(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004925
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】荷室用スライドフロア
(51)【国際特許分類】
B60R 5/04 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104827
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】506116119
【氏名又は名称】株式会社ユーアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】伯井 新一
(72)【発明者】
【氏名】熊田 高弘
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BB04
3D022BC09
(57)【要約】
【課題】自動車の荷室に対する荷物の出し入れをしやすくするスライド式のフロアボードが安定して引き出せるようにする。
【解決手段】荷室のフロアに固定されるベースフレーム13と、ベースフレーム13上でスライド移動する移動台15を備え、ベースフレーム13には、スライド方向に延びて互いに平行をなす一対のベース側レール31を備える。移動台15におけるベース側レール31に対向する部位には、移動側レール51を形成する。移動側レール51は、水平面55から垂下する垂下片56を有する構造である。ベース側レール31における引き出し先端側の端部には、移動側レール51を受けるローラユニット部72を設ける。そして、ローラユニット部72には、移動側レール51の水平面55を受けて回転する支持ローラ73と、垂下片56の片面を受けて回転する規制ローラ74を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷室のフロアに固定されるベースフレームと、前記ベースフレーム上でスライド移動する移動台を備え、上面にフロアボードを有する前記移動台が荷室に対して引き出し入れ可能にされる荷室用スライドフロアであって、
前記ベースフレームがスライド方向に延びて互いに平行をなす一対のベース側レールを有するとともに、前記移動台における前記ベース側レールに対向する部位に移動側レールが形成され、
前記移動側レールが、水平面から垂下する垂下片を有し、
前記ベース側レールにおける引き出し先端側の端部に、前記移動側レールを受けるローラユニット部が設けられ、
前記ローラユニット部に、前記移動側レールの前記水平面を受けて回転する支持ローラと、前記垂下片の片面を受けて回転する規制ローラが備えられた
荷室用スライドフロア。
【請求項2】
前記支持ローラと前記規制ローラが同一の取付け金具に保持された
請求項1に記載の荷室用スライドフロア。
【請求項3】
前記ローラユニット部が前記ベース側レールどうしの対向方向の一方と他方に前記支持ローラと前記規制ローラをそれぞれ有しており、
一対の前記ベース側レールにおいて、前記支持ローラが前記ベース側レールの対向方向の外側に、前記規制ローラが内側に向けられた
請求項1または請求項2に記載の荷室用スライドフロア。
【請求項4】
前記支持ローラと前記規制ローラがラジアルベアリングで構成された
請求項1または請求項2に記載の荷室用スライドフロア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば荷室内の荷物を容易に取り出せるようにするために荷室に装着される荷室用スライドフロアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
荷室用スライドフロアとしては、たとえば下記特許文献1に開示のように、ベースデッキの左右両側のレール部材間に、スライド自在のスライドデッキを備えたものがある。レール部材はベースデッキの両側で上方に突出した状態であって、それらレール部材の間にスライドデッキが挟まれるように備えられている。
【0003】
このため、スライドデッキをスライドさせずにベースデッキ上に重ねた状態では、レール部材がスライドデッキに並んで存在することになる。このような構成であると、荷物をスライドデッキとレール部材とに跨って載せた場合に、スライドデッキの引き出し入れの操作性がよくない。
【0004】
