(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005113
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】浮釣り遠投カゴ
(51)【国際特許分類】
A01K 97/02 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
A01K97/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105140
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】518233291
【氏名又は名称】有限会社吉田モールド
(74)【代理人】
【識別番号】100098279
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 聖
(72)【発明者】
【氏名】吉田 修
【テーマコード(参考)】
2B109
【Fターム(参考)】
2B109AA07
2B109AA11
2B109AA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単な構造でありながら、着水後魚の棚までに餌が放出されてしまうのを防止し易く、魚の棚まで届いてから釣り人の簡単な操作により餌を放出し易い浮釣り遠投カゴを提供する。
【解決手段】略円錐形状に形成された錘取り付け部と、内部が餌収納部として構成される中空円筒形に形成され、該円筒形の周面を所定の大きさに切り欠いた開口部を含むカゴ本体部と、前記カゴ本体部の外径より大きい内径と小さい長さを有しつつ該カゴ本体部の外周面に取り付けられ、摺動することで前記カゴ本体部の前記開口部を開閉する円筒形の開閉蓋とを備える浮釣り遠投カゴにおいて、前記錘取り付け部の外縁部に少なくとも2段以上の係止溝を有する係止部を設ける一方、開閉蓋の対応する箇所に、前記開口部を閉じる位置で2段以上の係止溝に係止される係止ピンを固定し、竿をしゃくることで前記係止ピンが上下動ごとに1段ずつ外れて前記円筒形の開閉蓋が摺動可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円錐形状に形成された錘取り付け部と、内部が餌収納部として構成される中空円筒形に形成され、該円筒形の周面を所定の大きさに切り欠いた開口部を含むカゴ本体部と、前記カゴ本体部の外径より大きい内径と該カゴ本体部の長さより小さい長さを有しつつ該カゴ本体部の外周面に摺動自在に取り付けられ、前記錘取り付け部側に摺動することで前記カゴ本体部の前記開口部を閉じ、その反対側に摺動することで前記開口部を開ける円筒形の開閉蓋とを備える浮釣り遠投カゴにおいて、前記錘取り付け部の外縁部に少なくとも2段以上の係止溝を有する係止部を設ける一方、前記円筒形の開閉蓋の対応する箇所に、前記錘取り付け部側に摺動し前記カゴ本体の前記開口部を閉じる位置で前記2段以上の係止溝に係止される係止ピンを固定し、遠投者が竿をしゃくることで前記カゴ本体部が水中で上下動することにより、前記係止ピンが前記2段以上の係止溝から前記上下動ごとに1段ずつ外れて前記円筒形の開閉蓋が前記反対側に摺動可能となることを特徴とする浮釣り遠投カゴ。
【請求項2】
中空略円筒形に形成され下端を開口して内部が餌収納部として構成される上部カゴ本体と、前記上部カゴ本体の下端に脱着自在とし内部下端側に錘を収納した下部蓋体と、前記錘、下部蓋体及び上部カゴ本体を上下方向に貫通する中心軸を備える浮釣り遠投カゴにおいて、前記下部蓋体の外縁部に少なくとも2段以上の係止溝を有する係止部を設ける一方、前記カゴ本体の対応する箇所に前記2段以上の係止溝に係止される係止ピンを固定し、遠投者が竿をしゃくることで前記カゴ本体部が水中で上下動することにより、前記係止ピンが前記2段以上の係止溝から前記上下動ごとに1段ずつ外れて前記下部蓋体が前記上部カゴ本体から脱落して外れ、前記カゴ本体の内部が開放されることを特徴とする浮釣り遠投カゴ。
【請求項3】
中空略円筒形に形成され下端を開口して内部が餌収納部として構成される上部カゴ本体と、前記上部カゴ本体の下端に脱着自在とし内部下端側に錘を収納した下部蓋体と、前記下部蓋体を前記上部カゴ本体に対して揺動可能とするヒンジを備え、前記下部蓋体が前記ヒンジを介して前記上部カゴ本体に対して揺動することで開閉する浮釣り遠投カゴにおいて、更に、前記カゴ本体の前記ヒンジの近傍箇所周面に装着固定される環状の鍔部を有し、前記下部蓋体の外縁部に少なくとも2段以上の係止溝を有する係止部を設ける一方、前記環状の鍔部の対応する箇所に前記2段以上の係止溝に係止される係止ピンを固定し、遠投者が竿をしゃくることで前記カゴ本体部が水中で上下動することにより、前記係止ピンが前記2段以上の係止溝から前記上下動ごとに1段ずつ外れて前記下部蓋体が前記ヒンジを介して前記上部カゴ本体に対して揺動して外れ、前記カゴ本体の内部が開放されることを特徴とする浮釣り遠投カゴ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮釣り遠投カゴに関し、特に、内部にコマセ等の餌を詰めて遠投し、水中にて内部の餌を放出することで撒き餌とすることができる浮釣り遠投カゴに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海釣り等において、内部にコマセ等の餌を詰めて遠投し、水中にて内部の餌を放出することで撒き餌とすることができる浮釣り遠投カゴが用いられている。特に、遠投し着水する前の空中や着水後魚の棚まで届く前の途中で餌が放出されてしまうのを防止し易い浮釣り遠投カゴとして、先頭側から見て突起部分が無くなめらかな形状とすることで、遠投時に空中で空気抵抗を受け難く開口窓が開くのを防止できる浮釣り遠投カゴも提案されている(例えば、特許文献1参照)
【0003】
また、遠投後、海水に着水してから海中に沈んでいくカゴが希望する棚に到達してから内部の餌を放出することが望まれることから、そのための様々な工夫を施した遠投カゴも提案されている。例えば、特許文献2には、下端を開口して内部にコマセを収容可能とした上部カゴ本体と、その上部カゴ本体の下端に脱着自在とした下部フタ体と、その下部フタ体の上に覆設した中板とを備え、それら上部カゴ本体、中板及び下部フタ体にフレキシブルな中心軸を上下方向に貫通させ、下部フタ体の下方に突出した中心軸に錘体を取付けたことを特徴とする投げ釣り用コマセカゴが開示されている。また、特許文献3には、主軸部とバネ性のアーム部から成るテンビン棒と、上部カゴ本体と、下部フタ本体と、錘とから構成される遠投用テンビン籠において、水中へ投下された後、テンビン棒のアーム部がそのバネの復元力により開くが、水溶性の接合部材(輪ゴム)でアーム部と主軸部が閉じた状態を保持するようにすることで、接合部材が水中で溶解する所定時間経過後にコマセ餌を放出することを可能とする遠投用テンビン籠が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6843957号公報
【特許文献2】実用新案登録第3022273号公報
【特許文献3】特開2012-157247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、特許文献2記載の投げ釣り用コマセカゴでは、そもそも遠投の際における風圧により空中で下部フタ体から上部カゴ本体が離れて開いてしまい、コマセ餌を放出してしまう問題があった。仮に着水時の衝撃ではコマセ餌が放出されなかったとしても、下部フタ体から上部カゴ本体が離れて開いてしまうと、魚の棚まで届く前の海中を沈んでいく途中で上部カゴ本体内に水圧がかかり、希望する棚に到達する前にコマセ餌が放出されてしまうという問題が解決されていない。一方、特許文献3記載の遠投用テンビン籠では、水溶性の接合部材(輪ゴム)をタイマー機能を有するリング状の時限装置として使用できるので、従来の難点であった着水時の衝撃で餌漏れしたり、仕掛けが外れてしまうというトラブルを回避できる。しかしながら、釣り場における棚の深さを考慮して水溶性の接合部材を設計し製作する必要があるので、設計・製作が大変であり、コストも高くなる。また、海釣りにおいては、潮の満ち引きや波の状況によって海中の状況も刻々変化する中で、上記タイマー機能が的確に作用するか不安定である。
【0006】
本発明は上述のような事情から為されたものであり、その目的は、上記の問題点を解消し、簡単な構造でありながら、着水後魚の棚まで届く前の途中で餌が放出されてしまうのを防止し易く、魚の棚まで届いてから釣り人の簡単な操作により餌を放出し易い浮釣り遠投カゴを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の問題点を解消することができる新たな浮釣り遠投カゴの構造について地道な実証的研究を鋭意重ねた結果、錘取り付け部又は下部蓋体の外縁部に少なくとも2段以上のガイド溝を有する係止部を設ける一方、カゴ本体側又は円筒形の開閉蓋の対応する箇所に、前記カゴ本体の前記開口部を閉じる位置で前記2段以上のガイド溝に係止される係止ピンを固定し、遠投者が竿を少なくとも2回しゃくることにより、前記係止ピンが前記2段以上のガイド溝から外れることで前記カゴ本体の開口部が開いて餌を放出可能となることを見出した。
