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特開2025-50034電源装置およびアブレーションシステム
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  • 特開-電源装置およびアブレーションシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025050034
(43)【公開日】2025-04-04
(54)【発明の名称】電源装置およびアブレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20250327BHJP
【FI】
A61B18/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158605
(22)【出願日】2023-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】平尾 卓也
(72)【発明者】
【氏名】榊 航平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】小磯 智春
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK17
4C160KK22
4C160KK23
4C160KK33
4C160KK38
4C160KK39
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】カテーテルアブレーション術に関する新規な技術を提供する。
【解決手段】電源装置8は、少なくとも1つの電極が設けられたスプラインを複数有するカテーテル4に電気的に接続され、電極に電圧を印加する電源部26と、各電極に電圧を順次印加していくように電源部26を制御する制御部28と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電極が設けられたスプラインを複数有するカテーテルに電気的に接続され、前記電極に電圧を印加する電源部と、
各電極に電圧を順次印加していくように前記電源部を制御する制御部と、を備える、
電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、給電対象となる全ての前記電極への電圧の順次印加を1周として、複数周の順次印加を実行するよう前記電源部を制御する、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記電源部は、二相性パルスを生成するよう各電極に電圧を印加し、
各電極における先行パルスと後行パルスとの間隔を間隔Aとし、
前に電圧が印加される電極における前記後行パルスと、次に電圧が印加される電極における前記先行パルスとの間隔を間隔Bとするとき、
前記制御部は、前記間隔Bが前記間隔Aの2倍以上となるように前記電源部を制御する、
請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前周の最後の前記後行パルスと次周の最初の前記先行パルスとの間隔を間隔Cとするとき、
前記制御部は、前記間隔Cが前記間隔Bの2倍以上となるように前記電源部を制御する、
請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
少なくとも1つの電極が設けられたスプラインを複数有するカテーテルと、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の前記電源装置と、を備える、
アブレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置およびアブレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アブレーションカテーテルと、このアブレーションカテーテルに電圧パルスを送達するパルス波形発生器とを備えるアブレーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-500170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、カテーテルアブレーション術に関する新規な技術に想到した。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、カテーテルアブレーション術に関する新規な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は、電源装置である。この電源装置は、少なくとも1つの電極が設けられたスプラインを複数有するカテーテルに電気的に接続され、電極に電圧を印加する電源部と、各電極に電圧を順次印加していくように電源部を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本開示の他の態様は、アブレーションシステムである。このアブレーションシステムは、少なくとも1つの電極が設けられたスプラインを複数有するカテーテルと、上記態様の電源装置と、を備える。
【0008】
以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、カテーテルアブレーション術に関する新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係るアブレーションシステムの模式図である。
図2】電極アセンブリの斜視図である。
図3】各電極への電圧の印加タイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、本開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも本開示の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
