(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025051090
(43)【公開日】2025-04-04
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
B31B 50/04 20170101AFI20250328BHJP
B31B 50/52 20170101ALI20250328BHJP
【FI】
B31B50/04
B31B50/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023160005
(22)【出願日】2023-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100229736
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 剛
(72)【発明者】
【氏名】宮原 博
(72)【発明者】
【氏名】吾川 二郎
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA15
3E075AA23
3E075AA28
3E075BA04
3E075DA03
3E075DA04
3E075DA26
3E075DA32
3E075DC26
3E075DC28
3E075DC42
3E075FA03
3E075FA13
3E075FA23
3E075GA01
3E075GA03
(57)【要約】
【課題】種々の寸法のシートを効率的に処理できる処理装置を提供すること。
【解決手段】処理装置は、既定の第1位置決め基準を備え、シートを折り畳む第1処理を行う第1処理領域と、
既定の第2位置決め基準を備え、第1処理領域から搬送され、かつ、第1処理が施されたシートを折り畳む第2処理を行う第2処理領域と、を備える。
処理装置は、
第1処理領域において、シートの既定の第1処理基準位置が第1位置決め基準に一致する状態で第1処理が施される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既定の第1位置決め基準を備え、シートを折り畳む第1処理を行う第1処理領域と、
既定の第2位置決め基準を備え、前記第1処理領域から搬送され、かつ、前記第1処理が施された前記シートを折り畳む第2処理を行う第2処理領域と、を備え、
前記第1処理領域において、前記シートの既定の第1処理基準位置が前記第1位置決め基準に一致する状態で前記第1処理が施される、
処理装置。
【請求項2】
前記第2処理領域において、前記シートの既定の第2処理基準位置が既定の第2位置決め基準に一致する状態で前記第2処理が施される、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
寸法の異なる前記シートを処理する、
請求項1または請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
互いに直交する第1方向と第2方向が特定され、
前記第1処理領域と前記第2処理領域は、
前記第2方向に並ぶ、
請求項1または請求項2に記載の処理装置。
【請求項5】
前記シートは、
前記第1処理領域に向けて前記第1方向に搬送され、
前記第1処理領域から前記第2処理領域に向けて、前記第2方向に前記第1方向の位置が維持されたままで搬送される、
請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記シートは、段ボール箱を製函するための段ボールシートであり、
前記第1処理領域において、前記第1処理基準位置において前記段ボールシートの一部が折り畳まれ、
前記第2処理領域において、前記第1処理基準位置とは異なる第3処理基準位置において前記段ボールシートの他の一部を折り畳む、
請求項4に記載の処理装置。
【請求項7】
前記第1処理領域と前記第2処理領域の間に、
前記第1処理領域において、折り畳まれた前記一部の前記段ボールシートに折り畳まれる前記他の一部の前記段ボールシートを接着するための接着剤を折り畳まれた前記一部の前記段ボールシートの所定位置に塗布する接着剤塗布機を備える、
請求項6に記載の処理装置。
【請求項8】
前記第1処理領域において、前記段ボールシートの前記一部を折り畳む第1折畳み機と、
前記第2処理領域において、前記段ボールシートの前記他の一部を折り畳む第2折畳み機と、を備え、
前記第1折畳み機は前記第2方向の位置が固定され、
前記第2折畳み機は前記第2方向の位置が固定とされる、
請求項7に記載の処理装置。
【請求項9】
前記接着剤塗布機は前記第1方向の位置が可変とされる、
請求項7に記載の処理装置。
【請求項10】
互いに直交する第1方向と第2方向が特定され、