【0008】
即ち、上記目的を達成するため、本発明は、略円錐形状に形成された錘取り付け部と、内部が餌収納部として構成される中空円筒形に形成され、該円筒形の周面を所定の大きさに切り欠いた開口部を含むカゴ本体部と、前記カゴ本体部の外径より大きい内径と該カゴ本体部の長さより小さい長さを有しつつ該カゴ本体部の外周面に摺動自在に取り付けられ、前記錘取り付け部側に摺動することで前記カゴ本体部の前記開口部を閉じ、その反対側に摺動することで前記開口部を開ける円筒形の開閉蓋とを備える浮釣り遠投カゴにおいて、前記錘取り付け部の外縁部に少なくとも2段以上の係止溝を有する係止部を設ける一方、前記円筒形の開閉蓋の対応する箇所に、前記錘取り付け部側に摺動し前記カゴ本体の前記開口部を閉じる位置で前記2段以上の係止溝に係止される係止ピンを固定し、遠投者が竿をしゃくることで前記カゴ本体部が水中で上下動することにより、前記係止ピンが前記2段以上の係止溝から前記上下動ごとに1段ずつ外れて前記円筒形の開閉蓋が前記反対側に摺動可能となることを特徴とする。
【0009】
また、中空略円筒形に形成され下端を開口して内部が餌収納部として構成される上部カゴ本体と、前記上部カゴ本体の下端に脱着自在とし内部下端側に錘を収納した下部蓋体と、前記錘、下部蓋体及び上部カゴ本体を上下方向に貫通する中心軸を備える浮釣り遠投カゴにおいて、前記下部蓋体の外縁部に少なくとも2段以上の係止溝を有する係止部を設ける一方、前記カゴ本体の対応する箇所に前記2段以上の係止溝に係止される係止ピンを固定し、遠投者が竿をしゃくることで前記カゴ本体部が水中で上下動することにより、前記係止ピンが前記2段以上の係止溝から前記上下動ごとに1段ずつ外れて前記下部蓋体が前記上部カゴ本体から脱落して外れ、前記カゴ本体の内部が開放されることを特徴とする。
【0010】
更に、中空略円筒形に形成され下端を開口して内部が餌収納部として構成される上部カゴ本体と、前記上部カゴ本体の下端に脱着自在とし内部下端側に錘を収納した下部蓋体と、前記下部蓋体を前記上部カゴ本体に対して揺動可能とするヒンジを備え、前記下部蓋体が前記ヒンジを介して前記上部カゴ本体に対して揺動することで開閉する浮釣り遠投カゴにおいて、更に、前記カゴ本体の前記ヒンジの近傍箇所周面に装着固定される環状の鍔部を有し、前記下部蓋体の外縁部に少なくとも2段以上の係止溝を有する係止部を設ける一方、前記環状の鍔部の対応する箇所に前記2段以上の係止溝に係止される係止ピンを固定し、遠投者が竿をしゃくることで前記カゴ本体部が水中で上下動することにより、前記係止ピンが前記2段以上の係止溝から前記上下動ごとに1段ずつ外れて前記下部蓋体が前記ヒンジを介して前記上部カゴ本体に対して揺動して外れ、前記カゴ本体の内部が開放されることを特徴とする。
【0011】
前記係止部のガイド溝は2段に構成されているようにしても良いが、3段に構成するのが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態(窓式)に係る浮釣り遠投カゴの構成を示す図であり、(a)はその開口蓋が閉じた状態の正面図、(b)はその開口蓋が閉じた状態の側面図、(c)はその開口蓋が閉じた状態の断面図、(d)はその開口蓋が閉じた状態の背面図、(e)はその開口蓋が閉じた状態で係止ピンがガイド溝の1段目上側に移動した状態を示す正面図、(f)はその開口蓋が閉じた状態で係止ピンがガイド溝の3段目下側に移動した状態を示す正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態(窓式)に係る浮釣り遠投カゴの構成を示す図であり、(g)はその係止ピンがガイド溝の3段目上側まで移動して係止部から完全に外れたことでその開口蓋が開いた状態を示す正面図、(h)はその係止ピンがガイド溝の3段目上側まで移動して係止部から完全に外れたことでその開口蓋が開いた状態を示す側面図、(i)はその係止ピンがガイド溝の3段目上側まで移動して係止部から完全に外れたことでその開口蓋が開いた状態を示す背面図、(j)はその係止ピンがガイド溝の3段目上側まで移動して係止部から完全に外れたことでその開口蓋が開いた状態を示す上面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態(窓式)に係る浮釣り遠投カゴの要部としての係止部のガイド溝形状(3段溝・3段ロック式)を示す図であり、(a)はその係止部のガイド溝形状だけ(係止ピンが無い状態)を示す図、(b)は係止ピンがガイド溝の1段目下側に位置した初期状態を示す図、(c)は係止ピンがガイド溝の1段目上側に移動した状態を示す図、(d)は係止ピンがガイド溝の2段目下側に移動した状態を示す図、(e)は係止ピンがガイド溝の2段目上側に移動した状態を示す図、(f)は係止ピンがガイド溝の3段目下側に移動した状態を示す図、(g)はその係止ピンがガイド溝の3段目上側まで移動して係止部から外れる状態を示す図である。
【
図4】
図3(a)を拡大して示し、その要部を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態(窓式)の変形例に係る係止部のガイド溝形状(3段溝・3段ロック式)を示す図であり、(a)はその係止部のガイド溝形状だけ(係止ピンが無い状態)を示す図、(b)は係止ピンがガイド溝の1段目上側に位置した初期状態を示す図、(c)は係止ピンがガイド溝の1段目下側に移動した状態を示す図、(d)は係止ピンがガイド溝の2段目上側に移動した状態を示す図、(e)は係止ピンがガイド溝の2段目下側に移動した状態を示す図、(f)は係止ピンがガイド溝の3段目上側に移動した状態を示す図、(g)はその係止ピンがガイド溝の3段目下側に移動した状態を示す図、(h)はその係止ピンがガイド溝の3段目下側から斜め上側の解放溝まで案内され係止部から外れる状態を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態(窓式)の第2の変形例に係る係止部のガイド溝形状(2段溝・2段ロック式)を示す図であり、(a)はその係止部のガイド溝形状だけ(係止ピンが無い状態)を示す図、(b)は係止ピンがガイド溝の1段目下側に位置した初期状態を示す図、(c)は係止ピンがガイド溝の1段目上側に移動した状態を示す図、(d)は係止ピンがガイド溝の2段目下側に移動した状態を示す図、(e)は係止ピンがガイド溝の2段目上側まで移動して係止部から外れる状態を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態(窓式)の第3の変形例に係る係止部のガイド溝形状(ダブル溝・ダブルロック式)を示す図であり、出口に一対の突起を設けた変形例である。(a)は係止ピンがガイド溝の1段目上側に位置した初期状態を示す図、(b)は係止ピンがガイド溝の1段目下側に移動した状態を示す図、(c)は係止ピンがガイド溝の2段目上側に移動した状態を示す図、(d)は係止ピンがガイド溝の2段目下側に移動した状態を示す図、(e)は係止ピンがガイド溝の3段目上側の解放溝まで案内され、出口の一対の突起を飛び越えて係止部から外れる状態を示す図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態(窓式)の第4の変形例に係る係止部のガイド溝形状(シングル溝・シングルロック式)を示す図であり、出口に一対の突起を設けた変形例である。(a)は係止ピンがガイド溝の1段目上側に位置した初期状態を示す図、(b)は係止ピンがガイド溝の1段目下側に移動した状態を示す図、(c)は係止ピンがガイド溝の2段目上側まで移動し、出口の一対の突起を飛び越えて係止部から外れる状態を示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態(全開式)に係る浮釣り遠投カゴの構成を示す図であり、(a)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、カゴ本体部と錘取り付け部(蓋部)が閉じた初期状態(係止ピンがガイド溝の1段目下側に位置した初期状態)の正面図、(b)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、カゴ本体部と錘取り付け部(蓋部)が閉じた初期状態(係止ピンがガイド溝の1段目下側に位置した初期状態)の断面図、(c)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部から外れて開いた開放状態(係止ピンがガイド溝の3段目上側まで移動して係止部から完全に外れたことで錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部から外れて全開した状態)を示す正面図、(d)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部から外れて開いた状態の断面図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態(蓋部がヒンジを介して揺動開閉する方式)に係る浮釣り遠投カゴの構成を示す図であり、(a)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、カゴ本体部と錘取り付け部(蓋部)が閉じた初期状態(係止ピンがガイド溝の1段目上側に位置した初期状態)の正面図、(b)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、カゴ本体部と錘取り付け部(蓋部)が閉じた初期状態(係止ピンがガイド溝の1段目上側に位置した初期状態)の断面図、(c)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、係止ピンがガイド溝の1段目下側に位置した状態の側面図、(g)はその係止ピンがガイド溝の3段目下側から斜め上側の解放溝まで案内され係止部から外れる直前の状態を示す側面図、(h)は係止ピンが係止部の3段目斜め上側の解放溝から完全に外れたことで錘取り付け部(蓋部)がヒンジを介してカゴ本体部から揺動したことにより全開した状態を示す正面図である。
