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特開2025-4993評価支援システム、評価支援方法及び評価支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004993
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】評価支援システム、評価支援方法及び評価支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20250108BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104945
(22)【出願日】2023-06-27
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】592131906
【氏名又は名称】みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中川 歩
(72)【発明者】
【氏名】笠間 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】井筒 雄介
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC27
5L050CC27
(57)【要約】
【課題】評価対象の価値を的確に評価する評価支援システム、評価支援方法及び評価支援プログラムを提供する。
【解決手段】支援サーバ20は、制御部21と、標準地の評価情報を記録する標準地情報記憶部23と、を備える。制御部21が、標準地情報記憶部23を用いて、評価対象が属する地域メッシュ内の標準地を特定し、標準地についての第1駅に関するローカル評価情報を特定する。制御部21は、評価対象が属するエリアに含まれる第2駅に関するエリア評価情報を特定する。制御部21は、標準地のローカル評価情報及びエリア評価情報、標準地の価値評価情報を教師情報として、評価対象のローカル評価情報及びエリア評価情報から、価値評価情報を予測する予測モデルを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、標準地の評価情報を記録する標準地情報記憶部と、を備えた評価支援システムであって、
前記制御部が、
前記標準地情報記憶部を用いて、評価対象が属する地域メッシュ内の標準地を特定し、
前記標準地についての第1駅に関するローカル評価情報を特定し、
前記評価対象が属するエリアに含まれる第2駅に関するエリア評価情報を特定し、
前記標準地のローカル評価情報、エリア評価情報及び価値評価情報を教師情報として、前記評価対象のローカル評価情報及び前記エリア評価情報から、前記評価対象の価値評価情報を予測する予測モデルを生成することを特徴とする評価支援システム。
【請求項2】
前記制御部が、前記第1駅を、前記標準地及び前記評価対象からの距離に応じて決定することを特徴とする請求項1に記載の評価支援システム。
【請求項3】
前記制御部が、前記第2駅を前記評価対象が属するエリアに含まれる駅の利用量に応じて決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項4】
前記第2駅として、地域の主要駅を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項5】
前記第2駅として、前記エリアより広域の主要駅を含めて特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項6】
前記ローカル評価情報、前記エリア評価情報として直線距離を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項7】
前記ローカル評価情報、前記エリア評価情報として所要時間を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項8】
前記エリア評価情報について、前記第2駅の利用状況に応じて重み付けすることを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項9】
前記地域メッシュの大きさを、前記地域メッシュに含まれる戸数に応じて特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項10】
前記地域メッシュの大きさを、前記地域メッシュに含まれる標準地の分布に応じて特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項11】
前記地域メッシュの大きさを、前記評価対象が属する地域の属性に応じて特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項12】
制御部と、標準地の評価情報を記録する標準地情報記憶部と、を備えた評価支援システムを用いて、評価対象の評価を支援する方法であって、
前記制御部が、
前記標準地情報記憶部を用いて、評価対象が属する地域メッシュ内の標準地を特定し、
前記標準地についての第1駅に関するローカル評価情報を特定し、
前記評価対象が属するエリアに含まれる第2駅に関するエリア評価情報を特定し、