前記第1処理領域と前記第2処理領域は、
前記第1方向に並ぶ、
請求項1または請求項2に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、段ボールシートなどのシートを折り畳む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物流業界で使用される段ボール梱包は、定型の段ボールシートを複数手配し、収容される商品に併せて箱詰後に出荷される。多種多様の商品、数量の商品の梱包を行う場合、事前に準備された定型段ボールシートによる梱包では、商品の周囲に無駄な空隙が生じることがあり、輸送効率の低下や余分な緩衝材のコストが発生する。
【0003】
特許文献1は、様々な寸法のボックステンプレートからボックスを組み立てるための方法を開示する。この方法は、組み立てられるべきボックステンプレートの寸法に従ってフレームの寸法を調整するステップと、組み立てられるボックステンプレートをフレームに巻き付けるステップと、ボックステンプレートからフレームを分離するステップと、を含む。引用文献1のフレームは、その寸法を画定している角部柱からなる調整可能部分を備える。引用文献1の方法は、組み立てられるべき様々な段ボール箱(ボックス)の寸法に従って調整可能部分の位置を制御するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1の方法によれば様々な寸法のボックスが効率的に作製され得る。しかし、引用文献1は、ボックステンプレートをフレームに巻き付けた後に、フレームをボックステンプレートから分離する必要がある。また、引用文献1において、様々な段ボール箱(ボックス)の寸法に従って調整可能部分の位置を制御する具体的な手段が開示されていないが、自動的な位置制御をするとなれば、構成が複雑になるのに加えて、位置制御のための相当の時間が必要と解される。
【0006】
以上より、本開示は、種々の寸法のシートを効率的に処理できる処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る処理装置は、
既定の第1位置決め基準(203)を備え、シート(100)を折り畳む第1処理を行う第1処理領域(201)と、
既定の第2位置決め基準(204)を備え、第1処理領域(201)から搬送され、かつ、第1処理が施されたシート(100)を折り畳む第2処理を行う第2処理領域(202)と、を備え、
第1処理領域(201)において、シート(100)の既定の第1処理基準位置(103)が第1位置決め基準(203)に一致する状態で第1処理が施される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、種々の寸法のシートを効率的に処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る折り畳み装置の概略構成を示す平面図である。
【
図2】最も寸法の小さいシートを処理する折り畳み装置を示す斜視図である。
【
図3】最も寸法の大きいシートを処理する折り畳み装置を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る折り畳み装置のシートの処理手順(STEP1)を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る折り畳み装置のシートの処理手順(STEP2)を示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る折り畳み装置のシートの処理手順(STEP3)を示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係る折り畳み装置のシートの処理手順(STEP4)を示す斜視図である。
【
図8】第1実施形態に係る折り畳み装置のシートの処理手順(STEP5)を示す斜視図である。
【
図9】第2実施形態に係る処理手順を示す平面図である。
【
図10】第2実施形態に係る処理手順を示す側面図である。
【
図11】
図10に続いて、第2実施形態に係る処理手順を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態に係るシートの処理装置1について説明する。処理装置1は、次々に搬送されてくる寸法の異なる段ボールシート100を折畳むなどの複数の処理を連続的に行うことができる。処理の対象物である一例である段ボールシート100は、平面視して矩形の形状を有しており、折畳む位置を特定するなどの予備的な処理が施された状態で処理装置1まで搬送される。
【0011】
[処理装置1の概要:
図1参照]
段ボールシート100を処理する処理装置1の概要を説明する。
