(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025051078
(43)【公開日】2025-04-04
(54)【発明の名称】加速器システム
(51)【国際特許分類】
H05H 7/04 20060101AFI20250328BHJP
H05H 7/18 20060101ALI20250328BHJP
H05H 9/00 20060101ALI20250328BHJP
【FI】
H05H7/04
H05H7/18
H05H9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023159989
(22)【出願日】2023-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐古 貴行
(72)【発明者】
【氏名】安田 浩昌
(72)【発明者】
【氏名】大崎 一哉
【テーマコード(参考)】
2G085
【Fターム(参考)】
2G085AA06
2G085AA18
2G085BA07
2G085BA09
2G085BA15
2G085BB13
2G085BC11
2G085BE02
(57)【要約】
【課題】大電流ビームを加速するためのビームの収束形式を実現し、比較的弱い収束強度で大電流ビームを輸送可能な加速器システムを提供する。
【解決手段】加速器システム1は、荷電粒子ビームの進行方向に沿って並べられ、荷電粒子ビームを加速する複数の区間Sを備え、複数の区間Sは、荷電粒子ビームを収束させる磁場の強度が、第1収束強度である強収束区間S1と、第1収束強度よりも小さい第2収束強度である弱収束区間S2と、を含み、進行方向において前後2つの強収束区間S1の間に少なくとも1つの弱収束区間S2が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームの進行方向に沿って並べられ、前記荷電粒子ビームを加速する複数の区間を備え、
複数の前記区間は、前記荷電粒子ビームを収束させる磁場の強度が、第1収束強度である強収束区間と、前記第1収束強度よりも小さい第2収束強度である弱収束区間と、を含み、
前記進行方向において前後2つの前記強収束区間の間に少なくとも1つの前記弱収束区間が設けられている、
加速器システム。
【請求項2】
それぞれの前記区間は、
前記荷電粒子ビームを通過させるビーム通路、前記ビーム通路を臨む位置に設けられた加速ギャップ、および、高周波を共振させる共振領域を有して内部が真空状態に保持された加速空胴と、
前記加速空胴の内部に設けられ、前記高周波を前記共振領域に投入し、前記加速ギャップに加速電場を形成し、前記荷電粒子ビームを加速させるアンテナと、
前記加速空胴の外部に設けられ、前記ビーム通路を進行する前記荷電粒子ビームを収束させる収束磁石と、
で構成されており、
前記弱収束区間に設けられている前記収束磁石が発生させる磁場の強度が、前記強収束区間に設けられている前記収束磁石が発生させる磁場の強度よりも小さくなっている、
請求項1に記載の加速器システム。
【請求項3】
前記収束磁石が電磁石であり、
前記弱収束区間に設けられている前記収束磁石のコイルの巻数が、前記強収束区間に設けられている前記収束磁石の前記コイルの巻数よりも少なくなっている、
請求項2に記載の加速器システム。
【請求項4】
前記強収束区間に設けられている前記収束磁石が超電導電磁石であり、
前記弱収束区間に設けられている前記収束磁石が常電導電磁石である、
請求項2または請求項3に記載の加速器システム。
【請求項5】
前記収束磁石が電磁石であり、
前記弱収束区間に設けられている前記収束磁石に接続されている励磁用電源の容量が、前記強収束区間に設けられている前記収束磁石に接続されている前記励磁用電源の容量よりも小さくなっている、
請求項2または請求項3に記載の加速器システム。
【請求項6】
前記強収束区間に設けられている前記収束磁石が電磁石であり、
前記弱収束区間に設けられている前記収束磁石が永久磁石である、
請求項2または請求項3に記載の加速器システム。
【請求項7】
前記強収束区間は、
前記荷電粒子ビームを通過させるビーム通路、前記ビーム通路を臨む位置に設けられた加速ギャップ、および、高周波を共振させる共振領域を有して内部が真空状態に保持された加速空胴と、
前記加速空胴の内部に設けられ、前記高周波を前記共振領域に投入し、前記加速ギャップに加速電場を形成し、前記荷電粒子ビームを加速させるアンテナと、
前記加速空胴の外部に設けられ、前記ビーム通路を進行する前記荷電粒子ビームを収束させる収束磁石と、
で構成されており、
前記弱収束区間は、前記加速空胴と前記アンテナとで構成されている、
