(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005139
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】面状照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20250108BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250108BHJP
【FI】
F21S2/00 436
F21S2/00 439
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105184
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀川 智崇
(72)【発明者】
【氏名】松永 航太
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA01
3K244BA03
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA16
3K244DA24
3K244EA02
3K244EA12
3K244EB02
(57)【要約】
【課題】光源と導光板との高精度な位置合わせを要することなく、出射面内の色むらを抑制すること。
【解決手段】実施形態の面状照明装置は、入光側面から入射した光を2つの主面のうち一方の主面から出射する導光板と、前記入光側面の長手方向に配列され、前記入光側面に入射する光を発光する複数の光源と、を備える。前記光源は、第1の光を発光する発光素子と、前記発光素子が発光する光により前記第1の光より波長の長い第2の光を発光する波長変換材料とを含む。前記入光側面には、前記導光板の厚さ方向における一部の範囲であって、前記発光素子と対向する範囲に、前記導光板の幅方向に延在し、入射光を前記厚さ方向に拡散する第1の凹凸が複数列形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入光側面から入射した光を2つの主面のうち一方の主面から出射する導光板と、
前記入光側面の長手方向に配列され、前記入光側面に入射する光を発光する複数の光源と、
を備え、
前記光源は、第1の光を発光する発光素子と、前記発光素子が発光する光により前記第1の光より波長の長い第2の光を発光する波長変換材料とを含み、
前記入光側面には、前記導光板の厚さ方向における一部の範囲であって、前記発光素子と対向する範囲に、前記導光板の幅方向に延在し、入射光を前記厚さ方向に拡散する第1の凹凸が複数列形成されている、
面状照明装置。
【請求項2】
前記入光側面には、前記厚さ方向に延在し、入射光を前記幅方向に拡散する第2の凹凸が複数列形成されている、請求項1に記載の面状照明装置。
【請求項3】
前記第1の凹凸は、三角プリズム形状であり、
前記第2の凹凸は、レンチキュラーレンズである、
請求項2に記載の面状照明装置。
【請求項4】
前記導光板は、上面視で、矩形の角部が面取りされた形状であり、
前記第1の凹凸の列数は、前記入光側面の長手方向の中央から端部に向かって減少する、請求項1又は2に記載の面状照明装置。
【請求項5】
前記第1の光は、青色の光であり、
前記第2の光は、黄色の光である、請求項1又は2に記載の面状照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルのバックライト等として用いられる面状照明装置として、白色光を発光する光源を導光板の側面(入光側面)に沿って配置し、入光側面に入射した光を導光板の一方の主面(出射面)から出射させるエッジライト型の面状照明装置が知られている。このような面状照明装置において、出射面内の色むらを抑制するための技術が知られている。
【0003】
白色光を発光する光源としては、赤色光を発光するLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)、緑色光を発光するLED、青色光を発光するLEDを同時に点灯することで、赤色光、緑色光、青色光を混色させて白色光を得る構成が知られている。例えば、特許文献1には、不十分な混色に起因する色むらを抑制するために、幅方向と厚さ方向とにそれぞれ延在する半円筒形の第1の光分散手段及び第2の光分散手段を入光側面の全面に形成したバックライトが開示されている。かかるバックライトでは、入光側面から入射した赤色光、緑色光、青色光が厚さ方向及び幅方向で広範囲に分散されて入光側面の近傍で混ざり合い、出射面内で均一な白色光を出射させることができる。