前記標準地のローカル評価情報、エリア評価情報及び価値評価情報を教師情報として、前記評価対象のローカル評価情報及び前記エリア評価情報から、前記評価対象の価値評価情報を予測する予測モデルを生成することを特徴とする評価支援方法。
【請求項13】
制御部と、標準地の評価情報を記録する標準地情報記憶部と、を備えた評価支援システムを用いて、評価対象の評価を支援するためのプログラムであって、
前記制御部を、
前記標準地情報記憶部を用いて、評価対象が属する地域メッシュ内の標準地を特定し、
前記標準地についての第1駅に関するローカル評価情報を特定し、
前記評価対象が属するエリアに含まれる第2駅に関するエリア評価情報を特定し、
前記標準地のローカル評価情報、エリア評価情報及び価値評価情報を教師情報として、前記評価対象のローカル評価情報及び前記エリア評価情報から、前記評価対象の価値評価情報を予測する予測モデルを生成する手段として機能させるための評価支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、土地の評価を支援する評価支援システム、評価支援方法及び評価支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
不動産価格の一つである土地の価格を決める場合、実勢価格、公示地価、路線価、固定資産税評価額等が用いられる。実勢価格は、市場において現実に成立した価格である。実勢価格は、公示地価を指標としているが、売主と買主の個別の事情によって価格が決定される。公示地価は、地価公示法に基づいて評価された1平米当たりの価格である。この公示地価は、国土交通省によって公表される。また、路線価は、土地に対する相続税や贈与税算定のための基礎価格として、国税庁が発表する価格である。固定資産税評価額は、各市区町村が算定する固定資産税の基準となる評価額である。路線価と固定資産税評価額とは、公示地価を基準として価格が算定されている。このように、土地の価格は、公示地価を起点として形成されている。
【0003】
そして、不動産の土地評価額を算出するための土地評価額算出装置も検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。この特許文献に記載された土地評価額算出装置は、緯度経度を用いて、所定の範囲に属する公示地・基準地明細を抽出する。次に、公示地・基準地明細から、担保物件登録データ中の用途地域及び最寄り駅からの距離と同じ用途地域及び最寄り駅からの距離を有する公示地・基準地明細を物件ごとに選定する。更に、選定した公示地・基準地明細から、物件と公示地または基準地の距離が最も短くなる公示地・基準地明細を物件ごとに採用する。そして、採用した物件ごとの公示地・基準地明細中の土地単価と、物件の評価面積とに基づいて、物件の土地評価額を物件ごとに算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-131425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、土地の評価において、最寄り駅からの距離を評価要素として用いることが多い。しかしながら、駅の種類は多様であるため、最寄り駅からの距離の評価だけでは、的確な土地の価値の評価が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する評価支援システムは、制御部と、標準地の評価情報を記録する標準地情報記憶部と、を備える。前記制御部が、前記標準地情報記憶部を用いて、評価対象が属する地域メッシュ内の標準地を特定し、前記標準地についての第1駅に関するローカル評価情報を特定し、前記評価対象が属するエリアに含まれる第2駅に関するエリア評価情報を特定し、前記標準地のローカル評価情報、エリア評価情報及び価値評価情報を教師情報として、前記評価対象のローカル評価情報及び前記エリア評価情報から、前記評価対象の価値評価情報を予測する予測モデルを生成する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、評価対象の価値を的確に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の評価支援システムの説明図である。
図2】実施形態のハードウェア構成の説明図である。
図3】実施形態の処理手順の説明図である。
図4】実施形態の処理手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図4に従って、評価支援システム、評価支援方法及び評価支援プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、評価対象の周囲の評価情報(地価)と、土地の属性情報とを用いて、評価情報(地価)を予測する場合を想定する。
図1に示すように、本実施形態の評価支援システムは、ユーザ端末10、支援サーバ20を用いる。
【0010】
(ハードウェア構成例)
図2は、ユーザ端末10、支援サーバ20等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
【0011】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0012】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