請求項1に記載の加速器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、加速器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
初段加速器として広く用いられている高周波四重極線形加速器(RFQ)では、1A以上の大電流ビームの加速が困難である。これは、RFQでは電極ボア径がmmオーダーと小さいので、ビームの空間電荷効果による発散が強い大電流ビームを収束して輸送できないからである。そこで、1A以上の大電流ビームを加速するために、大口径のビーム通路とビームの収束要素とを有する単胞空胴(加速空胴)が、複数台連結されることで構成される加速器により、大電流ビームを加速できると見込まれている。このような加速器は、従来の線形加速器と異なり、大口径の単一の加速ギャップでビームを加速させ、さらに大電流ビームの発散力を抑制してビームを収束させるために、永久磁石または電磁石などの収束要素を加速空胴の近傍または内部に配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単胞空胴では、それぞれの空胴に個別に加速ギャップと収束要素がある。そのため、単純なビーム調整の方法としては、空胴毎に周期性を持たせ、空胴1台毎に収束・発散の周期を繰り返す方法がある。この方法では、空胴の連結部などを周期境界として同一のビーム条件で後段に引き渡すことができ、ビームの調整が単純で容易であることが利点として挙げられる。この方法は、単胞空胴に限らず、一般的な加速器やビーム輸送系でも用いられる汎用的な方法である。
【0005】
一方、ビーム電流値が1A以上の大電流ビームに対して同様の調整方法を採用する場合、加速器の入射直後は成立していた周期性が、ビームの発散力により維持できなくなる。また、計算上はビームの周期性が維持できたとしても、必要とされる磁場の収束強度が過大となる場合がある。これは、ビームの周期性を維持するために短距離でビームの収束・発散を繰り返すため、ビーム光学上の焦点距離が短くなり過ぎることに起因する。このような条件において、永久磁石の場合は、磁力が不足する、または残留磁束密度の大きい材料を使用するために一般に保持力が弱く、外部環境変化に鋭敏で熱などの外的影響で減磁し易い。常電導電磁石の場合は、鉄などの金属材料で構成されたヨークが飽和し、磁力が不足するか、冷却性能が不足する。超電導電磁石の場合は、臨界電流に到達してしまう。そのため、加速・輸送可能なビーム電流値に限界がある。また、磁石に要求される磁場が強くなるため、コスト増を招く。電磁石の場合には、磁石仕様が同一でも、要求される磁場が強くなるほど、必要とされる電源も大型となり、コスト増を招く。
【0006】
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、大電流ビームを加速するためのビームの収束形式を実現し、比較的弱い収束強度で大電流ビームを輸送可能な加速器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る加速器システムは、荷電粒子ビームの進行方向に沿って並べられ、前記荷電粒子ビームを加速する複数の区間を備え、複数の前記区間は、前記荷電粒子ビームを収束させる磁場の強度が、第1収束強度である強収束区間と、前記第1収束強度よりも小さい第2収束強度である弱収束区間と、を含み、前記進行方向において前後2つの前記強収束区間の間に少なくとも1つの前記弱収束区間が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態により、大電流ビームを加速するためのビームの収束形式を実現し、比較的弱い収束強度で大電流ビームを輸送可能な加速器システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の加速器システムを示す構成図。
【
図2】第2実施形態の加速器システムを示す構成図。
【
図3】第3実施形態の加速器システムを示す構成図。
【
図4】第4実施形態の加速器システムを示す構成図。
【
図5】第5実施形態の加速器システムを示す構成図。
【
図6】第6実施形態の加速器システムを示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、加速器システムの実施形態について詳細に説明する。まず、第1実施形態について
図1を用いて説明する。
【0011】
図1の符号1は、第1実施形態の加速器システムである。この加速器システム1は、イオンまたは電子などの荷電粒子ビームを加速するために用いられる。特に、この加速器システム1は、1A以上の大電流ビームを加速することができる。なお、荷電粒子ビームの進行方向において、上流側(
図1の紙面左側)を加速器システム1の前方側とし、下流側(
