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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025050177
(43)【公開日】2025-04-04
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20250327BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158830
(22)【出願日】2023-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 裕介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 竜也
(72)【発明者】
【氏名】早川 潤哉
(72)【発明者】
【氏名】松原 悠太
【テーマコード(参考)】
3H062
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062BB30
3H062CC02
3H062DD01
3H062EE06
3H062HH08
3H062HH09
(57)【要約】
【課題】小型・軽量化を確保しつつ、開閉弁制御の自由度を向上させることができる電動弁を提供する。
【解決手段】電動弁は、冷媒が導入される第1流路、冷媒を流出させる第2流路、冷媒を通過させる第3流路、及び前記第1流路と前記第2流路との間に形成された弁座を備えた弁本体と、前記弁座に対して着座可能な弁体部を備えた弁軸体と、前記弁座に対して、前記第3流路を挟んで反対側において前記弁本体に配設されたモータと、前記モータのロータの回転を直線移動に変換して、前記弁軸体に伝達する変換機構と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が導入される第1流路、冷媒を流出させる第2流路、冷媒を通過させる第3流路、及び前記第1流路と前記第2流路との間に形成された弁座を備えた弁本体と、
前記弁座に対して着座可能な弁体部を備えた弁軸体と、
前記弁座に対して、前記第3流路を挟んで反対側において前記弁本体に配設されたモータと、
前記モータのロータの回転を直線移動に変換して、前記弁軸体に伝達する変換機構と、を有する、
ことを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記モータのロータ、前記モータのロータの回転を減速する減速機構、前記減速機構により減速された回転を直線移動に変換する前記変換機構、および少なくとも前記減速機構を収容するキャンを有し、
前記キャンの内部は、前記第3流路に連通している、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記変換機構と前記弁軸体との間に、回転しつつ軸線方向に変位する駆動部材、及び前記弁軸体に固定され球面状の端部を備えたボール受座が配置されており、
前記駆動部材に固定されたボールが、前記ボール受座の端部に当接することで、前記駆動部材の軸線方向変位が前記弁軸体に伝達される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項4】
前記弁本体に対して前記弁軸体の回転を制限する回転制限機構を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電動弁。
【請求項5】
前記回転制限機構は、前記弁本体に固定され非円筒形状の開口を備えた制限部材と、前記開口に係合する非円筒形状の前記弁軸体と、からなる、
ことを特徴とする請求項4に記載の電動弁。
【請求項6】
前記弁軸体は、前記弁座に着座する前記弁体部を備えた第1の軸と、前記第1の軸に連結され前記ボール受座を備えた第2の軸と、からなり、
前記ボール受座の素材の硬度は、前記第1の軸及び前記第2の軸の素材の硬度より高い、
ことを特徴とする請求項3に記載の電動弁。
【請求項7】
前記第1の軸の端部は、円錐形状を有し、前記第2の軸の端部は、球状を有し、前記円錐形状の端部と前記球状の端部とが当接しており、
前記ボールと前記ボール受座の当接面径は、前記円錐形状の端部と前記球状の端部の当接面径より小さい、
ことを特徴とする請求項6に記載の電動弁。
【請求項8】
前記弁軸体は単一の棒状部材からなり、
前記弁本体に取り付けられ、前記弁軸体の外周に対して周方向に沿って複数個所で当接して弾性力を付与する調心部材を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電動弁。
【請求項9】
前記変換機構を構成する雌ねじを備えたねじ軸受部材を、前記弁本体に対して固定する筒状のホルダが配設され、
前記ホルダが、前記弁軸体を閉弁方向に付勢するばねを保持する保持部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項10】
前記電動弁は冷凍サイクルに用いられ、
コンデンサからの冷媒が前記第1流路に導入され、前記第2流路からエバポレータに向かって冷媒が流出し、前記エバポレータからの冷媒が前記第3流路を通過する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に搭載される空調装置に用いる冷凍サイクルにおいては、冷媒の通過量を温度に応じて調整する感温式の温度膨張弁が使用されている。このような温度膨張弁において、従来は、封入した作動ガスの圧力で弁体を駆動するパワーエレメントが採用されている。
