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特開2025-5016オンラインレッスンシステム、オンラインレッスン提供装置、オンラインレッスン提供方法、コンピュータプログラム及びリストバンド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005016
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】オンラインレッスンシステム、オンラインレッスン提供装置、オンラインレッスン提供方法、コンピュータプログラム及びリストバンド
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20250108BHJP
   A63B 69/36 20060101ALI20250108BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20250108BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20250108BHJP
【FI】
A63B69/00 A
A63B69/36 541P
A63B71/06 U
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104997
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】501270287
【氏名又は名称】帝人フロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100163902
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 奈月
(72)【発明者】
【氏名】小梶 太士
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】講師と生徒間にて技能の上達に向けたレッスンを遠隔で可能なオンラインレッスンシステムを提供する。
【解決手段】第1端末と、第2端末とオンラインレッスン提供装置とが接続されるオンラインレッスンシステムであって、第1端末は、ユーザの動作を示すセンサ信号をオンラインレッスン提供装置に送信し、映像をディスプレイに表示し、第1のユーザの音声を送信し、受信する音声を出力し、第2端末は、映像をディスプレイに表示し、第2のユーザの音声をオンラインレッスン提供装置に送信し、受信する音声をスピーカに出力し、オンラインレッスン提供装置は、第1端末から送信されたセンサ信号を利用して、第1のユーザの動作を表す三次元映像であるモーションデータを生成し、モーションデータを第1端末と第2端末とに送信し、モーションデータの表示のタイミングで、第1のユーザと第2のユーザとの会話を成立させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンラインレッスンの生徒である第1のユーザによって利用され、演算回路、ディスプレイ、マイク及びスピーカを有する第1端末と、
前記オンラインレッスンの講師である第2のユーザによって利用され、演算回路、ディスプレイ、マイク及びスピーカを有する第2端末と、
演算回路を備え、モーションデータを生成するオンラインレッスン提供装置と
が接続されるオンラインレッスンシステムであって、
前記第1端末の演算回路は、
前記第1のユーザの所定位置に取り付けられたセンサによって検出された前記ユーザの前記オンラインレッスンの対象である動作を示すセンサ信号を受け付け、
前記センサ信号を前記オンラインレッスン提供装置に送信し、
前記オンラインレッスン提供装置から受信する映像を前記第1端末のディスプレイに表示し、
前記第1端末のマイクを介して取得する前記第1のユーザの音声を前記オンラインレッスン提供装置に送信し、
前記オンラインレッスン提供装置から受信する音声を前記第1端末のスピーカに出力し、
前記第2端末の演算回路は、
前記オンラインレッスン提供装置から受信する映像を前記第2端末のディスプレイに表示し、
前記第2端末のマイクを介して取得する前記第2のユーザの音声を前記オンラインレッスン提供装置に送信し、
前記オンラインレッスン提供装置から受信する音声を前記第2端末のスピーカに出力し、
前記オンラインレッスン提供装置の演算回路は、
前記第1端末から送信された、前記センサ信号を受け付け、
前記センサ信号を利用して、前記第1のユーザの動作を表す三次元映像である前記モーションデータを生成し、
前記モーションデータを、前記第1端末と前記第2端末とに送信し、
前記モーションデータの表示のタイミングで、前記第1端末から受信する音声を前記第2端末に送信し、前記第2端末から受信する音声を前記第1端末に送信して、前記第1のユーザと前記第2のユーザとの会話を成立させる、
オンラインレッスンシステム。
【請求項2】
オンラインレッスンの生徒である第1のユーザによって利用され、受信する映像を表示するディスプレイ、前記第1のユーザの音声を取得するマイク及び受信する音声を出力するスピーカを有する第1端末と、前記オンラインレッスンの講師である第2のユーザによって利用され、受信する映像を表示するディスプレイ、前記第2のユーザの音声を取得するマイク及び受信する音声を出力するスピーカを有する第2端末と接続され、演算回路を備えるオンラインレッスン提供装置であって、
前記演算回路は、
前記第1端末から送信された、前記第1のユーザの所定位置に取り付けられたセンサによって検出された前記ユーザの前記オンラインレッスンの対象である動作を示すセンサ信号を受け付け、
前記センサ信号を利用して、前記第1のユーザの動作を表す三次元映像であるモーションデータを生成し、
前記モーションデータを、前記第1端末及び前記第2端末に送信し、
前記モーションデータが前記第1端末のディスプレイ及び前記第2端末のディスプレイに表示されるタイミングで、前記第1端末から前記第1端末のマイクを介して取得された音声を受信すると前記第2端末に送信し、前記第2端末から前記第2端末のマイクを介して取得された音声を受信すると前記第1端末に送信し、前記第1のユーザと前記第2のユーザとの会話を成立させる
オンラインレッスン提供装置。
【請求項3】
前記演算回路は、
前記第1端末から送信された、前記第1のユーザの動作を撮影した映像を受け付け、
前記映像を対応する前記モーションデータと関連付けて、前記第1端末と前記第2端末とに送信する、
請求項2に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項4】
前記センサ信号は、
前記第1のユーザの背中に沿って取り付けられる第1センサ、腰に沿って取り付けられる第2センサ、ユーザの少なくとも一方の手首又は手の甲に沿って取り付けられる第3センサを含む複数のセンサによって検出された信号である
請求項2に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項5】
前記第1センサは胸椎に沿って取り付けられ、
前記第2センサは仙骨に沿って取り付けられる
請求項4に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項6】
前記オンラインレッスンの一連の動作は、所定順序の複数の段階に表すことが可能であって、
前記第3センサで検出された信号は、前記ユーザの動作を加速度及び角速度で示す信号であって、
前記演算回路は、
前記複数の段階のそれぞれにおける手首の状態を示す前記センサ信号の範囲が予め関連づけられる分類データを記憶する記憶装置にアクセス可能であり、
前記分類データを参照し、前記第3センサで検出された前記センサ信号が、いずれの段階であるかを分類し、
前記モーションデータに、分類された段階を関連付けて、前記第1端末と前記第2端末とに送信する
