(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004935
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 4/2445 20180101AFI20250108BHJP
H01R 4/2433 20180101ALI20250108BHJP
【FI】
H01R4/2445
H01R4/2433
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104848
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】谷本 正浩
(72)【発明者】
【氏名】西田 佳史
(72)【発明者】
【氏名】中野 亜耶
【テーマコード(参考)】
5E012
【Fターム(参考)】
5E012AA08
5E012AA42
5E012AA43
(57)【要約】
【課題】切断刃とハウジングとの当接を好適に防止してマグネットワイヤの端部を適切に切断でき、コンタクトとマグネットワイヤを適切に圧接でき、さらに、マグネットワイヤが細い場合でも適切にマグネットワイヤの端部を切断できる、コネクタを提供する。
【解決手段】ハウジング11は、マグネットワイヤ100が配置される本体ハウジング部20と、本体ハウジング部20との間でマグネットワイヤ100を挟み込んで保持するカバーハウジング部21とを有する。コンタクト12は、ハウジング11が嵌め込まれる枠体33と、スリット刃34aを有してマグネットワイヤ100に圧接される圧接部34と、マグネットワイヤ100を切断する切断刃35aを有する切断部35とを備える。枠体33には、ハウジング11を枠体33の壁部41に押し付けるように付勢してハウジング11の枠体33内での位置を位置決めするバネ部36が設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心線とその周囲のエナメル被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して圧接されて電気的に接続されるコネクタであって、
前記マグネットワイヤを保持するハウジングと、前記マグネットワイヤに圧接されるコンタクトと、を備え、
前記ハウジングは、前記マグネットワイヤが配置されるワイヤ配置溝が設けられた本体ハウジング部と、前記本体ハウジング部に取り付けられて前記本体ハウジング部との間で前記マグネットワイヤを挟み込んで保持するカバーハウジング部と、を有し、
前記コンタクトは、前記マグネットワイヤを保持した前記ハウジングが嵌め込まれる枠体と、前記枠体の内側で前記枠体と一体に設けられ、前記エナメル被覆を切り破るスリット刃を有して前記マグネットワイヤに圧接される圧接部と、前記枠体と一体に設けられ、前記マグネットワイヤを切断する切断刃を有する切断部と、を有し、
前記本体ハウジング部及び前記カバーハウジング部には、前記ハウジングが前記枠体に嵌め込まれた際に前記圧接部が挿入される圧接部用溝が設けられ、
前記本体ハウジング部には、前記ハウジングが前記枠体に嵌め込まれた際に前記切断部が挿入される切断部用溝が設けられ、
前記枠体には、前記圧接部が前記圧接部用溝に挿入されるとともに前記切断部が前記切断部用溝に挿入されるように、前記ハウジングを前記枠体の壁部に押し付けるように付勢して前記ハウジングの前記枠体内での位置を位置決めするバネ部が設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記カバーハウジング部は、前記本体ハウジング部に対して嵌め込まれるようにして取り付けられることを特徴とする、コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記本体ハウジング部には、前記ワイヤ配置溝に前記マグネットワイヤを誘導するテーパ状のガイド溝が設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記本体ハウジング部と前記カバーハウジング部とがヒンジ部を介して一体に設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記バネ部は、前記枠体において、前記ハウジングに保持された前記マグネットワイヤが延びるワイヤ長手方向における一方の壁部に設けられ、前記バネ部が前記ハウジングを前記ワイヤ長手方向における前記枠体の他方の壁部に押し付けるように付勢することで、前記ハウジングの前記枠体内での位置を位置決めすることを特徴とする、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心線とその周囲のエナメル被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して圧接されて電気的に接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電動モータあるいはレゾルバ等の電気機器の巻線として、心線とその周囲のエナメル被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤが用いられている。電動モータあるいはレゾルバ等の電気機器が他の機器に接続される際には、マグネットワイヤに対して圧接されて電気的に接続されるコネクタが必要となる。このようなマグネットワイヤに対して圧接されて電気的に接続されるコネクタとして、例えば、特許文献1に開示されたコネクタが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたコネクタは、ハウジングとしての絶縁体10及び絶縁カバー11と、コンタクトとしてのワイヤコネクタ素子12と、マグネットワイヤの端部を切断するための金属線切断及び歪緩和素子14と、を備え、マグネットワイヤとしての電線41に対して圧接されて電気的に接続されるように構成されている。
【0004】
絶縁体10は、絶縁カバー11が嵌め込まれる枠状に形成されている。絶縁カバー11の電線溝32に電線41が挿入された状態で、絶縁カバー11が絶縁体10に嵌め込まれる。ワイヤコネクタ素子12と、金属線切断及び歪緩和素子14とは、絶縁体10の内側に配置されている。ワイヤコネクタ素子12には、電線41のエネメル被覆を切り破って電線41に圧接されるスリット刃としてのワイヤコネクタ溝21が設けられている。金属線切断及び歪緩和素子14には、電線41の端部を切断する切断刃24が設けられている。電線41が電線溝32に挿入された状態で絶縁カバー11が絶縁体10に嵌め込まれると、電線41の端部が切断刃24によって切断されるとともに、電線41がワイヤコネクタ素子12に対して圧接される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたコネクタにおいては、枠状に設けられた絶縁体10と絶縁体10に嵌め込まれる絶縁カバー11との間でガタがあると、絶縁体10に絶縁カバー11を嵌め込む位置のずれが生じてしまうことになる。絶縁体10に絶縁カバー11を嵌め込む位置のずれが生じると、絶縁カバー11と切断刃24とが当接してしまい、マグネットワイヤとしての電線41の端部を適切に切断できない虞がある。また、絶縁体10に絶縁カバー11を嵌め込む位置のずれが生じると、絶縁カバー11が、ワイヤコネクタ素子12のスリット刃のワイヤコネクタ溝21に当接してしまい、マグネットワイヤとしての電線41とコンタクトとしてのワイヤコネクタ素子12とを適切に圧接することができない虞がある。
【0007】
また、絶縁カバー11には、絶縁体10に嵌め込まれる際に、電線41の端部を切断する切断刃24が挿入される溝が設けられている。絶縁体10に絶縁カバー11を嵌め込む位置のずれが生じていない状態では、絶縁カバー11における溝の縁部と切断刃24と間で適切なクリアランスが保たれ、電線41の端部が適切に切断される。しかし、絶縁体10と絶縁カバー11との間にガタがあり、絶縁体10に絶縁カバー11を嵌め込む位置のずれが生じると、絶縁カバー11における溝の縁部と切断刃24と間の隙間が大きくなってしまう虞がある。この場合、マグネットワイヤとしての電線41の径が細い場合、電線41が絶縁カバー11における溝の内側に押し込まれてしまい、電線41を切断できない虞がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、マグネットワイヤとコンタクトとを圧接するとともにマグネットワイヤの端部を切断刃によって切断するコネクタにおいて、切断刃がコネクタのハウジングと当接してしまうことを好適に防止してマグネットワイヤの端部を適切に切断できるとともに、コンタクトとマグネットワイヤを適切に圧接でき、さらに、マグネットワイヤが細い場合であっても適切にマグネットワイヤの端部を切断することできる、コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係るコネクタは、心線とその周囲のエナメル被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して圧接されて電気的に接続されるコネクタに関する。