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特開2025-4978金属箔の切替方法、電極の製造方法および金属箔の切替装置
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  • 特開-金属箔の切替方法、電極の製造方法および金属箔の切替装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004978
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】金属箔の切替方法、電極の製造方法および金属箔の切替装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/18 20060101AFI20250108BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20250108BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20250108BHJP
   B65H 19/20 20060101ALI20250108BHJP
   B65H 20/12 20060101ALI20250108BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20250108BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20250108BHJP
【FI】
B65H19/18
H01M4/139
H01M4/04 A
B65H19/20
B65H20/12
H01G11/86
H01G13/00 381
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104919
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】榎原 勝志
(72)【発明者】
【氏名】牧 克則
(72)【発明者】
【氏名】海野 公則
【テーマコード(参考)】
3F064
3F103
5E078
5E082
5H050
【Fターム(参考)】
3F064AA06
3F064BA01
3F064BB06
3F064BB18
3F064BB23
3F064DA01
3F103AA05
3F103BC02
5E078AB02
5E078FA02
5E078FA12
5E078FA13
5E082MM40
5H050AA19
5H050BA08
5H050CA08
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB11
5H050GA04
5H050GA07
5H050GA29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】金属箔の切替時における金属箔の位置ずれを抑制可能な金属箔の切替方法を提供する。
【解決手段】第1金属箔の搬送中に、第1金属箔に第2金属箔を接合し、第1金属箔の搬送から第2金属箔の搬送に切り替える、金属箔の切替方法であって、搬送中の第1金属箔に、第2金属箔を対向させ、一対の切断ロールにより、第1金属箔および第2金属箔を重ね合わせた状態で切断し、切断部を形成する切断工程と、テープを吸着保持したテープ貼付用ロール、および、第2金属箔側の切断ロールを用いて、テープおよび切断部を挟むことにより、テープを切断部に貼付し、第1金属箔および第2金属箔を接合する接合工程とを有し、切断工程および接合工程は、切断部より下流に位置する第1金属箔がテープ貼付用ロールに吸着保持された状態で行われ、かつ、切断部より上流に位置する第2金属箔が第2金属箔側の切断ロールに吸着保持された状態で行われる、金属箔の切替方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属箔の搬送中に、前記第1金属箔に第2金属箔を接合し、前記第1金属箔の搬送から前記第2金属箔の搬送に切り替える、金属箔の切替方法であって、
搬送中の前記第1金属箔に、前記第2金属箔を対向させ、一対の切断ロールにより、前記第1金属箔および前記第2金属箔を重ね合わせた状態で切断し、切断部を形成する切断工程と、
テープを吸着保持したテープ貼付用ロール、および、前記第2金属箔側の前記切断ロールを用いて、前記テープおよび前記切断部を挟むことにより、前記テープを前記切断部に貼付し、前記第1金属箔および前記第2金属箔を接合する接合工程と、を有し、
前記切断工程および前記接合工程は、前記切断部より下流に位置する前記第1金属箔が前記テープ貼付用ロールに吸着保持された状態で行われ、かつ、前記切断部より上流に位置する前記第2金属箔が前記第2金属箔側の前記切断ロールに吸着保持された状態で行われる、金属箔の切替方法。
