056】
実施形態1とは異なり、へミング曲げによって相手接続部を形成して、厚肉部を設けてもよい。
【0057】
実施形態1とは異なり、厚肉部の全てを誘電体の外部に配置してもよい。
【0058】
実施形態1とは異なり、第2領域は、矩形状をなして段付き状に凹んで形成されていてもよく、多角形状をなして凹んで形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 …コネクタ
11 …雄端子
11A,111A…基部
11B,111B…相手接続部
11C …基板接続部
11D …繋ぎ部
11E …厚肉部
12 …誘電体
12A …端子装着部
12B …端子引出部
12C …圧入孔
12D …収容凹部
13 …外導体
13A …収容部
13B …包囲部
13C …壁部
13D …挿通孔
13E …ボス
14 …ハウジング
14A …基壁
14B …嵌合筒部
14C …貫通孔
14D …ロック突起
30 …連鎖端子
50 …回路基板
50A …取付孔
H1,H2…寸法
R1 …第1領域
R2 …第2領域