【0013】
入力装置H12は、利用者等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
【0014】
記憶装置H14は、ユーザ端末10、支援サーバ20の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0015】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、ユーザ端末10、支援サーバ20における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、ユーザ端末10、支援サーバ20のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0016】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、以下で構成し得る。
【0017】
(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ
(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは
(3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)
プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0018】
(各情報処理装置の機能)
図1を用いて、ユーザ端末10、支援サーバ20の機能を説明する。
ユーザ端末10は、本システムを利用するユーザが用いるコンピュータ端末である。
【0019】
支援サーバ20は、評価対象の評価情報を生成するコンピュータシステムである。この支援サーバ20は、制御部21、地図情報記憶部22、標準地情報記憶部23、路線情報記憶部24、教師情報記憶部25、学習結果記憶部26を備えている。
【0020】
制御部21は、後述する処理(取得段階、学習段階、予測段階等を含む処理)を行なう。このための評価支援プログラムを実行することにより、制御部21は、取得部210、学習部211、予測部212等として機能する。
【0021】
取得部210は、ユーザ端末10から評価対象情報や、標準地に関する情報を取得する処理を実行する。
学習部211は、教師情報を生成するとともに、評価対象の地価を予測する地価予測モデルを生成する処理を実行する。
予測部212は、評価対象の地価を予測する処理を実行する。
【0022】
地図情報記憶部22には、評価対象が含まれる地域を特定するための地図が記録されている。この地図には、経度・緯度(世界測地系)に対して、住所、鉄道の駅、地方区分や自治体(都道府県)の範囲が記録されている。ここで、地方区分としては、二区分、三区分、七区分等を用いることができる。
【0023】
標準地情報記憶部23には、公示地価が公表された標準地に関する標準地管理データが記録される。この標準地管理データには、標準地ID、公示地価、所在位置に関する情報が記録される。
【0024】
標準地IDは、各標準地を特定するための識別子である。
公示地価は、この標準地について公表された地価(平方mの土地価格)である。本実施形態では、公示地価を標準地価値評価情報として用いる。
所在位置は、この標準地の住所や経度・緯度である。
【0025】
路線情報記憶部24には、各駅を結ぶ路線図に関する情報が記録されている。更に、各駅の属性情報が記録されている。本実施形態では、属性情報として乗降客数(駅の利用量)、地方区分の代表駅等に関する情報を用いる。この属性情報を用いることにより、広域や地域の主要駅を特定することができる。
【0026】
教師情報記憶部25には、学習に用いる教師情報が記録される。この教師情報は、教師情報の作成処理が行なわれた場合に記録される。教師情報には、公示地価(価値評価情報)と、この公示地価を説明する説明変数とを組み合わせたデータセットが記録される。本実施形態では、説明変数として、後述するように、第1駅(最寄り駅)、第2駅(広域主要駅、地域主要駅)までの複数のアクセス情報を用いる。このアクセス情報は、アクセスの容易性を示す指標である。
【0027】
学習結果記憶部26には、評価対象の属性情報から地価を予測する地価予測モデルが記録される。この地価予測モデルは、学習処理の実行後に記録される。
【0028】
(地価予測処理)
次に、図3を用いて、地価予測処理を説明する。
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、評価対象の特定処理を実行する(ステップS11)。具体的には、制御部21の取得部210は、ユーザ端末10から、評価対象に関する位置情報(緯度・経度)を取得する。
【0029】
