(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004987
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】外気導入制御システム、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
A01G9/24 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104937
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】土屋 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 幸政
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029MA08
2B029SB06
2B029SB17
2B029SF01
2B029SF08
2B029SF10
(57)【要約】
【課題】ハウスの外気圧との関係からハウスの内気圧を制御する外気導入制御システム、制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】ハウス内への外気の導入を制御する外気導入制御システムは、外気を吸い込む送風機31と、吸い込まれた外気を加温する暖房機17と、送風機31と暖房機17とを制御する制御装置11と、を備える。制御装置11は、ハウスの内部の対象空間の気圧を表す内気圧と、ハウスの外部の気圧を表す外気圧とを取得する取得手段と、内気圧と外気圧との差分が予め定められた条件を満たすように制御する制御手段と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウス内への外気の導入を制御する外気導入制御システムであって、
外気を吸い込む送風機と、
吸い込まれた外気を加温する暖房機と、
前記送風機と前記暖房機とを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記ハウスの内部の対象空間の気圧を表す内気圧と、前記ハウスの外部の気圧を表す外気圧とを取得する取得手段と、
前記内気圧と前記外気圧との差分が予め定められた条件を満たすように制御する制御手段と、を有する、
外気導入制御システム。
【請求項2】
前記差分が予め定められた判定閾値以上であると判定された場合、前記制御手段は、前記送風機と前記暖房機との運転を停止させる、
請求項1に記載の外気導入制御システム。
【請求項3】
前記取得手段は、前記対象空間の温度を取得し、
取得した温度が予め定められた第1の温度閾値以下であると判定された場合、前記制御手段は、前記暖房機の運転を実行させる、
請求項1に記載の外気導入制御システム。
【請求項4】
取得した温度が、前記第1の前記温度閾値よりも大きい、予め定められた第2の温度閾値以上であって、前記暖房機が運転を実行している場合、前記制御手段は、前記暖房機の運転を停止させる、
請求項3に記載の外気導入制御システム。
【請求項5】
ハウス内への外気の導入を制御し、
前記ハウスの内部の気圧を表す内気圧と、前記ハウスの外部の気圧を表す外気圧とを取得し、
前記内気圧と前記外気圧との差分が予め定められた条件を満たすように制御する、
制御方法。
【請求項6】
コンピュータに、
ハウス内への外気の導入を制御する処理、
前記ハウスの内部の気圧を表す内気圧と、前記ハウスの外部の気圧を表す外気圧とを取得する処理、
前記内気圧と前記外気圧との差分が予め定められた条件を満たすように制御する処理、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気導入制御システム、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハウス内の環境を調整する装置が開発されている。例えば、特許文献1には、外気を暖房機へ取り込み、温風空気を栽培地へと送る環境制御機が開示されている。また、ハウスの側面側領域には、ハウスの内圧を自動的に調整する手段が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作物を育てるハウス栽培として、ビニールハウス栽培が知られている。ビニールハウスは、一般的に、地面に固定される骨組みと、骨組みに取り付けられる被覆材であるビニールシートから構成される。ハウス内への外気導入によって、ハウス内の気圧が上昇して、ビニールシートがハウスの外部へ押し上げられる状態が生じ得る。被覆材の膨張具合によっては、被覆材の破損にも繋がりかねない。
【0005】