そして、本発明のある局面に係るコネクタは、前記マグネットワイヤを保持するハウジングと、前記マグネットワイヤに圧接されるコンタクトと、を備え、前記ハウジングは、前記マグネットワイヤが配置されるワイヤ配置溝が設けられた本体ハウジング部と、前記本体ハウジング部に取り付けられて前記本体ハウジング部との間で前記マグネットワイヤを挟み込んで保持するカバーハウジング部と、を有し、前記コンタクトは、前記マグネットワイヤを保持した前記ハウジングが嵌め込まれる枠体と、前記枠体の内側で前記枠体と一体に設けられ、前記エナメル被覆を切り破るスリット刃を有して前記マグネットワイヤに圧接される圧接部と、前記枠体と一体に設けられ、前記マグネットワイヤを切断する切断刃を有する切断部と、を有し、前記本体ハウジング部及び前記カバーハウジング部には、前記ハウジングが前記枠体に嵌め込まれた際に前記圧接部が挿入される圧接部用溝が設けられ、前記本体ハウジング部には、前記ハウジングが前記枠体に嵌め込まれた際に前記切断部が挿入される切断部用溝が設けられ、前記枠体には、前記圧接部が前記圧接部用溝に挿入されるとともに前記切断部が前記切断部用溝に挿入されるように、前記ハウジングを前記枠体の壁部に押し付けるように付勢して前記ハウジングの前記枠体内での位置を位置決めするバネ部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によると、本体ハウジング部及びカバーハウジング部で構成されたハウジングでマグネットワイヤが挟まれて保持された状態で、ハウジングがコンタクトの枠体に嵌め込まれる。そして、ハウジングがコンタクトの枠体に嵌め込まれると、コンタクトの枠体に設けられたバネ部によってハウジングが付勢されてハウジングが枠体内の壁部に押し付けられて枠体内でのハウジングの位置決めがなされる。このため、コンタクトの枠体とハウジングとの間でガタがあってコンタクトの枠体へハウジングを嵌め込む位置のずれがあっても、バネ部によってハウジングが枠体の壁部に押し付けられてハウジングの枠体内での位置決めがなされることになる。そして、ハウジングが枠体内に嵌め込まれる際に枠体内でのハウジングの位置決めがなされることで、コンタクトの切断部がハウジングの切断部用溝に確実に挿入されるとともに、コンタクトの圧接部がハウジングの圧接部用溝に確実に挿入される。これにより、コンタクトの切断部がハウジングと当接することなく、ハウジングの切断部用溝に挿入されて、マグネットワイヤの端部がコンタクトの切断部によって確実に切断される。そして、コンタクトの圧接部がハウジングと当接することなく、ハウジングの圧接部用溝に挿入されて、マグネットワイヤが圧接部に圧接される。よって、上記の構成によると、切断刃がコネクタのハウジングと当接してしまうことを好適に防止してマグネットワイヤの端部を適切に切断できるとともに、コンタクトとマグネットワイヤを適切に圧接できる。また、上記の構成によると、ハウジングが枠体内に嵌め込まれる際に枠体内でのハウジングの位置決めがなされるため、マグネットワイヤの径が細い場合であっても、切断部用溝の縁部と切断部の切断刃との間の隙間が大きくなってしまうことを防止することができる。これにより、マグネットワイヤの径が細い場合であっても、マグネットワイヤを確実に切断することができる。
【0011】
したがって、上記の構成によると、マグネットワイヤとコンタクトとを圧接するとともにマグネットワイヤの端部を切断刃によって切断するコネクタにおいて、切断刃がコネクタのハウジングと当接してしまうことを好適に防止してマグネットワイヤの端部を適切に切断できるとともに、コンタクトとマグネットワイヤを適切に圧接でき、さらに、マグネットワイヤが細い場合であっても適切にマグネットワイヤの端部を切断することできる、コネクタを提供することができる。
【0012】
(2)前記カバーハウジング部は、前記本体ハウジング部に対して嵌め込まれるようにして取り付けられていてもよい。
【0013】
この構成によると、カバーハウジング部が本体ハウジング部に嵌め込まれて取り付けられた状態で、本体ハウジング部とカバーハウジング部との間でマグネットワイヤが挟まれて保持される。このため、マグネットワイヤをハウジングに安定して強固に保持した状態で、マグネットワイヤを保持したハウジングをコンタクトの枠体に嵌め込むことができる。これにより、マグネットワイヤを保持したハウジングをコンタクトの枠体に嵌め込む作業を行う際に、マグネットワイヤがハウジングから脱落したり、マグネットワイヤがハウジングに対して位置ずれしたりしてしまうことを防止することができる。そして、マグネットワイヤを保持したハウジングをコンタクトの枠体に嵌め込む作業を容易に行うことができる。
【0014】
(3)前記本体ハウジング部には、前記ワイヤ配置溝に前記マグネットワイヤを誘導するテーパ状のガイド溝が設けられていてもよい。
【0015】
この構成によると、本体ハウジング部のワイヤ配置溝にマグネットワイヤを配置する際に、マグネットワイヤがガイド溝によって誘導されるため、本体ハウジング部のワイヤ配置溝へマグネットワイヤを配置する作業が容易となる。また、マグネットワイヤは、ガイド溝によって誘導された状態でワイヤ配置溝に配置されるため、マグネットワイヤをワイヤ配置溝に配置した状態においては、マグネットワイヤはガイド溝によってワイヤ配置溝に位置決めされた状態となり、マグネットワイヤをワイヤ配置溝から脱落し難くすることができる。
【0016】
(4)前記本体ハウジング部と前記カバーハウジング部とがヒンジ部を介して一体に設けられていてもよい。
【0017】
この構成によると、本体ハウジング部とカバーハウジング部とがヒンジ部を介して一体に設けられるため、本体ハウジング部とカバーハウジング部とが別部品として個別に取り扱われることがなく、ハウジングの取り扱いが容易となり、作業性を向上させることができる。
【0018】
(5)前記バネ部は、前記枠体において、前記ハウジングに保持された前記マグネットワイヤが延びるワイヤ長手方向における一方の壁部に設けられ、前記バネ部が前記ハウジングを前記ワイヤ長手方向における前記枠体の他方の壁部に押し付けるように付勢することで、前記ハウジングの前記枠体内での位置を位置決めしてもよい。
【0019】
この構成によると、バネ部が、枠体におけるワイヤ長手方向の一方の壁部に設けられ、バネ部によって付勢されたハウジングが、枠体におけるワイヤ長手方向の他方の壁部に押し付けられる。このため、枠体における一方の壁部にバネ部を設けた簡素な構造でバネ部によってハウジングを枠体の壁部に押し付けて枠体内で位置決めする構造を構成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、マグネットワイヤとコンタクトとを圧接するとともにマグネットワイヤの端部を切断刃によって切断するコネクタにおいて、切断刃がコネクタのハウジングと当接してしまうことを好適に防止してマグネットワイヤの端部を適切に切断できるとともに、コンタクトとマグネットワイヤを適切に圧接でき、さらに、マグネットワイヤが細い場合であっても適切にマグネットワイヤの端部を切断することできる、コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタを示す斜視図である。
【
図2】コネクタの斜視図であって、コンタクトの枠体にハウジングが嵌め込まれる前の状態を示す図である。
【
図3】コネクタのハウジングとマグネットワイヤとを示す斜視図であって、
図3(A)は、ハウジングにマグネットワイヤが保持される前の状態を示す斜視図であり、
図3(B)は、ハウジングにマグネットワイヤが配置された状態を示す斜視図であり、
図3(C)は、ハウジングにマグネットワイヤが保持された状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4(A)および
図4(B)は、ハウジングの斜視図である。
【
図5】
図5(A)は、ハウジングの平面図であり、
図5(B)は、ハウジングの底面図である。
【
図6】
図6(A)は、ハウジングの正面図であり、
図6(B)は、ハウジングの一方の側面図である。
【
図7】ハウジングとマグネットワイヤとを示す斜視図であって、ハウジングにマグネットワイヤが配置された状態を示す図である。
【
図8】
図8(A)及び
図8(B)は、コネクタのコンタクトを示す斜視図である。
【
図9】
図9(A)は、コンタクトの平面図であり、
図9(B)は、コンタクトの一方の側面図であり、
図9(C)は、コンタクトの他方の側面図である。
【
図10】ハウジングにマグネットワイヤが保持された状態を示す図であって、
図10(A)は、一方の側面図であり、
図10(B)は、
図10(A)のA-A線矢視位置での断面図である。
【
図11】マグネットワイヤを保持したハウジングがコンタクトの枠体に嵌め込まれる動作が開始された状態を示す図であって、
図11(A)は、一方の側面図であり、
図11(B)は、
図11(A)のB-B線矢視位置での断面図である。
【
図12】マグネットワイヤを保持したハウジングがコンタクトの枠体に嵌め込まれている途中の状態を示す図であって、
図12(A)は、一方の側面図であり、
図12(B)は、
図12(A)のC-C線矢視位置での断面図である。
【
図13】マグネットワイヤを保持したハウジングがコンタクトの枠体に嵌め込まれてマグネットワイヤとコンタクトとが接続された状態を示す図であって、
図13(A)は、一方の側面図であり、
図13(B)は、
図13(A)のD-D線矢視位置での断面図である。
【
