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2025-51062制御方法、抄造体の製造方法、ギヤの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025051062
(43)【公開日】2025-04-04
(54)【発明の名称】制御方法、抄造体の製造方法、ギヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/00 20060101AFI20250328BHJP
   B29C 70/42 20060101ALI20250328BHJP
   B29C 43/36 20060101ALI20250328BHJP
【FI】
B29C33/00
B29C70/42
B29C43/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023159964
(22)【出願日】2023-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】川村 崇之
(72)【発明者】
【氏名】山崎 悟
(72)【発明者】
【氏名】荒栄 敬義
【テーマコード(参考)】
4F202
4F205
【Fターム(参考)】
4F202AH12
4F202CA09
4F202CA27
4F202CB01
4F202CK90
4F202CL14
4F202CL15
4F202CL41
4F202CP10
4F205AC05
4F205AD16
4F205AH12
4F205HA08
4F205HA25
4F205HA37
4F205HB01
4F205HC08
4F205HK03
4F205HK04
4F205HT05
(57)【要約】
【課題】シリンダを円滑に動作させながら適切に加圧脱水を行うこと。
【解決手段】下型11に対して第2上型13を型開閉及び型締めすることと、外輪補助シリンダ65による外輪16の押圧状態、及び、外輪補助シャフトによる外輪16の押圧状態の少なくともいずれか一方に応じて、外輪シリンダ64の伸縮に係る圧力を制御する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体原料を金型に充填して加圧脱水する脱水装置であって、下型と、前記下型を囲むように配置された外輪と、伸縮可能に構成されており、前記外輪を昇降させる外輪シリンダと、前記下型の上方で昇降することにより、前記下型に対して型開閉型締めされる上型と、伸縮可能に構成されており、伸長することによって前記外輪を下方に押圧する外輪補助シリンダと、前記下型に接触することにより前記外輪を下方に押圧する外輪補助シャフトと、を備える脱水装置の制御方法において、
前記下型に対して前記上型を型開閉及び型締めすることと、
前記外輪補助シリンダによる前記外輪の押圧状態、及び、前記外輪補助シャフトによる前記外輪の押圧状態の少なくともいずれか一方に応じて、前記外輪シリンダの伸縮に係る圧力を制御することと、を含む、制御方法。
【請求項2】
前記外輪補助シャフトによる前記外輪の押圧開始前において、前記外輪シリンダに対して、伸長する方向の基準圧を設定し、
前記外輪補助シャフトによる前記外輪の押圧開始後において、前記外輪シリンダに対して、伸長する方向の圧力であって前記基準圧よりも低い低圧を設定する、請求項1記載の制御方法。
【請求項3】
前記加圧脱水が開始されてから所定時間が経過した後において、加圧脱水が完了したと判定し、前記外輪シリンダに対して、収縮する方向の圧力であって前記基準圧よりも高い高圧を設定する、請求項2記載の制御方法。
【請求項4】
前記外輪補助シリンダによる前記外輪の押圧時において、前記外輪補助シリンダに対して圧抜きを行う、請求項2記載の制御方法。
【請求項5】
加圧脱水が完了したと判定した際において、前記外輪補助シリンダに対して、伸長する方向の圧力を設定する、請求項3記載の制御方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項記載の制御方法により前記液体原料を加圧脱水し、抄造体を得る工程を含む、抄造体の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の抄造体の製造方法により抄造体を得る工程と、
前記抄造体の外周面に歯を形成することによって、ギヤを得る工程と、を含む、ギヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御方法、抄造体の製造方法、及びギヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に配慮したモノづくりの一環として、金属製ギヤに代えて樹脂製ギヤの採用が進んでいる。特許文献1には、繊維片を含む液体(液体原料)を加圧脱水して、樹脂製ギヤの基となる抄造基材を作成する抄造機が開示されている。また、特許文献2には、ターンテーブル上に下型を載置し、上型を昇降させて型開閉及び型締めする竪型射出成形機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-77541号公報
【特許文献2】特開2022-24412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したような脱水装置により液体原料を加圧脱水する場合、型の圧力によって液体原料が横方向に広がり、横方向に広がった液体原料によって、型を囲むように配置された外輪のシリンダの動作に影響が生じる場合がある。また、そのような状態で加圧脱水を行うことによって、上述したシリンダの負荷が大きくなるおそれがある。
