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特開2025-5068レビュー提示装置およびレビュー提示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005068
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】レビュー提示装置およびレビュー提示方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20250108BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105072
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】阿部 悟
(72)【発明者】
【氏名】高島 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】小塚 祐也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】ユーザーに未体験のアイテムに関してユーザー自身が書くようなレビュー文を提示できる技術を提供する。
【解決手段】レビュー提示システム100において、対象提示部54は、レビュー対象の享受を検討する候補として複数のレビュー対象をユーザーに提示する。事前情報記憶部64は、ユーザーに関する情報を記憶する。評価部57は、提示されたレビュー対象の仕様情報およびユーザーに関する情報に基づき、予測モデルを用いてユーザーが書いたようなレビュー文を生成する。レビュー出力部58は、生成されたレビュー文をユーザーに提示する。対象提示部54は、レビュー対象の享受を検討するユーザーへ質問情報を提示し、その質問情報に対するユーザーの回答をユーザーに関する情報として取得する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレビュー対象のそれぞれに関する仕様情報を記憶する仕様記憶部と、
前記複数のレビュー対象のうちユーザーの享受前に少なくとも一つのレビュー対象をユーザーに提示する対象提示部と、
ユーザーに関する情報を記憶する情報記憶部と、
前記提示されたレビュー対象の仕様情報および前記ユーザーに関する情報に基づき、予測モデルを用いて前記ユーザーが作成したようなレビュー文を生成する評価部と、
前記生成されたレビュー文を前記ユーザーに提示するレビュー出力部と、
を備えることを特徴とするレビュー提示装置。
【請求項2】
前記複数のレビュー対象のそれぞれに対する感性調査の質問を含む質問情報を記憶する質問記憶部をさらに備え、
前記対象提示部は、レビュー対象の享受を検討するユーザーへ前記質問情報を提示し、その質問情報に対する前記ユーザーの回答を前記ユーザーに関する情報として取得することを特徴とする請求項1に記載のレビュー提示装置。
【請求項3】
前記評価部は、前記質問情報に対するユーザーの回答に基づいてユーザーの嗜好を判定することを特徴とする請求項2に記載のレビュー提示装置。
【請求項4】
前記質問情報は、複数の評価軸のうちいずれの評価軸でレビュー文を生成するのが前記ユーザーの嗜好に適するかを判定するための質問を含み、
前記評価部は、前記質問情報に対する前記ユーザーの回答に基づいて前記レビュー文の評価軸を判定し、判定した評価軸に沿って前記レビュー文を生成することを特徴とする請求項2に記載のレビュー提示装置。
【請求項5】
前記ユーザーに関する情報は、前記ユーザーの属性情報、嗜好情報、および過去のレビュー文のうち少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載のレビュー提示装置。
【請求項6】
前記レビュー文が提示されたユーザーにより、実際に享受された後に前記ユーザーにより入力されたフィードバック情報を取得するフィードバック取得部をさらに備え、
前記評価部は、前記フィードバック情報に基づいて前記レビュー文を生成する予測モデルを再学習することを特徴とする請求項1に記載のレビュー提示装置。
【請求項7】
複数のレビュー対象のうちユーザーの享受前に少なくとも一つのレビュー対象をユーザーに提示する過程と、
前記提示されたレビュー対象に関する仕様情報を読み出す過程と、
前記ユーザーに関する情報を読み出す過程と、
前記提示されたレビュー対象の仕様情報および前記ユーザーに関する情報に基づき、予測モデルを用いて前記ユーザーが作成したようなレビュー文を生成する過程と、
前記生成されたレビュー文を前記ユーザーに提示する過程と、
を備えることを特徴とするレビュー提示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レビュー提示装置およびレビュー提示方法に関する。特に、予測モデルを用いてレビュー生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