処理装置1は、上流Uにおいて段ボールシート100を受け取って第1処理を行う第1処理領域201と、第1処理領域201で所定の処理が施された段ボールシート100を第1処理領域201よりも下流Dにおいて受け取って第2処理を行う第2処理領域202と、を備える。
【0012】
段ボールシート100において、長手方向Lおよび幅方向Wが特定される。
処理装置1において、段ボールシート100が搬送される向きにより上流Uおよび下流Dが特定される。
図1において、段ボールシート100が搬送される向きが白抜きの矢印で示されているが、上流Uおよび下流Dは相対的な意味を有しており、例えば第1処理領域201における最も下流は第2処理領域202よりも上流にある。
また、処理装置1において、
図1に示されるように、第1方向Xおよび第2方向Yが特定される。段ボールシート100は、上流Uの側から第1処理領域201までは第1方向Xに搬送され、第1処理領域201から第2処理領域202までは第2方向Yに搬送される。つまり、処理装置1において、段ボールシート100は90°だけ向きを変えて搬送される。
【0013】
第1処理領域201には第1位置決め基準203が既定され、第2処理領域202には第2位置決め基準204が既定されている。第1位置決め基準203は第1方向Xに段ボールシート100を位置決めするための基準であり、第2位置決め基準204は第2方向Yに段ボールシート100を位置決めするための基準である。段ボールシート100には、第1位置決め基準203に対応する第1処理基準位置103が特定されている。第1処理基準位置103は、段ボールシート100の幅方向Wに平行な線分からなる。また、段ボールシート100において、第2位置決め基準204に位置決めされるのは幅方向Wの中心線Cである。この中心線Cが本開示の第2処理基準位置の一例である。なお、本開示の第2処理基準位置は中心線Cに限るものではなく、例えば段ボールシート100の幅方向Wの両縁線のいずれか一方を第2処理基準位置とすることもできる。
【0014】
第1処理領域201において、段ボールシート100の第1処理基準位置103が第1位置決め基準203に一致するように、段ボールシート100の搬送が停止される。第1処理基準位置103が第1位置決め基準203に一致した状態で、段ボールシート100は第1処理が施される。第1処理として、第1処理基準位置103よりも長手方向Lの端の部分を第1処理基準位置103で折り畳む。なお、
図1の第1処理領域201に示される段ボールシート100は第1処理基準位置103が第1位置決め基準203に達する前の状態が描かれているが、第2処理領域202に示される段ボールシート100は第1処理基準位置103が第1位置決め基準203に一致する。
【0015】
第1処理領域201において、第1処理基準位置103が第1位置決め基準203に一致した状態で、第1処理が施された段ボールシート100は、第2処理領域202に搬送される。第2処理領域202に搬送された段ボールシート100は、幅方向Wの中心線Cが第2位置決め基準204に一致したならば、搬送が停止される。このとき第1処理基準位置103は第1位置決め基準203に一致したままである。中心線(第2処理基準位置)Cが第2位置決め基準204に一致した状態で、段ボールシート100は第2処理が施される。第2処理領域202において、第1方向Xおよび第2方向Yの双方について段ボールシート100は位置決めされているので、第2処理は第1方向Xおよび第2方向Yの位置が特定された段ボールシート100に対して行われる。
【0016】
図1において、第1処理領域201と第2処理領域202には同じ寸法の段ボールシート100が描かれているが、処理装置1は第1処理領域201と第2処理領域202のそれぞれで異なる寸法の段ボールシート100を処理することができる。第1処理領域201に搬送されかつ処理される段ボールシート100の寸法は既知である。したがって、第1処理領域201において第1処理を行うとき、および、第2処理領域202において第2処理を行うときに、位置決め、つまり位置が特定された段ボールシート100について、既知の寸法に基づいて必要な動作が行われる。
【0017】
[段ボールシートの処理概要:
図2,
図3参照]
次に、段ボールシート100として段ボールシートを処理するときの概要を説明する。なお、ここでは同じ処理装置1を用い、最も寸法の小さい小段ボールシート110(110A,110B,110C)と最も寸法の大きい大段ボールシート120(120A,120B,120C)を処理する例を、
図2および
図3を参照して説明する。
【0018】
<小段ボールシート110A~110Cの処理;
図2>