【0005】
本開示は上記実情に鑑みてなされたものであり、シリンダの負荷を軽減させながら適切に加圧脱水を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る制御方法は、液体原料を金型に充填して加圧脱水する脱水装置であって、下型と、下型を囲むように配置された外輪と、伸縮可能に構成されており、外輪を昇降させる外輪シリンダと、下型の上方で昇降することにより、下型に対して型開閉型締めされる上型と、伸縮可能に構成されており、伸長することによって外輪を下方に押圧する外輪補助シリンダと、下型に接触することにより外輪を下方に押圧する外輪補助シャフトと、を備える脱水装置の制御方法において、下型に対して上型を型開閉及び型締めすることと、外輪補助シリンダによる外輪の押圧状態、及び、外輪補助シャフトによる外輪の押圧状態の少なくともいずれか一方に応じて、外輪シリンダの伸縮に係る圧力を制御することと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、シリンダの負荷を軽減させながら適切に加圧脱水を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】抄造機の側面図である。
図2】抄造機の平面図である。
図3】排液通路を通じて液体を排液する排液機構を示す模式図である。
図4】抄造機のハードウェアブロック図である。
図5】繊維充填処理のフローチャートである。
図6】加圧脱水処理のフローチャートである。
図7】加圧脱水処理を説明する図である。
図8】加圧脱水処理を説明する図である。
図9】加圧脱水処理を説明する図である。
図10】加圧脱水処理を説明する図である。
図11】加圧脱水処理を説明する図である。
図12】加圧脱水処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係る抄造機1(脱水装置)の制御方法を図面に基づいて説明する。なお、以下に記載する本実施形態は、本開示を具体化する際の一例を示すものであって、本開示の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本開示は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。
【0010】
[抄造機1の構成]
図1及び図2を参照して、脱水装置の一例である抄造機1の構成を説明する。図1は、抄造機1の側面図である。図2は、抄造機1の平面図である。図1及び図2は、いずれも模式図であり、抄造機1の構成を簡略化して記載している。そのため、図1及び図2に示される各構成の形状等は実際の形状等とは異なっている場合がある。また、例えば、図1及び図2においては、後述する外輪シリンダ64、外輪補助シリンダ65、及び、外輪補助シャフト80(図7等参照)等の構成について図示が省略されている。抄造機1は、スラリー2(液体原料)を金型に充填して加圧脱水することによって、成形品である抄造基材3(抄造体)を製造する装置である。
【0011】
スラリー2とは、繊維片を含む液体である。より詳細には、スラリー2は、水と、繊維片(例えば、アラミド繊維)と、定着剤などの添加剤と、樹脂(例えば、高強度・高耐熱ポリアミノアミド樹脂)とを所定の割合で混合したものである。但し、スラリー2内の繊維片の含有比率は、常に一定とはならず、多少の変動が生じることがある。
【0012】
抄造基材3とは、樹脂製のギヤの基となる円筒形状の部材である。より詳細には、抄造機1で製造された円筒形状の抄造基材3の外周面に歯を形成すること(ギヤを得る工程)によって、樹脂製のギヤが製造される。樹脂製のギヤは、例えば、自動車の駆動系に採用される。抄造基材3から製造された樹脂製のギヤは、金属製のギヤと比較して、噛み合い音や歯打ち音が低減されると共に、軽量化を実現することができる。但し、抄造基材3から製造されるのはギヤに限定されず、ギヤの用途は自動車の駆動系に限定されない。
【0013】
図1及び図2に示すように、抄造機1の金型は、2つの下型11と、第1上型12と、第2上型13とで構成される。下型11は、支持ブロック14に支持される。また、下型11内には、インサート15が収容される。さらに、下型11は外輪16に保持され、第2上型13は外輪17に保持される。但し、下型11は1つでもよい。
【0014】
2つの下型11は、互いに同一形状である。下型11は、円柱形状の外形を呈する。下型11の直径は、抄造基材3の外形寸法に対応する。そして、下型11には、上下方向に貫通する排液通路11aが形成されている。また、下型11は、支持ブロック14に固定されている。また、下型11の上面には、インサート15が載置される。さらに、下型11は、外輪16の内部に配置されている。
【0015】
支持ブロック14は、下型11及び外輪16を支持する。より詳細には、支持ブロック14の上面には、下型11が固定される。また、支持ブロック14は、外輪16を昇降可能に支持する。また、支持ブロック14には、下型11の排液通路11aに連通する排液通路14aが形成されている。排液通路14aは、図1に示すように上下方向に延びた後、図3に示すように回転テーブル21の径方向(水平方向)に屈曲している。排液通路14aは、図3を参照して後述する接続部41a、41bを介して排液ポンプ43a、43bに接続される。さらに、支持ブロック14には、上面から下方に凹むリング形状の凹部14bが形成されている。
