(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005136
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
A01C 15/00 20060101AFI20250108BHJP
A01C 7/00 20060101ALI20250108BHJP
A01M 7/00 20060101ALN20250108BHJP
【FI】
A01C15/00 A
A01C7/00 D
A01M7/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105181
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西川 武志
【テーマコード(参考)】
2B052
2B054
2B121
【Fターム(参考)】
2B052BA03
2B052BC05
2B052BC08
2B052DA03
2B052DA08
2B052DB02
2B052DC06
2B052DC13
2B052DC14
2B052DC15
2B052DC16
2B052DC18
2B052DD02
2B052DD03
2B052DD04
2B052EA02
2B052EA13
2B054AA07
2B054BA01
2B054BB01
2B054CA04
2B054DA17
2B054DB04
2B054DC08
2B054DD30
2B054DE03
2B054DE10
2B054EA13
2B054EA14
2B054EA15
2B054EA25
2B121AA19
2B121CB09
2B121CB25
2B121CB32
2B121CB46
2B121CB61
2B121CB69
2B121CC01
(57)【要約】
【課題】散布物(農用資材)が詰まった場所に応じて、散布物の散布作業を適切に行うことを目的とする。
【解決手段】作業機は、散布物を散布する散布装置と、前記散布装置による散布作業の支援を実施する支援装置と、を備え、前記散布装置は、前記散布物を貯留するタンクと、前記タンクから前記散布物を繰り出す繰出し装置と、前記繰出し装置から繰り出された前記散布物を圃場に排出する排出管と、前記排出管の異なる位置に設けられ、且つ前記排出管の詰まりを検出する複数の詰まり検出装置と、を有し、前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置の検出結果に応じて前記支援を実施する。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散布物を散布する散布装置と、
前記散布装置による散布作業の支援を実施する支援装置と、
を備え、
前記散布装置は、
前記散布物を貯留するタンクと、
前記タンクから前記散布物を繰り出す繰出し装置と、
前記繰出し装置から繰り出された前記散布物を圃場に排出する排出管と、
前記排出管の異なる位置に設けられ、且つ前記排出管の詰まりを検出する複数の詰まり検出装置と、
を有し、
前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置の検出結果に応じて前記支援を実施する作業機。
【請求項2】
前記複数の詰まり検出装置は、地面からの高さが異なる位置に設けられている請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置のうち、前記排出管の詰まりを検出した詰まり検出装置の組み合わせに応じて、前記支援内容を異ならせる請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
報知を行う報知装置を備え、
前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置のうち、所定の第1高さよりも上方の詰まり検出装置が前記排出管の詰まりを検出すると、前記報知装置に警告を報知させる請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記散布装置と連結され、且つ走行する走行車両を備え、
前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置のうち、所定の第2高さよりも上方の詰まり検出装置が前記排出管の詰まりを検出すると、前記走行車両の走行を停止させる請求項3に記載の作業機。
【請求項6】
前記散布装置と連結され、且つ走行する走行車両を備え、
前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置のうち、前記第1高さよりも高い第2高さよりも上方の詰まり検出装置が前記排出管の詰まりを検出すると、前記走行車両の走行を停止させる請求項4に記載の作業機。
【請求項7】
前記散布装置が前記散布物を散布する位置を検出する位置検出装置を備え、
前記複数の詰まり検出装置のうち、少なくともいずれかが前記排出管に詰まりを検出すると、前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置の検出結果と、前記位置検出装置が検出した位置情報と、に基づいて、前記排出管に詰まりが検出された第1位置を、前記圃場を示す圃場マップに関連付ける請求項1に記載の作業機。
【請求項8】
前記複数の詰まり検出装置のうち、少なくともいずれかが前記排出管に詰まりを検出し、前記複数の詰まり検出装置の全てが当該詰まりの解消を検出すると、前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置の検出結果と、前記位置検出装置が検出した位置情報と、に基づいて、前記排出管の詰まりの解消が検出された第2位置を、前記圃場を示す圃場マップに関連付ける請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記支援装置は、前記圃場マップに関連付けた前記第1位置と、当該第1位置に対応する前記第2位置と、を結ぶ区間を前記散布装置の散布作業が十分でない第1エラー区間として定義する請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記散布装置と連結され、且つ走行する走行車両を備え、
前記複数の詰まり検出装置のうち、所定の第2高さよりも上方の詰まり検出装置が前記排出管に詰まりを検出し、且つ前記走行車両及び/又は前記散布装置が停止した場合、前記支援装置は、前記走行車両の走行情報と、前記位置検出装置が検出した位置情報と、に基づいて、前記走行車両及び/又は前記散布装置が停止した際の前記散布装置の第3位置を、前記圃場マップに関連付ける請求項7に記載の作業機。
【請求項11】
前記支援装置は、前記圃場マップに関連付けた前記第1位置と、当該第1位置に対応する前記第3位置と、を結ぶ区間を前記散布装置の散布作業が十分でない第2エラー区間として定義する請求項10に記載の作業機。
【請求項12】
前記散布装置が前記散布物を散布する位置を検出する位置検出装置を備え、
前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置の検出結果と、前記位置検出装置が検出した位置情報と、に基づいて、前記排出管に詰まりが検出された領域をエラー情報として前記圃場マップに関連付ける請求項2に記載の作業機。
【請求項13】
前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置のうち、前記排出管に詰まりを検出した詰まり検出装置の組み合わせに基づいて、前記排出管の詰まりのレベルを前記エラー情報に関連付ける請求項12に記載の作業機。
【請求項14】
前記圃場マップ上に前記エラー情報を表示する表示装置を備え、
前記支援装置は、前記レベルに応じて前記エラー情報の表示形態を異ならせる請求項13に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に散布物を散布する作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された粉粒体供給装置は、粉粒状の農用資材が貯留される貯留部と、駆動軸からの回転動力によって駆動されると共に、貯留部に貯留された農用資材を繰り出す繰出部と、駆動軸に回転動力を付与可能な電動モータと、電動モータを制御するモータ制御部と、ホッパーの重量の経時的な変化に基づいて、ホッパーまた繰出部における農用資材の詰まりを検知するホッパー詰まり検知部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたホッパー詰まり検知部は、ホッパー又は繰出部における農用資材の詰まりを検知するものである。しかしながら、ホッパーや繰出部以外のホースなどの部材にて肥料(粉粒状の農用資材、散布物)が詰まっていても、当該農用資材が詰まっている位置によっては正常に農用資材の繰出しがなされていることがある。このため、農用資材が詰まった位置に応じて適切な散布作業の支援を行う必要がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、散布物が詰まった位置に応じて、散布物の散布作業を適切に行うことができる作業機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る作業機は、散布物を散布する散布装置と、前記散布装置による散布作業の支援を実施する支援装置と、を備え、前記散布装置は、前記散布物を貯留するタンクと、前記タンクから前記散布物を繰り出す繰出し装置と、前記繰出し装置から繰り出された前記散布物を圃場に排出する排出管と、前記排出管の異なる位置に設けられ、且つ前記排出管の詰まりを検出する複数の詰まり検出装置と、を有し、前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置の検出結果に応じて前記支援を実施する。