出願人は、非特許文献1に開示のように、ベースフレームの上をスライド移動する移動台を備えて、スライドのためのレールが上面に表れないようにした荷室用スライドフロアを開発した。移動台の上面には荷物を受けるフロアボードが固定される。
【0005】
このような構成のスライドフロアは、スライドフロアの収納位置と、複数段階の引き出し位置をロック手段によって規制でき、ロック解除バーを握って引っ張ることによってロックを解除できるように構成されている。このため、スライドフロアを引き出さない状態はもちろん、引き出した状態でも安全に使用でき、ロック解除の動作も容易であるので、便利に使用されている。
【0006】
ただ、レールに設けられる回転ローラは上からの荷重を受けるもののみで構成されていたので、スライドフロアを長く引き出したときに姿勢が安定しにくい懸念がある。そのうえ、スライドフロアの姿勢が傾くと、スライドフロアの上に荷物があって荷重がかかっている状態では、円滑なスライド動作が行いにくいことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】”HIACE&CARAVAN ユーアイビークルオススメ 車内快適パーツ”,www.ui-vehicle.com,2022年9月,P.2-3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、長く引き出しても安定した状態が得られ、引き出し入れ動作も行いやすくすることを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、この発明は下記の荷室用スライドフロアを提供する。
【0011】
すなわち、荷室のフロアに固定されるベースフレームと、ベースフレーム上でスライド移動する移動台を備え、上面にフロアボードを有する移動台が荷室に対して引き出し入れ可能にされる荷室用スライドフロアである。そして、ベースフレームがスライド方向に延びて互いに平行をなす一対のベース側レールを有するとともに、移動台におけるベース側レールに対向する部位に移動側レールが形成される。移動側レールは、水平面から垂下する垂下片を有する構造である。ベース側レールにおける引き出し先端側の端部には、移動側レールを受けるローラユニット部を設ける。ローラユニット部には、移動側レールの水平面を受けて回転する支持ローラと、垂下片の片面を受けて回転する規制ローラを備える。
【0012】
この構成では、ベースフレームのベース側レールに設けられるローラユニット部が、どのような引き出し状態においても移動台の移動側レールを常に支える。移動側レールには、水平面と、この水平面から垂下する垂下片が形成されており、その水平面をローラユニット部の支持ローラが支持し、同時に規制ローラが垂下片の片面を規制する。規制ローラは、ベース側レールと移動側レールが平行に一対備えられているので、垂下片に対して適切に接するようにすることで、ベース側レールに対する移動側レールの振れを極力抑える。そして、引き出し状態においても引き出さない状態と同様に規制を行う。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、移動側レールに水平面と並ぶ垂下片を備え、ローラユニット部には水平面を支持する支持ローラと共に垂下片の片面を規制する規制ローラを備えている。このため、ベース側レールに対する移動側レールの振れを、長く引き出した状態においても極力抑えることができ、安定した状態が得られる。そのうえ、引き出し状態において移動台がベースフレームに対して傾いたりしにくく、たとえフロアボード上の荷物が重い場合でも、引き出し入れ動作を行いやすい。
【0014】
このように、より扱いやすい荷室用スライドフロアを得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】組み合わされたベースフレームと移動台の平面図。
【
図3】組み合わされたベースフレームと移動台の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0017】
図1に、荷室用スライドフロア11を自動車12の荷室12aから引き出した状態の斜視図を示す。この図に見られるように、荷室用スライドフロア11は、荷室12aのフロアに固定されるベースフレーム13と、ベースフレーム13上でスライド移動する移動台15を備え、移動台15の上にフロアボード17が固定された構成である。荷物を取り出すときなどに、フロアボード17を支持した移動台15が荷室12a外へ引き出される。
【0018】