図2において、小段ボールシート110A、小段ボールシート110Bおよび小段ボールシート110Cの順で搬送されたことを想定している。つまり、小段ボールシート110A、小段ボールシート110Bおよび小段ボールシート110Cにおいて、小段ボールシート110Aが最も先行して処理装置1に搬送され、次いで、小段ボールシート110Bが次に処理装置1に搬送されている。小段ボールシート110Aは第2処理領域202において処理が行われており、小段ボールシート110Bは第1処理領域201において処理が行われている。小段ボールシート110Cは、第1処理領域201よりも上流Uに位置している。
第2処理領域202において小段ボールシート110Aの第2処理が終わると、小段ボールシート110Aは第1処理領域201よりも下流Dに向けて搬送される。そうすると、第1処理領域201において第1処理を終えた小段ボールシート110Bが第2処理領域202に搬送され、第2処理が施される。待機していた小段ボールシート110Cが第1処理領域201に搬送され、小段ボールシート110Cに第1処理が施される。処理装置1においては、以上のように連続的に搬送されてくる小段ボールシート110A~110C…が第1処理領域201および第2処理領域202において所定の処理が施される。この処理の動作は、段ボールシートの寸法が異なっていてもこの処理の動作は同じである。
【0019】
小段ボールシート110A~110Cのそれぞれには、第1折畳み位置113、第2折畳み位置115および接着位置117が特定されている。第1折畳み位置113、第2折畳み位置115および接着位置117は、幅方向Wに平行であり、かつ、それぞれ長手方向Lに間隔を隔てて特定されている。第1折畳み位置113および第2折畳み位置115は、それぞれ第1処理基準位置103および第2処理基準位置Cに対応する。
【0020】
小段ボールシート110A~110Cのそれぞれは、第1折畳み片114、第2折畳み片116および基片118を備える。第1折畳み位置113の長手方向Lの端縁には接着片119が設けられている。第1折畳み片114と基片118とは第1折畳み位置113で区分され、第2折畳み片116と基片118とは第2折畳み位置115で区分される。接着位置117は基片118の長手方向Lの略中央に設けられる。
【0021】
第1処理領域201において、小段ボールシート110Bは、第1折畳み位置113が第1位置決め基準203と一致すると搬送が停止される。そうすると、第1折畳み片114が基片118と重なるように第1折畳み位置113を基準にして第1折畳み片114を折り畳む。第1折畳み片114を折り畳むと、接着片119は接着位置117に重なる。この第1折畳み片114を折り畳む処理が第1処理に該当し、第1処理を終えた小段ボールシート110Bは第2処理領域202に向けて搬送される。
【0022】
第2処理領域202に搬送されてきた小段ボールシート110Aは第1折畳み片114がすでに基片118と重なるように折り畳まれており、かつ、接着片119が接着位置117に一致している。小段ボールシート110Aの中心線Cと第2位置決め基準204が位置している状態において、第2処理が行われる。つまり、接着片119にホットメルトなどの接着剤を塗布した後に、第2折畳み片116が基片118と重なるように第2折畳み位置115を基準にして第2折畳み片116を折り畳む。そうすると、第2折畳み片116の先端部分が接着片119に塗布された接着剤により第1折畳み片114と接着される。これで小段ボールシート110Aに対する第2処理が終わる。第1折畳み片114および第2折畳み片116が折り畳まれた小段ボールシート110Aは下流Dに設けられる次の処理領域に向けて搬送される。
【0023】
<大段ボールシート120A~120Cの処理;
図3>
大段ボールシート120A,120B,120Cの第1処理および第2処理は、
図2を参照して説明した小段ボールシート110A,110B,110Cにおける第1処理および第2処理と同様に施される。したがって、
図2と同じ要素について
図3に同じ符号を付し、ここでの繰り返しの説明は省略する。もっとも、寸法が異なる小段ボールシート110と大段ボールシート120とが同じ処理装置1により処理されるが、第1位置決め基準203に対する第1折畳み位置113の位置決めおよび第2位置決め基準204に対する中心線Cの位置決めが共通することを述べておく。
【0024】
[処理装置1における処理手順のまとめ]
<第1処理領域201>
以下のSTEP1およびSTEP2により、異なる寸法の段ボールシート100であっても、同じ位置で第1折畳み片114を折り畳むことができる。
STEP1:搬入される段ボールシート100の第1処理基準位置103(第1折畳み位置113)を第1位置決め基準203に位置決めする。
STEP2:第1処理基準位置103(第1折畳み位置113)で第1折畳み片114を折り畳む第1処理を行う。
【0025】
<第2処理領域202>