請求項4に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項7】
前記演算回路は、
前記段階の動作毎にモーションデータを生成し、
前記段階毎のモーションデータを、前記第1端末と前記第2端末とに送信する
請求項6に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項8】
前記演算回路は、
少なくとも、前記第1センサ及び前記第2センサで検出された信号に基づいて、前記第1のユーザを示すアバターを含む前記モーションデータを生成する
請求項5に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項9】
前記第1センサ及び前記第2センサで検出された信号は、前記第1のユーザの動作を四次元数で示す信号であって、
前記演算回路は、
前記第1センサによって検出された前記センサ信号から求められる胸椎の水平軸及び胸椎の正中線と、前記第2センサによって検出された前記センサ信号から求められる仙骨の水平軸及び仙骨の正中線と、を前記アバターに追加して示すモーションデータを生成する
請求項8に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項10】
前記演算回路は、
前記胸椎の水平軸の傾きを表す値と、前記仙骨の傾きを表す値を関連付けたモーションデータを生成する
請求項9に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項11】
前記演算回路は、
前記ユーザの胸椎の正中線を中心とした胸椎の回旋角度と、前記ユーザの仙骨の正中線を中心とした仙骨の回旋角度とを関連付けたモーションデータを生成する
請求項9に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項12】
前記演算回路は、
理想的な動作から予め求められた、胸椎の基準水平軸と、胸椎の基準正中線と、仙骨の基準水平軸と、仙骨の基準正中線とを含む基準データを記憶する記憶装置にアクセス可能であり、
前記基準データを参照し、前記胸椎の基準水平軸と前記胸椎の水平軸、前記胸椎の基準正中線と前記胸椎の正中線、前記仙骨の基準水平軸と前記仙骨の水平軸、及び、前記仙骨の基準正中線と前記仙骨の正中線のそれぞれのコサイン類似度に基づいて前記第1のユーザの動作のスコアを求め、
求めた前記スコアを関連付けたモーションデータを生成する
請求項11に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項13】
前記演算回路は、
前記第1端末又は前記第2端末から、前記アバターを表す角度を変更するリクエスト信号を受け付け、
前記リクエスト信号でリクエストされた角度で、前記アバターを表すように前記モーションデータを変更したモーションデータを生成する
前記第1端末と前記第2端末とに送信する
請求項8に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項14】
前記オンラインレッスン提供装置は記憶装置を備え、
前記演算回路は、
生成した前記モーションデータを前記記憶装置に記憶させ、
前記第1端末又は前記第2端末から、複数のフレームで構成される一連の前記モーションデータのうち一部の表示をリクエストするリクエスト信号を受け付け、
前記リクエスト信号でリクエストされた一部の前記モーションデータを、前記第1端末と前記第2端末とに送信する
請求項2に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項15】
前記オンラインレッスン提供装置は、記憶装置を備え、
前記演算回路は、
生成した前記モーションデータを前記記憶装置に記憶させ、
前記第1端末又は前記第2端末から、前記モーションデータの表示速度を変更した表示をリクエストするリクエスト信号を受け付け、
前記リクエスト信号でリクエストされた速度で表示させるようにモーションデータを、前記第1端末と前記第2端末とに送信する
請求項2に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項16】
改善が必要な所定の動作を示す前記センサ信号の範囲と、前記動作を改善に導く指導内容とを関連付ける指導データを記憶する記憶装置にアクセス可能であり、
前記指導データを参照し、前記センサ信号に応じた指導内容を抽出し、
前記モーションデータに、前記指導内容を関連付けて、少なくとも第1端末に送信する
請求項2に記載のオンラインレッスン提供装置。
【請求項17】
オンラインレッスンの生徒である第1のユーザによって利用され、受信する映像を表示するディスプレイ、前記第1のユーザの音声を取得するマイク及び受信する音声を出力するスピーカを有する第1端末と、前記オンラインレッスンの講師である第2のユーザによって利用され、受信する映像を表示するディスプレイ、前記第2のユーザの音声を取得するマイク及び受信する音声を出力するスピーカを有する第2端末と接続され、演算回路を備えるオンラインレッスン提供装置で実施されるオンラインレッスン提供方法であって、
前記演算回路に、
前記第1端末から送信された、前記第1のユーザの所定位置に取り付けられたセンサによって検出された前記ユーザの前記オンラインレッスンの対象である動作を示すセンサ信号を受信すると、前記センサ信号を利用して、前記第1のユーザの動作を表す三次元映像であるモーションデータを生成させ、
前記モーションデータを、前記第1端末及び前記第2端末に送信させ、
前記モーションデータが前記第1端末のディスプレイ及び前記第2端末のディスプレイに表示されるタイミングで、前記第1端末から前記第1端末のマイクを介して取得された音声を受信すると前記第2端末に送信させ、前記第2端末から前記第2端末のマイクを介して取得された音声を受信すると前記第1端末に送信させ、前記第1のユーザと前記第2のユーザとの会話を成立させる
オンラインレッスン提供方法。
【請求項18】
コンピュータに、請求項17に記載のオンラインレッスン提供方法を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項1のオンラインレッスンシステムで前記第1のユーザの手首又は手の甲に着用されるリストバンドであって
単繊維径が50~3000nmの極細繊維を含む布帛を含み
一部に前記センサが取り付けられる
リストバンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、技能の上達に向けた遠隔でのレッスンを可能とするオンラインレッスンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフのオンラインレッスン方法として、生徒のスイング動画をサーバ経由で送信し、講師が音声によるアドバイスを行う遠隔レッスンがある(例えば、特許文献1参照)。また、センサで取得されたセンサ情報を用いて生成されたフィードバック情報を、サーバ経由で講師(トレーナー)の端末と生徒の端末間で送受信し、表示するアプリケーション内に搭載されたチャット機能等を用いてアドバイスを行う遠隔レッスンがある。(例えば、特許文献2参照)
【0003】
しかしながら、スイング動画のみでは、服装や体形によっては、生徒の体軸などのモーションを把握することが困難である。また、遠隔地からでは講師は生徒に正しいフォームを伝えにくい場合があった。したがって、遠隔地からのレッスンは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-255329号公報
【特許文献2】WO18/220948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は上記の背景に鑑み、遠隔である場合においても生徒と講師が対面する場合と同等のレッスンをリアルタイムで実現することができるオンラインレッスンシステム、オンラインレッスン提供装置、オンラインレッスン提供方法、コンピュータプログラム及びリストバンドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
