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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004918
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】内導体、及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6474 20110101AFI20250108BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20250108BHJP
【FI】
H01R13/6474
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104815
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城田 昌直
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 利一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA14
5E021FB02
5E021FC19
5E021FC23
5E021LA09
5E021LA16
5E223AB60
5E223BA01
5E223BA07
5E223CB22
5E223CB25
5E223CB31
5E223CB83
5E223CD01
5E223CD25
5E223DB09
5E223DB11
5E223DB33
5E223EA02
5E223EA13
5E223EA32
5E223EB04
5E223EB12
5E223EB33
(57)【要約】
【課題】特性インピーダンスの整合をより高め得る内導体、及びコネクタを提供する。
【解決手段】金属板から形成された内導体11であって、回路基板50に接続される基板接続部11Cと、誘電体12(取付対象)に圧入される圧入部11Aと、圧入部11Aと基板接続部11Cとを繋ぐ繋ぎ部11Dと、を備えている。圧入部11A、繋ぎ部11D、及び基板接続部11Cのうち繋ぎ部11Dと基板接続部11Cに、内導体11の板厚を部分的に薄くする薄肉の薄肉部11Eが配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板から形成された内導体であって、
基板に接続される基板接続部と、
取付対象に圧入される圧入部と、
前記圧入部と前記基板接続部とを繋ぐ繋ぎ部と、
を備え、
前記圧入部、前記繋ぎ部、及び前記基板接続部のうち少なくとも前記繋ぎ部に、前記内導体の板厚を部分的に薄くする薄肉の薄肉部が配置されている、内導体。
【請求項2】
金属板から形成された内導体と、
前記内導体が圧入される圧入孔が形成された誘電体と、
を備え、
前記内導体は、基板に接続される基板接続部と、前記圧入孔に圧入される圧入部と、前記圧入部と前記基板接続部とを繋ぐ繋ぎ部と、を有し、
前記誘電体は、前記繋ぎ部を露出させ、
前記繋ぎ部には、前記内導体の板厚を部分的に薄くする薄肉の薄肉部が配置されている、コネクタ。
【請求項3】
前記誘電体及び前記内導体を包囲する外導体を備え、
前記外導体は、筒状をなして前記圧入部の外周を包囲する包囲部と、前記包囲部の後端から前記基板側に垂下する壁部と、を有し、
前記繋ぎ部と前記壁部との間で最も近い第1最短距離は、前記圧入部と前記包囲部との間で最も近い第2最短距離よりも小さく、
前記薄肉部は、前記繋ぎ部において少なくとも前記壁部との距離が最も近い位置を含む領域に配置されている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記繋ぎ部は、前記圧入部の後端から斜め後方下向きに屈曲して延出しており、