【0007】
前記複数の詰まり検出装置は、地面からの高さが異なる位置に設けられていてもよい。
【0008】
前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置のうち、前記排出管の詰まりを検出した詰まり検出装置の組み合わせに応じて、前記支援内容を異ならせてもよい。
【0009】
前記作業機は、報知を行う報知装置を備え、前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置のうち、所定の第1高さよりも上方の詰まり検出装置が前記排出管の詰まりを検出すると、前記報知装置に警告を報知させてもよい。
【0010】
前記作業機は、前記散布装置と連結され、且つ走行する走行車両を備え、前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置のうち、所定の第2高さよりも上方の詰まり検出装置が前記排出管の詰まりを検出すると、前記走行車両の走行を停止させてもよい。
【0011】
前記作業機は、前記散布装置と連結され、且つ走行する走行車両を備え、前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置のうち、前記第1高さよりも高い第2高さよりも上方の詰まり検出装置が前記排出管の詰まりを検出すると、前記走行車両の走行を停止させてもよい。
【0012】
前記作業機は、前記散布装置が前記散布物を散布する位置を検出する位置検出装置を備え、前記複数の詰まり検出装置のうち、少なくともいずれかが前記排出管に詰まりを検出すると、前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置の検出結果と、前記位置検出装置が検出した位置情報と、に基づいて、前記排出管に詰まりが検出された第1位置を、前記圃場を示す圃場マップに関連付けてもよい。
【0013】
前記複数の詰まり検出装置のうち、少なくともいずれかが前記排出管に詰まりを検出し、前記複数の詰まり検出装置の全てが当該詰まりの解消を検出すると、前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置の検出結果と、前記位置検出装置が検出した位置情報と、に基づいて、前記排出管の詰まりの解消が検出された第2位置を、前記圃場を示す圃場マップに関連付けてもよい。
【0014】
前記支援装置は、前記圃場マップに関連付けた前記第1位置と、当該第1位置に対応する前記第2位置と、を結ぶ区間を前記散布装置の散布作業が十分でない第1エラー区間として定義してもよい。
【0015】
前記作業機は、前記散布装置と連結され、且つ走行する走行車両を備え、前記複数の詰まり検出装置のうち、所定の第2高さよりも上方の詰まり検出装置が前記排出管に詰まりを検出し、且つ前記走行車両及び/又は前記散布装置が停止した場合、前記支援装置は、前記走行車両の走行情報と、前記位置検出装置が検出した位置情報と、に基づいて、前記走行車両及び/又は前記散布装置が停止した際の前記散布装置の第3位置を、前記圃場マップに関連付けてもよい。
【0016】
前記支援装置は、前記圃場マップに関連付けた前記第1位置と、当該第1位置に対応する前記第3位置と、を結ぶ区間を前記散布装置の散布作業が十分でない第2エラー区間として定義してもよい。
【0017】
前記作業機は、前記散布装置が前記散布物を散布する位置を検出する位置検出装置を備え、前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置の検出結果と、前記位置検出装置が検出した位置情報と、に基づいて、前記排出管に詰まりが検出された領域をエラー情報として前記圃場マップに関連付けてもよい。
【0018】
前記支援装置は、前記複数の詰まり検出装置のうち、前記排出管に詰まりを検出した詰まり検出装置の組み合わせに基づいて、前記排出管の詰まりのレベルを前記エラー情報に関連付けてもよい。
【0019】
前記作業機は、前記圃場マップ上に前記エラー情報を表示する表示装置を備え、前記支援装置は、前記レベルに応じて前記エラー情報の表示形態を異ならせてもよい。
【発明の効果】
【0020】
上記作業機によれば、複数の詰まり検出装置の検出結果に応じて、散布物の散布作業を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2A】作業機が備える構成を説明する第1図である。
【
図2B】作業機が備える構成を説明する第2図である。
【
図3】複数の詰まり検出装置の位置を示した模式図である。
【
図4】詰まり検出装置の検出結果の組み合わせと支援内容とを対応を示す図である。
【
図5】支援装置が行う支援制御の一連の流れを示す図である。
【
図8】第1エラー区間及び第2エラー区間の一例である。
【
図10】支援装置が行う支援制御の一連の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、作業機100の全体図を示している。作業機100は、走行車両1と、作業装置(散布装置)2と、走行車両1と作業装置2とを連結する連結部8と、を含む。本実施形態では、走行車両1として、トラクタが例示されている。なお、作業機100は、作業装置2として、散布物を散布する散布装置を備えていればよく、散布装置が連結されたトラクタに限定されない。また、本発明の実施形態において、運転席10に着座した作業者が向く方向(
図1の矢印A1の方向)を前方といい、その反対方向(
図1の矢印A2の方向)を後方という。作業者の右側(
図1の奥側)を右方といい、作業者の左側(
図1の手前側)を左方という。また、走行車両1の前後方向(
図1の矢印A3の方向)に直交する方向である水平方向を車体幅方向(あるいは、幅方向)という。
【0024】
図1に示すように、走行車両1は、車体3と、原動機4と、変速装置5とを備えている。車体3は走行装置7を有していて走行可能である。走行装置7は、前輪7F及び後輪7Rを有する装置である。前輪7Fは、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。また、後輪7Rも、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。
【0025】
原動機4は、ディーゼルエンジン、電動モータ等であって、この実施形態ではディーゼルエンジンで構成されている。変速装置5は、変速によって走行装置7の推進力を切換可能であると共に、走行装置7の前進、後進の切換が可能である。車体3にはキャビン9が設けられ、当該キャビン9内には運転席10が設けられている。
【0026】
車体3の後部には、連結部8が設けられている。連結部8は、作業装置2の着脱が可能である。作業装置2を連結部8に連結することによって、車体3によって作業装置2を牽引することができる。作業装置2は、散布物を散布する散布装置であって、例えば種子を散布する播種散布装置、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置等の散布装置である。
【0027】
作業機100は、位置検出装置60を備えている。位置検出装置60は、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、位置検出装置60は、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて、トラクタ(走行車両)1の位置(例えば、緯度、経度)、即ち、車体位置を検出する。位置検出装置60は、受信装置61と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)62とを有している。受信装置61は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置62とは別に車体3に取付けられている。この実施形態では、受信装置61の筐体6は、トラクタ(走行車両)1の車体3のうち、キャビン9に取付けられている。なお、受信装置61の筐体6の取付箇所は、トラクタ(走行車両)1に限定されず、筐体6は、作業装置2に取り付けられていてもよい。