オンラインでの商品購入やサービス予約の際に、他者の記したレビュー文を参考にする人は多い。ここで、アイテムに関する評価を予測してレビューを自動生成する技術が知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7133689号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】小久保彰博、杉山一成、「推薦システムにおけるレビュー文の特性とPPLMを用いた説明文生成モデル」、第14回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム (DEIM 2022)、2022年3月、pages C24-6:1-C24-6:8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および非特許文献1においては、ユーザー本人が過去に何らかのアイテムに対して記載したレビューおよび評価を学習した深層学習モデルによる学習データの存在が必須である。したがって、過去に他のアイテムに対してレビューや評価をしていないユーザーにはレビューを自動生成することはできない。
【0006】
本開示は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザーに未体験のアイテムに関してユーザー自身が書くようなレビュー文を提示できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様のレビュー提示装置は、複数のレビュー対象のそれぞれに関する仕様情報を記憶する仕様記憶部と、複数のレビュー対象のうち少なくともいずれかを、レビュー対象の享受を検討する候補としてユーザーに提示する対象提示部と、ユーザーに関する情報を記憶する情報記憶部と、提示されたレビュー対象の仕様情報およびユーザーに関する情報に基づき、予測モデルを用いてユーザーが作成したようなレビュー文を生成するレビュー生成部と、生成されたレビュー文をユーザーに提示するレビュー出力部と、を備える。
【0008】
本開示の別の態様は、レビュー提示方法である。この方法は、複数のレビュー対象のうち少なくともいずれかを、レビュー対象の享受を検討する候補としてユーザーに提示する過程と、提示されたレビュー対象に関する仕様情報を読み出す過程と、ユーザーに関する情報を読み出す過程と、提示されたレビュー対象の仕様情報およびユーザーに関する情報に基づき、予測モデルを用いてユーザーが作成したようなレビュー文を生成する過程と、生成されたレビュー文をユーザーに提示する過程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザーに未体験のアイテムに関してユーザー自身が書くようなレビュー文を提示できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】レビュー提示システムの基本的な構成を示す図である。
図2】レビュー提示システムの各構成を示す機能ブロック図である。
図3】レビュー文を生成する基本的な過程を示す図である。
図4】外観を評価軸とする場合の質問を提示する簡易テスト画面例を示す図である。
図5】機能を評価軸とする場合の質問を提示する簡易テスト画面例を示す図である。
図6】ユーザーによる表現の傾向を把握するための質問を提示する簡易テスト画面例を示す図である。
図7】レビュー対象の候補と、レビュー文および予測評価値の提示をする画面例を示す図である。
図8】第2実施形態におけるレビュー文を生成する基本的な過程を示す図である。
図9】第3実施形態におけるレビュー文を生成する基本的な過程を示す図である。
図10】第4実施形態におけるレビュー文を生成する基本的な過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態、変形例では、同一または同等の構成要素には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0012】
(第1実施形態)
オンラインでの商品購入やサービス予約の際に、すでにそれら商品やサービスを享受済みの他者が記したレビュー文を参考にする人は多い。このとき、レビューが多すぎる場合には、いずれのレビューを参考にすべきか迷う場合もある。そのような場合、ユーザーは自分と似た状況にある人のレビューを探す場合も多いが、必ずしも自分の状況に近い人のレビューを見つけられるとは限らない。
【0013】
そこで、仮にユーザーがその商品やサービスを享受したとしたら、どのようなレビュー文を書くかという観点で、そのユーザーに関する事前情報と所定の予測モデルおよび言語モデルを用いて仮のレビュー文を生成してユーザーに提示する。ユーザーは、自分ならこういうレビュー文を書くことになるであろうことを、商品やサービスの享受前、すなわち実際の商品購入前またはサービス予約前に見て参考にすることができる。ユーザーはそうした事前のレビュー文を参考にして商品やサービスを享受するかどうかを判断することができる。
【0014】
レビュー対象は、様々な商品やサービスである。例えば、シューズ、アパレル等の商品購入の他、マラソン大会への参加申込、ホテルの宿泊予約、飲食店の予約等もレビュー対象に含まれる。なお、サービスの予約には、サービスの入場券や座席券等のチケット購入も含まれる。
【0015】
図1は、レビュー提示システム100の基本的な構成を示す。レビュー提示システム100は、主にユーザー端末10とレビュー提示サーバー50を含む。レビュー提示システム100は、レビューとしての自然文を生成するための言語モデルが構築された言語モデルサーバー90をさらに含んでもよいし、言語モデルをレビュー提示サーバー50の内部に構築してもよい。あるいは、言語モデルサーバー90としてシステム外部に構築されたクラウド型の大規模言語モデルサーバーをAPI(Application Programming Interface)経由で利用する仕様であってもよい。言語モデルを一から構築するための学習には膨大な計算コストを要することから、事前学習された外部の大規模言語モデルを利用し、またはそうした外部の言語モデルをファインチューニングすることで効率よく独自の言語モデルを構築してもよい。また、そうしたファインチューニングにおいて、レビュー提示サーバー50の提供主体が自らのドメインに蓄積した過去のレビュー文のデータセットを用いて再学習させてもよいし、サードパーティが提供する膨大なレビュー文のデータセットを用いて再学習させてもよい。これにより、生成されるレビュー文と実在するレビュー文との差が小さくなることが期待できる。