図14】マグネットワイヤを保持したハウジングがコンタクトの枠体に嵌め込まれてマグネットワイヤとコンタクトとが接続された状態を示す図であって、
図14(A)は、正面図であり、
図14(B)は、
図14(A)のE-E線矢視位置での断面図である。
【
図15】
図15(A)および
図15(B)は、変形例に係るコネクタのコンタクトを示す斜視図である。
【
図16】変形例に係るコネクタにおいて、マグネットワイヤを保持したハウジングがコンタクトの枠体に嵌め込まれてマグネットワイヤとコンタクトとが接続された状態を示す図であって、
図16(A)は、一方の側面図であり、
図16(B)は、
図16(A)のF-F線矢視位置での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、心線とその周囲のエナメル被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して圧接されて電気的に接続されるコネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0023】
[コネクタの概略]
図1は、本発明の一実施の形態に係るコネクタ1を示す斜視図である。
図2は、コネクタ1の斜視図であって、コネクタ1のコンタクト12の枠体33にコネクタ1のハウジング11が嵌め込まれる前の状態を示す図である。なお、
図1においては、コネクタ1にマグネットワイヤ100が接続された状態を示している。
図2においては、コネクタ1のハウジング11にマグネットワイヤ100が保持された状態を示している。なお、
図1及び
図2では、マグネットワイヤ100については、コネクタ1に接続される部分だけを模式的に図示している。また、
図1及び
図2では、コネクタ1が基板101に接続された状態を示している。
【0024】
図1及び
図2を参照して、コネクタ1は、マグネットワイヤ100に対して圧接されて電気的に接続されるコネクタとして構成されている。マグネットワイヤ100は、電動モータあるいはレゾルバ等の電気機器(図示省略)の巻線として設けられ、導体としての心線とその周囲の絶縁体としてのエナメル被覆とを含む電線として構成される。マグネットワイヤ100が接続されるコネクタ1は、基板101に対して実装されて接続されている。コネクタ1におけるコンタクト12が基板101に対してはんだ付けによって電気的及び機械的に接続されることで、コネクタ1が基板101に対して実装されて電気的に接続されている。基板101に接続されたコネクタ1とマグネットワイヤ100とが接続されることで、基板101とマグネットワイヤ100とが電気的に接続される。
【0025】
コネクタ1は、マグネットワイヤ100を保持するハウジング11と、マグネットワイヤ100に圧接されるコンタクト12とを備えて構成されている。ハウジング11は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されており、コンタクト12は、導電性を有する金属材料で形成されている。
【0026】
コンタクト12は、基板101に対してはんだ付けによって実装されて接続される。コンタクト12は、枠体33を有しており、ハウジング11は、マグネットワイヤ100を保持した状態で、コンタクト12の枠体33に対して挿入されて嵌め込まれる。マグネットワイヤ100を保持したハウジング11が、コンタクト12の枠体33に嵌め込まれることで、マグネットワイヤ100がコンタクト12における後述の圧接部34に対して圧接されて電気的に接続される。また、ハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれてマグネットワイヤ100がコンタクト12に圧接された状態では、マグネットワイヤ100の端部100a(
図2を参照)が、コンタクト12における後述の切断部35によって切断される。なお、
図1は、マグネットワイヤ100がコネクタ1に電気的に接続された状態を示しており、この状態では、マグネットワイヤ100の端部100aは、切断されて除去されている。
【0027】
図3は、コネクタ1のハウジング11とマグネットワイヤ100とを示す斜視図であって、
図3(A)は、ハウジング11にマグネットワイヤ100が保持される前の状態を示す斜視図であり、
図3(B)は、ハウジング11にマグネットワイヤ100が配置された状態を示す斜視図であり、
図3(C)は、ハウジング11にマグネットワイヤ100が保持された状態を示す斜視図である。
図3(A)を参照して、ハウジング11は、後述するように、ヒンジ部22を介して一体に連結された本体ハウジング部20とカバーハウジング部21とを有している。そして、
図3(B)を参照して、本体ハウジング部20にマグネットワイヤ100が配置される。本体ハウジング部20にマグネットワイヤ100が配置されると、
図3(C)を参照して、カバーハウジング部21が本体ハウジング部20に対して嵌め込まれて閉じられる。これにより、マグネットワイヤ100が本体ハウジング部20とカバーハウジング部21との間で挟み込まれ、マグネットワイヤ100がハウジング11に保持される。なお、
図2及び
図3(C)では、マグネットワイヤ100がハウジング11に保持された状態が示されているが、
図2と
図3(C)とでは、ハウジング11の高さ方向X1における向きが逆向きの状態となっている。マグネットワイヤ100がハウジング11に保持されると、
図1を参照して、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれ、マグネットワイヤ100がコンタクト12に圧接されて電気的に接続された状態となる。
【0028】
以下、本実施形態のコネクタ1の構成の詳細についてさらに説明する。なお、以下の説明では、
図1乃至
図3および後述の図面において両端矢印X1~X3で示すように、コネクタ1における高さ方向X1、前後方向X2、及び幅方向X3を定義する。高さ方向X1は、コネクタ1においてコンタクト12の枠体33にハウジング11が挿入されて嵌め込まれる方向と平行な方向として構成される。前後方向X2及び幅方向X3は、高さ方向X1に垂直な方向として構成され、前後方向X2と幅方向X3とは互いに垂直な方向として構成される。なお、本実施形態では、幅方向X3は、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれてマグネットワイヤ100がコネクタ1に接続された状態で、マグネットワイヤ100がコネクタ1から引き出される方向と平行な方向として構成されている。
【0029】
[ハウジング]
図4(A)及び
図4(B)は、ハウジング11の斜視図である。
図5(A)は、ハウジング11の平面図であり、
図5(B)は、ハウジング11の底面図である。
図6(A)は、ハウジング11の正面図であり、
図6(B)は、ハウジング11の一方の側面図である。
図7は、ハウジング11とマグネットワイヤ100とを示す斜視図であって、ハウジング11にマグネットワイヤ100が配置された状態を示す図である。なお、
図4(A)及び
図4(B)は、ハウジング11を異なる方向から見た状態の斜視図を示している。
【0030】
図1乃至
図7を参照して、ハウジング11は、絶縁性を有する樹脂材料で形成され、マグネットワイヤ100を保持するハウジング部材として設けられている。そして、ハウジング11は、マグネットワイヤ100を保持した状態で、コンタクト12の枠体33に対して挿入されて嵌め込まれるように構成されている。
【0031】
図3乃至
図7を参照して、ハウジング11は、マグネットワイヤ100が配置される本体ハウジング部20と、本体ハウジング部20に取り付けられて本体ハウジング部20との間でマグネットワイヤ100を挟み込んで保持するカバーハウジング部21と、を備えて構成されている。また、ハウジング11には、本体ハウジング部20とカバーハウジング部21とを連結するヒンジ部22が設けられている。すなわち、本体ハウジング部20とカバーハウジング部21とは、ヒンジ部22を介して一体に設けられている。ヒンジ部22は、可撓性を有しており、例えば、帯状に形成されており、弾性変形して屈曲変形自在に設けられている。帯状に延びるヒンジ部22は、その一端側が本体ハウジング部20と一体に連結され、その他端側がカバーハウジング部21と一体に連結されている。本体ハウジング部20に対して可撓性を有するヒンジ部22を介して一体に連結されたカバーハウジング部21は、本体ハウジング部20に対して相対変位自在に設けられている。本体ハウジング部20に対してヒンジ部22を介して相対変位自在に連結されたカバーハウジング部21は、本体ハウジング部20における後述の凹部27に対して嵌め込まれることで、本体ハウジング部20に取り付けられるように構成されている。なお、ヒンジ部22は、複数設けられており、本実施形態では、一対で設けられている。
【0032】
図3乃至
図7を参照して、本体ハウジング部20は、略直方体状の基本外形を有しており、マグネットワイヤ100が配置されるように構成されている。本体ハウジング部20には、ワイヤ配置溝23、ガイド溝24、圧接部用溝25、切断部用溝26、凹部27、ロック部28、及び係合溝29が設けられている。
【0033】
図4乃至