図1の紙面右側)を加速器システム1の後方側として説明する。
【0012】
加速器システム1は、荷電粒子ビームの進行方向に沿って並べられ、荷電粒子ビームを加速する複数の区間Sを備える。複数の区間Sは、荷電粒子ビームを収束させる磁場の強度が、予め任意の値に設定された第1収束強度である強収束区間S1と、第1収束強度よりも小さい第2収束強度である弱収束区間S2とを含む。そして、荷電粒子ビームの進行方向において、前後2つの強収束区間S1の間に、1つの弱収束区間S2が設けられている。つまり、強収束区間S1と弱収束区間S2とが交互に配置されている。強収束区間S1と弱収束区間S2の配置は、荷電粒子ビームの収束・発散の周期に応じて適宜設定される。なお、第1収束強度よりも小さい第2収束強度は、第2収束強度がゼロであることを含む。
【0013】
1つの区間Sは、1台の加速器10で構成される。
図1の例では、理解を助けるために、3台の加速器10のみを図示しているが、実際には、例えば、10台以上の加速器10が並べられて1つの加速器システム1が構成されている。
【0014】
それぞれの区間Sを構成する加速器10は、加速空胴11とアンテナ12と収束磁石13とを備える。
【0015】
加速空胴11は、内部が真空状態に保持されている。この加速空胴11は、荷電粒子ビームを通過させるビーム通路14、ビーム通路14を臨む位置に設けられた加速ギャップ15、および、高周波を共振させる共振領域16を有する。
【0016】
加速空胴11の中央は、両端に開口部を有し、この開口部同士の間で荷電粒子ビームが輸送・加速される。ここで、荷電粒子ビームの進行方向がビーム軸Pであると定義される。つまり、荷電粒子ビームが進む方向とビーム軸Pが延びる方向とが一致している。このビーム軸Pに沿ってビーム通路14が設けられている。
【0017】
ビーム通路14は、加速空胴11の中央を貫通している。例えば、ビーム通路14は、導電性の金属で形成された円柱形状、直方体形状、または、それらにテーパーを施した形状で構成され、その内部を荷電粒子ビームが通過する。なお、ビーム通路14は、荷電粒子ビームとして1A以上の大電流ビームを通過させるため、その内径が100mm以上に設定された空間である。また、ビーム通路14を形成する壁面であって加速空胴11の内周面は、加速ギャップ15に至るまで連続した平坦面に形成されている。ただし、このビーム通路14の壁面にテーパー面が形成されてもよい。
【0018】
荷電粒子ビームの進行方向の最も上流側であって最も前段(上流側)の加速器10の加速空胴11には、荷電粒子ビームが通過するビームダクト2が接続されている。このビームダクト2から荷電粒子ビームが最も前段の加速器10に導入され、後段(下流側)の加速器10に向かって荷電粒子ビームが進行する。
【0019】
加速ギャップ15は、加速空胴11の内部に形成された隙間である。例えば、加速空胴11は、ビーム通路14が貫通し、互いに対向する2枚の金属壁部17を有する。これらの金属壁部17は、荷電粒子ビームの進行方向に並んで設けられている。加速ギャップ15は、対向する金属壁部17に挟まれた空間である。これらの金属壁部17は、加速器10の高周波構造の一部を成している。
【0020】
なお、加速ギャップ15を構成する金属壁部17は、加速空胴11の本体部18とは別部品として構成し、ボルト締結などの部材で接続されてもよい。また、金属壁部17は、本体部18とともに、単一のインゴットから切削加工により製作してもよい。
【0021】
また、加速空胴11において、加速ギャップ15と本体部18との接続部分は、高周波の印加により高い電圧が生ずるため、湾曲面加工(R加工)を施し、表面も平滑化されることが望ましい。
【0022】
加速空胴11の製法としては、様々な態様がある。例えば、鉄などの金属素材を加工した後に、電気伝導率の高い銅などの金属素材をメッキする製法がある。他にも、無酸素銅、タフピッチ銅などのインゴットから、その全体を切削加工することにより、加速空胴11を形成する製法がある。さらに、切削加工より形成された多数の部品を接続して加速空胴11が形成されてもよい。
【0023】
なお、独立した複数の部品を連結して加速空胴11を製作する場合には、真空漏れを防ぐために、メタルガスケット、ゴムOリング、インジウムリングに代表される金属パッキンなどの封止部材により封止をすることが望ましい。また、高周波の表面電流のロスを低減するため、フィンガーコンタクトなどのRF(Radio Frequency)コンタクトを部品間に装着することが望ましい。
【0024】
さらに、加速ギャップ15を構成する金属壁部17および加速空胴11の内部には、発生する熱を除去する冷却水を循環させるための水路が設けられてもよい。
【0025】
