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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005156
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】ウェハ研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 9/00 20060101AFI20250108BHJP
   B24B 17/04 20060101ALI20250108BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20250108BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20250108BHJP
   B24B 47/22 20060101ALI20250108BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20250108BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
B24B9/00 601H
B24B17/04 A
B24B49/12
B24B41/06 A
B24B47/22
B24B41/06 L
H01L21/68 F
H01L21/304 621E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105213
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】594002288
【氏名又は名称】株式会社BBS金明
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】川原 龍之介
【テーマコード(参考)】
3C034
3C049
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB73
3C034BB84
3C034BB93
3C034CA13
3C034CB01
3C034CB14
3C034DD10
3C034DD13
3C049AA03
3C049AA14
3C049AA16
3C049AA18
3C049AB03
3C049AB04
3C049AC02
3C049BA07
3C049BA14
3C049BB02
3C049BC01
3C049BC02
3C049CB01
5F057AA01
5F057AA19
5F057BA12
5F057BB03
5F057CA22
5F057DA02
5F057FA01
5F057FA17
5F057FA32
5F057FA33
5F057GA27
5F057GB02
5F057GB12
5F057GB31
5F131AA02
5F131BA43
5F131BB03
5F131CA18
5F131DA22
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB13
5F131DB14
5F131DB15
5F131DB72
5F131EB32
5F131EB35
5F131EB37
5F131KA14
5F131KA54
5F131KB04
5F131KB54
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】ノッチの位置決め精度を高める。
【解決手段】ウェハ研磨装置は、ウェハを搭載可能な位置決めステージと、前記位置決めステージに連結される電動モータと、前記ウェハを撮影するカメラと、を備える位置決めユニットを有する。前記ウェハ研磨装置は、前記電動モータおよび前記カメラを制御する制御システムを有する。前記制御システムは、前記カメラを制御して前記ウェハのシルエットを撮影し、前記シルエットの画像データに基づき前記電動モータを制御する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハのノッチを位置決めして研磨するウェハ研磨装置であって、
前記ウェハを搭載可能な位置決めステージと、前記位置決めステージに連結される電動モータと、前記位置決めステージに搭載された前記ウェハを撮影するカメラと、を備える位置決めユニットと、
前記位置決めユニットに通信可能に接続され、前記電動モータおよび前記カメラを制御する制御システムと、
を有し、
前記制御システムは、
前記カメラを制御して前記ウェハのシルエットを撮影し、
前記シルエットの画像データに基づき前記電動モータを制御する、
ウェハ研磨装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウェハ研磨装置において、
前記制御システムは、
前記電動モータを制御して前記位置決めステージの回転角度を変えながら、前記カメラを制御して前記ウェハのシルエットを撮影する第1ステップと、
前記シルエットの画像データに基づいて、前記ノッチを基準位置に移動させるために必要な前記位置決めステージの目標回転角度を算出する第2ステップと、
前記目標回転角度に基づいて前記電動モータを制御し、前記位置決めステージを回転させて前記ノッチを前記基準位置に移動させる第3ステップと、
を実行する、
ウェハ研磨装置。
【請求項3】
請求項2に記載のウェハ研磨装置において、
前記位置決めユニットは、
前記位置決めステージの下方に位置するステージ本体と、前記ステージ本体から上方に延びる複数の支持アームと、を備える仮置きステージと、
前記位置決めステージまたは前記仮置きステージに取り付けられ、前記位置決めステージまたは前記仮置きステージを上下に移動させるアクチュエータと、
を有し、
前記制御システムは、
前記第1ステップで得られる前記シルエットの画像データに前記ノッチが含まれていない場合に、
