(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004933
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】車線サーバ、中継装置、料金収受システム、料金収受方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20250108BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20250108BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G07B15/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104843
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】上岡 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】外尾 祥悟
【テーマコード(参考)】
3E127
5H181
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127BA39
3E127CA13
3E127CA17
3E127EA03
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB17
5H181CC04
5H181CC09
5H181EE10
(57)【要約】
【課題】実機器と模擬装置とを混在させて料金収受システムを運用することができる車線サーバを提供する。
【解決手段】車線サーバは、路側機器との通信を中継する中継装置を介して前記路側機器との間で実信号の送受信を行う実入出力部と、前記路側機器を模擬する模擬装置との間で前記実信号を模擬した模擬信号の送受信を行う仮想入出力部と、前記中継装置から複数の前記路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を受信する接続信号受信部と、前記接続信号に基づいて、複数の前記路側機器それぞれとの信号の送受信経路を前記実入出力部または前記仮想入出力部に割り当てる割当部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金所の車線に設けられる複数の路側機器の信号に基づいて前記車線を走行する車両の通行料金を収受する処理を行う車線サーバであって、
前記路側機器との通信を中継する中継装置を介して前記路側機器との間で実信号の送受信を行う実入出力部と、
前記路側機器を模擬する模擬装置との間で前記実信号を模擬した模擬信号の送受信を行う仮想入出力部と、
前記中継装置から複数の前記路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を受信する接続信号受信部と、
前記接続信号に基づいて、複数の前記路側機器それぞれとの信号の送受信経路を前記実入出力部または前記仮想入出力部に割り当てる割当部と、
を備える車線サーバ。
【請求項2】
前記実入出力部を介して送受信される実信号、または前記仮想入出力部を介して送受信される模擬信号に基づいて前記通行料金を収受する処理を行う処理部をさらに備え、
前記処理部は、前記実入出力部および前記仮想入出力部のうち、前記送受信経路として割り当てられていない方から入力された信号を破棄する、
請求項1に記載の車線サーバ。
【請求項3】
料金所の車線に設けられる複数の路側機器と、前記車線を走行する車両の通行料金を収受する車線サーバとの通信を中継する中継装置であって、
複数の前記路側機器が接続される路側インタフェース集約部と、
複数の前記路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を前記車線サーバに送信する接続信号送信部と、
を備える中継装置。
【請求項4】
料金所の車線に設けられる路側機器と、
前記路側機器を模擬する模擬装置と、
請求項1または2に記載の車線サーバと、
請求項3に記載の中継装置と、
を備える料金収受システム。
【請求項5】
料金所の車線に設けられる路側機器と、前記路側機器を模擬する模擬装置と、前記車線を走行する車両の通行料金を収受する車線サーバと、前記路側機器と前記車線サーバとの通信を中継する中継装置と、を備える料金収受システムを用いた料金収受方法であって、
前記中継装置が、複数の前記路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を送信するステップと、