特許文献1に開示された技術は、ハウス外の空気を取り込み、取り込んだ外気を暖房機によって加温し、温風空気を栽培地へ送ることによって、作物の生育に役立てる有益な特徴を備える。また、特許文献1においては、ハウスの側面側領域に、ハウスの内気圧を調整する手段としてハウスの開閉手段が設けられている。
【0006】
しかしながら、被覆材の過度の膨張を抑制する観点では、ハウスの内気圧を調整するだけではなく、ハウスの外気圧との関係からハウスの内気圧を制御することが求められる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、ハウスの外気圧との関係からハウスの内気圧を制御する外気導入制御システム、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る外気導入制御システムは、
ハウス内への外気の導入を制御する外気導入制御システムであって、
外気を吸い込む送風機と、
吸い込まれた外気を加温する暖房機と、
前記送風機と前記暖房機とを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記ハウスの内部の対象空間の気圧を表す内気圧と、前記ハウスの外部の気圧を表す外気圧とを取得する取得手段と、
前記内気圧と前記外気圧との差分が予め定められた条件を満たすように制御する制御手段と、を有する。
【0009】
前記差分が予め定められた判定閾値以上であると判定された場合、前記制御手段は、前記送風機と前記暖房機との運転を停止させてもよい。
【0010】
前記取得手段は、前記対象空間の温度を取得し、
取得した温度が予め定められた第1の温度閾値以下であると判定された場合、前記制御手段は、前記暖房機の運転を実行させてもよい。
【0011】
取得した温度が、前記第1の前記温度閾値よりも大きい、予め定められた第2の温度閾値以上であって、前記暖房機が運転を実行している場合、前記制御手段は、前記暖房機の運転を停止させてもよい。
【0012】
本発明に係る制御方法は、
ハウス内への外気の導入を制御し、
前記ハウスの内部の気圧を表す内気圧と、前記ハウスの外部の気圧を表す外気圧とを取得し、
前記内気圧と前記外気圧との差分が予め定められた条件を満たすように制御する。
【0013】
本発明に係るプログラムは、
コンピュータに、
ハウス内への外気の導入を制御する処理、
前記ハウスの内部の気圧を表す内気圧と、前記ハウスの外部の気圧を表す外気圧とを取得する処理、
前記内気圧と前記外気圧との差分が予め定められた条件を満たすように制御する処理、
を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ハウスの内部の対象空間の気圧を表す内気圧と、ハウスの外部の気圧を表す外気圧とを取得する。また、内気圧と外気圧との差分が予め定められた条件を満たすように制御する。このため、本発明においては、ハウスの外気圧との関係からハウスの内気圧を制御する外気導入制御システム、制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る外気導入制御システムの構成を示す図。
【
図3】本発明の実施の形態に係る外気導入制御システムの機能的構成を示す図。
【
図4】本発明の実施の形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図5】本発明の実施の形態における外気導入制御装置が実行する外気導入暖房制御処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態)
[外気導入制御システム1の構成]
本発明の実施の形態に係る、
図1に示す外気導入制御システム1は、ハウス3の内部の気圧とハウス3の外部の気圧の差を抑制しつつ、ハウス3の外部の空気を表す外気の導入を制御する制御システムである。ハウス3は、鉄骨、曲げ加工したパイプ等の骨組みに、例えばビニールの被覆材で覆われた構造を備える。ハウス3の内部の気圧が外気圧よりも上昇すると、この被覆材は、ハウス3の内側から外側へ押し上げられる状態となる。
【0017】
図1~
図3に示すように、外気導入制御システム1は、ハウス3の外気導入を制御する外気導入制御装置2と、ハウス3の内部の温度を検知する温度センサ51と、ハウス3の外部の気圧を検知する外気圧センサ52と、ハウス3の内部の気圧を検知する内気圧センサ53とを備える。温度センサ51、外気圧センサ52、内気圧センサ53はそれぞれ、外気導入制御装置2に備えられた、後述の制御装置11と有線または無線を介して通信可能に接続される。以下、温度センサ51と外気圧センサ52と内気圧センサ53とを総称して、センサ群50と呼ぶ。それらの出力を総称してセンサ群50の出力群と呼ぶ。
【0018】
外気導入制御装置2は、下側の本体部10と、この本体部10の上に設けられた、空気を取り込む部屋である空気取込み部屋30とで構成される。
【0019】