以下のSTEP3およびSTEP4により、異なる寸法の段ボールシート100であっても、中心線Cの位置が同じであるために、下流Dの工程に搬出するのが容易である。
STEP3:第2処理領域202において、段ボールシート100の幅方向Wの中心線Cを第2位置決め基準204に位置決めする。
STEP4:第2折畳み位置115で第2折畳み片116を折り畳み、接着片119を第2折畳み片116に接着する第2処理を行う。
【0026】
[処理装置2:
図4~
図8参照]
具体的な処理装置2を用いて段ボールシート100を処理する例を説明する。
はじめに処理装置2の構成を
図4などに基づいて説明する。
処理装置2は、段ボールシート100の搬送を担う搬送部20と、搬送部20で搬入される段ボールシート100に第1処理を行う第1処理部40と、第1処理部40で第1処理が施された段ボールシート100に第2処理を行う第2処理部60と、を備える。処理装置2は、搬送部20、第1処理部40および第2処理部60の動作を制御する図示が省略される制御部を備える。以下、搬送部20、第1処理部40および第2処理部60の順に説明する。
【0027】
[搬送部20:
図4参照]
搬送部20は、上流Uから段ボールシート100を受け取り第1処理部40まで搬送する搬入機21と、第1処理部40で処理を終えた段ボールシート100を第2処理部60に搬送する搬送機23と、第2処理部60で処理を終えた段ボールシート100を下流Dに向けて搬出する搬出機(図示省略)と、を備える。
【0028】
搬入機21は、段ボールシート100の接着片119を把持するクランプ21Aと、クランプ21Aを保持し第1方向Xに移動する移動体21Bと、を備える。移動体21Bは、例えばサーボモータにより図示が省略される第1方向Xに沿う搬送路を往復移動可能とされる。
搬入機21は、段ボールシート100を第1処理部40に搬入するときには、クランプ21Aが接着片119を把持した状態で移動体21Bが第1処理部40に向けて走行する。第1処理部40の第1位置決め基準まで段ボールシート100を搬入すると、クランプ21Aによる接着片119の把持を解いてから、第1処理部40から後退し、次に処理される段ボールシート100の接着片119を把持して搬入を待機する。
【0029】
搬送機23は、第1処理部40と第2処理部60の間に跨って設けられる第1搬送機23Aと第2搬送機23Bを備える。第1搬送機23Aおよび第2搬送機23Bのそれぞれが、一例としてコンベア装置からなる。このコンベヤ装置は、駆動源としてサーボモータを用い、少なくとも一方にサーボモータの回転駆動力が伝えられる一対のタイミングプーリ23Cと、タイミングプーリ23Cに掛け回されるタイミングベルト23Dと、を備える。第1処理部40において処理される段ボールシート100は、第1処理がなされる間および第2処理部60に搬送される間、第1搬送機23Aおよび第2搬送機23Bのタイミングベルト23D,23Dに載せられている。
【0030】
図示が省略される搬出機は、第2処理領域202の定位置にある段ボールシート100を例えば真空吸引、把持などの手段により固定しつつ、さらに下流Dの工程に向けて搬出する。段ボールシート100が定位置にあるので、搬出機は例えば段ボールシート100の中心線Cを目標にして搬出作業を行うことができる。
【0031】
[第1処理部40:
図4,
図5,
図6]
第1処理部40は、段ボールシート100を第1折畳み位置113にて第1折畳み片114を折り畳む第1折畳み機41と、第1折畳み機41で第1折畳み片114を折り畳む際に第1折畳み位置113に沿って基片118を抑える第1シート押圧機43と、を備える。
【0032】
第1折畳み機41は、第1折畳み片114に接する第1反転軸41Cを有する第1折畳み板41Aと、第1反転軸41Cを中心にして第1折畳み板41Aを反転させる第1駆動源41Dと、を備える。第1折畳み機41は、第1駆動源41Dの回転駆動力を第1折畳み板41Aに伝達する伝達機構41Eを備える。
【0033】
第1処理領域201において、搬入された段ボールシート100の第1処理が始まるまで、第1折畳み機41は、
図4に示されるように、第1折畳み板41Aの第1押圧面41Bが上を向いた状態で待機している。
【0034】
段ボールシート100が所定の位置、つまり前述した第1折畳み位置113が第1位置決め基準203に一致するまで搬入されると、それまで
図4に示されるように上方で待機していた第1シート押圧機43が、
図5に示されるように第1折畳み位置113に沿って基片118を押圧するように移動する。
第1シート押圧機43により基片118が押圧されると、第1駆動源41Dが回転駆力を始める。この回転駆動力が伝達機構41Eを介して第1折畳み板41Aに伝えられ、伝達機構41Eは第1反転軸41Cを中心にして反転する。第1折畳み板41Aが180°だけ反転すると、