【請求項2】
前記第1金属箔側の前記切断ロールは、前記第1金属箔および前記第2金属箔を切断するための刃部を有し、
前記第2金属箔側の前記切断ロールは、前記刃部を受ける受け部を有し、
前記一対の切断ロールは、前記刃部および前記受け部が接触するように、同期回転しており、
前記切断工程において、前記刃部および前記受け部を接触させることにより、前記第1金属箔および前記第2金属箔を重ね合わせた状態で切断する、請求項1に記載の金属箔の切替方法。
【請求項3】
前記テープ貼付用ロールは、前記テープを前記切断部に貼付できるように、前記一対の切断ロールと同期回転している、請求項1に記載の金属箔の切替方法。
【請求項4】
前記金属箔の切替方法は、前記接合工程の後に、
搬送中の前記第2金属箔に、第3金属箔を対向させ、前記一対の切断ロールにより、前記第2金属箔および前記第3金属箔の重ね合わせた状態で切断し、第2切断部を形成する第2切断工程と、
第2テープを吸着保持した第2テープ貼付用ロール、および、前記第3金属箔側の前記切断ロールを用いて、前記第2テープおよび前記第2切断部を挟むことにより、前記第2テープを前記第2切断部に貼付し、前記第2金属箔および前記第3金属箔を接合する第2接合工程と、を有し、
前記第2切断工程および前記第2接合工程は、前記第2切断部より下流に位置する前記第2金属箔が前記第2テープ貼付用ロールに吸着保持された状態で行われ、かつ、前記第2切断部より上流に位置する前記第3金属箔が前記第3金属箔側の前記切断ロールに吸着保持された状態で行われる、請求項1に記載の金属箔の切替方法。
【請求項5】
金属箔と、前記金属箔の少なくとも一方の表面に配置された活物質層と、を有する電極の製造方法であって、
請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の金属箔の切替方法を用いて、前記金属箔を連続的に搬送する搬送工程と、
搬送中の前記金属箔上に、前記活物質層を形成する活物質層形成工程と、
を有する、電極の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の金属箔の切替方法に用いられる、金属箔の切替装置であって、
前記一対の切断ロールと、前記テープ貼付用ロールと、を有する、金属箔の切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属箔の切替方法、電極の製造方法および金属箔の切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池等の蓄電モジュールに用いられる電極の製造方法において、金属箔を搬送しつつ、金属箔上に活物質層を形成することが知られている。金属箔を巻き取った供給ロールから、金属箔を連続的に搬送する場合、定期的に、供給ロールを切り替える必要がある。具体的には、金属箔(旧箔)の搬送中に、金属箔(旧箔)に金属箔(新箔)を接合し、金属箔(旧箔)搬送から金属箔(新箔)の搬送に切り替える必要がある。特許文献1には、金属箔等の帯状可撓性支持体(ウエブ)の端部同士を接合するウエブの突き合わせ接合方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-63011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切断した旧箔および新箔を接合位置へ搬送する際、旧箔をロールによって吸着保持しながら搬送しつつ、切断した旧箔および新箔を、新箔側からガイド部材で保持する場合がある。切断した旧箔および新箔を、新箔側からガイド部材で保持すると、新箔の端部で位置ずれが発生する場合がある。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、金属箔の切替時における金属箔の位置ずれを抑制可能な金属箔の切替方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]
第1金属箔の搬送中に、上記第1金属箔に第2金属箔を接合し、上記第1金属箔の搬送から上記第2金属箔の搬送に切り替える、金属箔の切替方法であって、
搬送中の上記第1金属箔に、上記第2金属箔を対向させ、一対の切断ロールにより、上記第1金属箔および上記第2金属箔を重ね合わせた状態で切断し、切断部を形成する切断工程と、
テープを吸着保持したテープ貼付用ロール、および、上記第2金属箔側の上記切断ロールを用いて、上記テープおよび上記切断部を挟むことにより、上記テープを上記切断部に貼付し、上記第1金属箔および上記第2金属箔を接合する接合工程と、を有し、