図7を参照して、ワイヤ配置溝23は、本体ハウジング部20における高さ方向X1の一端側に設けられ、マグネットワイヤ100が配置される溝として設けられている。ワイヤ配置溝23は、本体ハウジング部20の高さ方向X1の一端側において幅方向X3に沿って延びる溝として設けられている。また、ワイヤ配置溝23は、本体ハウジング部20において幅方向X3の略全長に亘って延びる溝として設けられている。ワイヤ配置溝23の幅方向X3と垂直な断面での断面形状は、矩形状或いは半円弧状の形状に形成されており、マグネットワイヤ100が配置されるように高さ方向X1の一方に向かって開口した形状に形成されている。ワイヤ配置溝23の前後方向X2の寸法は、マグネットワイヤ100が嵌り込んで支持されるようにマグネットワイヤ100の径寸法に対応して設定されている。
【0034】
図4乃至
図7を参照して、ガイド溝24は、本体ハウジング部20における高さ方向X1の一端側に設けられ、ワイヤ配置溝23にマグネットワイヤ100を誘導するテーパ状の溝として設けられている。本実施形態では、ガイド溝24は、一対で設けられている。一対のガイド溝24は、本体ハウジング部20の高さ方向X1の一端側において、幅方向X3に離間した位置で幅方向X3に並んで設けられている。テーパ状に設けられるガイド溝24は、高さ方向X1の一方に向かってV字状に広がって開口するように設けられている。そして、ガイド溝24における高さ方向X1の他方側であってV字状の頂点側の部分は、ワイヤ配置溝23に開口してワイヤ配置溝23に連続するように設けられている。ワイヤ配置溝23にマグネットワイヤ100が配置される際には、マグネットワイヤ100は、まず、一対のガイド溝24に挿入される。そして、一対のガイド溝24に挿入されたマグネットワイヤ100は、V字状に窄まるテーパ状のガイド溝24に沿ってワイヤ配置溝23に誘導される。ガイド溝24によってワイヤ配置溝23に誘導されたマグネットワイヤ100は、ワイヤ配置溝23に対して嵌り込んだ状態で配置される。
【0035】
図4、
図5及び
図7を参照して、圧接部用溝25は、本体ハウジング部20にカバーハウジング部21が取り付けられた状態のハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれた際にコンタクト12における後述の圧接部34が挿入される溝として設けられている。圧接部用溝25は、本実施形態では、本体ハウジング部20を高さ方向X1に沿って貫通する溝として設けられている。即ち、圧接部用溝25は、本体ハウジング部20内を高さ方向X1に沿って貫通して延びる溝として設けられており、本体ハウジング部20において高さ方向X1の両側で外部に対して開口するように設けられている。なお、本体ハウジング部20における高さ方向X1の一端側では、開口する圧接部用溝25における幅方向X3における両側においてワイヤ配置溝23が幅方向X3に沿って延びるように設けられている。即ち、本体ハウジング部20における高さ方向X1の一端側では、幅方向X3に沿って延びるワイヤ配置溝23と連通するように圧接部用溝25が開口している。なお、ワイヤ配置溝23と圧接部用溝25とが連通する部分においては、ワイヤ配置溝23は寸断された状態であり、ワイヤ配置溝23は、圧接部用溝25の開口を介して幅方向X3に沿って延びるように設けられている。このため、
図7を参照して、ワイヤ配置溝23にマグネットワイヤ100が配置された状態では、マグネットワイヤ100の一部が、圧接部用溝25の空間に配置された状態となる。
【0036】
また、圧接部用溝25は、後述するコンタクト12の圧接部34に対応して一対で設けられている。一対の圧接部用溝25は、コンタクト12における後述の圧接部34の位置に対応して設けられており、幅方向X3に離間した位置で幅方向X3に並んで設けられている。そして、本体ハウジング部20を高さ方向X1に沿って貫通する圧接部用溝25の高さ方向X1と垂直な断面での断面形状は、後述の圧接部34の断面形状に対応して、長方形に形成されている。また、圧接部用溝25の幅方向X3の寸法は、後述の圧接部34の幅方向X3の寸法(圧接部34の厚み寸法)に対応して設定されており、圧接部34が適切なクリアランスを介して圧接部用溝25に挿入されるように構成されている。
【0037】
図4乃至
図7を参照して、切断部用溝26は、本体ハウジング部20にカバーハウジング部21が取り付けられた状態のハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれた際にコンタクト12における後述の切断部35が挿入される溝として設けられている。切断部用溝26は、本体ハウジング部20において、幅方向X3における一端側に設けられており、本体ハウジング部20において高さ方向X1に沿って延びる溝として設けられている。そして、切断部用溝26は、本体ハウジング部20において高さ方向X1における一端側で外部に対して開口するように設けられている。なお、本実施形態では、本体ハウジング部20における幅方向X3の一端側の部分には、前後方向X2の寸法が小さい略直方体の形状で幅方向X3の一端側に向かって突出した凸部30が設けられている。そして、切断部用溝26は、本体ハウジング部20における凸部30に設けられている。なお、本実施形態では、本体ハウジング部20における凸部30に設けられた切断部用溝26は、本体ハウジング部20において高さ方向X1における一端側で外部に対して開口するとともに、前後方向X2における両側でも外部に対して開口するように設けられている。
【0038】
なお、本体ハウジング部20における高さ方向X1の一端側では、開口する切断部用溝26における幅方向X3における両側においてワイヤ配置溝23が幅方向X3に沿って延びるように設けられている。即ち、本体ハウジング部20における高さ方向X1の一端側では、幅方向X3に沿って延びるワイヤ配置溝23と連通するように切断部用溝26が開口している。なお、ワイヤ配置溝23と切断部用溝26とが連通する部分においては、ワイヤ配置溝23は寸断された状態であり、ワイヤ配置溝23は、切断部用溝26の開口を介して幅方向X3に沿って延びるように設けられている。このため、
図7を参照して、ワイヤ配置溝23にマグネットワイヤ100が配置された状態では、マグネットワイヤ100の一部が、切断部用溝26の空間に配置された状態となる。
【0039】
また、本体ハウジング部20の高さ方向X1に沿って延びて高さ方向X1の一端側で開口する切断部用溝26の幅方向X3の寸法は、後述のコンタクト12の切断部35の幅方向X3の寸法(切断部35の厚み寸法)に対応して設定されている。これにより、切断部35が適切なクリアランスを介して切断部用溝26に挿入されるように構成されている。
【0040】
図4、
図5及び
図7を参照して、凹部27は、本体ハウジング部20の高さ方向X1の一端側において、高さ方向X1に凹んだ領域として設けられている。凹部27は、本体ハウジング部20にカバーハウジング部21が取り付けられる際にカバーハウジング部21が嵌め込まれる凹み領域として設けられている。凹部27にカバーハウジング部21が嵌め込まれて取り付けられ易いように、凹部27における高さ方向X1に垂直な面に沿った外形は、カバーハウジング部21の外形に対応した形状に形成されている。
【0041】
図4乃至
図7を参照して、ロック部28は、本体ハウジング部20の凹部27にカバーハウジング部21が嵌め込まれた際にカバーハウジング部21を本体ハウジング部20にロックして固定するための部分として設けられている。ロック部28は、本体ハウジング部20において、凹部27の領域を区画する壁部のうちの凹部27の領域の前後方向X2の一方の端面を区画する壁部に設けられ、この壁部を前後方向X2に貫通する孔の縁部として設けられている。カバーハウジング部21には、ロック部28に係合するロック爪32が設けられている。そして、ロック部28は、本体ハウジング部20の凹部27にカバーハウジング部21が嵌め込まれた状態では、カバーハウジング部21のロック爪32が係合するように構成されている。ロック部28にロック爪32が係合することで、本体ハウジング部20の凹部27に嵌め込まれたカバーハウジング部21が本体ハウジング部20にロックされた状態となる。
【0042】
図4、
図6及び
図7を参照して、係合溝29は、本体ハウジング部20にカバーハウジング部21が取り付けられた状態のハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれた際にコンタクト12における後述の係合爪37が嵌り込んで係合する溝として設けられている。係合溝29は、本体ハウジング部20における前後方向X2の両側の端面にそれぞれ設けられている。また、係合溝29は、本体ハウジング部20の前後方向X2の両側の端面のそれぞれにおいて、一対で設けられている。このため、本実施形態では、本体ハウジング部20には、係合溝29が4つ設けられている。なお、本体ハウジング部20の前後方向X2における端面に一対で設けられた係合溝29は、幅方向X3の両端側にそれぞれ設けられている。
【0043】
図3乃至