前記車線サーバが、前記中継装置から複数の前記路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を受信するステップと、
前記車線サーバが、前記接続信号に基づいて、複数の前記路側機器それぞれとの信号の送受信経路を、前記中継装置を介して前記路側機器との間で実信号の送受信を行う実入出力部、または、前記路側機器を模擬する模擬装置との間で前記実信号を模擬した模擬信号の送受信を行う仮想入出力部に割り当てるステップと、
を有する料金収受方法。
【請求項6】
料金所の車線に設けられる路側機器と信号の送受信を行い、前記車線を走行する車両の通行料金を収受する車線サーバに、
前記路側機器との通信を中継する中継装置から複数の前記路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を受信するステップと、
前記接続信号に基づいて、複数の前記路側機器それぞれとの信号の送受信経路を、前記中継装置を介して前記路側機器との間で実信号の送受信を行う実入出力部、または、前記路側機器を模擬する模擬装置との間で前記実信号を模擬した模擬信号の送受信を行う仮想入出力部に割り当てるステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項7】
料金所の車線に設けられる路側機器と、前記車線を走行する車両の通行料金を収受する車線サーバとの通信を中継する中継装置に、
複数の前記路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を送信するステップ
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車線サーバ、中継装置、料金収受システム、料金収受方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所には、車両から通行料金を自動的に収受する電子式料金収受システム(Electronic Toll Collection System;ETC(登録商標)システム、「自動料金収受システム」とも言う)が設けられている場合がある。ETCシステムは、車線に設けられた複数の路側機器(センサなど)と、路側機器から受信した信号に基づいて通行料金の収受処理を行う車線サーバとを備える。
【0003】
特許文献1には、車線サーバの動作をテストするための技術として、路側機器の信号を模擬した模擬信号を車線サーバに出力する模擬システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車線サーバは、路側機器から得た信号や情報に基づいて通行料金の計算などを実施するため、ETCシステムによる料金収受を行うには、全ての路側機器が設置され、正常に稼働している必要がある。事故や故障により路側機器が使用できなくなった場合、車線を閉鎖(通行止め)にし、路側機器を交換しなければならない。このとき、路側機器の予備品が無く、予備品の手配に時間がかかる場合がある。そうすると、全ての路側機器が揃うまで、車線を長期間閉鎖しなければならない可能性がある。
【0006】
長期間の車線閉鎖を避けるためには、手配中の路側機器を一時的に模擬装置に置き換えて車線サーバと接続し、ETCシステムを模擬装置が出力する模擬信号を用いて仮運用することが考えられる。しかしながら、従来のETCシステムでは、車線サーバは、接続される路側機器が全て実機器である実運用モードと、全て模擬装置(模擬システム)である模擬モードとのいずれかのみで運用可能である。つまり、従来のETCシステムでは、複数ある路側機器について、実機器と模擬装置とを混在させて運用することができない。
【0007】
本開示の目的は、実機器と模擬装置とを混在させて料金収受システムを運用することができる車線サーバ、中継装置、料金収受システム、料金収受方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様によれば、車線サーバは、料金所の車線に設けられる複数の路側機器の信号に基づいて前記車線を走行する車両の通行料金を収受する処理を行う車線サーバであって、前記路側機器との通信を中継する中継装置を介して前記路側機器との間で実信号の送受信を行う実入出力部と、前記路側機器を模擬する模擬装置との間で前記実信号を模擬した模擬信号の送受信を行う仮想入出力部と、前記中継装置から複数の前記路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を受信する接続信号受信部と、前記接続信号に基づいて、複数の前記路側機器それぞれとの信号の送受信経路を前記実入出力部または前記仮想入出力部に割り当てる割当部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様によれば、中継装置は、料金所の車線に設けられる複数の路側機器と、前記車線を走行する車両の通行料金を収受する車線サーバとの通信を中継する中継装置であって、複数の前記路側機器が接続される路側インタフェース集約部と、複数の前記路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を前記車線サーバに送信する接続信号送信部と、を備える。
