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特開2025-5152情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005152
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/08 20090101AFI20250108BHJP
   H04W 40/32 20090101ALI20250108BHJP
   H04W 60/00 20090101ALI20250108BHJP
【FI】
H04W4/08
H04W40/32
H04W60/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105206
(22)【出願日】2023-06-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】504376647
【氏名又は名称】株式会社サイエンスアーツ
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】平岡 秀一
(72)【発明者】
【氏名】沖本 和昭
(72)【発明者】
【氏名】樋口 大輝
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA44
5K067CC13
5K067DD20
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】 1対多のグループ一斉音声通信を実現するシステムにおいて、ユーザの利便性を向上させる情報処理装置を提供する。
【解決手段】 情報処理装置は、複数の端末を対応付けて1つのトークグループとし、前記トークグループに属するいずれかの端末から前記トークグループに属する他の端末への1対多の通信において用いられる。情報処理装置は、記憶部と、取得部と、判定部と、設定部とを含む。記憶部は、1以上の前記トークグループと前記トークグループを規定するエリアに関する1以上のグループ位置情報との対応関係を記憶する。取得部は、前記端末の位置に関する端末位置情報を取得する。判定部は、前記端末位置情報と前記対応関係とに基づき、前記端末が属すべきトークグループを判定する。設定部は、前記端末の属するトークグループを前記判定されたトークグループに切り替える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末を対応付けて1つのトークグループとし、前記トークグループに属するいずれかの端末から前記トークグループに属する他の端末への1対多の通信において用いられる情報処理装置であって、
1以上の前記トークグループと前記トークグループを規定するエリアに関する1以上のグループ位置情報との対応関係を記憶する記憶部と、
前記端末の位置に関する端末位置情報を取得する取得部と、
前記端末位置情報と前記対応関係とに基づき、前記端末が属すべきトークグループを判定する判定部と、
前記端末の属するトークグループを前記判定されたトークグループに切り替える設定部と、
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記設定部により前記トークグループの切り替えが実行された場合、前記端末に前記トークグループの切り替えがあったことを通知する通知部をさらに具備する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記端末位置情報に示される位置を含むグループ位置情報が存在しない場合、前記端末の属するトークグループをデフォルトのトークグループに切り替える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記端末から送信される音声データに基づいてテキストデータを作成するテキスト化処理部と、
前記トークグループごとに前記作成されたテキストデータを管理し、前記トークグループに属する複数の端末の少なくともいずれかへ前記テキストデータを送信する通信制御部と、をさらに具備する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記端末の移動速度および前記トークグループの切り替え回数を計測する計測部と、
前記移動速度および前記切り替え回数の少なくとも一方が閾値以上である場合、前記端末位置情報の送信間隔を現在の設定よりも短くする要求信号を前記端末に送信する通信制御部と、をさらに具備する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数の端末を対応付けて1つのトークグループとし、前記トークグループに属するいずれかの端末から前記トークグループに属する他の端末への1対多の通信において用いられる情報処理方法であって、
1以上の前記トークグループと前記トークグループを規定するエリアに関する1以上のグループ位置情報との対応関係を記憶部に記憶し、
前記端末の位置に関する端末位置情報を取得し、
前記端末位置情報と前記対応関係とに基づき、前記端末が属すべきトークグループを判定し、
前記端末の属するトークグループを前記判定されたトークグループに切り替える、情報処理方法。
【請求項7】
複数の端末を対応付けて1つのトークグループとし、前記トークグループに属するいずれかの端末から前記トークグループに属する他の端末への1対多の通信において用いられる情報処理プログラムであって、
コンピュータを、
1以上の前記トークグループと前記トークグループを規定するエリアに関する1以上のグループ位置情報との対応関係を記憶する記憶手段と、
前記端末の位置に関する端末位置情報を取得する取得手段と、
前記端末位置情報と前記対応関係とに基づき、前記端末が属すべきトークグループを判定する判定手段と、
前記端末の属するトークグループを前記判定されたトークグループに切り替える設定手段として機能させるための情報処理プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半二重の音声通信方式であるPTT(Push To Talk)通信が、1対多のグループ一斉音声通信を実現する技術として知られている。そして近年、スマートフォン等の複数の用途に対応可能な端末の普及に伴い、音声データを含むパケットを同報的に複数の装置へ送信するPoC(Push-to-Talk over Cellular)が注目を集めている。PoCでは、音声データを送信する送信権を、トークグループを構成する複数台の端末のうちの1台の端末が取得する。そして、送信権を取得した端末が他の端末へ同報的に音声データを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-219297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トークグループに属するユーザが、普段の場所とは異なる場所でPoC通信を実施する、または移動しながらPoC通信を実施している場合、トークグループの特性によっては、当該ユーザが別のトークグループに所属されるほうが好ましい場合もある。例えば、複数の支店(フランチャイズ)がある店舗、複数個所に存在する工場など、異なる場所で同一の作業及び業務を実施する状況を想定する。ユーザが、昨日はA店(A工場)、今日はB店(B工場)といったように、異なる場所で業務を実施する場合、それぞれの店、工場でのトークグループに所属して業務を実施することが望ましい。しかし、ユーザまたは管理者が、グループからの脱退および新グループへの参加を手動で設定する必要がある。