【
図11】
図10と同様に本発明の第3の実施形態(蓋部がヒンジを介して揺動開閉する方式)に係る浮釣り遠投カゴの構成を示す図であり、(d)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、カゴ本体部と錘取り付け部(蓋部)が閉じた状態(係止ピンがガイド溝の2段目上側に位置した状態)の正面図、(e)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、カゴ本体部と錘取り付け部(蓋部)が閉じた状態(係止ピンがガイド溝の3段目上側に位置した状態)の正面図、(f)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、係止ピンがガイド溝の3段目下側に位置した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態(窓式)に係る浮釣り遠投カゴの構成を示す図であり、(a)はその開口蓋が閉じた状態の正面図、(b)はその開口蓋が閉じた状態の側面図、(c)はその開口蓋が閉じた状態の断面図、(d)はその開口蓋が閉じた状態の背面図、(e)はその開口蓋が閉じた状態で係止ピンがガイド溝の1段目上側に移動した状態を示す正面図、(f)はその開口蓋が閉じた状態で係止ピンがガイド溝の3段目下側に移動した状態を示す正面図である。
図2は、本発明の第1の実施形態(窓式)に係る浮釣り遠投カゴの構成を示す図であり、(g) はその係止ピンがガイド溝の3段目上側まで移動して係止部から完全に外れたことでその開口蓋が開いた状態を示す正面図、(h)はその係止ピンがガイド溝の3段目上側まで移動して係止部から完全に外れたことでその開口蓋が開いた状態を示す側面図、(i)はその係止ピンがガイド溝の3段目上側まで移動して係止部から完全に外れたことでその開口蓋が開いた状態を示す背面図、(j)はその係止ピンがガイド溝の3段目上側まで移動して係止部から完全に外れたことでその開口蓋が開いた状態を示す上面図である。
図3は、本発明の第1の実施形態(窓式)に係る浮釣り遠投カゴの要部としての係止部のガイド溝形状(3段溝・3段ロック式)を示す図であり、(a)はその係止部のガイド溝形状だけ(係止ピンが無い状態)を示す図、(b)は係止ピンがガイド溝の1段目下側に位置した初期状態を示す図、(c)は係止ピンがガイド溝の1段目上側に移動した状態を示す図、(d)は係止ピンがガイド溝の2段目下側に移動した状態を示す図、(e)は係止ピンがガイド溝の2段目上側に移動した状態を示す図、(f)は係止ピンがガイド溝の3段目下側に移動した状態を示す図、(g) はその係止ピンがガイド溝の3段目上側まで移動して係止部から外れる状態を示す図である。
【0014】
本発明の第1の実施形態の浮釣り遠投カゴの基本的な構成は、本発明者の先願に係る上記特許文献1記載の浮釣り遠投カゴと略同様である。即ち、本実施形態の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10は、
図1及び
図2に示すように、空中での先端側(水中では下側)になる錘取り付け部12を略円錐形状に形成し、この略円錐形状の上面部12Bに、内部が餌収納部14Aとして構成される中空円筒形に形成され、該円筒形の周面を所定の大きさに切り欠いた開口部14Bを含むカゴ本体14を固定して形成されている。錘取り付け部12の先端には錘12aが一体的に取り付けられている。また、浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10には、該円筒形のカゴ本体14の外周と錘取り付け部12の略円錐形状の上側の環状周縁部12cとの間に溝16を形成する一方、カゴ本体14の外径より大きい内径とカゴ本体14の長さより小さい長さを有しつつカゴ本体14の外周面に摺動自在に取り付けられ、錘取り付け部12側に摺動することでカゴ本体14の開口部14Bを閉じ、その反対側に摺動することで開口部14Bを開ける円筒形の開閉蓋18(外蓋方式)が溝16に遊篏する構造を有している。ここで、「遊嵌」とは、開閉蓋18が溝16に嵌った状態でも指で押さえて、くるくる回すことができ、また、浮釣り遠投カゴ10を逆さにすれば開閉蓋18が自重により溝16から外れて反対側に落下する程度に嵌っている態様を意味する。尚、錘取り付け部12の環状周縁部12cには、
図1及び
図2に示すように、糸通し溝17が形成されている。
【0015】
ここで、本発明の第1の実施形態の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10では、カゴ本体14、開閉蓋18及び錘取り付け部12の3つの部材の外径(外形)関係は、開閉蓋18(外蓋方式)が閉じた状態(
図1と
図2参照)で、空中での先端側(水中では下側)になる錘取り付け部12の外径が最も大きく、開閉蓋18は錘取り付け部12より小さい外径で、カゴ本体14は開閉蓋18より小さい外径となり、換言すれば、空中での先端側(水中では下側)から後端側(水中では上側)に向かって、外径がより大きくなったような突起部分が無い(緩やかな段差状の尻すぼみ)の略円筒形に構成されている。更に、カゴ本体14には、浮釣り遠投カゴ10が着水して水中に沈んでいく際に、内部の空気を放出すると共に周囲の水を内部に漸次取り込む空気穴14Hが形成されている。また、開閉蓋18は水に対する浮力構造を有するように、水に浮く素材で形成されている。尚、
図1及び
図2に示すように、カゴ本体14の上部周面には、突起状のストッパ19が形成されており、開閉蓋18は、浮力により水中で上側にスライドしても、
図2に示すように、ストッパ19により停止される。以上により、本発明の第1の実施形態の特徴の2つ目として、空気穴14Hを介してカゴ本体14内に水が取り込まれてカゴ本体14内の内圧と外圧としての水圧が均衡に達した時に、上記の浮力構造により開閉蓋18が上側に摺動することで開口部14Bを開くように構成されている。以上の構成の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10が、
図2に示すように、連結具11の一端側にクッションゴム15を介して取り付けられる。尚、連結具11の他端側の連結環(輪)11aには、例えば、図示しない天秤が接続され、その天秤は釣り竿から伸長する道糸に接続されると共に、その天秤の腕の先端にはハリスを介して釣針が接続される。その釣針は、例えば、オキアミ等の付け餌が付けられた状態で、ハリス(の糸)を錘取り付け部12の糸通し溝17を介して開口部14Bの隙間からコマセ等を収納した餌収納部14A内にいっしょに収納される。尚、カゴ本体14の中空の内部は、略全体が餌収納部14Aとして構成されており、餌収納部14A内に収納されたコマセ等の餌が開口部14Bが開くことで、カゴ本体14内から放出されることで上記の撒き餌が実行されるようになっている。即ち、魚の棚に到達して開口部14Bが開くと、餌収納部14A内からコマセ等が放出されると共に、ハリスを介した釣針もカゴ本体14外に放出されることで、撒き餌がなされた中で、天秤を介して付け餌が付けられた釣針が浮遊することになる。尚、クッションゴム15は、遠投時や着水時に浮釣り遠投カゴ10と上述した天秤等との間にかかる衝撃を和らげる役目を果たす。
【0016】