【0028】
慣性計測装置62は、車体3の加速度αを検出する加速度センサ、車体3の角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。慣性計測装置62は、車体3、例えば、運転席10の下方に設けられている。慣性計測装置62によって、車体3のロール角、ピッチ角θ2、ヨー角等を検出することができる。
【0029】
なお、本実施形態において、位置検出装置60は、衛星信号に基づいて車体3の位置を検出する位置検出装置60であるが、位置検出装置60は、車体3の位置を検出することができればよく、慣性計測装置62が検出した加速度αと所定の位置情報に基づいて車体3の位置を検出するようなものでもよく、上記構成に限定されない。
【0030】
【0031】
図2Aを用いて、作業機100の動力伝達経路(変速装置5)等を説明する。
図2Aに示すように、走行車両1の変速装置5は、主軸(推進軸)5aと、主変速部5bと、副変速部5cと、走行クラッチ5dと、PTO動力伝達部5eと、を備えている。推進軸5aは、変速装置5のハウジングケース(ミッションケース)に回転自在に支持され、当該推進軸5aには、原動機4のクランク軸からの動力が伝達される。主変速部5bは、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。主変速部5bは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、推進軸5aから入力された回転を変更して出力する(変速する)。
【0032】
副変速部5cは、主変速部5bと同様に、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。副変速部5cは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、主変速部5bから入力された回転を変更して出力する(変速する)。
【0033】
走行クラッチ5dは、走行装置7(前輪7F、後輪7R)に動力を伝達する接続状態と、走行装置7への動力の伝達を切断する切断状態とに切り換え可能なクラッチである。走行クラッチ5dは、シャトル軸12と、クラッチ切換部13とを有している。シャトル軸12には、原動機4から出力された動力が伝達される。クラッチ切換部13は、前進側、後進側及び中立側に切り換えられる油圧クラッチである。
【0034】
クラッチ切換部13は、油路等を介して接続された前進切換弁26(
図2B)及び後進切換弁27(
図2B)に接続されている。前進切換弁26及び後進切換弁27は、例えば、二位置電磁切換弁である。前進切換弁26のソレノイドが励磁された場合は、クラッチ切換部13は、前進側に切り換わり、後進切換弁27のソレノイドが励磁された場合は、クラッチ切換部13は、後進側に切り換わる。前進切換弁26及び後進切換弁27のソレノイドのそれぞれが消磁された場合は、クラッチ切換部13は、中立側に切り換わる。
【0035】
図2Aに示すように、シャトル軸12は、推進軸5aに接続されている。推進軸5aの動力は、主変速部5b及び副変速部5cに伝達され、副変速部5cから出力された動力は後輪デフ装置20Rに伝達される。後輪デフ装置20Rは、後輪7Rが取り付けられた後車軸21Rを回転自在に支持している。つまり、走行クラッチ5dは、クラッチ切換部13が前進側及び後進側のいずれかに切り換えられた場合は、接続状態であって走行装置7(前輪7F、後輪7R)に動力を伝達する。また、走行クラッチ5dは、クラッチ切換部13が中立側に切り換えられた場合は、切断状態であって走行装置7への動力の伝達を切断する。
【0036】
図2Aに示すように、PTO動力伝達部5eは、PTO推進軸14と、PTOクラッチ15とを有している。PTO推進軸14は、回転自在に支持され、推進軸5aからの動力が伝達可能である。PTO推進軸14は、ギア等を介してPTO軸16に接続されている。PTOクラッチ15は、例えば、油圧クラッチ等で構成され、油圧クラッチの入切によって、推進軸5aの動力をPTO推進軸14に伝達する状態と、推進軸5aの動力をPTO推進軸14に伝達しない状態とに切り換わる。
【0037】
図2A、
図2Bに示すように、走行車両1は、制動装置46を備えている。制動装置46は、左制動装置46aと、右制動装置46bとを有している。左制動装置46a及び右制動装置46bは、ディスク型の制動装置であり、制動する制動状態と、制動を解除する解除状態に切換可能である。左制動装置46aは、後車軸21Rの左側に設けられ、右制動装置46bは、後車軸21Rの右側に設けられている。走行車両1を操作する運転者が運転席10内の左側に設けられたブレーキペダルを操作する(踏み込む)ことによって、左側のブレーキペダルに連結された左連結部材47aが制動方向へ動き、左制動装置46aを制動状態にすることができる。運転者が運転席10内の右側に設けられたブレーキペダルを操作する(踏み込む)ことによって、右側のブレーキペダルに連結された右連結部材47bが制動方向へ動き、右制動装置46bを制動状態にすることができる。
【0038】
また、
図2Bに示すように、左連結部材47aには、作動油により作動する左油圧作動部48aが連結されている。左油圧作動部48aには、油路を介して左制動弁49aが接続されている。左制動弁49aによって、左油圧作動部48aを作動させることにより、左連結部材47aを制動方向に移動させることができる。また、右連結部材47bには、作動油により作動する右油圧作動部48bが連結されている。右油圧作動部48bには、油路を介して右制動弁49bが接続されている。右制動弁49bによって、右油圧作動部48bを作動させることにより、右連結部材47bを制動方向に移動させることができる。なお、本実施形態において、左制動弁49a及び右制動弁49bは、入力される信号によって開度を変更する電磁弁である。
【0039】
以上のように、左制動装置46a及び右制動装置46bは、左右のブレーキペダルの操作によって、左の後輪7R及び右の後輪7Rのそれぞれを独立して制動状態にすることができる。また、左制動装置46a及び右制動装置46bは、左右のブレーキペダルの操作によらず、左制動弁49a及び右制動弁49bが開度を変更することで、それぞれ独立して制動状態にすることができる。
【0040】
図2Bに示すように、走行車両1は、操舵装置11を備えている。操舵装置11は、ハンドル(ステアリングホイール)11aと、ハンドル11aの回転に伴って回転する回転軸(操舵軸)11bと、ハンドル11aの操舵を補助する補助機構(パワーステアリング機構)11cと、を有している。補助機構11cは、油圧ポンプ21と、油圧ポンプ21から吐出した作動油が供給される制御弁22と、制御弁22により作動するステアリングシリンダ23とを含んでいる。制御弁22は、制御信号に基づいて作動する電磁弁である。制御弁22は、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁である。また、制御弁22は、操舵軸11bの操舵によっても切換可能である。前輪7Fは前車軸21Fによって支持されている。ステアリングシリンダ23は、前輪7Fの向きを変えるアーム(ナックルアーム)24に接続されている。
【0041】
従って、ハンドル11aを操作すれば、当該ハンドル11aに応じて制御弁22の切換位置及び開度が切り換わり、当該制御弁22の切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ23が左又は右に伸縮することによって、前輪7Fの操舵方向を変更することができる。なお、上述した操舵装置11は一例であり、上述した構成に限定されない。
【0042】
図2Bに示すように、走行車両1は、制御装置(支援装置)40と、表示装置(支援装置)50と、位置検出装置60と、報知装置(支援装置)80と、通信装置90と、を備えていて、車載ネットワークN1により接続されている。車載ネットワークN1は、CAN(Controller Area Network)、LIN (Local Interconnect Network)、MOST (Media Oriented System Transport)、FlexRay、ISO11783(ISOBUS)等のネットワークである。
【0043】
制御装置40は、CPU、電気電子回路、不揮発性のメモリ等から構成され、走行車両1の様々な制御を行う。制御装置40は、走行車両1に関する情報を検出するための状態検出装置42が接続されており、当該状態検出装置42が検出した情報に基づいて、様々な制御を行う。
【0044】
例えば、制御装置40は、前進切換弁26及び後進切換弁27に信号を入力し、前進切換弁26及び後進切換弁27を制御し、クラッチ切換部13を前進側、後進側、及び中立側のいずれかに切り換えることができる。具体的には、制御装置40には、クラッチ切換部材の操作を検出するための状態検出装置42であるクラッチ操作検出センサ42aが接続されており、制御装置40は、当該クラッチ切換部材の操作に応じて、前進切換弁26及び後進切換弁27を制御する。また、制御装置40は、左制動弁49a及び右制動弁49bに信号を入力し、当該左制動弁49a及び右制動弁49bの開度を変更し、左制動装置46a及び右制動装置46bの制動状態を制御できる。なお、制御装置40には、クラッチ操作検出センサ42a以外に、例えば、走行車両1(走行装置7)の車速を検出する車速センサ42b等が接続されていてもよい。