前記繋ぎ部の延出方向における中央部と、前記壁部との距離が前記第1最短距離である、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記外導体は、前記壁部の幅方向の両端部から下方に延びて前記基板に連結される一対のボスを有している、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記薄肉部は、少なくとも前記中央部から前記圧入部と前記繋ぎ部との境界部まで配置されている、請求項5に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内導体、及びコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高速通信に用いられるコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-018174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速通信用コネクタでは、信号の反射を抑えるために、特性インピーダンスの整合をはかることが必要である。特許文献1のコネクタには、特性インピーダンスの整合をはかるために長さ方向において一定の板厚とされた内導体が用いられている。しかし、内導体には、誘電体の装着孔に圧入するために押圧する圧入肩が設けられ、圧入肩の幅を大きくするため、圧入肩の後方における幅が狭い部分が形成されている。さらに、誘電体は、つなぎ部を収容するための延出凹部や、圧入肩を押圧する治具が入り込む引出凹部を有する複雑な形状をなしている。また、内導体は、一部が誘電体に圧入される一方で、別の一部は誘電体から露出している。このため、特許文献1のコネクタは、特性インピーダンスの整合を十分にはかることができない懸念がある。
【0005】
本開示は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、特性インピーダンスの整合をより高め得る内導体、及びコネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示の内導体は、
金属板から形成された内導体であって、
基板に接続される基板接続部と、
取付対象に圧入される圧入部と、
前記圧入部と前記基板接続部とを繋ぐ繋ぎ部と、
を備え、
前記圧入部、前記繋ぎ部、及び前記基板接続部のうち少なくとも前記繋ぎ部に、前記内導体の板厚を部分的に薄くする薄肉の薄肉部が配置されている。
【0007】
第2の開示のコネクタは、
金属板から形成された内導体と、
前記内導体が圧入される圧入孔が形成された誘電体と、
を備え、
前記内導体は、基板に接続される基板接続部と、前記圧入孔に圧入される圧入部と、前記圧入部と前記基板接続部とを繋ぐ繋ぎ部と、を有し、
前記誘電体は、前記繋ぎ部を露出させ、
前記繋ぎ部には、前記内導体の板厚を部分的に薄くする薄肉の薄肉部が配置されている。
【発明の効果】
【0008】
第1及び第2の開示によれば、特性インピーダンスの整合をより高め得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態のコネクタの分解斜視図である。
図2図2は、図1に示す内導体の側面図である。
図3図3は、図1に示す誘電体の正面図である。
図4図4は、図3におけるA-A断面図である。
図5図5は、図1に示すコネクタであって回路基板に取り付けた状態のコネクタを示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)金属板から形成された内導体であって、
基板に接続される基板接続部と、
取付対象に圧入される圧入部と、
前記圧入部と前記基板接続部とを繋ぐ繋ぎ部と、
を備え、
前記圧入部、前記繋ぎ部、及び前記基板接続部のうち少なくとも前記繋ぎ部に、前記内導体の板厚を部分的に薄くする薄肉の薄肉部が配置されている、内導体。
【0011】
(1)の内導体は、少なくとも繋ぎ部に薄肉部を配置することによって、取付対象から露出しがちな部分における内導体の特性インピーダンスの整合をはかりやすくすることができる。また、取付対象の形状に応じて内導体に薄肉部を配置することにより、内導体の特性インピーダンスの整合を容易に高めることができる。
【0012】
(2)金属板から形成された内導体と、
前記内導体が圧入される圧入孔が形成された誘電体と、
を備え、
前記内導体は、基板に接続される基板接続部と、前記圧入孔に圧入される圧入部と、前記圧入部と前記基板接続部とを繋ぐ繋ぎ部と、前記内導体の板厚を部分的に薄くする薄肉の薄肉部と、を有し、
前記誘電体は、前記繋ぎ部を露出させ、
前記薄肉部は、前記繋ぎ部に配置されている、コネクタ。
【0013】
(2)のコネクタは、誘電体から露出した繋ぎ部に薄肉部を配置することによって、誘電体から露出した繋ぎ部の特性インピーダンスを調整することができる。また、取付対象の形状に応じて内導体に薄肉部を配置することにより、内導体の特性インピーダンスの整合を容易に高めることができる。
【0014】
(3)前記誘電体及び前記内導体を包囲する外導体を備え、