前記アクチュエータを制御して前記仮置きステージを前記位置決めステージに対して相対的に上昇させ、前記位置決めステージから前記仮置きステージに前記ウェハを移動させた状態のもとで、前記電動モータを制御して前記位置決めステージを規定角度で回転させ、
前記位置決めステージを前記規定角度で回転させた後に、前記アクチュエータを制御して前記仮置きステージを前記位置決めステージに対して相対的に下降させ、前記仮置きステージから前記位置決めステージに前記ウェハを移動させた状態のもとで、再び前記第1ステップを実行する、
ウェハ研磨装置。
【請求項4】
請求項1に記載のウェハ研磨装置において、
前記ウェハを搭載可能な研磨ステージと、前記ノッチを研磨可能な研磨ツールと、を備える研磨ユニットと、
前記ウェハを保持可能な保持部を備え、前記位置決めステージから前記研磨ステージに前記ウェハを搬送する搬送ハンドと、
を有する、
ウェハ研磨装置。
【請求項5】
請求項2に記載のウェハ研磨装置において、
前記ウェハを搭載可能な研磨ステージと、前記ノッチを研磨可能な研磨ツールと、を備える研磨ユニットと、
前記ウェハを保持可能な保持部を備え、前記位置決めステージから前記研磨ステージに前記ウェハを搬送する搬送ハンドと、
を有し、
前記制御システムは、
前記第3ステップの実行後に、前記位置決めステージに搭載されている前記ウェハを前記搬送ハンドに保持させた状態のもとで、前記カメラを制御して前記ウェハのシルエットを撮影する第4ステップを実行し、
前記第4ステップの実行後に、前記第4ステップで得られる前記シルエットの画像データに基づいて、前記ノッチと前記基準位置との位置ずれ量を算出する第5ステップを実行し、
前記第5ステップの実行後に、前記位置ずれ量に基づいて前記研磨ツールまたは前記研磨ステージを移動させる第6ステップを実行する、
ウェハ研磨装置。
【請求項6】
請求項1に記載のウェハ研磨装置において、
前記カメラは、撮像素子を備える本体部と、前記本体部に対向して配置される照明部と、を備える、
ウェハ研磨装置。
【請求項7】
請求項1に記載のウェハ研磨装置において、
前記カメラは、光導入口を遮蔽する閉位置と、前記光導入口を露出させる開位置と、に移動するカバー部材を備える、
ウェハ研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェハ研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造する際には、シリコンウェハ等のウェハに対して電子回路が形成される。また、ウェハの外縁部にはノッチが形成されており、ノッチには研磨加工が施されている(特許文献1参照)。なお、ウェハのノッチを研磨する際には、研磨ディスクや研磨ホイール等の研磨ツールが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-137328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、研磨ツールによるノッチの研磨精度を高めるためには、研磨ツールをノッチに対して精度良く接触させることが必要である。つまり、ノッチの研磨精度を高めるためには、ノッチの位置決め精度を高めることが重要となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によれば、ウェハ研磨装置は、ウェハを搭載可能な位置決めステージと、前記位置決めステージに連結される電動モータと、前記ウェハを撮影するカメラと、を備える位置決めユニットを有する。前記ウェハ研磨装置は、前記電動モータおよび前記カメラを制御する制御システムを有する。前記制御システムは、前記カメラを制御して前記ウェハのシルエットを撮影し、前記シルエットの画像データに基づき前記電動モータを制御する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、ノッチの位置決め精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態に係るウェハ研磨装置を示す図である。
図2】ウェハ研磨装置を構成する位置決めユニットの一例を示す図である。
図3図2の矢印3方向から位置決めユニットおよびその内部構造を示す図である。
図4】ウェハ研磨装置を構成する研磨ユニットの一例を示す図である。
図5図4の矢印5方向から研磨ユニットを示す図である。
図6図4の矢印6方向から研磨ユニットを示す図である。
図7図4の矢印7方向から研磨ユニットを示す図である。
図8】ウェハ研磨装置が備える制御システムの一例を示す図である。
図9】ノッチ研磨制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
図10】ノッチ研磨制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
図11A】ノッチ研磨制御の実行状況の一例を示す図である。
図11B】ノッチ研磨制御の実行状況の一例を示す図である。
図12A】ノッチ研磨制御の実行状況の一例を示す図である。
図12B】ノッチ研磨制御の実行状況の一例を示す図である。
図13A】カメラ本体によって撮影されたシルエットの画像データの一例を示す図である。
図13B】カメラ本体によって撮影されたシルエットの画像データの一例を示す図である。
図13C】カメラ本体によって撮影されたシルエットの画像データの一例を示す図である。
図14A】位置決めステージの爪部とウェハのノッチとの位置関係の一例を示す図である。
図14B】位置決めステージの爪部とウェハのノッチとの位置関係の一例を示す図である。
図15A】画像データにおける基準位置とノッチとの位置関係の一例を示す図である。
図15B】ノッチを基準位置に移動させた状態を示す図である。
図16A】画像データにおける基準位置とノッチとの位置関係の一例を示す図である。
図16B】研磨ディスクの位置を修正する際の状況の一例を示す図である。