図7を参照して、カバーハウジング部21は、略直方体状の基本外形を有しており、本体ハウジング部20に取り付けられて本体ハウジング部20との間でマグネットワイヤ100を挟み込んで保持するように構成されている。また、カバーハウジング部21は、本体ハウジング部20の凹部27に対して嵌め込まれるようにして取り付けられるように構成されている。本体ハウジング部20のワイヤ配置溝23にマグネットワイヤ100が配置された状態で、カバーハウジング部21が本体ハウジング部20の凹部27に嵌め込まれて取り付けられる。これにより、本体ハウジング部20とカバーハウジング部21との間でマグネットワイヤ100が挟まれた状態で、マグネットワイヤ100がハウジング11に保持されることになる。また、カバーハウジング部21は、可撓性を有するヒンジ部22を介して本体ハウジング部20に一体に設けられている。このため、カバーハウジング部21は、本体ハウジング部20の凹部27に対して嵌め込まれた状態と嵌め込まれていない状態とのいずれの状態においても、本体ハウジング部20と一体に連結されている。
【0044】
図4乃至
図7を参照して、カバーハウジング部21には、圧接部用溝31、及びロック爪32が設けられている。
【0045】
図4、
図5及び
図7を参照して、圧接部用溝31は、カバーハウジング部21が本体ハウジング部20に取り付けられた状態のハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれた際にコンタクト12における後述の圧接部34が挿入される溝として設けられている。圧接部用溝31は、カバーハウジング部21を高さ方向X1に沿って貫通する溝として設けられている。即ち、圧接部用溝31は、カバーハウジング部21内を高さ方向X1に沿って貫通して延びる溝として設けられており、カバーハウジング部21において高さ方向X1の両側で外部に対して開口するように設けられている。
【0046】
また、圧接部用溝31は、後述するコンタクト12の圧接部34に対応して一対で設けられている。一対の圧接部用溝31は、コンタクト12における後述の圧接部34の位置に対応して設けられており、幅方向X3に離間した位置で幅方向X3に並んで設けられている。そして、カバーハウジング部21を高さ方向X1に沿って貫通する圧接部用溝31の高さ方向X1と垂直な断面での断面形状は、後述の圧接部34の断面形状に対応して、長方形に形成されている。また、圧接部用溝31の幅方向X3の寸法は、後述の圧接部34の幅方向X3の寸法(圧接部34の厚み寸法)に対応して設定されており、圧接部34が適切なクリアランスを介して圧接部用溝31に挿入されるように構成されている。
【0047】
また、カバーハウジング部21の圧接部用溝31は、カバーハウジング部21が本体ハウジング部20の凹部27に嵌め込まれて取り付けられた状態で、本体ハウジング部20の圧接部用溝25と対応するように設けられている。すなわち、カバーハウジング部21が本体ハウジング部20に取り付けられた状態では、カバーハウジング部21の圧接部用溝31と本体ハウジング部20の圧接部用溝25とは、高さ方向X1において対向して配置されている。また、カバーハウジング部21が本体ハウジング部20に取り付けられた状態では、カバーハウジング部21の圧接部用溝31と本体ハウジング部20の圧接部用溝25とは、互いに連通しており、圧接部用溝31の開口領域と圧接部用溝25の開口領域とが高さ方向X1において重なるように配置されている。このため、カバーハウジング部21が本体ハウジング部20に取り付けられた状態のハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれると、コンタクト12の後述の圧接部34は、カバーハウジング部21の圧接部用溝31から本体ハウジング部20の圧接部用溝25に亘って挿入されることになる。
【0048】
図4乃至
図6を参照して、ロック爪32は、カバーハウジング部21が本体ハウジング部20の凹部27に嵌め込まれた際にカバーハウジング部21を本体ハウジング部20にロックして固定するための部分として設けられている。ロック爪32は、カバーハウジング部21において、前後方向X2における一方側で前後方向X2の一方側に突出した突起状の部分として設けられている。なお、ロック爪32は、カバーハウジング部21において、ヒンジ部22に一体に連結される側と前後方向X2における反対側で突出するように設けられている。ロック爪32は、カバーハウジング部21が本体ハウジング部20の凹部27に嵌め込まれた状態では、本体ハウジング部20のロック部28に係合するように構成されている。ロック爪32がロック部28に係合することで、本体ハウジング部20の凹部27に嵌め込まれたカバーハウジング部21が本体ハウジング部20にロックされた状態となる。
【0049】
[コンタクト]
図8(A)及び
図8(B)は、コネクタ1のコンタクト12を示す斜視図である。
図9(A)は、コンタクト12の平面図であり、
図9(B)は、コンタクト12の一方の側面図であり、
図9(C)は、コンタクト12の他方の側面図である。なお、
図8(A)及び
図8(B)は、コンタクト12を異なる方向から見た状態の斜視図を示している。
【0050】
図1、
図2、
図8及び
図9を参照して、コンタクト12は、導電性を有する銅などの金属材料で形成され、マグネットワイヤ100に対して圧接されて電気的に接続される端子部材として設けられている。また、コンタクト12は、基板101に対してはんだ付けされて実装されることで基板101に対しても電気的に接続されるように構成されている。コンタクト12は、基板101に接続された状態で、マグネットワイヤ100に対して接続される。また、コンタクト12は、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11が、コンタクト12の枠体33に嵌め込まれることで、コンタクト12における圧接部34においてマグネットワイヤ100に対して電気的に接続される。
【0051】
図1、
図2、
図8及び
図9を参照して、コンタクト12は、略直方体状の箱状の基本外形を有する枠体33を備えるとともに、枠体33と一体に設けられた圧接部34、切断部35、及びバネ部36を更に備えて構成されている。なお、枠体33と圧接部34と切断部35とバネ部36とが一体に形成されるコンタクト12は、例えば、平坦な金属板が打ち抜き加工されることで切り出されたコンタクト12の素材が折り曲げ加工されることで形成される。
【0052】
図1、
図2、
図8及び
図9を参照して、枠体33は、前方壁部38、後方壁部39、側壁部40、側壁部41、及び底壁部42を有し、高さ方向X1における一方側が開口した略直方体状の箱状に設けられている。枠体33は、高さ方向X1における一方側が開口した略直方体状の箱状に設けられていることで、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11が挿入されて嵌め込まれるように構成されている。
【0053】
前方壁部38及び後方壁部39は、前後方向X2に対して垂直な面に沿って延びる壁部として設けられており、互いに平行に延びるように構成されている。前方壁部38及び後方壁部39には、枠体33にハウジング11が嵌め込まれた際にハウジング11の係合溝29と係合する係合爪37が設けられている。係合爪37は、前方壁部38及び後方壁部39のそれぞれにおいて、枠体33の内側に向かって片持ち状に傾斜して延びるように設けられており、板バネ状に切り起こされた部分として形成されている。枠体33の内側にハウジング11が嵌め込まれた際には、係合爪37がハウジング11の係合溝29に嵌り込んで係合する。なお、係合爪37は、前方壁部38及び後方壁部39のそれぞれにおいて、一対で設けられている。このため、本実施形態では、枠体33には、係合爪37が4つ設けられている。また、前方壁部38及び後方壁部39のそれぞれに一対で設けられた係合爪37は、幅方向X3の両端側にそれぞれ設けられている。
【0054】
側壁部40及び側壁部41は、幅方向X3に対して垂直な面に沿って延びる壁部として設けられており、互いに平行に延びるように構成されている。側壁部40及び側壁部41は、前方壁部38及び後方壁部39に対して一体に連結されている。なお、幅方向X3における一方の壁部である側壁部40には、高さ方向X1に沿って延びる隙間を形成するように開放された開口40aが設けられている。枠体33は、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11が枠体33に嵌め込まれた際には、側壁部40に設けられた開口40aからマグネットワイヤ100が引き出されて延びるように構成されている。また、側壁部40には、枠体33にハウジング11が嵌め込まれた際にハウジング11を付勢する後述のバネ部36が設けられている。また、幅方向X3における他方の壁部である側壁部41には、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11が枠体33に嵌め込まれた際にマグネットワイヤ100を切断する後述の切断部35が設けられている。また、側壁部41には、高さ方向X1における他方側の端部において、枠体33が基板101に対してはんだ付けによって接続される際にはんだ付けされる部分である基板接続部43が設けられている。
【0055】
底壁部42は、高さ方向X1の一方側が開口した枠体33における高さ方向X1の他方側の壁部として設けられている。底壁部42は、互いに平行に設けられた前方壁部38及び後方壁部39を高さ方向X1における他方側で架橋して一体に連結するように設けられている。また、底壁部42には、幅方向X3における一方側の端部において、枠体33が基板101に対してはんだ付けによって接続される際にはんだ付けされる部分である基板接続部44が設けられている。