【0016】
インサート15は、下型11の上面に着脱可能に載置される。インサート15は、リング形状(円筒形状)の外形を呈する。インサート15の外形寸法は、下型11の外形寸法より小さい。インサート15は、抄造基材3(すなわち、樹脂製のギヤ)の内周側の一部を構成する金属製の部品である。
【0017】
外輪16は、筒形状(典型的には、円筒形状)の外形を呈する。外輪16は、下型11を囲むように配置される。また、外輪16は、外輪シリンダ64(図7等参照)によって下方から支持されている。そして、外輪16は、外輪シリンダ64の伸縮によって、下型11とは独立して昇降可能に構成されている。
【0018】
外輪シリンダ64(図7等参照)は、例えば、圧縮空気の給排によって伸縮するエアシリンダである。図7等に示すように、外輪シリンダ64は、支持ブロック14、及び、外輪16の間に配置されている。換言すれば、外輪シリンダ64は、外輪16を支持する。また、外輪シリンダ64は、伸縮することによって外輪16を昇降させる。
【0019】
より詳細には、外輪16は、上昇圧P1で外輪シリンダ64を最大まで伸長させることによって、上昇限(前進限)まで上昇する。また、外輪16は、最大まで伸長した外輪シリンダ64に上昇維持圧P2が付与されることによって、上昇限に維持される。また、外輪16は、図8(A)に示すように、第2上型13の下降を待つ状態において、外輪シリンダ64に支持圧P3(基準圧)が設定される。さらに、外輪16は、図9(A)に示すように、外輪補助シリンダ65及び外輪補助シャフト80による外輪16の押圧時において、外輪シリンダ64に、支持圧P3よりも低い低圧P10が設定され、外輪補助シリンダ65に上方から押圧されることによって、上昇限及び下降限の間の任意に位置まで下降する。また、外輪16は、図10(A)に示すように、加圧脱水完了後において、下降圧P11で外輪シリンダ64を収縮させることによって、下降限まで下降する。上述した各圧力は、少なくとも、P11>P3>P10の関係が成り立つ。また、P1=P2=P3であってもよいし、P1=P2>P3であってもよいし、P1>P2>P3であってもよい。
【0020】
第1上型12は、下型11及び外輪16の上方に配置されている。また、第1上型12は、下面が開放され且つ上面が閉塞された円筒形状の外形を呈する。第1上型12の内径寸法は、外輪16の内径寸法に対応する。さらに、第1上型12の上面には、供給装置(図示省略)からスラリー2が供給される供給口12aが設けられている。そして、第1上型12は、第1型開閉モータ62(図4参照)の駆動力が伝達されることによって、下型11(より詳細には、外輪16)に対して型開閉及び型締めされる。
【0021】
第2上型13は、下型11の上方に配置されている。また、第2上型13は、リング形状の外形を呈する。第2上型13の内径寸法は、インサート15の外形寸法に対応する。第2上型13の外形寸法は、外輪16の内径寸法に対応する。さらに、第2上型13は、外輪17の内側に固定されている。
【0022】
外輪17は、外輪16の上方に配置されている。また、外輪17は、下面が開放され且つ上面が閉塞された筒形状(典型的には、円筒形状)の外形を呈する。外輪17の内径寸法は、第2上型13の外形寸法及び外輪16の内径寸法に対応する。さらに、外輪17は、第2上型13を囲むように配置されている。そして、第2上型13及び外輪17は、第2型開閉モータ63(図4参照)の駆動力が伝達されることによって、一体となって昇降して、下型11及び外輪16に対して型開閉及び型締めされる。
【0023】
なお、図1の例では、支持ブロック14に1つの下型11が支持されているが、支持ブロック14は、複数(例えば、4つ)の下型11を纏めて支持してもよい。換言すれば、図1の例では、外輪16内に1つの下型11が配置されているが、外輪16は、複数(例えば、4つ)の下型11を纏めて保持してもよい。また、第1上型12の数は、外輪16に保持された下型11の数に対応する。同様に、外輪17に纏めて保持される第2上型13の数は、外輪16に保持された下型11の数に対応する。
【0024】
図1及び図2に示すように、抄造機1は、フレーム20と、回転テーブル21(テーブル)と、第1可動ダイプレート22と、第2可動ダイプレート23とを備える。フレーム20は、回転テーブル21、第1可動ダイプレート22、及び第2可動ダイプレート23の他、抄造機1の構成部品を支持している。
【0025】
回転テーブル21は、円盤形状の外形を呈する。回転テーブル21は、上下方向に延びる回転軸24を介して、フレーム20に回転可能に支持されている。また、回転テーブル21には、必要最小限のタップ(貫通孔)のみが形成されている。さらに、回転テーブル21に設けられたタップは、ボルトキャップによって閉塞されている。
【0026】
回転テーブル21の上面には、支持ブロック14が載置されている。本実施形態に係る2つの支持ブロック14は、回転テーブル21の周方向に180°の間隔を隔てて配置(換言すれば、回転軸24を挟んで反対側に配置)されている。さらに、回転テーブル21は、テーブル回転モータ61(図4参照)の駆動力が伝達されることによって、回転軸24周りに回転する。
【0027】