【0010】
本開示の一態様によれば、料金収受システムは、料金所の車線に設けられる路側機器と、前記路側機器を模擬する模擬装置と、上述の車線サーバと、上述の中継装置と、を備える。
【0011】
本開示の一態様によれば、料金収受方法は、料金所の車線に設けられる路側機器と、前記路側機器を模擬する模擬装置と、前記車線を走行する車両の通行料金を収受する車線サーバと、前記路側機器と前記車線サーバとの通信を中継する中継装置と、を備える料金収受システムを用いた料金収受方法であって、前記中継装置が、複数の前記路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を送信するステップと、前記車線サーバが、前記中継装置から複数の前記路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を受信するステップと、前記車線サーバが、前記接続信号に基づいて、複数の前記路側機器それぞれとの信号の送受信経路を、前記中継装置を介して前記路側機器との間で実信号の送受信を行う実入出力部、または、前記路側機器を模擬する模擬装置との間で前記実信号を模擬した模擬信号の送受信を行う仮想入出力部に割り当てるステップと、を有する。
【0012】
本開示の一態様によれば、プログラムは、料金所の車線に設けられる路側機器と信号の送受信を行い、前記車線を走行する車両の通行料金を収受する車線サーバに、前記路側機器との通信を中継する中継装置から複数の前記路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を受信するステップと、前記接続信号に基づいて、複数の前記路側機器それぞれとの信号の送受信経路を、前記中継装置を介して前記路側機器との間で実信号の送受信を行う実入出力部、または、前記路側機器を模擬する模擬装置との間で前記実信号を模擬した模擬信号の送受信を行う仮想入出力部に割り当てるステップと、を実行させる。
【0013】
本開示の一態様によれば、プログラムは、料金所の車線に設けられる路側機器と、前記車線を走行する車両の通行料金を収受する車線サーバとの通信を中継する中継装置に、複数の前記路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を送信するステップを実行させる。
【発明の効果】
【0014】
上記態様によれば、実機器と模擬装置とを混在させて料金収受システムを運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係る中継装置および車線サーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る車線サーバの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】料金収受システムの各装置のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す概略図である。
本実施形態に係る料金収受システム100は、有料道路の料金所(入口料金所または出口料金所)に設けられ、有料道路と一般道路とを接続する車線Lを走行する車両Vから通行料金を収受する。
【0018】
本実施形態に係る車線Lは、ETCシステムによりETC車両から通行料金を収受するETC専用の車線(以下、「ETC車線」とも記載する。)である。車両Vは、車載器(不図示)を搭載するETC車両である。
【0019】
なお、本実施形態では、料金収受システム100が出口料金所に設けられている例について説明する。以下、車線Lの延びる方向(±X方向)を「車線方向」と記載する。また、車線方向の有料道路側(-X側)を「上流側」、一般道路側(+X側)を「下流側」とも記載する。さらに、車線Lの幅方向(±Y方向)を「車線幅方向」と記載する。
【0020】
また、
図1には、料金所に一つの車線Lのみが設けられている例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、料金所に複数の車線Lが設けられていてもよい。
【0021】
図1に示すように、料金収受システム100は、路側装置1と、中継装置2と、車線サーバ3と、模擬装置4とを備える。
【0022】