オンラインレッスンの生徒である第1のユーザによって利用され、演算回路、ディスプレイ、マイク及びスピーカを有する第1端末と、前記オンラインレッスンの講師である第2のユーザによって利用され、演算回路、ディスプレイ、マイク及びスピーカを有する第2端末と、演算回路を備え、モーションデータを生成するオンラインレッスン提供装置と
が接続されるオンラインレッスンシステムであって、前記第1端末の演算回路は、前記第1のユーザの所定位置に取り付けられたセンサによって検出された前記ユーザの前記オンラインレッスンの対象である動作を四次元数で示すセンサ信号を受け付け、前記センサ信号を前記オンラインレッスン提供装置に送信し、前記オンラインレッスン提供装置から受信する映像を前記第1端末のディスプレイに表示し、前記第1端末のマイクを介して取得する前記第1のユーザの音声を前記オンラインレッスン提供装置に送信し、前記オンラインレッスン提供装置から受信する音声を前記第1端末のスピーカに出力し、前記第2端末の演算回路は、前記オンラインレッスン提供装置から受信する映像を前記第2端末のディスプレイに表示し、前記第2端末のマイクを介して取得する前記第2のユーザの音声を前記オンラインレッスン提供装置に送信し、前記オンラインレッスン提供装置から受信する音声を前記第2端末のスピーカに出力し、前記オンラインレッスン提供装置の演算回路は、前記第1端末から送信された、前記センサ信号を受け付け、前記センサ信号を利用して、前記第1のユーザの動作を表す三次元映像である前記モーションデータを生成し、前記モーションデータを、前記第1端末と前記第2端末とに送信し、前記モーションデータの表示のタイミングで、前記第1端末から受信する音声を前記第2端末に送信し、前記第2端末から受信する音声を前記第1端末に送信して、前記第1のユーザと前記第2のユーザとの会話を成立させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、遠隔である場合においても対面の場合と同等のレッスンをリアルタイムで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係るオンラインレッスンシステムの構成を示す概略図である。
図2】本開示に係るオンラインレッスンシステムでセンサが取り付けられるユーザの各部を示す模式図である。
図3】本開示に係るオンラインレッスン提供装置の構成を示すブロック図である。
図4A】第1端末の構成を示すブロック図である。
図4B】第2端末の構成を示すブロック図である。
図5A】オンラインレッスン提供装置で生成されるモーションデータと映像とを連動させて表示させる一例を示す。
図5B】オンラインレッスン提供装置で生成されるモーションデータの一例を示す。
図6A】オンラインレッスン提供装置で生成されるモーションデータの他の例を示す。
図6B図6Aのモーションデータで表示のフェーズを選択した一例を示す。
図6C図6Aのモーションデータを他の方向から表す一例を示す。
図6D図6Aのモーションデータを他の方向から表す他の例を示す。
図6E図6Aのモーションデータを他の方向から表すさらに他の例を示す。
図7】オンラインレッスンシステムにおける処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本開示に係るオンラインレッスンシステム及びオンラインレッスン提供装置について説明する。本開示に係るオンラインレッスンシステムは、生徒がスポーツ等の特定の動作に関するレッスンをリアルタイムにオンラインで受講する際に利用可能なシステムである。具体的には、オンラインレッスンシステムは、生徒の動作についてモーションデータを生成し、別々の場所にいる生徒と講師とが、モーションデータを確認しながら各々の端末を利用してコミュニケーションを図ることにより、オンラインでのレッスンの受講が実現する。以下の説明において、生徒は講師からゴルフのスイングのフォームについて指導を受ける一例で説明するが、ゴルフのスイングのレッスンに限定されない。例えば、本開示のオンラインレッスンシステムでは、ゴルフの他、ダンス、弓道、アーチェリー、野球、テニス、卓球、水泳、陸上競技、体操競技、ヨガ、ピラティス等、理想のフォームが求められる種々のスポーツを対象とすることができる。また、スポーツに限定されず熟練労働や作業標準のある動作、伝統技能、(例えば、舞踊、演舞、能)の動作の体得やリハビリテーションや日常の動作など幅広く適用されうる。
【0010】
オンラインレッスンの一連の動作は、所定順序の複数の段階(フェーズ)に表すことが可能である。以下の説明では、ゴルフのスイングのフォームを、「アドレス」、「テイクバック」、「ダウンスイング」、「インパクト」、「フォロースルー」の5つの段階に表す例で説明するが、これに限定されない。
【0011】
以下の説明において、「モーションデータ」は、ユーザである人間の動作(モーション)を表す3次元映像であるとする。
【0012】
また、「モーションキャプチャ」は、ユーザである人間の動作を測定し、モーションデータとしてコンピュータに取り込むことをいう。具体的には、本開示のオンラインレッスンシステムでは、ユーザの所定箇所に取り付けられたセンサで検出されるセンサ信号を利用する手法でモーションデータを取得する例で説明する。
【0013】
〈オンラインレッスンシステム〉
図1に示すように、本開示のオンラインレッスンシステム1は、モーションデータを生成するオンラインレッスン提供装置10と、オンラインレッスンの生徒である第1のユーザによって利用される第1端末20Aと、講師である第2のユーザによって利用される第2端末20Bとがネットワーク40を介して接続される。オンラインレッスンシステム1では、第1端末20Aが、図2の模式図で示すように、生徒の所定位置に取り付けられた複数のセンサ30(30A~30C)によって検出されたセンサ信号をオンラインレッスン提供装置10に送信する。オンラインレッスン提供装置10は、受信するセンサ信号を利用してモーションデータを生成する。また、オンラインレッスン提供装置10は、生成したモーションデータを第1端末20A及び第2端末20Bに送信する。本開示のオンラインレッスンシステム1では、生徒は、複数のセンサ30が取り付けられたウエアを着用する例で説明する。以下の説明では、複数のセンサは、第1のユーザの背中に沿って取り付けられる第1センサ30A、腰に沿って取り付けられる第2センサ30B、ユーザの少なくとも一方の手首又は手の甲に沿って取り付けられる第3センサ30Cを含む例で説明する。なお、以下の説明では、第3センサ30Cは、手首に沿って取り付けられる一例で説明する。
【0014】
《オンラインレッスン提供装置》
図3を用いて、オンラインレッスン提供装置10について説明する。例えば、オンラインレッスン提供装置10は、図3に示すように、演算回路11、記憶装置12及び通信回路13を備えるサーバ等の情報処理装置である。
【0015】
演算回路11は、オンラインレッスン提供装置10全体の制御を司るコントローラである。演算回路11は、記憶装置12に記憶されるコンピュータプログラムP1を実行することにより各種の処理を実行する。また、演算回路11は、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。演算回路11は、CPU、MPU、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサであってもよい。
【0016】