図17】他実施形態に係るウェハ研磨装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一または実質的に同一の構成や要素については、同一の符号を付して繰り返しの説明を省略する。
【0009】
<第1実施形態>
<ウェハ研磨装置>
図1は本開示の一実施形態に係るウェハ研磨装置20を示す図である。なお、図1図5図7図15A図16Aおよび図16Bの各図面に、矢印Xを用いて示したX方向は、後述するガイドレール65に沿う方向である。また、図1図2図4図6図7図15A図16Aおよび図16Bの各図面に、矢印Yを用いて示したY方向は、後述するガイドレール89に沿う方向であり、X方向に対して直交する方向である。また、図1図6の各図面に矢印Zを用いて示したZ方向は、鉛直方向であり、X方向およびY方向の双方に対して直交する方向である。
【0010】
図1に示すように、ウェハ研磨装置20は、半導体デバイスの材料であるウェハ10を位置決めする位置決めユニット21と、ウェハ10に形成されたノッチ11を研磨する研磨ユニット22と、を有している。ウェハ研磨装置20を用いることにより、ウェハ10のノッチ11を位置決めすることができ、ノッチ11を研磨ディスク23によって研磨することができる。つまり、位置決めユニット21によってウェハ10の位置決めが実行され(矢印a1)、搬送ハンド24によってウェハ10が位置決めユニット21から研磨ユニット22に移動され(矢印a2)、研磨ユニット22によってノッチ11の研磨加工が実行される(矢印a3)。なお、後述する図7の拡大部分に示すように、ウェハ10の外縁部12には略V字状のノッチ11が形成されており、このノッチ11が研磨ユニット22の研磨ディスク23によって研磨される。
【0011】
<位置決めユニット>
図2はウェハ研磨装置20を構成する位置決めユニット21の一例を示す図であり、図3図2の矢印3方向から位置決めユニット21およびその内部構造を示す図である。なお、図2の範囲βには、上下を反転させたハウジング50およびその近傍が示されている。また、図2には支持台30を省いた状態の位置決めユニット21が示されており、図3には支持台30を含めた状態の位置決めユニット21が示されている。
【0012】
図3に示すように、位置決めユニット21は、支持台30に取り付けられるユニット本体31を有している。ユニット本体31は、ウェハ10を搭載可能な位置決めステージ33と、ウェハ10を搭載可能な仮置きステージ35と、を有している。位置決めステージ33にはステージ回転モータ(電動モータ)32が連結されており、仮置きステージ35にはエアシリンダ34が連結されている。位置決めステージ33と仮置きステージ35とは同心上に配置されており、双方のステージ33,35の中心線は互いに一致している。図2および図3に示すように、位置決めステージ33は、ステージ回転モータ32に回転軸36を介して連結される環状のステージ本体37と、ステージ本体37の外周部に取り付けられる複数の爪部38と、を有している。ステージ回転モータ32を駆動することにより、中心線C1を回転中心として位置決めステージ33を回転させることができる。
【0013】
仮置きステージ35は、エアシリンダ(アクチュエータ)34にガイドロッド40を介して連結される略三角形状のステージ本体41と、ステージ本体41から上方に延びる複数の支持アーム42と、を有している。この支持アーム42の先端には、爪部43が取り付けられている。図3に矢印Za1で示すように、エアシリンダ34のピストンロッド34aを縮めることにより、退避位置Pa1に向けて仮置きステージ35を下方に移動させることができる。仮置きステージ35を退避位置Pa1に移動させることにより、仮置きステージ35の爪部43は位置決めステージ33の爪部38よりも下方に配置される。一方、矢印Za2で示すように、エアシリンダ34のピストンロッド34aを伸ばすことにより、突出位置Pa2に向けて仮置きステージ35を上方に移動させることができる。仮置きステージ35を突出位置Pa2に移動させることにより、仮置きステージ35の爪部43は位置決めステージ33の爪部38よりも上方に配置される。
【0014】
なお、図示する例では、エアシリンダ34を用いて仮置きステージ35を上下させているが、これに限られることはなく、エアシリンダ34を用いて位置決めステージ33を上下させても良い。つまり、位置決めユニット21は、仮置きステージ35を位置決めステージ33に対して相対的に上昇させることができ、かつ仮置きステージ35を位置決めステージ33に対して相対的に下降させることができる機構を有していれば良い。すなわち、エアシリンダ34を用いて位置決めステージ33を上方に移動させた場合、つまり仮置きステージ35を位置決めステージ33に対して相対的に下降させた場合であっても、仮置きステージ35を退避位置Pa1に移動させた場合と同様に、位置決めユニット21を動作させることができる。また、エアシリンダ34を用いて位置決めステージ33を下方に移動させた場合、つまり仮置きステージ35を位置決めステージ33に対して相対的に上昇させた場合であっても、仮置きステージ35を突出位置Pa2に移動させた場合と同様に、位置決めユニット21を動作させることができる。
【0015】
図3に示すように、位置決めユニット21のユニット本体31には、カメラ本体(本体部)45および撮影ライト(照明部)46からなるカメラアセンブリ(カメラ)44が取り付けられている。ユニット本体31に搭載されたベース部材47には撮影ライト46が取り付けられており、この撮影ライト46は位置決めステージ33のステージ本体37よりも下方に位置している。また、ベース部材47には、支柱48およびブラケット49を介してハウジング50が取り付けられている。ハウジング50にはカメラ本体45が収容されており、カメラ本体45は位置決めステージ33のステージ本体37よりも上方に位置している。また、カメラ本体45と撮影ライト46とは、互いに対向して配置されている。さらに、カメラ本体45は、光導入口45a、レンズ45bおよびイメージセンサ(撮像素子)45cを備えている。イメージセンサ45cとして、例えば、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサを用いることができる。なお、後述するように、位置決めステージ33に対してウェハ10を載せるとともに撮影ライト46を点灯させることにより、カメラ本体45を用いてウェハ10のシルエットを撮影することができる。