空気取り込み部屋30の形状は、例えば、直方体形状である。空気取り込み部屋30は、内部に部屋である空間を有し、ここに空気の吸入を促進する送風機31と、外気を取り込む筒型の外気用筒部32と、ハウス3の外部の空気の吸い込み口を開閉する外気シャッタ32aと、内気を取り込む筒型の内気用筒部33と、ハウス3の内部の空気の吸い込み口を開閉する内気シャッタ33aとを備える。
【0020】
送風機31は、本体部10の天板10aに備えられる。ファン31aを利用して、空気取り込み部屋30に内気や外気が導入するとともに、導入した空気(吸引した空気)を下方に押し込む。なお、空気取り込み部屋30の底面部30cで、かつ、本体部10の天板10aは、外気用筒部32及び内気用筒部33が導入した空気を下方、言い換えると本体部10に供給するために、吸込み穴(図示せず)を備えている。
【0021】
空気取り込み部屋30の側面部30aは、外気吸い込み開口30a1を備えている。外気吸い込み開口30a1は、外気用筒部32の基端部が取り付けられ、外気用筒部32にて吸引された外気を受け入れる。また、外気用筒部32が取り付けられる側面部30aに対向する側面部30bは、内気吸い込み開口30b1を備えている。内気吸い込み開口30b1は、内気用筒部33の基端部が取り付けられ、内気用筒部33にて吸引された内気を受け入れる。
【0022】
外気用筒部32の内部には、外気用筒部32の外気吸い込み開口30a1を開閉する外気シャッタ32aが設けられている。また、内気用筒部33の内部には、内気用筒部33の内気吸い込み開口30b1を開閉する内気シャッタ33aが設けられている。
【0023】
本体部10は、自身の内側の空間に暖房機17を備え、自身の外面に制御装置11を備える。
【0024】
暖房機17は、本体部10の天板10aに設けられた吸込み穴から空気を受け取り、必要に応じて空気を作物の生育に適切な温度まで加温する。
【0025】
暖房機17は、燃焼釜18と、燃焼釜18に設けられたバーナ20と、燃焼釜18につながる熱交換器19と、熱交換器19で加温された空気を放出する吹出口25と、燃焼釜18で発生した排気ガスを排気する、図示しない排気口とを備える。
【0026】
バーナ20は、燃料を燃焼することにより空気の加温に必要な熱を発生する。熱交換器19は、燃焼釜18で発生した熱をファン31aにより供給された空気に伝達する。吹出口25は、熱交換器19で加温された空気を、ハウス3の内部の栽培地に向けて放出する。排気口は、ハウス3の外部に延びる煙突80の基端部に接続されており、燃焼釜18にて発生した排気ガスをハウス3の外部に排気する。
【0027】
次に、外気導入制御装置2の制御機能を担当する制御装置11について、
図1~
図3を参照して説明する。制御装置11は、外気導入制御装置2の全体を制御して、外気導入制御を行う制御装置である。なお、制御装置11は、
図1に示すように、本体部10に配置されている。
【0028】
制御装置11は、
図3に示すように、外気導入制御装置2の全体を制御する制御部11aと、時間を計る計時部11bと、通信インタフェースの役割を担う通信部11cと、電源オンオフを含む各種操作が可能な表示操作部11dと、制御に必要なデータを記憶する記憶部11eと、を備える。
【0029】
制御部11aは、表示操作部11dから、電源オンオフ、動作モード、設定温度、タイマ情報等を含む制御情報を受信する。また、制御部11aは、センサ群50の出力群を受信する。制御部11aは、受信したこれらの情報に基づいて、送風機31、外気シャッタ32a、内気シャッタ33a、暖房機17等を制御し、外気導入制御処理を行う。
【0030】
計時部11bは、時間を計測する部分である。計時部11bは、RTC(Real Time Clock)を備えており、外気導入制御装置2の電源がオフの間も計時を継続する計時デバイスである。通信部11cは、センサ群50と通信する。なお、制御部11aは、本発明の「取得手段」および「制御手段」の一例に相当する。
【0031】
表示操作部11dは、ユーザが操作可能な表示画面操作部であり、例えば、タッチパネルディスプレイが該当する。ユーザは、表示操作部11dを操作して、外気導入制御装置2の運転モード、設定情報等を含む各種操作を行う。また、表示操作部11dは、暖房機17、送風機31の運転状態、運転モード、設定情報等の情報を表示させて、ユーザに報知する役割を担う。かかる表示は、ユーザが外気導入制御装置2の運転状態を把握し易くする。
【0032】
記憶部11eは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などのメモリで構成されており、制御に必要なプログラムとデータを記憶する。具体的には、記憶部11eは、一般的な送風機用の制御プログラム、暖房機用の制御プログラム、また外気導入を行わない内気循環モード用の制御プログラム等を記憶すると共に、ハウス3の内外気圧差を抑制する外気導入暖房制御を制御部11aに実行させる制御プログラム、即ち、外気導入暖房モード用制御プログラム12を記憶している。ここで、「外気導入暖房モード」とは、ハウス3の内外の気圧差を抑制しつつ、ハウス3の外部からの外気の導入および暖房機17の制御を行う運転モードを意味する。なお、本実施の形態では、「外気導入暖房モード」は、主に冬期の夜に、ハウス3の内部の相対温度を上げるために使用される。