【0045】
また、制御装置40は、走行車両1の自動走行を制御する自動走行制御部40aを有している。自動走行制御部40aは、制御装置40に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。自動走行制御部40aは、自動走行を開始すると、走行車両1が圃場内に定義された所定の走行ルートL1(走行予定ルート)に沿って走行するように操舵装置11の制御弁22を制御する。また、自動走行制御部40aは、自動走行を開始すると、車速センサ42bから車速を取得し、変速装置5の変速段、原動機4の回転数、左制動装置46a及び右制動装置46bの制動状態等を自動的に変更することによって、走行車両1の車速(速度)を制御する。つまり、自動走行制御部40aは、ライン型自動運転の制御を行うことが可能である。ライン型自動運転の制御では、予め設定された走行ルートL1に沿ってトラクタ(走行車両)1が移動するように、操舵装置11、変速装置5及び原動機4等の制御を行う。
【0046】
以上のように、制御装置40(自動走行制御部40a)によって、トラクタ(走行車両)1を自動走行させることができる。
【0047】
図2Bに示すように、走行車両1は、表示装置50を備えている。表示装置50は、制御部51と、表示部52と、記憶部53とを備えている。制御部51は、CPU、電気電子回路等から構成されていて、表示装置50に関する様々な制御を行う。表示部52は、液晶パネル、タッチパネル、その他のパネル等で構成されていて、様々な情報を表示する。記憶部53は、不揮発性のメモリ等から構成されている。記憶部53には、例えば、走行車両1の作業等を支援するアプリケーションプログラムが記憶されている。このため、表示装置50は、当該アプリケーションプログラムを起動すると、散布作業の支援を実施する支援装置として作動する。なお、表示装置50が支援装置として作動した場合も、支援装置としての処理は、ハードウェアである制御部51が実行する。例えば、表示装置50は走行車両1の運転席10の近傍に配置される。
【0048】
図1に示す作業装置2は、播種を行う散布装置を例示しており、散布物(種子)を貯留するタンク110と、タンク110から種子を繰り出す繰出し装置112と、繰出し装置112から繰り出された種子を圃場に排出する排出管111(ホース111a、播種ノズル111b)と、を有している。
【0049】
播種ノズル111bは、タンク110に投入された種子を圃場に散布する播種ノズルであり、ホース111aを介してタンク110の種子を繰り出す繰出し装置112に接続されている。
【0050】
繰出し装置112は、モータを含み、モータは走行車両1から供給される電力により駆動(作動)する。従って、モータが駆動して、操出装置112がタンク110の趣旨をホース111aに操り出し、ホース111aを介して播種ノズル111bから圃場へ散布物(種子)が排出される。
【0051】
なお、繰出し装置112は、車体3の後部から突出したPTO軸16の回転によって駆動(作動)してもよい。
【0052】
さて、排出管111には、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)が設けられている。複数の詰まり検出装置70は、排出管111の異なる位置に設けられ、排出管111の詰まりを検出する。詰まり検出装置70は、環状型であって、排出管111の圧力を検出することで詰まりを検出する。なお、詰まり検出装置70は、排出管111の詰まりを検出できればよく、マイクロ波や光を受発信して排出管111内の詰まりを検出するセンサであってもよいし、一対の電極を備え、両電極間での通電を感知することで詰まりを検出するセンサであってもよく、詰まり検出装置70の検出方式及びその形状等は限定されない。
【0053】
図1に示す例において、複数の詰まり検出装置70は、C1,C2,C3の3つの位置を設けられている。なお、詰まり検出装置70は、排出管111に複数取り付けられていればよく、その数は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0054】
図3は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の位置を示した模式図である。
図3に示すように、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)は、圃場の地面からの高さが異なる位置に設けられている。本実施形態では、詰まり検出装置C1は、排出管111と圃場の地面とが接触する低い位置に設けられている。言い換えると、詰まり検出装置C1は所定の第1高さh_th1よりも低い位置に設けられている。第1高さh_th1とは、例えば1~2センチメートルである。詰まり検出装置C2は、所定の第1高さh_th1よりも上方に設けられている。詰まり検出装置C3は所定の第2高さh_th2よりも高い位置に設けられている。第2高さh_th2は第1高さh_th1よりも大きく、詰まり検出装置C3は詰まり検出装置C2より上方にある。第2高さh_th2は、例えば、5~7センチメートルである。言い換えると、詰まり検出装置70は、圃場の地面より近い順に、C1,C2,C3の順で設置されている。なお、第1高さh_th1と第2高さh_th2の具体的数値は一例であって、当該数値に限定されない。
【0055】
図2Bに示すように、作業装置2は、作業制御装置2aを備えている。作業制御装置2aは、作業装置2の様々な制御を行う装置であり、CPU、電気電子回路、不揮発性のメモリ等から構成される。作業制御装置2aは、複数の詰まり検出装置70と接続されており、当該複数の詰まり検出装置70の検出結果を取得することができる。本実施形態において、走行車両1は、接続部91を有し、作業装置2の作業制御装置2aと、詰まり検出装置70とは、接続部91を介して車載ネットワークN1に接続される。このため、作業制御装置2aは、複数の詰まり検出装置70の検出結果を制御装置40に送信することができる。なお、本実施形態において、制御装置40は、接続部91を介して作業制御装置2aと有線にて接続されている。ただし、制御装置40は、接続部91を介して作業制御装置2aと無線にて接続されていてもよいし、その通信方式は限定されない。
【0056】
具体的には、詰まり検出装置70は、排出管111が詰まっていること又は排出管111が詰まっていないことを検出し、制御装置40に検出結果を送信する。制御装置40は、詰まり検出装置70より検出結果を受信すると、散布作業の支援を実施する支援装置として作動する。制御装置40は、例えば作業制御装置2aに、繰出し装置112の制御を指示する指示信号を送信する。制御装置40が繰出し装置112に送信する指示信号は、例えば、繰出し装置112の繰出しを開始又は停止する指示信号である。作業制御装置2aは、制御装置40から指示信号を受信すると、指示信号に従ってモータを制御して、繰出し装置112の繰出しを開始又は停止する。
【0057】
なお、作業制御装置2aは、作業装置2の制御の状態(繰出し装置112の繰出しを開始又は停止)を、制御装置40に送信してもよい。
【0058】
また、繰出し装置112がPTO軸16の動力(回転)によって駆動する場合、制御装置40は、PTOクラッチ15に作用する作動油を調整する制御弁に指示信号を送信し、繰出し装置112への動力出力を開始又は停止を制御する。具体的には、PTOクラッチ15に接続された制御弁は、制御装置40から指示信号を受信すると、指示信号に従ってPTOクラッチ15に作用する作動油を調整し、繰出し装置112への動力出力を開始又は停止する。
【0059】
制御装置(支援装置)40は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)のうち、排出管111の詰まりを検出した詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の組み合わせに応じて、散布作業の支援内容を異ならせる。以下、支援装置による支援内容のうち、制御装置40が行う支援内容について説明する。
【0060】
図4は、詰まり検出装置70の検出結果の組み合わせと支援内容とを対応を示す図である。制御装置40は、詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の検出結果の組み合わせと支援内容と、を対応付けた設定テーブルT1を、制御装置40の不揮発性メモリに記憶している。
図4に示すように、設定テーブルT1は、排出管111が詰まっていることを1、排出管111が詰まっていないことを0とし、検出結果の組み合わせに対する詰まりのレベルが定義されている。
【0061】