より詳細には、回転テーブル21は、支持ブロック14を介して載置された下型11が第1上型12または第2上型13に対面するように移動(回転)可能に構成されている。本実施形態では、2つの下型11のうち、一方の下型11が第1上型12に対面するときに、他方の下型11が第2上型13に対面する。
【0028】
図2等に示すように、第1可動ダイプレート22は、回転テーブル21の上方において、フレーム20に支持されている。また、第1可動ダイプレート22の下面には、第1上型12が固定される。さらに、第1可動ダイプレート22は、第1型開閉モータ62の駆動力がトグルリンク機構(図示省略)を通じて伝達されることによって、下型11に対して第1上型12を型開閉及び型締めする。
【0029】
より詳細には、第1型開閉モータ62が第1方向に回転することによって、第1可動ダイプレート22は、第1上型12と一体となって下降する。これにより、図1(B)に示すように、第1上型12の下端が外輪16の上端に当接して、下型11、第1上型12、及び外輪16の間にキャビティ(内部空間)が形成される(すなわち、型閉される)。そして、第1可動ダイプレート22にさらに下向きの圧力が加わると、下型11(外輪16)と第1上型12とが型締めされる。
【0030】
そして、下型11(外輪16)と第1上型12とが型締めされた状態で、供給口12aを通じて供給装置からスラリー2が供給されることによって、下型11内(より詳細には、下型11の上面、インサート15の外周面、及び外輪16の内周面とで囲まれた空間)に、スラリー2が充填される。また、下型11(外輪16)と第1上型12とが型締めされた状態で、排液ポンプ43aが駆動されることによって、下型11内に充填されたスラリー2に含まれる液体が排液通路11a、14a及び第1接続位置の接続部41aを通じて排液(一次脱水)される。
【0031】
一方、第1型開閉モータ62が第1方向と逆方向の第2方向に回転することによって、第1可動ダイプレート22は、第1上型12と一体となって上昇する。これにより、図1(A)に示すように、下型11(外輪16)と第1上型12とが型開される。
【0032】
図2等に示すように、第2可動ダイプレート23は、回転テーブル21の上方において、フレーム20に支持されている。また、第2可動ダイプレート23の下面には、第2上型13及び外輪17が固定される。また、第2可動ダイプレート23は、一対の外輪補助シリンダ65を支持している(図7(A)等参照)。さらに、第2可動ダイプレート23は、第2型開閉モータ63の駆動力がトグルリンク機構(図示省略)を通じて伝達されることによって、下型11に対して第2上型13を型開閉及び型締めする。
【0033】
より詳細には、第2型開閉モータ63が第1方向に回転することによって、第2可動ダイプレート23は、第2上型13、外輪17、外輪補助シリンダ65、及び外輪補助シャフト80と一体となって下降する。これにより、外輪17の下端が外輪16の上端に当接して、下型11、第2上型13、外輪16、及び外輪17の間にキャビティ(内部空間)が形成される(すなわち、型閉される)。そして、第2可動ダイプレート23にさらに下向きの圧力が加わると、図1(B)に示すように、外輪17が外輪シリンダ64の支持圧P3に抗して外輪16を押し下げる。これにより、インサート15の一部が第2上型13の内側に進入する位置まで第2上型13が下降して、下型11(外輪16)と第2上型13とが型締めされる。
【0034】
これにより、下型11内に充填されたスラリー2が加圧脱水される。また、下型11と第2上型13とが型締めされた状態で、排液ポンプ43bが駆動されることによって、下型11内に充填されたスラリー2に含まれる液体が排液通路11a、14aを通じて排液(二次脱水)される。その結果、下型11の上面、第2上型13の下面、インサート15の外周面、及び外輪16の内周面で囲まれた空間のスラリー2が圧縮されて、抄造基材3となる。
【0035】
一方、第2型開閉モータ63が第1方向と逆方向の第2方向に回転することによって、第2可動ダイプレート23は、第2上型13、外輪17、外輪補助シリンダ65、及び外輪補助シャフト80と一体となって上昇する。これにより、図1(A)に示すように、下型11と第2上型13とが型開される。
【0036】
そして、下型11内の抄造基材3は、ロボットアーム(図示省略)によってインサート15と共に下型11から取り出される。また、下型11から取り出された抄造基材3は、オーブンで乾燥され、外周面に歯が形成されて樹脂製のギヤとなる。さらに、抄造基材3が取り出された下型11には、ロボットアームによって新たなインサート15が挿入される。
【0037】
外輪補助シリンダ65(図7等参照)は、例えば、圧縮空気の給排によって伸縮するエアシリンダであり、伸長することによって外輪16を下方に押圧する。図7等に示すように、外輪補助シリンダ65は、第2可動ダイプレート23から下方に延設されている。外輪補助シリンダ65は、図8(B)に示すように、第2可動ダイプレート23が下降することによって、外輪16を上方から押圧する。外輪補助シリンダ65は、図8(B)に示すように、外輪16に上方から当接することによって、支持圧P3の外輪シリンダ64に抗して外輪16を下降限まで下降させてもよい。外輪補助シリンダ65は、外輪16の押圧時において、圧抜きが行われてもよい(図9(A)参照,詳細は後述)。また、外輪補助シリンダ65は、加圧脱水の完了時において、外輪16が下方に移動する動作を補助する目的で、伸長する方向の圧力が設定されてもよい(図10(A)参照,詳細は後述)。そして、外輪補助シリンダ65は、外輪16が下降限まで下降した後において、上昇圧P20で収縮することによって、後退する(図11(B)参照,詳細は後述)。
