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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005164
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】施解錠システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20250108BHJP
   H04L 9/14 20060101ALI20250108BHJP
   H04L 9/08 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
E05B49/00 L
H04L9/14
H04L9/08 E
E05B49/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105224
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000147442
【氏名又は名称】株式会社WEST inx
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲つる▼田 博一
(72)【発明者】
【氏名】勝部 博行
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA01
2E250BB04
2E250CC06
2E250CC11
2E250DD07
2E250EE02
2E250EE17
2E250FF11
2E250GG05
(57)【要約】
【課題】 防犯性が高く、且つ電池の消耗も少なく通信設備が不要な施解錠システムを提供する。
【解決手段】 解錠暗号に関連する情報を有する二次元コードを作成する解錠コード作成装置と、錠とを有する施解錠システムであって、前記解錠暗号は、錠を解錠する時期に関連する時期情報と、対象となる錠を特定する対象情報と、特定秘密情報を含み、前記錠は、コード読み取り手段と、時期認定機能と、複数の秘密情報を記憶する記憶手段と、当該錠を特定する特定情報を有し、前記コード読み取り手段で二次元コードを読み取り、当該二次元コードから読み出された情報に、読み取りを行った時期に合致する時期情報と、特定情報記憶手段に記憶された特定情報に合致する対象情報が含まれ、且つ秘密情報記憶手段に記憶された複数の暗号の中に前記特定秘密情報が含まれていることを条件として解錠することが可能となる施解錠システム。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力用コードに関連する情報を有する二次元コードを作成する解錠コード作成装置と、錠とを有する施解錠システムであって、
前記入力用コードは、錠を解錠する時期に関連する時期情報と、対象となる錠を特定する対象情報と、特定秘密情報を含み、
前記錠は、コード読み取り手段と、時期認定機能と、複数の秘密情報を記憶する秘密情報記憶手段と、当該錠を特定する特定情報を記憶する特定情報記憶手段を有し、
前記コード読み取り手段で二次元コードを読み取り、当該二次元コードから読み出された情報に、読み取りを行った時期に合致する時期情報と、当該特定情報記憶手段に記憶された特定情報が含まれ、且つ秘密情報記憶手段に記憶された複数の秘密情報の中に、前記二次元コードから読みだされた特定秘密情報が含まれていることを条件として解錠することが可能となることを特徴とする施解錠システム。
【請求項2】
前記対象情報は、建物及び/又は部屋を特定する情報であり、前記特定情報は当該錠が取り付けられている建物及び/又は部屋を特定する情報であることを特徴とする請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項3】
前記二次元コードに、前記入力用コードに関連する情報が複数含まれていることを特徴とする請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項4】
特別解錠コードがあり、前記二次元コードから読み出された情報に特別解錠コードが含まれている場合には、解錠することが可能となることを特徴とする請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項5】