次に、支援サーバ20の制御部21は、評価対象の地域メッシュの特定処理を実行する(ステップS12)。具体的には、制御部21の取得部210は、評価対象の位置情報を中心として、所定の大きさの地域メッシュを特定する。ここで、地域メッシュとは、緯度・経度に基づき地域を隙間なく網の目(メッシュ)の区域に分けて、それぞれの区域に関する統計データを編成したものである。この地域メッシュは、都市総合計画の策定や防災計画の策定といった行政施策等の企画・立案の基礎資料、出店計画の策定に用いられている。地域メッシュの区画は緯度経度を用いて、1~3次メッシュ区画と1/10細分メッシュ区画で分類され、地域メッシュコードと呼ばれる番号で採番される。ここで、1次メッシュ区画とは、東経100度、北緯0度を基準とし、各度の経線と、偶数緯度及びその間隔を3等分した緯線とで縦横に分割した区域である。2次メッシュ区画とは、1次メッシュ区画を緯線方向及び経線方向に8等分してできる区域である。3次メッシュ区画が、地域メッシュと呼ばれており、2次メッシュ区画を緯線方向及び経線方向に10等分してできる区域である。1/10細分メッシュ区画は、3次メッシュ区画を緯線方向及び経線方向に10等分してできる区域である。
【0030】
次に、支援サーバ20の制御部21は、目標数の標準地の特定処理を実行する(ステップS13)。具体的には、制御部21の取得部210は、標準地情報記憶部23を用いて、地域メッシュに含まれる標準地の数(標準地の分布状況)をカウントする。地域メッシュに含まれる標準地数が、予め定められた目標数未満の場合には、取得部210は、地域メッシュに含まれる標準地数が目標数に到達するまで、評価対象の位置情報を中心として、外側に地域メッシュを拡大する。そして、地域メッシュに含まれる標準地を、教師情報に用いる標準地として特定する。
【0031】
一方、地域メッシュに含まれる標準地数が目標数以上の場合には、取得部210は、地域メッシュに含まれる標準地の中で、評価対象に近い順で目標数の標準地を、教師情報に用いる標準地として特定する。なお、地域メッシュに含まれる標準地の中で、任意の目標数の標準地を特定してもよい。
【0032】
支援サーバ20の制御部21は、目標数の標準地の中で、順次、処理対象を特定して、標準地毎に、以下の処理を繰り返す。
次に、支援サーバ20の制御部21は、標準地の公示地価の取得処理を実行する(ステップS14)。具体的には、制御部21の取得部210は、処理対象の標準地の公示地価を、標準地情報記憶部23から取得する。
【0033】
次に、支援サーバ20の制御部21は、標準地の説明変数値の取得処理を実行する(ステップS15)。具体的には、制御部21の取得部210は、処理対象の標準地の説明変数値を取得する。この処理については、図4を用いて後述する。
【0034】
次に、支援サーバ20の制御部21は、教師情報の生成処理を実行する(ステップS16)。具体的には、制御部21の取得部210は、処理対象の標準地の公示地価と第1~第3アクセス情報とを組み合わせたデータセットを生成し、教師情報記憶部25に記録する。
以上の処理を、すべての目標数の標準地について終了するまで繰り返す。
【0035】
次に、支援サーバ20の制御部21は、学習処理を実行する(ステップS17)。具体的には、制御部21の学習部211は、教師情報記憶部25に記録された教師情報を用いて、機械学習を行なうことにより、説明変数値から地価(価値評価情報)を予測する地価予測モデルを生成する。そして、学習部211は、生成した地価予測モデルを学習結果記憶部26に記録する。
【0036】
次に、支援サーバ20の制御部21は、評価対象の説明変数値の取得処理を実行する(ステップS18)。具体的には、制御部21の取得部210は、評価対象の説明変数値を取得する。この処理についても、図4を用いて後述する。
【0037】
次に、支援サーバ20の制御部21は、評価対象の地価の予測処理を実行する(ステップS19)。具体的には、制御部21の予測部212は、学習結果記憶部26に記録された地価予測モデルに、評価対象の説明変数値を入力することにより、評価対象の地価を予測する。そして、予測部212は、予測した地価をユーザ端末10に出力する。
【0038】
(説明変数値の取得処理)
次に、図4を用いて、処理対象(標準地や評価対象)について、説明変数値の取得処理(ステップS15,S18)を説明する。
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、最寄り駅の特定処理を実行する(ステップS21)。具体的には、制御部21の取得部210は、地図情報記憶部22に記録された地図を用いて、処理対象に最も近い最寄り駅を特定する。例えば、取得部210は、処理対象を中心とする同心円を順次拡大し、最初に同心円内に含まれる駅を最寄り駅(第1駅)として特定する。
【0039】
次に、支援サーバ20の制御部21は、最寄り駅までの第1アクセス情報の算出処理を実行する(ステップS22)。具体的には、制御部21の取得部210は、地図を用いて、処理対象から最寄り駅までの直線距離を算出し、この距離を第1アクセス情報(ローカル評価情報)として特定する。
【0040】
次に、支援サーバ20の制御部21は、広域主要駅の特定処理を実行する(ステップS23)。具体的には、制御部21の取得部210は、処理対象が所在する地方区分を広域(処理対象が属する第1エリア)として特定する。次に、取得部210は、この広域内の代表駅を広域主要駅(第2駅)として特定する。
【0041】
次に、支援サーバ20の制御部21は、広域主要駅までの第2アクセス情報の算出処理を実行する(ステップS24)。具体的には、制御部21の取得部210は、地図を用いて、処理対象から広域主要駅までの直線距離を算出し、この距離を第2アクセス情報(エリア評価情報)として特定する。