【0004】
また、白色光を発光する光源としては、青色LEDチップの周りに黄色の蛍光体を配置することによって白色光を得る構成が知られている。このような構成の光源では、青色光が蛍光体内を通過する距離が長いほど黄色味が強い光が出射するので、導光板の入光側面近傍の出射面では出射光の黄色味が強くなることが知られている。例えば、特許文献2には、光源の発光面において青色スペクトルが多い領域に対向する入光側面に、厚さ方向に延在する入射面突起を形成したバックライトが開示されている。かかるバックライトでは、入射面突起により、青味が強い光が幅方向に分散されるので、入光側面近傍の出射面の黄色味を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-10291号公報
【特許文献2】特開2016-85329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献2では、光源内の青色LEDチップの位置と入射面突起の位置とを精度よく合わせる必要がある。また、青色LEDチップの周りに蛍光体を配置する光源では、厚さ方向に対しても、青色光が蛍光体内を通過する距離よって光の色度が変化する。このような光源を用いたバックライトに、入射光を幅方向にも厚さ方向にも均一的に拡散する特許文献1の技術を適用しても、出射面内の色度を制御することが困難である。このように、上述した従来技術には、出射面内の色むらを抑制する点で更なる改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光源と導光板との高精度な位置合わせを要することなく、出射面内の色むらを抑制することができる面状照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る面状照明装置は、入光側面から入射した光を2つの主面のうち一方の主面から出射する導光板と、前記入光側面の長手方向に配列され、前記入光側面に入射する光を発光する複数の光源と、を備える。前記光源は、第1の光を発光する発光素子と、前記発光素子が発光する光により前記第1の光より波長の長い第2の光を発光する波長変換材料とを含む。前記入光側面には、前記導光板の厚さ方向における一部の範囲であって、前記発光素子と対向する範囲に、前記導光板の幅方向に延在し、入射光を前記厚さ方向に拡散する第1の凹凸が複数列形成されている。
【0009】
本発明の一態様に係る面状照明装置は、出射面内の色むらを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る面状照明装置の構成を概略的に示す上面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る面状照明装置の構成を概略的に示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す光源からの出射光について説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態とは異なる形態の面状照明装置の構成を概略的に示す側面図である。
【
図5】
図5は、第1の凹凸が形成される範囲を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施例1を説明するための図である。
【
図7A】
図7Aは、実施例1の入光側面を説明するための図(1)である。
【
図7B】
図7Bは、実施例1の入光側面を説明するための図(2)である。
【
図7C】
図7Cは、実施例1の入光側面を説明するための図(3)である。
【
図7D】
図7Dは、実施例1の入光側面を説明するための図(4)である。
【
図8】
図8は、実施例1の出射面の色勾配を示す図である。
【
図9】
図9は、実施例2を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る面状照明装置について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0012】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る面状照明装置1の構成を概略的に示す上面図であり、
図2は、実施形態に係る面状照明装置1の構成を概略的に示す側面図である。
図1及び
図2に示すように、面状照明装置1は、導光板10と複数の光源20とを備える。
【0013】