【0016】
レビュー提示サーバー50は、レビュー対象に関するレビュー文を予測モデルおよび言語モデルに基づいて生成するサーバーであるとともに、特定の商品を販売するオンラインショッピングサイトや、特定のサービスの予約を受け付けるオンライン予約サイト等の機能を兼ねてもよい。レビュー提示サーバー50は、複数のユーザー端末10との間でインターネットやLAN(Local Area Network)等を含むネットワーク80を介して接続されるサーバーコンピューターである。レビュー提示サーバー50は、単体のサーバーコンピューターで構成されてもよいし、複数台のサーバーコンピューターの組み合わせで構成されてもよい。ユーザー端末10は、ユーザーが操作する端末であり、ユーザー自身が保有するスマートフォンやタブレット端末等の情報端末であってもよいし、パーソナルコンピュータであってもよい。
【0017】
ユーザーがユーザー端末10を操作してレビュー提示サーバー50上に構築されたオンラインショッピングサイトやオンライン予約サイトにアクセスし、商品やサービスの情報とともに表示されるレビュー文を閲覧できる。なお、請求項にいう「レビュー提示装置」は、レビュー提示システム100全体を指してもよいし、レビュー提示サーバー50を指してもよい。また、本実施形態においては、請求項にいう「レビュー提示装置」に含まれる特徴的な機能の多くをレビュー提示サーバー50が備える形で実現するため、実質的にレビュー提示サーバー50が「レビュー提示装置」に相当する。ただし、「レビュー提示装置」の特徴的な機能はユーザー端末10とレビュー提示サーバー50に分散させてもよいし、ユーザー端末10にその多くを持たせる形で実現してもよい。
【0018】
図2は、レビュー提示システム100の各構成を示す機能ブロック図である。本実施形態におけるレビュー提示システム100は、ユーザー端末10とレビュー提示サーバー50により構成される。ただし、レビュー提示システム100は、様々なハードウェア構成やソフトウェア構成にて実現することが考えられる。例えば、レビュー提示システム100はレビュー提示サーバー50のみで構成されてもよいし、ユーザー端末10のみで構成されてもよい。
【0019】
図2では、ユーザー端末10およびレビュー提示サーバー50に関して、それぞれ様々なハードウェア構成およびソフトウェア構成の連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。ユーザー端末10は、例えばマイクロプロセッサー、タッチパネル、メモリー、通信モジュール等のハードウェアの組み合わせで構成される。ユーザー端末10には、以下の機能を持つプログラムが搭載されるか、ウェブブラウザーを介してレビュー提示サーバー50が提供するウェブサイトにアクセスすることで、実質的に以下の機能をソフトウェアとハードウェアの協働により発揮する。ユーザー端末10は、その機能として、操作処理部12、表示制御部14、対象提示部16、レビュー出力部18、通信部20を含む。
【0020】
操作処理部12は、タッチパネル等の操作入力手段に対するユーザーの操作、例えばレビュー対象の選択操作を受け付ける。表示制御部14は、レビュー提示サーバー50から受信した情報をタッチパネル等の画面に表示させる。対象提示部16は、レビュー提示サーバー50から受信した、レビュー対象となる商品やサービス等の情報を表示制御部14による画面表示を通じてユーザーに提示する。レビュー出力部18は、レビュー提示サーバー50で生成されたレビュー文を表示制御部14による画面表示の形で出力する。対象提示部16およびレビュー出力部18は、後述するレビュー提示サーバー50における対象提示部54およびレビュー出力部58と同等の機能を持ってもよい。また、これらの「対象提示部」および「レビュー出力部」のうち少なくともいずれかの機能がユーザー端末10の側のみ、または、レビュー提示サーバー50の側のみで実現されてもよいし、ユーザー端末10の側とレビュー提示サーバー50の側の協働によって実現されてもよい。
【0021】
レビュー提示サーバー50は、例えばマイクロプロセッサー、メモリー、ディスプレイ、通信モジュール等のハードウェアの組み合わせで構成される。レビュー提示サーバー50は、靴メーカーが構築および管理をするサーバーコンピューターであってよい。ただし、レビュー提示サーバー50には、以下の機能を持つプログラムが稼働する。レビュー提示サーバー50は、その機能として、通信部52、対象提示部54、評価部57、レビュー出力部58、データ記憶部60、フィードバック取得部70を含む。ユーザー端末10の通信部20とレビュー提示サーバー50の通信部52は、ネットワーク80を介して接続される。データ記憶部60は、仕様記憶部62、事前情報記憶部64、質問記憶部66、モデル記憶部68を含む。評価部57は、評価軸判定部53、嗜好判定部55、レビュー生成部56、学習処理部59を含む。
【0022】