本発明の目的は、ユーザの利便性を向上させる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る情報処理装置は、複数の端末を対応付けて1つのトークグループとし、前記トークグループに属するいずれかの端末から前記トークグループに属する他の端末への1対多の通信において用いられる。情報処理装置は、記憶部と、取得部と、判定部と、設定部とを含む。記憶部は、1以上の前記トークグループと前記トークグループを規定するエリアに関する1以上のグループ位置情報との対応関係を記憶する。取得部は、前記端末の位置に関する端末位置情報を取得する。判定部は、前記端末位置情報と前記対応関係とに基づき、前記端末が属すべきトークグループを判定する。設定部は、前記端末の属するトークグループを前記判定されたトークグループに切り替える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係る通信システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態に係る処理サーバの機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、本実施形態に係る端末の機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、本実施形態に係る通信システムにおいて音声通信が実施される際の、処理サーバ、及び端末の動作を説明するシーケンス図である。
図5図5は、本実施形態に係るグループ管理テーブルを表す図である。
図6図6は、本実施形態に係る利用者管理テーブルを表す図である。
図7図7は、本実施形態に係る情報処理装置のグループ切り替え処理についてのフローチャートである。
図8図8は、本実施形態に係るユーザの移動履歴の地図上での表示例を示す図である。
図9図9は、本実施形態に係るトークグループ履歴テーブルを示す図である。
図10図10は、図2に示されるテキスト化処理部が作成するテキストデータの構造を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムについて説明する。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0009】
図1は、本実施形態に係る通信システム1の機能構成の例を示すブロック図である。図1に示される通信システム1は、例えば、PoC(Push-to-Talk over Cellular)通信を利用し、グループ単位での1対多の音声通信を実現する。図1に示される通信システム1は、例えば、処理サーバ10、端末20-1~20-m、及び基地局30-1~30-nを具備している。n,mは2以上の自然数である。なお、以下では、特に区別しない場合は、単に端末20、基地局30と記載することとする。
【0010】
処理サーバ10、及び基地局30-1~30-nは、インターネット、及び通信事業者が提供する通信網等のネットワークを介して接続している。端末20-1~20-mは、基地局30-1~30-nのうち、現在存在している位置を含んで無線エリアを形成している基地局と無線接続する。
【0011】
処理サーバ10は、例えば、端末20-1~20-mのうち、送信権を有する端末から送信された音声データまたは映像データを、送信元の利用者と同一のトークグループに参加する複数の利用者が所持する端末20へ同報的に送信するための制御を実施する情報処理装置である。本実施形態において、送信権とは、PoCにおいて、音声データまたは映像データを送信できる権利を意味する。
【0012】
端末20-1~20-mは、利用者が所持する端末であり、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、及び所定の専用端末等である。端末20-1~20-mは、処理サーバ10を介し、PoCを利用した1対多の音声通信を実施する。例えば、端末20-1~20-mは、利用者からの操作に従い、トークグループに参加する。端末20-1~20-mのいずれかは、利用者からの操作に従って送信権を取得する。送信権を取得した端末20は、利用者から入力される音声を受け付け、受け付けた音声に基づく音声データを、処理サーバ10を介して同一のトークグループに参加する他の端末20へ送信する。また、端末20-1~20-mは、処理サーバ10で音声に基づいて作成されるテキストデータを受信し、テキストデータに基づく文字を自装置のディスプレイに表示する。
【0013】
基地局30-1~30-nは、所定サイズのエリア毎に設けられ、所定の無線エリアを形成する。基地局30-1~30-nは、自装置が形成する無線エリア内に存在する端末20-1~20-mと無線接続する。
【0014】
次に、処理サーバ10の機能構成の例を図2のブロック図を参照して説明する。
図2に示される処理サーバ10は、例えば、処理部11、記憶部12、及び通信インタフェース13を備える。処理部11、記憶部12、及び通信インタフェース13は、例えば、バスを介して互いに通信可能に接続されている。処理部11は、情報処理装置とも呼ぶ。
【0015】
処理部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。CPUは、例えば、記憶部12に記憶されているアプリケーションプログラムを読み込み、アプリケーションプログラムを実行する。これにより、処理部11は、アプリケーションプログラムに対応する種々の機能を実現する。
【0016】
記憶部12は、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive)、及びSSD(solid state drive)等の不揮発性の記憶回路を備える、いわゆる補助記憶装置である。なお、記憶部12は、CD-ROM、DVD、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。記憶部12は、本実施形態に係るアプリケーションプログラムを記憶している。