ベースフレーム13と移動台15を組み合わせた状態の平面図を
図2に、その側面図を
図3に示す。
図2中、仮想線は、移動台15の上に固定されるフロアボード17を示しており、フロアボード17は荷重に耐える剛性を有した適宜材料の板材で構成されている。従来のものとの対比で格別に言及すべき構成がないので、フロアボード17の詳しい説明は省略する。
【0019】
まず、ベースフレーム13と移動台15の概略構造を説明し、そのあと両者間に介装されるレール間構造について述べることにする。
【0020】
ベースフレーム13は、平面視長方形の枠状であり、長辺を構成する平行な一対のベース側レール31と、これらベース側レール31間を連結する複数の連結部32,33,34で構成されている。ベース側レール31はスライド方向に延びるものである。つまり、自動車12の前後方向に延びるように荷室12aのフロアに固定されることになる。
【0021】
ベース側レール31における移動台15の引き出し先端側の端部を除いた主たる部分は、
図4、
図5に示したように断面C型またはコ字状である。
図4は、ベース側レール31をその対向方向の内側から見た状態を示しており、
図5は引き出し先端側から見た状態を示している。このようにベース側レール31は、長手方向の略全体に起立片35を有しており、上方に立ち上がる起立片35の片面における長手方向の略全体である先端部から後端部(引き出し先端側の端部)にかけて部分に、上片36と下片37が一体に形成されている。上片36と下片37は、起立片35の上下両端から直角に突出する。これら上片36と下片37は互いに平行であり、それらの突出長さは摩擦低減のための回転ローラの走行を可能とする適宜の長さである。
【0022】
一対のベース側レール31は、互いの上片36と下片37が、
図5に見られるように対向方向の内側を向くように配設される。
【0023】
ベース側レール31の起立片35には、
図3に示したように、厚み方向に貫通する複数のロック穴38が長手方向に沿って形成されている。このロック穴38は、ベースフレーム13に対する移動台15の位置を規制するためのロック手段を構成する要素の一部である。
【0024】
ベースフレーム13の連結部32,33,34のうち、ベース側レール31の荷室奥側、すなわち先端部に固定される連結部32はアングル状の部材で構成され、ベース側レール31の先端と下面を固定する。
【0025】
ベースフレーム13の連結部32,33,34のうち、ベース側レール31の後端部に固定される連結部33は板状の部材で構成され、ベース側レール31の下面を固定する。
図4、
図5中、39は、L字型をなす補助金具であり、ベース側レール31の後端部と連結部33の間に介在して、両者の結合を強固にしている。
【0026】
ベースフレーム13の連結部32,33,34のうち、先端部の連結部32と後端部の連結部33との間に固定される連結部34は、細幅板状の部材で構成される。2本の連結部34は、ベース側レール31の長手方向に均等に配設されて、ベース側レール31の下面を固定する。この連結部34は、荷室12aのフロアに対する固定のための貫通穴等を有している。
【0027】
移動台15は、ベースフレーム13と同様に、平面視長方形の枠状であり、長辺を構成する平行な一対の移動側レール51と、これら移動側レール51間を連結する複数の連結部52,53,54で構成されている。移動側レール51は、移動台15におけるベース側レール31に対向する部位に形成されており、スライド方向に延びるものである。
【0028】
移動側レール51は、アングル状の部材で構成されており、略全長にわたって
図5に見られるような断面L字状である。すなわち、水平面55と、水平面55から垂下する垂下片56を有している。水平面55は、ベース側レール31の幅よりも幅広に形成され、ベース側レール31の上方に対向して配設される。そして、垂下片56は水平面55における一方、具体的には移動側レール51どうしの対向方向の内側に対応する端に形成されている。垂下片56の下端56a高さは、ベースフレーム13に組み合わせたときに、ベース側レール31の上片36よりも下に位置するように設定される(
図4の仮想線、
図5参照)。
【0029】
移動台15の連結部52,53,54のうち、荷室奥側、すなわち先端部に固定される連結部52はアングル状の部材で構成され、移動側レール51の水平面55と垂下片56を固定する。この連結部52における下方に垂れる片は、移動台15の長手方向の内側に向けて設けられ、内側に向けて水平に突出する突片52aを有している。突片52aは、連結部52の長手方向の中間位置、すなわち移動側レール51どうしの間の中間に設けられる。