導光板10は、上面視で矩形状に形成された平板状の部材であり、例えばポリカーボネート樹脂等の透明材料で構成される。導光板10は、入光側面11と、出射面12と、終端面13と、反対面14とを有する。
【0014】
入光側面11は、光源20の発光面と対向し、光源20からの光が入射する側面である。終端面13は、入光側面11の反対側にある側面である。出射面12は、導光板10の2つの主面のうち、光の出射方向であるZ軸正方向側の主面である。反対面14は、導光板10の2つの主面のうち、出射面12とは反対側であるZ軸負方向側の主面である。反対面14には、例えば、複数のドットからなる光路変更パターンが形成されている。
【0015】
入光側面11から入射された光は、導光方向であるY軸正方向に進みながら、反対面14に形成された光路変更パターンにより、出射面12から出射する。すなわち、実施形態に係る面状照明装置1は、エッジライト型の照明装置である。なお、導光板10の入光側面11には、入射光を導光板10の厚さ方向に拡散する第1の凹凸11aが形成されている。第1の凹凸11aについては後述する。
【0016】
複数の光源20は、X軸方向に配列され、入光側面11に入射する光を発光する。ここで、X軸方向は、導光板10の幅方向であり、Z軸方向は、導光板10の厚さ方向である。また、X軸方向は、入光側面11の長手方向でもあり、Z軸方向は、入光側面11の短手方向でもある。
【0017】
光源20は、青色の光(第1の光)を発光する発光素子と、当該発光素子が発光する光により黄色の光(第1の光よりも波長の長い第2の光)を発光する波長変換材料としての蛍光体(黄色蛍光体)とを含む。例えば、
図2に示すように、光源20は、青色発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)チップ21(以下、青色LEDチップ21)と、封止体22と、パッケージ23とを有する。青色LEDチップ21は、パッケージ23に設けられた直方体状の凹部の底の略中央部に配置される。封止体22は、青色LEDチップ21を封止する樹脂であって、黄色蛍光体が分散された樹脂により構成され、パッケージ23の凹部に充填される。光源20は、青色LEDチップ21が発光する青色光と、青色光を吸収した黄色蛍光体が発光する黄色光との混色により疑似白色光を発光する。複数の光源20それぞれは、パッケージ23の外表面に形成された不図示の電極を介して不図示のFPC(Flexible Printed Circuit)に実装(電気的に接続)される。なお、図示していないが、面状照明装置1は、FPCの他に、導光板10の出射面12側に積層される各種光学シート、導光板10の反射面14側に配置される反射シート、導光板10及び光源20等を収容するフレーム等を備える。また、波長変換材料としての蛍光体は、単体としての黄色蛍光体に限らず、例えば、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを組合したものであっても良い。
【0018】
ここで、光源20の構成に起因する色むらの発生について、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、
図2に示す光源20からの出射光について説明するための図であり、
図4は、実施形態とは異なる形態の面状照明装置1’の構成を概略的に示す側面図である。
【0019】
図3に示す光L1は、光源20の光軸方向(Y軸方向)に出射される光であり、
図3に示す光L2は、光源20の光軸となす角度が大きい方向に出射される光である。青色LEDチップ21から斜めに進む光L2は、青色LEDチップ21から直進する光L1と比較して封止体22内を通過する距離が長いため、光L1より黄色味の強い白色光となる。換言すると、光L1は、光L2と比較して封止体22内を通過する距離が短いため、光L2より青色味の強い白色光となる。
【0020】
図4に示す面状照明装置1’は、
図3に示す面状照明装置1の導光板10が導光板10’に置き換わった構成となる。導光板10’の入光側面11’には、後述する第1の凹凸11aが形成されていない。かかる面状照明装置1’において、斜めに進む光L2は、
図4に示すように、入光側面11’近傍の出射面12’から出射する。このため、入光側面11’近傍の出射面12’は黄色味を帯びる(黄色成分多)。一方、光L1は、
図4に示すように、導光板10’の中を伝播し、中央から終端面13’側の出射面12’で出射する傾向がある。このため、出射面12’の中央から終端面13’側は、青色味を帯びる(青色成分多)。その結果、出射面12’には色勾配が生じる。
【0021】
一方、