【0056】
図2、
図8及び
図9を参照して、コンタクト12の圧接部34は、枠体33の内側で枠体33と一体に設けられている。そして、圧接部34は、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11が枠体33に嵌め込まれた際にハウジング11に保持されたマグネットワイヤ100のエナメル被覆を切り破るスリット刃34aを有してマグネットワイヤ100に圧接される部分として設けられている。圧接部34は、複数設けられており、本実施形態では、圧接部34は、2つ設けられている。2つの圧接部34のそれぞれは、枠体33の底壁部42から切り起こされた状態で形成されており、底壁部42と一体に設けられ、枠体33の内側で高さ方向X1に沿って板状に延びるように設けられている。また、枠体33の内側で底壁部42から高さ方向X1に沿って延びるように設けられた2つの圧接部34は、幅方向X3に並んで設けられている。また、圧接部34は、マグネットワイヤを保持したハウジング11が枠体33に嵌め込まれる際に、ハウジング11における圧接部用溝31及び圧接部用溝25に挿入されるように構成されている。すなわち、圧接部34は、マグネットワイヤを保持したハウジング11が枠体33に嵌め込まれる際には、カバーハウジング部21の圧接部用溝31から本体ハウジング部20の圧接部用溝25に亘って挿入されるように構成されている。
【0057】
2つの圧接部34のそれぞれは、マグネットワイヤ100のエナメル被覆を切り破るスリット刃34aを有している。各圧接部34のスリット刃34aは、隙間を介して略平行に高さ方向X1に沿って延びる一対の刃部を有している。各圧接部34のスリット刃34aにおける一対の刃部の間の隙間として形成されて高さ方向X1に延びるスリットには、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11が枠体33に嵌め込まれた際に、マグネットワイヤ100が幅方向X3に沿って延びた状態で挿通される。なお、各圧接部34のスリット刃34aのスリットは、高さ方向X1における一方の端部側が外部に対して開放されるように構成されている。マグネットワイヤ100は、スリット刃34aのスリットに対して、高さ方向X1における一方の端部側の開放された領域から挿入されることで挿通される。そして、各圧接部34のスリット刃34aは、その一対の刃部によって、一対の刃部の間のスリットに挿通されたマグネットワイヤ100のエナメル被覆を切り破り、マグネットワイヤ100の心線に食い込むことで、マグネットワイヤ100に圧接されるように構成されている。圧接部34のスリット刃34aがマグネットワイヤ100に圧接されることで、コンタクト12が、マグネットワイヤ100に対して電気的および機械的に接続される。
【0058】
図2、
図8及び
図9を参照して、コンタクト12の切断部35は、枠体33と一体に設けられている。そして、切断部35は、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11が枠体33に嵌め込まれた際にハウジング11に保持されたマグネットワイヤ100の端部100aを切断するための部分として設けられており、マグネットワイヤ100を切断するための切断刃35aを有して構成されている。切断部35は、枠体33における幅方向X3の他方側の壁部である側壁部41に設けられている。側壁部41には、高さ方向X1における一方側に開口するように切り欠かれた状態で形成された切り欠き部が設けられている。そして、切断部35は、側壁部41の一部として設けられて、側壁部41における切欠き部を区画する部分として設けられている。切断部35の切断刃35aは、側壁部41の切欠き部を区画する切断部35における高さ方向X1の一方側の端部の縁部分として設けられている。
【0059】
また、側壁部41の一部として設けられた切断部35は、マグネットワイヤを保持したハウジング11が枠体33に嵌め込まれる際に、ハウジング11における切断部用溝26に挿入されるように構成されている。マグネットワイヤを保持したハウジング11が枠体33に嵌め込まれると、本体ハウジング部20の凸部30が、側壁部41における切り欠き部に嵌め込まれた状態となり、切断部35が、本体ハウジング部20の切断部用溝26に挿入される。
【0060】
図2、
図8及び
図9を参照して、バネ部36は、枠体33に一体に設けられており、枠体33において、幅方向X3における一方の壁部である側壁部40に設けられている。そして、バネ部36は、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11が枠体33に嵌め込まれた際に弾性力によってハウジング11を幅方向X3における他方の壁部である側壁部41に押し付けるように付勢することで、ハウジング11の枠体33内での位置を位置決めするように構成されている。なお、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11が枠体33に嵌め込まれると、ハウジング11に保持されたマグネットワイヤ100が延びる方向であるワイヤ長手方向は、幅方向X3と一致する方向となる。よって、バネ部36は、枠体33において、ハウジング11に保持されたマグネットワイヤ100が延びるワイヤ長手方向における一方の壁部である側壁部40に設けられ、バネ部36がハウジング11をワイヤ長手方向における枠体33の他方の壁部である側壁部41に押し付けるように付勢することで、ハウジング11の枠体33内での位置を位置決めするように構成されている。
【0061】
また、バネ部36は、ハウジング11が枠体33に嵌め込まれた際に、圧接部34がハウジング11の圧接部用溝(31、25)に挿入されるとともに切断部35が切断部用溝26に挿入されるように、ハウジング11を枠体33の壁部のうちの側壁部41に押し付けるように付勢してハウジング11の枠体33内での位置を位置決めするように構成されている。
【0062】
なお、バネ部36は、本実施形態では、側壁部40の一部として設けられており、板バネ状に形成されている。側壁部40の一部として板バネ状に形成されたバネ部36は、本実施形態では、一対で設けられている。側壁部40の一部として設けられた一対のバネ部36のそれぞれは、前後方向X2に沿って片持ち状に延びるとともに、先端側で枠体33の内側に向かって屈曲して延びるように設けられている。バネ部36は、片持ち状に延びる先端側で枠体33の内側に向かって屈曲して延びた部分において、枠体33に嵌め込まれたハウジング11に当接して付勢するように構成されている。また、バネ部36には、片持ち状に延びる先端側で枠体33の内側に向かって屈曲して延びた部分において、高さ方向X1に対して斜めにテーパ状に延びる傾斜部36aが設けられている。ハウジング11が枠体33に嵌め込まれる際には、ハウジング11は、バネ部36に対して傾斜部36aで摺接するように当接しながら枠体33の奥側に嵌め込まれる。バネ部36に傾斜部36aが設けられていることで、ハウジング11が枠体33に嵌め込まれる際に、ハウジング11が誘導されるようにして枠体33内に円滑に嵌め込まれ、ハウジング11の枠体33内での位置決めがされる。
【0063】
[マグネットワイヤとコネクタとの接続動作]
次に、上述したコネクタ1とマグネットワイヤ100とが接続される際における接続動作について説明する。
【0064】
マグネットワイヤ100とコネクタ1との接続動作は、
図2に示すように、コンタクト12が基板101に接続された状態で行われる。そして、マグネットワイヤ100とコネクタ1とが接続される際には、
図7に示すように、マグネットワイヤ100が、ハウジング11の本体ハウジング部20におけるワイヤ配置溝23に配置される。マグネットワイヤ100が本体ハウジング部20のワイヤ配置溝23に配置されると、本体ハウジング部20の凹部27にカバーハウジング部21が嵌め込まれ、本体ハウジング部20にカバーハウジング部21が取り付けられる。マグネットワイヤ100が配置された本体ハウジング部20にカバーハウジング部21が嵌め込まれるようにして取り付けられることで、マグネットワイヤ100がハウジング11に保持される。
【0065】
図10は、ハウジング11にマグネットワイヤ100が保持された状態を示す図であって、
図10(A)は、一方の側面図であり、
図10(B)は、
図10(A)のA-A線矢視位置での断面図である。
図10に示すように、マグネットワイヤ100が配置された本体ハウジング部20にカバーハウジング部21が嵌め込まれるようにして取り付けられた状態では、本体ハウジング部20とカバーハウジング部21との間でマグネットワイヤ100が挟み込まれた状態で保持される。そして、本体ハウジング部20とカバーハウジング部21とがマグネットワイヤ100を挟み込んで保持した状態では、本体ハウジング部20の圧接部用溝25とカバーハウジング部21の圧接部用溝31とが高さ方向X1において連通した状態となっている。そして、本体ハウジング部20とカバーハウジング部21とで挟まれて保持されたマグネットワイヤ100が、高さ方向X1において連通した圧接部用溝25と圧接部用溝31とに露出した状態で幅方向X3に沿って延びた状態となっている。また、ハウジング11にマグネットワイヤ100が保持された状態では、マグネットワイヤ100は、高さ方向X1に沿って延びる切断部用溝26の内側で一部が露出した状態で幅方向X3に沿って延びた状態となっている。