【0017】
また、記憶部12は、処理部11からの制御に従い、トークグループに参加する利用者に関する利用者情報を記憶する。また、記憶部12は、処理部11からの制御に従い、送信権を有する端末20から送信される音声データに基づいて作成される通話データ、通話データをテキスト化して得られるテキストデータ、及び端末20で撮影された映像データを記憶する。また、記憶部12は、処理部11からの制御に従い、テキストデータを翻訳して得られる翻訳テキストデータを記憶する。また、記憶部12は、1以上のトークグループと1以上のトークグループを規定するそれぞれのグループ位置情報との対応関係をグループ管理テーブルに記憶する。また、記憶部12は、トークグループに参加する利用者と、参加するトークグループとの対応関係を利用者管理テーブルに記憶する。
【0018】
通信インタフェース13は、ネットワークと接続する回路である。通信インタフェース13は、ネットワークを介し、基地局30-1~30-nと無線接続している端末20-1~20-mのうち少なくともいずれかへデータを送信する。また、通信インタフェース13は、ネットワークを介し、基地局30-1~30-nと無線接続している端末20-1~20-mのうち少なくともいずれかから送信されるデータを受信する。
【0019】
図2に示される処理部11は、記憶部12に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することで、当該アプリケーションプログラムに対応する機能を実現する。例えば、処理部11は、アプリケーションプログラムを実行することで、登録処理部111、送信権付与部112、取得部113、判定部114、設定部115、通信制御部116、計測部117、テキスト化処理部118、及び翻訳処理部119の機能を実現する。
【0020】
図2に示される処理部11は、複数のCPUが組み合わされて形成されていても構わない。すなわち、図2に示される登録処理部111、送信権付与部112、取得部113、判定部114、設定部115、通信制御部116、計測部117、テキスト化処理部118、及び翻訳処理部119は、例えば、各CPUがアプリケーションプログラムを実行することで実現されても構わない。
【0021】
また、処理部11は、登録処理部111、送信権付与部112、取得部113、判定部114、設定部115、通信制御部116、計測部117、テキスト化処理部118、及び翻訳処理部119の機能をそれぞれ有する専用のハードウェア構成により形成されていても構わない。また、処理部11は、登録処理部111、送信権付与部112、取得部113、判定部114、設定部115、通信制御部116、計測部117、テキスト化処理部118、及び翻訳処理部119の機能をそれぞれ有する専用のハードウェア回路を組み込んだ特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により形成されていても構わない。
【0022】
登録処理部111は、1対多の音声通信を実施するトークグループに参加する利用者を登録する。具体的には、例えば、登録処理部111は、端末20-1~20-mからの要求に基づき、所定のトークグループへ参加する利用者についての利用者情報を取得する。登録処理部111は、取得した利用者情報を、参加するトークグループと関連付けて記憶部12に記憶する。
【0023】
利用者情報には、例えば、トークグループのID、トークグループに参加する利用者のID、利用者が所持する端末のIPアドレス、利用者が設定した言語についての言語コード、利用者のログイン状態、及び端末位置情報等が含まれる。登録処理部111は、どのトークグループにどのユーザが参加するかの定義情報、すなわち、例えば、トークグループのID、及びトークグループに参加する利用者のIDを、記憶部12に記憶する。また、登録処理部111は、端末20の状態によって動的に変化する情報、すなわち、例えば、IPアドレス、言語コード、ログイン状態、及び位置情報等を、記憶部12へ記憶する。
【0024】
送信権付与部112は、所定のトークグループに参加している利用者が所持する端末のうちいずれかへ送信権を与える。
取得部113は、端末20の位置に関する端末位置情報を取得する。
【0025】
判定部114は、端末位置情報と記憶部12に記憶される対応関係とに基づき、端末が属すべきトークグループを判定する。
設定部115は、端末20が現在属するトークグループを、判定部114により判定されたトークグループに切り替える。
【0026】
通信制御部116は、トークグループに参加する利用者が所持する端末20間で、1対多の音声通信が実現されるように通信を制御する。具体的には、例えば、通信制御部116は、送信権が与えられた端末20から送信される音声データおよび映像データを、同一のトークグループに参加している利用者が所持する端末20へ送信する。
また、通信制御部116は、トークグループに参加する利用者が所持する端末20へ、音声データから変換されたテキストデータを送信するように通信を制御する。具体的には、例えば、通信制御部116は、音声データがテキストデータへ変換されると、テキスト化が完了した旨を、トークグループに参加している利用者が所持する端末20へ送信する。通信制御部116は、端末20からテキストデータの送信が要求されると、テキストデータを要求元の端末20へ送信する。
さらに、通信制御部116は、翻訳を要する端末へ、テキストデータを所定の言語へ翻訳した翻訳テキストデータを送信するように通信を制御する。具体的には、例えば、通信制御部116は、テキストデータの翻訳が完了すると、翻訳が完了した旨を、トークグループに参加している利用者が所持する端末20へ送信する。通信制御部116は、端末20から翻訳テキストデータの送信が要求されると、翻訳テキストデータを要求元の端末20へ送信する。
【0027】
計測部117は、端末20の移動速度および前記トークグループの切り替え回数を計測する。
テキスト化処理部118は、送信権を有する端末から送信されてきた音声データを、テキストデータへ変換する。具体的には、例えば、テキスト化処理部118は、音声データを、文法に関する情報、言語構造に関する情報、音声データの組成に関する情報、及び記憶している単語情報等に基づいてテキストデータへ変換する。なお、テキスト化処理部118により採用される音声からテキストデータへの変換処理は、既存の技術を利用しても構わない。
【0028】
翻訳処理部119は、テキスト化処理部118により変換されたテキストデータに対して翻訳処理を実施することで、翻訳テキストデータを作成する。具体的には、例えば、翻訳処理部119は、テキスト化処理部118により変換されたテキストデータを、トークグループに参加している利用者と関連付けられている言語コードに対応する言語のテキストデータへ翻訳する。なお、テキスト化処理部118により採用される翻訳処理は、統計的機械翻訳、及びニューラル機械翻訳等、既存の技術を利用しても構わない。