記憶装置12は、種々の情報を記録する記憶媒体である。記憶装置12は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶装置12は、例えば、分類データD11、基準データD12、指導データD13等、種々のデータを予め記憶することができる。また、記憶装置12は、オンラインレッスンの提供の処理において各端末20A,20Bから受信する種々のデータ又は演算回路11で生成された種々のデータを記憶することができる。
【0017】
分類データD11は、ゴルフのスイングのフォームの複数の段階のそれぞれにおける手首の状態を示すセンサ信号の範囲が予め関連づけられる。本開示の例では、上述したゴルフのスイングのフォームを表す「アドレス」、「テイクバック」、「ダウンスイング」、「インパクト」、「フォロースルー」の各段階について、手首の状態を表す加速度及び角速度の範囲を関連付ける。これにより、第3センサ30Cで検出されるセンサ信号と対応させ、センサ信号と関連付けられる各時刻においてどの状態であったかを求めることができる。
【0018】
基準データD12は、理想的な動作から求められた、胸椎の基準水平軸と、胸椎の基準正中線と、仙骨の基準水平軸と、仙骨の基準正中線とを含む。胸椎の基準水平軸は、理想的な胸椎の水平軸である。また、胸椎の基準正中線は、理想的な胸椎の正中線である。仙骨の基準水平軸は、理想的な仙骨の水平軸である。また、仙骨の基準正中線は、理想的な仙骨の正中線である。ここでは、水平軸は、胸椎又は仙骨を基準として体の左右方向を表す線分である。また、正中線は、胸椎又は仙骨を基準として体の上下方向を表す線分である。なお、水平軸及び正中線については、図5Bを用いて後述する。本開示の例では、基準データD12は、アドレス、テイクバック、ダウンスイング、インパクト、フォロースルーのゴルフのスイングのフォームの各段階についての、胸椎の基準水平軸、胸椎の基準正中線、仙骨の基準水平軸及び仙骨の基準正中線を含む。ここで、胸椎の水平軸及び胸椎の正中線は、第1センサ30Aのセンサ信号から求めることができる。また、仙骨の水平軸及び仙骨の正中線は、第2センサ30Bのセンサ信号から求めることができる。これら胸椎の水平軸及び正中線を、胸椎の基準水平軸及び基準正中線と比較し、仙骨の水平軸及び正中線を、仙骨の基準水平軸及び基準正中線と比較し、理想的なフォームとの差を把握することができる。例えば、この基準データD12は、講師自身のゴルフのスイングの動作に応じて求められたデータであってもよい。
【0019】
指導データD13は、改善が必要な所定の動作を示すセンサ信号の範囲と、動作を改善に導く指導内容とを関連付ける。または、ここで、改善が必要な所定の動作を示すセンサ信号の範囲には、センサ信号から導くことのできる動作の状態を含むことができる。例えば、センサ信号自体でなくて、センサ信号から基準データD12に従って導くことのできる胸椎又は仙骨の水平軸及び正中線であってもよい。センサ信号の状態から、生徒の運動の状態を把握することができる。したがって、指導データD13は、改善が必要な生徒の状態を示すセンサ信号に、そのような状態の生徒に現在の問題を解決するための情報を関連付ける。
【0020】
通信回路13は、第1端末20Aや第2端末20B等の外部の装置とのデータ通信を可能とするための通信手段である。データ通信は、ネットワーク40を介して無線及び/又は有線による公知の通信規格にしたがって行われ得る。例えば、有線によるデータ通信は、イーサネット(登録商標)規格、及び/又はUSB(登録商標)規格等に準拠して動作する半導体集積回路の通信コントローラを通信回路13として用いることによって行われる。また無線によるデータ通信は、LAN(Local Area Network)に関するIEEE802.11規格、及び/又は移動体通信に関する、いわゆる4G/5Gと呼ばれる、第4世代/第5世代移動通信システム等に準拠して動作する半導体集積回路の通信コントローラを通信回路13として用いることによって行われる。
【0021】
また、オンラインレッスン提供装置10は、図3に示すように、オペレータに操作される操作ボタン、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクロフォン等の入力装置14を備えてもよい。さらに、オンラインレッスン提供装置10は、図3に示すように、処理結果やデータの出力に利用されるディスプレイ、スピーカ等の出力装置15を備えてもよい。
【0022】
演算回路11は、第1端末20Aから送信された、第1のユーザの所定位置に取り付けられたセンサによって検出されたセンサ信号を、通信回路13を介して受け付ける。演算回路11は、受け付けたセンサ信号D14を記憶装置12に記憶させてもよい。ここで、受け付けたセンサ信号は、センサ信号の検出時刻を含む。
【0023】
演算回路11は、第1端末20Aから送信された、第1のユーザの動作を撮影した映像を、通信回路13を介して受け付ける。演算回路11は、受け付けた映像D15を記憶装置12に記憶させてもよい。ここで、受け付けた映像は、映像の撮影時刻を含む。
【0024】
演算回路11は、センサ信号D14を用いて、モーションデータD16を生成する。演算回路21は、生成したモーションデータD16を記憶装置12に記憶させてもよい。このモーションデータD16は、センサ信号D14で含まれる検出時刻を含む。また、生成したモーションデータD16を、通信回路13を介して、第1端末20A及び第2端末20Bに送信する。このとき、演算回路11は、モーションデータD16とともに、対応する映像D15を、第1端末20A及び第2端末20Bに送信してもよい。
【0025】
演算回路11は、第1端末20Aから受信する音声を第2端末20Bに送信する。また、演算回路11は、第2端末20Bから受信する音声を第1端末20Aに送信する。これにより、演算回路11は、第1のユーザと第2のユーザとの会話を成立させる。
【0026】
《第1端末》
図4Aを用いて、第1端末20Aについて説明する。例えば、第1端末20Aは、図4Aに示すように、演算回路21、記憶装置22、入力装置23、出力装置24及び通信回路25を備えるタブレット端末やパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。
【0027】
演算回路21は、第1端末20A全体の制御を司るコントローラである。演算回路21は、記憶装置22に記憶されるコンピュータプログラムP2を実行することにより各種の処理を実行する。また、演算回路21は、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。演算回路21は、CPU、MPU、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサであってもよい。
【0028】
記憶装置22は、種々の情報を記録する記憶媒体である。記憶装置22は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶装置22は、コンピュータプログラムP2とともに、センサ信号D21、映像D22等が格納され得る。また、記憶装置22は、情報の取得や処理の過程で利用される種々のデータを記憶し得る。
【0029】
入力装置23は、カメラ231及びマイクロフォン(マイク)232を含むことができる。また、入力装置23は、オペレータに操作される操作ボタン、キーボード、マウス、タッチパネル等を含むことができる。出力装置24は、処理結果やデータの出力に利用されるディスプレイ241及びスピーカ242を含むことができる。
【0030】
通信回路25は、オンラインレッスン提供装置10や第2端末20B等の外部の装置とのデータ通信を可能とする。通信回路25は、上述した通信回路13と同一の通信規格にしたがって行われ得る。また、通信回路25は、接続されるセンサ30から送信されるセンサ信号を受信し得る。
【0031】
センサ信号D21は、各センサ30で検出されたセンサ信号であり、センサ信号を検出した検出時刻を含む。
【0032】