共振領域16は、加速空胴11の内部に設けられた空間である。この共振領域16は、加速ギャップ15に連続して設けられている。例えば、加速空胴11の内側には、加速ギャップ15以外の領域で高周波を共振させる一定以上の体積の空間からなる共振領域16が設けられている。
【0026】
アンテナ12は、加速空胴11の内部に設けられ、高周波を共振領域16に投入し、加速ギャップ15に加速電場を生成し、荷電粒子ビームを加速させる。このアンテナ12は、高周波エネルギーを発生させる高周波発生器20に接続されている。なお、アンテナ12は、加速空胴11の内部に高周波を投入するためのものである。アンテナ12は、例えば、銅などの金属素材をループ状に形成し、その一端がフランジなどのアース部に接続され、他端が芯線に接続されたものである。ここで、アース部と芯線とは、セラミックなどの絶縁材により絶縁されている。このセラミックの絶縁材の表面は、TiNなどの材料によりコーティングし、保護することが望ましい。このアンテナ12により投入された高周波を所定の共振周波数(例えば、20MHz程度)で共振させることで、加速ギャップ15に加速電場が生じる。この加速ギャップ15で生成された加速電場により、ビーム通路14を通過する荷電粒子ビームが加速される。
【0027】
フランジ部は、真空隔壁の機能も担っている。図示は省略するが、例えば、フランジ部の大気側には、円形または矩形の導波管、N端子、BNC端子、SHV端子などの同軸ケーブルが接続され、その先に、高周波電源、増幅器(RFアンプ)などを含む高周波発生器20が接続されてもよい。
【0028】
加速空胴11の本体部18には、任意の位置に複数のポート19が設けられている。これらのポート19に、ターボ真空ポンプ、イオンポンプ、クライオポンプ、スクロールポンプ、ロータリーポンプなどの真空ポンプが接続されている。さらに、これらのポート19に、ヌードイオンゲージ、コールドカソードゲージ、ピラニーゲージ、電離真空計などの真空計が接続されてもよい。また、加速空胴11の内部のガスの成分分析のために、これらのポート19に、Q-MASS(四重極形質量分析計)などの分析計が接続されてもよい。さらに、これらのポート19は、投入する高周波の周波数に合わせて高周波漏洩を防ぐための開口部により構成されたスリット構造を有してもよい。
【0029】
加速空胴11のビーム通路14(ビーム軸P)の外側には、収束磁石13が設けられている。1つの加速空胴11が備えている収束磁石13は、この加速空胴11の中央を貫通するビーム通路14の外周を周方向に囲むように配置されている。
【0030】
収束磁石13は、大電流の荷電粒子ビームを収束させるための磁場を発生させる。この収束磁石13は、永久磁石または電磁石で構成される。収束磁石13は、1個から複数個のソレノイドまたは四重極磁石で構成されている。例えば、1個から3個程度のソレノイドまたは四重極磁石がビーム軸Pの方向に並べられことで、荷電粒子ビームの収束と発散を繰り返し、全体として収束する態様としてもよい。
【0031】
第1実施形態の収束磁石13は、超電導電磁石であり、加速空胴11の外部に設けられ、ビーム通路14を進行する荷電粒子ビームを収束させる。また、収束磁石13は、所定の励磁用電源21に接続されている。さらに、収束磁石13は、この励磁用電源21から所定容量の電力の供給を受ける。また、収束磁石13は、内部が真空状態に保持されて断熱性を有する断熱真空容器22に収容されている。
【0032】
なお、超電導電磁石の線材は、ニオブ系の低温超電導物質の他、イットリウム系、レアアース系による高温超電導物質で構成されてもよい。また、超電導電磁石は、超電導状態を維持するため、加速空胴11とは独立した断熱真空容器22に熱伝導率の低いサポートを介して固定されている。必要に応じて、超電導電磁石の周囲に熱シールドが配置される。超電導電磁石は、断熱真空容器22に接続された冷凍機(図示略)により超電導状態を維持可能な温度に冷却される。または、超電導電磁石が所定の冷媒を用いて冷却されてもよい。
【0033】
以上のように構成された複数台の加速器10が、ビーム通路14(ビーム軸P)の方向に沿って連結されている。
【0034】
なお、複数台の加速器10の連結の態様としては、隣接する加速空胴11同士が直に接続される態様でもよいし、隣接する加速空胴11同士の間に別の真空容器(図示略)が挿入された状態で互いに接続される態様でもよい。また、隣接する加速空胴11の間にビームダクト2を設けることで、隣接する加速空胴11同士がビームダクト2を介して互いに接続されてもよい。
【0035】
このように構成された加速器システム1において、所定の1つの収束磁石13の収束強度が、荷電粒子ビームの進行方向に沿って配置された前後の2つの収束磁石13の収束強度と比べて小さくなっている。
【0036】