【0029】
なお、図示しないが、処理サーバ10は、入力インタフェースを有していてもよい。入力インタフェースは、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパネル等により実現される。入力インタフェースは、操作者からの入力指示を電気信号へ変換し、電気信号を処理部11へ出力する。なお、入力インタフェースは、マウス、及びキーボード等の物理的な操作デバイスに限定されない。入力インタフェースには、例えば、外部の入力機器から入力される電気信号を受け付ける受信ポートが含まれてもよい。
【0030】
さらに、図示しないが、処理サーバ10は、出力インタフェースを有していてもよい。出力インタフェースは、例えば、表示機器、及び印刷機器等により実現される。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等、任意のディスプレイが利用可能である。表示機器は、表示対象についての画像データを表示する。印刷機器は、例えば、プリンタである。印刷機器は、印刷対象についての画像データを所定用紙に印刷する。なお、出力インタフェースは、表示機器、及び印刷機器等の物理的な出力装置に限定されない。出力インタフェースには、例えば、外部の出力装置へ画像データを送信する送信ポートが含まれてもよい。
【0031】
図3は、端末20の機能構成の例を示すブロック図である。
図3に示される端末20は、例えば、処理部21、記憶部22、入力インタフェース23、出力インタフェース24、通信インタフェース25、及びGPS受信器26を備える。なお、端末20-1~20-mの構成はそれぞれ同様であるため、図3の説明では、端末20として説明をする。
【0032】
処理部21は、例えば、CPUである。CPUは、例えば、記憶部22に記憶されているアプリケーションプログラムをRAMに読み込む。CPUは、RAMに読み込まれたアプリケーションプログラムを実行する。これにより、処理部21は、アプリケーションプログラムに対応する種々の機能を実現する。
【0033】
記憶部22は、NAND型、又はNOR型フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶回路を備える、いわゆる補助記憶装置である。なお、記憶部22は、SDカード、及びマイクロSDカード等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。記憶部22は、本実施形態に係るアプリケーションプログラムを記憶している。また、記憶部22は、自端末が参加可能なトークグループについての情報が記憶されている。
【0034】
入力インタフェース23は、例えば、ボタン、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパネル、及び音声を入力するマイク等により実現される。入力インタフェース23は、操作者からの入力指示を電気信号へ変換し、電気信号を処理部21へ出力する。
【0035】
出力インタフェース24は、例えば、表示機器、及びスピーカにより実現される。表示機器としては、例えば、液晶ディスプレイ、及び有機ELディスプレイ等である。表示機器は、表示対象についての画像データおよび映像データを表示する。スピーカは、音声通信に伴う音声データを再生する。
【0036】
通信インタフェース25は、基地局30-1~30-nと無線接続する回路である。通信インタフェース25は、例えば、アンテナ、及び無線部により実現される。アンテナは、到来してきた無線信号を受信する。また、無線部から出力される無線信号を送信する。無線部は、アンテナにより受信された無線信号を、予め設定される復調方式に則って変換し、変換したデータを処理部21へ出力する。また、無線部は、処理部21で作成されたデータを、予め設定される変調方式に則って無線信号へ変換し、変換した無線信号をアンテナへ出力する。
【0037】
GPS受信器26は、GPS衛星から送信される信号を受信し、受信した信号に基づいて端末位置情報を作成する。
【0038】
図3に示される処理部21は、記憶部22に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することで、当該アプリケーションプログラムに対応する機能を実現する。例えば、処理部21は、アプリケーションプログラムを実行することで、通信制御部211、表示制御部212、及び再生制御部213の機能を実現する。
【0039】
通信制御部211は、処理サーバ10との通信を制御する。具体的には、例えば、送信権を有する端末20の通信制御部211は、マイクから入力された音声を、TCP/IPベースの独自プロトコルに則って変換する。通信制御部211は、変換後の音声データを、ネットワークNW及び基地局30を介して処理サーバ10へ送信する。また、送信権を有する端末20の通信制御部211は、ネットワークNW及び基地局30を介して処理サーバ10から送信されるテキストデータを受信する。
【0040】
また、例えば、送信権を有していない端末20の通信制御部211は、処理サーバ10から送信される音声データ、及びこの音声データがテキスト化されたテキストデータを受信する。また、送信権を有していない端末20に設定されている言語が、送信権を有している端末20に設定されている言語と異なる場合、通信制御部211は、テキストデータが設定されている言語に翻訳された翻訳テキストデータを、処理サーバ10から受信する。
通信制御部211は、GPS受信器26で作成された端末位置情報を、ユーザ指示があったタイミングで、または、所定間隔で定期的に処理サーバ10に送信する。
【0041】
表示制御部212は、出力インタフェース24であるディスプレイへの表示処理を制御する。具体的には、例えば、表示制御部212は、受信した種々の通知、並びに、受信したテキストデータ及び翻訳テキストデータに基づく文字、及び受信した映像データを表示するように、ディスプレイを制御する。
【0042】
再生制御部213は、ディスプレイに表示されている、テキストデータに基づく文字に対応する音声の再生を制御する。具体的には、例えば、再生制御部213は、ディスプレイに表示されている、テキストデータに基づく文字に対応する通話データを再生するように、出力インタフェース24であるスピーカを制御する。また、再生制御部213は、映像データを取得して、ディスプレイなどに表示する。