路側装置1は、ETC車両Vに搭載された車載器との間で無線通信を行い、通行料金を自動的に収受する処理(料金収受処理)を実行するための複数の路側機器からなる装置群である。
【0023】
中継装置2は、路側装置1を構成する各路側機器と、車線サーバ3との通信を中継する。
【0024】
車線サーバ3は、ETC車両Vから通行料金を収受する料金収受処理を実行する。
【0025】
模擬装置4は、路側機器の信号を模擬した模擬信号を車線サーバ3へ送信することにより、路側機器を模擬する。模擬装置4は、料金所事務所に設置された監視装置であってもよい。模擬装置4は、ユーザ(料金所事務所に駐在する監視員など)の操作を受け付けて、車線サーバ3へ模擬信号を出力するアプリケーションを有している。
【0026】
模擬装置4は、たとえば車線サーバ3の試験時に、ユーザの操作に従い、各路側機器に代えて試験用の模擬信号を車線サーバ3へ送信する。この試験用の模擬信号による車線サーバ3の処理結果は、ユーザが確認できるように模擬装置4の表示装置(不図示)に表示されてもよい。
【0027】
また、模擬装置4は、路側装置1の一部の路側機器が故障や交換などにより中継装置2と未接続状態となったとき、この未接続状態の路側機器に代えて模擬信号を車線サーバ3へ送信する。
【0028】
(路側装置の構成)
路側装置1は、路側機器として、進入側車両検知器10と、ナンバープレート読取装置11(NP読取装置)と、通信用車両検知器12と、第1アンテナ13と、車線表示板14と、路側表示器15と、発進制御機16と、退出側車両検知器17と、第2アンテナ18と、監視カメラ19とを備える。
【0029】
進入側車両検知器10は、例えば透過型の車両検知器であり、進入検出位置X1における車両Vの存在(車線Lへの進入)の有無を区別可能な検出信号を出力する。
【0030】
NP読取装置11は、進入側車両検知器10が車両の存在を検出した場合に、車両Vのナンバープレートを含む車両画像を撮影する。また、NP読取装置11は、撮影した車両画像から車両VのNP情報(NP情報)を読み取る。NP情報は、ナンバープレートのサイズ、色、ナンバープレート上に表記された文字(地名、分類番号、記号、一連番号など)を含む。
【0031】
通信用車両検知器12は、車両Vの通信終了位置X2の通過を検出する。通信用車両検知器12は、進入側車両検知器10と同様の機器構成を有している。
【0032】
第1アンテナ13は、車線Lを走行する車両Vの車載器と無線通信を行い、料金収受処理に要する情報の送受信を行う。第1アンテナ13は、進入側車両検知器10によって車両Vの車線Lへの進入が検出されてから、通信用車両検知器12によって車両Vが通信終了位置X2を通過したことが検出されるまで、無線通信用の電波の放射を行う。
【0033】
車線表示板14は、車線Lの状態を表示する電光掲示板である。車線表示板14には、たとえば、「閉鎖」、「ETC専用」、「一般」、「ETC/一般」などの情報が表示される。
【0034】
路側表示器15は、車両Vの搭乗者に通行料金などを通知するための電光掲示板である。
【0035】
発進制御機16は、開閉バーを上げ下げすることにより、車線Lの開放(車両Vの車線Lからの退出許可)及び閉塞(車両Vの車線Lからの退出規制)を行う。
【0036】
退出側車両検知器17は、車両Vの退出検出位置X3の通過(車線Lからの退出)を検出する。退出側車両検知器17は、進入側車両検知器10と同様の機器構成を有している。
【0037】
第2アンテナ18は、車線Lを走行する車両Vの車載器と無線通信を行い、料金収受処理に要する情報の送受信を行う。第2アンテナ18は、たとえば料金収受処理の結果などを車載器に書き込む処理が完了しなかった場合に電波放射を開始し、退出側車両検知器17によって車両Vの退出が検出されると、電波放射を停止する。
【0038】
監視カメラ19は、車線Lを走行する車両Vを撮影する。
【0039】
(中継装置の構成)
図2は、第1の実施形態に係る中継装置および車線サーバの機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、中継装置2は、路側インタフェース(IF)集約部20と、プロセッサ21とを備える。
【0040】
路側IF集約部20は、路側装置1の各路側機器が接続される。
【0041】
プロセッサ21は、接続信号送信部211としての機能を発揮する。接続信号送信部211は、各路側機器の接続の有無を示す接続信号を車線サーバ3へ送信する。接続信号送信部211は、各路側機器について、正常に接続されている場合に、接続信号ONを車線サーバ3へ送信する。また、接続信号送信部211は、各路側機器について、故障や交換などにより未接続状態(信号送受信不可)の場合に、接続信号OFFを車線サーバ3へ送信する。