【0003】
一般的に、パワーエレメントは、簡素な機械的構造で冷媒の温度を感知して膨張弁の開閉弁制御を行うことができる点で有用だが、最近の冷凍サイクルにおいては、より自由度の高い開閉弁制御が望まれており、例えば冷媒の温度に関わらず強制閉弁動作が必要とされることもある。そこで、冷凍サイクル中に電磁弁と膨張弁を直列に配置して、電磁弁のシャットオフ動作により、膨張弁を通過する冷媒の流れを遮断する構成もすでに実用化されているが、2つの弁装置を使用することにより構造の大型化を招いている。
【0004】
これに対し、特許文献1には、バルブユニットと通路ボディとから組み合わされ、バルブユニットのステッピングモータを用いて開閉弁動作を行える電動弁が開示されている。かかる電動弁は、冷凍サイクルの膨張弁として使用することができ、外部装置と通信を行うことで、冷媒の温度に関わらずステッピングモータを動作させて、通路ボディの弁座に対して弁体を任意に接離させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2023-53708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の電動弁においては、通路ボディに設けられた高圧の冷媒が流れる流路に接してバルブユニットを配置している。かかる構造では、高圧の冷媒が導入されることによりロータ等を覆うキャンの内圧が高まるため、それに対応してキャン及び締結部材の強度向上やシールの耐圧性向上などを行う必要があり、それにより構成の大型化・重量化を招いている。
【0007】
そこで本発明は、小型・軽量化を確保しつつ、開閉弁制御の自由度を向上させることができる電動弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明による電動弁は、
冷媒が導入される第1流路、冷媒を流出させる第2流路、冷媒を通過させる第3流路、及び前記第1流路と前記第2流路との間に形成された弁座を備えた弁本体と、
前記弁座に対して着座可能な弁体部を備えた弁軸体と、
前記弁座に対して、前記第3流路を挟んで反対側において前記弁本体に配設されたモータと、
前記モータのロータの回転を直線移動に変換して、前記弁軸体に伝達する変換機構と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、小型・軽量化を確保しつつ、開閉弁制御の自由度を向上させることができる電動弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態における電動弁の側面図である。
図2図2は、閉弁状態にある第1の実施形態の電動弁の縦断面図である。
図3図3は、開弁状態にある第1の実施形態の電動弁の縦断面図である。
図4図4は、第1の実施形態に用いるモータユニットの周辺を示す断面図である。
図5図5は、閉弁状態にある第2の実施形態の電動弁の縦断面図である。
図6図6は、開弁状態にある第2の実施形態の電動弁の縦断面図である。
図7図7は、第2の実施形態に用いる調心部材の斜視図である。
図8図8は、変形例にかかるホルダの縦断面図である。
図9図9は、ホルダの上面図である。
図10図10は、閉弁状態にある第3の実施形態にかかる電動弁の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明にかかる実施形態について説明する。
【0012】
(方向の定義)
本明細書において、弁座20からモータユニット100に向かう方向を「上方向」と定義し、逆にモータユニット100から弁座20に向かう方向を「下方向」と定義する。電動弁1の軸線をLとする。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における電動弁1を第1流路21側から見た側面図である。図2は、閉弁状態にある電動弁1の縦断面図であり、図3は、開弁状態にある電動弁1の縦断面図である。図4は、モータユニット100の周辺を示す断面図である。
【0014】
図2及び図3において、電動弁1は、弁本体2と、弁軸体3と、モータユニット100を具備する。
【0015】
弁本体2は、第1流路21と、第2流路22と、第1接続路21aと、オリフィス路21bと、第2接続路22aと、戻り流路(第3流路)23とを備える。第1流路21と第1接続路21aは、それぞれ軸線Lに直交して延在し、第1流路21の内径は、第1接続路21aの内径より大きい。また第2流路22と第2接続路22aは、第1流路21に対して弁本体2を挟んで反対側にて、それぞれ軸線Lに直交して延在し、第2流路22の内径は、第2接続路22aの内径より大きい。オリフィス路21bは、軸線Lに沿って延在し、その下端を第1接続路21aの先端近傍にて連通させ、その上端を第2接続路22aの先端近傍にて連通させている。第2接続路22a内が弁室VCを構成し、オリフィス路21bの上端が弁座20を構成する。戻り流路23は、モータユニット100と第2流路22との間で、軸線Lに交差する方向に延在する。弁本体2の上端には、戻り流路23と連通する凹部2aが形成されている。
【0016】