また、再生制御部213は、翻訳テキストデータに基づく文字の読み上げを制御する。具体的には、例えば、再生制御部213は、ディスプレイに表示されている、翻訳テキストデータに基づく文字に対する読み上げ要求がある場合、要求の対象となる文字を音声データへ変換する。そして、再生制御部213は、変換した音声データを再生するように、出力インタフェース24であるスピーカを制御する。なお、再生制御部213は、例えば、OS(Operating System)により提供されているAPI(Application Program Interface)により実現されても構わない。
【0043】
次に、以上のように構成された通信システム1における処理サーバ10、及び端末20-1~20-mのPoC通信動作について、図4のシーケンス図を参照して説明する。なお、以下では、端末20-1~20-3がトークグループG1に参加し、音声通信を利用する場合を例に説明を進める。すなわち、端末20-1~20-3の記憶部22には、トークグループG1についての情報が記憶されており、端末20-1~20-3がトークグループG1に参加可能な状態となっている。
【0044】
端末20-1~20-3の利用者は、端末20-1~20-3を操作し、PoCを利用した1対多の音声通信を実行するアプリケーションプログラムを立ち上げる(ステップSA1)。端末20-1~20-3の表示制御部212は、出力インタフェース24であるディスプレイに、選択可能なトークグループとして、トークグループG1を表示する(ステップSA2)。なお、ディスプレイには、参加可能な複数のトークグループが表示されていても構わない。
【0045】
端末20-1~20-3の利用者は、ディスプレイに表示されるトークグループG1を選択する。なお、参加頻度、及び利用者の設定等に基づき、端末20-1~20-3の処理部21が、参加するトークグループG1を自動的に選択しても構わない。トークグループG1が選択されると、端末20-1~20-3の表示制御部212は、本サービスにおいて、使用可能な言語のリストをディスプレイに表示させる。端末20-1~20-3の利用者は、ディスプレイに表示される複数の言語のうち、使用を希望する言語を選択する(ステップSA3)。また、トークグループG1が選択されると、端末20-1~20-3の処理部21は、トークグループが選択された際の端末位置情報を、GPS受信器26に作成させる。
【0046】
端末20-1~20-3の通信制御部211は、トークグループ、及び使用言語が選択されると、選択されたトークグループのID(以下、トークグループIDと称する)、自端末に設定されているID(以下、ユーザIDと称する)、選択された言語についての情報(以下、言語コードと称する)、及び端末位置情報等を含む情報データを作成する。情報データは、例えば、パケット構造を有する。端末20-1,20-2は、作成した情報データを、基地局30-1、及びネットワークNWを介して処理サーバ10へ送信する(ステップSA4)。また、端末20-3は、作成した情報データを、基地局30-2、及びネットワークNWを介して処理サーバ10へ送信する(ステップSA4)。
【0047】
処理サーバ10の登録処理部111は、端末20-1~20-3から送信されてきた情報データに基づき、トークグループに参加する利用者を、参加するトークグループと関連付けて記憶部12の利用者管理テーブルに記憶する(ステップSA5)。
【0048】
端末20-1~20-3の表示制御部212は、トークグループ、及び使用言語が選択されると、ディスプレイにPTT通話開始要求ボタンを表示する(ステップSA6)。端末20-1の利用者は、例えば、端末20-1のディスプレイに表示されているPTT通話開始要求ボタンを押す(ステップSA7)。利用者がPTT通話開始要求ボタンを押すと、端末20-1の通信制御部211は、基地局30-1、及びネットワークNWを介して、処理サーバ10へ送信権の取得を要求する送信権取得要求通知を、ユーザIDを付して送信する(ステップSA8)。なお、PTT通話開始要求ボタンは、ディスプレイに表示されるものに限定されない。PTT通話開始要求ボタンは、例えば、端末20-1の入力インタフェース23をコネクタとして接続する操作デバイスに設けられる物理ボタンであっても構わない。
【0049】
処理サーバ10の送信権付与部112は、端末20-1から送信される送信権取得要求通知を受信すると、端末20-1へ送信権を付与する(ステップSA9)。端末20-1の利用者は、送信権を取得すると、端末20-1のマイクから音声を入力する(ステップSA10)。端末20-1の通信制御部211は、マイクから入力された音声に基づいて音声データを作成する(ステップSA11)。端末20-1は、作成した音声データを基地局30-1、及びネットワークNWを介して処理サーバ10へ送信する(ステップSA12)。
【0050】
処理サーバ10の通信制御部116は、送信権を有する端末20-1から送信された音声データを受信すると、音声データを、トークグループG1に参加する端末20-2,20-3へ転送するための通信制御を実施する(ステップSA13)。具体的には、例えば、端末20-1から送信された音声データを受信すると、通信制御部116は、音声データに格納されている発話者ID:User01と、送信権を付与したユーザID:User01とが一致するか否かを判定する。音声データに格納されている発話者IDと、送信権を付与したユーザIDとはUser01で一致するため、通信制御部116は、トークグループG1に参加する端末20-2,20-3のIPアドレスを参照し、音声データを端末20-2,20-3に送信する(ステップSA14)。
【0051】
端末20-2,20-3の通信制御部211は、処理サーバ10から送信される音声データを受信すると、受信した音声データを再生し、スピーカから音声として出力する(ステップSA15)。これにより、すなわちPoC通信が確立され、PTT通信が実施される。
【0052】
なお、ここでは図示しないが、ステップSA12において、送信権を取得した端末20-1が、音声データとともに、当該端末20-1で撮影した映像データを処理サーバ10へ送信してもよい。処理サーバ10では、端末20-1から送信された映像データを、トークグループG1に参加する端末20-2,20-3に転送すればよい。または、送信権を取得していない端末(例えば、端末20-2,20-3)が、映像データを処理サーバ10へ送信してもよい。この場合は、処理サーバ10が、トークグループG1に参加する他の端末20に映像データを転送すればよい。
【0053】
次に、記憶部12に記憶される、トークグループに参加するユーザを管理するためのグループ管理テーブルの一例を図5に示す。