制御装置40は、詰まり検出装置70(C1,C2,C3)が排出管111の詰まりを検出すると、設定テーブルT1を参照し、散布作業中の支援内容を切り替える(異ならせる)。
【0062】
詰まり検出装置C1のみが排出管111の詰まりを検出し、詰まり検出装置C1,C2が排出管111の詰まりを検出しない場合(LV1)、排出管111に土が付着した状態であって、排出管111の内部の少なくとも一部が連通して、当該排出管111から散布物の散布が実施できている場合がある。このため、制御装置40は、散布作業を継続する制御を行う。
【0063】
詰まり検出装置C1と詰まり検出装置C2とが排出管111の詰まりを検出し、詰まり検出装置C3が排出管111の詰まりを検出しない場合(LV2)、排出管111が第1高さh_th1まで詰まっている状態であって、当該排出管111から正常に散布物の散布が行われていない場合がある。このため、制御装置40は、警告を報知させる制御を行う。
【0064】
具体的には、
図2Bに示すように、走行車両1は、報知装置80を備えている。報知装置80は、詰まり検出装置70(詰まり検出装置C2及び/又は詰まり検出装置C3)が排出管111の詰まりを検出した場合に、警告の報知を行う装置である。報知装置80は、スピーカ、ランプ、表示装置50等であって、運転席10の近傍に設けられている。報知装置80は、散布作業の支援を実施する支援装置として作動する。
【0065】
制御装置40は、詰まり検出装置C1と詰まり検出装置C2とが排出管111の詰まりを検出し、詰まり検出装置C3が排出管111の詰まりを検出しない場合(LV2)、スピーカによる音声出力、警告音、ランプの点灯、点滅、映像等の警告を報知させる指示信号を報知装置80に送信する。報知装置80が映像によって報知を行う場合、報知装置80は表示部52であり、表示部52は所定の警告画面を表示する。
【0066】
詰まり検出装置C1と詰まり検出装置C2と詰まり検出装置C3とが、排出管111の詰まりを検出した場合(LV3)、排出管111が第2高さh_th2まで詰まっていて、散布物が散布されない状態が続いている場合がある。このため、制御装置40は、警告を報知する制御に加え、走行車両1の走行を停止させる制御を行う。
【0067】
具体的には、制御装置40は、詰まり検出装置C1と詰まり検出装置C2と詰まり検出装置C3とが、排出管111の詰まりを検出した場合(LV3)、走行車両1の走行及び/又は作業装置2の繰出しを停止させる。制御装置40は、詰まり検出装置C2より上方に設置された詰まり検出装置C3が排出管111の詰まりを検出すると、報知装置80に警告を報知させる指示信号を送信し、自動走行制御部40aに自動走行を停止させる指示信号を送信する。
【0068】
自動走行制御部40aは、制御装置40による指示信号を受信すると、左油圧作動部48a及び左油圧作動部48aを作動させることにより、左制動装置46a及び右制動装置46bによる制動を行う。
【0069】
また、自動走行制御部40aは、車速センサ42bが検出した車速に応じて変速装置5の変速段を変更し、当該車速が零に近づくとクラッチ切換部13を中立側に切り替えて、走行車両1の走行を停止させる。制御装置40は、繰出し装置112の繰出しを停止させる指示信号を、作業制御装置2aに送信する。作業制御装置2aは、制御装置40により指示信号を受信すると、繰出し装置112の繰出しを停止させる制御を行う。
【0070】
制御装置40は、詰まり検出装置C1,C2,C3のすべてが、排出管111が詰まっていないことを検出すると(LV0)、散布作業を継続する制御を行う。
【0071】
図5は、制御装置40が行う散布作業の支援制御の一連の流れを示す図である。ここでは、作業機100が自動走行による散布作業を行う場合について説明する。
【0072】
制御装置40は、自動走行による散布作業を開始すると、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)から検出結果を取得する(S1)。制御装置40は、検出結果と設定テーブルT1に基づいて、どの支援制御を行うかを判定する(S2)。
【0073】
制御装置40は、すべての詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の排出管111が詰まっていない場合(S2 条件:LV0)、又は詰まり検出装置C1が排出管111の詰まりを検出した場合(S2 条件:LV1)、走行を継続する指示信号を自動走行制御部40aに送信し(S3)、ステップS1へ戻る。
【0074】
制御装置40は、詰まり検出装置C1及び詰まり検出装置C2が排出管111の詰まりを検出した場合(S2 条件:LV2)、警告の報知を指示する信号を報知装置80に送信し(S4)、走行を継続する指示信号を自動走行制御部40aに送信し(S3)、ステップS1へ戻る。
【0075】
制御装置40は、詰まり検出装置C1と、詰まり検出装置C2と、詰まり検出装置C3とが、排出管111の詰まりを検出した場合(S2 条件:LV3)、警告の報知を指示する信号を報知装置80に送信する(S5a)。続いて、制御装置40は、自動走行を停止させる指示信号を自動走行制御部40aに送信、及び/又は繰出し装置112の繰出しを停止させる指示信号を作業制御装置2aに送信し(S5b)、散布作業を終了する。以上説明した通り、制御装置40は、詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の検出結果に応じて、散布作業の支援を実施する。
【0076】
さて、作業者(運転者)は、作業を行った圃場の散布作業が正常に行われたか否かを把握したい場合がある。この場合、制御装置40に代えて、或いは加えて表示装置50が支援装置として作動する。表示装置(支援装置)50の記憶部53には、散布作業を行う圃場の位置や形状を示した圃場マップが予め記憶されている。圃場マップM1は、圃場の地理情報(緯度、経度)や、圃場の輪郭、圃場を識別するための圃場識別情報等を含む。制御部51は、散布作業をした圃場の情報を示す圃場マップM1と、詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の検出結果を関連付け、散布作業が正常に行われなかった領域を定義し、記録する。
【0077】
図6は、圃場マップの一例を示す図である。圃場マップM1は、所定の区画Q1~Qnに分割されている。区画1つあたりの縦の長さと横の長さは、所定の値として設定されている。また、区画1つあたりの縦の長さと横の長さは、作業者の操作によって可変にしてもよい。圃場マップM1は、散布作業を行う走行ルートL1と関連付けられている。また、圃場マップM1は、圃場識別情報d1(例えば、「圃場A」)を含む。
【0078】
また、位置検出装置60は、作業装置2が散布物を散布する位置を検出する。本実施形態では、受信装置61の筐体6が走行車両1の車体3に取り付けられているため、位置検出装置60は、受信装置61から取得した位置情報を、筐体6と作業装置2の排出管111の配置位置とに基づいて補正を行い、散布物を散布した位置情報を検出する。
【0079】
制御部51は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の検出結果と、位置検出装置60が検出した位置情報と、に基づいて、排出管111に詰まりが検出された領域をエラー情報D1として圃場マップM1に関連付けて記憶部53に記憶させる。
【0080】
複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)のうち、少なくともいずれかが排出管111に詰まりを検出すると、制御部51は、複数の詰まり検出装置70の検出結果と、位置検出装置60が検出した位置情報と、に基づいて、排出管111に詰まりが検出された第1位置を、圃場を示す圃場マップM1に関連付ける。具体的には、以下の通りとなる。制御部51は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の検出結果を所定の周期で取得する。同様に、制御部51は、位置検出装置60より位置情報を所定の周期で取得する。制御部51は、取得した複数の詰まり検出装置70の検出結果と、位置検出装置60が検出した位置情報と、を対応付けたエラー情報を圃場マップM1に関連付け、記憶部53に記憶させる。
【0081】
図7は、エラー情報の一例である。
図7に示すように、エラー情報D1には、圃場マップM1と関連付けるための圃場識別情報d1が記録されている。また、エラー情報D1には、検出結果と位置情報とを取得した時刻等も記録される。
【0082】
制御部51は、詰まり検出装置70(C1,C2,C3)より、排出管111が詰まっているという検出結果を取得した場合、エラー情報D1を参照し、当該詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の前回の検出結果を取得する。制御部51は、前回の当該詰まり検出装置70の検出結果が排出管111は詰まっていない状態であれば、当該位置で排出管111の詰まりが発生した(言い換えると、現在の位置は、排出管111に詰まりが発生した始点である)と判断し、当該位置情報と当該位置情報は当該詰まり検出装置70が排出管111の詰まりを検出した始点(第1位置)であることと、を圃場マップM1に関連付け、記憶部53に記憶させる。