図1は、実施の形態に係るアブレーションシステム1の模式図である。図1では、アブレーションシステム1の構成要素の一部を機能ブロックとして描いている。これらの機能ブロックの少なくとも一部は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現可能である。これらの機能ブロックがハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0013】
アブレーションシステム1は、患者の患部2に対して所定のアブレーションを施す。患部2としては、不整脈が生じている器官等が例示される。なお、アブレーションシステム1は、他の患部2に対するアブレーションに用いることもできる。アブレーションシステム1は、カテーテル4と、対極板6と、電源装置8とを備える。
【0014】
カテーテル4は、シャフト10と、電極アセンブリ12と、ハンドル14とを有する。シャフト10は、可撓性を有する管状体で構成され、少なくとも先端側が患者の体内に挿入される。シャフト10は、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルブロックアミド、ポリアミドといった樹脂を含む、公知の可撓性材料で構成される。シャフト10は、例えば複数のルーメンを有するマルチルーメン構造をとる。ルーメンには、導線や操作用ワイヤといった各種の細線(図示せず)や、後述するインナーチューブ22(図2参照)等が挿通される。
【0015】
シャフト10の先端には、電極アセンブリ12が設けられる。図2は、電極アセンブリ12の斜視図である。電極アセンブリ12は、複数のスプライン16と、複数の電極18とを有する。なお、図1ではスプライン16が畳まれた状態を図示し、図2ではスプライン16が展開した状態を図示している。
【0016】
各スプライン16は、シャフト10の軸方向に延びる線状体であり、シャフト10と同様の可撓性材料で構成される。図2に示す電極アセンブリ12は、一例として第1スプライン16a、第2スプライン16b、第3スプライン16c、第4スプライン16d、第5スプライン16eおよび第6スプライン16fを有するが、スプライン16は6つに限定されず複数であればよい。本開示では、第1スプライン16a~第6スプライン16fを互いに区別する必要がない場合、単に「スプライン16」と称することがある。
【0017】
各スプライン16は、シャフト10の軸周り方向に互いに間隔をあけて配置される。各スプライン16の先端は、先端チップ20に接続される。各スプライン16の基端は、シャフト10の先端からシャフト10内に挿入されてシャフト10に固定される。先端チップ20には、インナーチューブ22の先端が接続される。インナーチューブ22は、シャフト10のルーメンに通されて、基端がハンドル14に接続される。インナーチューブ22は、ハンドル14の操作によってシャフト10の先端側および基端側に進退可能である。
【0018】
各スプライン16が直線状に延びた状態でインナーチューブ22がシャフト10の基端側に引き込まれると、先端チップ20がシャフト10の基端側に変位する。これにより、各スプライン16が外側に膨らむように湾曲し、電極アセンブリ12はバスケット形状になる。各スプライン16が湾曲した状態でインナーチューブ22がシャフト10の先端側に押し出されると、先端チップ20がシャフト10の先端側に変位する。これにより、各スプライン16が直線状になり、電極アセンブリ12は畳まれる。なお「バスケット形状」とは、複数のスプライン16の形状がバスケットボールの表面にある曲線状の模様に類似していることに由来している。
【0019】
各スプライン16には、複数の電極18が設けられる。複数の電極18は、スプライン16の長手方向に互いに所定の間隔をあけて配置される。各電極18は、リング状であり、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等の電気導電性の良好な金属、あるいはその合金で構成される。図2に示す電極アセンブリ12は、一例として各スプライン16上に第1電極18a、第2電極18b、第3電極18cおよび第4電極18dを有するが、電極18の個数は4つに限定されず少なくとも1つであればよい。本開示では、第1電極18a~第4電極18dを互いに区別する必要がない場合、単に「電極18」と称することがある。
【0020】
各電極18には、導線(図示せず)の先端が接続される。導線は、シャフト10のルーメンに通されて、基端が図1に示すハンドル14のコネクタ(図示せず)に接続される。各導線には、ハンドル14のコネクタを介して電源装置8が電気的に接続される。詳細は後述するが、電源装置8によって複数の電極18に電圧が印加される。
【0021】
ハンドル14は、シャフト10の基端に設けられ、カテーテル4の使用時に体外に配置されて操作者によって把持あるいは操作される。ハンドル14は、操作者が把持する本体部と、インナーチューブ22を進退させるための操作部を有する。操作部が操作されることで、インナーチューブ22をシャフト10に対して基端側に変位させることができる。これにより、畳まれた状態にある電極アセンブリ12がシャフト10の軸と交わる方向に展開する。また、操作部が操作されることで、インナーチューブ22をシャフト10に対して先端側に変位させることができる。これにより、展開した状態にある電極アセンブリ12が畳まれる。コネクタは本体部に設けられる。なお、カテーテル4は、アブレーションの際に生理食塩水等の灌注用の流体を先端から噴射する灌注機構を有してもよい。
【0022】
対極板6は、アブレーションの際に患者の体表に装着される。また、対極板6は、電源装置8に電気的に接続される。アブレーションの際に、各電極18と対極板6とに電圧が印加されることで、アブレーションが施される。
【0023】