図5に示されるグループ管理テーブル50では、トークグループID、トークグループエリア及びユーザIDが対応付けられる。トークグループIDは、トークグループを一意に識別する文字列または値である。トークグループエリアは、トークグループを規定するエリアに関する位置情報である。トークグループエリアは、例えばGPS情報に基づく地図上の座標情報によって規定される。具体的には、トークグループエリアの中心座標から一定距離の範囲内で規定されてもよいし、対角座標によって規定されてもよい。なお、地図情報の1つの座標情報は、重複して異なるトークグループエリアに属さないように設定される。また、地図上の厳密な座標情報に基づくことに限らず、トークグループエリアとして、例えば店舗の住所情報であったり、公園といった予め規定される所定のエリアがトークグループエリアの基準であってもよい。すなわち、ある店舗から一定範囲内が1つのトークグループエリアとして設定されてもよいし、工場の敷地内が1つのトークグループエリアとして設定されてもよい。ユーザIDは、ユーザを一意に識別する文字列または番号である。
【0054】
図5の例では、3つのトークグループが管理されており、具体的には、トークグループID:Group01のトークグループG1は、トークグループエリアが「(A,B)(C,D)」の対角座標で規定される。トークグループG1には、端末20-1~20-3の利用者である、ユーザID:User01~03が参加していることが記憶される。
同様に、トークグループID:Group02のトークグループG2は、トークグループエリアが「中心(E,F)半径100m」であり、座標(E,F)を中心とした半径100mの範囲内が設定される。トークグループG2には、ユーザID:UserJ,UserJ+1が参加していることが記憶される。
また同様に、トークグループID:Group03のトークグループG3は、トークグループエリアが「中心(G,H)半径200m」であり、座標(G,H)を中心とした半径200mの範囲内が設定される。トークグループG3には、ユーザID:UserK、UserK+1が参加していることが記憶される。
【0055】
次に、記憶部12に記憶される、動的に変化するユーザの情報を管理するための利用者管理テーブルの一例を図6に示す。
図6に示される利用者管理テーブル60は、ユーザID、IPアドレス、端末位置情報がそれぞれ対応付けられる。もちろん、利用管理者テーブルには、端末20から送信される情報データに含まれる項目が対応付けられてもよい。具体的には、ユーザID「User01」には、端末20-1のIPアドレスである「IPアドレス01」、及び端末位置情報である「端末位置情報01_12:00:00」が関連付けられている。端末位置情報は、所定間隔ごとに端末20-1から送信されるGPS情報(端末位置情報01に相当)が、タイムスタンプとともに関連付けられて時系列データとして記憶される。なお、記憶領域の節約のため、端末位置情報の時系列データは、一定期間を経過した端末位置情報は削除されてもよい。
【0056】
次に、情報処理装置のグループ切り替え処理について図7のフローチャートを参照して説明する。ここでは、1つの端末20について処理する例を示すが、各端末20について同時並行的に処理可能とする。
【0057】
ステップSB1では、取得部113が、端末20の端末位置情報を取得する。
ステップSB2では、判定部114が、端末20が現在所属するトークグループを変更するか否かを判定する。具体的には、判定部114が、端末位置情報に示される座標が、現在所属するトークグループのトークグループエリアの範囲に含まれない場合、端末20が現在所属するトークグループを変更すると判定する。端末20が現在所属するトークグループを変更すると判定された場合、ステップSB3に進み、トークグループを変更しないと判定された場合、ステップSB1に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0058】
ステップSB3では、判定部114が、端末位置情報を参照し、端末位置情報が属するトークグループエリアが存在するか否かを判定する。具体的には、判定部114が、端末位置情報の座標が、いずれかのトークグループエリアの範囲内に含まれれば、当該端末位置情報が当該トークグループエリアに属すると判定すればよい。端末位置情報が属するトークグループエリアが存在すれば、ステップSB4に進む。一方、端末位置情報が属するトークグループエリアが存在しなければ、ステップSB6に進む。
ステップSB4では、設定部115が、端末20が現在所属するトークグループから、新たなトークグループに変更する。
【0059】
ステップSB5では、例えば通信制御部116が、新たなトークグループに端末20の所属を変更した旨を当該端末20に通知する。端末20では、音声および画面表示の少なくとも一方の手法により、所属が変更された旨がユーザに通知されればよい。
一方、ステップSB6では、端末20が所属可能なトークグループが存在しないため、デフォルトのトークグループに所属を変更する。その後、ステップSB5に進み、デフォルトのトークグループに変更した旨を端末20に通知する。デフォルトのトークグループとしては、例えば、エリアに関係なく設定されるトークグループである。これにより、端末20を保持するユーザの移動に伴い、最適なトークグループの切り替えを実行できる。
【0060】
次に、具体的なトークグループの切り替え例について図8および図9を参照して説明する。
図8は、ユーザPの移動履歴の地図80上での表示例である。なお、図8に示す地図80は、処理サーバ10または端末20で表示されてもよい。、地図80上にトークグループエリア81およびトークグループエリア82が表示される。さらに、説明の便宜上、端末20を所持するユーザPが移動した履歴が端末位置情報に基づき地図上にプロットされる。
【0061】
図9は、記憶部12に記憶される、端末20が所属するトークグループの履歴を示すトークグループ履歴テーブル90である。トークグループ履歴テーブル90は、時間帯、所属トークグループ及びグループ切り替えがそれぞれ対応付けられたタイムテーブルであり、端末20が各時間帯でどのトークグループに所属していたかを把握できる。ここでは、5分おきに端末位置情報が処理サーバ10に送信されることを想定する。
【0062】
具体的に図8を参照すると、時刻「10:00:00」では、ユーザが地点Aに位置しており、地点Aが含まれるトークグループエリアは存在しない。よって、ユーザのトークグループは「デフォルト」に設定される。
続いて、時刻「10:05:00」では、ユーザが地点Bに位置しており、地点Bは、トークグループ1に含まれる。よって、ユーザのトークグループは「デフォルト」から「トークグループ1」に設定される。次に、時刻「10:10:00」では、ユーザが地点Cに位置しており、地点Cが含まれるトークグループエリアは存在しない。よって、ユーザのトークグループは「トークグループ1」から「デフォルト」に設定される。
最後に、時刻「10:15:00」では、ユーザが地点Dに位置しており、地点Dは、トークグループ2に含まれる。よって、ユーザのトークグループは「デフォルト」から「トークグループ2」に設定される。
【0063】