【0038】
外輪補助シャフト80(図7等参照)は、下型11に接触することにより外輪16を下方に押圧するシャフトである。外輪補助シャフト80は、第2上型13に保持されており、外輪補助シリンダ65等と同様に、上下方向に沿って延びている。
【0039】
[排液機構40a、40bの構成]
図3は、排液通路11a、14aを通じて液体を排液する排液機構40a、40bを示す模式図である。図3に示すように、抄造機1は、排液機構40a、40bを備える。排液機構40a、40bは、回転テーブル21の径方向の外側において、フレーム20に支持されている。また、排液機構40a、40bは、水平方向において、支持ブロック14に対面し得る位置に配置されている。さらに、排液機構40a、40bは、回転テーブル21の周方向に離間した位置(180°間隔)に配置されている。
【0040】
排液機構40aは、第1上型12に対面する下型11を支持する支持ブロック14から液体を排出する。排液機構40aは、接続部41a(第1接続部)と、排液シリンダ42aと、排液ポンプ43aとを備える。排液機構40bは、第2上型13に対面する下型11を支持する支持ブロック14から液体を排出する。排液機構40bは、接続部41b(第2接続部)と、排液シリンダ42bと、排液ポンプ43bとを備える。
【0041】
接続部41aは、図3(B)に示す第1接続位置と、図3(A)に示す第1退避位置との間を、回転テーブル21の径方向に移動可能にフレーム20に支持されている。排液シリンダ42aは、第1接続位置及び第1退避位置の間で接続部41aを移動させるアクチュエータである。アクチュエータの具体例としては、エアシリンダ、油圧シリンダの他、電動モータ等を採用することもできる。排液ポンプ43aは、第1接続位置の接続部41aを通じて支持ブロック14から液体を吸引する。
【0042】
第1接続位置は、第1上型12に対面する下型11を支持する支持ブロック14に接続される接続部41aの位置である。そして、接続部41aの内部には、第1接続位置のときに支持ブロック14の排液通路14aと排液ポンプ43aとを接続する排液通路が設けられている。第1退避位置は、支持ブロック14から離間して回転テーブル21の外側に退避する接続部41aの位置である。
【0043】
接続部41bは、図3(B)に示す第2接続位置と、図3(A)に示す第2退避位置との間を、回転テーブル21の径方向に移動可能にフレーム20に支持されている。排液シリンダ42bは、第2接続位置及び第2退避位置の間で接続部41bを移動させるアクチュエータである。アクチュエータの具体例としては、エアシリンダ、油圧シリンダの他、電動モータ等を採用することもできる。排液ポンプ43bは、第2接続位置の接続部41bを通じて支持ブロック14から液体を吸引する。
【0044】
第2接続位置は、第2上型13に対面する下型11を支持する支持ブロック14に接続される接続部41bの位置である。そして、接続部41bの内部には、第2接続位置のときに支持ブロック14の排液通路14aと排液ポンプ43bとを接続する排液通路が設けられている。第2退避位置は、支持ブロック14から離間して回転テーブル21の外側に退避する接続部41bの位置である。
【0045】
2つの下型11(換言すれば、2つの支持ブロック14)のうち、一方が第1上型12に対面し且つ他方が第2上型13に対面している状態で、排液シリンダ42a、42bを伸長させると、接続部41aが第1接続位置に移動し且つ接続部41bが第2接続位置に移動する。そして、排液ポンプ43a、43bを駆動することによって、支持ブロック14から液体が排出される。また、回転テーブル21を回転させる前に、排液シリンダ42a、42bを収縮させると、接続部41aが第1退避位置に移動し且つ接続部41bが第2退避位置に移動する。
【0046】
[抄造機1のハードウェア構成]
図4は、抄造機1のハードウェアブロック図である。図4に示すように、抄造機1は、制御装置50を備える。制御装置50は、抄造機1全体の動作を制御する。制御装置50は、例えば、外輪シリンダ64及び外輪補助シリンダ65の伸縮に係る圧力を制御する。
【0047】
制御装置50は、例えば、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)51、各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)52、及び演算手段の作業領域となるRAM(Random Access Memory)53を備える。そして、ROM52に記憶されたプログラムをCPU51が読み出して実行することによって、後述する各処理を実現してもよい。
【0048】
但し、制御装置50の具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0049】
制御装置50には、表示入力装置54が接続されている。表示入力装置54は、オペレータに報知すべき各種情報を表示するディスプレイ(表示装置)、及びオペレータによる操作を受け付ける入力装置(例えば、ボタン、スイッチ、ダイヤル、ディスプレイに重畳されたタッチパネル)を備えるユーザインタフェースである。
【0050】