前記解錠コード作成装置は、暗号器を有し、当該暗号器に当該前記入力用コードを、特定の共通暗号鍵を使用して暗号化するものであり、
前記錠は復号器を有し、当該復号器に前記二次元コードから読み出された暗号と、特定の共通暗号鍵を入力してデータを復号するものであり、
前記錠には複数の共通暗号鍵が予め記憶されており、設定によって使用する共通暗号鍵が選択されることを特徴とする請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項6】
前記錠が、暗号の集合を複数備えていることを特徴とする請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項7】
入力用コードと更新コードに関連する情報を有する二次元コードを作成する携帯型解錠コード作成装置と、解錠コードを記憶した錠とを有する施解錠システムであって、
前記入力用コードは、少なくとも対象となる錠を特定する対象情報と、錠を解錠する時期に関連する時期情報と、特定秘密情報からなる常用入力用コードとからなり
前記更新コードは、当該携帯型解錠コード作成装置の起動ごとに更新される携帯側更新コードであり、
前記錠は、少なくともコード読み取り手段と、複数の秘密情報を記憶する秘密情報記憶手段と、当該錠を特定する特定情報を記憶する特定情報記憶手段と、更新コードを記憶するデータ記憶手段を有し、
前記携帯型解錠コード作成装置は、入力用コード作成部と、暗号部と、二次元コード作成部を有し、
前記解錠コードは、少なくとも対象となる錠を特定する対象情報と特定秘密情報からなる常用解錠用コードとを含み、
前記錠はデータ記憶手段で前記施解錠ごとに更新される錠側更新コードを記憶し、
前記錠は、前記コード読み取り手段で二次元コードを読み取り、当該二次元コードから読み出された情報に、前記解錠コードの情報と錠側更新コードの情報が含まれることを条件として解錠することが可能となることを特徴とする施解錠システム。
【請求項8】
前記対象情報は、建物及び/又は部屋を特定する情報であり、前記特定情報は当該錠が取り付けられている建物及び/又は部屋を特定する情報であることを特徴とする請求項7に記載の施解錠システム。
【請求項9】
前記携帯型解錠コード作成装置が起動されると、前記携帯側更新コードが更新され新たな携帯側更新コードとなり、当該更新された携帯側更新コードを含む二次元コードを前記錠のコード読み取り手段で読み取り、
少なくとも当該二次元コードから読み出された情報の中で、前記常用解錠用コードに合致する情報が含まれ、かつ少なくとも錠側更新コードの一部が携帯側更新コードに含まれることを条件として施解錠することが可能となる請求項7に記載の施解錠システム。
【請求項10】
前記錠は少なくとも前もって秘密情報記憶手段にて特定秘密情報を記憶し、特定情報記憶手段にて当該錠を特定する特定情報を記憶し、施解錠後に前記錠側更新コードが更新された後、錠のデータ記憶部にて記憶され、施解錠が一旦終了し再度携帯型コード読み取り装置を起動させ、前記携帯側更新コードを更新させた後、当該更新された携帯側更新コードと、前記入力用コードを読み込んだ二次元コードを錠のコード読み取り手段で読み取り、少なくとも当該二次元コードから読み出された情報の中で、前記錠に記憶させた特定秘密情報と特定情報が含まれ、かつ少なくとも錠側更新コードの一部が携帯側更新コードに含まれることを条件として施解錠することが可能となる請求項7に記載の施解錠システム。
【請求項11】
前記錠側更新コード及び携帯側更新コードは、それぞれ上位及び下位の同じビット数の数字列からなり、当該携帯側更新コードは、上位の数字列が乱数生成器から発生した数字列に更新され、下位の数字列は更新前の上位の数字列に変更されて更新され、当該更新された携帯側更新コードの下位数字列と前記錠に記憶されている更新前の錠側更新コードの下位数字列とを比較し、合致することを条件として施解錠が可能となり、
施解錠後に当該錠側更新コードは、更新前の錠側更新コードの下位数字列を上位数字列として書き込まれ、携帯側更新コードの上位数字列を錠側更新コードの下位数字列として書き込まれて更新された後、錠のデータ記憶手段で記憶されることを特徴とする請求項10に記載の施解錠システム。
【請求項12】