図6に示されるように、第1折畳み片114が折り畳まれる。
【0035】
第1折畳み片114の折畳みまでの第1処理を終えると、第1折畳み機41は待機状態に戻り、次に処理される段ボールシート100の搬入を待つ。また、第1折畳み片114が折り畳まれた段ボールシート100は、搬送機23により第2処理領域202に搬送される。具体的には、段ボールシート100の幅方向Wの中心線Cが第2位置決め基準204に一致するまで、段ボールシート100が搬送される。
【0036】
[第2処理部60:
図4,
図7,
図8]
第2処理部60は、段ボールシート100を第2折畳み位置115にて第2折畳み片116を折り畳む第2折畳み機61と、第2折畳み機61で第2折畳み片116を折り畳む際に第2折畳み位置115に沿って基片118を抑える第2シート押圧機63と、を備える。第2折畳み機61は、第1処理部40の第1折畳み機41と同様の構成、動作を行うものであるため、第2折畳み機61について第1折畳み機41の各要素と同じ符号を付して、その説明を省略する。第2シート押圧機63についても同様である。
【0037】
第2処理部60は、段ボールシート100の接着片119に接着剤を塗布する接着剤塗布機65を備える。接着剤塗布機65は、第1処理領域201と第2処理領域202の中間に配置され、第1折畳み片114が折り畳まれた段ボールシート100が第1処理領域201から第2処理領域202に搬送される過程で接着片119に接着剤を塗布する。
【0038】
処理装置2は、寸法の異なる段ボールシート100を処理する。したがって、処理装置2は、異なる寸法の段ボールシート100について上述した第1処理および第2処理を行えるように、段ボールシート100の寸法に合わせて、構成要素の中で位置を変更可能に構成されているものがある。
【0039】
第2処理部60において、段ボールシート100の寸法、特に長手方向Lの寸法によって、第1方向Xにおける第2折畳み位置115が異なる。したがって、第2折畳み機61および第2シート押圧機63の第1方向Xの位置が、処理すべき段ボールシート100の寸法に応じて変更可能とされる。この変更可能な範囲は
図8の破線で取り囲まれる領域AAとして示されている。寸法によって段ボールシート100の接着片119の位置も変わるので、接着剤塗布機65の第1方向Xにおける位置も変更可能とされる。段ボールシート100の長手方向Lの寸法の変化に対応するために、第1搬送機23Aも第1方向Xの位置が変更可能とされる。
第1処理部40については、第1折畳み機41などは定位置のままで第1処理を行うことができる。
【0040】
[処理装置2における処理手順:
図4~
図8参照]
<待機:
図4>
寸法も含めて所定の仕様に整えられた段ボールシート100が搬入機21により第1処理領域201に向けて搬入される。このとき、第1処理部40は前述した待機状態にある。第2処理部60は、処理すべき段ボールシート100の寸法に応じた位置において構成要素が待機している。
【0041】
<第1処理:
図5,
図6>
段ボールシート100が第1処理領域201の所定位置まで搬送されると第1処理が始まる。はじめに、第1シート押圧機43を動作させて段ボールシート100の基片118を第1折畳み位置113に沿って押圧する(
図5)。これで折畳みの準備が整うので、次は、第1折畳み機41を動作させることで、第1折畳み片114を反転させて折り畳む(
図6)。折り畳まれた段ボールシート100は第2処理領域202に向けて搬送される。第1処理領域201において、段ボールシート100の次の搬入までは、第1折畳み機41は待機状態となる。
【0042】
<第2処理:
図7,
図8>
段ボールシート100が第2処理領域202の所定位置まで搬送されると、第2処理が始まる。
第2シート押圧機63を動作させて段ボールシート100の基片118を第2折畳み位置115に沿って押圧し、第2折畳み機61を動作させることで第2折畳み片116を反転させて折り畳む。
なお、段ボールシート100が第1処理領域201から第2処理領域202に搬送される過程で、接着剤塗布機65により接着片119に接着剤ADが塗布されている。
【0043】
第2処理領域202において第2処理が行われている最中に、次に処理がなされる段ボールシート100が搬送されてくる。次の段ボールシート100が第1処理領域201の所定位置に搬入されると、第1処理が行われる(
図8)。第1折畳み片114および第2折畳み片116が折り畳まれた段ボールシート100は次工程に向けて搬出される。
【0044】
[第1実施形態(処理装置2)による効果]
<第1の効果>