本発明の第1の実施形態の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10は以上のように構成され、特に、空中での先端側(水中では下側)から後端側(水中では上側)に向かって、外径がより大きくなったような突起部分が無い(緩やかな段差状の尻すぼみ)の略円筒形に構成されている。従って、遠投し着水する前の空中において、突起部分が空気抵抗を受けることで開閉蓋が開いてしまう虞が無くなる。また、空中での先端側から後端側に向かって突起部分が無い緩やかな段差状に構成されているので、空中で風を受けて生じる乱流が開閉蓋18部分を巻き込んで後端側にスライドさせてしまう虞が少なくなる。この結果、遠投し着水する前の空中で開閉蓋18が後端側にスライドして餌が放出されてしまうのを防止し易い構造となっている。また、水中での下側から上側に向かって外径がより大きくなったような突起部分が無い緩やかな段差状に構成されているので、着水後魚の棚まで届く前の途中で、突起部分が水の抵抗を受けることで開閉蓋が開いてしまう虞が比較的少なく、水流が開閉蓋18部分を巻き込んで上側にスライドさせてしまう虞も少なくなる。この結果、浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10は、着水後魚の棚まで届く前の途中で餌が放出されてしまうのを防止し易い構造にもなっている。
【0017】
しかしながら、海釣りでの遠投の場合、釣り人は自らの位置から100m以上の距離を投げることが多く、遠投カゴが着水時に受ける衝撃は大変大きいものである。そのため、着水時の衝撃により開閉蓋18が開いてしまう(後端側にスライドしてしまう)のを完全に防止できるとまでは言えない。また、着水時の衝撃によっても開閉蓋18が開くのは防止できたとしても、海中での潮の流れや渦の影響により、やはり開閉蓋18が開いてしまうのを完全に防止できない事態も考えられる。
【0018】
そこで、本発明者は、かかる課題を解消することができる新たな構造について鋭意研究を重ねた結果、上記特許文献1記載の特許発明の改良発明として、同文献にも記載の上記浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10の基本構成に簡単な構造を付加することで着水時の衝撃や海中での潮の流れや渦の影響によって開閉蓋18が開いてしまうのを有効に防止できることを想到した。即ち、この改良された新たな構造を有する本実施形態の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10では、錘取り付け部の外縁部に少なくとも2段以上の係止溝を有する係止部を設ける一方、前記円筒形の開閉蓋の対応する箇所に、前記錘取り付け部側に摺動し前記カゴ本体の前記開口部を閉じる位置で前記2段以上の係止溝に係止される係止ピンを固定し、遠投者が竿をしゃくることで前記カゴ本体部が水中で上下動することにより、前記係止ピンが前記2段以上の係止溝から前記上下動ごとに1段ずつ外れて前記円筒形の開閉蓋が前記反対側に摺動可能となるように構成した。即ち、上記特許文献1記載の特許発明では、着水までに餌収納部14Aの開口部14Bは開かず、着水後、海水が入り込みカゴ本体14内の水圧が上昇して開口部14Bが開き、撒餌が外部に放出される仕組みであったのを、この改良発明では、着水後、遠投者が竿をしゃくることで任意の時期(タイミング)に開口部14Bを開くことができることを本質としている。
【0019】
即ち、本実施形態の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10では、
図2(g)(h)に分かり易く示されているように、錘取り付け部12の外縁部に少なくとも2段以上の係止溝100Aを有する係止部100を設ける一方、上記円筒形の開閉蓋18の(下端側の)対応する箇所に、錘取り付け部12側に摺動しカゴ本体14の開口部14Bを閉じる位置で上記2段以上の係止溝100Aに係止される係止ピン100Bを固定し、遠投者が竿をしゃく
ることでカゴ本体14が水中で上下動することにより、係止ピン100Bが上記2段以上の係止溝100Aから上記の上下動ごとに1段ずつ外れて円筒形の開閉蓋18が反対側に摺動可能となるように構成されている。このように錘取り付け部12の外縁部に係止部100を設けることで少なくとも2段以上の係止溝(ガイド溝)100Aを施し、開閉蓋18側に係止溝(ガイド溝)100Aに案内されることで通過できる係止ピン(L型留付け番線)100Bを設けた構造を有し、着水後、任意のタイミングでしゃくることで係止溝(ガイド溝)100Aから係止ピン(L型留付け番線)100Bが外れることでロックが解除され、開口部14Bが開いて撒餌が可能になる。
【0020】
ここで、上記の係止部100[係止溝(ガイド溝)100A]について、
図3乃至
図5を参照して詳細に述べる。
図3は、本実施形態(窓式)に係る浮釣り遠投カゴ10の要部としての係止部100のガイド溝形状(3段溝・3段ロック式)を示す図であり、(a)はその係止部のガイド溝形状だけ(係止ピンが無い状態)を示す図、(b)は係止ピンがガイド溝の1段目下側に位置した初期状態を示す図、(c)は係止ピンがガイド溝の1段目上側に移動した状態を示す図、(d)は係止ピンがガイド溝の2段目下側に移動した状態を示す図、(e)は係止ピンがガイド溝の2段目上側に移動した状態を示す図、(f)は係止ピンがガイド溝の3段目下側に移動した状態を示す図、(g) はその係止ピンがガイド溝の3段目上側まで移動して係止部から外れる状態を示す図である。本実施形態(窓式)の浮釣り遠投カゴ10の係止部100は、
図3(a)に示すガイド溝形状(3段溝・3段ロック式)を有している。即ち、本実施形態(窓式)の浮釣り遠投カゴ10の係止部100は、
図3(a)に示すように、第1段、第2段及び第3段から成る3段溝形状に形成されており、それぞれ下側溝に対し上側溝が出口側に向かってずれるように配置形成されている。また、各段目下側それぞれの溝底部は半円形に形成され、各段目上側それぞれの溝上部も、同様に半円形に形成されている。また、係止部100のガイド溝は、1段目下側101Aから1段目上側101Bに斜めのスロープ(摺動坂)100S1を介して出口側101G側(
図3では右側)に向かって連続して形成され、1段目上側101Bから2段目下側101Cに斜めのスロープ(摺動坂)100S2を介して出口側101G側(
図3では右側)に向かって連続して形成されている。続いて、2段目下側101Cから2段目上側101Dに斜めのスロープ(摺動坂)100S3を介して出口側101G側(
図3では右側)に向かって連続して形成され、2段目上側101Dから3段目下側101Eに斜めのスロープ(摺動坂)100S4を介して出口側101G側(
図3では右側)に向かって連続して形成されている。更に、3段目下側101Eから3段目上側101Fに斜めのスロープ(摺動坂)100S5と100S6を介して出口側101G側(
図3では右側)且つ上側に向かって連続して形成されており、この3段目上側101Fは、そのまま係止部100のガイド溝の出口101Gまで上方に連通して形成されている。
【0021】
このように、本実施形態(窓式)の浮釣り遠投カゴ10の係止部100は、
図3(a)に示すように、第1段、第2段及び第3段から成る3段溝形状に形成されており、それぞれ下側溝に対し上側溝が各斜めのスロープ(摺動坂)を介することによってガイド溝の出口101Gに向かって出口側(
図3では右側)に順番にずれるように配置形成されている。尚、上述したように各段目下側それぞれの溝底部は半円形に形成され、各段目上側それぞれの溝上部も同様に半円形に形成されているが、
図4に
図3(a)を拡大して示すように、例えば、1段目下側部101Aの右端側の角部101ACから斜めのスロープ(摺動坂)100S1に向かって仮想的に垂線(破線で示す)を引くと、この垂線(破線で示す)はスロープ(摺動坂)100S1の真ん中(中点)よりも出口101G側(
図3では右側)に位置する(交差する)ようになっている。他の下側部の溝底部と対応するスロープ(摺動坂)、他の上側部の溝上部と対応するスロープ(摺動坂)との対応関係も同様である。これにより、後述するように、各スロープ(摺動坂)により係止ピン(L型留付け番線)100Bが出口101G側(
図3では右側)に向かって確実にガイド(案内)されるようになっている。一方、開閉蓋18側には、係止溝(ガイド溝)100Aの各溝を案内されることで出口101G側(
図3では右側)まで通過できる係止ピン(L型留付け番線)100Bを設けている。即ち、本実施形態の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10では、
図2(g)(h)に示されているように、錘取り付け部12側に摺動した時にカゴ本体14の開口部14Bを閉じる位置で上記係止溝100Aの各ガイド溝の下側部に係止される係止ピン100Bを上記円筒形の開閉蓋18の(下端側の)対応する箇所に固定して設けている。
【0022】
次に、
図3(a)乃至(g)を参照しつつ、本実施形態の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10の使用方法とその作用効果について説明する。まず、遠投カゴ10を投げる前の使用時には、カゴ本体14の餌収納部14Aにコマセ等の餌を収納した上で、開閉蓋18を錘取り付け部12側に摺動させつつ錘取り付け部12に対して開閉蓋18を回すことにより、この係止ピン100Bを、