映像D22は、生徒である第1のユーザのゴルフのフォームを撮影した映像であり、映像を撮影した撮影時刻を含む。
【0033】
演算回路21は、オンラインレッスンが開始すると、通信回路25を介して、第1のユーザに取り付けられた複数のセンサ30からセンサ信号を取得する。このセンサ信号は、センサ信号の検出時刻を含む。演算回路21は、記憶装置22に、取得したセンサ信号を記憶させる。
【0034】
演算回路21は、オンラインレッスンが開始すると、カメラ231を介して、第1のユーザのゴルフのフォームの映像を撮影する。この映像は、映像の撮影時刻を含む。演算回路21は、記憶装置22に、撮影した映像を記憶させる。
【0035】
演算回路21は、センサ信号と、映像とを、通信回路25を介してオンラインレッスン提供装置10に送信する。ここで、演算回路21は、第1センサ30Aのセンサ信号として、クォータニオン情報のみを送信すれば足りる。また、演算回路21は、第2センサ30Bのセンサ信号として、四次元数で表すクォータニオン情報のみを送信すれば足りる。さらに、第3センサ30Cのセンサ信号として、x軸、y軸、z軸の加速度と、x軸、y軸、z軸の角速度のみを送信すれば足りる。
【0036】
演算回路21は、センサ信号D21に対してオンラインレッスン提供装置10で生成され、通信回路25を介して受信したモーションデータを、ディスプレイ241に表示させる。例えば、演算回路21は、図5A乃至図6Eを用いて後述するようなモーションデータをディスプレイ241に表示させる。
【0037】
演算回路21は、マイク232を介して入力される第1のユーザの音声を、通信回路25を介してオンラインレッスン提供装置10に送信する。また、演算回路21は、通信回路25を介してオンラインレッスン提供装置10から受信した第2のユーザの音声を、スピーカ242を介して出力する。これにより、生徒である第1のユーザと、講師である第2のユーザとのリアルタイムでの会話を実現することができる。
【0038】
演算回路21は、生徒の操作に応じて、入力装置23を介して、モーションデータの一部分を表示するリクエスト信号や、モーションデータの表示速度を変更するリクエスト信号、アバターを表示する際の方向を変更するリクエスト信号等を受け付けることができる。また、演算回路21は、これらのリクエスト信号を、通信回路25を介してオンラインレッスン提供装置10に送信することができる。
【0039】
このように、第1端末20Aは、オンラインレッスン提供装置10を介して第2端末20Bとの通信を可能として、リアルタイム性の高いオンラインレッスンを実現することができる。
【0040】
《第2端末》
図4Bに示すように、第2端末20Bは、図4Aを用いて上述した第1端末20Aと同一の構成である。ここでは、記憶装置22にコンピュータプログラムP2が記憶される情報処理装置が、生徒に利用されることで第1端末20Aとなり、講師に利用されることで第2端末20Bとなる例で説明する。第2端末20Bは第1端末20Aと同一の構成であるが、第2端末20Bは第2ユーザに利用されるため、第1ユーザに利用される第1端末20Aとは異なる処理が実行される。なお、生徒に利用される第1端末20Aを実行するコンピュータプログラムと、講師に利用されるコンピュータプログラムとは異なっていてもよい。
【0041】
演算回路21は、オンラインレッスン提供装置10で生成され、通信回路25を介して受信したモーションデータを、ディスプレイ241に表示させる。第2端末20Bのディスプレイ241で表示されるモーションデータは、第1端末20Aのディスプレイ241に表示されるモーションデータと同一である。
【0042】
演算回路21は、マイク232を介して入力される第2のユーザの音声を、通信回路25を介してオンラインレッスン提供装置10に送信する。また、演算回路21は、通信回路25を介してオンラインレッスン提供装置10から受信した第1のユーザの音声を、スピーカ242を介して出力する。これにより、生徒である第1のユーザと、講師である第2のユーザとのリアルタイムでの会話を実現することができる。
【0043】
演算回路21は、講師の操作に応じて、入力装置23を介して、モーションデータの一部分を表示するリクエスト信号や、モーションデータの表示速度を変更するリクエスト信号、アバターを表示する際の方向を変更するリクエスト信号等を受け付けることができる。また、演算回路21は、これらのリクエスト信号を、通信回路25を介してオンラインレッスン提供装置10に送信することができる。
【0044】
このように、第2端末20Bは、オンラインレッスン提供装置10を介して第1端末20Aとの通信を可能として、リアルタイム性の高いオンラインレッスンを実現することができる。
【0045】
《ウエア》
第1のユーザが着用し、センサ30が取り付けられるウエアは、衣服の他、リストバンドのような身体装着品であり得る。図2を用いて上述したように、複数のセンサ30を使用する場合、上半身に着用する衣服である第1のウエアと、手首又は手の甲に着用する第2のウエアとの両方を装着してもよい。その際、第1のウエアである第1のユーザの上半身に身に着ける衣服は、例えば、ベスト型の衣料であり得る。また、第2のウェアは、ユーザの手首又は手の甲に着用されるリストバンドでありうる。
【0046】
例えば、第1のウエアのユーザによる着用時のユーザの背中部及び腰部にセンサ30が取り付けられていてもよい。より具体的には、着用時のユーザの胸椎に沿った位置及び仙骨に沿った位置にセンサ30が取り付けられていてもよい。これにより、第1のユーザの身体の主軸の動作を検出することができる。また、第1のユーザの主軸の動作を検出することで、第2のユーザは、第1のユーザのフォームの指導をしやすくなる。
【0047】
第1のウエアは、例えば、ウエアが外気側生地と肌側生地とを有していてもよい。例えば、外気側生地と肌側生地との間にセンサが設置される。また、前記肌側生地がパワーネットからなるものでもよい。具体的には、前記肌側生地は、総繊度300~800dtex、フィラメント数5~40本のナイロン繊維とポリウレタン繊維を用いてなるパワーネットであってもよい。または、前記肌側生地は、経編組織を有するパワーネットであってもよい。前記肌側生地において、前記外気側生地側にポケットを有し、該ポケットにセンサを挿入可能に構成されてもよい。例えば、第1のウエアには、胸椎に沿った位置及び仙骨に沿った位置に複数のポケットが設けられ、着用するユーザ毎に、最適な位置ポケットにセンサが挿入可能な構成であってもよい。また、前記ポケットに配されたセンサが面ファスナーにより前記ポケット内で固定されてもよい。または、前記肌側生地がバックル付きベルトを有していてもよい。さらに、身体の動きをより精度よく計測するために極細繊維が滑り止めとして使用されていてもよい。
【0048】
第2のウエアの形状は限定されないが、ユーザの手首又は手の甲にずれることなく固定可能であることが好ましい。例えば、手の中指を正中線とし、その正中線上とすることで、安定した結果を得ることができる。また、手の甲は、スイングに支障がなく、かつ、スイングにおける回旋を反映した結果を得ることができる。したがって、センサが手の甲に沿って配置されることで、より安定性した計測結果を得ることができる。ユーザの手首又は手の甲に沿って配置されたセンサのセンサ信号を利用することで、ユーザの手首の状態を把握することが可能となる。例えば、第2のウエアの一部に単繊維径が50~3000nmの極細繊維を含む布帛を含んでもよい。前記第2のウエアは、例えば、特開2009-285144号公報に記載されているような単繊維径が1000nm以下のフィラメント糸Aを含む布帛aと、立毛布帛bとで構成される面ファスナーを含んでもよい。また、第2のウエアは、これにより、センサのずれを防止するのみならず、汗や雨でのずれを防止することができる。
【0049】