【0066】
マグネットワイヤ100がハウジング11に保持されると、次いで、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれ、マグネットワイヤ100とコンタクト12とが接続される動作が行われる。
図11は、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれる動作が開始された状態を示す図であって、
図11(A)は、一方の側面図であり、
図11(B)は、
図11(A)のB-B線矢視位置での断面図である。
図11を参照して、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれる際には、ハウジング11は、カバーハウジング部21をコンタクト12の枠体33に対向させた姿勢で、枠体33に嵌め込まれる。マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれる動作が開示されると、ハウジング11は、高さ方向X1に沿って枠体33の内側に挿入される。
【0067】
図12は、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれている途中の状態を示す図であって、
図12(A)は、一方の側面図であり、
図12(B)は、
図12(A)のC-C線矢視位置での断面図である。
図12を参照して、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれる動作が行われている状態では、枠体33の内側でハウジング11がバネ部36と当接してハウジング11がバネ部36によって幅方向X3に沿って付勢され、ハウジング11が枠体33の側壁部41に押し付けられる。そして、枠体33の内側でハウジング11がバネ部36によって幅方向X3に沿って付勢されてハウジング11が枠体33の側壁部41に押し付けられることで、ハウジング11の枠体33内での幅方向X3における位置の位置決めが行われる。さらに、枠体33の内側でハウジング11がバネ部36によって幅方向X3に沿って付勢されてハウジング11が枠体33の側壁部41に押し付けられることで、圧接部34がハウジング11の圧接部用溝(31、25)に挿入されるとともに、切断部35がハウジング11の切断部用溝26に挿入されるように、ハウジング11の枠体33内での幅方向X3における位置の位置決めが行われる。なお、
図12では、ハウジング11の枠体33内での位置の位置決めが行われ、圧接部34が本体ハウジング部20の圧接部用溝31に挿入されている状態を示している。
【0068】
図13は、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれてマグネットワイヤ100とコンタクト12とが接続された状態を示す図であって、
図13(A)は、一方の側面図であり、
図13(B)は、
図13(A)のD-D線矢視位置での断面図である。
図14は、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれてマグネットワイヤ100とコンタクト12とが接続された状態を示す図であって、
図14(A)は、正面図であり、
図14(B)は、
図14(A)のE-E線矢視位置での断面図である。
【0069】
図13及び
図14を参照して、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれると、バネ部36によってハウジング11が枠体33の側壁部41に押し付けられるようにして付勢されて、枠体33内でのハウジング11の位置が位置決めされる。そして、枠体33内でのハウジング11の位置が位置決めされた状態でハウジング11がコンタクト12の枠体33の奥側まで嵌め込まれると、圧接部34が、カバーハウジング部21の圧接部用溝31から本体ハウジング部20の圧接部用溝25に亘って挿入される。圧接部34がハウジング11の圧接部用溝(31、25)に挿入されると、マグネットワイヤ100において圧接部用溝(31、25)で露出して延びている部分が、圧接部34のスリット刃34aに挿入される。そして、マグネットワイヤ100がスリット刃34aに挿入されることで、スリット刃34aがマグネットワイヤ100のエナメル被覆を切り破ってマグネットワイヤ100の心線に食い込み、コンタクト12の圧接部34がマグネットワイヤ100に圧接される。圧接部34がマグネットワイヤ100に圧接されることで、コンタクト12がマグネットワイヤ100に対して電気的に接続される。
【0070】
また、枠体33内でのハウジング11の位置がバネ部36によって位置決めされた状態でハウジング11がコンタクト12の枠体33の奥側まで嵌め込まれると、切断部35が、本体ハウジング部20の切断部用溝26に挿入される。切断部35がハウジング11の切断部用溝26に挿入されると、マグネットワイヤ100において切断部用溝26で露出して延びている部分が、切断部35の切断刃35aによって切断される。マグネットワイヤ100が切断部35の切断刃35aによって切断されると、
図13を参照して、切断されたマグネットワイヤ100の端部100aが除去される。
【0071】
上記のように、コネクタ1においては、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれると、枠体33のバネ部36によって、枠体33の側壁部41にハウジング11が押し付けられるようにして付勢され、枠体33内でのハウジング11の位置決めが行われる。そして、枠体33内でのハウジング11の位置決めがされた状態でハウジング11が枠体33に嵌め込まれることで、圧接部34がハウジング11の圧接部用溝(31、25)に確実に挿入され、圧接部34がマグネットワイヤ100と圧接される。さらに、枠体33内でのハウジング11の位置決めがされた状態でハウジング11が枠体33に嵌め込まれることで、切断部35がハウジング11の切断部用溝26に確実に挿入され、マグネットワイヤ100の端部100aが切断部35で切断されて除去される。ハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれ、コンタクト12の圧接部34がマグネットワイヤ100に圧接され、マグネットワイヤ100の端部100aが切断されて除去されることで、マグネットワイヤ100とコネクタ1との接続動作が完了することになる。
【0072】
[本実施形態の作用および効果]
本実施形態のコネクタ1によると、本体ハウジング部20及びカバーハウジング部21で構成されたハウジング11でマグネットワイヤ100が挟まれて保持された状態で、ハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれる。そして、ハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれると、コンタクト12の枠体33に設けられたバネ部36によってハウジング11が付勢されてハウジング11が枠体33内の側壁部41に押し付けられて枠体33内でのハウジング11の位置決めがなされる。このため、コンタクト12の枠体33とハウジング11との間でガタがあってコンタクト12の枠体33へハウジング11を嵌め込む位置のずれがあっても、バネ部36によってハウジング11が枠体33の側壁部41に押し付けられてハウジング11の枠体33内での位置決めがなされることになる。そして、ハウジング11が枠体33内に嵌め込まれる際に枠体33内でのハウジング11の位置決めがなされることで、コンタクト12の切断部35がハウジング11の切断部用溝26に確実に挿入されるとともに、コンタクト12の圧接部34がハウジング11の圧接部用溝(31、25)に確実に挿入される。これにより、コンタクト12の切断部35がハウジング11と当接することなく、ハウジング11の切断部用溝26に挿入されて、マグネットワイヤ100の端部100aがコンタクト12の切断部35によって確実に切断される。そして、コンタクト12の圧接部34がハウジング11と当接することなく、ハウジング11の圧接部用溝(31、25)に挿入されて、マグネットワイヤ100が圧接部34に圧接される。よって、本実施形態によると、切断刃35aがコネクタ1のハウジング11と当接してしまうことを好適に防止してマグネットワイヤ100の端部を適切に切断できるとともに、コンタクト12とマグネットワイヤ100を適切に圧接できる。また、本実施形態によると、ハウジング11が枠体33内に嵌め込まれる際に枠体33内でのハウジング11の位置決めがなされるため、マグネットワイヤ100の径が細い場合であっても、切断部用溝26の縁部と切断部35の切断刃35aとの間の隙間が大きくなってしまうことを防止することができる。これにより、マグネットワイヤ100の径が細い場合であっても、マグネットワイヤ100を確実に切断することができる。
【0073】
したがって、本実施形態によると、マグネットワイヤ100とコンタクト12とを圧接するとともにマグネットワイヤ100の端部を切断刃35aによって切断するコネクタ1において、切断刃35aがコネクタ1のハウジング11と当接してしまうことを好適に防止してマグネットワイヤ100の端部を適切に切断できるとともに、コンタクト12とマグネットワイヤ100を適切に圧接でき、さらに、マグネットワイヤ100が細い場合であっても適切にマグネットワイヤ100の端部を切断することできる、コネクタ1を提供できる。