図3(b)に示すように、ガイド溝1段目下側部101Aの溝底部に配置しておく。これにより、この後、釣り人が浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10を遠投すると、空中では錘取り付け部12側を先端に飛翔し、更に、錘取り付け部12側を先端(下端)に着水し海中(水中)に沈降していくが、この空中でも、また着水時の衝撃や海中(水中)の潮の流れや渦の抵抗を受けても、係止ピン100Bが、
図3(c)に示すように、ガイド溝1段目上側部101Bまで移動するに留まり、開閉蓋18のロック状態が維持されるので、開閉蓋18が錘取り付け部12の反対側に摺動して開口部14Bが開き撒餌が外部に放出されてしまうことが無い。そして、海中(水中)を沈降していく過程で上記の抵抗が減ずると自然に係止ピン100Bが、
図3(d)に示すように、ガイド溝2段目下側部101Cに落ち込む(移動する)。
【0023】
そして、この
図3(d)の状態から釣り人(遠投者)が竿を1回しゃくると、係止ピン100Bが、
図3(e)に示すガイド溝2段目上側部101Dまで移動して溝上部に突き当り、その後しゃくる(引く)力が消失すると、自然に係止ピン100Bが、
図3(f)に示すように、ガイド溝3段目下側部101Eに落ち込む(移動する)。続いて、この
図3(f)の状態から釣り人(遠投者)が竿をもう1回(2回目)しゃくると、係止ピン100Bが、ガイド溝3段目上側101Fを通過して、そのまま連通するガイド溝出口101Gから係止部100の外に解放され、開閉蓋18のロック状態が解除される。これにより、開閉蓋18の浮力構造やカゴ本体内の水圧差の解消により開閉蓋18が錘取り付け部12の反対側に摺動して開口部14Bが開き撒餌が外部に放出される。このように、本実施形態の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10を用いれば、着水後、釣り人(遠投者)が竿を2回しゃくることで任意の時期(タイミング)に開口部14Bを開くことができる。従って、希望する棚まで浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10が沈降するタイミングを見計らって釣り人(遠投者)が竿を2回しゃくることで当該希望する棚付近に撒餌を行うことが可能である。
【0024】
図5は、本発明の第1の実施形態(窓式)の第1の変形例に係る係止部のガイド溝形状(3段溝・3段ロック式)を示す図であり、(a)はその係止部のガイド溝形状だけ(係止ピンが無い状態)を示す図、(b)は係止ピンがガイド溝の1段目上側に位置した初期状態を示す図、(c)は係止ピンがガイド溝の1段目下側に移動した状態を示す図、(d)は係止ピンがガイド溝の2段目上側に移動した状態を示す図、(e)は係止ピンがガイド溝の2段目下側に移動した状態を示す図、(f)は係止ピンがガイド溝の3段目上側に移動した状態を示す図、(g) はその係止ピンがガイド溝の3段目下側に移動した状態を示す図、(h)はその係止ピンがガイド溝の3段目下側から斜め上側の解放溝まで案内され係止部から外れる状態を示す図である。この第1の変形例に係る係止部200は、
図5(a)に示すガイド溝形状を有しており、上述した係止部100と同様に3段溝・3段ロック式ではあるが、釣り人(遠投者)による竿のしゃくり以外の水中での抵抗等により外れにくい溝形状となっている。即ち、本変形例に係る係止部200は、
図5(a)に示すように、第1段201、第2段202及び第3段203から成る3段溝と3段目の下側部203Fから上方に連通する開放通路(出口)204Gを有する形状に形成されており、それぞれ上側溝に対し下側溝が出口204G側に向かってずれるように配置形成されている。また、各段目上側それぞれの溝上部は半円形に形成され、各段目下側それぞれの溝底部も、同様に半円形に形成されている。また、係止部200のガイド溝は、1段目上側201Aから1段目下側201Bに斜めのスロープ(摺動坂)200S1を介して出口204G側(
図5では右側)に向かって連続して形成され、1段目下側201Bから2段目上側201Cに斜めのスロープ(摺動坂)200S2を介して出口204G側(
図5では右側)に向かって連続して形成されている。続いて、2段目上側201Cから2段目下側201Dに斜めのスロープ(摺動坂)200S3を介して出口204G側(
図5では右側)に向かって連続して形成され、2段目下側201Dから3段目上側201Eに斜めのスロープ(摺動坂)200S4を介して出口204G側(
図5では右側)に向かって連続して形成されている。更に、3段目上側201Eから3段目下側201Fに斜めのスロープ(摺動坂)200S5を介して出口204G側(
図5では右側)に向かって連続して形成され、更に、3段目下側201Fは、斜めのスロープ(摺動坂)200S6を介して出口204G側(
図5では右側)且つ上側に向かって連続して形成され、この3段目下側201Fは、そのまま係止部200のガイド溝の開放通路(出口)204Gまで上方に連通して形成されている。
【0025】
このように、本変形例に係る係止部200は、
図5(a)に示すように、第1段201、第2段202及び第3段203から成る3段溝と3段目の下側部203Fから上方に連通する開放通路(出口)204Gを有する形状に形成されており、それぞれ上側溝に対し下側溝が各斜めのスロープ(摺動坂)を介することによって出口204G側(
図5では右側)に向かって順番にずれるように配置形成されており、更に3段目の下側部203Fから斜めのスロープ(摺動坂)200S6を介して出口204G側(
図5では右側)且つ上側に向かってガイド溝の開放通路(出口)204Gが上方に連通して形成されている。尚、上述したように各段目上側それぞれの溝上部は半円形に形成され、各段目下側それぞれの溝底部も同様に半円形に形成されているが、図示はしないが、例えば、1段目上側部201Aの右端側の角部201ACから斜めのスロープ(摺動坂)200S1に向かって仮想的に垂線を引くと、この垂線はスロープ(摺動坂)200S1の真ん中(中点)よりも出口201G側(
図5では右側)位置する(交差する)ようになっているのは、上記係止部100と略同様である。他の下側部の溝底部と対応するスロープ(摺動坂)、他の上側部の溝上部と対応するスロープ(摺動坂)との対応関係等も同様である。これにより、後述するように、各スロープ(摺動坂)により係止ピン(L型留付け番線200Bが出口204G側(
図5では右側)に向かって確実にガイド(案内)されるようになっている。一方、開閉蓋18側には、係止溝(ガイド溝)200Aの各溝を案内されることで出口204G側(
図5では右側)まで通過できる係止ピン(L型留付け番線)200Bを設けるのは、上記係止部100の場合と同様である。即ち、本変形例においても、浮
釣り遠投カゴ(外蓋式)10では、
図2(g)(h)に示されているように、錘取り付け部12側に摺動した時にカゴ本体14の開口部14Bを閉じる位置で上記係止溝200Aの各ガイド溝の上側部に係止される係止ピン200Bを上記円筒形の開閉蓋18の(下端側の)対応する箇所に固定して設けている。
【0026】
次に、
図5(a)乃至(h)を参照しつつ、本変形例の係止部200を有する浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10の使用方法とその作用効果について説明する。まず、遠投カゴ10を投げる前の使用時には、カゴ本体14の餌収納部14Aにコマセ等の餌を収納した上で、開閉蓋18を錘取り付け部12側に摺動させつつ錘取り付け部12に対して開閉蓋18を回すことにより、この係止ピン200Bを、
図5(b)に示すように、ガイド溝1段目上側部201Aの溝上部に係止しておく。これにより、この後、釣り人が浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10を遠投すると、空中では錘取り付け部12側を先端に飛翔し、更に、錘取り付け部12側を先端(下端)に着水し海中(水中)に沈降していくが、この空中でも、また着水時の衝撃や海中(水中)の潮の流れや渦の抵抗を受けても、係止ピン200Bが、
図5(c)(d)に示すように、ガイド溝2段目上側部201Cまで移動するに留まり、開閉蓋18のロック状態が維持されるので、開閉蓋18が錘取り付け部12の反対側に摺動して開口部14Bが開き撒餌が外部に放出されてしまうことが無い。そして、海中(水中)を沈降していく過程で上記の抵抗が減ずると自然に係止ピン200Bが、
図5(e)に示すように、ガイド溝2段目下側部201Dに落ち込む(移動する)。
【0027】
そして、この
図5(e)の状態から釣り人(遠投者)が竿を1回しゃくると、係止ピン200Bが、
図5(f)に示すガイド溝3段目上側部201Eまで移動して溝上部に突き当り、その後しゃくる(引く)力が消失すると、自然に係止ピン200Bが、
図5(g)に示すように、ガイド溝3段目下側部201Fに落ち込む(移動する)。続いて、この