仕様記憶部62は、複数のレビュー対象の種類と、それぞれに関する仕様情報を記憶する。レビュー対象は、ユーザーがその享受を検討する候補となる商品やサービスである。例えば靴や衣服等の商品であってよいし、マラソン大会やコンサート等のイベント、宿泊施設、飲食店等のサービスであってもよい。仕様記憶部62は、これらレビュー対象となり得る項目を、カテゴリーで分類して記憶する。仕様情報は、商品やサービスの質、価格、種類、用途、カテゴリー、顧客層といった属性または仕様に関する情報である。レビュー提示サーバー50がスポーツシューズを販売するオンラインショッピングサイトを兼ねている場合、スポーツシューズを使用する目的や種類を特定するための情報として、そのシューズの価格、用途、外形種別、色種類、スポーツのカテゴリー、対応する選手レベルといった商品仕様に関する情報であってよい。
【0023】
対象提示部54は、通信部52を介してオンラインショッピングサイトやオンライン予約サイトのデータをユーザー端末10へ送信する。対象提示部54は、仕様記憶部62に記憶される複数のレビュー対象のうち少なくともいずれかを、レビュー対象の享受を検討する候補としてユーザーに提示する。ユーザーに提示するレビュー対象は、例えばユーザーが享受する前の対象や、享受の有無を問わずまだレビューしていない対象をレビュー対象の候補として提示するものであってもよい。ユーザーが享受する前であるか否かは、購買履歴や注文履歴を参照したり、享受前か否かについてユーザーから回答を得たりすることにより推定してもよく、ユーザーが享受済みの対象やレビュー済みの対象はレビュー対象から外すこととしてもよい。レビュー対象が商品である場合、対象提示部54は、サイト上で販売する商品、例えば複数種類の靴や衣服等の商品を電子的に展示することでユーザーが享受を検討する候補としての複数の商品を提示する。ユーザーがいずれかの商品の詳細表示を指示したときに、その詳細表示された商品がレビュー対象として選択される。
【0024】
また、レビュー対象がサービスである場合、そのサービスのオンライン予約サイト上やオンラインチケット予約サイト上で複数種類のサービスを電子的に紹介することでユーザーが享受を検討する候補としての複数のサービスを提示する。ユーザーがいずれかのサービスの詳細表示を指示したときに、その詳細表示されたサービスがレビュー対象として選択される。
【0025】
事前情報記憶部64は、ユーザー自身に関してあらかじめ取得されて蓄積された事前情報を記憶する。ここで、事前情報には大別して2種類の情報が含まれる。事前情報は第1の情報として、ユーザーが過去に入力したユーザー自身に関する情報や過去の行動履歴の情報等、ユーザーからレビュー対象として選択された商品やサービスには必ずしも直接的に関連または依存しない一般的な顧客情報としての性格を持つ情報である。一方、事前情報は第2の情報として、ユーザーからレビュー対象として選択された商品やサービスとの関連でユーザーに対して事前に実施する感性調査等の簡易テストのような形の質問に対するユーザーの回答に基づいて得られた情報等を含む。第1の情報および第2の情報は、機械学習に用いられるデータセットとしての性格を持つ情報を含む。以下、第1の情報と第2の情報について説明する。
【0026】
事前情報における第1の情報には、ユーザーの識別情報、属性情報、嗜好情報、商品の購入履歴、サービスの予約履歴、商品の使用履歴や使用レベル、ユーザーによる入力情報等が含まれる。第1の情報には、他の商品やサービスに関してユーザーが作成した過去のレビュー文が含まれてもよいし、後述するフィードバック情報が反映されてもよい。
【0027】
ユーザーの識別情報は、例えばユーザーのアカウント情報やパスワード等のレビュー提示サーバー50へのログインに必要な情報であり、レビュー提示サーバー50を最初に利用する際のアカウント登録手続においてユーザーによる入力情報をもとに生成される。また、ユーザーの属性情報を含む他の情報は、主にユーザーのアカウント登録手続時に、必要情報としてユーザーに入力させる情報や、ユーザーからレビュー対象として選択された商品やサービスとは必ずしも関係なく、ユーザーの興味や関心事を測るためのアンケートに基づいて入力させる情報が含まれる。ユーザーは、そのようなアンケートとして提示される多数の項目のうち、特に自身が関心のある分野や項目について多く回答をすればするほど、後述するレビュー生成におけるレビューの質や正確性を高めることに繋がる。このように、ユーザーの識別情報と、以下に説明する属性情報などの個人情報を連携させることで、レビュー対象の選択からレビュー文の提示までのユーザーフローを簡便にすることができる。
【0028】
ユーザーの属性情報には、例えばユーザーの年齢、性別、身長、体重、居住地、使用言語等の属性が含まれる他、特定の商品やサービスのカテゴリーにおける属性として、用途、目的、顧客層、価格層といった情報を含んでもよい。例えば、商品がスポーツシューズである場合、足形データや選手レベル、運動目的といった情報を含んでもよい。商品がアパレルである場合、体形データや衣服のカテゴリーといった情報を含んでもよい。
【0029】
嗜好情報には、ユーザーごとの商品やサービスの好み、ユーザーごとの商品の使用目的、ユーザーごとのサービスの利用目的、等の情報が含まれる。商品の購入履歴やサービスの予約履歴には、レビュー提示サーバー50を通じて提供されたユーザーごとの商品の購入履歴やサービスの予約履歴が含まれる。
【0030】