なお、ここでは、端末20から端末位置情報が5分おきに送信されることを想定しているため、「10:00:00」から次の端末位置情報が送信される「10:05:00」までの間は、「10:00:00」に設定されたトークグループに所属することになる。つまり、端末20の移動速度が速い場合、すでに所属するトークグループエリアの範囲外に移動している場合でも、端末位置情報が送信されていないために、当該トークグループの所属のままであることも想定される。反対に、新たなトークグループエリアの範囲内に移動していても、端末位置情報が送信されていないために、以前のトークグループの所属のままであることも想定される。
【0064】
よって、通信制御部116は、端末20を保持するユーザの移動速度が閾値以上である場合、端末20に対して、端末位置情報の送信間隔を短くする要求信号を送信し、送信間隔を短くする旨の要請をしてもよい。これにより、端末の移動に応じて最適なトークグループへの切り替えが実行でき、ユーザの利便性を向上させることができる。
なお、通信制御部116は、端末20が所属するトークグループの切り替え回数が閾値以上である場合、端末20に対して、端末位置情報の送信間隔を短くするように要請してもよい。具体的には、計測部117が、端末位置情報の履歴およびトークグループ履歴テーブル90を参照して、端末20の移動速度およびトークグループの切り替え回数を計測する。判定部114が、端末20の移動速度が閾値以上であるか否か、および、端末20のトークグループの切り替え回数が閾値以上である否かを判定する。その後、判定部114により端末20の移動速度が閾値以上である、及びトークグループの切り替え回数が閾値以上であるとの少なくともどちらか一方の判定があった場合、上述のように、端末20に対して、端末位置情報の送信間隔を短くするように要請すればよい。
【0065】
これにより、端末20が高速で移動している可能性があるため、端末位置情報の送信間隔を短くすることで、トークグループの切り替えの精度を向上させることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0066】
次に、端末20でのトークグループ切り替え通知の一例について図10を参照して説明する。
図10は、端末20に表示されるトーク画面100の一例である。ここでは、端末20に所属するトークグループですでにPTT通信が実施され、音声のテキストデータ101が表示されている場合を想定する。ここで、トークグループの変更があった場合、トークグループの変更通知102が端末20の画面に表示される。ここでは、「トークグループが変更されました! トークグループG1→トークグループG2」が表示されるとする。
その後は、例えば画面120のように新たなトーク画面が表示されてもよいし、画面140のように、以前のトークグループの表示と新たなトークグループの表示とを区別可能に表示してもよい。すなわち、端末20を保持するユーザが、トークグループが切り替わったことを認識できる態様であれば、どのように表示させてもよい。
【0067】
以上に示した本実施形態に係る情報処理装置によれば、端末から送信される端末位置情報とトークグループを規定するトークグループエリアとに基づいて、端末が属するトークグループを判定することで、端末を保持するユーザの移動に伴い、最適なトークグループの切り替えを実行できる。したがって、本実施形態に係る通信システム1、及び処理サーバ10によれば、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0068】
また、本実施形態では、処理サーバ10の記憶部12は、作成されたテキストデータを記憶する。テキスト化処理部118は、テキストデータを作成するとテキスト化が完了した旨を、トークグループG1に参加する端末20-1~20-3へ通知する。そして、テキスト化が完了した旨を通知した端末からテキストデータを要求する旨の通知があると、通信制御部116は、記憶部12に記憶されるテキストデータを、要求元の端末へ送信する。これにより、処理サーバ10は、端末20-1~20-mの記憶部22にテキストデータを記憶させなくても、テキストデータに基づく文字をディスプレイに表示させることが可能となる。このように、端末20-1~20-mではテキストデータが記憶されないため、情報の漏洩を防ぐことが可能となる。
【0069】
また、本実施形態では、処理サーバ10の通信制御部116は、テキスト化が完了した旨を通知した端末から、テキストデータに基づく文字の表示開始を要求する通知がある場合、記憶部12に記憶される過去の複数のテキストデータを、要求元の端末へ送信するようにしている。これにより、途中からトークグループに参加した場合、及び、音声の文字表示を通話の途中から始めた場合であっても、端末20-1~20-mの利用者は、通話の流れを文字で確認することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態では、処理サーバ10の記憶部12は、テキストデータを作成する際に用いた音声データを通話データとして記憶する。通信制御部116は、テキストデータを送信した端末20から、テキストデータと対応する音声の再生要求があると、記憶部12に記憶されている通話データのうち、再生が要求されたテキストデータと対応する通話データを、再生要求のあった端末へ送信するようにしている。これにより、端末20-1~20-mの利用者は、ディスプレイに表示される文字に対応する実際の通話を、任意のタイミングで聞くことが可能となる。また、ディスプレイに表示される文字に誤りがあっても正しい内容を確認することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態では、処理サーバ10のテキスト化処理部118は、テキスト化処理部118で作成されたテキストデータに対して翻訳処理を実施することで翻訳テキストデータを作成する。そして、通信制御部116は、作成された翻訳テキストデータを、トークグループG1に参加する端末20-1~20-3のうち、送信権を有する端末20-1と異なる言語が設定されている端末20-3へ送信するようにしている。これにより、トークグループに異なる言語を使用する利用者がいても、この利用者は、通話の内容を理解することが可能となる。すなわち、多言語間でのコミュニケーションを図ることが可能となる。
【0072】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
【符号の説明】
【0073】