前記外導体は、筒状をなして前記圧入部の外周を包囲する包囲部と、前記包囲部の後端から前記基板側に垂下する壁部と、を有し、
前記繋ぎ部と前記壁部との間で最も近い第1最短距離は、前記圧入部と前記包囲部との間で最も近い第2最短距離よりも小さく、
前記薄肉部は、前記繋ぎ部において少なくとも前記壁部との距離が最も近い位置を含む領域に配置されている、(2)に記載のコネクタ。
【0015】
(3)のコネクタは、繋ぎ部と壁部との第1最短距離が圧入部と包囲部との第2最短距離よりも小さいので、繋ぎ部における特性インピーダンスは相対的に小さくなる。しかし、繋ぎ部において壁部との距離が最も近い位置を含む領域に薄肉部を配置することによって、繋ぎ部の特性インピーダンスを相対的に大きくすることができ、繋ぎ部における特性インピーダンスを圧入部の特性インピーダンスに近づけることができる。
【0016】
(4)前記繋ぎ部は、前記圧入部の後端から斜め後方下向きに屈曲して延出しており、
前記繋ぎ部の延出方向における中央部と、前記壁部との距離が前記第1最短距離である、(3)に記載のコネクタ。
【0017】
(4)のコネクタは、繋ぎ部が圧入部に対して斜め後方下向きに傾斜して延出する構成なので、内導体の長さを極力短くして内導体の抵抗値を抑えたうえで、繋ぎ部における特性インピーダンスを調整することができる。
【0018】
(5)前記外導体は、前記壁部の幅方向の両端部から下方に延びて前記基板に連結される一対のボスを有している、(4)に記載のコネクタ。
【0019】
(5)のコネクタは、一対のボスが壁部の幅方向の両端部に設けられているので、一対のボス同士の相対位置を変化し難くできる。
【0020】
(6)前記薄肉部は、少なくとも前記中央部から前記圧入部と前記繋ぎ部との境界部まで配置されている、(5)に記載のコネクタ。
【0021】
(6)のコネクタは、薄肉部が圧入部と繋ぎ部との境界部まで配置されているので、内導体を形成する際に、圧入部に対して繋ぎ部を屈曲させやすい。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
<実施形態1>
本開示を具体化した実施形態1のコネクタ10を、図1から図5を参照して説明する。コネクタ10は、基板である回路基板50に実装される基板用コネクタである(図5参照)。コネクタ10は、図1に示すように、内導体11と、取付対象である誘電体12と、外導体13と、ハウジング14と、を備える。コネクタ10は、図示しない相手コネクタに嵌合される。相手コネクタは、通信用の信号が伝送されるケーブルの端末に接続されたシールドコネクタである。本実施形態1において、図中、「前側」、「後側」、「上側」、「下側」、「右側」、及び「左側」は、それぞれ「F」、「B」、「U」、「D」、「R」、及び「L」で表される。なお、前後方向は、コネクタ10が相手コネクタに嵌合する方向である。
【0023】
[内導体の構成]
内導体11は、雄端子であり、導電性を有する金属板から形成される。内導体11は、全体として細長く延びるように形成されている。内導体11は、圧入部11Aと、相手接続部11B(タブ)と、基板接続部11Cと、相手接続部11Bと基板接続部11Cとの間に配置される繋ぎ部11Dと、薄肉部11Eと、を有している。
【0024】
図2に示すように、圧入部11Aは、板厚方向を上下方向に向けつつ前後方向に延びて形成されている。圧入部11Aの上下方向の寸法(厚み寸法)は、母材である金属板の板厚と同じである。すなわち、圧入部11Aの上下方向に母材である金属板の板厚方向が対応している。
【0025】
相手接続部11Bは、相手側コネクタの図示しない相手端子に接続される。相手接続部11Bは、圧入部11Aの前端から前向きに延びている。相手接続部11B及び圧入部11Aは、母材である金属板の板厚方向と直交する前後方向(一方向)に連なって延びている。
【0026】
基板接続部11Cは、前後方向に延びて形成されている。基板接続部11Cは、圧入部11A及び相手接続部11Bよりも後側下方に配置されている。基板接続部11Cは、回路基板50の導電部分に半田付けして接続される(図5参照)。繋ぎ部11Dは、圧入部11Aの後端から斜め後側下向きに傾斜して延出している。繋ぎ部11Dの下端は、基板接続部11Cの前端に連なっている。つまり、繋ぎ部11Dは、圧入部11Aと基板接続部11Cとを繋いでいる。
【0027】