前記錠側更新コード及び携帯側更新コードは、それぞれ上位及び下位の同じビット数の数字列からなり、当該携帯側更新コードは、上位の数字列が乱数生成器から発生した数字列に更新され、下位の数字列は更新前の上位の数字列に変更されて更新され、当該更新された携帯側更新コードの下位数字列と前記錠に記憶されている更新前の錠側更新コードの下位数字列とを比較し、合致しない場合は、前記更新された携帯側更新コードの下位数字列と前記錠に記憶されている錠側更新コードの上位数字列とを比較し、合致することを条件として施解錠が可能となり、
施解錠後に当該錠側更新コードは、更新前の錠側更新コードの下位数字列を上位数字列として書き込まれ、携帯側更新コードの上位数字列を錠側更新コードの下位数字列として書き込まれて更新された後、錠のデータ記憶手段で記憶されることを特徴とする請求項10に記載の施解錠システム。
【請求項13】
前記携帯型解錠コード作成装置は、乱数生成器と暗号器を有し、当該乱数生成器は前記携帯側更新コードを生成し、当該暗号器は前記入力用コードと携帯側更新コードを、特定の共通暗号鍵を使用して暗号化するものであり、
前記錠は復号器を有し、当該復号器に前記二次元コードから読み出された暗号と、特定の共通暗号鍵を入力してデータを復号するものであり、
前記錠には複数の共通暗号鍵が予め記憶されており、設定によって使用する共通暗号鍵が選択されることを特徴とする請求項10に記載の施解錠システム。
【請求項14】
入力用コードと更新コードに関連する情報を有する二次元コードを作成する携帯用解錠コード作成装置と、解錠コードを記憶した錠とを有する施解錠システムであって、
前記携帯用解錠コード作成装置で、入力用コードとして錠を解錠する時期に関連する時期情報と、該二次元コードを作成した時期情報と、対象となる錠を特定する対象情報と、特定秘密情報とを作成し、携帯側更新コードを更新し、前記携帯用解錠コード作成装置及び/又は前記錠は、更新前の前記携帯側更新コード及び/又は更新前の携帯側更新コードで作成された過去の二次元コードを記憶しており、更新前の携帯側更新コードを含む二次元コードによっても解錠可能であり、前記過去の二次元コードは、一定時間の間記憶される施解錠システム。
【請求項15】
入力用コードと更新コードに関連する情報を有する二次元コードを作成する携帯型解錠コード作成装置と、解錠コードと更新コードを記憶した錠とを有する施解錠システムであって、
前記解錠コードは、少なくとも対象となる錠を特定する対象情報と特定秘密情報からなる常用解錠用コードとからなり、
錠側更新コードは、施解錠ごとに更新される錠側更新コードであり、
前記錠は、少なくともコード読み取り手段と、複数の秘密情報を記憶する秘密情報記憶手段と、当該錠を特定する特定情報を記憶する特定情報記憶手段と、更新コードを記憶するデータ記憶手段を有し、
前記携帯型解錠コード作成装置は、入力用コード作成部と、暗号部と、二次元コード作成部を有し、
前記入力用コードは、少なくとも対象となる錠を特定する対象情報と特定秘密情報からなる常用入力用コードとからなり、
前記携帯側更新コードは、携帯型解錠コード作成装置の起動ごとに更新され、
前記携帯用解錠コード作成装置及び/又は前記錠は、更新前の前記携帯側更新コード及び/又は更新前の携帯側更新コードで作成された過去の二次元コードを記憶しており、
前記錠は、前記コード読み取り手段で当該二次元コードを読み取り、当該二次元コードから読み出された情報に、前記常用解錠用コードの情報が含まれ、さらに更新前の携帯側更新コードと前記錠側更新コードの少なくとも一部が一致することを条件として、解錠することが可能となることを特徴とする施解錠システム。
【請求項16】
入力用コードと更新コードに関連する情報を有する二次元コードを作成する携帯型解錠コード作成装置と、解錠コードと更新コードを記憶した錠とを有する施解錠システムであって、
前記解錠コードは、錠を解錠する時期に関連する時期情報と、該二次元コードを作成した時期情報と、対象となる錠を特定する対象情報と、特定秘密情報とからなる常用解錠コードとからなり、
錠側更新コードは、施解錠ごとに更新される錠側更新コードであり、
前記錠は、コード読み取り手段と、時刻情報を含んだ時期認定機能と、複数の秘密情報を記憶する秘密情報記憶手段と、当該錠を特定する特定情報を記憶する特定情報記憶手段と、更新コードを記憶するデータ記憶手段を有し、