【0083】
複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)のうち、少なくともいずれかが排出管111の詰まりを検出し、詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の全てが排出管111の詰まりの解消を検出すると、制御部51は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の検出結果と、位置検出装置60が検出した位置情報と、に基づいて、排出管111の詰まりの解消が検出された第2位置を、圃場を示す圃場マップM1に関連付ける。
【0084】
具体的には、制御部51は、すべての詰まり検出装置70(C1,C2,C3)により排出管111が詰まっていないという検出結果を取得すると、エラー情報D1を参照し、詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の前回の検出結果を取得する。制御部51は、前回取得した詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の検出結果のうち、少なくとも1つ以上の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の検出結果では排出管111が詰まったという状態であれば、当該位置にて排出管111の詰まりが解消した(言い換えると、現在の位置は、排出管111の詰まりが終了した終点である)と判断し、当該位置情報と当該位置情報が終点(第2位置)であることを圃場マップM1に関連付け、記憶部53に記憶させる。
【0085】
制御部51は、圃場マップM1に関連付けた第1位置と、第1位置に対応する第2位置と、を結ぶ区間を作業装置2の散布作業が十分でない第1エラー区間として定義する。具体的には、制御部51は、排出管111の詰まりが発生した第1位置と、排出管111の詰まりが解消した第2位置とを対応付け、第1位置から第2位置までに至った経路と共に第1エラー区間として記憶部53に記憶させる。
【0086】
図8のD2は、第1エラー区間の一例を示している。第1エラー区間D2には、詰まり検出装置C1において排出管111の詰まりが発生した第1位置SP1と、排出管111の詰まりが解消した第2位置EP1と、圃場を示す圃場識別情報d1とが記録されている。また、第1エラー区間D2には、走行車両1が第1位置SP1から第2位置EP1に至るまでの経路l1が記録されている。制御部51は、エラー情報D1を参照し、第1位置SP1に該当する位置情報が取得された時刻から、第2位置EP1に該当する位置情報が取得された時刻までに取得した一連の位置情報を第1エラー区間D2の経路l1と定義し、記憶部53に記憶させる。なお、経路l1は、自動走行に用いる走行ルートL1より算出してもよい。
【0087】
図8のD3は、第1エラー区間の他例であって、複数の詰まり検出装置70が、排出管111の詰まりを検出した後、当該詰まりが解消したことを検出した場合を示している。第1エラー区間D3には、詰まり検出装置C1の設置位置において排出管111の詰まりが発生した第1位置SP2aと、詰まり検出装置C2の設置位置において排出管111の詰まりが発生した第1位置SP2bと、すべての詰まり検出装置70(C1,C2,C3)において排出管111の詰まりが解消した第2位置EP2と、圃場を示す圃場識別情報d1と、が記録されている。また、第1エラー区間D3には、走行車両1が第1位置SP2aから第2位置EP2に至るまでの経路l2が記録されている。
【0088】
さらに、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)のうち、所定の第2高さh_th2よりも上方の詰まり検出装置C3が排出管111に詰まりを検出し、且つ走行車両1及び/又は作業装置2が停止した場合、制御部51は、走行車両1の走行情報と、位置検出装置60が検出した位置情報と、に基づいて、走行車両1及び/又は作業装置2が停止した際の作業装置2の第3位置を、圃場マップM1に関連付ける。
【0089】
具体的には、制御部51は、第2高さh_th2よりも上方に設置された詰まり検出装置C3から排出管111に詰まりが発生しているという検出結果を取得すると、走行車両1が停止したか否かを判定する。制御部51は、例えば、受信装置61により取得した走行車両1の位置情報の変化により走行車両1が停止したか否かを判定する。なお、制御部51は、慣性計測装置62により取得した加速度センサの加速度αの変化により走行車両1が停止したか否かを判定してもよいし、車速センサ42bの検出結果に基づいて、走行車両1が停止したか否かを判定してもよく、走行車両1の停止を検出する方法は上述した例に限定されない。
【0090】
制御部51は、第2高さh_th2よりも上方に設置された詰まり検出装置C3から排出管111に詰まりが発生しているという検出結果を取得すると、繰出し装置112の制御の状態を作業制御装置2aに問い合わせ(確認し)、繰出し装置112の繰出しが停止したか否かを判定する。制御部51は、走行車両1及び/又は繰出し装置が停止したと判断した場合、当該位置にて作業機100の作動が停止したとし、当該位置情報と当該位置情報が終点(第3位置)であることを圃場マップM1に関連付け、記憶部53に記憶させる。
【0091】
制御部51は、圃場マップM1に関連付けた第1位置と、第1位置に対応する第3位置と、を結ぶ区間を作業装置2の散布作業が十分でない第2エラー区間として定義する。具体的には、制御部51は、詰まりが始まった第1位置と作業機100の作動が停止した第3位置とを対応付け、第1位置から第3位置までに至った経路と共に第2エラー区間として記憶部53に記憶させる。
【0092】
図8に示すように、第2エラー区間D4には、詰まり検出装置70(C1,C2,C3)において排出管111の詰まりが発生した第1位置(SP3a,SP3b,SP3c)と、作業機100の作動が停止した第3位置EP3と、圃場を示す圃場識別情報d1とが記録されている。また、第2エラー区間D4には、走行車両1が第1位置SP3aから第3位置EP3に至るまでの経路l3が記録されている。
【0093】
作業者(運転者)が表示部52に対して所定の操作を行うと、
図9に示すように、制御部51は、表示部52にエラー区間表示画面G1を表示させる。エラー区間表示画面G1には、記憶部53に記憶された圃場マップM1と、圃場マップM1に関連付けられた第1エラー区間D2,D3及び第2エラー区間D4が表示される。表示部52は、走行ルートL1上に、排出管111の詰まりが発生した始点となる第1位置SP1と排出管111の詰まりが解消した終点となる第2位置EP1を表示する。また、上述したように、エラー区間には、第1位置(始点)となる位置情報が複数含まれる場合がある(第1エラー区間D3、第2エラー区間D4)。表示部52は、詰まり検出装置70(C1,C2,C3)ごとに始点(第1位置)と終点(第2位置、第3位置)とを結ぶ線分の太さを異ならせて表示する。これにより、作業者は、走行ルートL1上において、散布が正常に行われなかった区間が判別できる。なお、線分の色を異ならせてもよく、その表示形態は上述した例に限定されない。表示部52は、第2位置EP1、EP2と、第3位置EP3でアイコンを異ならせて表示する。これにより、作業者は、排出管111の詰まりが解消して散布作業を継続したのか、又は、排出管111の詰まりが解消せずに散布作業を中断したのかが判別できる。
【0094】
以上、散布作業の支援として、制御装置40が行う自動走行及び報知に関する制御と、表示装置50が行う位置情報の記録制御に関する処理を分けて説明した。本実施形態においては、支援装置は、制御装置40と表示装置50との両方であって、制御装置40と表示装置50とが連動して散布作業の支援制御を行う。以下、制御装置40と、表示装置50とを、支援装置40,50と称し、一連の支援制御を説明する。
【0095】
図10は、支援装置40,50が行う散布作業の支援制御の一連の流れを示す図である。
【0096】
支援装置40,50は、自動走行による散布作業が開始されると、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)から検出結果と、位置検出装置60から位置情報と、を取得し、エラー情報D1として記憶部53に記録させ(S6)、支援装置40,50は検出結果と設定テーブルT1に基づいて、どの支援制御を行うかを判定する(S2a)。
【0097】