【0016】
また、ハウジング50を保持するブラケット49には、出力ロッド51aを伸縮および回転させるロータリアクチュエータ51が取り付けられている。ロータリアクチュエータ51の出力ロッド51aには、スイングアーム52を介してレンズカバー(カバー部材)53が取り付けられている。ロータリアクチュエータ51を駆動することにより、図2および図3に矢印αで示すように、レンズカバー53を移動させることができる。つまり、図3に示すように、レンズカバー53を、カメラ本体45の光導入口45aを遮蔽する閉位置Pb1と、カメラ本体45の光導入口45aを露出させる開位置Pb2と、に移動させることができる。なお、図示するロータリアクチュエータ51は、電動モータによって駆動されるアクチュエータであるが、これに限られることはなく、例えば、空気圧によって駆動されるアクチュエータであっても良い。
【0017】
<研磨ユニット>
図4はウェハ研磨装置20を構成する研磨ユニット22の一例を示す図である。図5図4の矢印5方向から研磨ユニット22を示す図であり、図6図4の矢印6方向から研磨ユニット22を示す図であり、図7図4の矢印7方向から研磨ユニット22を示す図である。なお、図4および図7には支持台62,86および搬送ハンド24を省いた状態の研磨ユニット22が示されており、図5および図6には支持台62,86および搬送ハンド24を含めた状態の研磨ユニット22が示されている。
【0018】
図4に示すように、研磨ユニット22は、研磨ステージ74を駆動するステージ駆動部60と、研磨ディスク23を駆動するディスク駆動部61と、を有している。図5および図6に示すように、ステージ駆動部60は、支持台62に形成された開口部63の内側に配置されるコラム64を有している。支持台62の上面にはX方向に延びるガイドレール65が取り付けられており、コラム64にはスライダ66が取り付けられている。スライダ66はガイドレール65に対して移動可能に取り付けられており、コラム64は支持台62に対してX方向に移動可能となっている。また、ステージ駆動部60のコラム64には、研磨液を供給するためのノズル67が取り付けられている。
【0019】
図4図7に示すように、ステージ駆動部60のコラム64は、研磨ステージ74を傾斜させる傾斜機構70を有している。図5および図6に示すように、傾斜機構70は、コラム64の下部に取り付けられるステージ傾斜モータ71と、コラム64の上部に揺動可能に取り付けられるスイングアーム72と、ステージ傾斜モータ71とスイングアーム72とを連結する駆動ベルト73と、を有している。また、傾斜機構70のスイングアーム72には、ウェハ10を搭載可能な研磨ステージ74が取り付けられている。傾斜機構70は、ステージ傾斜モータ71を所定角度で回転させてスイングアーム72を揺動させることにより、中心線C2を回転中心として研磨ステージ74を上下に傾斜させることができる。
【0020】
図7に示すように、ステージ駆動部60は、研磨ステージ74のステージ本体75に固定される保持爪75aと、ステージ本体75に移動可能に取り付けられる保持爪75bと、を有している。また、ステージ本体75は、保持爪75bに連結されるエアシリンダ76を有している。矢印Xa1で示すように、エアシリンダ76のピストンロッド76aを伸ばすことにより、保持爪75aから離れる解除位置に保持爪75bを移動させることができる。一方、矢印Xa2で示すように、エアシリンダ76のピストンロッド76aを縮めることにより、保持爪75aに近づく保持位置に保持爪75bを移動させることができる。なお、研磨ステージ74にウェハ10を搬送した状態のもとで、エアシリンダ76を縮めて保持爪75bを保持位置に移動させることにより、研磨ステージ74によってウェハ10を保持つまりクランプすることができる。一方、エアシリンダ76を伸ばして保持爪75bを解除位置に移動させることにより、研磨ステージ74によるウェハ10のクランプを解除することができる。
【0021】
図5および図6に示すように、支持台62の下面にはX方向に延びるネジ軸80が取り付けられており、このネジ軸80はX軸モータ81によって回転駆動される。ネジ軸80にはボールネジを構成するナット82が取り付けられおり、ナット82にはブラケット83を介してエアシリンダ84のシリンダ本体84aが取り付けられている。また、コラム64の下部には貫通孔を備えたブラケット85が取り付けられており、ブラケット85にはエアシリンダ84のシリンダ本体84aが取り付けられている。さらに、ブラケット85の貫通孔にはエアシリンダ84のピストンロッド84bが挿入されており、ピストンロッド84bはコラム64の下部に突き当てられている。
【0022】
研磨ユニット22を構成するディスク駆動部61は、支持台86に形成された開口部87の内側に配置されるコラム88を有している。支持台86の上面にはY方向に延びるガイドレール89が取り付けられており、コラム88のベースプレート90にはスライダ91が取り付けられている。スライダ91はガイドレール89に対して移動可能に取り付けられており、コラム88は支持台86に対してY方向に移動可能となっている。また、ベースプレート90の上方にはY方向に延びるネジ軸92が配置されており、このネジ軸92は支持台86に取り付けられたY軸モータ93によって回転駆動される。ネジ軸92にはボールネジを構成するナット94が取り付けられおり、ナット94はベースプレート90に取り付けられている。Y軸モータ93を回転駆動することにより、ディスク駆動部61のコラム88をY方向に移動させることができる。