上記切断工程および上記接合工程は、上記切断部より下流に位置する上記第1金属箔が上記テープ貼付用ロールに吸着保持された状態で行われ、かつ、上記切断部より上流に位置する上記第2金属箔が上記第2金属箔側の上記切断ロールに吸着保持された状態で行われる、金属箔の切替方法。
【0007】
[2]
上記第1金属箔側の上記切断ロールは、上記第1金属箔および上記第2金属箔を切断するための刃部を有し、
上記第2金属箔側の上記切断ロールは、上記刃部を受ける受け部を有し、
上記一対の切断ロールは、上記刃部および上記受け部が接触するように、同期回転しており、
上記切断工程において、上記刃部および上記受け部を接触させることにより、上記第1金属箔および上記第2金属箔を重ね合わせた状態で切断する、[1]に記載の金属箔の切替方法。
【0008】
[3]
上記テープ貼付用ロールは、上記テープを上記切断部に貼付できるように、上記一対の切断ロールと同期回転している、[1]または[2]に記載の金属箔の切替方法。
【0009】
[4]
上記金属箔の切替方法は、上記接合工程の後に、
搬送中の上記第2金属箔に、第3金属箔を対向させ、上記一対の切断ロールにより、上記第2金属箔および上記第3金属箔の重ね合わせた状態で切断し、第2切断部を形成する第2切断工程と、
第2テープを吸着保持した第2テープ貼付用ロール、および、上記第3金属箔側の上記切断ロールを用いて、上記第2テープおよび上記第2切断部を挟むことにより、上記第2テープを上記第2切断部に貼付し、上記第2金属箔および上記第3金属箔を接合する第2接合工程と、を有し、
上記第2切断工程および上記第2接合工程は、上記第2切断部より下流に位置する上記第2金属箔が上記第2テープ貼付用ロールに吸着保持された状態で行われ、かつ、上記第2切断部より上流に位置する上記第3金属箔が上記第3金属箔側の上記切断ロールに吸着保持された状態で行われる、[1]から[3]のいずれかに記載の金属箔の切替方法。
【0010】
[5]
金属箔と、上記金属箔の少なくとも一方の表面に配置された活物質層と、を有する電極の製造方法であって、
[1]から[4]までのいずれかに記載の金属箔の切替方法を用いて、上記金属箔を連続的に搬送する搬送工程と、
搬送中の上記金属箔上に、上記活物質層を形成する活物質層形成工程と、
を有する、電極の製造方法。
【0011】
[6]
[1]から[4]までのいずれかに記載の金属箔の切替方法に用いられる、金属箔の切替装置であって、
上記一対の切断ロールと、上記テープ貼付用ロールと、を有する、金属箔の切替装置。
【発明の効果】
【0012】
本開示における金属箔の切替方法は、金属箔の切替時における金属箔の位置ずれを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示における金属箔の切替方法を例示する概略断面図である。
図2】本開示における課題を説明する概略断面図である。
図3】本開示における金属箔の切替方法を例示する概略断面図である。
図4】本開示における電極の製造方法を例示する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示における金属箔の切替方法、電極の製造方法および金属箔の切替装置について、図面を用いて詳細に説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものであり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。また、本明細書において、ある部材に対して他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」または「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上または直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方または下方に、別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含む。
【0015】
A.金属箔の切替方法
図1は、本開示における金属箔の切替方法を例示する概略断面図である。図1(a)において、第1供給ロール11から第1金属箔1が供給され、第1金属箔1はガイドロール30を経由して搬送されている。さらに、図1(a)に示すように、搬送中の第1金属箔1に、第2金属箔2を対向させる。次に、図1(b)に示すように、一対の切断ロール12、22により、第1金属箔1および第2金属箔2を重ね合わせた状態で切断し、切断部40を形成する(切断工程)。次に、図1(c)に示すように、テープ13aを吸着保持したテープ貼付用ロール13、および、第2金属箔2側の切断ロール22を用いて、テープ13aおよび切断部40を挟むことにより、テープ13aを切断部40に貼付し、第1金属箔1および第2金属箔2を接合する(接合工程)。これにより、図1(a)に示す第1金属箔1の搬送から、図1(d)に示す第2金属箔2の搬送に切り替わる。