電源装置8は、入力部24と、電源部26と、制御部28と、表示部30とを備える。入力部24は、例えばダイヤル、ボタン、タッチパネル等で構成され、アブレーションシステム1の操作者により操作される。操作者は、入力部24を介して各種の設定値や動作を指示する信号を電源装置8に入力することができる。なお、各種の設定値は、製品の出荷時等に予め設定されて電源装置8内に保持されてもよい。設定値等を示す信号は、入力部24から制御部28に送られる。
【0024】
電源部26は、制御部28から送られる制御信号CTLに従って、電極18および対極板6にアブレーション用の電圧Voutを印加する。電源部26は、例えばスイッチングレギュレータ等の所定の電源回路で構成される。制御部28は、電源装置8全体の動作を制御するとともに、所定の演算処理を実行する。制御部28は、例えばマイクロコンピュータ等で構成される。制御部28は、制御信号CTLを電源部26に送ることで、電極18および対極板6への電圧Voutの印加を制御する。表示部30は、各種の情報を外部に対して表示する。表示部30は、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイ等で構成される。
【0025】
続いて、制御部28が実行する制御の内容について説明する。本実施の形態のアブレーションシステム1は、不可逆電気穿孔法(IRE:Irreversible electroporation)により患部2にアブレーションを施す。IREは非熱性であるため、患部2の周囲に位置する組織や神経への損傷を抑えることができる。例えば、心房細動を治療するために肺静脈解離術を施す場合、患部周囲の食道や横隔神経が損傷することを抑制することができ、食道瘻や横隔神経麻痺の併発を抑制することができる。
【0026】
IREでは、パルス電界アブレーション(PFA:Pulsed electric Field Ablation)が実施される。PFAは、各電極18と対極板6とに高電圧をかけることで生じるパルス電界によって細胞を死滅させる、つまり患部2にリージョン(lesion)を形成する、アブレーション術である。電界は、組織と組織の境界において反射する傾向にある。このため、患部を焼灼した際に、隣接する組織が損傷することを抑制することができる。
【0027】
電極アセンブリ12が血管等を介して患者の体内に挿入され、患部2に配置された状態で、制御部28は、各電極18に電圧を順次印加していくように電源部26を制御する。図3は、各電極18への電圧の印加タイミングを示す図である。一例として、制御部28は、1つのスプライン16に設けられた第1電極18a~第3電極18cに電圧を順次印加する。続いて制御部28は、別のスプライン16に設けられた第1電極18a~第3電極18cに電圧を順次印加する。制御部28は、この順次印加を繰り返して、最終的に電極アセンブリ12が有する全ての第1電極18a~第3電極18cに電圧を印加する。本実施の形態では、各スプライン16上の第4電極18dを電圧の印加対象から外している。第4電極18dは、電位計測用として、あるいはアブレーション範囲が広い場合の予備として設けられている。第4電極18dは省略することもできる。各電極18に電圧が順次印加されていることは、例えば各電極18にオシロスコープを接続することで確認することができる。
【0028】
具体的には、まず第1スプライン16a上の第1電極18a、第2電極18b、第3電極18cの順に電圧が印加される。次に、第2スプライン16b上の第1電極18a、第2電極18b、第3電極18cの順に電圧が印加される。次に、第3スプライン16c上の第1電極18a、第2電極18b、第3電極18cの順に電圧が印加される。次に、第4スプライン16d上の第1電極18a、第2電極18b、第3電極18cの順に電圧が印加される。次に、第5スプライン16e上の第1電極18a、第2電極18b、第3電極18cの順に電圧が印加される。最後に、第6スプライン16f上の第1電極18a、第2電極18b、第3電極18cの順に電圧が印加される。図3では、便宜的に第1スプライン16aの第1電極18aから第6スプライン16fの第3電極18cまでの18個の電極18に、順番に1から18まで通し番号を付している。
【0029】
本実施の形態の電源部26は、二相性パルス(双極性パルス)を生成するよう各電極18に電圧を印加する。したがって、各電極18には正電圧相パルスと負電圧相パルスとが印加され、各電極18の極性が交互に切り替わる。電圧の振幅値Amは、例えば1000V以上4000V以下である。パルス幅Δpは、例えば0.1μs以上100μs以下である。
【0030】
また、本実施の形態では、電極アセンブリ12において給電対象となる全ての電極18、つまり第1スプライン16a~第6スプライン16fにおける第1電極18a~第3電極18cへの電圧の順次印加が1周とされる。そして、制御部28は、複数周の順次印加を実行するよう電源部26を制御する。また、制御部28は、複数周の順次印加を1セットとして、電圧の順次印加を複数セット繰り返すよう電源部26を制御する。1セットにおける周数や、繰り返すセット数は、設計者による実験等に基づき適宜設定することができる。例えば、1セットにおける周数は2周以上1000周以下であり、セット数は2セット以上100セット以下である。なお、周数は1周でもよく、セット数は1セットでもよい。
【0031】
各電極18に電圧を順次印加することで、複数の電極18の全てに同時に電圧を印加する場合に比べて、各電極18によって形成できるリージョンを大きくすることができる。これは、複数の電極18の全てに一括して電圧を印加すると、電流が複数の電極18に分散して流れるため電流密度が低下するが、各電極18に電圧を順次印加すると、電流が1つの電極18に集中して電流密度が増加するためであると考えられる。
【0032】