事前情報における第2の情報には、レビュー対象となる商品やサービスに関する感性調査等の簡易テストに対してユーザーが回答した情報が含まれる。質問記憶部66は、複数のレビュー対象のそれぞれに関する感性調査等の簡易的な質問である質問情報を記憶する。対象提示部54は、レビュー対象の享受を検討するユーザーへ質問情報を提示し、その質問情報に対するユーザーの回答をユーザーに関する事前情報として取得する。
【0031】
質問情報は、複数の評価軸のうちいずれの評価軸でレビュー文を生成するのがユーザーの嗜好に合致する、または、近いかを判定するための質問である。評価軸としては、例えば外観、機能、感覚、購入数、サービス、第三者からの反応、価格といった基準のうち少なくともいずれかを評価の軸とする。各評価軸に対応する質問情報が質問記憶部66に記憶され、ユーザーに提示される。質問情報は、複数の画像を提示した上でいずれがユーザーの好みに合致するかを選択させるような質問であってもよい。別の質問情報では、複数の項目を提示した上で項目ごとにユーザーにとっての重要度を選択させるような質問であってもよい。別の質問情報では、異なる文体または語調の複数のレビュー文例を提示した上で、いずれがユーザーによるレビューの文体、語調、言語、文の長さに近いかを選択させるような質問であってもよい。評価軸判定部53は、質問情報に対するユーザーの回答に基づいてレビュー文の評価軸を判定する。評価軸判定部53は、質問情報として提示される多数の項目のうち、ユーザー自身が関心のある分野や項目について多く回答をすればするほど、その回答が多い分野や項目に対応する評価軸が相対的に重要であると判定してもよい。評価軸判定部53は、一つの質問に対するユーザーの回答時間が短いほど、その評価軸に関するユーザーの嗜好は明確であるため、その評価軸が相対的に重要であると判定してもよい。レビュー生成部56は、判定した評価軸に沿ってレビュー文を生成する。
【0032】
モデル記憶部68は、商品またはサービスの仕様情報と、ユーザーごとの事前情報に基づいて、その商品またはサービスに対する評価(以下、「予測評価値」という)を予測する予測モデルをあらかじめ記憶する。この予測モデルは、商品またはサービスの仕様情報およびユーザーごとの事前情報から評価値を予測するための事前学習済みモデルである。嗜好判定部55は、商品またはサービスの仕様情報およびユーザーごとの事前情報から予測モデルを用いて予測評価値を生成する。予測評価値は、後述する複数の評価軸のパラメターで構成されてもよく、複数の評価軸に対してユーザーごと嗜好に応じた重みが加えられてもよい。嗜好判定部55は、ユーザーの事前情報に基づいて予測モデルへ入力するための情報として、ユーザーの嗜好を判定してもよい。嗜好判定部55は、感性調査等の簡易テストとしての質問における複数の評価軸におけるユーザーの回答結果に基づいてユーザーの嗜好を判定してもよい。嗜好判定部55は、質問情報として提示される多数の項目のうち、特にユーザー自身が関心のある分野や項目について多く回答をすればするほど、その分野や項目に対する嗜好の度合いが高いと判定してもよい。嗜好判定部55は、一つの質問への回答時間が短いほどその評価軸に関するユーザーの嗜好が明確であるとの前提で、その分野や項目に対する嗜好の度合いが高いと判定してもよい。
【0033】
モデル記憶部68は、商品またはサービスの仕様情報、ユーザーの事前情報、および予測評価値をもとにレビュー文を生成する言語モデルをさらに記憶する。この言語モデルは、ネットワーク80を介して接続された言語モデルサーバー90の大規模言語モデルを学習処理部59によってファインチューニングしたモデルであってもよい。学習処理部59は、言語モデルに対してユーザーごとの事前情報のデータセットを用いてファインチューニングを加える処理を実行してもよい。学習処理部59は、言語モデルに対して後述するフィードバック情報を用いてファインチューニングを加える処理を実行してもよい。学習処理部59は、予測モデルに対して後述するフィードバック情報を用いて再学習をさせてもよい。
【0034】
なお、本実施形態においては、嗜好判定部55が予測モデルを用いて予測評価値を生成した後に、その予測評価値および言語モデルを用いてレビュー文を生成する例を説明した。変形例においては、予測モデル自体が言語モデルを含む形であらかじめ構築され、商品またはサービスの仕様情報およびユーザーの事前情報に基づいて予測モデルが予測評価値およびレビュー文を直接生成するよう予測モデルが事前学習されていてもよい。例えば、事前情報に複数人の過去のレビュー文のデータセットを多く含む場合、そうした膨大なレビュー文を用いて言語モデルをファインチューニングすることで、仕様情報および事前情報からレビュー文を生成する予測モデルを事前に構築してもよい。
【0035】
予測モデルまたは言語モデルに入力される情報には、商品等の仕様情報、ユーザーの属性情報や嗜好情報、過去のレビュー文だけでなく、レビュー文の生成にあたってユーザーに実施させる感性調査等の簡易テストの結果である回答情報が含まれる。感性調査等の簡易テストは、ユーザーの嗜好を探る上で重要な情報である、複数の評価軸のうちいずれを特にユーザーが重視しているかを示す情報を把握しやすいように構成されている。すなわち、ユーザーの嗜好に関する情報が乏しい状態から嗜好の特性を把握するために複数の簡易な質問事項が複数の評価軸に分けられて対応している。例えば、色調の傾向が大きく異なる複数の画像を提示した上でユーザーに好みの色調を選択させる質問は、外観評価軸に対応する質問である。例えばユーザーが青色を基調とする画像を選んだ場合、嗜好判定部55はユーザーが嗜好する色は青であると判定する。