上述したように第1のウエア及び第2のウエアに取り付けた複数のセンサ30のセンサ信号を利用してユーザの動作を解析することにより、複数のセンサ30が取り付けられたユーザの各部位の動作の状態を連動して分析することができ、各動作状態におけるユーザの姿勢を精度よく判別することができる。
【0050】
なお、ここでは、複数のセンサ30は、第1のユーザが着用するウエアの少なくとも1つの所定の位置に取り付けられる例で説明したが、これに限定されない。例えば、第1のユーザの所定の位置に直接取り付けることが可能であるとき、ウエアを介さず、第1のユーザに直接取り付けてもよい。また、これらの態様を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
《センサ》
センサ30は、例えば、モーションセンサである。具体的には、センサは、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ等の慣性センサ(量子慣性センサを含む。)、光学式センサ、機械式センサ、磁気式センサ、画像式センサ等であり得る。センサの種類は限定されないが、慣性センサが好ましい。例えば、特開2019-88469号公報に記載されているような、3軸方向の加速度と、3軸回りの角速度と、3軸方向の向きを検知することのできるセンサが好ましい。
【0052】
本開示に係るオンラインレッスンシステムでは、上述したように、第1のユーザの背中に取り付けられる第1センサ30Aと、腰に取り付けられる第2センサ30Bと、手首又は手の甲に取り付けられる第3センサ30Cとを少なくとも含む。ここで、第1センサ30A及び第2センサ30Bは、少なくとも3軸の方向と角度を四次元数で表すクォータニオン情報のみをセンサ信号として検出することができれば足りる。クォータニオン情報は、3つの方向ベクトルに加え、回転量を表現する情報である。したがって、クォータニオン情報を利用することで、実施例1において後述するように、第1のユーザの背中の回転と腰の回転を表すことができる。第1センサ30A及び第2センサ30Bのセンサ信号を利用して、第1のユーザのモーションデータを生成することができる。また、第3センサ30Cは、少なくとも、x軸、y軸、z軸の加速度と、x軸、y軸、z軸の角速度のみをセンサ信号として検出することができれば足りる。第3センサ30Cのセンサ信号を利用して、第1のユーザのゴルフのスイングのフォームの各段階を特定することができる。各スイングのフォームの段階は、腕の状態で特定することができるため、加速度や角速度で表すことができるためである。
【0053】
続いて、オンラインレッスン提供装置10の演算回路11における動作について説明する。
【0054】
(モーションデータの生成)
演算回路11は、センサ信号D14を利用して、第1のユーザの動作を表す三次元映像であるモーションデータD16を生成する。具体的には、演算回路11は、センサ信号D14からモーションキャプチャ技術を利用して、モーションデータD16を生成する。演算回路11は、生成したモーションデータD16を記憶装置12に記憶させる。このモーションデータD16は、モーションデータD16の生成の元となるセンサ信号D14に含まれる検出時刻を含む。センサ信号D14の検出と、映像D15の撮影とは同時に行うことが可能であり、検出時刻と撮影時刻とを用いて、モーションデータD16と映像D15とを連動させることができる。演算回路11は、生成したモーションデータD16及び対応する映像D15を、通信回路13を介して第1端末20A及び第2端末20Bに送信する。
【0055】
なお、第1端末20Aの演算回路21は、オンラインレッスン提供装置10から受信したモーションデータD16を、ディスプレイ241に表示させる。また、第2端末20Bの演算回路21も、オンラインレッスン提供装置10から受信したモーションデータD16をディスプレイ241に表示させる。これにより、第1端末20Aのディスプレイ241と第2端末20Bのディスプレイ241では、同一のモーションデータD16が表示される。
【0056】
(アバターを含むモーションデータ)
演算回路11は、少なくとも、第1センサ30A及び第2センサ30Bで検出された信号に基づいて、図5Bに示すように、第1のユーザを示すアバターXを含むモーションデータD16を生成することができる。このとき、演算回路11は、図5Bに示すように、第1のユーザの胸椎に取り付けられる第1センサ30Aによって検出されたセンサ信号から求められる胸椎の水平軸L11及び胸椎の正中線L12と、第2のユーザの第2センサ30Bによって検出されたセンサ信号から求められる仙骨の水平軸L21及び仙骨の正中線L22とをアバターXに関連付けて示すモーションデータD16を生成してもよい。また、演算回路11は、胸椎の水平軸の傾きを表す値V11と、仙骨の水平軸の傾きを表す値V21とを含むモーションデータD16を生成してもよい。また、演算回路11は、図6Aに示すようにユーザの胸椎の正中線L12を中心とした胸椎の回旋角度V12と、ユーザの仙骨の正中線L22を中心とした仙骨の回旋角度V22とを含むモーションデータD16を生成してもよい。なお、図5B図6Aとは、それぞれ異なる状態のアバターXを表すモーションデータD16の一例を示す。
【0057】
(スコアの算出)
演算回路11は、基準データD12を参照し、センサ信号D14に基づいて第1ユーザのゴルフのスイングのフォームに対するスコアを算出してもよい。演算回路21は、例えば、胸椎の基準水平軸と胸椎の水平軸、胸椎の基準正中線と胸椎の正中線、仙骨の基準水平軸と仙骨の水平軸、及び、仙骨の基準正中線と仙骨の正中線のそれぞれのコサイン類似度に基づいて第1のユーザの動作のスコアを求めることができる。例えば、演算回路11は、図5B図6Aに示すように、求めたスコアV0を含むモーションデータD16を第1端末20Aと第2端末20Bとに送信してもよい。
【0058】
(表示方向の変更)
演算回路11は、第1端末20A又は第2端末20Bから、アバターを表す方向を変更するリクエスト信号を受け付けることがある。例えば、アバターを正面から表すことが要求されることがある。また、アバターを背面から表すことが要求されることもあれば、左方向や、右方向から表すことが要求されることもある。演算回路11は、リクエスト信号でリクエストされた方向で、アバターを表すように変更したモーションデータD16を、第1端末20Aと第2端末20Bとに送信してもよい。これにより、第1のユーザ及び第2のユーザは、分かりやすい方向からアバターを確認することができる。具体的には、各ユーザは、第1のユーザのフォームを分かりやすい方向から確認しながらレッスンを進行することができる。例えば、図6C乃至図6Eは、図6Aと同一の状態のアバターXを、図6Aとは異なる方向から示す例である。
【0059】
(会話の成立)
演算回路11は、各端末20A,20Bにおける映像D15及び/又はモーションデータD16の表示のタイミングで、各端末20A,20Bからそれぞれのマイク232で取得された音声を受信することがある。演算回路11は、第1端末20Aから音声を受信した場合には第2端末20Bに送信し、第2端末20Bから音声を受信した場合には第1端末20Aに送信する。これにより、演算回路11は、第1のユーザと第2のユーザとの会話を成立させることができる。これにより、生徒である第1のユーザと、講師である第2のユーザは、それぞれのディスプレイ241に表示される同一の映像D15及び/又はモーションデータD16で第1のユーザのフォームを確認しながら、会話をすることができる。したがって、例えば、講師は、映像D15及び/又はモーションデータD16を確認しながら生徒に改善すべき点をアドバイスすることができる。また、例えば、生徒は、映像D15及び/又はモーションデータD16を確認しながら講師に疑問点を質問することができる。
【0060】
(モーションデータの指定部分の表示)