第1流路21は、冷凍サイクルのコンデンサ(不図示)につながる供給側流路であり、オリフィス路21bには、供給側流路を介して高圧の冷媒が供給される。第2流路22は排出側流路であり、弁室VC内の流体は、排出側流路を介して電動弁外のエバポレータ(不図示)に排出される。戻り流路23には、エバポレータを通過した冷媒が導入される。
【0017】
弁本体2において、弁軸挿通孔28は、軸線Lに沿って第2接続路22aから上方に向かい、弁軸体3を摺動可能に係合させており、弁軸体3をガイドする機能を有する。また、弁軸挿通孔28の上方に形成され戻り流路23につながる環状孔部27は、弁軸挿通孔28より大径であって、コイルばね4を収容する機能を有する。
【0018】
単一の細長い棒状である金属製の弁軸体3は、軸線Lに沿って配置され、弁室VCと、弁軸挿通孔28と、環状孔部27と、戻り流路23を貫通している。弁軸体3の下端には、下方に向かうにしたがって縮径する円錐形状の弁体部3aが形成される。図2に示すように弁体部3aが弁本体2の弁座20に着座しているとき、オリフィス路21bの冷媒の流れが制限される。この状態を非連通状態という。ただし、弁軸体3が弁座20に着座した場合でも、制限された量の冷媒を流すこともある。一方、図3に示すように弁体部3aが弁座20から離間しているとき、オリフィス路21bを通過する冷媒の流れが増大する。この状態を連通状態という。
【0019】
弁軸体3は、環状孔部27内において、周溝3bを有する。周溝3bには、軸線L方向に見てC字形状の板材(止め輪という)41が嵌合配置されている。止め輪41と、環状孔部27の底壁との間に配置されたコイルばね4が、止め輪41を介して弁軸体3を上方に向かって付勢している。
【0020】
(モータユニットの構成)
次に、モータユニット100について、図2~4を参照して説明する。モータユニット100は、円筒状のホルダ11を介して弁本体2に固着された有頂円筒形状のキャン50と、キャン50に外挿されるステータ55と、キャン50の内部に装備されるロータ57と、ステータ55の周囲を覆う略有頂筒状のカバー9と、ロータ57の回転数を減速して伝達するギヤ式の減速機構6と、減速機構6の出力ギヤの回転移動をねじ送り機構54(図4)を介して直線移動に変換して弁軸体3に伝達するねじ駆動部材(駆動部材ともいう)58と、から構成される。なお、キャンは電動弁の弁本体側に内部が密閉されるように取り付けられた筒状部を有する部材(キャン50は有底の筒状部を有する)をいうものとする。キャン50は、ロータ57、減速機構6、およびねじ送り機構54等を収容する。より正確には、ねじ送り機構54の一部がキャン50に収容され、ねじ送り機構54の全体はキャン50とホルダ11の連結体に収容されている。
【0021】
ステッピングモータ5は、キャン50の内部にキャン50に対して回転自在に配置され、ロータ支持部材56がその上部内側に固着されたロータ57を有している。ステッピングモータ5はロータ57のみからなり、ステータ55は含まないものとする。ヨーク51、ボビン52、コイル53等からなるステータ55は、キャン50の外側に嵌合固定され、樹脂製のカバー9により覆われている。カバー9は、コネクタ部9aを有する。コネクタ部9aは、戻り流路23の軸線に沿って形成され、その内部にステッピングモータ駆動用回路基板(不図示)に接続される端子Tが配置される。
【0022】
ホルダ11は、筒状の本体11aと、本体11aの上端から径方向外側に延在しキャン50の下端に接合されたフランジ部11bと、を連設してなる。本体11aの下部外周に雄ねじ11cが形成されている。雄ねじ11cを、弁本体2の凹部2aの内周に形成された雌ねじ2bに螺合させることで、ホルダ11を介してキャン50が弁本体2に固定される。本体11aと凹部2aとの間は、O-リングOR1により封止される。
【0023】
ホルダ11の上部内周に、ねじ軸受部材13が圧入により嵌合している。ねじ軸受部材13は、軸線Lに沿って延在する貫通孔13aと、その下端から軸線Lに平行に延在し外周にて開口する連通孔13bを有する。連通孔13bは、戻り流路23から凹部2aを介してねじ軸受部材13の下方に流入する冷媒を、キャン50内へと導入する機能を有する。ねじ軸受部材13の上端外周に、薄肉筒状体66が固着されている。また、ねじ軸受部材13の貫通孔13aの上部には、段付き円筒形状の出力軸部29が回転可能に嵌合している。
【0024】
図4において、減速機構6は、ロータ57の内周側において、ロータ支持部材56に一体に形成された太陽歯車61と、薄肉筒状体66を介して弁本体2に固定された固定リング歯車62と、太陽歯車61と固定リング歯車62との間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車63と、遊星歯車63を回転自在に支持するキャリア64と、遊星歯車63に歯合する歯を内周に備えた有底筒状の出力歯車部材65とを有し、これらにより不思議遊星歯車減速機構を構成する。固定リング歯車62の歯数は、出力歯車部材65の歯数とは異なるように設定されている。
【0025】
軸部材8は、ロータ支持部材56及び太陽歯車61を貫通して、これらを回転可能に保持しており、その軸部材8の上端は、キャン50の頂部内側に配置された支持部材81により支持されている。
【0026】
出力歯車部材65の底部中央開口には、出力軸部29の上部が圧入され、この出力軸部29の上部開口には、軸部材8の下端が回転可能に嵌合している。