図2に示すように、実施形態に係る導光板10の入光側面11には、導光板10の厚さ方向(Z軸方向)における一部の範囲に、入射光を厚さ方向に拡散する第1の凹凸11aが複数列形成されている(
図2では3列)。第1の凹凸11aが形成される厚さ方向の範囲は、青色LEDチップ21に対向する範囲である。なお、
図2には図示されていないが、第1の凹凸11aは、入光側面11において幅方向の一端から他端まで形成されている。
【0022】
この第1の凹凸11aによって、青色味の強い白色光である光L1の一部は、厚さ方向に拡散されて、
図2に示すように、入光側面11近傍の出射面12から出射する。その結果、出射面12の入光側面11側は、
図4と比較して、青色味を帯びる(青色成分増加)。また、導光板11の中を伝播する光は、
図2に示すように、青色成分が減少するので、
図4と比較して、黄色味を帯びる。その結果、出射面12の中央から終端面13側は、比較例の場合より、青色味が減る(青色成分減少)。これにより、導光板から出射される光の色のバランスがとれて、出射面12の色勾配が小さくなる。このように、入光側面11に第1の凹凸11aを形成することで、出射面12内の色むらを抑制することができる。
【0023】
図5は、第1の凹凸11aが形成される範囲を説明するための図である。入光側面11において第1の凹凸11aが形成される「青色LEDチップ21に対向する範囲」は、
図5に示すように、青色LEDチップ21をY軸方向に平行投影した範囲Rに限定されるものではない。例えば、第1の凹凸11aが形成される範囲は、範囲Rに一部重複する範囲であっても、範囲Rに含まれ範囲Rより狭い範囲であってもよい。また、第1の凹凸11aが形成される範囲は、幅方向に沿って配置される複数の青色LEDチップ21の厚さ方向の位置ずれを吸収できるように、範囲Rを含み範囲Rより広い範囲であってもよい。或いは、第1の凹凸11aが形成される範囲は、例えばCIE色度図におけるv’値が所定値以下の青色味を帯びた光が入射する範囲として定義されてもよい。すなわち、第1の凹凸11aが形成される範囲は、設計仕様で要求される程度に出射面12内の色むらが抑制される範囲であればよい。
【0024】
なお、面状照明装置1では、光源20が間隔を空けて複数配列されているので、出射面12の幅方向において明暗が発生する場合がある。このため、実施形態では、光源20から出射される光を入光側面10にて幅方向に拡散することが好適である。実施形態に係る導光板10の入光側面11aには、以下に説明する厚さ方向に延在し、入射光を幅方向に拡散する第2の凹凸11bが複数列形成されてもよい。
【0025】
[実施例]
以下、上述した実施形態を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
[実施例1]
図6は、実施例1を説明するための図であり、
図7A、
図7B、
図7C、
図7Dは、実施例1の入光側面11を説明するための図であり、
図8は、実施例1の出射面12の色勾配を示す図である。
【0027】
図6は、実施例1の導光板10の入光側面11を「Z軸正方向から見た形状の模式図(図中、上面図)」と、「「Y軸負方向から見た形状の模式図(図中、側面
図1)」と、「X軸正方向から見た形状の模式図(図中、側面
図2)」とを示している。
図6の上面図及び側面
図2に示すように、入光側面11には、厚さ方向(Z軸方向)に延在する半円筒形の第2の凹凸11bが入光側面の全面にわたって複数列形成されている。第2の凹凸11bは、本実施形態ではレンチキュラーレンズである。
【0028】
そして、
図6の側面
図1及び側面
図2に示すように、実施例1では、入光側面11の厚さ方向(Z軸方向)の中央部に、幅方向(X軸方向)に延在する三角プリズム形状の第1の凹凸11aが12列形成されている。具体的には、
図6の側面
図2に示すように、導光板11の厚さは0.52mmであり、入光側面11において第1の凹凸11aが形成される範囲は0.166mmである。実施例1では、0.166mmの範囲の中心は、導光板11の厚さ方向の中心であり、出射面12からZ軸負方向に0.26mmの位置である。かかる範囲に、12列の第1の凹凸11aが12.8μm間隔で形成されている。第1の凹凸11aの高低差は、最大で9μmである。
【0029】
図7Aは、
図6で模式的に示す側面
図1の写真であり、
図7Bは、
図7Aに示す領域Pの拡大写真であり、
図7Cは、レーザ顕微鏡で撮影して得られた
図7Aに示す領域Pの表面形状である。
図7Dは、
図7B及び
図7CのA-A断面図における入光側面11の表面位置をプロットしたグラフである。A-A断面は、隣り合う2つの第2の凹凸11bの境界を通るYZ断面で導光板11を切断した断面である。