【0016】
図1(b)、(c)に示すように、切断工程および接合工程は、切断部40より下流に位置する第1金属箔1がテープ貼付用ロール13に吸着保持された状態で行われる。同様に、切断工程および接合工程は、切断部40より上流に位置する第2金属箔2が第2金属箔2側の切断ロール22に吸着保持された状態で行われる。
【0017】
本開示によれば、第1金属箔および第2金属箔が、それぞれロールに吸着保持された状態で、切断工程および接合工程を行うことで、金属箔の切替時における金属箔の位置ずれを抑制することができる。ここで、図2に示すように、切断した旧箔および新箔を接合位置へ搬送する際、旧箔をロールによって吸着保持しながら搬送しつつ、切断した旧箔および新箔を、新箔側からガイド部材で保持する場合がある。切断した旧箔および新箔を、新箔側からガイド部材で保持すると、新箔の端部で位置ずれが発生する場合がある。
【0018】
具体的に、旧箔および新箔を重ねて切断した後、切断された新箔の先端は、ロールに吸着保持された旧箔との間に発生する表面張力(例えば、切断工程の前において、旧箔および新箔が合流する際に、噴霧された水等の接着材によって発生する表面張力)のみで保持される。そのため、切断された新箔の先端は、旧箔から剥がれてしまう場合がある。特に、金属箔が厚い場合、金属箔のコシが強いため、表面張力によって新箔先端を保持することが難しく、新箔の剥がれおよび位置ずれが発生しやすい。
【0019】
これに対して、本開示においては、図1(b)、(c)に示すように、切断工程および接合工程は、切断部40より下流に位置する第1金属箔1がテープ貼付用ロール13に吸着保持された状態で行われ、かつ、切断部40より上流に位置する第2金属箔2が第2金属箔2側の切断ロール22に吸着保持された状態で行われる。このように、第1金属箔および第2金属箔が、それぞれロールに吸着保持された状態で、切断工程および接合工程を行うことで、金属箔の切替時における金属箔の位置ずれを抑制することができる。
【0020】
1.切断工程
本開示における切断工程は、搬送中の上記第1金属箔に、上記第2金属箔を対向させ、一対の切断ロールにより、上記第1金属箔および上記第2金属箔を重ね合わせた状態で切断し、切断部を形成する工程である。
【0021】
第1金属箔および第2金属箔は、異種の金属箔であってもよいが、通常は、同種の金属箔である。金属箔の種類は、特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウムが挙げられる。金属箔の厚さは、特に限定されないが、例えば、50μm以上であり、70μm以上であってもよく、90μm以上であってもよい。一方、金属箔の厚さは、例えば300μm以下である。
【0022】
図1(a)に示すように、搬送中の第1金属箔1に、第2金属箔2を、所定の空間を設けて対向させる。図1(a)において、第2金属箔2は、切断ロール22に吸着保持された状態で、搬送中の第1金属箔1と対向している。
【0023】
切断工程では、一対の切断ロールにより、第1金属箔および第2金属箔を重ね合わせた状態で切断する。図1(a)、(b)に示すように、一対の切断ロールである、切断ロール12および切断ロール22を用いて、第1金属箔1および第2金属箔2を重ね合わせた状態で同時に切断する。第1金属箔1側の切断ロール12は、第1金属箔1および第2金属箔2を切断するための刃部12aを有し、第2金属箔2側の切断ロール22は、第1金属箔1および第2金属箔2を切断するための刃部22aを有する。また、第1金属箔1側の切断ロール12は、第2金属箔2側の切断ロール22における刃部22aを受ける受け部12bを有し、第2金属箔2側の切断ロール22は、第1金属箔1側の切断ロール12における刃部12aを受ける受け部22bを有する。
【0024】
図1(a)、(b)に示すように、一対の切断ロールである、切断ロール12および切断ロール22は、第1金属箔1側の切断ロール12における刃部12aと、第2金属箔2側の切断ロール22における受け部22bとが接触するように、同期回転している。このように、刃部12aおよび受け部22bを接触させることにより、第1金属箔1および第2金属箔2を重ね合わせた状態で切断する。また、特に図示しないが、一対の切断ロールは、第2金属箔側の切断ロールにおける刃部と、第1金属箔側の切断ロールにおける受け部とが接触するように、同期回転していることが好ましい。
【0025】
切断工程は、切断部(厳密には切断予定部)より下流に位置する第1金属箔がテープ貼付用ロールに吸着保持された状態で行われ、かつ、切断部(厳密には切断予定部)より上流に位置する第2金属箔が第2金属箔側の切断ロールに吸着保持された状態で行われる。
【0026】