【0033】
外気導入暖房モード用制御プログラム12は、制御部11aに対して、温度、気圧等を取得させる取得処理部12aと、取得した温度、気圧等の判定をさせる判定処理部12bと、制御処理を実行させる制御処理部12cと、各種閾値を記憶する設定値群12dとを備える。
【0034】
具体的には、取得処理部12aは、ハウス3の内部の温度と、ハウス3の外部の気圧と、ハウス3の内部の気圧とを取得する処理を制御部11aに実行させる。判定処理部12bは、取得した温度が予め定められた第1の温度閾値Ta1以下であるか否かを判定する処理、取得した温度が予め定められた第2の温度閾値Ta2以上であるか否かを判定する処理、ハウス3の内外の気圧差が予め定められた判定閾値Tp以上であるか否かを判定する処理等の各種判定処理を制御部11aに実行させる。制御処理部12cは、外気導入暖房モードでの制御処理を制御部11aに実行させる。設定値群12dは、ハウス3の内部の温度を判定するための基準となる第1の温度閾値Ta1と第2の温度閾値Ta2と、ハウス3の内外の気圧差を判定するための基準となる判定閾値Tp等を記憶している。なお、第2の温度閾値Ta2は、第1の温度閾値Ta1よりも大きい。
【0035】
温度センサ51は、測温抵抗体、サーミスタ、熱電対等を備え、ハウス3内の栽培地を対象とした空間を表す対象空間の空気温度を検知する。温度センサ51は、この対象空間の空気温度を検知可能な任意の位置に設置されている。
【0036】
外気圧センサ52は、ハウス3の外部空間の気圧を検知する。外気圧センサ52は、ハウス3の外部の任意の位置、例えば、ハウス3の外面に取り付けられている。
【0037】
内気圧センサ53は、ハウス3の内部空間、具体的にはハウス3内の栽培地における空間の気圧を検知する。内気圧センサ53は、ハウス3の内部の栽培地における空間の気圧を検知可能な任意の位置に設置されている。
【0038】
次に、制御装置11のハードウェア構成の一例について、
図4を参照しながら説明する。
【0039】
制御装置11は、マイクロコントローラ等のコンピュータから構成され、例えば、
図4に示すように、バス1000を介して互いに接続された、外気導入暖房モード用制御プログラムを実行するプロセッサ1001と、主記憶領域として機能するメモリ1002と、外気導入暖房モード用制御プログラムを記憶する二次記憶装置1003と、信号を入出力する入出力(I/O)インタフェース1004と、通信を行う通信モジュール1005と、を備える。
【0040】
プロセッサ1001は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央算出装置)を備える。プロセッサ1001が、二次記憶装置1003に記憶された外気導入暖房モード用制御プログラムをメモリ1002に読み込んで実行する。
【0041】
メモリ1002は、例えば、RAMにより構成される主記憶装置として機能する。メモリ1002は、プロセッサ1001のワークメモリとして機能し、プロセッサ1001が二次記憶装置1003から読み込んだ外気導入暖房モード用制御プログラムを記憶する。
【0042】
二次記憶装置1003は、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等から構成される。二次記憶装置1003は、プロセッサ1001が実行する外気導入暖房モード用制御プログラム、固定データ等を記憶する。
【0043】
I/O(Input/Output)インタフェース1004は、シリアルポート、USB(Universal Serial Bus)ポートインタフェース等から構成される。I/Oインタフェース1004は、暖房機17、送風機31、外気シャッタ32aまたは内気シャッタ33aの駆動機構等に制御信号を送信して、プロセッサ1001による制御を可能とする。通信モジュール1005は、ネットワークインタフェース等から構成される。
【0044】
図3および
図4を参照しながら説明すると、制御部11aと計時部11bとは、例えば、プロセッサ1001とI/Oインタフェース1004とから構成される。また、通信部11cは、例えば、通信モジュール1005から構成される。また、表示操作部11dは、I/Oインタフェース1004から構成される。また、記憶部11eは、メモリ1002と二次記憶装置1003から構成される。
【0045】