図5(g)の状態から釣り人(遠投者)が竿をもう1回(2回目)しゃくると、係止ピン200Bが、ガイド溝3段目下側部201Fから平行な斜めスロープ路200S6と200S7間を案内されつつ通過して、そのまま連通するガイド溝出口204Gから係止部200の外に解放され、開閉蓋18のロック状態が解除される。これにより、開閉蓋18の浮力構造やカゴ本体内の水圧差の解消により開閉蓋18が錘取り付け部12の反対側に摺動して開口部14Bが開き撒餌が外部に放出される。このように、本変形例の係止部200を有する浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10を用いれば、着水後、釣り人(遠投者)が竿を2回しゃくることで任意の時期(タイミング)に開口部14Bを開くことができる。従って、希望する棚まで浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10が沈降するタイミングを見計らって釣り人(遠投者)が竿を2回しゃくることで当該希望する棚付近に撒餌を行うことが可能である。ここで、本変形例の係止部200の大きな特徴は、釣り人(遠投者)が竿を2回しゃくることで確実に開口部14Bを開くためのフェイルセーフ設計を施したことにある。即ち、本実施形態の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10は、カゴ本体部14が水中で加速度をもって上下動することにより係止ピン200Bが係止部200の係止溝から当該上下動ごとに1段ずつ外れて溝間を移動(遷移)することが前提であり、このようなカゴ本体部14が水中で加速度をもって上下動することは、釣り人(遠投者)が竿をしゃくるときだけに生じる事態ではなく、例えば、着水時の衝撃による反動や海中(水中)の潮の流れや渦の抵抗によっても生じる事態と考えられる。そこで、このように釣り人(遠投者)が竿をしゃくるとき以外に、例えば、着水時の衝撃による反動や海中(水中)の潮の流れや渦の抵抗によって係止ピン200Bが係止部200の係止溝から当該上下動ごとに1段ずつ外れて溝間を移動(遷移)してしまう事態が生じても、なお係止(ロック)状態を保持し、釣り人(遠投者)が少なくとも2回竿をしゃくることによってのみ開口部14Bを開くことができる確率を高めるために、竿をしゃくる以外の動きによる1回分の溝間の移動(遷移)を許容する設計となっている。上述した例では、釣り人が浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10を遠投すると、空中では錘取り付け部12側を先端に飛翔し、更に、錘取り付け部12側を先端(下端)に着水し海中(水中)に沈降していくが、例えば、着水時の衝撃や海中(水中)の潮の流れや渦の抵抗によってカゴ本体部14が水中で加速度をもって上下動しても、係止ピン200Bが、
図5(c)(d)に示すように、ガイド溝2段目上側部201Cまで移動するに留まり、開閉蓋18のロック状態が維持されるケースについて説明した。このように、本変形例の係止部200を有する浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10によれば、釣り人(遠投者)が少なくとも2回竿をしゃくることによって開口部14Bを開くことができる確率を高めることが可能である。
【0028】
図6は、本発明の第1の実施形態(窓式)の第2の変形例に係る係止部のガイド溝形状(2段溝・2段ロック式)を示す図であり、(a)はその係止部のガイド溝形状だけ(係止ピンが無い状態)を示す図、(b)は係止ピンがガイド溝の1段目下側に位置した初期状態を示す図、(c)は係止ピンがガイド溝の1段目上側に移動した状態を示す図、(d)は係止ピンがガイド溝の2段目下側に移動した状態を示す図、(e)は係止ピンがガイド溝の2段目上側まで移動して係止部から外れる状態を示す図である。この第2の変形例に係る係止部300は、
図6(a)に示すガイド溝形状を有しており、上述した係止部100及び200と異なり、2段溝・2段ロック式である。即ち、本変形例に係る係止部300は、
図6(a)に示すように、第1段301及び第2段302から成る2段溝と2段目の下側部303Cから上方に連通する開放通路(出口)304Gを有する形状に形成されており、それぞれ下側溝に対し上側溝が出口304G側に向かってずれるように配置形成されている。また、各段目下側それぞれの溝底部は半円形に形成され、各段目上側それぞれの溝上部も、同様に半円形に形成されている。また、係止部300のガイド溝は、1段目下側301Aから1段目上側301Bに斜めのスロープ(摺動坂)300S1を介して出口304G側(
図6では右側)に向かって連続して形成され、1段目上側301Bから2段目下側301Cに斜めのスロープ(摺動坂)300S2を介して出口304G側(
図6では右側)に向かって連続して形成されている。続いて、2段目下側301Cから斜めのスロープ(摺動坂)300S3を介して出口304G側(
図6では右側)に向かって連続して形成されている。更に、2段目下側301Cは、そのまま係止部300のガイド溝の開放通路(出口)304Gまで上方に連通して形成されている。
【0029】
このように、本変形例に係る係止部300は、
図6(a)に示すように、第1段301及び第2段302から成る2段溝と2段目の下側部303Cから上方に連通する開放通路(出口)304Gを有する形状に形成されており、それぞれ下側溝に対し上側溝が各斜めのスロープ(摺動坂)を介することによって出口304G側(
図6では右側)に向かって順番にずれるように配置形成されており、更に2段目の下側部303Cから斜めのスロープ(摺動坂)300S3を介して出口304G側(
図6では右側)且つ上側に向かってガイド溝の開放通路(出口)304Gが上方に連通して形成されている。尚、上述したように各段目下側それぞれの溝上部は半円形に形成され、各段目上側それぞれの溝底部も同様に半円形に形成されているが、図示はしないが、例えば、1段目下側部301Aの右端側の角部301ACから斜めのスロープ(摺動坂)300S1に向かって仮想的に垂線を引くと、この垂線はスロープ(摺動坂)300S1の真ん中(中点)よりも出口301G側(
図6では右側)位置する(交差する)ようになっているのは、上記係止部100及び200と略同様である。他の下側部の溝底部と対応するスロープ(摺動坂)、他の上側部の溝上部と対応するスロープ(摺動坂)との対応関係等も同様である。これにより、後述するように、各スロープ(摺動坂)により係止ピン(L型留付け番線)300Bが出口304G側(
図6では右側)に向かって確実にガイド(案内)されるようになっている。一方、開閉蓋18側には、係止溝(ガイド溝)300Aの各溝を案内されることで出口304G側(
図6では右側)まで通過できる係止ピン(L型留付け番線)300Bを設けるのは、上記係止部100及び200の場合と同様である。即ち、本変形例においても、浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10では、
図2(g)(h)に示されているように、錘取り付け部12側に摺動した時にカゴ本体14の開口部14Bを閉じる位置で上記係止溝300Aの各ガイド溝の上側部に係止される係止ピン300Bを上記円筒形の開閉蓋18の(下端側の)対応する箇所に固定して設けている。
【0030】
次に、
図6(a)乃至(e)を参照しつつ、本変形例の係止部300を有する浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10の使用方法とその作用効果について説明する。まず、遠投カゴ10を投げる前の使用時には、カゴ本体14の餌収納部14Aにコマセ等の餌を収納した上で、開閉蓋18を錘取り付け部12側に摺動させつつ錘取り付け部12に対して開閉蓋18を回すことにより、この係止ピン300Bを、
図6(b)に示すように、ガイド溝1段目下側部301Aの溝底部に係止しておく。これにより、この後、釣り人が浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10を遠投すると、空中では錘取り付け部12側を先端に飛翔し、更に、錘取り付け部12側を先端(下端)に着水し海中(水中)に沈降していくが、この空中でも、また着水時の衝撃や海中(水中)の潮の流れや渦の抵抗を受けても、係止ピン300Bが、
図6(c)に示すように、ガイド溝1段目上側部301Bまで移動するに留まり、開閉蓋18のロック状態が維持されるので、開閉蓋18が錘取り付け部12の反対側に摺動して開口部14Bが開き撒餌が外部に放出されてしまうことが無い。そして、海中(水中)を沈降していく過程で上記の抵抗が減ずると自然に係止ピン300Bが、
図6(d)に示すように、ガイド溝2段目下側部301Cに落ち込む(移動する)。
【0031】
そして、この
図6(d)の状態から釣り人(遠投者)が竿を1回しゃくると、係止ピン300Bが、