【0030】
図7B及び
図7Cに示すように、入光側面には、Z軸方向に延在する半円筒型のレンチキュラーレンズ(第2の凹凸11b)が、X軸方向に沿って連続して配列されている。そして、レンチキュラーレンズを横断するようにX軸方向に延在する三角プリズム(第1の凹凸11a)が、厚さ方向の中央部において、Z軸方向に沿って連続して配列されている。そして、第2の凹凸11b(レンチキュラーレンズ)と第1の凹凸11a(三角プリズム)とは、本実施形態では同じ高さである。
【0031】
図6、
図7A~Dに示す実施例1の入光側面11の形状を製造するための金型は、厚さ方向に延在する複数列のレンチキュラーレンズを形成するための金型を、三角プリズム用のバイトを幅方向に移動して削る作業を、バイトの位置を12.8μm間隔で厚さ方向にずらしながら繰り返すことで作成することができる。
【0032】
図8は、実施例1において、出射面12のY軸方向に沿ったライン(図中の点線B)で測定した色度v’値をプロットしたグラフである。
図8において横軸が導光方向(Y軸正方向)の入光側面11から終端面13までの位置を示し、縦軸はv’値を示している。また、
図8では、第1の凹凸11aが形成されておらず、第2の凹凸11bのみ形成された比較例1の導光板で測定したv’値をプロットしたグラフを点線で示している。また、
図8では、実施例1の導光板で測定したv’値をプロットしたグラフを実線で示している。なお、v’値が大きいほど、黄色が強く、v’値が小さいほど、青色が強いことを示す。
【0033】
図8に示すように、比較例1では、v’値の最大値と最小値の差であるΔv’が0.0049であるのに対して、実施例1では、Δv’は0.0028と減少しており、第1の凹凸11aを形成することで、出射面12の色むらが軽減していることがわかる。
【0034】
[実施例2]
図9は、実施例2を説明するための図である。実施例2の第1の凹凸11aは、
図9の上図に示すように、実施例1と同じ形状で同じピッチ(12.8μm)で形成されているが、実施例1とは異なり、列数が8列である。すなわち、第1の凹凸11aが形成されている範囲は、実施例1が0.166mmであるのに対して、実施例2は0.115μmと狭くなっている。
【0035】
図9の下図は、
図8と同じく横軸が導光方向(Y軸方向)の入光側面11から終端面13までの位置を示し、縦軸はv’値を示している。また、
図9では、比較例1のグラフを点線で示し、実施例2の導光板10で測定したv’値をプロットしたグラフを実線で示している。
【0036】
図9に示すように、比較例1ではΔv’は0.0049であるのに対して、実施例2では、Δv’は0.0032と減少しており、出射面12の色むらが軽減していることがわかる。ただし、Δv’の値は実施例1と比較して大きくなっている。これは、第1の凹凸11aが形成される範囲が実施例1と比較して狭いため、青色成分が強い光の拡散量が実施例1より少なくなっていることが要因と考えられる。
【0037】
[実施例3]
図10は、実施例3を説明するための図である。実施例3の第1の凹凸11aは、
図10の上図に示すように、実施例1及び実施例2と異なり、3.2μmのピッチで32列形成されている。
【0038】
図10の下図は、
図8、
図9と同じく横軸が導光方向(Y軸方向)の入光側面11から終端面13までの位置を示し、縦軸はv’値を示している。また、
図10では、比較例1のグラフを点線で示し、実施例3の導光板10で測定したv’値をプロットしたグラフを実線で示している。
【0039】
図10に示すように、比較例1ではΔv’は0.0049であるのに対して、実施例3では、Δv’は0.0034と減少しており、出射面12の色むらの軽減していることがわかる。ただし、Δv’の値は実施例1及び実施例2と比較して大きくなっている。また、実施例1及び実施例2と比較して、入光側面11側では青色味が強くなり、終端面13側では黄色味が強くなっている。これは、青色味が強い直進光(
図2等に示す光L1)の拡散の度合いが実施例1や実施例2より実施例3の方が大きいことが要因と考えられる。
【0040】
換言すると、本実施形態では、第1の凹凸11aを形成する範囲、第1の凹凸11aの列数、ピッチを適宜調整することで、出射面12での色むらを軽減しつつ、バックライトとして要求される色度特性を満たす導光板10を作成することができる。なお、第1の凹凸11aの形状も、第1の凹凸11aの設計パラメータの一つである。実施例1~3では、第1の凹凸11aの形状は、頂角が鈍角の二等辺三角形の三角プリズム形状であったが、バックライトとして要求される色度特性を実現できるのであれば、第1の凹凸11aの形状はいかなる形状であってもよい。