ここまで、外気導入制御システム1の構成について説明した。続いて、その動作について説明する。ユーザが、制御装置11における表示操作部11dを用いて、制御装置11の電源を入れて、「外気導入暖房モード」を選択する。すると、その選択が制御部11aに判別され、制御部11aは、外気導入暖房モード用制御プログラム12の実行を開始する。
【0046】
制御部11aは、
図5に示す外気導入暖房制御処理を開始する。
まず、制御部11aは、外気シャッタ32aおよび内気シャッタ33aの駆動機構に対して、シャッタを開閉するための指示を送る。ここで、制御部11aは、外気シャッタ32aの駆動機構に、開信号を送り、内気シャッタ33aの駆動機構に、閉信号を送る(ステップS101)。
【0047】
制御部11aは、送風機31の運転を開始させる、または、運転を継続させる(ステップS102)。送風機31の稼働により、ハウス3の外部からの空気が導入され、導入された空気は本体部10へと流れ、吹出口25を経由して、ハウス3の内部の栽培地へと流れる。なお、ステップS102の処理について、初回は、制御部11aは、送風機31の運転を開始させる。ステップS102の処理について、2回目以降の場合であって既に送風機31が稼働している場合は、送風機31の運転を継続する。
【0048】
制御部11aは、ハウス3の内部の栽培地に設けられた温度センサ51から温度を取得する(ステップS103)。制御部11aは、取得した温度が予め定められた第1の温度閾値Ta1以下であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0049】
取得した温度が予め定められた第1の温度閾値Ta1以下であると判定した場合(ステップS104:Yes)、制御部11aは、暖房機17の運転を開始させる、または、運転を継続させる(ステップS105)。冬のシーズンの場合、農作物には、低温障害を含む各種の被害が発生し得る。暖房機17が稼働すると、熱交換器19で加温された空気が、ハウス3の内部の栽培地へ流れ込むことによって栽培地の温度が上昇するので、農作物の各種の被害を抑制し得る。
【0050】
取得した温度が予め定められた第1の温度閾値Ta1よりも高いと判定した場合(ステップS104:No)、制御部11aは、更に、取得した温度が予め定められた第2の温度閾値Ta2以上であるか否かを判定する(ステップS106)。ステップS104の処理によって、栽培地の空間温度が、作物の生育にとって適度な温度よりも低温であるか否かが判定される。また、ステップS106の処理によって、栽培地の空間温度が、作物の生育にとって適度な温度よりも高温であるか否かが判定される。
【0051】
取得した温度が予め定められた第2の温度閾値Ta2以上であると判定した場合(ステップS106:Yes)、制御部11aは、暖房機17が運転中であるか否かを判定する(ステップS107)。暖房機17が運転中であると判定した場合(ステップS107:Yes)、制御部11aは、暖房機17を停止させる(ステップS108)。これにより、栽培地の空間温度が作物の生育にとって適度な温度範囲に収められる。
【0052】
ステップS108の処理と、取得した温度が予め定められた第2の温度閾値Ta2よりも低いと判定した場合(ステップS106:No)と、暖房機17が運転中ではないと判定した場合(ステップS107:No)と、上記ステップS105の処理と、のうちのいずれかの後、制御部11aは、ハウス3の内部の気圧を表す内気圧Pinと、ハウス3の外部の気圧を表す外気圧Poutを取得する(ステップS109)。具体的には、制御部11aは、内気圧センサ53からハウス3の内気圧Pinを取得し、外気圧センサ52からハウス3の外気圧Poutを取得する。
【0053】
制御部11aは、内気圧Pinが外気圧Poutよりも大きいか否かを判定する(ステップS110)。内気圧Pinが外気圧Poutよりも大きいと判定した場合(ステップS110:Yes)、制御部11aは、内気圧Pinと外気圧Poutとの気圧差(=Pin-Pout)を求める(ステップS111)。
【0054】
制御部11aは、求めた気圧差が予め定められた判定閾値Tp以上であるか否かを判定する(ステップS112)。求めた気圧差が予め定められた判定閾値Tp以上であると判定された場合(ステップS112:Yes)、ハウス3の被覆材、例えばビニールがハウス3の内部から外部へ向かって押し上がる状態となり得る。ビニールの膨張の程度によっては、ビニールが破損し得る。このため、制御部11aは、運転中の暖房機17と送風機31とを停止させる(ステップS113)。これにより、ハウス3の内部への外気導入を抑制し、ハウス3の内外の気圧差を縮小する。ステップS113の後、制御部11aは、処理をステップS109へ戻す。
【0055】
また、内気圧が外気圧以下であると判定した場合(ステップS110:No)、または、求めた気圧差が予め定められた判定閾値Tpよりも小さいと判定した場合(ステップS112:No)、制御部11aは、処理をステップS102へ戻す。