ここで、各電極18における先行パルスと後行パルスとの間隔を間隔Aとする。また、電圧の印加順序が連続する2つの電極18において、前に電圧が印加される電極18における後行パルスと、次に電圧が印加される電極18における先行パルスとの間隔を間隔Bとする。また、前周の最後の後行パルスと次周の最初の先行パルスとの間隔を間隔Cとする。このとき、間隔Aは、一例として0.1μs以上100μs以下である。また、間隔Bは、一例として0.1μs以上5000μs以下である。また、間隔Cは、一例として0.2μs以上10000μs以下である。連続する2つのセットにおける先行セットの開始と後行セットの開始との間隔である郡間Dは、例えば0.1秒以上10秒以下である。
【0033】
本開示における間隔A~Cについて、連続する2つのパルスの間隔は、先に生成されるパルスの立ち下がりにおいてピーク値の50%になったときと、次に生成されるパルスの立ち上がりにおいてピーク値の50%になったときとを基準として規定される。ピーク値とは、電圧の振幅値Amの設定値である。郡間Dは、先行セットおよび後行セットにおける最初の先行パルスの立ち上がりにおいてピーク値の50%になったときを基準として規定される。
【0034】
制御部28は、好ましくは間隔Bが間隔Aの2倍以上となるように、より好ましくは間隔Bが間隔Aの5倍以上となるように、電源部26を制御する。また、制御部28は、好ましくは間隔Bが間隔Aの500倍以下となるように、より好ましくは間隔Bが間隔Aの50倍以下となるように、電源部26を制御する。また、制御部28は、好ましくは間隔Cが間隔Bの2倍以上となるように、電源部26を制御する。また、制御部28は、好ましくは間隔Cが間隔Bの10倍以下となるように、電源部26を制御する。このように、複数の電極18に所定の間隔をあけて電圧を順次印加することで、PFAによって患者に体動が起こることを抑制することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、1つのスプライン16上の給電対象の電極18全て(つまり第1電極18a~第3電極18c)に電圧が印加された後に、給電対象が次のスプライン16上の電極18に移行しているが、最終的に電極アセンブリ12において給電対象となる全ての電極18に電圧が印加される限り、給電の順序は限定されない。例えば、1つのスプライン16上の給電対象の電極18の一部に電圧が印加された後に、給電対象が次のスプライン16上の電極18に移行してもよい。一例として、各スプライン16上の第1電極18aに電圧が順次印加された後に、各スプライン16上の第2スプライン16bに電圧が順次印加され、最後に各スプライン16上の第3スプライン16cに電圧が順次印加されてもよい。
【0036】
また、各スプライン16上の第1電極18a~第3電極18cに対する給電順序は限定されない。スプライン16毎に第1電極18a~第3電極18cへの給電順序が異なっていてもよい。また、第1スプライン16a~第6スプライン16fに対する給電順序も限定されない。さらに、一部のスプライン16は、給電対象から外してもよい。電源部26は、単相性パルスを生成するよう各電極18に電圧を印加してもよい。スプライン16および電極18の形状や数も限定されない。
【0037】
また、カテーテル4や電源装置8の構成は、適宜変更可能である。例えば、カテーテル4は、ハンドル14の操作によってシャフト10の先端側が一方向または多方向に湾曲可能であってもよい。制御部28による電源部26の制御は、ハードウェア(回路)で実現されてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で実現されてもよい。ソフトウェアで実現される場合、ソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、コンピュータに予め組み込まれてもよいし、ネットワークや記録媒体からコンピュータにインストールされてもよい。
【0038】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された本開示の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。各実施の形態に含まれる構成要素の任意の組み合わせも、本開示の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0039】
実施の形態は、以下に記載する項目によって特定されてもよい。
[第1項目]
少なくとも1つの電極(18)が設けられたスプライン(16)を複数有するカテーテル(4)に電気的に接続され、電極(18)に電圧を印加する電源部(26)と、
各電極(18)に電圧を順次印加していくように電源部(26)を制御する制御部(28)と、を備える、
電源装置(8)。
[第2項目]
制御部(28)は、給電対象となる全ての電極(18)への電圧の順次印加を1周として、複数周の順次印加を実行するよう電源部(26)を制御する、
第1項目に記載の電源装置(8)。
[第3項目]
電源部(26)は、二相性パルスを生成するよう各電極(18)に電圧を印加し、
各電極(18)における先行パルスと後行パルスとの間隔を間隔Aとし、
前に電圧が印加される電極(18)における後行パルスと、次に電圧が印加される電極(18)における先行パルスとの間隔を間隔Bとするとき、
制御部(28)は、間隔Bが間隔Aの2倍以上となるように電源部(26)を制御する、
第2項目に記載の電源装置(8)。
[第4項目]
前周の最後の後行パルスと次周の最初の先行パルスとの間隔を間隔Cとするとき、
制御部(28)は、間隔Cが間隔Bの2倍以上となるように電源部(26)を制御する、
第2項目または第3項目に記載の電源装置(8)。
[第5項目]
少なくとも1つの電極(18)が設けられたスプライン(16)を複数有するカテーテル(4)と、
第1項目乃至第4項目のいずれかに記載の電源装置(8)と、を備える、
アブレーションシステム(1)。
【符号の説明】
【0040】
1 アブレーションシステム、 4 カテーテル、 8 電源装置、 10 シャフト、 12 電極アセンブリ、 16 スプライン、 18 電極、 26 電源部、 28 制御部。
図1
図2
図3