【0042】
(車線サーバの構成)
図2に示すように、車線サーバ3は、実入出力部30と、仮想入出力部31と、プロセッサ32とを備える。
【0043】
実入出力部30は、中継装置2を介して路側装置1の各路側機器との間で実信号を送受信するための入出力ドライバ(たとえば、PIO(Programmed Input Output)ドライバ)である。実信号は、各路側機器から車線サーバ3へ送信される検出信号や、車線サーバ3から各路側機器へ送信する制御信号などが含まれる。
【0044】
仮想入出力部31は、車線サーバ3との間で実信号を模擬した模擬信号を送受信するための入出力ドライバ(たとえば、PIOドライバ)である。
【0045】
プロセッサ32は、所定のプログラムに従って動作することにより、接続信号受信部321、割当部322、処理部323としての機能を発揮する。
【0046】
接続信号受信部321は、中継装置2から路側機器の接続の有無を示す接続信号を受信する。
【0047】
割当部322は、接続信号に基づいて、路側機器との信号の送受信経路を実入出力部30または仮想入出力部31に割り当てる。具体的には、割当部322は、接続信号がONである路側機器との送受信経路を実入出力部30に割り当てる。一方、割当部322は、接続信号がOFFである路側機器との送受信経路を仮想入出力部31に割り当てる。送受信経路の割り当ては、路側機器ごとに個別に切り替え可能である。
【0048】
処理部323は、実入出力部30を介して送受信される実信号、または仮想入出力部31を介して送受信される模擬信号に基づいて料金収受処理を行う。
【0049】
(車線サーバの処理フロー)
図3は、第1の実施形態に係る車線サーバの処理の一例を示すフローチャートである。
ここでは、
図3を参照しながら、車線サーバ3の処理の流れについて説明する。
【0050】
車線サーバ3は、起動時に自身の接続モードを判断する。なお、接続モードはユーザにより任意に切り替え可能である。
【0051】
まず、車線サーバ3の割当部322は、実機器接続モードが設定されているか判断する(ステップS101)。実機器接続モードは、模擬装置4を使用せずに料金収受処理を行うモードである。実機器接続モードが設定されている場合(ステップS101;YES)、割当部322は、全ての路側機器について、信号の送受信経路を実入出力部30に割り当てる(ステップS102)。この場合、車線サーバ3は、実際の路側機器と実信号の送受信のみを行う。
【0052】
実機器接続モードが設定されていない場合(ステップS101;NO)、割当部322は、模擬装置接続モードが設定されているか判断する(ステップS103)。模擬装置接続モードは、たとえば車線を閉鎖して車線サーバ3の試験を行う場合に設定されるモードである。模擬装置接続モードが設定されている場合(ステップS103;YES)、全ての路側機器について、信号の送受信経路を仮想入出力部31に割り当てる(ステップS104)。たとえば、車線サーバ3の試験時にこのモードが設定される。この場合、車線サーバ3は、模擬装置4と模擬信号の送受信のみを行う。
【0053】
模擬装置接続モードが設定されていない場合(ステップS103;NO)、割当部322は、混在接続モードが設定されているか判断する(ステップS105)。混在接続モードは、料金収受処理を行う際に、路側機器の一部を模擬装置4で模擬することを可能とするモードである。混在接続モードが設定されていない場合(ステップS105;NO)、つまり、上記した何れの接続モードも設定されていない場合は、設定のエラーにより車線サーバ3を起動不可とする(ステップS106)。この場合、車線サーバ3は、ユーザが接続モードの設定を修正したあと、ステップS101から処理をやり直す。
【0054】
一方、混在接続モードが設定されている場合(ステップS105;YES)、割当部322は、車線サーバ3が中継装置2と接続されているか判断する(ステップS107)。車線サーバ3が中継装置2と接続されていない場合、車線サーバ3は起動不可とする(ステップS108)。この場合、車線サーバ3は、ユーザが中継装置2を正しく接続したあと、ステップS101から処理をやり直す。
【0055】
また、車線サーバ3と中継装置2とが正しく接続されている場合、割当部322は、各路側機器について、個別に信号の送受信経路の割り当て処理(
図3の破線内の一連の処理)を行う。本実施形態では、たとえば、模擬装置4は、複数の路側機器のうち、進入側車両検知器10、通信用車両検知器12、および退出側車両検知器17の検出信号を模擬した模擬信号を車線サーバ3へ送信可能であるとする。つまり、本実施形態に係る割当部322は、進入側車両検知器10、通信用車両検知器12、および退出側車両検知器17のそれぞれについて、以下に説明する一連の処理を行う。