【0027】
ねじ軸受部材13の貫通孔13aの下部に形成された雌ねじ部13cには、ねじ駆動部材58の下部に形成された雄ねじ部58aが螺合されている。出力歯車部材65の回転移動(ロータ57の減速された回転移動)は、雄ねじ部58aと雌ねじ部13cとからなるねじ送り機構(変換機構)54により、軸線Lに沿って直線移動に変換される。
【0028】
出力軸部29の下端には、スリット29aが形成され、ねじ駆動部材58の上端には、軸線Lに沿って突出するブレード58bが形成され、スリット29aとブレード58bは、互いに摺動可能に係合する。これにより出力軸部29は、ねじ駆動部材58に一体回転可能に連結され、出力歯車部材65(ロータ57)が回転すれば、出力軸部29とねじ駆動部材58は一体となって回転するが、軸線Lに沿って相対的に直線移動可能である。
【0029】
ねじ駆動部材58の下端には、金属製のボール15が同軸に溶接されている。一方、弁軸体3の上端には円形穴3cが形成され、円形穴3cに金属製のボール受座16が圧入されている。ボール受座16の大径化された上端面16aは、球状の曲面(具体的には、円錐と球面を組み合わせた形状)に形成され、ボール15を摺動可能に保持する。
【0030】
(電動弁の組立)
電動弁1の組立工程について説明する。まず、弁軸体3に止め輪41を組み付けておく。また、キャン50の内側にロータ57や減速機構6等を組み付けた状態で、キャン50の下端にホルダ11を固定したロータアッセンブリを準備する。
【0031】
機械加工を施した弁本体2の環状孔部27に対して、コイルばね4を上方から挿入し、その後に、上方から弁軸体3を凹部2a及びコイルばね4の内側を通過させて弁軸挿通孔28内に挿入する。この時、コイルばね4の上端が、止め輪41の下面に当接する。
【0032】
その後、凹部2aの内周溝にO-リングOR1を配置し、また凹部2aの開口端にO-リングOR2を配置して、ホルダ11の雄ねじ11cを、弁本体2の凹部2aの雌ねじ2bに螺合させて、ロータアッセンブリを弁本体2に取り付ける。このとき、O-リングOR1は、ホルダ11の本体11aと凹部2aとの間でシール機構を発揮する。フランジ部11bは、O-リングOR2の脱落を阻止する。なお、O-リングOR2は、ホルダ11を弁本体2に螺合させる前にホルダ11に配置してもよいし、ホルダ11を弁本体2に螺合させた後にキャン上部から挿入して組み付けてもよい。
【0033】
かかる状態から、ステータ55とともにカバー9を、キャン50の上方より接近させ、キャン50を覆う。カバー9の下端が弁本体2の上面側に位置することで、カバー9とホルダ11との間にO-リングOR2が配置され、両者間の封止を行う。カバー9の下端と弁本体2の側面との間に、板状のステー18を跨って配置し、ねじSCにより両者を固定する。カバー9のコネクタ部9aを不図示のコネクタに接続すると、端子Tを介して外部の制御装置と、電動弁1の回路基板とが信号伝達可能に接続される。
【0034】
(電動弁の動作)
外部の制御装置から所定パルス数の閉弁制御信号をステータ55に給電することにより、ステッピングモータ5のロータ57を一方向に回転駆動させたとき、太陽歯車61から減速機構6に回転数が入力され、さらに減速機構6により減速された回転数が出力軸部29を介して、ねじ駆動部材58に伝達される。ねじ駆動部材58が一方向に回転すると、雌ねじ部13cと雄ねじ部58aとが相対螺動し、その回転数に応じて、ねじ駆動部材58が軸線L方向下方に移動する。
【0035】
ねじ駆動部材58は、ボール15とともに回転しつつ下降すると、ボール15とボール受座16の上端面16aとの間で回転摺動を生じさせつつ、ボール受座16を介して弁軸体3が下方に付勢され、弁軸体3はコイルばね4の付勢力に抗して下降し、弁体部3aが弁座20に着座して閉弁状態となる。これにより不図示のコンデンサから第1流路21に導入された冷媒は、オリフィス路21bから弁室VCに進入することができず、第1流路21と第2流路22との間で冷媒の流れが中断する。
【0036】
一方、不図示の制御装置から開弁制御信号をステータ55に給電することにより、ステッピングモータ5のロータ57を他方向に回転駆動させると、減速機構6及びねじ送り機構54を介して、ねじ駆動部材58が軸線L方向上方に移動する。これにより、弁軸体3を下方に付勢する駆動力が消失するので、弁軸体3はコイルばね4の付勢力に従って上昇する。弁軸体3が上昇すると、弁体部3aが弁座20から離間して開弁状態となる。これにより第1流路21から、第1接続路21a及びオリフィス路21bを介して弁室VCに冷媒が進入し、さらに第2接続路22a及び第2流路22を介して、電動弁1の外部へと冷媒が流出する。例えばエバポレータの出口側配管に取り付けられた温度センサからの信号に応じて、ステータ55に給電される開弁制御信号が決定され、それにより開閉弁動作及び開弁時にオリフィス路21bを通過する冷媒の量が制御される。
【0037】
第2流路22から排出された冷媒は、不図示のエバポレータを通過したのち、比較的低圧の状態で電動弁1の戻り流路23に進入し、さらに電動弁1から流出したのちに不図示のコンプレッサに至り、必要に応じて加圧されてコンデンサに供給されることとなる。
【0038】