【0030】
移動台15の連結部52,53,54のうち、移動側レール51の後端部に固定される連結部53はアングル状の部材で構成され、移動側レール51の上端部(水平面55)を固定する。連結部53の長さは、移動側レール51どうしの間の距離よりも長く形成され、長手方向の両端が移動側レール51よりも外側に張り出している。
【0031】
この連結部53の長手方向の両端には、連結部53との間に間隔をあけて平行にパイプ57を取り付けるためのブラケット57aが固定される。また、連結部53の長手方向の中間部には、連結部53とパイプ57との間で平行に延びるハンドル58aと、ハンドル58aの両端で移動側レール51と平行に延びる支持杆58bを有する取手部材58が保持される。保持に際して、取手部材58は支持杆58bの長手方向に沿ってスライド可能に保持され、ハンドル58aが連結部53側に付勢される。なお、ハンドル58aと連結部53およびパイプ57と間には隙間が形成されている。
【0032】
支持杆58bどうしの間は、細幅板状のつなぎ部材59で連結され、つなぎ部材59の長手方向の中間にワイヤ61が保持され、このワイヤ61の先端を前述した突片52aに向けて延ばしている。ワイヤ61は、突片52aの手前で二股に分岐しており、分岐点から先の部分61aは、突片52aに設けられたローラ62にかけて移動側レール51に導かれ、移動側レール51に保持したロックピン63に連結されている。ロックピン63は、ベース側レール31に向けて突出するように付勢されている。これらワイヤ61やロックピン63等は、前述したロック手段の構成要素の一部である。
【0033】
移動台15の連結部52,53,54のうち、先端部の連結部52と後端部の連結部53との間に固定される連結部54は、同じくアングル状の部材で構成され、長手方向の両端が移動側レール51の上端部(水平面55)を固定する。この連結部54における下方に垂れる片には、前述したワイヤ61を通す貫通穴が形成されている。
【0034】
このような概略構造のベースフレーム13と移動台15との間に介装されるレール間構造は、移動側レール51の先端部に設けられた走行ローラ71と、ベース側レール31における後端部に設けられたローラユニット部72で構成される。
【0035】
走行ローラ71は、ベース側レール31の上片36と下片37の間を走行するものであり、回転することでスライドに際してベース側レール31との間の摩擦を低減する。ラジアルベアリングで構成するとよい。
【0036】
ローラユニット部72は、ベース側レール31における上片36と下片37を有しない引き出し先端側の端部、つまり後端部または手前側端部に設けられ、移動台15の移動側レール51を受けて摩擦抵抗を低減するものである。そのため、ローラユニット部72は、移動側レール51の水平面55を受けて回転する支持ローラ73と、垂下片56の片面を受けて回転する規制ローラ74を有している。
【0037】
すなわち、支持ローラ73と規制ローラ74の軸は互いに直交することになる。支持ローラ73と規制ローラ74は別々にベース側レール31に備えることもできるが、支持ローラ73と規制ローラ74を1つのユニットとして構成し、ベース側レール31に対して一緒に固定するのがよい。2つのローラを別々に固定する場合と比較して、一定の取付け状態が得やすいからである。
【0038】
一つのユニットとして構成するため、ローラユニット部72は、ベース側レール31に固定される取付け金具75を有している。取付け金具75は、板状をなす本体板部75aと、本体板部75aの片面から直角に突出し、ベース側レール31に固定されたときに水平に突出する棚板部75bを有している。支持ローラ73は、本体板部75aの片面、すなわち、棚板部75bを有しない側の面に保持されている。規制ローラ74は、棚板部75bの上面または下面に保持されている。上下両面に保持する構成であってもよい。
【0039】
これら支持ローラ73と規制ローラ74は、摺接する円周面をそれぞれ本体板部75a、棚板部75bの端から突出させて保持される。滑らかな動作が可能でかつ荷重を十分に支えられるようにラジアルベアリングで構成されるのが好ましい。
【0040】
本体板部75aにおける支持ローラ73や規制ローラ74と干渉しない位置には、ベース側レール31に対する固定のための締結具76を保持する貫通穴(図示せず)が形成される。