第1実施形態では、荷電粒子ビームの進行方向において前後2つの強収束区間S1の間に1つの弱収束区間S2が設けられている。そして、弱収束区間S2に設けられている収束磁石13が発生させる磁場の強度が、強収束区間S1に設けられている収束磁石13が発生させる磁場の強度よりも小さくなっている。例えば、強収束区間S1に設けられている収束磁石13が、第1収束強度の磁場を発生させる。そして、弱収束区間S2に設けられている収束磁石13が、第1収束強度よりも小さい第2収束強度の磁場を発生させる。
【0037】
ここで、収束強度の大小とは、収束磁石13が発生する磁場の強度の単純な大小のみならず、荷電粒子ビームに対する相対的な磁場の強度のことである。例えば、磁場強度に収束磁石13のビーム軸Pの方向の長さをかけた所謂GL積と表現される指標であって、一定区間内において、荷電粒子ビームに与える磁場の強さの総和を磁場の強度の指標とすることができる。
【0038】
収束磁石13が永久磁石の場合は、永久磁石そのものが有する磁力、および、永久磁石とビーム軸Pとの距離で、収束強度の大小を調整することができる。また、収束磁石13が電磁石の場合は、電磁石に流す電流値で、収束強度の大小を調整することができる。
【0039】
加速器システム1が4台以上の加速器10で構成されている場合には、収束強度が相対的に大きい収束磁石13(強収束区間S1)と相対的に小さい収束磁石13(弱収束区間S2)とが交互に並ぶ特定範囲が、加速器システム1の一部のみであってもよい。また、複数の特定範囲が連続して存在してもよいし、複数の特定範囲が間隔を空けて存在してもよい。さらに、加速器システム1の全範囲が特定範囲でもよい。
【0040】
大電流の荷電粒子ビームの空間電荷効果による強い発散力が働く場合がある。この場合においても、収束強度を単調増加させて加速器10を1台毎に収束・発散する構成と比べて、第1実施形態では、荷電粒子ビームの収束・発散の周期を長くして、それそれの収束磁石13に要求される収束強度を低減させることができる。
【0041】
従来行われてきたビームの調整方法では、加速器10の1台毎に収束・発散を繰り返すため、荷電粒子ビームの振幅の周期が短く、荷電粒子ビームの進行とともに、より強い収束・発散が必要となる。そのため、過収束により結果的にビームサイズが増大し、荷電粒子ビームがビーム通路14の壁面(内周面)に衝突することがあり、大電流の荷電粒子ビームの輸送に限界がある。第1実施形態の加速器システム1では、このようなビームサイズの増大を低減することができる。
【0042】
第1実施形態によれば、それぞれの収束磁石13に要求される収束強度を低減できるため、収束磁石13を安価に製造することができる。また、いずれの収束磁石13においても、実現可能な磁力に限界があるため、従来の1台毎に単純な収束・発散を繰り返す場合と比較して、輸送・加速可能なビーム電流値を向上させることができる。
【0043】
なお、収束磁石13は、ビーム通路14の(ビーム軸P)方向において、加速空胴11の共振領域16の少なくとも一部と重なる位置に配置されている。言い換えると、ビーム軸Pの方向において、収束磁石13が共振領域16の少なくとも一部と重なっている。収束磁石13が共振領域16の少なくとも一部と重なる領域の大きさ(幅)は、加速空胴11の高周波設計に依存する。さらに、収束磁石13が共振領域16と完全に重なることもあり得る。
【0044】
また、収束磁石13の磁場を生成する永久磁石または電磁石の導線そのものが、共振領域16と重ならなくてもよい。例えば、磁石本体の周囲のヨーク、支持部、巻線などのサポート部、または、シールドなどの磁石の付属構成物のみが、共振領域16の少なくとも一部と重なる位置にあればよい。なお、ビーム軸Pの方向において、収束磁石13と共振領域16の少なくとも一部は、重なる必要があるが、物理的に双方が接触する必要はない。
【0045】
このようにすれば、ビーム軸Pの方向において、加速空胴11の加速ギャップ15に近い大部分の領域に、収束磁石13によって磁場を発生させることができる。この加速ギャップ15に近い大部分の領域では、ビーム通路14を通過する荷電粒子ビームに対し、磁場による収束力を充分に作用させることができる。この結果、荷電粒子ビームが大電流である場合においても、この荷電粒子ビームの発散を抑制して加速することができる。
【0046】
また、加速空胴11の共振領域16をビーム軸Pの方向に延伸させることができる。そのため、加速空胴11の半径方向の寸法を小さくすることができる。したがって、加速空胴11の径方向の寸法を小さくすることができる。
【0047】
なお、第1実施形態は、収束磁石13が超電導電磁石となっているが、その他の態様でもよい。例えば、収束磁石13が常電導電磁石でもよい。また、収束磁石13が永久磁石でもよい。