前記コード読み取り手段で二次元コードを読み取り、当該二次元コードから読み出された情報から、当該二次元コードを作成した時期情報を選択し、当該時期情報と前記錠の時刻情報とを比較することによって、錠の時刻情報を補正することを特徴とする施解錠システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅や宿泊施設その他の施解錠システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
戸建て住宅の玄関やマンションの各戸の出入り口には錠が設置されており、錠を解錠して人が出入りする。また外出等の際には出入り口が施錠される。
住宅やマンションを販売し、賃貸する際には、契約に先立って内覧が行われる。
空き室等の内覧には多くの場合不動産業者や管理会社の者が同行して、錠を施解錠する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7250370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人手不足の影響で、空き室等の内覧に不動産業者等が立ち会わず、内覧希望者だけで内覧を行う場合がある。
例えば手動の鍵を使用する錠によって玄関が施錠されている場合には、内覧希望者が不動産業者等から鍵を預かり、当該鍵を自分で操作して施解錠することとなる。
しかしながら、この方法は内覧希望者に合い鍵を作られる懸念があり、防犯上の問題がある。
暗号式の電気錠や番号合わせのダイヤル錠を採用している場合も同様であり、暗号や番号が知られてしまうこととなり、防犯上の問題がある。
【0005】
防犯上の懸念を解消するものとして、暗証番号を変更可能な錠を採用する方策が考えられる。
当該錠は通信機能を備えており、管理会社等から当該錠に対して解錠用のパスワード(以下、ワンタイムパスワードと称する)を送信する。その結果、受信した錠はワンタイムパスワードのみで解錠可能な錠となる。
また内覧希望者には当該ワンタイムパスワードが通知される。内覧希望者は知らされたワンタイムパスワードを入力して解錠する。
内覧が終わると、管理会社等が通信手段を操作して当該錠の解錠用のワンタイムパスワードを無効にする。
【0006】
上記したワンタイムパスワードを採用する方策は防犯性が高い。また不動産業者等が内覧に同行する必要が無いので必要な人員も少なくて足りる。
しかしながら、前記したワンタイムパスワードを使用する錠は、消費電力が大きく、電池の消耗が速いという問題がある。
即ちワンタイムパスワードを使用する錠は、錠の開閉だけでなく、通信にも電力を消費する。電気錠には商用電源により駆動するものもあるが、商用電源を使用する錠は配線が手間である。そのため電池で駆動する電気錠が重宝されているが、前記したワンタイムパスワードを使用する錠は、錠の開閉だけでなく、通信にも電力を消費するので電池の消耗が速く、電池の交換頻度が高いという不満がある。
【0007】
本発明は、上記した問題に注目し、防犯性が高く、且つ電池の消耗も少なく、錠又は錠を設置した場所との電信通信する設備も不要である施解錠システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための態様は、入力用コードに関連する情報を有する二次元コードを作成する解錠コード作成装置と、錠とを有する施解錠システムであって、前記入力用コードは、錠を解錠する時期に関連する時期情報と、対象となる錠を特定する対象情報と、特定秘密情報を含み、前記錠は、コード読み取り手段と、時期認定機能と、複数の秘密情報を記憶する秘密情報記憶手段と、当該錠を特定する特定情報を記憶する特定情報記憶手段を有し、前記コード読み取り手段で二次元コードを読み取り、当該二次元コードから読み出された情報に、読み取りを行った時期に合致する時期情報と、当該特定情報記憶手段に記憶された特定情報が含まれ、且つ秘密情報記憶手段に記憶された複数の秘密情報の中に、前記二次元コードから読みだされた特定秘密情報が含まれていることを条件として解錠する施解錠システムである。
【0009】
本態様の施解錠システムは、解錠コード作成装置と、錠によって構成されている。錠は玄関扉等に取り付けられる。
これに対して解錠コード作成装置は、例えば管理会社等に設置される。要するに解錠コード作成装置は、錠から離れた位置にある。
本態様の施解錠システムでは、解錠コード作成装置によって解錠するための二次元コードが作成される。二次元コードには入力用コードに関連する情報が含まれている。入力用コードは、錠を解錠する時期に関連する時期情報と、対象となる錠を特定する対象情報と、特定秘密情報を含むものである。