【0023】
また、コラム88の上部には、ディスク回転モータ95が取り付けられており、コラム88の下部には、2つの研磨ディスク(研磨ツール)23,96を支持する回転軸97が取り付けられている。ディスク回転モータ95と回転軸97とは駆動ベルト98を介して連結されており、ディスク回転モータ95によって研磨ディスク23,96を回転させることができる。なお、図6に示した例では、研磨ディスク23がウェハ10のノッチ11に対向していることから、研磨ディスク23を用いてノッチ11を研磨することができる。また、研磨ディスク23が摩耗した場合等には、Y軸モータ93を駆動してコラム88を矢印Ya1方向に移動させることにより、研磨ディスク96をウェハ10のノッチ11に対向させることができる。このように、研磨ディスク96をノッチ11に対向させることにより、研磨ディスク96を用いてノッチ11を研磨することができる。なお、ノッチ11を研磨可能な研磨ディスク23,96は、不織布等を用いて形成することが可能である。
【0024】
図5に示すように、ステージ駆動部60のコラム64は、研磨ステージ74に保持されたウェハ10を研磨するための研磨位置Pc1と、研磨ステージ74からウェハ10を脱着するための準備位置Pc2と、に移動可能である。つまり、X軸モータ81を駆動してブラケット83を矢印Xb1方向に移動させることにより、ステージ駆動部60のコラム64を研磨位置Pc1に移動させることができ、研磨ステージ74を研磨ディスク23に近づけることができる。また、X軸モータ81を駆動してブラケット83を矢印Xb2方向に移動させることにより、ステージ駆動部60のコラム64を準備位置Pc2に移動させることができ、研磨ステージ74を研磨ディスク23から離すことができる。なお、図4図6および図7には、研磨位置Pc1に移動するコラム64および研磨ステージ74が示されている。
【0025】
前述したように、ステージ駆動部60のコラム64を研磨位置Pc1に移動させることにより、ウェハ10のノッチ11に対して研磨ディスク23を接触させることができ、回転する研磨ディスク23によってウェハ10のノッチ11を研磨することができる、ここで、図5に示すように、ブラケット83,85間にはエアシリンダ84が取り付けられており、コラム64の下部はエアシリンダ84によって矢印Xb1方向に所定の推力で付勢される。これにより、研磨ディスク23によってウェハ10を研磨する際には、エアシリンダ84の推力を制御することにより、ウェハ10に対する研磨ディスク23の押し付け荷重を制御することができる。
【0026】
<搬送ハンド>
図1図5および図6に示すように、ウェハ研磨装置20は、X方向、Y方向およびZ方向に移動可能な搬送ハンド24を有している。このウェハ10を保持可能な搬送ハンド24を用いることにより、位置決めステージ33から研磨ステージ74にウェハ10を移動させることができ、研磨ステージ74から図示しない次工程のステージにウェハ10を移動させることができる。また、後述の図11Aに示されるように、ウェハ研磨装置20は、図示しない前工程のステージから位置決めステージ33にウェハ10を移動させるため、搬送ハンド24と同様の機構を備えた搬送ハンド100を有している。
【0027】
搬送ハンド24,100は、一対のスライドプレート101,102からなるハンド部(保持部)103を有している。スライドプレート101は2つの保持具101aを備えており、スライドプレート102は2つの保持具102aを備えている。スライドプレート101,102を互いに近づけることにより、保持具101a,102aによってウェハ10の外縁部12をクランプすることができる。一方、スライドプレート101,102を互いに離すことにより、保持具101a,102aによるウェハ10のクランプを解除することができる。なお、スライドプレート101,102を動作させるため、搬送ハンド24,100には図示しない電動モータおよびエアシリンダが設けられている。
【0028】
<制御システム>
図8はウェハ研磨装置20が備える制御システム110の一例を示す図である。図8に示すように、ウェハ研磨装置20は、位置決めユニット21、研磨ユニット22および搬送ハンド24,100を制御するため、各デバイスに通信可能に接続される複数の制御ユニット111~114からなる制御システム110を有している。制御ユニット111~114は、有線や無線の通信ネットワーク115を介して互いに通信可能に接続されている。なお、制御ユニット111~114は、プロセッサおよびメインメモリ等が組み込まれたマイクロコントローラ111a~114aを有している。メインメモリには所定のプログラムが格納されており、プロセッサによってプログラムの命令セットが実行される。
【0029】
制御ユニット111~114は、電動モータ等の各種デバイスに対して制御信号を出力する駆動回路111b~114b等を有している。つまり、制御ユニット111は、位置決めユニット21を制御するため、ステージ回転モータ32、カメラアセンブリ44、ロータリアクチュエータ51およびエア供給部116等に対して制御信号を出力する。また、制御ユニット112は、研磨ユニット22を制御するため、X軸モータ81、ステージ傾斜モータ71、Y軸モータ93、ディスク回転モータ95、エア供給部117および研磨液供給部118等に対して制御信号を出力する。また、制御ユニット113は、搬送ハンド24に設けられる電動モータ等に制御信号を出力し、制御ユニット114は、搬送ハンド100に設けられる電動モータ等に制御信号を出力する。なお、ステージ回転モータ32、X軸モータ81、ステージ傾斜モータ71およびY軸モータ93として、サーボモータを用いることが可能である。
【0030】