例えば色調に関する質問に多く回答するユーザーに対しては、外観評価軸がそのユーザーにとって相対的に重要であると判定する。すなわち、感性調査に含まれる質問情報が、複数の評価軸に対応して構成されており、評価軸ごとのユーザーの嗜好を示す情報と、特に重視する評価軸の種類を示す情報とが、質問に対するユーザーの回答情報に含まれることとなる。ユーザーがいずれの評価軸を特に重視しているかは、例えば複数の評価軸に対応する複数の質問のうち、ユーザーが任意で回答した項目や、重点的に回答した項目に基づいて評価軸判定部53が推定してもよい。あるいは、ユーザーが回答に要した時間の短さ、または、いかに即答したかに応じていずれの評価軸を重視しているかを評価軸判定部53が推定してもよい。逆に、ユーザーがいずれの評価軸を重視していないかは、複数の評価軸に対応する複数の質問のうち、ユーザーによる回答率が低い項目やユーザーがまったく回答しなかった項目に基づいて評価軸判定部53が推定してもよい。
【0036】
ユーザーによる質問への回答履歴は事前情報記憶部64に蓄積される。嗜好判定部55および評価軸判定部53は、事前情報記憶部64に蓄積された過去の回答履歴に含まれるユーザーの回答内容を再利用し、ユーザーの嗜好の判定や評価軸の判定に参照してもよいし、新たな質問情報に対するユーザーの回答に過去の質問および回答の情報を追加して、ユーザーの嗜好の判定や評価軸の判定に参照してもよい。
【0037】
レビュー出力部58は、レビュー生成部56によって生成されたレビュー文をユーザー端末10に送信することで、レビュー文をユーザーに提示する。レビュー出力部58は、レビュー文とともに、レビュー生成部56が生成した予測評価値を星の個数やレーダーチャート等の形式でユーザーに提示してもよい。
【0038】
フィードバック取得部70は、レビュー文が提示されたユーザーにより実際に享受された後にユーザーにより入力されたフィードバック情報を取得する。例えば、ユーザーに提示したレビュー文に対して、実際に商品またはサービスを享受したユーザーの感想にどの程度近いかを得点化した数値であってもよいし、ユーザー自身が実際の感想をもとに書いたレビュー文であってもよい。フィードバック情報が実際にユーザーが書いたレビュー文である場合、そのレビュー文はあらたな学習に用いられるデータセットとして、事前情報記憶部64に記憶させてもよい。レビュー生成部56は、フィードバック情報に基づいてレビュー文を再生成してもよい。また、フィードバック情報が予測モデルまたは言語モデルを再学習するためのデータセットとして用いられてもよい。フィードバック情報を再学習に用いることで、次回のレビュー生成時において、重視する評価軸の精度向上、レビューの質を分析から得られる言葉遣いや長さなどの特徴量が収集され、個人特性を反映したレビュー生成が可能となる。レビュー出力部58は、再生成されたレビュー文をユーザー端末10に送信することでユーザーに再提示してもよい。
【0039】
図3は、レビュー文を生成する基本的な過程を示す。まず、ユーザーの享受前にレビュー対象として商品またはサービスを選択すると(符号110)、その選択された商品またはサービスに対応する質問が感性調査等の簡易テストの形でユーザーに提示される(符号112)。ユーザーが質問に回答すると、その回答の情報が事前情報に含められる(符号114)。ユーザーに関する事前情報が評価部57に送られ、その事前情報に基づいて所定の予測モデルおよび言語モデルを用いてレビュー文が生成される(符号116)。生成されたレビュー文はレビュー出力部58によってユーザー端末10へ出力される(符号118)。
【0040】
ユーザーは、商品またはサービスを享受した後、実際の享受後の感想に基づいてフィードバック情報を送信する(符号120)。学習処理部59は、フィードバック情報に基づいて予測モデルまたは言語モデルの再学習を行う。再学習された予測モデルまたは言語モデルを用いて、レビュー文を再生成し(符号116)、再生成されたレビュー文をレビュー出力部58がユーザー端末10へ再出力してもよい(符号118)。
【0041】
図4は、外観を評価軸とする場合の質問を提示する簡易テスト画面例を示す。ユーザー端末10の簡易テスト画面200において、色調や外形が対照的である一対の商品画像が提示されるとともに、いずれの外観がユーザーの好みに近いかを問う質問文が提示される。本実施形態においては、レビュー対象としてスポーツシューズを選択した場合における質問として、色調や外形が対照的である一対のシューズ画像が提示される。こうした一対の商品画像が複数通り提示され、ユーザーが多く回答するほどユーザーが好むシューズの外観の傾向が把握される。このような回答情報が事前情報として事前情報記憶部64に記憶される。
【0042】
図5は、機能を評価軸とする場合の質問を提示する簡易テスト画面例を示す。ユーザー端末10の簡易テスト画面200において、「ケガの防止」「パフォーマンス」「通気性」といった、シューズの機能に関する項目が提示されるとともに、項目ごとにユーザーにとっての重要度の高さを問う質問文が提示される。ユーザーが各項目に対して感じる重要度の高さを回答するほどユーザーがどのような機能を重視しているかの傾向が把握される。このような回答情報が事前情報として事前情報記憶部64に記憶される。
【0043】