表示入力装置54のディスプレイには、例えば型締め設定画面(不図示)が表示される。型締め設定画面は、基準位置[mm]、設定速度[mm/s]、設定圧[MPa]、及び設定時間[sec]の入力を受け付けるための画面であってもよい。そして、制御装置50は、表示入力装置54を通じて入力された基準位置、設定速度、設定圧、及び設定時間に基づいて、図6に示す加圧脱水処理を実行してもよい。なお、基準位置、設定速度、設定圧、及び設定時間のうちの少なくとも1つが入力され、他は固定値でもよい。
【0051】
基準位置は、外輪16及び外輪17が接触する位置より下方で且つ下型11及び第2上型13が型締め完了する位置より上方の第2上型13の位置である。基準位置は、例えば、型締め完了する位置(下型11と第2上型13とが最大まで近接する位置であって、図10の0mmの位置)からの差分で特定される。設定速度は、第2上型13が基準位置に到達してから設定時間が経過するまでの第2上型の下降速度の最大値である。設定圧は、第2上型13が基準位置に到達してから設定時間が経過するまでの下型11に対する第2上型13の押圧力である。設定時間は、設定速度及び設定圧に基づく第2型開閉モータ63のトルク制御を実行する時間である。
【0052】
また、表示入力装置54のディスプレイには、シリンダ圧設定画面が表示されてもよい。シリンダ圧設定画面は、上昇圧P1[MPa]、上昇維持圧P2[MPa]、支持圧P3[MPa]、低圧P10[MPa]、下降圧P11、上昇圧P20[MPa]等の入力を受け付けるための画面である。上昇圧P1、上昇維持圧P2、支持圧P3、低圧P10[MPa]、下降圧P11、上昇圧P20は、外輪シリンダ64又は外輪補助シリンダ65に供給する空気圧である。そして、制御装置50は、表示入力装置54を通じて入力された上昇圧P1、上昇維持圧P2、支持圧P3、低圧P10[MPa]、下降圧P11、上昇圧P20に基づいて、図6に示す加圧脱水処理を実行する。
【0053】
また、制御装置50には、テーブル回転モータ61、第1型開閉モータ62、第2型開閉モータ63、外輪シリンダ64、外輪補助シリンダ65、排液シリンダ42a、42b、及び排液ポンプ43a、43bが接続されている。そして、制御装置50は、制御信号を出力することによって、テーブル回転モータ61、第1型開閉モータ62、第2型開閉モータ63、外輪シリンダ64、外輪補助シリンダ65、排液シリンダ42a、42b、及び排液ポンプ43a、43bを駆動させる。
【0054】
[抄造機1の動作]
次に、図5図12を参照して、抄造機1の動作を説明する。抄造機1の制御装置50は、図5に示す繊維充填処理と、図6に示す加圧脱水処理とを並行して実行する。これにより、2つの下型11のうちの一方にスラリーが充填され、他方で抄造基材3が生成される。そして、制御装置50は、この処理を繰り返し実行することによって、効率的に抄造基材3を製造することができる。
【0055】
[繊維充填処理]
図5は、繊維充填処理のフローチャートである。繊維充填処理は、下型11にスラリー2を充填すると共に、排液機構40aによってスラリー2から液体を排出(一次脱水)する処理である。なお、繊維充填処理の開始時点において、図1(A)に示すように、下型11及び第1上型12は型開され、下型11にはインサート15が挿入され、外輪16は上昇限に位置しているものとする。
【0056】
まず、制御装置50は、第1型開閉モータ62を第1方向に回転させることによって、下型11に対して第1上型12を型閉及び型締めする(S11)。下型11及び第1上型12が型締めされたことは、例えば、不図示のセンサ、第1型開閉モータ62のロータリエンコーダ、またはこれらの組み合わせによって検知することができる。
【0057】
次に、制御装置50は、下型11及び第1上型12の型締めが完了したことに応じて(S12:Yes)、供給装置に供給口12aを通じてスラリー2を供給させる(S13)。これにより、図1(B)に示すように、予め定められた量のスラリー2が下型11内(より詳細には、下型11の上面、インサート15の外周面、外輪16の内周面で囲まれた空間)に充填される。
【0058】
次に、制御装置50は、排液シリンダ42aを伸長させることによって、接続部41aを第1接続位置に移動させる(すなわち、接続部41aを支持ブロック14の排液通路14aに接続する)。また、制御装置50は、排液ポンプ43aを駆動することによって、排液通路11a、14a及び接続部41aを通じて、下型11に充填されたスラリー2から液体を排出する(S14)。
【0059】
次に、制御装置50は、並行して実行される加圧脱水処理が終了するまで(S15:No)。ステップS16の処理の実行を待機する。また、制御装置50は、排液ポンプ43aの駆動を開始してから所定の時間が経過したタイミングで、排液ポンプ43aを停止する。さらに、制御装置50は、排液ポンプ43aを停止した後で且つステップS16の処理を実行する前に、排液シリンダ42aを収縮させて接続部41aを第1退避位置に移動させる。
【0060】
次に、制御装置50は、並行して実行される加圧脱水処理が終了したことに応じて(S15:Yes)、テーブル回転モータ61を回転させることによって、回転テーブル21を180°回転させる(S16)。これにより、繊維充填処理でスラリー2が充填された下型11が第2上型13に対面され、加圧脱水処理で抄造基材3が取り出された下型11が第1上型12に対面される。
【0061】
[加圧脱水処理]
図6は、加圧脱水処理のフローチャートである。図7図12は、加圧脱水処理を説明する図である。
【0062】