【0010】
一方、錠側にはコード読み取り手段と、時期認定機能と、複数の秘密情報を記憶する秘密情報記憶手段と、錠を特定する特定情報を有している。
本態様の施解錠システムでは、錠のコード読み取り手段で二次元コードを読み取る。
ここで本態様で採用する錠は、時期認定機能を備えているから、コード読み取り手段で二次元コードを読みとった時期がいつであるかは時期認定機能によって知ることができる。
また二次元コードには、対象となる錠を特定する対象情報が含まれているから、二次元コードを読み取ることにより、当該二次元コードが読み取りを行った錠に対するものであるか否かを判断することができる。
【0011】
さらに二次元コードには、特定秘密情報に関する情報が含まれている。一方、錠には秘密情報記憶手段があり、当該秘密情報記憶手段には複数の秘密情報が記憶されている。
読み取りを行った時期に合致する時期情報と、特定情報記憶手段に記憶された特定情報に合致する対象情報が含まれ、且つ秘密情報記憶手段に記憶された複数の秘密情報の中に前記特定秘密情報が含まれていることを条件として解錠することが可能となる。
【0012】
ここで本態様の施解錠システムでは、秘密情報記憶手段を参照し、二次元コードに含まれる特定秘密情報が秘密情報記憶手段に含まれているか否かを確認する。でたらめに入力した二次元コード又はそれを作成する値が秘密情報記憶手段に含まれている確率は極めて小さいので、秘密情報記憶手段に含まれている秘密情報を知らずに二次元コードを作成しても合致する可能性は極めて小さい。そのため安全性が高い。
また本態様の施解錠システムでは、錠と解錠コード作成装置との間の通信が不要であり、錠は通信の要する待機電力が不要である。そのため錠は消費電力が少なく、電池の消耗が少ない。
【0013】
上記した態様において、前記対象情報は、建物及び/又は部屋を特定する情報であり、前記特定情報は当該錠が取り付けられている建物及び/又は部屋を特定する情報であることが望ましい。錠内部に記憶されている場所情報は特定情報とする。
【0014】
上記した各態様において、前記二次元コードに、前記入力用コードに関連する情報が複数含まれていることが望ましい。
【0015】
本態様によると、一つの二次元コードで複数の錠を解錠することができる。
【0016】
上記した各態様において、特別解錠暗号があり、前記二次元コードから読み出された情報に特別解錠暗号が含まれている場合には、解錠することが可能となることが望ましい
【0017】
特別解錠暗号はマスターキーに相当するものであり、特別解錠コードが含まれるコードを使用すれば全ての錠を解錠することができる。
【0018】
上記した各態様において、前記解錠コード作成装置は、暗号器を有し、当該暗号器に当該入力用コードを、特定の共通暗号鍵を使用して暗号化するものであり、前記錠は復号器を有し、当該復号器に前記二次元コードから読み出された暗号化データと、特定の共通暗号鍵を入力してデータを復号するものであり、前記錠には複数の共通暗号鍵が予め記憶されており、設定や事前取り決めによって、使用する共通暗号鍵が選択されることが望ましい。
【0019】
本態様の施解錠システムでは、暗号器によって入力用コードが暗号化されて二次元コードが作成されるので、さらに安全性が高い。
本態様の施解錠システムは、当該システムを複数の使用者に提供することを前提として構成されたものである。
【0020】
即ち本態様の施解錠システムは、錠側に秘密情報記憶手段があり、当該秘密情報記憶手段には複数の秘密情報が記憶されている。本態様の施解錠システムを複数の使用者に提供するならば、安全性を確保するために、提供先ごとに秘密情報記憶手段に記憶されている複数の秘密情報を変えるべきである。
【0021】
しかしながらこの方策は、手間であるという問題がある。
次に考えられる方策としては、錠側に秘密情報の集合を複数備えさせることが考えられる。しかしながらこの方策は多くの記憶容量が必要であるという問題がある。
【0022】
本態様は、これらの問題を解消するものである。
本態様の施解錠システムでは、二次元コード作成の際に入力用コードと、特定の共通暗号鍵を使用してデータを暗号化する。従って二次元コードを復号する際には同じ共通暗号鍵を使用しなければならない。
ここで本態様の錠は、複数の共通暗号鍵が予め記憶されており、設定又は事前取り決めによって使用する共通暗号鍵が選択される。