対象提示部54は、その他、ユーザーの感覚、期待度、第三者からの反応、価格といった評価軸に関する質問をユーザーに提示してもよい。ユーザーの感覚に関する質問としては、例えば複数種類の画像を提示した上で、安心感や快適さといった主観的な感情を抱く度合いをユーザーに評価させ、回答させる質問でもよい。ユーザーの期待度に関する質問としては、例えば複数種類の画像を提示した上で、その画像に対してユーザーが抱く期待度を数値で回答させる質問でもよい。第三者からの反応とは、第三者からの客観的な評価を指し、例えば、自身が好むインフルエンサーの意見や賛同が多いレビューの内容を反映させる方法として、様々な種類のレビュー文例を提示した上で、ユーザー自身のレビュー文に近いものを選択させる質問でもよい。価格に関する質問としては、例えば複数種類の画像を提示した上で、その画像に対してユーザーが想定する価格を選択させる質問や、ユーザー自身の金銭的な価値観に近いものを選択させる質問でもよい。
【0044】
図6は、ユーザーによる表現の傾向を把握するための質問を提示する簡易テスト画面例を示す。ユーザー端末10の簡易テスト画面200において、異なる文体または語調の複数のレビュー文例が提示されるとともに、いずれがユーザーの好む文体や語調に近いかを選択させる質問文が提示される。ユーザーの選択に応じてユーザーの文体または語調を推定することができる。このような回答情報が事前情報として事前情報記憶部64に記憶される。
【0045】
また、1問目の質問に対してユーザーがレビュー文例の選択を回答した後、その回答内容に応じてユーザーの嗜好や重視する評価軸を推定し、その推定結果に応じて2問目以降のレビュー文例としてどのような選択肢をユーザーに提示すべきかを対象提示部54が決定してもよい。
【0046】
図7は、レビュー対象の候補と、レビュー文および予測評価値の提示をする画面例を示す。画面201において、3つの商品を選択候補210としてユーザーに提示する。図の例では、「TypeA」「TypeB」「TypeC」の3種類のシューズが提示されている。また、これら3種類のシューズにおける機能の違いを示すために、あらかじめ仕様記憶部62に記憶される各商品の仕様をレーダーチャート211の形で提示する。例えば初期的にいずれかの商品が選択状態となり、その選択状態の商品に対応してレビュー生成部56によって生成されたレビュー文213と予測評価値212がレビュー欄214に表示される。ユーザーが別の商品を選択すると、その選択状態となった商品に対応するレビュー文213および予測評価値212がレビュー欄214に表示される。
【0047】
(第2実施形態)
第2実施形態におけるレビュー提示システム100は、生成したレビュー文に対するフィードバック情報を取得し、レビュー文を再生成する機能が除外されている点で第1実施形態におけるレビュー提示システム100と相違する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点の記載は省略する。
【0048】
図8は、第2実施形態におけるレビュー文を生成する基本的な過程を示す。まず、ユーザーがレビュー対象として商品またはサービスを選択すると(符号110)、その選択された商品またはサービスに対応する質問が簡易テストの形でユーザーに提示される(符号112)。ユーザーが質問に回答すると、その回答の情報が事前情報に含められる(符号114)。記憶されるユーザーに関する事前情報がレビュー生成部56に送られ、その事前情報に基づいて所定の予測モデルおよび言語モデルを用いてレビュー文が生成される(符号116)。生成されたレビュー文はレビュー出力部58によってユーザー端末10へ出力される(符号118)。
【0049】
第2実施形態においては、ユーザーは、商品またはサービスを享受した後、実際の享受後の感想に基づいてレビュー文を評価するフィードバックは実施しない。しかし、この場合でも簡易テストの実施に基づく事前情報により、精度よくユーザーが作成したようなレビュー文を生成し、商品やサービスの享受前の段階でユーザーに提示することができる。
【0050】
(第3実施形態)
第3実施形態におけるレビュー提示システム100は、ユーザーに質問を提示して回答を取得する感性調査の実施機能が除外されている点で第1,2実施形態におけるレビュー提示システム100と相違する。以下、第1,2実施形態との相違点を中心に説明し、共通点の記載は省略する。
【0051】
図9は、第3実施形態におけるレビュー文を生成する基本的な過程を示す。まず、ユーザーがレビュー対象として商品またはサービスを選択すると(符号110)、記憶されるユーザーに関する情報がレビュー生成部56に送られ、その情報に基づいて所定の予測モデルおよび言語モデルを用いてレビュー文が生成される(符号116)。生成されたレビュー文はレビュー出力部58によってユーザー端末10へ出力される(符号118)。
【0052】
第3実施形態においても、ユーザーは、商品またはサービスを享受した後、実際の享受後の感想に基づいてレビュー文を評価するフィードバックは実施しない。また、レビュー文の生成に先立って簡易テストも実施しない。しかし、この場合でも、あらかじめ記憶される事前情報により、精度よくユーザーが書いたようなレビュー文を生成し、商品やサービスの享受前の段階でユーザーに提示することができる。
【0053】
(第4実施形態)
第4実施形態におけるレビュー提示システム100は、レビュー対象に対する感性調査等の簡易テストの結果のみを事前情報として用い、簡易テストの結果以外の事前情報を用いずにレビューを生成する点で第1~3実施形態におけるレビュー提示システム100と相違する。すなわち事前情報における第1の情報を使用しないという点で、第1~3実施形態におけるレビュー提示システム100と相違する。以下、第1~3実施形態との相違点を中心に説明し、共通点の記載は省略する。