本実施形態によれば、弁座20を挟んでオリフィス路21b側が高圧となり、弁室VC側が低圧となる、いわゆる正流れであるため、弁体部3aには常に開弁方向に圧力が作用する。しかしながら、ステッピングモータ5と弁軸体3との間には、高い減速比を有する減速機構6が配置されているため、弁体部3aに付与される圧力に関わらず、閉弁時及び開弁時のいずれにおいても、弁体部3aの位置制御を確実に行うことができる。ただし、弁座20を挟んでオリフィス路21b側が低圧となり、弁室VC側が高圧となる、いわゆる逆流れの場合にも、本実施形態の電動弁1を用いることができる。その場合には第2流路22にコンデンサからの冷媒が導入され、第1流路21からエバポレータに向かって冷媒が流出する。
【0039】
また、キャン50は、戻り流路23を挟んで弁座20と反対側に配置されており、キャン50の内部には、近接する戻り流路23から凹部2a及び連通孔13bを介して低圧の冷媒が供給される。このため、供給された冷媒を減速機構6の潤滑に用いつつも、キャン50の肉厚を比較的薄くでき、各ねじ部の強度を比較的抑制でき、また耐圧性が比較的低いO-リングOR1、OR2を使用することができ、これらにより電動弁1の小型化・軽量化・低コスト化等に貢献できる。
【0040】
さらに本実施形態によれば、弁本体2の形状が、パワーエレメントを備えた従来の膨張弁の弁本体の形状とほぼ共通であるため、すでに使用されている冷凍サイクルにおいて、大きな設計変更を必要とすることなく、本実施形態の電動弁に置換することが可能である。
【0041】
(第2の実施形態)
図5は、閉弁状態にある第2の実施形態にかかる電動弁1Aの縦断面図であり、図6は、開弁状態にある電動弁1Aの縦断面図である。本実施形態においては、上述した実施形態に対し、弁本体2Aと弁軸体3Aの構成を変更した点、及び案内部材12Aと調心部材19Aを追加した点が異なり、それ以外の構成は共通するため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0042】
弁本体2Aは、環状孔部27Aが、下孔部27Aaと、下孔部27Aaより大径の上孔部27Abとを有する点のみが異なり、それ以外の構成は共通するため、重複説明を省略する。
【0043】
下孔部27Aa内には、コイルばね4が配置され、上孔部27Abには、調心部材19Aが配置される。
【0044】
図7は、調心部材19Aの斜視図である。調心部材19Aは、例えば金属製の板材をプレス成形することによって形成できる。具体的に、細長い板材を円筒状に丸めて、両端を重ね合わせて周壁19Aaを形成する。また、周方向に沿って周壁19Aaの複数個所(ここでは3か所)を切り起して矩形状の舌片19Abを形成し、周壁19Aaにつながる一端を起点に径方向内側に折り曲げる。各舌片19Abの先端近傍に、周壁19Aaの中心に向かって突出する半球状の凸部19Acを形成する。これにより調心部材19Aが形成される。
【0045】
自由状態の周壁19Aaの外径は、上孔部27Abの内径より大きいため、上孔部27Ab内に挿入したときに周壁19Aaが弾性変形して縮径し、その弾性力により周壁19Aaの外周が上孔部27Abの内周に向かって付勢され、これにより生じた摩擦力で調心部材19Aが上孔部27Abに取り付けられる。なお、調心部材19Aの抜け止めとして、上孔部27Abの上端にカシメ等の加工を追加してもよい。
【0046】
図5、6に示すように、ホルダ11の内側において、円筒状の案内部材12Aが配置されている。案内部材12Aは、上部円筒部12Aaと、上部円筒部12Aaより小径の下部円筒部12Abとを同軸に連設してなり、下部円筒部12Abが、弁本体2Aの凹部2aの底壁開口に圧入により嵌合している。また案内部材12Aは、上下に貫通する円筒状の貫通孔12Acを有する。
【0047】
弁軸体3Aは、第1の軸である下軸31Aと、第2の軸である上軸32Aとからなる。細長い棒状である金属製の下軸31Aは、軸線Lに沿って配置され、弁本体2Aの弁室VCと、弁軸挿通孔28と、下孔部27Aaを貫通している。
【0048】
下軸31Aの下端に、下方に向かうにしたがって縮径する円錐形状の弁体部31Aaが形成され、また下軸31Aの外周に、止め輪41が係合する周溝31Abが形成され、さらに下軸31Aの上端に、下方に向かうにしたがって縮径する円錐形状の円錐受座31Acが形成されている。
【0049】
上軸32Aは、上孔部27Ab内に配置される小径部32Aaと、戻り流路23及び凹部2a内に配置され小径部32Aaよりも大径の大径部32Abとを連設してなる。小径部32Aaの下端は球状である。また、大径部32Abは、案内部材12Aの貫通孔12Acに摺動可能に嵌合する。大径部32Abの上端に形成された凹部32Acに、略球面形状であるボール受座16が圧入されている。ボール15及びボール受座16の硬度(例えばビッカース硬度)は、上軸32A及び下軸31Aの硬度より高い。
【0050】
ボール受座16にボール15を当接させつつ、軸線Lに沿ってねじ駆動部材58と上軸32Aとが駆動力伝達可能に連結される(当接する)。また小径部32Aaの下端を円錐受座31Acに当接させつつ、軸線Lに沿って上軸32Aと下軸31Aとが駆動力伝達可能に連結される(当接する)。小径部32Aaの半球状の下端を円錐受座31Acに当接させることで、上軸32Aと下軸31Aとの同軸性を確保できる。
【0051】
ボール受座16とボール15との接触面径Aは、小径部32Aaの下端と円錐受座31Acとの接触面径Bよりも小さい(A<B)。
【0052】