【0048】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態について
図2を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0049】
第2実施形態の加速器システム1Aは、強収束区間S1と弱収束区間S2とで異なる構成の加速器10A,10Bを備える。具体的には、強収束区間S1の加速器10Aの収束磁石13Aと、弱収束区間S2の加速器10Bの収束磁石13Bとの構成が異なっている。
【0050】
これらの収束磁石13A,13Bは、電磁石としての超電導電磁石で構成されている。なお、これらの収束磁石13A,13Bが常電導電磁石で構成されてもよい。
【0051】
第2実施形態では、弱収束区間S2に設けられている収束磁石13Bのコイルの巻数が、強収束区間S1に設けられている収束磁石13Aのコイルの巻数よりも少なくなっている。言い換えると、弱収束区間S2の収束磁石13Bのコイルの巻数が、荷電粒子ビームの進行方向に沿って配置された前後の2つの収束磁石13Aのコイルの巻数と比べて少なくなっている。
【0052】
このようにすれば、複数の区間Sにおいて、コイルの巻数が大きい収束磁石13Aにより、第1収束強度である強収束区間S1が形成される。さらに、コイルの巻数が少ない収束磁石13Bにより、第1収束強度よりも小さい第2収束強度である弱収束区間S2が形成される。そして、荷電粒子ビームの進行方向において、前後2つの強収束区間S1の間に、1つの弱収束区間S2が設けられる。
【0053】
なお、それぞれの収束磁石13A,13Bを構成するコイルの電線は、単純な銅線で構成されてもよいし、冷却水を循環可能なホロ-コンダクターで構成されてもよい。
【0054】
このように構成された加速器システム1Aにおいて、進行方向に沿って荷電粒子ビームに与えられる収束磁場の強度が、単調増加ではなく、その強弱が繰り返されるようになる。その結果、大電流ビームの空間電荷効果による強い発散力が働く場合においても、収束強度を単調増加させて加速器10A,10Bの1台毎に収束・発散する従来の構成と比べて、荷電粒子ビームの収束・発散の周期を長くすることができる。そのため、収束磁石13A,13Bに要求される収束強度を低減させることができる。
【0055】
第2実施形態によれば、それぞれの収束磁石13A,13Bに要求される収束強度を低減することができる。そのため、特に、収束強度が相対的に弱い収束磁石13Bについては、巻線数を減らして安価に製造することができる。
【0056】
(第3実施形態)
つぎに、第3実施形態について
図3を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0057】
第3実施形態の加速器システム1Bは、強収束区間S1と弱収束区間S2とで異なる構成の加速器10C,10Dを備える。具体的には、強収束区間S1の加速器10Cの収束磁石13Cと、弱収束区間S2の加速器10Dの収束磁石13Dとの構成が異なっている。
【0058】
強収束区間S1に設けられている収束磁石13Cが超電導電磁石であり、弱収束区間S2に設けられている収束磁石13Dが常電導電磁石である。なお、弱収束区間S2の収束磁石13Dは、常電導電磁石であるため、この収束磁石13Dの断熱真空容器22が省略されている。
【0059】
このようにすれば、複数の区間Sにおいて、超電導電磁石である収束磁石13Cにより、第1収束強度である強収束区間S1が形成される。さらに、常電導電磁石である収束磁石13Dにより、第1収束強度よりも小さい第2収束強度である弱収束区間S2が形成される。そして、荷電粒子ビームの進行方向において、前後2つの強収束区間S1の間に、1つの弱収束区間S2が設けられる。
【0060】
このように構成された加速器システム1Bにおいて、進行方向に沿って荷電粒子ビームに与えられる収束磁場の強度が、単調増加ではなく、その強弱が繰り返されるようになる。その結果、大電流ビームの空間電荷効果による強い発散力が働く場合においても、収束強度を単調増加させて加速器10C,10Dの1台毎に収束・発散する従来の構成と比べて、荷電粒子ビームの収束・発散の周期を長くすることができる。そのため、収束磁石13C,13Dに要求される収束強度を低減させることができる。
【0061】
第3実施形態によれば、それぞれの収束磁石13C,13Dに要求される収束強度を低減することができる。そのため、特に、収束強度が相対的に弱い収束磁石13Dについては、超電導電磁石ではなく、常電導電磁石で構成可能なため、電磁石本体のみならず、周囲の付帯要素を簡素化することで安価に製造することができる。
【0062】
(第4実施形態)
つぎに、第4実施形態について
図4を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0063】