演算回路11は、第1端末20A又は第2端末20Bから、複数のフレームで構成される一連のモーションデータD16のうち一部の表示をリクエストするリクエスト信号を受け付けることがある。このとき、演算回路11は、リクエスト信号でリクエストされた一部のモーションデータD16を、第1端末20Aと第2端末20Bとに送信する。これにより、各端末20A,20Bでは、ゴルフのフォームの全体のモーションデータD16ではなく、一部分のみのモーションデータD16を表示することができる。したがって、例えば、生徒は、改善が必要な部分のみを確認しながら、指導を受けることができる。例えば、演算回路11は、図6Aに一例を示すように操作部B1を含むモーションデータD16を、第1端末20A及び第2端末20Bに送信することができる。このとき、例えば、第2端末20Bの演算回路21は、ディスプレイ241に表示される操作部B1が入力装置23で操作されることで早送り又は巻き戻しさせるリクエスト信号を生成することができる。また、演算回路21は、生成したリクエスト信号をオンラインレッスン提供装置10に送信する。演算回路11は、第2端末20Bから受信したリクエスト信号に従って早送り又は巻き戻しをしてモーションデータD16を第1端末20A及び第2端末20Bに送信することもできる。これにより、第1端末20A及び第2端末20Bでは、指定された部分のモーションデータD16をそれぞれのディスプレイ241に表示することができる。したがって、生徒及び講師は、確認したい部分のモーションデータD16を確認しながら会話をすることができる。
【0061】
(段階毎の表示)
演算回路11は、分類データD11を参照し、第1のユーザの手首に取り付けられた第3センサ30Cで検出されたセンサ信号を用いて、一連の動作のいずれの段階であるかを分類することができる。このとき、演算回路11は、段階の動作毎にモーションデータD16を生成してもよい。例えば、アドレス、テイクバック、ダウンスイング、インパクト及びフォロースルーの段階(フェーズ)に区分し、段階毎にモーションデータD16を生成してもよい。また、演算回路11は、モーションデータD16に、分類された段階を関連付けて、段階毎に各端末20A,20Bに送信してもよい。また例えば、図6Aに一例を示すように、表示させる段階を操作する操作部B2を含むモーションデータD16を第1端末20A及び第2端末20Bに送信することができる。さらに、モーションデータD16は、操作部B2で操作し、表示される段階の時間及び時間のスケールを示す表示部B3を含むことができる。図6Aでは、操作部B2において、「全範囲」が選択されている。したがって、表示部B3の上段では、スイングの全体の時間である「2.81(秒)」が示される。また、表示部B3の下段(フェーズ調整)では、全範囲がマークされている。これに対し、図6Bでは、操作部B2において、「ダウンスイング」が選択されている。したがって、表示部3Bの上段では、ダウンスイングの時間である「0.56(秒)」スイング全範囲のうち、ダウンスイングに該当する時間を示す部分がマークされている。演算回路11は、例えば、第2端末20Bから送信されたリクエスト信号にしたがって、指定された段階を示すモーションデータD16を送信することもできる。この場合も、生徒及び講師は、確認したい部分のモーションデータD16を確認しながら会話をすることができる。
【0062】
(表示速度の変更)
演算回路11は、第1端末20A又は第2端末20Bから、モーションデータD16の表示速度を変更した表示をリクエストするリクエスト信号を受け付けることがある。このとき、演算回路11は、リクエスト信号でリクエストされた速度で表示させるようにモーションデータD16を、第1端末20Aと第2端末20Bとに送信する。例えば、第2端末20Bの演算回路21は、図6Aの一例に示すモーションデータD16に含まれる操作部B1を操作することで、再生速度の調整をリクエストするリクエスト信号を生成することができる。これにより、各端末20A,20Bでは、同一の速度でモーションデータD16をそれぞれのディスプレイ241に表示することができる。したがって、例えば、生徒は、スローモーションで生徒のゴルフのフォームを確認しながら、指導を受けることができる。例えば、図6Aに示す例では、操作部B1では「×0.5」と表されており、2分の1倍速で再生される一例を示すが、操作部B1を操作することで、更に遅く表示させることもできる。
【0063】
(指導データの表示)
演算回路11は、指導データD13を参照し、センサ信号に応じた指導内容を抽出する。演算回路11は、モーションデータD16に、抽出した指導内容を関連付けて、第1端末20A及び第2端末20Bに送信する。これにより、センサ信号から導かれる指導内容が第1のユーザ及び第2のユーザに提示される。したがって、なお、演算回路11は、少なくとも指導内容を第1端末20Aに送信することで、第1のユーザによって確認され、フォームの改善に導くことができる。
【0064】
このように、オンラインレッスン提供装置10は、第1端末20A及び第2端末20Bとの通信を可能として、リアルタイム性の高いオンラインレッスンを実現することができる。
【0065】
〈オンラインレッスンシステムにおける処理〉
図7に示すシーケンス図を用いて、本開示のオンラインレッスンシステムにおける処理を説明する。
【0066】
オンラインレッスンにおいて、生徒である第1のユーザがゴルフのスイングを行う際に、利用する第1端末20Aにおいて、第1のユーザに取り付けられる複数のセンサ30からセンサ信号を取得し、カメラ231で撮影される第1のユーザのスイングの映像を取得する(S1)
【0067】
第1端末20Aは、ステップS1で取得したセンサ信号及び映像を、オンラインレッスン提供装置10に送信する(S2)。
【0068】
オンラインレッスン提供装置10は、ステップS2で第1端末20Aから送信されたセンサ信号及び映像に基づいて、モーションデータ及びアバターを生成する(S3)。このとき、オンラインレッスン提供装置10は、分類データD11を参照し、ゴルフのスイングのフォームを複数の段階に分類し、モーションデータに関連づけてもよい。また、オンラインレッスン提供装置10は、基準データD12を参照し、第1のユーザのフォームについて、胸椎や仙骨の水平軸の傾きや回旋角度を求め、モーションデータに関連付けてもよい。
【0069】
オンラインレッスン提供装置10は、ステップS3で生成した、アバターを含むモーションデータ及び/又は関連付けられる第1端末20Aから送信された映像を第1端末20A及び第2端末20Bに送信する(S4-1,S4-2)。このとき、オンラインレッスン提供装置10は、分類したフォームの複数段階、水平軸の傾き、回旋角度等を関連付けたモーションデータを送信してもよい。
【0070】
第1端末20A及び第2端末20Bは、それぞれ、ステップS4-1,S4-2でオンラインレッスン提供装置10から送信されたモーションデータ及び/又は映像を、ディスプレイ241に表示させる(S5-1,S5-2)。これにより、第1端末20Aと第2端末20Bとでは、同一のモーションデータ及び/又は映像が表示される。
【0071】
第1端末20A及び第2端末20Bは、オンラインレッスン提供装置10を介して音声データを送受信する(S6-1,S6-2)。これにより、オンラインレッスンシステム1において、第1のユーザと第2のユーザとの間で会話が成立する。なお、図7では省略するが、第1のユーザと第2のユーザの会話は、オンラインレッスンがされている間は、継続される。したがって、オンラインレッスンシステム1では、リアルタイムでのレッスンが実現する。
【0072】
このとき、第2端末20Bからオンラインレッスン提供装置10にリクエスト信号が送信されることがある(S7)。例えば、第2のユーザが、第1のユーザのフォームに関し、一部分のモーションデータを低速で再生しながら指導をしたいと考えた場合、入力装置23が操作されることによって一部分のモーションデータについて低速の再生させるリクエスト信号が送信される。
【0073】