【0074】
また、本実施形態のコネクタ1によると、カバーハウジング部21が本体ハウジング部20に嵌め込まれて取り付けられた状態で、本体ハウジング部20とカバーハウジング部21との間でマグネットワイヤ100が挟まれて保持される。このため、マグネットワイヤ100をハウジング11に安定して強固に保持した状態で、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11をコンタクト12の枠体33に嵌め込むことができる。これにより、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11をコンタクト12の枠体33に嵌め込む作業を行う際に、マグネットワイヤ100がハウジング11から脱落したり、マグネットワイヤ100がハウジング11に対して位置ずれしたりしてしまうことを防止することができる。そして、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11をコンタクト12の枠体33に嵌め込む作業を容易に行うことができる。
【0075】
また、本実施形態のコネクタ1によると、本体ハウジング部20のワイヤ配置溝23にマグネットワイヤ100を配置する際に、マグネットワイヤ100がガイド溝24によって誘導されるため、本体ハウジング部20のワイヤ配置溝23へマグネットワイヤ100を配置する作業が容易となる。また、マグネットワイヤ100は、ガイド溝24によって誘導された状態でワイヤ配置溝23に配置されるため、マグネットワイヤ100をワイヤ配置溝23に配置した状態においては、マグネットワイヤ100はガイド溝24によってワイヤ配置溝23に位置決めされた状態となり、マグネットワイヤ100をワイヤ配置溝23から脱落し難くすることができる。
【0076】
また、本実施形態のコネクタ1によると、本体ハウジング部20とカバーハウジング部21とがヒンジ部22を介して一体に設けられるため、本体ハウジング部20とカバーハウジング部21とが別部品として個別に取り扱われることがなく、ハウジング11の取り扱いが容易となり、作業性を向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態のコネクタ1によると、バネ部36が、枠体33におけるワイヤ長手方向である幅方向X3の一方の壁部である側壁部40に設けられ、バネ部36によって付勢されたハウジング11が、枠体33におけるワイヤ長手方向である幅方向X3の他方の壁部である側壁部41に押し付けられる。このため、枠体33における一方の側壁部40にバネ部36を設けた簡素な構造でバネ部36によってハウジング11を枠体33の側壁部41に押し付けて枠体33内で位置決めする構造を構成することができる。
【0078】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0079】
(1)前述の実施形態では、本体ハウジング部20に対してカバーハウジング部21が嵌め込まれるようにして取り付ける形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。本体ハウジング部20に対してカバーハウジング部21が嵌め込まれない状態でロックされて取り付けられるように構成された形態が実施されてもよい。
【0080】
(2)前述の実施形態では、本体ハウジング部20とカバーハウジング部21とがヒンジ部22を介して一体に連結されている形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。本体ハウジング部20とカバーハウジング部21とが別体に設けられ、本体ハウジング部20に対してカバーハウジング部21が取り付けられる形態が実施されてもよい。
【0081】
(3)前述の実施形態では、コンタクト12において圧接部34が2つ設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。コンタクト12において圧接部34が1つ或いは3つ以上設けられた形態が実施されてもよい。
【0082】
(4)前述の実施形態では、側壁部40に設けられて板バネ状に形成されたバネ部36が、前後方向X2に沿って片持ち状に延びるとともに、先端側で枠体33の内側に向かって屈曲して延びるように設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。側壁部40に設けられるバネ部36は、ハウジング11を側壁部41に押し付けるようにして付勢してハウジング11の枠体33内での位置を位置決めするものであれば、他の形状であってもよい。例えば、
図15及び
図16に示す変形例に係るコネクタ1Aの形態が実施されてもよい。
【0083】
図15(A)および
図15(B)は、変形例に係るコネクタ1Aのコンタクト12を示す斜視図である。
図16は、変形例に係るコネクタ1Aにおいて、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれてマグネットワイヤ100とコンタクト12とが接続された状態を示す図であって、
図16(A)は、一方の側面図であり、
図16(B)は、
図16(A)のF-F線矢視位置での断面図である。なお、以下の変形例についての説明においては、前述の実施形態と同様に構成される要素及び前述の実施形態と対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0084】
図15及び
図16に示す変形例に係るコネクタ1Aは、コンタクト12の枠体33に設けられるバネ部45の形態において、前述の実施形態のコネクタ1とは異なっている。
図15及び
図16を参照して、コネクタ1Aにおいて、コンタクト12の枠体33に設けられるバネ部45は、枠体33の側壁部40に設けられており、一対で設けられている。一対のバネ部45のそれぞれは、側壁部40の高さ方向X1における一方の端部から片持ち状に延びるように設けられて板バネ状に形成されている。そして、バネ部45は、側壁部40の高さ方向X1の一方の端部から枠体33の内側に向かって屈曲して延び、枠体33の内側で高さ方向X1に対して僅かに斜めに傾斜して延びるように設けられている。
【0085】
図16を参照して、マグネットワイヤ100を保持したハウジング11がコンタクト12の枠体33に嵌め込まれると、バネ部45によってハウジング11が枠体33の側壁部41に押し付けられるようにして付勢されて、枠体33内でのハウジング11の位置が位置決めされる。そして、枠体33内でのハウジング11の位置が位置決めされた状態でハウジング11がコンタクト12の枠体33の奥側まで嵌め込まれると、圧接部34が、カバーハウジング部21の圧接部用溝31から本体ハウジング部20の圧接部用溝25に亘って挿入される。圧接部34がハウジング11の圧接部用溝(31、25)に挿入されると、マグネットワイヤ100において圧接部用溝(31、25)で露出して延びている部分が、圧接部34のスリット刃34aに挿入される。そして、マグネットワイヤ100がスリット刃34aに挿入されることで、スリット刃34aがマグネットワイヤ100のエナメル被覆を切り破ってマグネットワイヤ100の心線に食い込み、コンタクト12の圧接部34がマグネットワイヤ100に圧接される。圧接部34がマグネットワイヤ100に圧接されることで、コンタクト12がマグネットワイヤ100に対して電気的に接続される。
【0086】
また、枠体33内でのハウジング11の位置がバネ部45によって位置決めされた状態でハウジング11がコンタクト12の枠体33の奥側まで嵌め込まれると、切断部35が、本体ハウジング部20の切断部用溝26に挿入される。切断部35がハウジング11の切断部用溝26に挿入されると、マグネットワイヤ100において切断部用溝26で露出して延びている部分が、切断部35の切断刃35aによって切断される。マグネットワイヤ100が切断部35の切断刃35aによって切断されると、切断されたマグネットワイヤ100の端部100aが除去される。
【0087】
上記のように、枠体33の内側で高さ方向X1に対して斜めに延びる板バネ状のバネ部45は、ハウジング11が枠体33に嵌め込まれた際に、圧接部34がハウジング11の圧接部用溝(31、25)に挿入されるとともに切断部35が切断部用溝26に挿入されるように、ハウジング11を枠体33の側壁部41に押し付けるように付勢してハウジング11の枠体33内での位置を位置決めするように構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、心線とその周囲のエナメル被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して圧接されて電気的に接続されるコネクタとして、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0089】
1 コネクタ
11 ハウジング
12 コンタクト
20 本体ハウジング部
21 カバーハウジング部
23 ワイヤ配置溝
25、31 圧接部用溝
26 切断部用溝
34 圧接部
34a スリット刃
35 切断部
35a 切断刃
36 バネ部
100 マグネットワイヤ