そのため提供先ごとに解錠コード作成装置に使用される共通暗号鍵を変え、錠の共通暗号鍵を切り替えることによって業者間の互換性が解消される。
【0023】
上記した各態様において、前記錠が、秘密情報の集合を複数備えていることが望ましい。
【0024】
本態様の施解錠システムは、内覧を終えて賃貸契約等が成立した後に役立つものである。
本態様の施解錠システムは、入力用コードと更新コードに関連する情報を有する二次元コードを作成する携帯型解錠コード作成装置と、解錠コードを記憶した錠とを有する施解錠システムであって、前記入力用コードは、少なくとも対象となる錠を特定する対象情報と、錠を解錠する時期に関連する時期情報と、特定秘密情報からなる常用入力用コードとからなり、前記更新コードは、当該携帯型解錠コード作成装置の起動ごとに更新される携帯側更新コードであり、前記錠は、少なくともコード読み取り手段と、複数の秘密情報を記憶する秘密情報記憶手段と、当該錠を特定する特定情報を記憶する特定情報記憶手段と、更新コードを記憶するデータ記憶手段を有し、前記携帯型解錠コード作成装置は、入力用コード作成部と、暗号部と、二次元コード作成部を有し、前記解錠コードは、少なくとも対象となる錠を特定する対象情報と特定秘密情報からなる常用解錠用コードとを含み、前記錠はデータ記憶手段で前記施解錠ごとに更新される錠側更新コードを記憶し、 前記錠は、前記コード読み取り手段で二次元コードを読み取り、当該二次元コードから読み出された情報に、前記解錠コードの情報と錠側更新コードの情報が含まれることを条件として解錠することが可能となる施解錠システムである。
当該施解錠システムでは、携帯型解錠コード作成装置の起動ごとに入力用コードが更新されるので安全性が高い。
【0025】
上記した態様において、前記対象情報は、建物及び/又は部屋を特定する情報であり、前記特定情報は当該錠が取り付けられている建物及び/又は部屋を特定する情報である施解錠システムが望ましい。
【0026】
本態様は、前記携帯型解錠コード作成装置が起動されると、前記携帯側更新暗号となる携帯側更新コードが更新され新たな携帯側更新コードとなり、当該更新された携帯側更新暗号を含む二次元コードを前記錠のコード読み取り手段で読み取り、少なくとも当該二次元コードから読み出された情報のうち、前記常用解錠暗号に合致する情報が含まれ、かつ少なくとも錠側更新コードの一部が携帯側更新コードに含まれることを条件として施解錠することが可能となる施解錠システムである。
【0027】
本態様の施解錠システムでは、携帯型解錠コード作成装置を起動する毎に二次元コードが更新されるので、二次元コードを他人に盗まれた場合でも、安全性が高くなる。
【0028】
上記した態様において、施解錠後に前記錠側更新暗号となる錠側更新コードが更新され、当該更新された錠側更新コードを錠のデータ記憶部にて記憶させ、施解錠が一旦終了し再度携帯型コード読み取り装置を起動させ、前記携帯側更新コードを更新させた後、当該更新された携帯側更新コードを含む入力用コードを読み込んだ二次元コードを錠のコード読み取り手段で読み取り、少なくとも当該二次元コードから読み出された情報のうち、前記錠に記憶させた解錠コードの前記常用解錠用コードが含まれ、かつ少なくとも錠側更新コードの一部が携帯側更新コードに含まれることを条件として施解錠することが可能となる施解錠システムにある。
【0029】
本態様の施解錠システムでは、施解錠する毎に錠側更新コードが更新されるので、二次元コードを他人に盗まれた場合でも、安全性が高くなる。
【0030】
本態様によると、前記錠側更新コード及び携帯側更新コードは、それぞれ上位及び下位の同じビットの数字列からなり、当該携帯側更新コードは、上位の数字列が乱数生成器から発生した数字列に更新され、下位の数字列は更新前の上位の数字列に変更されて更新され、当該更新された携帯側更新コードの下位数字列と前記錠に記憶されている更新前の錠側更新コードの下位数字列とを比較し、合致することを条件として施解錠が可能となり、
施解錠後に当該錠側更新コードは、更新前の錠側更新コードの下位数字列を上位数字列として書き込まれ、携帯側更新コードの上位数字列を錠側更新コードの下位数字列として書き込まれて更新された後、錠のデータ記憶手段で記憶される施解錠システムである。
【0031】