第4実施形態の加速器システム1Cは、強収束区間S1と弱収束区間S2とで異なる構成の加速器10E,10Fを備える。具体的には、強収束区間S1の加速器10Eに接続されている励磁用電源21Aと、弱収束区間S2の加速器10Fに接続されている励磁用電源21Bとの構成が異なっている。
【0064】
収束磁石13は、電磁石としての超電導電磁石で構成されている。なお、収束磁石13が常電導電磁石で構成されてもよい。
【0065】
第4実施形態では、弱収束区間S2に設けられている収束磁石13に接続されている励磁用電源21Bの容量が、強収束区間S1に設けられている収束磁石13に接続されている励磁用電源21Aの容量よりも小さくなっている。ここで、励磁用電源21A,21Bの容量とは、一般に、それぞれが出力可能な最大の電流値または電圧値などの所定の要式で表現される。
【0066】
このようにすれば、複数の区間Sにおいて、容量が大きい励磁用電源21Aから強収束区間S1の収束磁石13に電力が供給されることで、第1収束強度である強収束区間S1が形成される。さらに、容量が小さい励磁用電源21Bから弱収束区間S2の収束磁石13に電力が供給されることで、第1収束強度よりも小さい第2収束強度である弱収束区間S2が形成される。そして、荷電粒子ビームの進行方向において、前後2つの強収束区間S1の間に、1つの弱収束区間S2が設けられる。
【0067】
このように構成された加速器システム1Cにおいて、進行方向に沿って荷電粒子ビームに与えられる収束磁場の強度が、単調増加ではなく、その強弱が繰り返されるようになる。その結果、大電流ビームの空間電荷効果による強い発散力が働く場合においても、収束強度を単調増加させて加速器10E,10Fの1台毎に収束・発散する従来の構成と比べて、荷電粒子ビームの収束・発散の周期を長くすることができる。そのため、それぞれの収束磁石13に要求される収束強度を低減させることができる。
【0068】
第4実施形態によれば、それぞれの収束磁石13に要求される収束強度を低減することができる。そのため、特に、収束強度が相対的に弱い、弱収束区間S2の収束磁石13については、容量の小さい励磁用電源21Bで構成でき、加速器システム1C全体を安価に製造することができる。
【0069】
(第5実施形態)
つぎに、第5実施形態について
図5を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0070】
第5実施形態の加速器システム1Dは、強収束区間S1と弱収束区間S2とで異なる構成の加速器10G,10Hを備える。具体的には、強収束区間S1の加速器10Gの収束磁石13Eと、弱収束区間S2の加速器10Hの収束磁石13Fとの構成が異なっている。
【0071】
強収束区間S1に設けられている収束磁石13Eが電磁石としての常電導電磁石であり、弱収束区間S2に設けられている収束磁石13Fが永久磁石である。なお、強収束区間S1の収束磁石13Eは、超電導電磁石でもよい。
【0072】
このようにすれば、複数の区間Sにおいて、常電導電磁石である収束磁石13Eにより、第1収束強度である強収束区間S1が形成される。さらに、永久磁石である収束磁石13Fにより、第1収束強度よりも小さい第2収束強度である弱収束区間S2が形成される。そして、荷電粒子ビームの進行方向において、前後2つの強収束区間S1の間に、1つの弱収束区間S2が設けられる。
【0073】
このように構成された加速器システム1Dにおいて、進行方向に沿って荷電粒子ビームに与えられる収束磁場の強度が、単調増加ではなく、その強弱が繰り返されるようになる。その結果、大電流ビームの空間電荷効果による強い発散力が働く場合においても、収束強度を単調増加させて加速器10G,10Hの1台毎に収束・発散する従来の構成と比べて、荷電粒子ビームの収束・発散の周期を長くすることができる。そのため、それぞれの収束磁石13E,13Fに要求される収束強度を低減させることができる。
【0074】
第5実施形態によれば、それぞれの収束磁石13E,13Fに要求される収束強度を低減することができる。そのため、特に、収束強度が相対的に弱い、弱収束区間S2の収束磁石13Fについては、永久磁石で構成し、収束強度が相対的に強い、強収束区間S1の収束磁石13Eについては、電磁石で構成することができる。よって、加速器システム1D全体を安価に製造することができる。
【0075】
(第6実施形態)
つぎに、第6実施形態について
図6を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0076】
第6実施形態の加速器システム1Eは、強収束区間S1と弱収束区間S2とで異なる構成の加速器10J,10Kを備える。
【0077】