電動弁1Aの組立工程において、まず、下軸31Aに止め輪41を組み付けておくとともに、上述した実施形態と同様に、キャン50の内側にロータ57や減速機構6等を組み付けた状態でキャン50の下端にホルダ11を固定したロータアッセンブリを準備する。
【0053】
機械加工を施した弁本体2Aの下孔部27Aaに対して、コイルばね4を上方から挿入し、その後に、上方から下軸31Aを凹部2a及びコイルばね4の内側を通過させて弁軸挿通孔28内に挿通する。この時、コイルばね4の上端が、止め輪41の下面に当接する。
【0054】
その後、上孔部27Ab内に調心部材19Aを挿入し、また案内部材12Aを凹部2aの底壁開口に圧入して組み付ける。さらに、案内部材12Aの上方から上軸32Aを接近させ、貫通孔12Acを通過させて、小径部32Aaを調心部材19A内に挿入して、その下端を下軸31Aの円錐受座31Acに当接させる。このとき、調心部材19Aの3つの舌片19Abが弾性変形しつつ凸部19Acが小径部32Aaの外周に当接し、軸線Lに対して小径部32Aaがシフトしないよう、いわゆる調心機能を発揮する。
【0055】
その後は、第1の実施形態と同様に、ロータアッセンブリを組み付けることで、電動弁1Aが完成する。なお、第1の実施形態に調心部材19Aを設けて、弁軸体の調心を行うようにしてもよい。
【0056】
(電動弁の動作)
外部の制御装置から所定パルス数の閉弁制御信号をステータ55に給電することにより、ステッピングモータ5のロータ57を一方向に回転駆動させたとき、減速機構6により減速された回転数が出力軸部29を介して、ねじ駆動部材58に伝達され、ねじ駆動部材58が軸線L方向下方に移動する。
【0057】
ねじ駆動部材58は、ボール15とともに回転しつつ下降し、その下方に向かう駆動力が上軸32Aを介して下軸31Aに伝達され、弁体部31Aaが弁座20に着座して閉弁状態となる。このとき、ボール受座16とボール15との接触面径Aが、小径部32Aaの下端と円錐受座31Acとの接触面径Bよりも小さいため、主としてボール受座16とボール15との間で相対回転が生じ、上軸32Aと下軸31Aとの相対回転は生じにくい。このため、下軸31Aの振れ回りによる軸線Lに対する偏心(芯ズレ)を抑制でき、それにより弁体部31Aaと弁座20との密着性を高めることができる。また、ボール受座16とボール15は、比較的硬度が高い素材から形成されているため、相対摺動が生じても摩耗を抑制することができる。
【0058】
一方、不図示の制御装置から開弁制御信号をステータ55に給電することにより、ステッピングモータ5のロータ57を他方向に回転駆動させると、減速機構6及びねじ送り機構54を介して、ねじ駆動部材58が軸線L方向上方に移動する。これにより、上軸32Aを下方に付勢する駆動力が消失するので、下軸31Aはコイルばね4の付勢力に従って上昇し、弁体部31Aaが弁座20から離間して開弁状態となる。
【0059】
(変形例)
図8は、変形例にかかるホルダ11Bの縦断面図であり、図9は、ホルダ11Bの上面図である。本変形例のホルダ11Bは、第2の実施形態のホルダ11及び案内部材12Aの代わりに用いることができる。
【0060】
制限部材であるホルダ11Bは、筒状の本体11Baと、本体11Baの上端から径方向外側に延在しキャン50に接合されるフランジ部11Bbと、本体11Baの上端から径方向内側に延在する底壁11Bdと、を連設してなる。本体11Baの下部外周に雄ねじ11Bcが形成され、底壁11Bdの中央に、開口11Beが形成されている。本変形例のホルダ11Bも、雄ねじ11Bcを、図5、6に示す弁本体2の上端に形成された凹部2aの内周に形成された雌ねじ2bに螺合させることで、弁本体2に固定される。
【0061】
開口11Beの内周は、円筒形状面の周方向に沿った一部が軸線Lに平行な1平面で短絡的に接続されたごとき形状を有し、すなわち開口11Beは、軸線L方向に見てD字形状(非円筒形状)を有する。本変形例で用いる上軸32Aの大径部32Abの外周も、完全な円筒形状ではなく、開口11Beに対応して軸線L方向に見てD字形状(対応する非円筒形状)を有するものとする。非円筒形状としては以上に限られず、例えば円筒形状面の周方向に沿った一部が軸線Lに平行な2平面で短絡的に接続されたごとき形状でもよい。ここで、ホルダ11Bと上軸32Aとで、回転制限機構を構成する。
【0062】
ホルダ11Bの開口11Be内に、上軸32Aを挿通したときに、上軸32Aは、開口11Beに案内されて軸線L方向に沿って変位するが、軸線L回りに回転不能となっている。このため、ねじ駆動部材58が回転しても、上軸32Aの回転を阻止(制限)することができ、それにより上軸32Aの芯ズレを防止でき、また下軸31Aの芯ズレも抑制できる。
【0063】
なお、第2の実施形態における案内部材12Aの貫通孔12Acを、同様な非円筒形状とすることにより、案内部材12Aを制限部材としてもよく、かかる場合、上軸32Aの大径部32Abを同様な非円筒形状とすることで、同様に回転制限機構を構成でき、これにより開閉弁動作時の上軸32Aの芯ズレを抑制できる。このように非円筒形状の弁軸体が嵌合する案内部材やホルダからなる回転制限機構は、第1の実施形態にも用いることができる。
【0064】
(第3の実施形態)