図1(a)に示すように、テープ貼付用ロール13は、テープ13aを表面に吸着保持している。テープ13aは、後述する接合工程において、切断部に貼付される。また、テープ貼付用ロール13は、第1金属箔1を基準として、第2金属箔2とは反対側に配置されている。また、図1(b)に示すように、第1金属箔1および第2金属箔2の切断時において、通常、切断部40より下流に位置する第1金属箔1は、テープ貼付用ロール13に吸着保持されている。また、テープ貼付用ロール13は、回転機構に加えて、ロール軸が移動する移動機構を有することが好ましい。さらに、第1金属箔1および第2金属箔2の切断時に、第1金属箔1がテープ貼付用ロール13に吸着保持された状態となるように、第1金属箔1および第2金属箔2の切断より前に、テープ貼付用ロール13のロール軸を、第1金属箔1側に移動させることが好ましい。一方、図1(b)に示すように、第1金属箔1および第2金属箔2の切断時において、通常、切断部40より上流に位置する第2金属箔2は、第2金属箔2側の切断ロール22に吸着保持されている。
【0027】
2.接合工程
本開示における接合工程は、テープを吸着保持したテープ貼付用ロール、および、第2金属箔側の上記切断ロールを用いて、上記テープを上記切断部に貼付し、上記第1金属箔および上記第2金属箔を接合する工程である。
【0028】
図1(c)に示すように、テープ貼付用ロール13におけるテープ13aは、切断部40に貼付される。テープ13aにおいて、一方の面は接着性を有し、他方の面は接着性を有しない。接着性を有しない面がテープ貼付用ロール13に吸着保持されている。接合工程では、テープ13aを吸着保持したテープ貼付用ロール13、および、第2金属箔2側の切断ロール22を用いて、テープ13aおよび切断部40を挟むことにより、テープ13aを切断部40に貼付し、第1金属箔1および第2金属箔2を接合する。テープ貼付用ロール13は、テープ13aが切断部40に貼付された後に、テープ13aの吸着保持を解除することが好ましい。
【0029】
接合工程は、切断部より下流に位置する第1金属箔がテープ貼付用ロールに吸着保持された状態で行われ、かつ、切断部より上流に位置する第2金属箔が第2金属箔側の切断ロールに吸着保持された状態で行われる。
【0030】
図1(c)に示すように、第1金属箔1および第2金属箔2の接合時において、通常、切断部40より下流に位置する第1金属箔1は、テープ貼付用ロール13に吸着保持されている。テープ貼付用ロール13は、テープ13を切断部40に貼付できるように、切断ロール12および切断ロール22と同期回転していることが好ましい。また、上述したように、テープ貼付用ロール13は、回転機構に加えて、ロール軸が移動する移動機構を有することが好ましい。第1金属箔1および第2金属箔2の接合時に、第1金属箔1および第2金属箔2の切断時よりも、テープ貼付用ロール13が第1金属箔1側に接近するように、テープ貼付用ロール13のロール軸を移動させることが好ましい。テープ貼付用ロール13は、テープ13aが切断部40に貼付された後に、第1金属箔1の吸着保持を解除することが好ましい。一方、図1(c)に示すように、第1金属箔1および第2金属箔2の接合時において、通常、切断部40より上流に位置する第2金属箔2は、第2金属箔2側の切断ロール22に吸着保持されている。切断ロール22は、テープ13aが切断部40に貼付された後に、第2金属箔2の吸着保持を解除することが好ましい。
【0031】
3.第2切断工程および第2接合工程
本開示における金属箔の切替方法は、上述した接合工程の後に、第2切断工程および第2接合工程を有していてもよい。第2切断工程および第2接合工程は、第2金属箔の搬送中に、第2金属箔に第3金属箔を接合し、第2金属箔の搬送から上記第3金属箔の搬送に切り替える工程である。
【0032】
図3(a)において、第2供給ロール21から第2金属箔2が供給され、第2金属箔2はガイドロール30を経由して搬送されている。さらに、図3(a)に示すように、搬送中の第2金属箔2に、第3金属箔3を対向させる。次に、図3(b)に示すように、一対の切断ロール12、22により、第2金属箔2および第3金属箔3を重ね合わせた状態で切断し、切断部41を形成する(第2切断工程)。次に、図3(c)に示すように、テープ23aを吸着保持したテープ貼付用ロール23、および、第3金属箔3側の切断ロール12を用いて、テープ23aおよび切断部41を挟むことにより、テープ23aを切断部41に貼付し、第2金属箔2および第3金属箔3を接合する(第2接合工程)。これにより、図3(a)に示す第2金属箔2の搬送から、図3(d)に示す第3金属箔3の搬送に切り替わる。
【0033】