強収束区間S1を構成する加速器10Jは、少なくとも、加速空胴11とアンテナ12と収束磁石13とを備える。また、弱収束区間S2を構成する加速器10Kは、少なくとも、加速空胴11とアンテナ12とを備える。ここで、弱収束区間S2の加速器10Kは、収束磁石13を備えていない構成となっている。つまり、弱収束区間S2の加速器10Kでは、収束強度がゼロとなっている。
【0078】
このようにすれば、複数の区間Sにおいて、収束磁石13が設けられる区間Sにより、第1収束強度である強収束区間S1が形成される。さらに、収束磁石13が設けられない区間Sにより、第1収束強度よりも小さい第2収束強度(収束強度がゼロ)である弱収束区間S2が形成される。そして、荷電粒子ビームの進行方向において、前後2つの強収束区間S1の間に、1つの弱収束区間S2が設けられる。
【0079】
このように構成された加速器システム1Eにおいて、進行方向に沿って荷電粒子ビームに与えられる収束磁場の強度が、単調増加ではなく、その強弱が繰り返されるようになる。その結果、大電流ビームの空間電荷効果による強い発散力が働く場合においても、収束強度を単調増加させて加速器10J,10Kの1台毎に収束・発散する従来の構成と比べて、荷電粒子ビームの収束・発散の周期を長くすることができる。そのため、それぞれの収束磁石13に要求される収束強度を低減させることができる。
【0080】
第6実施形態によれば、それぞれの収束磁石13に要求される収束強度を低減することができる。そのため、収束強度が相対的に弱い弱収束区間S2では、そもそも収束磁石13を配置せず、加速空胴11を連続的に配置することで、加速器システム1E全体を安価に製造することができる。
【0081】
また、収束磁石13に用いる空間的な領域が不要になることで、単位長さあたりの加速ギャップ15の数を増やし、実効的な加速効率を上げることができる。そのため、荷電粒子ビームを早い段階で高エネルギー化すること、空間電荷効果による発散力を低減し、輸送・加速可能なビーム電流値を向上させることができる。
【0082】
以上、本発明が第1実施形態から第6実施形態に基づいて説明されているが、いずれかの実施形態において適用された構成が他の実施形態に適用されてもよいし、各実施形態において適用された構成が組み合わされてもよい。
【0083】
例えば、変形例では、1つの加速器システム1において、最も上流側の前段に第6実施形態の加速器10J,10K(
図6)が配置される。つぎの中段に第3実施形態の加速器10C,10D(
図3)が配置される。そして、最も下流側の後段に第1実施形態の加速器10(
図1)が配置される。このようにすれば、荷電粒子ビームの進行方向に応じて収束強度を最適化しつつ、製造コストを抑えることができる。
【0084】
なお、前述の実施形態は、荷電粒子ビームの進行方向において、第1収束強度である強収束区間S1と第2収束強度である弱収束区間S2とが交互に配置されている。これら強収束区間S1と弱収束区間S2の配置は、荷電粒子ビームの収束と発散の態様に応じて適宜変更してもよい。
【0085】
なお、前述の実施形態は、前後2つの強収束区間S1の間に、1つの弱収束区間S2が設けられている態様であるが、その他の態様でもよい。例えば、前後2つの強収束区間S1の間に、2つ以上の弱収束区間S2が設けられてもよい。
【0086】
なお、前述の実施形態は、複数の区間Sの全てが、強収束区間S1と弱収束区間S2のいずれかであるが、その他の態様でもよい。例えば、複数の区間Sの一部が、強収束区間S1と弱収束区間S2のいずれかでもよい。
【0087】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、荷電粒子ビームの進行方向において前後2つの強収束区間S1の間に少なくとも1つの弱収束区間S2が設けられている。これにより、大電流ビームを加速するためのビームの収束形式を実現し、比較的弱い収束強度で大電流ビームを輸送することができる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態またはその変形は、発明の範囲と要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
1,1A,1B,1C,1D,1E…加速器システム、2…ビームダクト、10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10J,10K…加速器、11…加速空胴、12…アンテナ、13,13A,13B,13C,13D,13E,13F…収束磁石、14…ビーム通路、15…加速ギャップ、16…共振領域、17…金属壁部、18…本体部、19…ポート、20…高周波発生器、21,21A,21B…励磁用電源、22…断熱真空容器、P…ビーム軸、S…区間、S1…強収束区間、S2…弱収束区間。