【0041】
ベース側レール31の起立片35と補助金具39には、締結具76を保持する貫通穴(図示せず)が形成される。また、起立片35における支持ローラ73に対応する部位には、支持ローラ73との干渉を防止する切欠き35aが形成される。
【0042】
このようなローラユニット部72は、ベース側レール31どうしの対向方向の一方と他方に支持ローラ73と規制ローラ74をそれぞれ有することになる。そして、配設に際しては、
図5に示したように一対のベース側レール31において、支持ローラ73がベース側レール31の対向方向の外側に、規制ローラ74が内側に向けられる。このような向きは、前述した移動側レール51の形状に対応している。つまり、断面アングル状をなす移動側レール51の下に収まるローラユニット部72の本体板部75aが水平面55における幅方向の中間に位置し、本体板部75aの外側に支持ローラ73が、内側の棚板部75bに規制ローラ74が存在する。そして、一対の移動側レール51の水平面55が支持ローラ73で支持され、垂下片56における外側面が規制ローラ74によって対向方向で偏りなく均等に支えられる。
【0043】
以上のように構成される荷室用スライドフロア11は、荷室12aのフロアに対してベースフレーム13を固定して使用される。
【0044】
荷室用スライドフロア11は、上面全体がフロアボード17で構成されており、荷室12a内に広がっている。このフロアボード17に荷物が載せらせ、荷物の取り出し時に移動台15とともにフロアボード17の少なくとも一部が荷室12aから引き出される。あるいは、荷室12aに荷物を収納するときに、移動台15とともに引き出したフロアボード17に荷物を載せてから、荷物を載せたフロアボード17が荷室12a内に収められる。
【0045】
移動台15をベースフレーム13に重ねた状態でも、移動台15を引き出した状態でも、ベース側レール31と移動側レール51と間に介装されたレール間構造が両者の位置関係を安定させつつ円滑なスライドを実現する。走行ローラ71は、移動台15の引き出し入れに伴ってベース側レール31に沿って走行し、移動台15にかかる荷重は上片36との協働で支える。ローラユニット部72は、ベース側レール31の後端部において、移動側レール51を常に支える。このとき、移動側レール51の水平面55を支持ローラ73がスライド可能に支えるのはもちろん、移動側レール51の垂下片56を規制ローラ74がスライド可能に規制し、一対の移動側レール51が対向方向において振れることを抑制する。このため、ベース側レール31に対する移動側レール51の位置を、移動台15が長く引き出されたときでも安定させることができる。
【0046】
このように安定性のよい引き出し状態が得られるので、重い荷物を載せた状態でも円滑な引き出し入れ動作が可能であって、扱いやすい荷室用スライドフロア11である。
【0047】
移動側レール51には、水平面55における移動側レール51の対向方向の片側に垂下片56をもつ構造を採用して、ローラユニット部72の支持ローラ73と規制ローラ74を移動側レール51の対向方向に配設しているので、必要な構成が簡素にまとめられる。
【0048】
特に、一対のベース側レール31において、支持ローラ73をベース側レール31の対向方向の外側に、規制ローラ74を内側に向けているので、支持ローラ73のほうが幅広く配設され、その内側で規制ローラ74が振れの抑制を行うことになる。このため、荷重の支持と位置規制の両立をはかったスライド構造が得られる。
【0049】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用できる。
【0050】
たとえば、ローラユニット部72は、支持ローラ73または規制ローラ74の少なくとも一方を複数個備えてもよい。規制ローラ74を複数設ける場合には、垂下片56の両面を規制するように規制ローラ74を配設することもできる。
【0051】
移動台15には別体のフロアボード17を固定するものではなく、たとえばフロアボード17の下面に移動側レール51を備えて、連結部52,53,4なしに移動台15を構成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
11…荷室用スライドフロア
12a…荷室
13…ベースフレーム
15…移動台
17…フロアボード
31…ベース側レール
51…移動側レール
55…水平面
56…垂下片
72…ローラユニット部
73…支持ローラ
74…規制ローラ
75…取付け金具