図10は、閉弁状態にある第3の実施形態にかかる電動弁1Cの縦断面図である。本実施形態においては、第1の実施形態に対し、弁本体2C、弁軸体3C及びホルダ11Cの構成を変更した点、及び調心部材19Aを追加した点が異なり、それ以外の構成は共通するため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0065】
弁本体2Cは、環状孔部27Cを軸線方向に短縮し、その内部にコイルばね4の代わりに調心部材19Aを配置した点のみが異なり、それ以外の構成は第1の実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。調心部材19Aは、第2の実施形態で用いたものと同様である。
【0066】
弁軸体3Cは、周溝3Cbを戻り流路23の上方にシフトして形成した点のみが異なり、それ以外の構成は第1の実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0067】
ホルダ11Cは、筒状の本体11Caと、本体11Caの上端から径方向外側に延在しキャン50の下端に接合されたフランジ部11Cbと、本体11Caの下端に接合された有底円筒状の保持部11Cdと、を連設してなる。本体11Caの下部外周に雄ねじ11Ccが形成されている。ホルダ11Cの保持部11Cd以外の構成は、第1の実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0068】
保持部11Cdの底壁は、その中央に弁軸体3Cが摺動可能に嵌合する貫通孔11Ceを有する。本体部11Caの径方向内方に形成した弁軸体3Cの周溝3Cbに、止め輪41が係合している。弁軸体3Cの周囲であって止め輪41と保持部11Cdの底壁との間にコイルばね(単にばねともいう)4が圧縮された状態で配置され、これにより弁軸体3Cは閉弁方向に付勢される。
【0069】
本実施形態の電動弁1Cは、弁本体2Cにコイルばね4の収容部を形成する代わりに、ホルダ11Cの一部にコイルばね4の収容部として保持部11Cdを配設した構成である。この構成によれば、弁軸体3C、弁本体2C、及びモータユニット100(ステータユニットは除く)を単一のモジュールとして扱うことができる。そのため、上記単一のモジュールを予め組み上げて、一工程で弁本体2Cに組み付けることができ、組立性が向上する。
【0070】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されない。本発明の範囲内において、上述の実施形態の任意の構成要素の変形が可能である。また、上述の実施形態において任意の構成要素の追加または省略が可能である。例えば、減速機構として遊星歯車機構を用いた例を示したが、これに限らず歯車対を用いたものでもよい。また本実施形態においては、弁軸体の軸線が戻り流路の軸線と交差しているが、弁軸体の軸線が戻り流路の軸線と交差しなくてもよく、また弁軸体が戻り流路自体と交差しなくてもよい。
【0071】
本明細書は、以下の発明の開示を含む。
(第1の態様)
冷媒が導入される第1流路、冷媒を流出させる第2流路、冷媒を通過させる第3流路、及び前記第1流路と前記第2流路との間に形成された弁座を備えた弁本体と、
前記弁座に対して着座可能な弁体部を備えた弁軸体と、
前記弁座に対して、前記第3流路を挟んで反対側において前記弁本体に配設されたモータと、
前記モータのロータの回転を直線移動に変換して、前記弁軸体に伝達する変換機構と、を有する、
ことを特徴とする電動弁。
【0072】
(第2の態様)
前記モータのロータ、前記モータのロータの回転を減速する減速機構、および前記減速機構により減速された回転を直線移動に変換する前記変換機構、および少なくとも前記減速機構を収容するキャンを有し、
前記キャンの内部は、前記第3流路に連通している、
ことを特徴とする第1の態様の電動弁。
【0073】
(第3の態様)
前記変換機構と前記弁軸体との間に、回転しつつ軸線方向に変位する駆動部材、及び前記弁軸体に固定され球面状の端部を備えたボール受座が配置されており、
前記駆動部材に固定されたボールが、前記ボール受座の端部に当接することで、前記駆動部材の軸線方向変位が前記弁軸体に伝達される、
ことを特徴とする第1の態様又は第2の態様の電動弁。
【0074】
(第4の態様)
前記弁本体に対して前記弁軸体の回転を制限する回転制限機構を有する、
ことを特徴とする第3の態様の電動弁。
【0075】
(第5の態様)
前記回転制限機構は、前記弁本体に固定され非円筒形状の開口を備えた制限部材と、前記開口に係合する非円筒形状の前記弁軸体と、からなる、
ことを特徴とする第4の態様の電動弁。
【0076】
(第6の態様)
前記弁軸体は、前記弁座に着座する前記弁体部を備えた第1の軸と、前記第1の軸に連結され前記ボール受座を備えた第2の軸と、からなり、
前記ボール受座の素材の硬度は、前記第1の軸及び前記第2の軸の素材の硬度より高い、
ことを特徴とする第1の態様~第5の態様のいずれかの電動弁。
【0077】
(第7の態様)
前記第1の軸の端部は、円錐形状を有し、前記第2の軸の端部は、球状を有し、前記円錐形状の端部と前記球状の端部とが当接しており、
前記ボールと前記ボール受座の当接面径は、前記円錐形状の端部と前記球状の端部の当接面径より小さい、
ことを特徴とする第6の態様の電動弁。
【0078】
(第8の態様)
前記弁軸体は単一の棒状部材からなり、
前記弁本体に取り付けられ、前記弁軸体の外周に対して周方向に沿って複数個所で当接して弾性力を付与する調心部材を有する、