エア供給部116は、エアシリンダ34に接続される図示しない制御バルブ等によって構成される。このエア供給部116を用いてエアシリンダ34に供給される空気圧を制御することにより、ピストンロッド34aの伸縮方向および推力を制御することができる。また、エア供給部117は、エアシリンダ84に接続される図示しない制御バルブ等によって構成される。このエア供給部117を用いてエアシリンダ84に供給される空気圧を制御することにより、ピストンロッド84bの推力を制御することができる。さらに、研磨液供給部118は、ノズル67に接続される図示しない制御バルブおよびポンプ等によって構成される。この研磨液供給部118を用いて研磨液の供給量等を制御することにより、研磨液の供給状態を制御することが可能である。
【0031】
<ノッチ研磨制御>
続いて、制御システム110によるノッチ研磨制御の実行手順について説明する。図9および図10はノッチ研磨制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。図9および図10に示したフローチャートは、符号Aの箇所で互いに接続されている。また、図11A図11B図12Aおよび図12Bはノッチ研磨制御の実行状況の一例を示す図である。
【0032】
図9に示すように、制御システム110は、ステップS10に進み、搬送ハンド24を制御して位置決めステージ33にウェハ10を移動する。また、制御システム110は、ステップ(第1ステップ)S11に進み、ステージ回転モータ32を制御して位置決めステージ33を回転させながら、カメラ本体45を制御して所定の回転角度毎にウェハ10のシルエットを撮影する。つまり、図11Aに示すように、制御システム110は、搬送ハンド100によってウェハ10を位置決めステージ33に向けて移動させ(矢印α1)、図11Bに示すように位置決めステージ33にウェハ10を搭載する。また、図11Bに示すように、制御システム110は、位置決めステージ33を回転させながら(矢印α2)、カメラ本体45によって所定範囲のシルエットを撮影する(符号α3)。ここで、図13A図13Bおよび図13Cは、カメラ本体45によって撮影されたシルエットの画像データの一例を示す図である。図13A図13Cに示すように、所定の回転角度毎にウェハ10の外縁部12のアウトラインが撮影される。
【0033】
このように、制御システム110は、ステップS11において、ステージ回転モータ32を制御して位置決めステージ33の回転角度を変えながら、カメラアセンブリ44を制御してウェハ10のシルエットを撮影する。また、ステップS11において、制御システム110は、ウェハ10の外縁部12を全周に亘って撮影するため、少なくとも1回転(360°)を超えるように位置決めステージ33を回転させる。さらに、ステップS11においては、ウェハ10の外縁部12の全てを撮影するため、画角に基づいてカメラ本体45の撮影間隔つまり撮影する回転角度が定められている。なお、飛散する研磨液等からカメラ本体45を保護するため、制御システム110は、ステップS11を開始する際にレンズカバー53を開位置Pb2に移動させ、ステップS11を終了する際にレンズカバー53を閉位置Pb1に移動させる。
【0034】
続いて、制御システム110は、ステップS12に進み、ステップS11で得られた複数の画像データにエッジ検出等のフィルタ処理を施し、画像データの何れかにノッチ11が含まれているか否かを判定する。制御システム110は、ステップS12において全ての画像データにノッチ11が含まれていないと判定すると、ステップS13に進む。ここで、図14Aおよび図14Bは、位置決めステージ33の爪部38とウェハ10のノッチ11との位置関係の一例を示す図である。図14Aに示すように、爪部38とノッチ11とが互いに離れていた場合には、ノッチ11が含まれたシルエットの画像データを得ることができる。一方、図14Bに示すように、爪部38とノッチ11とが互いに重なっていた場合には、ノッチ11が含まれたシルエットの画像データを得ることができない。なお、ノッチ11が仮置きステージ35の爪部43に重なっていた場合にも、ノッチ11が含まれたシルエットの画像データを得ることができない。
【0035】
すなわち、ステップS11で得られた全ての画像データが、前述の図13Bおよび図13Cに示すような画像データである場合には、ステップS12において画像データにノッチ11が含まれていないと判定される。制御システム110は、ステップS12において画像データにノッチ11が含まれていないと判定すると、ステップS13に進んで仮置きステージ35を上昇させ、ステップS14に進んで位置決めステージ33を所定角度で回転させ、ステップS15に進んで仮置きステージ35を下降させる。
【0036】
すなわち、制御システム110は、エアシリンダ34を制御して仮置きステージ35を上昇させ、位置決めステージ33から仮置きステージ35にウェハ10を移動させた状態のもとで、ステージ回転モータ32を制御して位置決めステージ33を規定角度で回転させる。また、制御システム110は、位置決めステージ33を規定角度で回転させた後に、エアシリンダ34を制御して仮置きステージ35を下降させ、仮置きステージ35から位置決めステージ33にウェハ10を移動させる。このように、位置決めステージ33によるウェハ10の搭載位置が変更され、ノッチ11と爪部38,43との重なりが解消されると、再びステップS11に進みウェハ10のシルエットが撮影される。なお、位置決めステージ33を回転させる際の規定角度は、爪部38,43からノッチ11が離れるように、爪部38,43の幅寸法や設置間隔等に基づき予め規定されている。
【0037】
制御システム110は、ステップS12において画像データにノッチ11が含まれていると判定すると、ステップ(第2ステップ)S16に進み、画像データに基づいてノッチ11を基準位置Pnに移動させるために必要な位置決めステージ33の目標回転角度θxを算出する。例えば、制御システム110は、以下の手順に従って、位置決めステージ33の目標回転角度θxを算出することが可能である。なお、図15Aおよび図15Bに示されるように、ノッチ11の基準位置Pnとは、ノッチ11の中心Cn(以下、ノッチ中心Cnと記載する。)が基準平面PL1に重なる位置である。また、基準平面PL1とは、位置決めステージ33の中心線C1を含み、且つX方向に一致または平行となる平面である。