薄肉部11Eは、例えば、内導体11において、繋ぎ部11Dの延出方向の全体、及び基板接続部11Cの延出方向の全体にわたって配置されている。薄肉部11Eは、内導体11の板厚を部分的に薄くするように内導体11の一部を部分的に薄肉に形成した部分である。また、薄肉部11Eは、内導体11において、母材である金属板の板厚よりも薄肉に形成された部分である。薄肉部11Eは、例えば、基板接続部11Cの後端から、繋ぎ部11Dと圧入部11Aとの境界部まで配置されている。具体的には、薄肉部11Eは、繋ぎ部11Dの延出方向における中央部と、延出方向における両端部と、基板接続部11Cの全体と、を含む領域に配置されている。
【0028】
薄肉部11Eは、例えば、母材である金属板の上面側を下向きに押圧して形成される。このため、繋ぎ部11Dと圧入部11Aとの境界部において、繋ぎ部11Dは、圧入部11Aの上面よりも低い位置から後側下方に屈曲している。
【0029】
[誘電体の構成]
誘電体12は、絶縁性の合成樹脂製である。図1に示すように、誘電体12は、全体としてブロック状に形成されている。誘電体12は、側面から見るとL字形をなしている。誘電体12は、前後方向に延びる端子装着部12Aと、端子装着部12Aの後端に連なって上下方向に延びる端子引出部12Bと、を有している。
【0030】
図3に示すように、端子装着部12Aは、左右一対の圧入孔12Cが形成されている。各圧入孔12Cには、内導体11が圧入される。図4に示すように、各圧入孔12Cは、端子装着部12A内を前後方向に貫通している。各圧入孔12Cの後部における左右方向の寸法は、前部よりも大きく形成されている。
【0031】
各圧入孔12Cの上下方向の寸法H1(図3参照)は、内導体11の圧入部11Aの上下方向の寸法よりも僅かに大きい。言い換えると、圧入孔12Cの上下方向の寸法H1は、内導体11の母材である金属板の板厚における公差の最大値と同程度である。
【0032】
図4に示すように、端子引出部12Bの後面には、前向きに凹んで収容凹部12Dが形成されている。収容凹部12Dは、端子引出部12Bの上部において左右方向に延び、後向きの奥面に各圧入孔12Cの後端が連通して開口しており、左右両側において下方に延び、下端が端子引出部12Bの下面に開口している。
【0033】
[誘電体に対する内導体の組付けの一例]
誘電体12の各圧入孔12Cには、後方から内導体11が挿入される。具体的には、内導体11の姿勢を、相手接続部11Bを圧入部11Aの前方に配置しつつ、基板接続部11Cを相手接続部11B及び圧入部11Aよりも下方に配置した姿勢にして、内導体11を誘電体12の後方から近づける。そして、各圧入孔12Cに内導体11を挿入する。
【0034】
圧入孔12Cの上下方向の寸法H1は、内導体11の母材である金属板の板厚における公差の最大値と同程度である。このため、相手接続部11B及び圧入部11Aと圧入孔12Cを形成する面との間に摩擦力が生じ、相手接続部11B及び圧入部11Aは、圧入孔12Cに圧入される。
【0035】
さらに、内導体11の圧入孔12Cへの挿入を進めると、図5に示すように、相手接続部11Bは、圧入孔12Cを前向きに通過して、端子装着部12Aの前方に突出する。これとともに、繋ぎ部11Dは、収容凹部12Dの奥面に沿うように配置され、収容凹部12D内に収容される。このとき、収容凹部12Dは、薄肉部11Eが設けられた繋ぎ部11Dを後向きに露出させる。また、基板接続部11Cは、端子引出部12Bの下方に突出するように配置される。薄肉部11Eは、誘電体12の後方に露出する。
【0036】
[外導体の構成]
外導体13は、亜鉛又は亜鉛合金が用いられたダイキャスト製である。外導体13は、外部から内導体11に侵入するノイズを抑制し、かつ内導体11から外部へのノイズの漏洩を抑制するシールド部材として機能する。
【0037】
図1に示すように、外導体13は、後部に収容部13Aを有し、前部に包囲部13Bを有し、包囲部13Bと収容部13Aとが連結する位置に壁部13Cを有している。収容部13Aは、後方から見て門型形状をなしている。収容部13Aの前端は、壁部13Cの後面に連なっている。
【0038】
収容部13A及び壁部13Cの下端には、下方に円柱状をなして突出する複数のボス13Eを有している。具体的には、ボス13Eは、壁部13Cの左右方向両端部に一つずつ配置され、収容部13Aの後端部に一つずつ配置されている。各ボス13Eは、回路基板50に形成された取付孔50Aに挿入されて回路基板50に連結される(図5参照)。
【0039】
包囲部13Bは、四隅が丸みを帯びた角筒状をなして前後方向に延びている。包囲部13Bの後端は、壁部13Cの前面に連なっている。包囲部13Bの内周面は、前後方向中央部から前端にわたって前向きに拡開するように僅かに傾斜した拡開面13Fと、前後方向中央部から後端にわたって前後方向に平行な平行面13Gと、が形成されている(図5参照)。包囲部13Bは、相手コネクタとの嵌合状態において、拡開面13Fに相手コネクタの外導体が導通可能に接触する(図示せず)。