加圧脱水処理は、下型11に対して第2上型13を型締めすることによって、下型11に充填されたスラリー2から液体を排出する処理である。なお、加圧脱水処理の開始時点において、図7(A)に示すように、下型11及び第2上型13は型開され、下型11にはスラリー2が充填され、外輪16は上昇限に位置し、外輪補助シリンダ65は収縮した状態であるものとする。
【0063】
まず、制御装置50は、外輪補助シリンダ65を伸長させる(S21)。この状態では、図7(B)に示すように、外輪補助シリンダ65の下端は、第2上型13及び外輪17の下端より下方に配置されている。
【0064】
次に、制御装置50は、図8(A)に示すように、外輪補助シリンダ65を大気開放(圧抜き)し、外輪シリンダ64に支持圧P3(基準圧)を付与し、第2型開閉モータ63を第1方向に回転させる(S22)。これにより、第2可動ダイプレート23が第2上型13、外輪17、外輪補助シリンダ65、及び外輪補助シャフト80を伴って下降し、下型11及び第2上型13が型閉及び型締めされる。このように、制御装置50は、外輪補助シリンダ65による外輪16の押圧開始前において、外輪シリンダ64に対して、伸長する方向の基準圧である支持圧P3を設定する。
【0065】
そして、制御装置50は、外輪補助シリンダ65によって外輪16が押圧されているか否かを判定する(S23)。押圧されているか否かは、例えば、不図示の圧力センサによって検知された情報により判定されてもよいし、予め取得されている外輪補助シリンダ65及び外輪16等の位置に応じて判定されてもよい。なお、制御装置50は、外輪補助シャフト80によって外輪16が押圧されているかを判定してもよい。制御装置50は、外輪補助シリンダ65(又は外輪補助シャフト80)によって外輪16が押圧されていると判定した場合において、外輪シリンダ64に対して、伸長する方向の圧力であって支持圧P3よりも低い低圧P10を設定する。このように、制御装置50は、外輪補助シリンダ65及び外輪補助シャフト80の少なくともいずれか一方による外輪16の押圧状態に応じて、外輪シリンダ64の伸縮に係る圧力を制御する。
【0066】
図8(B)に示すように、まず外輪補助シリンダ65が外輪16に接触し、続いて、図9(A)に示すように外輪補助シャフト80が下型11に接触する。これにより、外輪16が下方に押圧される。上述したように、外輪補助シリンダ65が圧抜きされているため、図8(B)及び図9(A)に示すように外輪16に接触した外輪補助シリンダ65は、外輪16に押されて収縮(後退)する。このような外輪補助シリンダ65の圧抜きによる収縮は、外輪シリンダ64に負荷がかかることを抑制するためのものである。
【0067】
そして、制御装置50は、図9(B)に示すように、第2上型13の下端が基準位置に到達するまで(S24:No)、第2型開閉モータ63の第1方向の回転を継続する。なお、このときの制御装置50は、第2上型13の上下方向の位置に基づいて第2型開閉モータ63を回転させる。第2上型13の上下方向の位置は、例えば、不図示のセンサ、第2型開閉モータ63のロータリエンコーダ、またはこれらの組み合わせによって検知することができる。
【0068】
次に、制御装置50は、第2上型13の下端が基準位置に到達したことに応じて(S24:Yes)、下型11に対する第2上型13の押圧力が設定圧に維持され且つ第2上型13の下降速度が設定速度以下になるトルクで第2型開閉モータ63を第1方向に回転させる(S25)。そして、制御装置50は、第2上型13の下端が基準位置に達してから(すなわち、ステップS24の処理を開始してから)設定時間が経過するまで(S26:No)、ステップS24の処理を継続する。ステップS24~S26の処理は、脱水処理の一例である。
【0069】
このときの制御装置50は、第2上型13の押圧力及び下降速度が設定値に近づくように第2型開閉モータ63の回転トルクを増減させる。なお、第2上型13の押圧力は、例えば、不図示の圧力センサによって検知することができる。また、第2上型13の下降速度は、例えば、第2型開閉モータ63のロータリエンコーダによって検知することができる。
【0070】
そして、制御装置50は、排液シリンダ42bを伸長させることによって、接続部41bを第2接続位置に移動させる(すなわち、接続部41bを支持ブロック14の排液通路14aに接続する)。また、制御装置50は、排液ポンプ43bを駆動することによって、排液通路11a、14a及び接続部41bを通じて、スラリー2から脱水した液体を排出する。
【0071】
また、脱水処理(S24~S26)の過程において、外輪17は、外輪シリンダ64の低圧P10より大きい設定圧で、外輪16を下方に押圧する。
【0072】
次に、図10(A)に示すように、制御装置50は、設定時間が経過したことに応じて(S26:Yes)、加圧脱水が完了したと判定し、外輪シリンダ64に対して、収縮する方向の圧力であって、支持圧P3よりも高い下降圧P11(高圧)を設定する。また、制御装置50は、加圧脱水が完了したと判定した際において、外輪補助シリンダ65に対して、伸長する方向の圧力を設定して、外輪補助シリンダ65を伸長させことによって、外輪16を下降限まで下降させる(S27)。ステップS27の処理は、下降処理の一例である。下降処理(S27)は、脱水処理(S24~S26)及び型開処理(S28)の間に実行される。
【0073】