【0056】
進入側車両検知器10を例として説明する。割当部322は、接続信号受信部321が中継装置2から進入側車両検知器10の接続信号ONを受信しているか判断する(ステップS109)。進入側車両検知器10の接続信号ONを受信している場合(ステップS109;YES)、割当部322は、進入側車両検知器10の信号の送受信経路を実入出力部30に割り当てる(ステップS110)。そうすると、処理部323は、実入出力部30を介して受信した実際の進入側車両検知器10の実信号(検出信号)に基づき、料金収受処理を行う。このとき、処理部323は、模擬装置4から進入側車両検知器10の模擬信号を受信した場合に、この模擬信号を破棄する。
【0057】
一方、進入側車両検知器10の接続信号OFFを受信した場合(ステップS109;NO)、割当部322は、進入側車両検知器10の信号の送受信経路を仮想入出力部31に割り当てる(ステップS111)。そうすると、処理部323は、仮想入出力部31を介して模擬装置4から受信した進入側車両検知器10の模擬信号に基づき、料金収受処理を行う。ユーザ(監視員)は、監視カメラ19の映像などで車両Vが車線Lに進入したことを確認し、模擬信号を送信するように模擬装置4を操作する。なお、このとき、処理部323は、進入側車両検知器10から実信号(検出信号)を受信した場合に、この検出信号を破棄する。
【0058】
また、割当部322は、進入側車両検知器10の信号の送受信経路を実入出力部30に割り当てているとき(ステップS110実施後、または後述するステップS116実施後)、接続信号受信部321が中継装置2から進入側車両検知器10の接続信号OFFを受信したか監視する(ステップS112)。進入側車両検知器10の接続信号OFFを受信していない場合(ステップS112;NO)、割当部322は処理を行わず(ステップS114)、ステップS112の監視を継続する。一方、進入側車両検知器10の接続信号OFFを受信した場合(ステップS112;YES)、割当部322は、進入側車両検知器10の信号の送受信経路を仮想入出力部31に切り替える(ステップS113)。この後は、次に説明するステップS111実施後と同様の処理が行われる。
【0059】
割当部322は、進入側車両検知器10の信号の送受信経路を仮想入出力部31に割り当てているとき(ステップS111実施後、またはステップS113実施後)、接続信号受信部321が中継装置2から進入側車両検知器10の接続信号ONを受信したか監視する(ステップS115)。進入側車両検知器10の接続信号ONを受信していない場合(ステップS115;NO)、割当部322は処理を行わず(ステップS117)、ステップS115の監視を継続する。一方、進入側車両検知器10の接続信号ONを受信した場合(ステップS115;YES)、割当部322は、進入側車両検知器10の信号の送受信経路を実入出力部30に切り替える(ステップS116)。この後は、ステップS110実施後と同様の処理が行われる。
【0060】
(作用、効果)
以上のように、本実施形態に係る料金収受システム100において、車線サーバ3は、中継装置2を介して路側機器との間で実信号の送受信を行う実入出力部30と、路側機器を模擬する模擬装置4との間で実信号を模擬した模擬信号の送受信を行う仮想入出力部31と、路側機器との通信を中継する中継装置2から、複数の路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を受信する接続信号受信部321と、接続信号に基づいて、複数の路側機器それぞれとの信号の送受信経路を実入出力部30または仮想入出力部31に割り当てる割当部322と、を備える。
【0061】
このようにすることで、車線サーバ3は、料金収受システム100の運用中に、路側機器が正しく接続されているか否かに基づいて、実際の路側機器と実信号を送受信するか、模擬装置4と模擬信号の送受信をするかを、路側機器ごとに個別に設定することができる。これにより、車線サーバ3は、実機器と模擬装置とを混在させて料金収受システム100を運用することができる。
【0062】
また、車線サーバ3は、実入出力部30を介して送受信される実信号、または仮想入出力部31を介して送受信される模擬信号に基づいて通行料金を収受する処理を行う処理部323をさらに備える。処理部323は、実入出力部30および仮想入出力部31のうち、送受信経路として割り当てられていない方から入力された信号を破棄する。
【0063】