【0038】
図15Aは画像データD1における基準位置Pnとノッチ11との位置関係の一例を示す図であり、図15Bはノッチ11を基準位置Pnに移動させた状態を示す図である。図15Aに示すように、制御システム110は、ノッチ11が含まれた画像データD1を抽出するとともに、画像データD1が撮影された位置決めステージ33の回転角度θ1を取得する。次いで、制御システム110は、ノッチ中心Cnおよび中心線C1を含む仮想平面PL2を算出し、基準平面PL1と仮想平面PL2とのなす角度θ2を算出する。そして、制御システム110は、位置決めステージ33の回転角度θ1から角度θ2を減算し、位置決めステージ33の目標回転角度θx(θx=θ1-θ2)を算出する。なお、本実施形態においては、位置決めステージ33の回転角度について、時計回りをプラスの値と規定し、反時計回りをマイナスの値と規定している。
【0039】
制御システム110は、ステップS16において目標回転角度θxを算出すると、ステップ(第3ステップ)S17に進み、目標回転角度θxに基づいて位置決めステージ33を回転させる。これにより、図15Bに示すように、ノッチ11が基準位置Pnに移動した状態、つまりノッチ中心Cnと基準位置Pnとが互いに重なった状態となる。このように、制御システム110は、カメラ本体45によって撮影された画像データに基づき位置決めステージ33の目標回転角度θxを算出し、目標回転角度θxに基づきステージ回転モータ32を制御して位置決めステージ33を回転させる。すなわち、制御システム110は、カメラアセンブリ44を制御してウェハ10のシルエットを撮影し、シルエットの画像データに基づきステージ回転モータ32を制御する。これにより、ノッチ11の位置決め精度を飛躍的に高めることができる。
【0040】
制御システム110は、ステップS17において目標回転角度θxに基づき位置決めステージ33を回転させると、図10に示すように、ステップS18に進む。制御システム110は、ステップS18に進んで位置決めステージ33上のウェハ10を搬送ハンド24によってクランプし、ステップ(第4ステップ)S19に進んで搬送ハンド24にクランプされたウェハ10のシルエットを撮影する。つまり、図11Bに示すように、制御システム110は、搬送ハンド24aを位置決めステージ33に向けて移動させ(矢印α4)、図12Aに示すように、位置決めステージ33上のウェハ10をクランプしながら所定範囲のシルエットを撮影する(符号α5)。なお、飛散する研磨液等からカメラ本体45を保護するため、制御システム110は、ステップS19を開始する際にレンズカバー53を開位置Pb2に移動させ、ステップS19を終了する際にレンズカバー53を閉位置Pb1に移動させる。
【0041】
続いて、制御システム110は、ステップ(第5ステップ)S20に進み、ステップS19で得られた画像データにエッジ検出等のフィルタ処理を施し、基準位置Pnに対するノッチ11の位置ずれ量Δyを算出する。つまり、前述のステップS17において、ノッチ11を基準位置Pnに移動させているが、搬送ハンド24によってウェハ10をクランプする際に、ノッチ11が基準位置Pnから若干ずれてしまう虞がある。そこで、制御システム110は、ステップS20において基準位置Pnに対するノッチ11の位置ずれ量Δyを算出している。
【0042】
制御システム110は、ステップS20においてノッチ11の位置ずれ量Δyを算出すると、ステップS21に進み、搬送ハンド24によってウェハ10を位置決めステージ33から研磨ステージ74に移動する。続いて、制御システム110は、ステップ(第6ステップ)S22に進み、位置ずれ量Δyに基づいてY軸モータ93を制御することにより、コラム64つまり研磨ディスク23の位置を修正する。そして、制御システム110は、ステップS23に進み、研磨ディスク23を回転させるとともに研磨ステージ74を移動させ、研磨ディスク23によってウェハ10のノッチ11を研磨する。なお、ステップS23においては、ノッチ11のベベル面やチャンファ面を適切に研磨するため、研磨ステージ74を傾斜させながらノッチ研磨が行われる。また、制御システム110は、ステップS23においてノッチ研磨が完了すると、ステップS24に進み、図示しない搬送ハンドによって研磨ステージ74から次工程のステージにウェハ10を移動させる。
【0043】
つまり、制御システム110は、図12Aに示すように、搬送ハンド24aによってウェハ10を位置決めステージ33から研磨ステージ74に向けて移動させ(矢印α6)、図12Bに示すように、位置ずれ量Δyに基づいて研磨ディスク23の位置を修正する(矢印α7)。そして、制御システム110は、研磨ディスク23を回転させ(矢印α8)、研磨ステージ74を移動させる(矢印α9)。これにより、研磨ディスク23に対してノッチ11を精度良く接触させることができ、研磨ディスク23によってノッチ11を高精度に研磨することができる。
【0044】
図16Aは画像データD2における基準位置Pnとノッチ11との位置関係の一例を示す図であり、図16Bは研磨ディスク23の位置を修正する際の状況の一例を示す図である。図16Aに示すように、制御システム110は、ステップS19で得られた画像データD2に基づいて、ノッチ中心Cnを含み且つ基準平面PL1に平行となる仮想平面PL3を算出し、基準平面PL1と仮想平面PL3との間隔Δyを算出する。この間隔Δyは、Y方向における基準位置Pnとノッチ中心Cnとの差分であり、前述した位置ずれ量Δyである。そして、図16Bに示すように、制御システム110は、矢印Yb1方向に位置ずれ量Δyと同じ移動量で、ディスク駆動部61のコラム64つまり研磨ディスク23を移動させる。
【0045】