ことを特徴とする第1の態様~第5の態様のいずれかの電動弁。
【0079】
(第9の態様)
前記変換機構を構成する雌ねじを備えたねじ軸受部材を、前記弁本体に対して固定する筒状のホルダが配設され、
前記ホルダが、前記弁軸体を閉弁方向に付勢するばねを保持する保持部を有する、
ことを特徴とする第1の態様~第8の態様のいずれかの電動弁。
【0080】
(第10の態様)
前記電動弁は冷凍サイクルに用いられ、
コンデンサからの冷媒が前記第1流路に導入され、前記第2流路からエバポレータに向かって冷媒が流出し、前記エバポレータからの冷媒が前記第3流路を通過する、
ことを特徴とする第1の態様~第9の態様のいずれかの電動弁。
【符号の説明】
【0081】
1、1A :電動弁
2、2A :弁本体
3、3A :弁軸体
3a、31Aa :弁体部
4 :コイルばね
5 :ステッピングモータ
6 :減速機構
20 :弁座
21 :第1流路
22 :第2流路
23 :戻り流路(第3流路)
27 :環状孔部
31A :下軸
32A :上軸
50 :キャン
55 :ステータ
57 :ロータ
100 :モータユニット
VC :弁室

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2025-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が導入される第1流路、冷媒を流出させる第2流路、冷媒を通過させる第3流路、及び前記第1流路と前記第2流路との間に形成された弁座を備えた弁本体と、
前記弁座に対して着座可能な弁体部を備えた弁軸体と、
前記弁座に対して、前記第3流路を挟んで反対側において前記弁本体に配設されたモータと、
前記モータのロータの回転を直線移動に変換して、前記弁軸体に伝達する変換機構と、を有し、
前記モータのロータ、前記モータのロータの回転を減速する減速機構、前記減速機構により減速された回転を直線移動に変換する前記変換機構、および少なくとも前記減速機構を収容するキャンを有し、
前記キャンの内部は、前記第3流路に連通しており、
前記変換機構と前記弁軸体との間に、回転しつつ軸線方向に変位する駆動部材、及び前記弁軸体に固定され球面状の端部を備えたボール受座が配置されており、
前記駆動部材に固定されたボールが、前記ボール受座の端部に当接することで、前記駆動部材の軸線方向変位が前記弁軸体に伝達され、
前記弁軸体は、前記弁座に着座する前記弁体部を備えた第1の軸と、前記第1の軸に連結され前記ボール受座を備えた第2の軸と、からなり、
前記第1の軸の軸線に対し前記第2の軸の軸線は、傾き可能である、
ことを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記ボール受座の素材の硬度は、前記第1の軸及び前記第2の軸の素材の硬度より高い、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記第1の軸の端部は、円錐形状を有し、前記第2の軸の端部は、球状を有し、前記円錐形状の端部と前記球状の端部とが当接しており、
前記ボールと前記ボール受座の当接面径は、前記円錐形状の端部と前記球状の端部の当接面径より小さい、
ことを特徴とする請求項に記載の電動弁。
【請求項4】
前記弁本体に、前記第2の軸が摺動自在に嵌合する貫通孔を有する案内部材が取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項5】
前記弁本体に、前記第1の軸の外周に当接することにより前記第1の軸の調心機能を発揮する調心部材が取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項6】
前記電動弁は冷凍サイクルに用いられ、コンデンサからの冷媒が前記第1流路に導入され、前記第2流路からエバポレータに向かって冷媒が流出し、前記エバポレータからの冷媒が前記第3流路を通過する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明による電動弁は、
冷媒が導入される第1流路、冷媒を流出させる第2流路、冷媒を通過させる第3流路、及び前記第1流路と前記第2流路との間に形成された弁座を備えた弁本体と、
前記弁座に対して着座可能な弁体部を備えた弁軸体と、
前記弁座に対して、前記第3流路を挟んで反対側において前記弁本体に配設されたモータと、
前記モータのロータの回転を直線移動に変換して、前記弁軸体に伝達する変換機構と、を有し、
前記モータのロータ、前記モータのロータの回転を減速する減速機構、前記減速機構により減速された回転を直線移動に変換する前記変換機構、および少なくとも前記減速機構を収容するキャンを有し、
前記キャンの内部は、前記第3流路に連通しており、
前記変換機構と前記弁軸体との間に、回転しつつ軸線方向に変位する駆動部材、及び前記弁軸体に固定され球面状の端部を備えたボール受座が配置されており、
前記駆動部材に固定されたボールが、前記ボール受座の端部に当接することで、前記駆動部材の軸線方向変位が前記弁軸体に伝達され、
前記弁軸体は、前記弁座に着座する前記弁体部を備えた第1の軸と、前記第1の軸に連結され前記ボール受座を備えた第2の軸と、からなり、
前記第1の軸の軸線に対し前記第2の軸の軸線は、傾き可能である、ことを特徴とする。