【0040】
壁部13Cは、平板状をなし、包囲部13Bと収容部13Aとの間を仕切るとともに、包囲部13Bの後端から径方向外側に張り出して形成されている。壁部13Cは、包囲部13Bよりも左右方向に幅広である(図1参照)。壁部13Cには、前後方向に貫通した挿通孔13Dが形成されている(図5参照)。包囲部13Bは挿通孔13Dを介して収容部13A内に連通している(図5参照)。挿通孔13Dよりも下方の壁部13Cは、包囲部13Bの後端から垂下している(図5参照)。
【0041】
外導体13には、内導体11を装着した誘電体12が後方から挿入される。具体的には、端子装着部12Aを端子引出部12Bの前方に配置するとともに、基板接続部11Cを下方に突出した姿勢にして、外導体13の後方から内導体11を装着した誘電体12を近づける。そして、挿通孔13Dに端子装着部12Aを挿通し、包囲部13Bに端子装着部12Aを圧入する(図5参照)。そして、端子引出部12Bの前面が壁部13Cの後面に接触したところで、外導体13への、誘電体12の挿入が完了する(図5参照)。このとき、内導体11の相手接続部11Bは、包囲部13B内の前部に突出して配置される(図5参照)。外導体13へ誘電体12の挿入が完了した状態において、外導体13は、誘電体12及び内導体11を包囲する(図5参照)。また、包囲部13Bは、圧入部11Aの外周を包囲する(図5参照)。
【0042】
外導体13へ誘電体12の挿入が完了した状態において、繋ぎ部11Dと壁部13Cとの間の最も近い距離を第1最短距離D1と定義する。第1最短距離D1は、繋ぎ部11Dの延出方向における中央部と、壁部13Cとの距離である。具体的には、第1最短距離D1は、壁部13Cの挿通孔13Dの下端縁と、繋ぎ部11Dの前面と、の間の距離である。言い換えると、第1最短距離D1は、繋ぎ部11Dの板厚方向(繋ぎ部11Dに対する法線方向)における、包囲部13Bの後端から垂下する壁部13Cの上端と、繋ぎ部11Dの前面との間の距離である。
【0043】
外導体13へ誘電体12の挿入が完了した状態の上下方向において、包囲部13Bと圧入部11Aとの間の最も近い距離を第2最短距離D2と定義する。第2最短距離D2は、上下方向における包囲部13Bの上側の平行面13Gと、圧入部11Aの上面との間の距離、及び下側の平行面13Gと、圧入部11Aの下面との間の距離である。第1最短距離D1は、第2最短距離D2よりも小さい(図5参照)。薄肉部11Eは、繋ぎ部11Dにおいて少なくとも壁部13Cとの距離が最も近い位置を含む領域に配置されている(図5参照)。言い換えると、薄肉部11Eは、壁部13Cと第1最短距離D1離隔した繋ぎ部11Dに配置されている。
【0044】
[ハウジングの構成]
ハウジング14は、絶縁性の合成樹脂材によって形成されている。図1に示すように、ハウジング14は、背面視矩形の板状をなす基壁14Aと、基壁14Aから前方に突出する角筒状の嵌合筒部14Bと、を有している。嵌合筒部14B内には、相手コネクタの相手ハウジングが嵌合される(図示せず)。嵌合筒部14Bの上壁の内面には、ロック突起14Dが形成されている(図5参照)。相手ハウジングのロックアームがロック突起14Dに係止されることにより、コネクタ10と相手コネクタとが嵌合状態に保持されるようになっている(図示せず)。基壁14Aには、前後方向に貫通した貫通孔14Cが形成されている。貫通孔14C内には、外導体13の包囲部13Bが圧入される(図5参照)。
【0045】
次に、本構成の効果を例示する。
金属板から形成された内導体11であって、回路基板50に接続される基板接続部11Cと、誘電体12(取付対象)に圧入される圧入部11Aと、圧入部11Aと基板接続部11Cとを繋ぐ繋ぎ部11Dと、を備えている。圧入部11A、繋ぎ部11D、及び基板接続部11Cのうち繋ぎ部11Dと基板接続部11Cに、内導体11の板厚を部分的に薄くする薄肉の薄肉部11Eが配置されている。この構成によれば、繋ぎ部11Dに薄肉部11Eを配置することによって、誘電体12から露出しがちな部分における内導体11の特性インピーダンスの整合をはかりやすくすることができる。また、誘電体12の形状に応じて内導体11に薄肉部11Eを配置することにより、内導体11の特性インピーダンスの整合を容易に高めることができる。
【0046】