搬送ハンド24は、ウェハ10を回転させることが無いため、位置決めステージ33での位置決め精度を維持したまま、位置決めステージ33から研磨ステージ74にウェハ10を移動させることが可能である。しかしながら、搬送ハンド24は、保持具101a,102aで挟み込んでウェハ10をクランプする構造であることから、ウェハ10をクランプする際にウェハ10を若干ずらしてしまう虞がある。そこで、制御システム110は、ステップS19で得られた画像データD2に基づいて位置ずれ量Δyを算出し、この位置ずれ量Δyに基づいて研磨ディスク23の位置を修正している。これにより、搬送ハンド24がウェハ10を保持する際に、基準位置Pnからノッチ中心Cnがずれた場合であっても、研磨ディスク23とノッチ11とを適切に対向させることができ、ノッチ11の研磨精度を高めることができる。
【0046】
<第2実施形態>
図1に示した例では、ウェハ研磨装置20は、位置決めステージ33においてウェハ10を位置決めした後に、位置決めステージ33から研磨ステージ74にウェハ10を移動させ、研磨ステージ74においてウェハ10のノッチ11を研磨しているが、これに限られることはない。つまり、位置決めステージ33を研磨ステージ74として機能させることにより、位置決めステージ33に搭載したままウェハ10のノッチ11を研磨しても良い。
【0047】
図17は他実施形態に係るウェハ研磨装置120を示す図である。なお、図17において、図1に示した部品や部位と同様の部品や部位については、同一の符号を付してその説明を省略する。図17に示すように、ウェハ研磨装置120は、ウェハ10を位置決めする位置決めユニット21と、研磨ディスク23,96を駆動するディスク駆動部61と、を有している。なお、ディスク駆動部61には、Y方向に移動させるための機構が組み込まれている。
【0048】
ウェハ研磨装置120は、位置決めユニット21を用いてウェハ10を位置決めした後に、位置決めステージ33に搭載された状態のウェハ10を研磨することが可能である。これにより、位置決め完了後にウェハ10を移動させることが無いため、研磨ディスク23とノッチ11とを高精度に対向させることができ、研磨ディスク23によるノッチ11の研磨精度を高めることができる。
【0049】
<他の実施形態>
本開示は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前述の説明では、位置ずれ量Δyに基づいて、ディスク駆動部61のコラム64つまり研磨ディスク23を移動させているが、これに限られることはなく、位置ずれ量Δyに基づいて、ステージ駆動部60のコラム64つまり研磨ステージ74を移動させても良い。この場合には、Y方向に移動させるための機構を、ステージ駆動部60に組み込むことは言うまでもない。また、前述の説明では、研磨ツールとして研磨ディスク23,96を用いているが、これに限られることはなく、研磨ツールとして略円柱形状の研磨ホイールを用いても良く、研磨ツールとして研磨テープを用いても良い。
【0050】
前述の説明では、複数の制御ユニット111~114によって制御システム110を構成しているが、これに限られることはなく、1つの制御ユニットによって制御システム110を構成しても良い。また、図示する例では、位置決めステージ33の爪部38にウェハ10を載せているが、これに限られることはなく、位置決めステージ33によってウェハ10をクランプする構造であっても良く、位置決めステージ33にウェハ10を吸着させる構造であっても良い。また、図示する例では、研磨ステージ74の保持爪75a,75bによってウェハ10をクランプしているが、これに限られることはなく、研磨ステージ74にウェハ10を吸着させる構造であっても良い。
【0051】
前述の説明では、ウェハ10のシルエットを撮影する際に、1回転(360°)を超えるように位置決めステージ33を回転させているが、これに限られることはない。例えば、図13Aに示すように、ノッチ11のシルエットを含む画像データが得られたタイミングで、位置決めステージ33の回転を停止させても良い。また、前述の説明では、ステップS16において、基準平面PL1と仮想平面PL2とのなす角度θ2を算出し、この角度θ2を用いて位置決めステージ33の目標回転角度θxを算出しているが、これに限られることはない。例えば、図15Aに示す画像データが得られた場合に、Y方向におけるノッチ中心Cnと基準位置Pnとの位置ずれ量を算出し、この位置ずれ量に基づき位置決めステージ33の目標回転角度θxを算出しても良い。さらに、ウェハ研磨装置20,120は、カメラ本体45によってノッチ11のシルエットを撮影することができるため、ノッチ11を位置決めするだけでなくノッチ11の研磨形状を管理することも可能である。つまり、研磨ディスク23によってノッチ11を研磨した後に、再びノッチ11のシルエットを撮影することにより、ウェハ毎にノッチ11の研磨形状を管理することができる。
【符号の説明】
【0052】
10…ウェハ、11…ノッチ、20…ウェハ研磨装置、21…位置決めユニット、22…研磨ユニット、23…研磨ディスク(研磨ツール)、24…搬送ハンド、32…ステージ回転モータ(電動モータ)、33…位置決めステージ、34…エアシリンダ(アクチュエータ)、35…仮置きステージ、41…ステージ本体、44…カメラアセンブリ(カメラ)、45…カメラ本体(本体部)、45a…光導入口、45c…イメージセンサ(撮像素子)、46…撮影ライト(照明部)、53…レンズカバー(カバー部材)、95…ディスク回転モータ、96…研磨ディスク(研磨ツール)、103…ハンド部(保持部)、110…制御システム、120…ウェハ研磨装置、S11…第1ステップ、S16…第2ステップ、S17…第3ステップ、S19…第4ステップ、S20…第5ステップ、S22…第6ステップ、Pn…基準位置、θx…目標回転角度、D1,D2…画像データ、Δy…位置ずれ量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17