本態様では、錠側更新コードと、携帯側更新コードをそれぞれ上位、下位の数字列とし、それぞれを更新することでさらに安全性が高くなる。
【0032】
前記錠側更新コード及び携帯側更新コードは、それぞれ上位及び下位の同じビットの数字列からなり、当該携帯側更新コードは、上位の数字列が乱数生成器から発生した数字列に更新され、下位の数字列は更新前の上位の数字列に変更されて更新され、当該更新された携帯側更新コードの下位数字列と前記錠に記憶されている更新前の錠側更新コードの下位数字列とを比較し、合致しない場合は、前記更新された携帯側更新コードの下位数字列と前記錠に記憶されている錠側更新コードの上位数字列とを比較し、合致することを条件として施解錠が可能となり、施解錠後に当該錠側更新コードは、更新前の錠側更新コードの下位数字列を上位数字列として書き込まれ、携帯側更新コードの上位数字列を錠側更新コードの下位数字列として書き込まれて更新された後、錠のデータ記憶手段で記憶される施解錠システムである。
【0033】
施解錠判断基準を2段階設けることにより、手違いが発生し施解錠できないことが少なくなる。
【0034】
前記携帯型解錠コード作成装置は、乱数生成器と暗号器を有し、当該乱数生成器は前記携帯側更新コードを生成し、当該暗号器は前記入力用コードと携帯側更新コードとを、特定の共通暗号鍵を使用して暗号化するものであり、前記錠は復号器を有し、当該復号器に前記二次元コードから読み出された暗号と、特定の共通暗号鍵を入力してデータを復号するものであり、前記錠には複数の共通暗号鍵が予め記憶されており、設定によって使用する共通暗号鍵が選択される施解錠システムである。
【0035】
本態様の施解錠システムでは、乱数生成器によって携帯側更新コードを生成し、暗号器によって入力用コードが暗号化されて二次元コードが作成されるので、さらに安全性が高い。
【0036】
本態様は、入力用コードと更新コードに関連する情報を有する二次元コードを作成する携帯用解錠コード作成装置と、解錠コードを記憶した錠とを有する施解錠システムであって、前記携帯用解錠コード作成装置で、入力用コードとして、錠を解錠する時期に関連する時期情報と、該二次元コードを作成した時期情報と、対象となる錠を特定する対象情報と、特定秘密情報とを作成し、携帯側更新コードを更新し、前記携帯用解錠コード作成装置及び/又は前記錠は、更新前の前記携帯側更新コード及び/又は更新前の携帯側更新コードで作成された過去の二次元コードを記憶しており、更新前の携帯側更新コードを含む二次元コードによっても解錠可能であり、前記過去の二次元コードは、一定時間の間記憶される施解錠システムである。
【0037】
本態様によれば、前記二次元コードを作成する携帯用コード作成装置には、該二次元コードを作成した時期情報を有し、また、過去の二次元コードも記載していることから、そのため手違いで携帯側更新コードと錠側更新コードの一方だけが更新されてしまうと、解錠できなくなってしまう。本態様は、この問題に対処するものであり、更新前の携帯側更新コードによっても解錠可能にできる。また、該二次元コードを作成した時期も含み、錠の時期認定機能に含まれる時期情報とを比較することによって、錠の時刻補正を行うことができる。
【0038】
本態様は、入力用コードと更新コードに関連する情報を有する二次元コードを作成する携帯型解錠コード作成装置と、解錠コードと更新コードを記憶した錠とを有する施解錠システムであって、前記解錠コードは、少なくとも対象となる錠を特定する対象情報と特定秘密情報からなる常用解錠用コードとからなり、錠側更新コードは、施解錠ごとに更新される錠側更新コードであり、前記錠は、少なくともコード読み取り手段と、複数の秘密情報を記憶する秘密情報記憶手段と、当該錠を特定する特定情報を記憶する特定情報記憶手段と、更新コードを記憶するデータ記憶手段を有し、前記携帯型解錠コード作成装置は、入力用コード作成部と、暗号部と、二次元コード作成部を有し、前記入力用コードは、少なくとも対象となる錠を特定する対象情報と特定秘密情報からなる常用入力用コードとからなり、前記携帯側更新コードは、携帯型解錠コード作成装置の起動ごとに更新され、前記携帯用解錠コード作成装置及び/又は前記錠は、更新前の前記携帯側更新コード及び/又は更新前の携帯側更新コードで作成された過去の二次元コードを記憶しており、前記錠は、前記コード読み取り手段で当該二次元コードを読み取り、当該二次元コードから読み出された情報に、前記常用解錠用コードの情報が含まれ、さらに更新前の携帯側更新コードと前記錠側更新コードの少なくとも一部が一致することを条件として、解錠することが可能となる施解錠システムである。