処理装置2は、第1処理領域201において、第1処理基準位置103が第1折畳み位置113を兼ねており、かつ、これら位置を第1位置決め基準203と一致させた状態で、第1処理としての第1折畳み片114の折畳みを行う。したがって、処理装置2は、異なる寸法の段ボールシート100であっても同じ第1位置決め基準203において位置決めするのでと効率的にかつ高い精度で第1折畳み片114の折畳みを行うことができる。
【0045】
<第2の効果>
処理装置2は、第2処理領域202に搬送される段ボールシート100は第1方向Xの位置が維持されたままであり、第2折畳み位置115を容易に認識できるため、第2折畳み片116の折畳みを高い精度で行うことができる。
【0046】
<第3の効果>
処理装置2は、第1処理領域201と第2処理領域202が第2方向Yに並んでおり、かつ、第1処理領域201から第2処理領域202への段ボールシート100の搬送が、段ボールシート100の幅方向Wに行われる。幅方向Wは長手方向Lに比べて寸法が小さいので、第1処理領域201から第2処理領域202までの搬送距離、つまり搬送時間が短くて済む。したがって、処理装置2によれば、第1処理と第2処理の間の搬送時間を短くすることにより、折畳みに要する1サイクルの時間を短縮できることを通じて、段ボールシート100の製函効率を向上できる。
【0047】
<第4の効果>
処理装置2は、第1処理領域201から第2処理領域202に搬送する過程で接着片119に接着剤ADを塗布する。したがって、処理装置2によれば、接着剤ADの塗布のための時間を設ける必要がないため、折畳みに要する1サイクルの時間を短縮できることを通じて、段ボールシート100の製函効率を向上できる。
【0048】
[第2実施形態(処理装置3):
図9,
図10,
図11]
次に、第2実施形態に係る処理装置3について、
図9および
図10を参照して説明する。
第1実施形態にかかる処理装置2は、第1処理領域201まで第1方向Xに搬送されてきた段ボールシート100が、第1処理を終えると第2処理領域202に向けて第2方向Yに搬送される。これの搬送方向は本開示において好ましい形態ではあるものの、本開示は、処理装置3のように第1処理領域201まで第1方向Xに搬送されてきた段ボールシート100を、第1処理を終えると第2処理領域202に向けて第1方向Xに搬送することもできる。これが第2実施形態である。つまり、第2実施形態は、第1処理領域201と第2処理領域202が第1方向Xに並ぶ。
【0049】
[第1処理領域201から第2処理領域202への搬送:
図9参照]
処理装置3は、第1処理領域201と第2処理領域202が第1方向Xに並んで配置される。第1処理領域201が上流Uの側に配置され、第2処理領域202が下流Dの側に配置される。
第1処理領域201においては、段ボールシート100の第1処理基準位置103が第1位置決め基準203に一致する状態で第1処理がなされる。第1処理を終えた段ボールシート100は第2処理領域202に搬送され、第2処理が行われる。第2処理は段ボールシート100の中心線Cが第2位置決め基準204に一致した状態で行われる。第2処理領域202において第2処理が行われるとき、段ボールシート100は第1処理基準位置103が第1位置決め基準203に一致している。
【0050】
[処理装置3の構成および動作:
図10,
図11参照]
処理装置3は、第1処理領域201に第1処理部70が設けられ、第2処理領域202に第2処理部80が設けられる。
第1処理部70は、例えばコンベア装置からなる第3搬送部71と、第3搬送部71に載せられる段ボールシート100を折り畳む第3折畳み機73と、を備える。第1処理部70は、図示が省略されているが、段ボールシート100を第3折畳み機73で折り畳むときに段ボールシート100を押圧する押圧機を備えている。第2処理部80についても同様である。
第2処理部80は、例えばコンベア装置からなる第4搬送部81と、第4搬送部81に載せられる段ボールシート100を折り畳む第4折畳み機83と、を備える。第1処理部70と第2処理部80とは、第3折畳み機73と第4折畳み機83は、第3搬送部71と第4搬送部81の間に設けられる。段ボールシート100は、第1処理部70において第3折畳み機73により折り畳まれた後に第2処理部80に搬送され、第4折畳み機83により折り畳まれる。以下、
図10および
図11を参照して、処理装置3における折畳み処理の手順を説明する。
【0051】
[
図10 STEP11,12]
図示が省略される上流の工程から搬入される段ボールシート100の第1処理基準位置103が第1位置決め基準203に一致するまで第3搬送部71で搬送する。次いで、第3折畳み機73を反転させることで段ボールシート100の第1折畳み片114を折り畳む。
【0052】
[
図11 STEP13,14]