【0042】
次に、支援サーバ20の制御部21は、地域主要駅の特定処理を実行する(ステップS25)。具体的には、制御部21の取得部210は、処理対象が所在する自治体(都道府県)を地域(処理対象が属する第2エリア)として特定する。次に、取得部210は、この地域内で最も乗降客数が多い駅を地域主要駅として特定する。
【0043】
次に、支援サーバ20の制御部21は、地域主要駅までの第3アクセス情報の算出処理を実行する(ステップS26)。具体的には、制御部21の取得部210は、処理対象から地域主要駅までの直線距離を算出し、この距離を第3アクセス情報(エリア評価情報)として特定する。
【0044】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、評価対象の特定処理(ステップS11)、評価対象の地域メッシュの特定処理(ステップS12)、目標数の標準地の特定処理(ステップS13)を実行する。これにより、目標数以上の標準地を用いた教師情報を生成することができる。
【0045】
(2)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、標準地の公示地価の取得処理(ステップS14)、説明変数値の取得処理(ステップS15)を実行する。これにより、標準地の地価を説明するための情報を取得することができる。
【0046】
(3)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、学習処理を実行する(ステップS17)。これにより、機械学習を用いて、地価予測モデルを生成することができる。
【0047】
(4)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、最寄り駅までの第1アクセス情報の算出処理を実行する(ステップS22)。これにより、評価対象から公共交通機関までの利便性を説明変数として考慮して、地価を予測することができる。
【0048】
(5)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、広域主要駅までの第2アクセス情報の算出処理(ステップS24)、地域主要駅までの第3アクセス情報の算出処理(ステップS26)を実行する。これにより、評価対象が存在する地方や地域を説明変数として考慮して、地価を予測することができる。
【0049】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、ユーザ端末10、支援サーバ20を用いる。ハードウェアの構成は、これらに限定されるものではない。例えば、単独の装置構成やクラウド(サーバ)により構成してもよい。
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、評価対象の地域メッシュの特定処理(ステップS12)、目標数の標準地の特定処理(ステップS13)を実行する。ここで、地域属性に応じて地域メッシュを特定するようにしてもよい。例えば、地域における交通機関の利用状況に基づいて、地域毎に地域メッシュの大きさを変更するようにしてもよい。交通機関の利用状況としては、例えば、乗降客数に応じて、地域メッシュの大きさを変更してもよい。ここでは、乗降客数が少ない場合には、地域メッシュを拡大する。
また、各地域に含まれる標準地の公示地価の統計値に応じて、地域メッシュの大きさを変更するようにしてもよい。例えば、公示地価の統計値(標準偏差等のばらつき)が多い場合には、地域メッシュを大きくして、目標数を大きくする。
また、地域メッシュに含まれる住宅の戸数に応じて、地域メッシュの大きさを変更するようにしてもよい。
【0050】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、説明変数値の取得処理を実行する。ここでは、説明変数として、第1~第3アクセス情報を用いる。アクセス情報は、3種類に限定されるものではない。公共交通機関を利用する場合の出発点となる地元の第1駅(例えば最寄り駅)に対して、少なくとも処理対象が所在するエリア(地域)に対応した第2駅(広域主要駅、地域主要駅の何れか)が含まれていればよい。
【0051】
また、3種類以上のアクセス情報を用いてもよい。この場合には、最寄り駅から主要駅までの路線において、中継駅の属性情報に応じて、複数のアクセス情報を用いてもよい。例えば、乗降客数が基準数よりも多い中継駅を抽出し、各中継駅までのアクセス情報を用いる。
【0052】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、最寄り駅の特定処理を実行する(ステップS21)。ここでは、処理対象を中心とする同心円を順次拡大し、最初に同心円内に含まれる駅を最寄り駅(第1駅)として特定する。第1駅の決定方法は、これに限定されるものではない。例えば、駅までの所要時間に応じて決定してもよい。また、所定範囲に含まれる駅の中で、駅の利用量や駅の機能(停車する列車の種類等)に応じて、第1駅を決定してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、最寄り駅までの第1アクセス情報、広域主要駅までの第2アクセス情報、地域主要駅までの第3アクセス情報の算出処理(ステップS22,S24,S26)を実行する。ここでは、各駅までの直線距離をアクセス情報として算出する。アクセス情報は直線距離に限定されるものではない。例えば、地図上での道順距離や、主要駅までの所要時間等を用いてもよい。この場合には、経路検索により道順を特定したり、所要時間を算出したりする。