コネクタ10は、金属板から形成された内導体11と、内導体11が圧入される圧入孔12Cが形成された誘電体12と、を備えている。内導体11は、回路基板50に接続される基板接続部11Cと、圧入孔12Cに圧入される圧入部11Aと、圧入部11Aと基板接続部11Cとを繋ぐ繋ぎ部11Dと、を有している。誘電体12は、繋ぎ部11Dを露出させ、繋ぎ部11Dには、内導体11の板厚を部分的に薄くする薄肉の薄肉部11Eが配置されている。この構成によれば、誘電体12から露出した繋ぎ部11Dに薄肉部11Eを配置することによって、誘電体12から露出した繋ぎ部11Dの特性インピーダンスを調整することができる。また、誘電体12の形状に応じて内導体11に薄肉部11Eを配置することにより、内導体11の特性インピーダンスの整合を容易に高めることができる。
【0047】
コネクタ10は、誘電体12及び内導体11を包囲する外導体13を備えている。外導体13は、筒状をなして圧入部11Aの外周を包囲する包囲部13Bと、包囲部13Bの後端から回路基板50側に垂下する壁部13Cと、を有している。繋ぎ部11Dと壁部13Cとの間で最も近い第1最短距離D1は、圧入部11Aと包囲部13Bとの間で最も近い第2最短距離D2よりも小さい。薄肉部11Eは、繋ぎ部11Dにおいて少なくとも壁部13Cとの距離が最も近い位置を含む領域に配置されている。
【0048】
この構成によれば、繋ぎ部11Dと壁部13Cとの第1最短距離D1が圧入部11Aと包囲部13Bとの第2最短距離D2よりも小さいので、繋ぎ部11Dにおける特性インピーダンスは相対的に小さくなる。しかし、繋ぎ部11Dにおいて壁部13Cとの距離が最も近い位置を含む領域に薄肉部11Eを配置することによって、繋ぎ部11Dの特性インピーダンスを相対的に大きくすることができ、繋ぎ部11Dにおける特性インピーダンスを圧入部11Aの特性インピーダンスに近づけることができる。
【0049】
繋ぎ部11Dは、圧入部11Aの後端から斜め後方下向きに屈曲して延出しており、繋ぎ部11Dの延出方向における中央部と、壁部13Cとの距離が第1最短距離D1である。この構成によれば、繋ぎ部11Dが圧入部11Aに対して斜め後方下向きに傾斜して延出する構成なので、内導体11の長さを極力短くして内導体11の抵抗値を抑えたうえで、繋ぎ部11Dにおける特性インピーダンスを調整することができる。
【0050】
外導体13は、壁部13Cの幅方向の両端部から下方に延びて回路基板50に連結される一対のボス13Eを有している。この構成によれば、一対のボス13Eが壁部13Cの幅方向の両端部に設けられているので、一対のボス13E同士の相対位置を変化し難くできるので、回路基板50に対する位置ずれのばらつきを抑え易い。
【0051】
薄肉部11Eは、少なくとも繋ぎ部11Dの延出方向における中央部から圧入部11Aと繋ぎ部11Dとの境界部まで配置されている。この構成によれば、薄肉部11Eが圧入部11Aと繋ぎ部11Dとの境界部まで配置されているので、内導体11を形成する際に、圧入部11Aに対して繋ぎ部11Dを屈曲させやすい。
【0052】
<他の実施形態>
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0053】
実施形態1とは異なり、繋ぎ部の延出方向における中央部のみに薄肉部を設けてもよい。また、必要に応じて、圧入部や相手接続部に薄肉部を設けてもよい。また、基板接続部に薄肉部を設けない構成としてもよい。
【0054】
誘電体に挿入する内導体の数は、実施形態1の数に限らない。
【0055】
外導体は、亜鉛又は亜鉛合金から切削して形成してもよい。
【0056】
実施形態1とは異なり、薄肉部を、母材である金属板の下面側を上向きに押圧して形成してもよい。この場合、繋ぎ部と圧入部との境界部において、繋ぎ部は、圧入部の下面よりも高い位置から後側下方に屈曲する形態となる。
【符号の説明】
【0057】
10 …コネクタ
11 …内導体
11A …圧入部
11B …相手接続部
11C …基板接続部
11D …繋ぎ部
11E …薄肉部
12 …誘電体(取付対象)
12A …端子装着部
12B …端子引出部
12C …圧入孔
12D …収容凹部
13 …外導体
13A …収容部
13B …包囲部
13C …壁部
13D …挿通孔
13E …ボス
13F …拡開面
13G …平行面
14 …ハウジング
14A …基壁
14B …嵌合筒部
14C …貫通孔
14D …ロック突起
50 …回路基板(基板)
50A …取付孔
D1 …第1最短距離
D2 …第2最短距離
H1 …寸法
図1
図2
図3
図4
図5