【0041】
以上のように、実施形態に係る面状照明装置1は、導光板10と複数の光源20とを備える。導光板10は、入光側面11から入射した光を出射面12から出射する。複数の光源20は、入光側面11の長手方向(X軸方向)に配列され、入光側面11に入射する光を発光する。光源20は、青色の光を発光する青色LEDチップ21(第1の光を発光する発光素子の一例)と、青色LEDチップ21が発光する光により黄色の光を発光する蛍光体(発光素子が発光する光により第1の光より波長の長い第2の光を発光する波長変換材料の一例)が分散された樹脂による封止体22とを含む。そして、入光側面11には、導光板10の厚さ方向(Z軸方向)における一部の範囲であって、青色LEDチップ21と対向する範囲に、導光板10の幅方向(X軸方向)に延在し、入射光を厚さ方向(Z軸方向)に拡散する第1の凹凸11aが複数列形成されている。これにより、本実施形態では、出射面12内の色むらを抑制することができる。
【0042】
すなわち、本実施形態では、青色LEDチップ21と対向する範囲にのみ、入射光を厚さ方向(Z軸方向)に拡散する第1の凹凸11aを複数形成するので、入光側面11近傍の出射面12から、黄色成分の強い光に青色成分の強い光を混色させて出射することができる。また、本実施形態では、第1の凹凸11aにより、導光板10内を進む青色成分の強い光を減少することができ、出射面12の中央から終端面3側で、青色味を減少させることができる。なお、かかる効果は、第1の凹凸11aを入光側面11の全面に形成した場合には、実現することが困難である。
【0043】
また、本実施形態では、入光側面11の略全面には、厚さ方向(Z軸方向)に延在し、入射光を幅方向(X軸方向)に拡散する第2の凹凸11bが複数列形成されている。光源20から出射される光は、第2の凹凸11bにより入光側面10にて幅方向に拡散される。その結果、光源20が間隔を空けて配置されていることに起因する出射面12の幅方向における明暗差を抑制することができる。
【0044】
なお、第2の凹凸11bを青色LEDチップ21と対向する範囲にのみ形成した場合、出射面12の幅方向において明暗が発生すると考えられる。また、第2の凹凸11bを青色LEDチップ21と対向する範囲にのみ形成する場合と、実施形態のように第1の凹凸11aを青色LEDチップ21と対向する範囲にのみ形成する場合とを比較した場合、光源20と入光側面11との位置合わせは、実施形態の方が容易である。すなわち、本実施形態では、光源20と導光板10との高精度な位置合わせを要することなく、出射面12内の色むらを抑制することができる。
【0045】
なお、バックライトとして要求される色度特性が実現できるならば、入光側面11には、第2の凹凸11bが形成されず、第1の凹凸11aのみが形成されても良い。
【0046】
(変形例)
上述した実施形態の導光板10の形状は上面視で矩形であるが、近年、意匠性等の観点から、矩形の角部が面取りされた形状(例えば、角部がR面取りされた形状)の導光板が用いられることがある。以下、かかる導光板を用いた場合に適用される第1の凹凸11aの形成パターンについて、
図11、
図12及び
図13を用いて説明する。
図11、
図12及び
図13は、変形例を説明するための図である。
【0047】
図11に示す変形例に係る面状照明装置1Aは、導光板10Aと複数の光源20とを備える。導光板10Aは、
図10に示すように、上面視で、矩形の角部が面取りされた形状である。具体的には、導光板10Aは、上面視で、矩形の角部がR形状である。このような形状の導光板10Aを用いた場合、入光側面11Aの両端には、光源20を配置することができない(図中の領域Cを参照)。
【0048】
導光板10Aは、複数の光源20が対向して配置される入光側面11Aと、入光側面11Aとは反対側の側面である終端面13Aとを有する。入光側面11Aには、実施例1と同様に、12列の第1の凹凸11aが形成され、複数列の第2の凹凸11bが形成されている。
【0049】
図12の右上図は、導光板11Aの出射面12AのY軸方向に沿ったライン(
図12の左上図の点線D)で測定した色度v’値をプロットしたグラフである。
図12の右上図において横軸が導光方向(Y軸正方向)の入光側面11Aから終端面13Aまでの位置を示し、縦軸はv’値を示している。また、
図12の右上図では、第1の凹凸11aが形成されておらず、第2の凹凸11bのみ形成された比較例2の導光板で測定したv’値をプロットしたグラフを点線で示している。そして、