このようにすることで、車線サーバ3は、実入出力部30が割り当てられているときに、たとえばユーザの誤操作などにより模擬装置4から送信された不正な模擬信号に基づいて、誤って処理を行ってしまうことを抑制することができる。同様に、車線サーバ3は、仮想入出力部31が割り当てられているときに、たとえば路側機器から送信された不正な信号(ノイズなど)に基づいて、誤って処理を行ってしまうことを抑制することができる。
【0064】
また、料金収受システム100において、中継装置2は、路側装置1の複数の路側機器が接続される路側インタフェース集約部20と、複数の路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を車線サーバ3に送信する接続信号送信部211と、を備える。
【0065】
このようにすることで、中継装置2は、料金収受システム100の運用中に、たとえば一部の路側機器が故障や交換などで未接続状態となったときに、迅速に車線サーバ3に知らせることができる。
【0066】
<その他の実施形態>
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0067】
たとえば、上述の実施形態において、中継装置2が路側IF集約部20を備える構成を例として説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、中継装置2と路側IF集約部20とは、それぞれ独立した装置として構成されてもよい。
【0068】
<ハードウェア構成>
図4は、料金収受システムの各装置のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【0069】
コンピュータ900は、プロセッサ901、主記憶装置902、補助記憶装置903、および、インタフェース904を備える。
【0070】
上述の料金収受システム100を構成する各装置(中継装置2、車線サーバ3、模擬装置4)は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。プロセッサ901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ901は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置902に確保する。
【0071】
プログラムは、コンピュータ900に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ900は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。この場合、プロセッサ901によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0072】
補助記憶装置903の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904または通信回線を介してコンピュータ900に接続される外部記憶装置910であってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0073】
また、プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0074】
<付記>
上述の実施形態に記載の車線サーバ、中継装置、料金収受システム、料金収受方法、およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0075】
(1)第1の態様によれば、車線サーバ3は、料金所の車線Lに設けられる複数の路側機器の信号に基づいて車線Lを走行する車両Vの通行料金を収受する処理を行う車線サーバ3であって、路側機器との通信を中継する中継装置2を介して路側機器との間で実信号の送受信を行う実入出力部30と、路側機器を模擬する模擬装置4との間で実信号を模擬した模擬信号の送受信を行う仮想入出力部31と、中継装置2から複数の路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を受信する接続信号受信部321と、接続信号に基づいて、複数の路側機器それぞれとの信号の送受信経路を実入出力部30または仮想入出力部31に割り当てる割当部と、を備える。
【0076】
このようにすることで、車線サーバ3は、料金収受システム100の運用中に、路側機器が正しく接続されているか否かに基づいて、実際の路側機器と実信号を送受信するか、模擬装置4と模擬信号の送受信をするかを、路側機器ごとに個別に設定することができる。これにより、車線サーバ3は、実機器と模擬装置とを混在させて料金収受システム100を運用することができる。
【0077】