1…通信システム、10…処理サーバ、11,21…処理部、12,22…記憶部、13,25…通信インタフェース、20,20-1~20-m…端末、23…入力インタフェース、24…出力インタフェース、26…GPS受信器、50・・・グループ管理テーブル、60・・・利用者管理テーブル、80・・・地図、81,82・・・トークグループエリア、90・・・トークグループ履歴テーブル、100・・・トーク画面、101・・・テキストデータ、102・・・変更通知、111…登録処理部、112…送信権付与部、113…取得部、114…判定部、115…設定部、116,211…通信制御部、120,140・・・画面、212…表示制御部、213…再生制御部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末を対応付けて1つのトークグループとし、前記トークグループに属するいずれかの端末から前記トークグループに属する他の端末への1対多の通信において用いられる情報処理装置であって、
1以上の前記トークグループと前記トークグループを規定するエリアに関する1以上のグループ位置情報との対応関係を記憶する記憶部と、
前記端末の位置に関する端末位置情報を取得する取得部と、
前記端末位置情報と前記対応関係とに基づき、前記端末が属すべきトークグループを判定する判定部と、
前記端末の属するトークグループを前記判定されたトークグループに切り替える設定部と、を具備し、
前記設定部は、前記端末位置情報に示される位置を含むグループ位置情報が存在しない場合、前記端末の属するトークグループをデフォルトのトークグループに切り替える、情報処理装置。
【請求項2】
複数の端末を対応付けて1つのトークグループとし、前記トークグループに属するいずれかの端末から前記トークグループに属する他の端末への1対多の通信において用いられる情報処理装置であって、
1以上の前記トークグループと前記トークグループを規定するエリアに関する1以上のグループ位置情報との対応関係を記憶する記憶部と、
前記端末の位置に関する端末位置情報を取得する取得部と、
前記端末位置情報と前記対応関係とに基づき、前記端末が属すべきトークグループを判定する判定部と、
前記端末の属するトークグループを前記判定されたトークグループに切り替える設定部と、
前記端末の移動速度および前記トークグループの切り替え回数を計測する計測部と、
前記移動速度および前記切り替え回数の少なくとも一方が閾値以上である場合、前記端末位置情報の送信間隔を現在の設定よりも短くする要求信号を前記端末に送信する通信制御部と
を具備する情報処理装置。
【請求項3】
前記設定部により前記トークグループの切り替えが実行された場合、前記端末に前記トークグループの切り替えがあったことを通知する通知部をさらに具備する、請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記端末から送信される音声データに基づいてテキストデータを作成するテキスト化処理部と、
前記トークグループごとに前記作成されたテキストデータを管理し、前記トークグループに属する複数の端末の少なくともいずれかへ前記テキストデータを送信する通信制御部と、をさらに具備する、請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記設定部により前記トークグループの切り替えが実行された場合、以前のトークグループの表示と新たなトークグループの表示とが前記端末において区別可能に表示される、請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数の端末を対応付けて1つのトークグループとし、前記トークグループに属するいずれかの端末から前記トークグループに属する他の端末への1対多の通信において用いられる情報処理方法であって、
1以上の前記トークグループと前記トークグループを規定するエリアに関する1以上のグループ位置情報との対応関係を記憶部に記憶し、
前記端末の位置に関する端末位置情報を取得し、
前記端末位置情報と前記対応関係とに基づき、前記端末が属すべきトークグループを判定し、
前記端末の属するトークグループを前記判定されたトークグループに切り替え、
前記端末位置情報に示される位置を含むグループ位置情報が存在しない場合、前記端末の属するトークグループをデフォルトのトークグループに切り替える、情報処理方法。
【請求項7】
複数の端末を対応付けて1つのトークグループとし、前記トークグループに属するいずれかの端末から前記トークグループに属する他の端末への1対多の通信において用いられる情報処理方法であって、
1以上の前記トークグループと前記トークグループを規定するエリアに関する1以上のグループ位置情報との対応関係を記憶部に記憶し、
前記端末の位置に関する端末位置情報を取得し、
前記端末位置情報と前記対応関係とに基づき、前記端末が属すべきトークグループを判定し、
前記端末の属するトークグループを前記判定されたトークグループに切り替え、
前記端末の移動速度および前記トークグループの切り替え回数を計測し、
前記移動速度および前記切り替え回数の少なくとも一方が閾値以上である場合、前記端末位置情報の送信間隔を現在の設定よりも短くする要求信号を前記端末に送信する、情報処理方法。
【請求項8】
複数の端末を対応付けて1つのトークグループとし、前記トークグループに属するいずれかの端末から前記トークグループに属する他の端末への1対多の通信において用いられる情報処理プログラムであって、
コンピュータを、
1以上の前記トークグループと前記トークグループを規定するエリアに関する1以上のグループ位置情報との対応関係を記憶する記憶手段と、
前記端末の位置に関する端末位置情報を取得する取得手段と、
前記端末位置情報と前記対応関係とに基づき、前記端末が属すべきトークグループを判定する判定手段と、
前記端末の属するトークグループを前記判定されたトークグループに切り替える設定手段として機能させるための情報処理プログラムであって、
前記設定手段は、前記端末位置情報に示される位置を含むグループ位置情報が存在しない場合、前記端末の属するトークグループをデフォルトのトークグループに切り替える、情報処理プログラム
【請求項9】
複数の端末を対応付けて1つのトークグループとし、前記トークグループに属するいずれかの端末から前記トークグループに属する他の端末への1対多の通信において用いられる情報処理プログラムであって、
コンピュータを、
1以上の前記トークグループと前記トークグループを規定するエリアに関する1以上のグループ位置情報との対応関係を記憶する記憶手段と、
前記端末の位置に関する端末位置情報を取得する取得手段と、
前記端末位置情報と前記対応関係とに基づき、前記端末が属すべきトークグループを判定する判定手段と、
前記端末の属するトークグループを前記判定されたトークグループに切り替える設定手段と、
前記端末の移動速度および前記トークグループの切り替え回数を計測する計測手段と、
前記移動速度および前記切り替え回数の少なくとも一方が閾値以上である場合、前記端末位置情報の送信間隔を現在の設定よりも短くする要求信号を前記端末に送信する通信制御手段として機能させるための情報処理プログラム。