【0054】
図10は、第4実施形態におけるレビュー文を生成する基本的な過程を示す。まず、ユーザーがレビュー対象として商品またはサービスを選択すると(符号110)、その選択された商品またはサービスに対応する質問が簡易テストの形でユーザーに提示される(符号112)。ユーザーが質問に回答すると、その回答の情報がレビュー生成部56に送られ、その情報に基づいて所定の予測モデルおよび言語モデルを用いてレビュー文が生成される(符号116)。生成されたレビュー文はレビュー出力部58によってユーザー端末10へ出力される(符号118)。本実施形態においては、そのユーザーにおける基本的な情報の影響を受けず、感性調査等の簡易テストの結果に基づいて評価軸が判定され、レビュー文が生成される。これにより、レビュー文を参照したいタイミングでの嗜好や状態をレビュー文に強く反映させることが可能となる。
【0055】
(第5実施形態)
第5実施形態におけるレビュー提示システム100は、複数のレビュー対象を選択してレビュー文を生成する点で第1~4実施形態におけるレビュー提示システム100と相違する。以下、第1~4実施形態との相違点を中心に説明し、共通点の記載は省略する。
【0056】
第5実施形態においては、ユーザーは複数のレビュー対象を選択する。その場合、レビュー文の生成には複数の項目が反映された結果となる。例として、マラソン大会と宿泊施設をレビュー対象として選択した場合を想定する。その感性調査では、マラソン大会への出場を前提として宿泊する施設として期待する評価軸は何か、といった複合的な嗜好を問う質問を提示し、その質問に対する回答に基づいてレビュー文を生成する。また、複数のレビュー対象のそれぞれに対して個別に感性調査を実施し、それらの回答数や回答傾向から、どちらのレビュー対象に、より嗜好の重みがあるかを判定し、その重みをレビュー文の生成時に反映させてもよい。
【0057】
以上、実施の形態を説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も範囲にあることは当業者に理解されるところである。また、上述した実施形態を一般化すると以下の態様が得られる。
【0058】
(1)本開示の一態様にかかるレビュー提示装置は、
複数のレビュー対象のそれぞれに関する仕様情報を記憶する仕様記憶部と、
前記複数のレビュー対象のうちユーザーの享受前に少なくとも一つのレビュー対象をユーザーに提示する対象提示部と、
ユーザーに関する情報を記憶する情報記憶部と、
前記提示されたレビュー対象の仕様情報および前記ユーザーに関する情報に基づき、予測モデルを用いて前記ユーザーが作成したようなレビュー文を生成するレビュー生成部と、
前記生成されたレビュー文を前記ユーザーに提示するレビュー出力部と、
を備える。
前記(1)のレビュー提示装置によれば、ユーザーは未体験のアイテムに関してユーザー自身が書くようなレビュー文を提示できる技術を提供することができる。
(2)(1)に記載のレビュー提示装置において、
前記複数のレビュー対象のそれぞれに対する感性調査の質問を含む質問情報を記憶する質問記憶部をさらに備え、
前記対象提示部は、レビュー対象の享受を検討するユーザーへ前記質問情報を提示し、その質問情報に対する前記ユーザーの回答を前記ユーザーに関する情報として取得してもよい。
(3)(2)に記載のレビュー提示装置において、
前記評価部は、前記質問情報に対するユーザーの回答に基づいてユーザーの嗜好を判定してもよい。
(4)(2)または(3)に記載のレビュー提示装置において、
前記質問情報は、複数の評価軸のうちいずれの評価軸でレビュー文を生成するのが前記ユーザーの嗜好に適するかを判定するための質問を含み、
前記評価部は、前記質問情報に対する前記ユーザーの回答に基づいて前記レビュー文の評価軸を判定し、判定した評価軸に沿って前記レビュー文を生成してもよい。
(5)(1)から(4)のいずれかに記載のレビュー提示装置において、
前記ユーザーに関する情報は、前記ユーザーの属性情報、嗜好情報、および過去のレビュー文のうち少なくともいずれかを含んでもよい。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載のレビュー提示装置において、
前記レビュー文が提示されたユーザーにより、実際に享受された後に前記ユーザーにより入力されたフィードバック情報を取得するフィードバック取得部をさらに備え、
前記評価部は、前記フィードバック情報に基づいて前記レビュー文を生成する予測モデルを再学習してもよい。
(7)本開示の一態様にかかるレビュー提示方法は、
複数のレビュー対象のうちユーザーが享受したことがない少なくとも一つのレビュー対象をユーザーに提示する過程と、
前記提示されたレビュー対象に関する仕様情報を読み出す過程と、
前記ユーザーに関する情報を読み出す過程と、
前記提示されたレビュー対象の仕様情報および前記ユーザーに関する情報に基づき、予測モデルを用いて前記ユーザーが作成したようなレビュー文を生成する過程と、
前記生成されたレビュー文を前記ユーザーに提示する過程と、
を備える。
【符号の説明】
【0059】
16 対象提示部、 18 レビュー出力部、 54 対象提示部、 56 レビュー生成部、 58 レビュー出力部、 62 仕様記憶部、 64 事前情報記憶部、 66 質問記憶部、 70 フィードバック取得部。
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