(2)第2の態様によれば、第1の態様に係る車線サーバ3は、実入出力部30を介して送受信される実信号、または仮想入出力部31を介して送受信される模擬信号に基づいて通行料金を収受する処理を行う処理部323をさらに備え、処理部323は、実入出力部30および仮想入出力部31のうち、送受信経路として割り当てられていない方から入力された信号を破棄する。
【0078】
このようにすることで、車線サーバ3は、実入出力部30が割り当てられているときに、たとえばユーザの誤操作などにより模擬装置4から送信された不正な模擬信号に基づいて、誤って処理を行ってしまうことを抑制することができる。同様に、車線サーバ3は、仮想入出力部31が割り当てられているときに、たとえば路側機器から送信された不正な信号(ノイズなど)に基づいて、誤って処理を行ってしまうことを抑制することができる。
【0079】
(3)第3の態様によれば、中継装置2は、料金所の車線Lに設けられる複数の路側機器と、車線Lを走行する車両Vの通行料金を収受する車線サーバ3との通信を中継する中継装置2であって、複数の路側機器が接続される路側インタフェース集約部20と、複数の路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を車線サーバ3に送信する接続信号送信部211と、を備える。
【0080】
このようにすることで、中継装置2は、料金収受システム100の運用中に、たとえば一部の路側機器が故障や交換などで未接続状態となったときに、迅速に車線サーバ3に知らせることができる。
【0081】
(4)第4の態様によれば、料金収受システム100は、料金所の車線Lに設けられる路側機器と、路側機器を模擬する模擬装置4と、第1または第2の態様に係る車線サーバ3と、第3の態様に係る中継装置と、を備える。
【0082】
このようにすることで、料金収受システム100は、路側機器の実機器と模擬装置とを混在させて運用することができる。
【0083】
(5)第5の態様によれば、料金収受方法は、料金所の車線Lに設けられる路側機器と、路側機器を模擬する模擬装置4と、車線Lを走行する車両Vの通行料金を収受する車線サーバ3と、路側機器と車線サーバ3との通信を中継する中継装置2と、を備える料金収受システム100を用いた料金収受方法であって、中継装置2が、複数の路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を送信するステップと、車線サーバ3が、中継装置2から複数の路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を受信するステップと、車線サーバ3が、接続信号に基づいて、複数の路側機器それぞれとの信号の送受信経路を、中継装置2を介して路側機器との間で実信号の送受信を行う実入出力部30、または、路側機器を模擬する模擬装置4との間で実信号を模擬した模擬信号の送受信を行う仮想入出力部31に割り当てるステップと、を有する。
【0084】
(6)第6の態様によれば、プログラムは、料金所の車線Lに設けられる路側機器と信号の送受信を行い、車線Lを走行する車両Vの通行料金を収受する車線サーバ3に、路側機器との通信を中継する中継装置2から複数の路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を受信するステップと、接続信号に基づいて、複数の路側機器それぞれとの信号の送受信経路を、中継装置2を介して路側機器との間で実信号の送受信を行う実入出力部30、または、路側機器を模擬する模擬装置4との間で前記実信号を模擬した模擬信号の送受信を行う仮想入出力部31に割り当てるステップと、を実行させる。
【0085】
(7)第7の態様によれば、プログラムは、料金所の車線Lに設けられる路側機器と、車線Lを走行する車両Vの通行料金を収受する車線サーバ3との通信を中継する中継装置2に、複数の路側機器それぞれの接続の有無を示す接続信号を送信するステップを実行させる。
【符号の説明】
【0086】
100 料金収受システム
1 路側装置
10 進入側車両検知器
11 ナンバープレート読取装置
11 NP読取装置
12 通信用車両検知器
13 第1アンテナ
14 車線表示板
15 路側表示器
16 発進制御機
17 退出側車両検知器
18 第2アンテナ
19 監視カメラ
2 中継装置
20 路側インタフェース集約部(路側IF集約部)
21 プロセッサ
211 接続信号送信部
3 車線サーバ
30 実入出力部
31 仮想入出力部
32 プロセッサ
321 接続信号受信部
322 割当部
323 処理部
4 模擬装置
900 コンピュータ
901 プロセッサ
902 主記憶装置
903 補助記憶装置
904 インタフェース
910 外部記憶装置
L 車線
V 車両(ETC車両)
X1 進入検出位置
X2 通信終了位置
X3 退出検出位置