【0056】
以上説明したように、実施の形態に係る外気導入制御システム1において、制御部11aは、ハウス3の外気を導入し、ハウス3の外気圧Poutよりも内気圧Pinが大きく、かつ、内気圧と外気圧との差分が、予め定められた判定閾値Tp以上である場合、暖房機17と送風機31を停止させる。これにより、ハウス3の外気導入を抑制し、ハウス3の内外の気圧差の縮小が図られる。このため、ハウス3の被覆材、例えばビニールが過度に膨張し、破損に至ることを抑制できる。
【0057】
(変形例)
上記実施の形態は、種々の変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、外気導入暖房制御処理において、ハウス内温度は予め定められた第1の温度閾値Ta1以下であるか否かの判定(ステップS104)を行ったが、この判定を行わなくてもよい。例えば、夏のシーズンでは、暖房機は不要と考えられるので、このステップS104と、S105~S108との処理を行わなくてもよい。また、ステップS113の処理では、制御部11aは、運転中の送風機31を停止させる。このため、農作物にとって、例えば低温障害の影響がない時期は、上述のように暖房機の制御に繋がる処理を除いた制御処理でもよい。その場合の制御処理は、「外気導入送風制御処理」といえる。
【0058】
上記実施の形態において、外気導入制御装置2は制御装置11を内部に備えていたが、制御装置11は外気導入制御装置2の外部に配置されてもよい。この場合、制御装置11は、例えば、外気導入制御装置2にネットワークNWを介して接続される。この場合、外気導入制御装置2は、例えば、外部と通信を行う通信装置を備える。通信装置は、外部に配置された制御装置11と、外気導入制御装置2の暖房機17、送風機31、外気シャッタ32aの駆動機構、内気シャッタ33aの駆動機構、センサ群50との間の通信を可能とする。
【0059】
また、例えば、制御装置11は、ネットワークNWに接続されたサーバ装置から構成されてもよい。この場合、例えば、制御装置11が実行する制御処理を実行する制御プログラムをサーバ装置にインストールして、制御装置の制御機能をサーバ装置上に構築すればよい。なお、サーバ装置は、パーソナルコンピュータにより実現されてもよい。
【0060】
上記実施の形態において、ハウス3の内外圧力差DPとハウス内温度Tを比較的単純な手法で制御する例を示したが、本発明はこれに限定されない。他の制御手法を採用可能である。
【0061】
例えば、ハウス3の内外の圧力差DPr=(Pin-Pout)の目標圧力差DPtを設定し、実圧力差DPrが目標圧力差DPtに一致するように制御することも可能である。この場合、例えば、目標内外圧力差DPtと実内外圧力差DPrとの偏差ΔP(DPt-DPr)を用いて、PID制御により、次式により操作量OAPを求めてもよい。
操作量OAP=a・ΔP+b・∫ΔTPt+c・dΔP/dt
ここで、a、b、cは定数である。
操作量OAPは、例えば、送風機31の回転速度、外気シャッタ32aと内気シャッタ33aの開度の比等が相当する。
【0062】
例えば、目標ハウス内温度Ttを設定し、ハウス内温度Trが目標ハウス内温度Ttに一致するように制御することも可能である。この場合、例えば、目標ハウス内温度Ttと温度センサ51で測定された実ハウス内温度Trとの偏差ΔT(=Tt-Tr)を用いて、PID制御により、次式により操作量OATを求めてもよい。
操作量OAT=α・ΔT+β・∫ΔTdt+γ・dΔT/dt
ここで、α、β、γは定数である。
操作量OATに基づいて、例えば、バーナ20に単位時間当たりに供給する燃料の量を制御する。また、操作量OATは、例えば、外気シャッタ32aと内気シャッタ33aの開度の比等が相当する。
【0063】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0064】
1 外気導入制御システム、2 外気導入制御装置、3 ハウス、10 本体部、10a 天板、11 制御装置、11a 制御部、11b 計時部、11c 通信部、11d 表示操作部、11e 記憶部、12 外気導入暖房モード用制御プログラム、12a 取得処理部、12b 判定処理部、12c 制御処理部、12d 設定値群、17 暖房機、18 燃焼釜、19 熱交換器、20 バーナ、25 吹出口、30 空気取り込み部屋、30a,30b 側面部、30a1 外気吸い込み開口、30b1 内気吸い込み開口、30c 底面部、31 送風機、31a ファン、32 外気用筒部、32a 外気シャッタ、33 内気用筒部、33a 内気シャッタ、50 センサ群、51 温度センサ、52 外気圧センサ、53 内気圧センサ、80 煙突、1000 バス、1001 プロセッサ、1002 メモリ、1003 二次記憶装置、1004 入出力(I/O)インタフェース、1005 通信モジュール。