支援装置40,50は、詰まり検出装置C1が排出管111の詰まりを検出した場合(S2a 条件:LV1)、エラー情報D1を参照し、詰まり検出装置C1の前回の検出結果を取得する。支援装置40,50は、前回の検出結果が排出管111は詰まっていない状態であれば、当該位置は詰まり検出装置C1の設置位置にて排出管111の詰まりが発生した始点であると判断し、当該位置情報と、当該位置情報は詰まり検出装置C1が排出管111の詰まりを検出した始点(第1位置)であることと、を記憶部53に記憶させる(S9)。続いて、支援装置40,50は、走行を継続する指示信号を自動走行制御部40aに送信し(S3)、ステップS6に戻る。
【0098】
支援装置40,50は、詰まり検出装置C1及び詰まり検出装置C2が排出管111の詰まりを検出した場合(S2a 条件LV2)、エラー情報D1を参照し、詰まり検出装置C2の前回の検出結果を取得する。支援装置40,50は、前回の検出結果が排出管111は詰まっていない状態であれば、当該位置は詰まり検出装置C2の設置位置にて排出管111の詰まりを検出した始点であると判断し、当該位置情報と、当該位置情報は詰まり検出装置C2が排出管111の詰まりを検出した始点(第1位置)であることと、を記憶部53に記憶させる(S10)。続いて、支援装置40,50は、警告の報知を指示する信号を報知装置80に送信し(S4)、走行を継続する指示信号を自動走行制御部40aに送信し(S3)、ステップS6へ戻る。
【0099】
支援装置40,50は、すべての詰まり検出装置70(C1,C2,C3)から、詰まってないことを検出した場合(S2a 条件LV0)、エラー情報D1を参照し、詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の前回の検出結果を取得する。支援装置40,50は、前回の検出結果に排出管111が詰まったという状態が含まれていれば、当該位置は排出管111の詰まりが解消した終点であると判断し、当該位置情報と、当該位置情報は排出管111の詰まりが解消した終点(第2位置)であることと、を記録させる(S7)。続いて、支援装置40,50は、第1位置から第2位置までに至った経路と共に第1エラー区間として定義して記憶部53に記憶させる(S8)。続いて、支援装置40,50は走行を継続する指示信号を自動走行制御部40aに送信し(S3)、ステップS6に戻る。
【0100】
支援装置40,50は、詰まり検出装置C1、詰まり検出装置C2、及び詰まり検出装置C3が排出管111の詰まりを検出した場合(S2a 条件LV3)、エラー情報D1を参照し、詰まり検出装置C3の前回の検出結果を取得する。支援装置40,50は、前回の検出結果が排出管111は詰まっていない状態であれば、当該位置は詰まり検出装置C3の設置位置にて排出管111の詰まりが発生した始点であると判断し、当該位置情報と、当該位置情報は詰まり検出装置C3が排出管111の詰まりを検出した始点(第1位置)であることと、を記憶部53に記憶させる(S11)。
【0101】
続いて、支援装置40,50は、警告の報知を指示する信号を報知装置80に送信し(S5a)、自動走行を停止させる指示信号を自動走行制御部40aに送信、及び/又は繰出し装置112の繰出しを停止させる指示信号を作業制御装置2aに送信する(S5b)。支援装置40,50は、走行車両1及び/又は繰出し装置の停止を検出すると(S12:YES)、当該位置情報と当該位置情報が作業機100の作動が停止した終点(第3位置)であることを記憶部53に記憶させ(S13)、第1位置から第3位置までに至った経路と共に第2エラー区間として定義して記憶部53に記憶させ(S14)、散布作業を終了する。一方、支援装置40,50は、走行車両1及び/又は繰出し装置の停止を検出しなければ(S12:NO)、ステップS6へ戻る。
【0102】
なお、支援装置40,50は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)のうち、前記排出管111に詰まりを検出した詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の組み合わせに基づいて、前記排出管111の詰まりのレベルをエラー情報D1に関連付けてもよい。具体的には、支援制御の一連の流れにおいて、支援装置40,50は詰まり検出装置70の検出結果と設定テーブルT1とに基づいた支援制御を判定する時(S2a)、その判定結果をエラー情報D1に含めて記録してもよい。
図7に示すエラー情報D1には、詰まり検出装置70の検出結果と、位置情報とに対応した詰まりのレベルが記録されている。
【0103】
また、支援装置40,50は、レベルに応じて前記エラー情報D1の表示形態を異ならせて、表示部52に表示させてもよい。具体的には、支援装置40,50は、エラー情報D1を参照して、圃場マップM1の複数の区画Qn(区画数n:n=1,2,3・・・,n)のそれぞれに対応する位置情報の詰まりのレベル毎の個数を集計し、1区画当たりの散布状況のレベルを演算する。支援装置40,50は、演算結果を圃場マップM1と関連付けて、記憶部53に記憶させる。
【0104】
作業者(運転者)は表示部52に対して所定の操作を行うと、
図11に示すように、制御部51は、表示部52にエラー情報表示画面G2を表示させる。例えば、エラー情報表示画面G2には、圃場マップM1の区画毎の散布状況のレベルが数字で表示される。なお、区画毎の色を変えることで散布状況のレベルを表示してもよく、表示形態は上述した例に限定されない。また、エラー情報表示画面G2には、走行車両1が走行しなかったために散布が行われていない区画の表示を含んでもよい。例えば、エラー情報表示画面G2では、走行車両1が走行しなかったために散布が行われていない区画には、アイコンが表示されている。なお、対象となる区画に所定の色を表示してもよく、表示形態は上述した例に限定されない。これにより、作業者は、作業した領域において圃場の区画ごとに散布状況のレベルを容易に把握することができる。
【0105】
なお、エラー情報D1には、散布した散布物の識別情報を含んでもよい。例えば、
図7が示すように、エラー情報D1は、散布物識別情報d2が含まれる。これにより、作業者は、圃場における散布状況と散布物の情報と、を併せて把握することができる。
【0106】
図2Bに示すように、走行車両1は、通信装置90を備えている。通信装置90は、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、通信装置90は、例えば、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行うことができる。支援装置40,50は、エラー情報D1と第1エラー区間D2,D3,第2エラー区間D4を、通信装置90を介して携帯端末やサーバに送信してもよい。これにより、作業者は、複数の作業機100による散布物の散布状況を一元管理できる。
【0107】
なお、本実施形態では、作業装置2は、播種散布装置としているが、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置でもよい。また、作業装置2は複数の散布装置を含んでもよい。この場合、支援装置40,50は、複数の散布装置毎に、エラー情報の記録及びエラー区間の特定を行う。
【0108】
また、本実施形態では、走行車両1が備える制御装置40と、表示装置50とが支援装置として作動したが、作業装置2が備える作業制御装置2aが支援装置として作動し、散布作業の支援制御を行ってもよい。
【0109】
本発明の一態様に係る作業機100は、散布物を散布する散布装置(作業装置)2と、散布装置2による散布作業の支援を実施する支援装置40,50と、を備え、散布装置2は、散布物を貯留するタンク110と、タンク110から散布物を繰り出す繰出し装置112と、繰出し装置112から繰り出された散布物を圃場に排出する排出管111(111a、111b)と、排出管111の異なる位置に設けられ、且つ排出管111の詰まりを検出する複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)と、を有し、支援装置40,50は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の検出結果に応じて支援を実施する。この構成によれば、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の検出結果に応じた、散布物の散布作業を適切に行うことができる。
【0110】
また、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)は、地面からの高さが異なる位置に設けられている。この構成によれば、詰まり検出装置70(C1,C2,C3)が設置された位置によって、散布物の散布作業が正常に行われているか否かの判定を適切に行うことができる。
【0111】
また、支援装置40,50は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)のうち、排出管111の詰まりを検出した詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の組み合わせに応じて、支援内容を異ならせる。この構成によれば、詰まりを検出した詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の組み合わせによって、散布物の散布作業が正常に行われているか否かを段階的に判断できるため、支援装置40,50は、適切な散布物の散布作業の支援が実施できる。