図12の右上図では、導光板11Aで測定したv’値をプロットしたグラフを実線で示している。
図12の右上図のグラフは、
図8のグラフと同様の形状であり、導光方向で、出射面12Aの色むらが軽減していることを示している。
【0050】
しかし、角部に光源20を配置できない導光板10Aでは、幅方向(X軸方向)の色勾配が大きくなってしまう。
図12の右下図は、導光板11Aの出射面12AのX軸方向に沿ったラインであって入光側面11AからY軸正方向に10mm離れた位置(
図12の左上図の点線E)で測定した色度v’値をプロットしたグラフを示している。また、
図12の左下図は、比較例2の導光板のグラフである。つまり、
図12の左下図は、第1の凹凸11a無しの導光板のグラフであり、
図12の右下図は、第1の凹凸11a有りのグラフである。
【0051】
図12の右下図に示すように、10mm位置において、光源20が配置されている範囲では青色成分が増えて比較例2と比較してv’値が小さくなっているものの、導光板11Aの幅方向の両端ではv’値が大きくなり、比較例2と同程度のv’値となっている。すなわち、実施例1と同様の形成パターンで第1の凹凸11aを形成すると、導光板11Aでは、幅方向の中央では黄色成分が減少して青色成分が増加しているが、領域Cに対応する幅方向の両端では、第1の凹凸11aで拡散された青色成分の強い光が届かず、黄色成分が優勢となっており、幅方向の色勾配が大きくなってしまう。
【0052】
その対策として、変形例では、第1の凹凸11aの列数は、入光側面11Aの長手方向の中央から端部に向かって減少するようにする。例えば、
図13の(1)に示す第1の凹凸11aの形成パターンを、
図13の(2)に示す形成パターンに変更する。
図13の(1)は、12列の第1の凹凸11aが入光側面11Aの全面に形成されていることを表す模式図である。
図13の(1)には、上述した
図12の右下図のグラフも示している。
【0053】
これに対して、
図13の(2)の形成パターンでは、第1の凹凸11aの列数が、入光側面11Aの端部に向かって減少し、末端に位置する光源20の正面には第1の凹凸11aを形成しない。具体的には、
図13の(2)の形成パターンでは、中央からX1までは第1の凹凸11aが12列形成され、X1からX2までは第1の凹凸11aが8列形成され、X2からX3までは、第1の凹凸11aが4列形成され、X3から端部までは、第1の凹凸11aを形成しない。なお、
図13の(1)、(2)に示す模式図には、第2の凹凸11bは図示していない。
【0054】
図13の(2)には、このような第1の凹凸11aの形成パターンにおいて、入光側面11AからY軸正方向に10mm離れた位置で測定した色度v’値をプロットしたグラフを示している。
図13の(1)と(2)のグラフを比較すると、
図13の(2)の方が、幅方向の両端で色度が緩やかに変化しており、幅方向の色勾配が緩和されていることがわかる。これは、
図13の(2)の形成パターンにより、幅方向の中央から端部に向かって青色成分の強い光が拡散される量が徐々に減っていることによると考えられる。
【0055】
なお、
図13の(2)では、第1の凹凸11aが形成される厚さ方向の範囲において、第1の凹凸11aの列数が厚さ方向の中央から両端に向かって徐々に減少するパターンを示しているがこれに限定されない。例えば、第1の凹凸11aの列数が厚さ方向の両端から中央に向かって徐々に減少するパターンや、厚さ方向の一端ら他端に向かって徐々に減少するパターンであってもよい。
【0056】
以上のように、変形例に係る面状照明装置1Aは、上面視で、矩形の角部が面取りされた形状の導光板10Aを備える。角部に光源20を配置できない形状の導光板10Aを用いる場合、角部では第1の凹凸11aによる青色成分の拡散効果を得ることができず、出射面12Aにおける幅方向の色勾配が大きくなってしまう現象が発生する。そこで、変形例では、第1の凹凸11aの列数は、入光側面11Aの長手方向(X軸方向)の中央から端部に向かって減少させる。これにより、幅方向の中央から端部に向かって青色成分の強い光が拡散される量が徐々に減少させて、幅方向の色勾配を抑制することができる。
【0057】
なお、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1,1’,1A 面状照明装置、10,10’,10A 導光板、11,11’,11A 入光側面、11a 第1の凹凸、11b 第2の凹凸、12,12’,12A 出射面、13,13’,13A 終端面、14, 反対面、20 光源、21 青色発光ダイオードチップ(青色LEDチップ)、22 封止体、23 パッケージ