図6(d)に示すガイド溝2段目下側部301Cから平行な斜めスロープ路300S3と300S4間を案内されつつ通過して、そのまま連通するガイド溝出口304Gから係止部300の外に解放され、開閉蓋18のロック状態が解除される。これにより、開閉蓋18の浮力構造やカゴ本体内の水圧差の解消により開閉蓋18が錘取り付け部12の反対側に摺動して開口部14Bが開き撒餌が外部に放出される。このように、本変形例の係止部200を有する浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10を用いれば、着水後、釣り人(遠投者)が竿を1回しゃくることで任意の時期(タイミング)に開口部14Bを開くことができる。従って、希望する棚まで浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10が沈降するタイミングを見計らって釣り人(遠投者)が竿を1回しゃくることで当該希望する棚付近に撒餌を行うことが可能である。このように、本変形例の係止部300の特徴は、釣り人(遠投者)が竿を1回しゃくるだけでも開口部14Bを開き易いため、初心者やせっかちな釣り人に適した設計と言える。
【0032】
図7は、本発明の第1の実施形態(窓式)の第3の変形例に係る係止部のガイド溝形状(ダブル溝・ダブルロック式)を示す図であり、出口に一対の突起を設けた変形例である。(a)は係止ピンがガイド溝の1段目上側に位置した初期状態を示す図、(b)は係止ピンがガイド溝の1段目下側に移動した状態を示す図、(c)は係止ピンがガイド溝の2段目上側に移動した状態を示す図、(d)は係止ピンがガイド溝の2段目下側に移動した状態を示す図、(e)は係止ピンがガイド溝の3段目上側の解放溝まで案内され、出口の
一対の突起を飛び越えて係止部から外れる状態を示す図である。この第3の変形例に係る係止部400は、
図7(a)から(e)に示すガイド溝形状を有しており、上述した係止部100及び200よりも溝の深さが浅くなっており、ダブルロック式である。即ち、本変形例に係る係止部400は、
図7(a)に示すように、第1段401A、B及び第2段402A、Bから成る2段溝と2段目の下側部402Bから上方に連通する開放通路403を介して(出口)404Gに至る形状に形成されており、それぞれ下側溝に対し上側溝が出口404G側に向かってずれるように配置形成されている。また、各段目下側それぞれの溝底部は半円形に形成され、各段目上側それぞれの溝上部も、同様に半円形に形成されている。また、係止部400のガイド溝は、1段目上側部401Aから1段目下側部401Bに斜めのスロープ(摺動坂)400S1を介して出口404G側(
図7では右側)に向かって連続して形成され、1段目下側401Bから2段目上側402Aに斜めのスロープ(摺動坂)400S2を介して出口404G側(
図7では右側)に向かって連続して形成されている。続いて、2段目上側402Aから2段目下側402Bに斜めのスロープ(摺動坂)400S3を介して出口404G側(
図7では右側)に向かって連続して形成され、2段目下側部402Bから斜めのスロープ(摺動坂)400S4を介して開放通路403まで出口404G側(
図7では右側)に向かって連続して形成され、開放通路403から出口404G側(
図7では右側)に向かって上方の出口404Gに至るように連続して形成されている。尚、開放通路403は、斜めのスロープ(摺動坂)400S4と、これに平行な斜めのスロープ(摺動坂)400S5により形成されている。尚、図示はしないが、例えば、1段目上側部401Aの右端側の角部401ACから斜めのスロープ(摺動坂)400S1に向かって仮想的に垂線を引くと、この垂線はスロープ(摺動坂)400S1の真ん中(中点)よりも出口404G側(
図7では右側)位置する(交差する)ようになっているのは、上記係止部100、200及び300と略同様である。他の下側部の溝底部と対応するスロープ(摺動坂)、他の上側部の溝上部と対応するスロープ(摺動坂)との対応関係等も同様である。
【0033】
以上のように形成された本変形例に係る係止部400では、
図7(a)から(e)に示すように、各スロープ(摺動坂)により係止ピン(L型留付け番線)400Bが出口404G側(
図7では右側)に向かって確実にガイド(案内)されるようになっているのは上述した本実施形態やその変形例と同様である。しかしながら、本変形例に係る係止部400では、上述した係止部100及び200よりも溝の深さが浅くなっている一方で、
図7(a)から(e)に示すように、出口404G内に一対の突起404Hを設けたことを大きな特徴としている。この出口404G内の一対の突起404Hは、係止ピン(L型留付け番線)400Bが出口404Gをするりとすり抜けずに一旦係止するが、釣り人が釣竿をしゃくると、その係止がはずれて係止ピン(L型留付け番線)400Bが出口404G外に解放される程度の大きさと素材の柔軟性を有している。このように、変形例に係る係止部400では、上述した係止部100及び200よりも溝の深さが浅くなっているので、
図7(a)から(e)に示すように、係止ピン(L型留付け番線)400Bが出口404G側(
図7では右側)に向かって各溝内を移動・状態遷移し易いことから滑らかにガイド(案内)される一方、最後に出口404G内の一対の突起404Hに引っ掛かって係止されるので、不用意に開口部14Bが開いてしまうのを防止可能である一方、ここぞというタイミングで釣り人(遠投者)が竿をしゃくることによって、係止ピン(L型留付け番線)400Bが出口404G内の一対の突起404Hから外れて、開口部14Bを開くことができる。
【0034】
図8は、本発明の第1の実施形態(窓式)の第4の変形例に係る係止部のガイド溝形状(シングル溝・シングルロック式)を示す図であり、出口に一対の突起を設けた変形例である。(a)は係止ピンがガイド溝の1段目上側に位置した初期状態を示す図、(b)は係止ピンがガイド溝の1段目下側に移動した状態を示す図、(c)は係止ピンがガイド溝の2段目上側まで移動し、出口の一対の突起を飛び越えて係止部から外れる状態を示す図である。この第4の変形例に係る係止部500は、
図8(a)から(c)に示すガイド溝形状を有しており、上述した係止部100及び200よりも溝の深さが浅くなっているのは、第3の変形例に係る係止部400と同様であるが、シングルロック式になっている。即ち、本変形例に係る係止部500は、
図8(a)に示すように、第1段501A、Bから成る1段溝と1段目の下側部501Bから上方に連通する開放通路502を介して出口503Gに至る形状に形成されており、上側溝501Aに対し下側溝501Bが、また、下側溝501Bに対し開放通路502が出口503G側に向かってずれるように配置形成されている。また、各段目下側それぞれの溝底部は半円形に形成され、各段目上側それぞれの溝上部も、同様に半円形に形成されている。また、係止部500のガイド溝は、1段目上側501Aから1段目下側501Bに斜めのスロープ(摺動坂)500S1を介して出口503G側(
図8では右側)に向かって連続して形成され、1段目下側501Bから開放通路502に斜めのスロープ(摺動坂)500S2を介して出口503G側(
図8では右側)に向かって連続して形成されている。尚、開放通路502は、斜めのスロープ(摺動坂)500S2と、これに平行な斜めのスロープ(摺動坂)500S3により形成されている。更に、開放通路502は、出口503G側(
図7では右側)に向かって上方の出口404Gに至るように連続して形成されている。尚、図示はしないが、例えば、1段目上側部501Aの右端側の角部501ACから斜めのスロープ(摺動坂)500S1に向かって仮想的に垂線を引くと、この垂線はスロープ(摺動坂)500S1の真ん中(中点)よりも出口503G側(
図8では右側)位置する(交差する)ようになっているのは、上記係止部100、200、300及び400と略同様である。他の下側部の溝底部と対応するスロープ(摺動坂)、他の上側部の溝上部と対応するスロープ(摺動坂)との対応関係等も同様である。
【0035】
以上のように形成された本変形例に係る係止部500では、
図8(a)から(c)に示すように、各スロープ(摺動坂)により係止ピン(L型留付け番線)500Bが出口503G側(
図8では右側)に向かって確実にガイド(案内)されるようになっているのは上述した本実施形態やその変形例と同様である。しかしながら、本変形例に係る係止部500でも、上述した係止部100及び200よりも溝の深さが浅くなっている一方で、
図8(a)から(c)に示すように、出口503G内に一対の突起503Hを設けたことを大きな特徴としている。この出口503G内の一対の突起503Hは、係止ピン(L型留付け番線)500Bが出口503Gをするりとすり抜けずに一旦係止するが、釣り人が釣竿をしゃくると、その係止がはずれて係止ピン(L型留付け番線)500Bが出口503G外に解放される程度の大きさと素材の柔軟性を有している。このように、変形例に係る係止部500では、上述した係止部100及び200よりも溝の深さが浅くなっているので、
図8(a)から(c)に示すように、係止ピン(L型留付け番線)500Bが出口503G側(
図8では右側)に向かって各溝内を移動・状態遷移し易いことから滑らかにガイド(案内)される一方、最後に出口503G内の一対の突起503Hに引っ掛かって係止されるので、不用意に開口部14Bが開いてしまうのを防止可能である一方、ここぞというタイミングで釣り人(遠投者)が竿をしゃくることによって、係止ピン(L型留付け番線)500Bが出口503G内の一対の突起503Hから外れて、開口部14Bを開くことができる。本変形例に係る係止部500は、上述した変形例の係止部300と同様に、釣り人(遠投者)が竿を1回しゃくるだけでも開口部14Bを開き易いため、初心者やせっかちな釣り人に適した設計と言える。