【0054】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、広域主要駅の特定処理を実行する(ステップS23)。ここでは、この広域内の代表駅を広域主要駅として特定する。広域主要駅の特定方法は、代表駅に限定されるものではない。広域に含まれる駅の乗降客数に応じて、広域主要駅を特定してもよい。
【0055】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、地域主要駅の特定処理を実行する(ステップS25)。ここでは、この地域内で最も乗降客数が多い駅を広域主要駅として特定する。地域主要駅の特定方法は、乗降客数を用いて決める場合に限定されるものではない。たとえば、新幹線等の特定種類の路線の停車駅を用いたり、人口密度が高いエリアの駅を用いたりしてもよい。また、乗換可能な路線数が地方区分で一番多い駅や、乗り換え可能な路線が一定数以上の駅を用いてもよい。
【0056】
・上記実施形態では、地図情報記憶部22には、評価対象が含まれる地域を特定するための地図が記録されている。この地図には、経度・緯度(世界測地系)に対して、住所、鉄道の駅、地方区分や自治体(都道府県)の範囲が記録されている。地図情報記憶部22に記録される情報は、これらに限定されるものではない。例えば、バス停、国道、病院、学校、高速道路への乗り入れ口、近隣の商業施設等の拠点情報を含めてもよい。これらの拠点の位置情報を用いて、第1駅~第3駅等を決定してもよい。例えば、これらの拠点を経由した場合の距離を利用して評価情報を算出する。
【符号の説明】
【0057】
10…ユーザ端末、20…支援サーバ、21…制御部、210…取得部、211…学習部、212…予測部、22…地図情報記憶部、23…標準地情報記憶部、24…路線情報記憶部、25…教師情報記憶部、26…学習結果記憶部。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、標準地の評価情報を記録する標準地情報記憶部と、を備えた評価支援システムであって、
前記制御部が、
前記標準地情報記憶部を用いて、評価対象が属する地域メッシュを特定し、
地域メッシュに含まれる標準地数が目標数に到達するまで、前記評価対象の位置情報を中心として、外側に地域メッシュを拡大して、前記拡大した地域メッシュに含まれる標準地を特定し、
前記標準地についての第1駅に関するローカル評価情報を特定し、
前記評価対象が属するエリアに含まれる第2駅に関するエリア評価情報を特定し、
前記標準地のローカル評価情報、エリア評価情報及び価値評価情報を教師情報として、前記評価対象のローカル評価情報及び前記エリア評価情報から、前記評価対象の価値評価情報を予測する予測モデルを生成することを特徴とする評価支援システム。
【請求項2】
前記制御部が、前記第1駅を、前記標準地及び前記評価対象からの距離に応じて決定することを特徴とする請求項1に記載の評価支援システム。
【請求項3】
前記制御部が、前記第2駅を前記評価対象が属するエリアに含まれる駅の利用量に応じて決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項4】
前記第2駅として、地域の主要駅を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項5】
前記第2駅として、前記エリアより広域の主要駅を含めて特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項6】
前記ローカル評価情報、前記エリア評価情報として直線距離を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項7】
前記ローカル評価情報、前記エリア評価情報として所要時間を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項8】
前記エリア評価情報について、前記第2駅の利用状況に応じて重み付けすることを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項9】
制御部と、標準地の評価情報を記録する標準地情報記憶部と、を備えた評価支援システムを用いて、評価対象の評価を支援する方法であって、
前記制御部が、
前記標準地情報記憶部を用いて、評価対象が属する地域メッシュを特定し、
地域メッシュに含まれる標準地数が目標数に到達するまで、前記評価対象の位置情報を中心として、外側に地域メッシュを拡大して、前記拡大した地域メッシュに含まれる標準地を特定し、
前記標準地についての第1駅に関するローカル評価情報を特定し、
前記評価対象が属するエリアに含まれる第2駅に関するエリア評価情報を特定し、
前記標準地のローカル評価情報、エリア評価情報及び価値評価情報を教師情報として、前記評価対象のローカル評価情報及び前記エリア評価情報から、前記評価対象の価値評価情報を予測する予測モデルを生成することを特徴とする評価支援方法。
【請求項10】