また、制御装置50は、設定時間が経過したことに応じて(S26:Yes)、図10(B)、図11(A)(B)に示すように、第2型開閉モータ63を第2方向に回転させることによって、第2可動ダイプレート23を第2上型13、外輪17、及び外輪補助シリンダ65を伴って上昇させる(S28)。これにより、下型11及び第2上型13が型開される。また、制御装置50は、外輪補助シリンダ65を収縮させる。ステップS28の処理は、型開処理の一例である。
【0074】
次に、制御装置50は、図12(A)に示すように、下型11内の抄造基材3及びインサート15を、不図示のロボットアームに取り出させる(S29)。また、制御装置50は、不図示のロボットアームに、新たなインサート15を下型11内に挿入させる(S30)。さらに、ステップS29&S30の後に、図12(B)に示すように、外輪シリンダ64を伸長させることによって、外輪16を上昇限まで上昇させる(S31)。ステップS31の処理は、上昇処理の一例である。
【0075】
これにより、図7(A)の状態(但し、下型11にスラリー2は充填されていない)に戻る。さらに、制御装置50は、ステップS31が終了する(図5のステップS16で回転テーブル21が回転される)前に、排液シリンダ42bを収縮させることによって、接続部41bを第2退避位置に移動させる。
【0076】
本実施形態に係る構成の作用効果を奏する。
【0077】
本実施形態に係る制御方法は、スラリー2を金型に充填して加圧脱水する脱水装置であって、下型11と、下型11を囲むように配置された外輪16と、伸縮可能に構成されており、外輪16を昇降させる外輪シリンダ64と、下型11の上方で昇降することにより、下型11に対して型開閉型締めされる第2上型13と、伸縮可能に構成されており、伸長することによって外輪16を下方に押圧する外輪補助シリンダ65と、下型11に接触することにより外輪16を下方に押圧する外輪補助シャフト80と、を備える抄造機1の制御方法である。該制御方法は、下型11に対して第2上型13を型開閉及び型締めすることと、外輪補助シリンダ65による外輪16の押圧状態、及び、外輪補助シャフト80による外輪16の押圧状態の少なくともいずれか一方に応じて、外輪シリンダ64の伸縮に係る圧力を制御する。
【0078】
このような構成によれば、外輪補助シリンダ65及び外輪補助シャフト80の少なくともいずれか一方による外輪16の押圧状態に応じて、外輪シリンダ64の制御に係る圧力が制御される。型締め動作において外輪補助シリンダ65及び外輪補助シャフト80の少なくともいずれか一方により外輪16が下方に押圧されることにより、型の圧力で横方向にスラリー2が広がっている場合において外輪16を動きやすくすることができる。一方で、外輪16が押圧されることによって、外輪シリンダ64には高圧がかかってしまうおそれがある。この点、外輪補助シリンダ65及び外輪補助シャフト80の少なくともいずれか一方による外輪16の押圧状態に応じて、外輪シリンダ64の制御に係る圧力が制御されることにより、上記押圧状態を考慮して外輪シリンダ64への負荷が大きくなり過ぎないように外輪シリンダ64の圧力を制御することができる。以上のように、本実施形態に係る抄造機1によれば、外輪シリンダ64の負荷を軽減させながら、適切に加圧脱水を行うことができる。
【0079】
外輪補助シャフト80による外輪16の押圧開始前において、外輪シリンダ64に対して、伸長する方向の基準圧である支持圧P3を設定し、外輪補助シャフト80による外輪16の押圧開始後において、外輪シリンダ64に対して、伸長する方向の圧力であって支持圧P3よりも低い低圧P10を設定してもよい。このように、外輪補助シリンダ65による外輪16の押圧開始後において、外輪シリンダ64に対して、支持圧P3よりも低い低圧P10が設定されることにより、外輪シリンダ64への負荷が大きくなることを適切に抑制することができる。
【0080】
加圧脱水が開始されてから所定時間が経過した後において、加圧脱水が完了したと判定し、外輪シリンダ64に対して、収縮する方向の圧力であって支持圧P3よりも高い下降圧P11(高圧)を設定してもよい。これにより、加圧脱水が完了した後の引き抜き動作を円滑に行うことができる。
【0081】
外輪補助シリンダ65による外輪16の押圧時において、外輪補助シリンダ65に対して圧抜きを行ってもよい。これにより、外輪補助シリンダ65が外輪16を押圧する際において外輪シリンダ64にかかる負荷が大きくなることを抑制することができる。
【0082】
加圧脱水が完了したと判定した際において、外輪補助シリンダ65に対して、伸長する方向の圧力を設定してもよい。これにより、加圧脱水が完了した後の引き抜き動作をより円滑に行うことができる。
【0083】
本実施形態に係る抄造基材3の製造方法は、上述した制御方法によりスラリー2を加圧脱水し、抄造基材3を得る工程を含んでいてもよい。このような製造方法によれば、適切に加圧脱水した抄造基材3を製造することができる。
【0084】
本実施形態に係るギヤの製造方法は、上述した抄造基材3の製造方法により抄造基材3を得る工程と、抄造基材3の外周面に歯を形成することによって、ギヤを得る工程と、を含んでいてもよい。このような製造方法によれば、適切に加圧脱水した抄造基材3から、適切にギヤを製造することができる。
【符号の説明】
【0085】
1…抄造機(脱水装置)、2…スラリー(液体原料)、3…抄造基材(抄造体)、11…下型、13…第2上型(上型)、16…外輪、50…制御装置、64…外輪シリンダ、65…外輪補助シリンダ。80…外輪補助シャフト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12