図3(b)、(c)に示すように、第2切断工程および第2接合工程は、切断部41より下流に位置する第2金属箔2がテープ貼付用ロール23に吸着保持された状態で行われる。同様に、第2切断工程および第2接合工程は、切断部41より上流に位置する第3金属箔3が第3金属箔3側の切断ロール21に吸着保持された状態で行われる。第2切断工程および第2接合工程の詳細については、上述した「1.切断工程」および「2.接合工程」における「第1」を「第2」に適宜読み替え、「第2」を「第3」に適宜読み替えた内容と同様である。
【0034】
また、本開示においては、上述した各ロールを有する金属箔の切替装置を提供することもできる。切替装置は、金属箔を巻き出す巻出装置を有していてもよい。例えば、図1における第1供給ロール11を巻き出す巻出軸と、図3における第3供給ロール31を巻き出す巻出軸とは同一であってもよい。すなわち、旧箔および新箔の2種類の金属箔を巻き出す巻出装置は、固定2軸式であってもよく、箔の位置を入れ替えるターレット式であってもよい。
【0035】
B.電極の製造方法
図4は、本開示における電極の製造方法を例示する概略断面図である。図1および図4に示すように、上述した金属箔の切替方法を用いて、金属箔50を連続的に搬送する(搬送工程)。さらに、図4に示すように、搬送中の金属箔50上に、活物質層51を形成する(活物質層形成工程)。
【0036】
本開示によれば、金属箔の切替方法を用いて、金属箔を連続的に搬送することで、金属箔の切替時における金属箔の位置ずれを抑制しつつ、電極を作製することができる。
【0037】
1.搬送工程
本開示における搬送工程は、上述した金属箔の切替方法を用いて、上記金属箔を連続的に搬送する工程である。金属箔の切替方法については、上記「A.金属箔の切替方法」に記載した内容と同様であるため、ここでの記載は省略する。電極の製造方法において、金属箔は、例えば集電箔として機能する。
【0038】
2.活物質層形成工程
本開示における活物質層形成工程は、搬送中の上記金属箔上に、上記活物質層を形成する工程である。
【0039】
活物質層は、活物質を少なくとも含有し、導電材、固体電解質、バインダの少なくとも一つをさらに含有していてもよい。また、活物質は、正極活物質であってもよく、負極活物質であってもよい。正極活物質としては、例えば、酸化物活物質(例えばLiCoO)が挙げられる。負極活物質としては、例えば、酸化物活物質(例えばLTO)、Si系活物質、炭素系活物質が挙げられる。
【0040】
導電材としては、例えば、炭素系導電材が挙げられる。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質等の無機固体電解質が挙げられる。バインダとしては、例えば、フッ素系バインダが挙げられる。また、活物質層の形成方法としては、金属箔上に、活物質層を形成するためのスラリーを塗工し、その後、乾燥する方法が挙げられる。スラリーの塗工方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。活物質層の厚さは、例えば300μm以上であり、500μm以上であってもよく、1mm以上であってもよい。
【0041】
3.電極
本開示における電極は、金属箔と、上記金属箔の少なくとも一方の表面に配置された活物質層と、を有する。本開示における電極は、例えば、蓄電モジュールに用いられる。蓄電モジュールの具体例としては、二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)、電気二重層キャパシタが挙げられる。また、蓄電モジュールの用途としては、例えば、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)、ガソリン自動車、ディーゼル自動車等の車両の電源が挙げられる。特に、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)または電気自動車(BEV)の駆動用電源に用いられることが好ましい。また、本開示における蓄電デバイスは、車両以外の移動体(例えば、鉄道、船舶、航空機)の電源として用いられてもよく、情報処理装置等の電気製品の電源として用いられてもよい。
【0042】
C.金属箔の切替装置
本開示における金属箔の切替装置は、上述した金属箔の切替方法に用いられる、金属箔の切替装置であって、上記一対の切断ロールと、上記テープ貼付用ロールと、を有する。
【0043】
本開示における切断ロールおよびテープ貼付用ロールについては、上記「A.金属箔の切替方法」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0044】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0045】
1、2…金属箔
11、21…供給ロール
12、22…切断ロール
13、23…テープ貼付用ロール
30…ガイドロール
図1
図2
図3
図4