制御部と、標準地の評価情報を記録する標準地情報記憶部と、を備えた評価支援システムを用いて、評価対象の評価を支援するためのプログラムであって、
前記制御部を、
前記標準地情報記憶部を用いて、評価対象が属する地域メッシュを特定し、
地域メッシュに含まれる標準地数が目標数に到達するまで、前記評価対象の位置情報を中心として、外側に地域メッシュを拡大して、前記拡大した地域メッシュに含まれる標準地を特定し、
前記標準地についての第1駅に関するローカル評価情報を特定し、
前記評価対象が属するエリアに含まれる第2駅に関するエリア評価情報を特定し、
前記標準地のローカル評価情報、エリア評価情報及び価値評価情報を教師情報として、前記評価対象のローカル評価情報及び前記エリア評価情報から、前記評価対象の価値評価情報を予測する予測モデルを生成する手段として機能させるための評価支援プログラム。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、標準地の評価情報を記録する標準地情報記憶部と、を備えた評価支援システムであって、
前記制御部が、
前記標準地情報記憶部を用いて、地域メッシュに含まれる戸数、標準地の分布、評価対象が属する地域の属性の少なくとも一つに応じて地域メッシュの大きさを特定し、前記大きさで前記評価対象が属する地域メッシュを特定し、
地域メッシュに含まれる標準地数が目標数に到達するまで、前記評価対象の位置情報を中心として、外側に地域メッシュを拡大して、前記拡大した地域メッシュに含まれる標準地を特定し、
前記標準地についての第1駅に関するローカル評価情報を特定し、
前記評価対象が属するエリアに含まれる第2駅に関するエリア評価情報を特定し、
前記標準地のローカル評価情報、エリア評価情報及び価値評価情報を教師情報として、前記評価対象のローカル評価情報及び前記エリア評価情報から、前記評価対象の価値評価情報を予測する予測モデルを生成することを特徴とする評価支援システム。
【請求項2】
前記制御部が、前記第1駅を、前記標準地及び前記評価対象からの距離に応じて決定することを特徴とする請求項1に記載の評価支援システム。
【請求項3】
前記制御部が、前記第2駅を前記評価対象が属するエリアに含まれる駅の利用量に応じて決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項4】
前記第2駅として、地域の主要駅を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項5】
前記第2駅として、前記エリアより広域の主要駅を含めて特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項6】
前記ローカル評価情報、前記エリア評価情報として直線距離を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項7】
前記ローカル評価情報、前記エリア評価情報として所要時間を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項8】
前記エリア評価情報について、前記第2駅の利用状況に応じて重み付けすることを特徴とする請求項1又は2に記載の評価支援システム。
【請求項9】
制御部と、標準地の評価情報を記録する標準地情報記憶部と、を備えた評価支援システムを用いて、評価対象の評価を支援する方法であって、
前記制御部が、
前記標準地情報記憶部を用いて、地域メッシュに含まれる戸数、標準地の分布、評価対象が属する地域の属性の少なくとも一つに応じて地域メッシュの大きさを特定し、前記大きさで前記評価対象が属する地域メッシュを特定し、
地域メッシュに含まれる標準地数が目標数に到達するまで、前記評価対象の位置情報を中心として、外側に地域メッシュを拡大して、前記拡大した地域メッシュに含まれる標準地を特定し、
前記標準地についての第1駅に関するローカル評価情報を特定し、
前記評価対象が属するエリアに含まれる第2駅に関するエリア評価情報を特定し、
前記標準地のローカル評価情報、エリア評価情報及び価値評価情報を教師情報として、前記評価対象のローカル評価情報及び前記エリア評価情報から、前記評価対象の価値評価情報を予測する予測モデルを生成することを特徴とする評価支援方法。
【請求項10】
制御部と、標準地の評価情報を記録する標準地情報記憶部と、を備えた評価支援システムを用いて、評価対象の評価を支援するためのプログラムであって、
前記制御部を、
前記標準地情報記憶部を用いて、地域メッシュに含まれる戸数、標準地の分布、評価対象が属する地域の属性の少なくとも一つに応じて地域メッシュの大きさを特定し、前記大きさで前記評価対象が属する地域メッシュを特定し、
地域メッシュに含まれる標準地数が目標数に到達するまで、前記評価対象の位置情報を中心として、外側に地域メッシュを拡大して、前記拡大した地域メッシュに含まれる標準地を特定し、
前記標準地についての第1駅に関するローカル評価情報を特定し、
前記評価対象が属するエリアに含まれる第2駅に関するエリア評価情報を特定し、
前記標準地のローカル評価情報、エリア評価情報及び価値評価情報を教師情報として、前記評価対象のローカル評価情報及び前記エリア評価情報から、前記評価対象の価値評価情報を予測する予測モデルを生成する手段として機能させるための評価支援プログラム。