第1折畳み片114の折畳みを終えると、第3搬送部71および第4搬送部81を動作させることで、第3処理基準位置105が第3位置決め基準205に一致するまで、段ボールシート100を搬送する。段ボールシート100の搬送が済んだら、第4折畳み機83を図中の時計回りに反転させることで、段ボールシート100の第2折畳み片116を折り畳む。
【0053】
[処理装置3が奏する効果]
処理装置3においても、処理装置2の第1の効果を奏することができる。
【0054】
[付記]
本開示に係る処理装置は以下のように捉えることができる。
[付記1]
本開示に係る処理装置は、既定の第1位置決め基準(203)を備え、シート(100)を折り畳む第1処理を行う第1処理領域(201)と、
既定の第2位置決め基準(204)を備え、第1処理領域(201)から搬送され、かつ、第1処理が施されたシート(100)を折り畳む第2処理を行う第2処理領域(202)と、を備え、
第1処理領域(201)において、シート(100)の既定の第1処理基準位置(103)が第1位置決め基準(203)に一致する状態で第1処理が施される。
[付記2]
付記1において、好ましくは、第2処理領域(202)において、シート(100)の既定の第2処理基準位置(C)が既定の第2位置決め基準(204)に一致する状態で第2処理が施される。
[付記3]
付記1または付記2において、好ましくは、寸法の異なるシート(100)を処理する。
[付記4]
付記1~付記3において、好ましくは、
互いに直交する第1方向(X)と第2方向(Y)が特定され、
第1処理領域(201)と第2処理領域(202)は、
第2方向(Y)に並ぶ。
[付記5]
付記4において、好ましくは、シート(100)は、
第1処理領域(201)に向けて第1方向(X)に搬送され、
第1処理領域(201)から第2処理領域(202)に向けて、第2方向(Y)に第1方向(X)の位置が維持されたままで搬送される。
[付記6]
付記1~付記5のいずれかにおいて、好ましくは、シート(100)は、段ボール箱を製函するための段ボールシート(100)であり、
第1処理領域(201)において、第1処理基準位置(103)において段ボールシート(100)の一部(114)が折り畳まれ、
第2処理領域(202)において、第1処理基準位置(103)とは異なる第3処理基準位置(105)において段ボールシート(100)の他の一部(116)を折り畳む。
[付記7]
付記1~付記6のいずれかにおいて、好ましくは、第1処理領域(201)と第2処理領域(202)の間に、
第1処理領域(201)において、折り畳まれた一部(114)の段ボールシート(100)に折り畳まれる他の一部(116)の段ボールシート(100)を接着するための接着剤(AD)を折り畳まれた一部(114)の段ボールシート(100)の所定位置に塗布する接着剤塗布機(65)を備える。
[付記8]
付記7において、好ましくは、第1処理領域(201)において、段ボールシート(100)の一部を折り畳む第1折畳み機(41)と、
第2処理領域(202)において、段ボールシート(100)の他の一部を折り畳む第2折畳み機(61)と、を備え、
第1折畳み機(41)は第2方向(Y)の位置が固定され、
第2折畳み機(61)は第2方向(Y)の位置が固定とされる。
[付記9]
付記7において、好ましくは、接着剤塗布機(65)は第1方向(X)の位置が可変とされる。
[付記10]
付記1~付記3において、好ましくは、互いに直交する第1方向(X)と第2方向(Y)が特定され、
第1処理領域(201)と第2処理領域(202)は、
第1方向(X)に並ぶ、
請求項1に記載の処理装置。
【0055】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1,2,3 処理装置
20 搬送部
21 搬入機
21A クランプ
21B 移動体
23 搬送機
23A 第1搬送機
23B 第2搬送機
23C タイミングプーリ
23D タイミングベルト
40 第1処理部
41 第1折畳み機
41A 第1折畳み板
41B 第1押圧面
41C 第1反転軸
41D 第1駆動源
41E 伝達機構
43 第1シート押圧機
60 第2処理部
61 第2折畳み機
63 第2シート押圧機
65 接着剤塗布機
70 第1処理部
71 第3搬送部
73 第3折畳み機
80 第2処理部
81 第4搬送部
83 第4折畳み機
100 段ボールシート
103 第1処理基準位置
105 第3処理基準位置
110,110A,110B,110C 小段ボールシート
113 第1折畳み位置
114 第1折畳み片
115 第2折畳み位置
116 第2折畳み片
117 接着位置
118 基片
119 接着片
120 大段ボールシート
201 第1処理領域
202 第2処理領域
203 第1位置決め基準
204 第2位置決め基準
205 第3位置決め基準
C 第2処理基準位置