【0112】
また、作業機100は、報知を行う報知装置80を備え、支援装置40,50は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)のうち、所定の第1高さh_th1よりも上方の詰まり検出装置C2が排出管111の詰まりを検出すると、報知装置80に警告を報知させる。この構成によれば、例えば、第1高さh_th1よりも低い位置の排出管111の詰まりは、土が付着した状態であり散布物の散布は正常に行われている場合がある。一方、第1高さh_th1よりも高い位置の排出管111が詰まった場合は、散布物の散布が正常に行われていない場合がある。このため、支援装置40,50は、第1高さh_th1よりも上方の詰まり検出装置C2が排出管111の詰まりを検出すると、報知装置80に警告を報知させることで、作業者は、散布物の散布作業が正常に行われていないことを把握することができる。
【0113】
また、作業機100は、散布装置2と連結され、且つ走行する走行車両1を備え、支援装置40,50は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)のうち、所定の第2高さh_th2よりも上方の詰まり検出装置C3が排出管111の詰まりを検出すると、走行車両1の走行を停止させる。この構成によれば、例えば、第2高さh_th2よりも高い位置の排出管111が詰まった場合は、散布物の散布が正常に行われていない状態が続いている場合がある。支援装置40,50は、第2高さh_th2よりも上方の詰まり検出装置C3が排出管111の詰まりを検出すると、走行車両1の走行を停止させることで、散布が正常に行われていない区間を短くすることができる。また、作業者は、走行車両1が停止することで、散布作業が正常に行われていないことと、散布作業が正常に行われなくなった圃場の位置を確実に把握することができ、容易に散布作業をやり直すことができる。
【0114】
また、作業機100は、散布装置2と連結され、且つ走行する走行車両1を備え、支援装置40,50は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)のうち、第1高さh_th1よりも高い第2高さh_th2よりも上方の詰まり検出装置C3が排出管111の詰まりを検出すると、走行車両1の走行を停止させる。この構成によれば、例えば、第1高さh_th1よりも低い位置の排出管111の詰まりは、土が付着した状態であり散布物の散布は正常に行われている場合がある。第1高さh_th1よりも高い位置の排出管111が詰まった場合は、散布物の散布が正常に行われていない場合がある。さらに、第1高さh_th1よりも高い第2高さh_th2よりも高い位置の排出管111が詰まった場合は、散布物の散布が正常に行われていない状態が続いている場合がある。支援装置40,50が走行車両1の走行を停止させることで、散布が正常に行われていない区間を短くすることができる。さらに、作業者は、走行車両1が停止することで、散布作業が正常に行われていないことと、散布作業が正常に行われなくなった圃場の位置を適切に把握することができ、容易に散布作業をやり直すことができる。
【0115】
また、作業機100は、散布装置2が散布物を散布する位置を検出する位置検出装置60を備え、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)のうち、少なくともいずれかが排出管111に詰まりを検出すると、支援装置40,50は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の検出結果と、位置検出装置60が検出した位置情報と、に基づいて、排出管111に詰まりが検出された第1位置(SP1,SP2,SP3)を、圃場を示す圃場マップM1に関連付ける。この構成によれば、排出管111の詰まりが始まった圃場の位置を把握することができる。
【0116】
また、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)のうち、少なくともいずれかが排出管111に詰まりを検出し、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の全てが当該詰まりの解消を検出すると、支援装置40,50は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の検出結果と、位置検出装置60が検出した位置情報と、に基づいて、排出管111の詰まりの解消が検出された第2位置(EP1,EP2)を、圃場を示す圃場マップM1に関連付ける。この構成によれば、排出管111の詰まりが解消した圃場の位置を把握することができる。
【0117】
また、支援装置40,50は、圃場マップM1に関連付けた第1位置(SP1,SP2)と、当該第1位置に対応する第2位置(EP1,EP2)と、を結ぶ区間を散布装置2の散布作業が十分でない第1エラー区間(D2,D3)として定義する。この構成によれば、散布作業を行った圃場における、正常な散布ができなかった無作業区間を把握することができるため、作業者は、容易に散布作業をやり直すことができる。
【0118】
また、作業機100は、散布装置2と連結され、且つ走行する走行車両1を備え、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)のうち、所定の第2高さh_th2よりも上方の詰まり検出装置C3が排出管111に詰まりを検出し、且つ走行車両1及び/又は散布装置2が停止した場合、支援装置40,50は、走行車両1の走行情報と、位置検出装置60が検出した位置情報と、に基づいて、走行車両1及び/又は散布装置2が停止した際の散布装置2の第3位置(EP3)を、圃場マップM1に関連付ける。この構成によれば、排出管111の詰まりが解消しないまま走行車両1及び/又は散布装置2が停止した圃場の位置を把握することができる。
【0119】
また、支援装置40,50は、圃場マップM1に関連付けた第1位置(SP3)と、当該第1位置(SP3)に対応する第3位置(EP3)と、を結ぶ区間を散布装置2の散布作業が十分でない第2エラー区間D4として定義する。この構成によれば、散布作業を行った圃場における、正常な散布ができなかった無作業区間を把握することができる。また、無作業区間の終点は、詰まりが解消していない状態であることを把握することができ、作業者は、容易に散布作業をやり直すことができる。
【0120】
また、作業機100は、散布装置2が散布物を散布する位置を検出する位置検出装置60を備え、支援装置40,50は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の検出結果と、位置検出装置60が検出した位置情報と、に基づいて、排出管111に詰まりが検出された領域をエラー情報D1として圃場マップM1に関連付ける。この構成によれば、散布作業を行った圃場において、散布作業が不十分であった領域を容易に把握することができる。
【0121】
また、支援装置40,50は、複数の詰まり検出装置70(C1,C2,C3)のうち、排出管111に詰まりを検出した詰まり検出装置70(C1,C2,C3)の組み合わせに基づいて、排出管111の詰まりのレベルをエラー情報D1に関連付ける。この構成によれば、散布作業を行った圃場において、散布作業が不十分であった領域を詰まりのレベルごとに容易に把握することができる。
【0122】
また、作業機100は、圃場マップM1上にエラー情報D1を表示する表示装置(表示部)51を備え、支援装置40,50は、レベルに応じてエラー情報D1の表示形態を異ならせる。この構成によれば、作業者は、散布作業を行った圃場において、散布作業が不十分であった領域を詰まりのレベルごとに把握することができるため、容易に散布作業をやり直すことができる。
【0123】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
100 :作業機
1 :走行車両(トラクタ)
2 :散布装置(作業装置)
110 :タンク
111 :排出管
111a :ホース(排出管)
111b :播種ノズル(排出管)
112 :繰出し装置
40 :制御装置(支援装置)
50 :表示装置(支援装置)
60 :位置検出装置
70 :詰まり検出装置
C1 :詰まり検出装置
C2 :詰まり検出装置
C3 :詰まり検出装置
80 :報知装置
h_th1 :第1高さ
h_th2 :第2高さ
M1 :圃場マップ
SP1 :第1位置
SP2a :第1位置
SP2b :第1位置
SP3a :第1位置
SP3b :第1位置
SP3c :第1位置
EP1 :第2位置
EP2 :第2位置
EP3 :第3位置
D1 :エラー情報
D2 :第1エラー区間
D3 :第1エラー区間
D4 :第2エラー区間