オンラインレッスン提供装置10は、ステップS7で第2端末20Bから送信されたリクエスト信号に応じたモーションデータ及び/又は映像を、第1端末20A及び第2端末20Bに送信する(S8-1,S8-2)。
【0074】
第1端末20A及び第2端末20Bは、それぞれ、ステップS8-1,S8-2でオンラインレッスン提供装置10から送信されたモーションデータ及び/又は映像を、ディスプレイ241に表示させる(S9-1,S9-2)。これにより、第1端末20Aと第2端末20Bとでは、ステップS7で送信されたリクエスト信号に応じた同一のモーションデータ及び/又は映像が表示される。したがって、第1のユーザ及び第2のユーザは、例えば低速で表示されるモーションデータ及び/又は映像を確認しながら、会話をすることが可能となる。これにより、第1のユーザにより効果的なレッスンを実現することができる。
【0075】
また、オンラインレッスン提供装置10は、指導データD13を参照し、ステップS2で第1端末20Aから送信されたセンサ信号に応じた指導内容を抽出してもよい(S10)。オンラインレッスン提供装置10は、ステップS10で抽出した指導内容を、第1端末20及び第2端末20Bに送信する(S11-1,S11-2)。第1端末20A及び第2端末20Bは、それぞれ、ステップS11-1,S11-2でオンラインレッスン提供装置10から送信された指導内容を、ディスプレイ241に表示させる(S12-1,S12-2)。
【0076】
このように、オンラインレッスンシステム1では、生徒である第1ユーザと、講師である第2ユーザとが遠隔地にいる場合であっても、リアルタイムでのオンラインレッスンを実現することができる。
【0077】
[実施例1]
以下に、実施例1に係る構築したオンラインレッスンシステム1について説明する。実施例1では、ゴルフのオンラインレッスンのため、生徒の端末である第1端末20Aといわゆるレッスンプロと呼ばれる講師の端末である第2端末20BそれぞれにおいてコンピュータプログラムP2をインストールした。コンピュータプログラムP2は、オンラインレッスン用のアバターを用いた体の動きを表現するアプリケーションプログラム(帝人フロンティアセンシング社製)である。また実施例1では、オンライン画面共有機能によって、第1端末20Aと第2端末20Bとを双方向的に同一時間上で同一画面の表示及び共有が可能な環境を構築した。これにより、実施例1に係るオンラインレッスンシステム1では、送受信時の情報共有を低遅延で行うことができる。
【0078】
第1のユーザは、ゴルフのスイング時の体の動きのオンラインレッスンのために、体幹軸のモーションデータ取得のため、生徒側では体幹軸の背中部(胸椎に沿った位置)と腰部(仙骨に沿った位置)にそれぞれ第1センサ30A及び第2センサ30B(帝人フロンティアセンシング社製のワイヤレス加速度、角速度、地磁気の各3軸の9軸モーションセンサ)を配したゴルフ用ベストウエアを着用した。
【0079】
また、ゴルフのスイングの段階の情報取得の為、左手首にはリストバンドを取り付け、面ファスナーを用いて第3センサ30C(前述と同センサ)を固定した。
【0080】
身体の動作はベストウエアの背中部と腰部に固定した第1及び第2センサ30A,30Bで計測し、背中部と腰部のセンサ30A,30Bで計測されたデータは3軸の方向と角度を同時に表現できる約24kB/秒のクォータニオン情報として、アバターの3Dモーション動作に用い、前記クォータニオン情報は、約80ミリ秒で講師の第2端末20Bへの送信が完了した。アバターを動作させる3D空間軸の設定のため、胸部(胸骨)の第1センサ30Aと腰部(仙骨)の第2センサ30Bが水平方向に対して鉛直な同一線上に配置された際の同一線を任意軸とし、クォータニオンの任意軸回転の性質を用い、残りの2軸を決定した。実施例1のレッスンにおけるクォータニオンは、以下の式(1)を用いて導出した。
【0081】
【数1】
【0082】
スイングは左手首に固定した第3センサ30Cで検知した、加速度、角速度を用いて、ゴルフスイングにおける段階を時系列ごとに5つ(アドレス、テイクバック、ダウンスイング、インパクト、フォロースルー)に区分し、スイングの段階を自動区分した。
【0083】
通信速度の環境の異なる環境下でもデータ送信にかかる時間に大きな差は生じず、モーションデータを用いたレッスンを良好に行うことができた。
【0084】
生徒の第1端末20Aから講師の第2端末20B間に同一条件(双方向的な画面操作及びそれに伴った反映が可能な条件)下で表示されている画面上にスイング映像を表示し、講師によるスイング映像へのアドバイスによるオンラインレッスンを行った。当該レッスンは第1端末20Aと第2端末20B間にて3Dモーションデータを用いて、360°視点のアバターによるスイング動作の確認を行うオンラインレッスンを行った。
【0085】
その際、見本として講師に取り付けられたセンサ30から取得されたセンサ信号であるクォータニオン情報と、レッスンで生徒に取り付けられたセンサ30から取得されたクォータニオン情報間のコサイン類似度を基に、見本のスイングに対する生徒のスイングの類似度を表示し、見本の動作と生徒の動作の違いを数値化できるオンラインレッスンを行った。本レッスンでは、コサイン類似度を以下の式(2)で表現した。
【0086】
【数2】
【0087】
スイングの段階ごとの3Dモーションデータ及びアプリケーション内に内蔵されたモーションデータは、テキストや描画等によって得られる情報も付与され視覚的にわかりやすいオンラインレッスンを行うこともできた。
【0088】
生徒の第1端末20Aと講師の第2端末20B間にて同一条件下で表示されている画面上に、見本である講師のモーションデータと生徒のモーションデータとを重ね合わせる機能を用いて、講師と生徒間のスイング時の動作情報(アドレス、テイクバック、ダウンスイング、インパクト、フォロースルー)、身体情報との比較を行い、さらにアプリケーション内に内蔵されたモーションデータ編集機能によって、テキストや描画等によって得られる情報が付与された視覚的にわかりやすいオンラインレッスンを行うこともできた。
【0089】
各種情報を基にスイングの良否及び改善情報のフィードバックを行い、講師から生徒への良好かつ遅延のないオンラインレッスンを実施できた。
【0090】
[比較例1]
実施例1と同様にレッスンを行い、クォータニオン情報を用いない一例を比較例1として求めた。具体的には、比較例1では、センサ30の加速度センサから得られるデータを単位時間毎に積分を行いxyzの3軸方向の速度と更に積分から移動距離を演算した。また、ジャイロから得られるxyzの3軸方向の角速度とその積分から移動量を演算し角度の変化をアバターの動作に用い、xyzの3軸方向の地磁気のデータからアバターの向きを表現した。各種取得データよりアバターを用いたオンラインでつながる端末20A,20B間でモーションデータの送受信を実施例1と同様に実施した。
【0091】
その結果、前記計測データの容量は約700kBを要し、端末20A,20B内での演算時間も含めて前記データの送信時間は約870ミリ秒を要した。したがって、上述実施例1のクォータニオン情報の送信時と比較して、10倍の時間を要し、オンラインレッスンに遅延を生じレッスンに支障をきたした。また、通信速度の環境の異なる環境下ではデータ送信にかかる時間に更に大きな差が生じ、モーションデータを用いたレッスン時間により大きな支障をきたした。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本開示によれば、講師と生徒が遠隔である場合における技能の上達を図るオンラインレッスンの提供に有用である。
【符号の説明】
【0093】
1 オンラインレッスンシステム
10 オンラインレッスン提供装置
11 演算回路
12 記憶装置
13 通信回路
14 入力装置
15 出力装置
20A 第1端末
20B 第2端末
30 センサ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7