【0036】
図9は、本発明の第2の実施形態(全開式)に係る浮釣り遠投カゴの構成を示す図であり、(a)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、カゴ本体部と錘取り付け部(蓋部)が閉じた初期状態(係止ピンがガイド溝の1段目下側に位置した初期状態)の正面図、(b)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、カゴ本体部と錘取り付け部(蓋部)が閉じた初期状態(係止ピンがガイド溝の1段目下側に位置した初期状態)の断面図、(c)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部から外れて開いた開放状態(係止ピンがガイド溝の3段目上側まで移動して係止部から完全に外れたことで錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部から外れて全開した状態)を示す正面図、(d)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部から外れて開いた状態の断面図である。本発明の第2の実施形態の浮釣り遠投カゴ20の基本的な構成は、従来公知の浮釣り遠投カゴ(全開式)と略同様であるので、その詳しい説明は省略する。即ち、本実施形態の浮釣り遠投カゴ(全開式)20は、
図9に示すように、中空略円筒形に形成され下端を開口して内部が餌収納部として構成される上部カゴ本体24と、上部カゴ本体24の下端に脱着自在とし内部下端側に錘22aを収納した下部蓋体22と、錘22a、下部蓋体22及び上部カゴ本体24を上下方向に貫通する中心軸21を備える。尚、上部カゴ本体24が下部蓋体22に対して中心軸21に沿って自由に回転することができるのは勿論である。
【0037】
ここで、本実施形態の浮釣り遠投カゴ(全開式)20は、
図9に示すように、下部蓋体22の外縁部に少なくとも2段以上の係止溝を有する係止部100を設ける一方、カゴ本体24の対応する箇所に上記2段以上の係止溝に係止される係止ピン100Bを固定し、遠投者が竿をしゃくることでカゴ本体24が水中で上下動することにより、係止ピン100Bが係止部100の2段以上の係止溝から当該上下動ごとに1段ずつ外れて下部蓋体22が上部カゴ本体24から脱落して外れ、カゴ本体24の内部が開放されるようになっている。尚、本実施形態の浮釣り遠投カゴ(全開式)20では、第1の実施形態では開閉蓋18の対応する箇所(下端周縁の一部)に係止ピンを固定したのに対し、上部カゴ本体24がその浮力構造や内部に侵入した海水の水圧によって下部蓋体22に対して中心軸21に沿って上方向に浮いて外れる構成なので、係止ピン100Bは上部カゴ本体24の対応する箇所(下端周縁の一部)に固定する。係止部100の構成と作用効果は、第1の実施形態(外蓋式)の浮釣り遠投カゴにおけると全く同様である。このような本実施形態の浮釣り遠投カゴ(全開式)20によっても、以上のように係止部100と係止ピン100Bを設けることで、着水後、釣り人(遠投者)が竿を2回しゃくることで任意の時期(タイミング)に下部蓋体22から上部カゴ本体24を開くことができる。従って、希望する棚まで浮釣り遠投カゴ(全開式)20が沈降するタイミングを見計らって釣り人(遠投者)が竿を2回しゃくることで当該希望する棚付近に撒餌を行うことが可能である。
【0038】
図10及び
図11は、本発明の第3の実施形態(蓋部がヒンジを介して揺動開閉する方式)に係る浮釣り遠投カゴ30の構成を示す図であり、(a)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、カゴ本体部と錘取り付け部(蓋部)が閉じた初期状態(係止ピンがガイド溝の1段目上側に位置した初期状態)の正面図、(b)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、カゴ本体部と錘取り付け部(蓋部)が閉じた初期状態(係止ピンがガイド溝の1段目上側に位置した初期状態)の断面図、(c)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、係止ピンがガイド溝の1段目下側に位置した状態の側面図、(d)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、カゴ本体部と錘取り付け部(蓋部)が閉じた状態(係止ピンがガイド溝の2段目上側に位置した状態)の正面図、(e)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、カゴ本体部と錘取り付け部(蓋部)が閉じた状態(係止ピンがガイド溝の3段目上側に位置した状態)の正面図、(f)はその錘取り付け部(蓋部)がカゴ本体部に嵌合し、係止ピンがガイド溝の3段目下側に位置した状態の正面図、(g)はその係止ピンがガイド溝の3段目下側から斜め上側の解放溝まで案内され係止部から外れる直前の状態を示す側面図、(h)は係止ピンが係止部の3段目斜め上側の解放溝から完全に外れたことで錘取り付け部(蓋部)がヒンジを介してカゴ本体部から揺動したことにより全開した状態を示す正面図である。本発明の第3の実施形態の浮釣り遠投カゴ30の基本的な構成は、従来公知の浮釣り遠投カゴ(蓋部がヒンジを介して揺動開閉する方式)と略同様であるので、その詳しい説明は省略する。
【0039】
即ち、本実施形態の浮釣り遠投カゴ(蓋部がヒンジを介して揺動開閉する方式)30は、
図10及び
図11に示すように、中空略円筒形に形成され下端を開口して内部が餌収納部として構成される上部カゴ本体34と、上部カゴ本体34の下端に脱着自在とし内部下端側に錘32aを収納した下部蓋体32と、下部蓋体32を上部カゴ本体34に対して揺動可能とするヒンジ38を備え、下部蓋体32がヒンジ38を介して上部カゴ本体34に対して揺動することで開閉するようになっている。尚、本実施形態の浮釣り遠投カゴ(蓋部がヒンジを介して揺動開閉する方式)30では、第1の実施形態では開閉蓋18の対応する箇所(下端周縁の一部)に係止ピン100Bを固定し、第2の実施形態ではカゴ本体24の対応する箇所に係止ピン200Bを固定したのに対し、上部カゴ本体34がその浮力構造や内部に侵入した海水の水圧によって浮き上がり、下部蓋体32がヒンジ38を介して上部カゴ本体34に対して揺動することで開閉する構成なので、係止部200を下部蓋体32に固定して設けた場合、下部蓋体32にヒンジ38により結合される上部カゴ本体34は下部蓋体32に対して回転することができないので、係止ピン300Bを上部カゴ本体34の下端周縁の一部に設けることはできない。そこで、本発明者は、
図10及び
図11に示すように、上部カゴ本体34の下部蓋体32側近傍箇所に上部カゴ本体34の周面に回転自在に摺接する鍔36を設け、この鍔36から下部蓋体32側に伸長する係止ピン300Bを固定して設けることで、この問題を解決した。かかる構成により、鍔36が上部カゴ本体34に対して回転することで係止ピン300Bは、係止部200の3段の係止溝間を自由に移動(遷移)することができる。また、本実施形態の浮釣り遠投カゴ30(蓋部がヒンジを介して揺動開閉する方式)では、係止ピン300Bが各段の溝の上側部に係止されている状態で蓋部がヒンジを介して揺動しない(開かないで閉じている)必要があるので、係止部100ではなく、係止部200を採用するのが好適である。
【0040】
尚、鍔36は、
図10及び
図11に示すように、上側面が大径で下側面が小径に構成されて装着されるが、竿をしゃくる時などに大径の上側面が水圧を受けて係止ピン300Bを上側に引く力が強まるので、係止ピン300Bが係止溝間をよりスムーズに移動(遷移)し易くなるという利点がある。このような利点を透明水槽内の実験により確認することもできた。尚、係止部200と係止ピン300Bの動き等の作用効果は、第1の実施形態(外蓋式)の浮釣り遠投カゴにおけると係止部200の場合と同様である。このような本実施形態の浮釣り遠投カゴ(蓋部がヒンジを介して揺動開閉する方式)30によっても、以上のように係止部200と係止ピン300Bを設けることで、着水後、釣り人(遠投者)が竿を2回しゃくることで任意の時期(タイミング)に係止部200に対する係止ピン300Bによるロックを解除して、上部カゴ本体34に対してヒンジ38を介して下部蓋体32を開くことができる。従って、希望する棚まで浮釣り遠投カゴ(蓋部がヒンジを介して揺動開閉する方式)30が沈降するタイミングを見計らって釣り人(遠投者)が竿を2回しゃくることで当該希望する棚付近に撒餌を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 浮釣り遠投カゴ(外蓋式)、 12 錘取り付け部、 12B 錐形状の上面部、14A 餌収納部、14B 開口部、 14 カゴ本体、12a 錘、12c 環状周縁部、 16 溝、 18 開閉蓋(外蓋方式)、 17 糸通し溝