【0039】
本態様によれば、更新前の携帯側更新コードによっても解錠可能にできる。
【0040】
本態様は、入力用コードと更新コードに関連する情報を有する二次元コードを作成する携帯型解錠コード作成装置と、解錠コードと更新コードを記憶した錠とを有する施解錠システムであって、前記解錠コードは、錠を解錠する時期に関連する時期情報と、該二次元コードを作成した時期情報と、対象となる錠を特定する対象情報と、特定秘密情報とからなる常用解錠用コードとからなり、錠側更新コードは、施解錠ごとに更新される錠側更新コードであり、前記錠は、コード読み取り手段と、時刻情報を含んだ時期認定機能と、複数の秘密情報を記憶する秘密情報記憶手段と、当該錠を特定する特定情報を記憶する特定情報記憶手段と、更新コードを記憶するデータ記憶手段を有し、前記コード読み取り手段で二次元コードを読み取り、当該二次元コードから読み出された情報から、当該二次元コードを作成した時期情報を選択し、当該時期情報と前記錠の時刻情報とを比較することによって、錠の時刻情報を補正する施解錠システムである。
【0041】
本態様によれば、前記コード読み取り手段で二次元コードを読み取り、当該二次元コードから読み出された情報から、当該二次元コードを作成した時期情報を選択し、当該時期情報と前記錠の時刻情報とを比較することによって、錠の時刻情報を補正することから、錠の時刻が大幅に遅れることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の施解錠システムは、防犯性が高く、且つ電池の消耗も少ない。そのため長期に渡って使用することができる。また、解錠コード作成機と錠の間に通信機器設備が必要なく、コスト低減にもなる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の実施形態の施解錠システムの構成図である。
図2】本発明の施解錠システムを使用して解錠を行うまでの概略図である。
図3図1の施解錠システムの錠の操作部の正面図である。
図4図1の施解錠システムの錠の制御装置のブロック図である。
図5図1の施解錠システムの二次元コード処理部のブロック図である。
図6図1の施解錠システムの二次元コード読み取り手段のブロック図である。
図7図1の施解錠システムの復号手段のブロック図である。
図8図1の施解錠システムの解錠コード作成装置のブロック図である。
図9図1の施解錠システムの二次元コード作成部のブロック図である。
図10】解錠コード作成装置の表示画面の一例である。
図11】解錠暗号データを暗号化して二次元コードを作成する手順を示した図である。
図12】復号化データと鍵保有データを照合して解錠するときのフローチャートである。
図13】共通鍵を複数記憶させた錠を示した図である。
図14】秘密情報記憶部を複数有する錠を示した図である。
図15】マスターキーに相当する二次元コードで解錠するときのフローチャートである。
図16】(a)は二次元コードに含まれる入力用コードの情報を示し、(b)本実施形態の変形例で、二次元コードに含まれる3組の入力用コードの情報の一例である。
図17図1の施解錠システムの他の錠の操作部の正面図である。
図18】携帯型解錠コード作成装置の構成図である。
図19】携帯側更新コードと錠側更新コードを照合して解錠するときのフローチャートである。
図20】更新入力用データと、更新解錠データの更新の一例である。
図21】更新前の携帯側更新コードによっても解錠可能とする場合のフローチャートである。
図22】錠の時刻補正をする場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の施解錠システム1は、図1の様に、錠2と解錠コード作成装置3によって構成されている。また補助的部材として携帯電話等の携帯端末5がある。
錠2は、いわゆる電気錠であり、内部に図示しない駆動源があり、デッドボルト140が駆動源によって出没する。駆動源はモータやソレノイドであり、内蔵された電池(図示せず)によって駆動される。
また錠2にはハンドル121が取り付けられており、当該ハンドル121を操作することにより、ラッチ122が後退可能な状態となる。
【0045】
本発明の実施形態は、図2のように解錠コード作成装置3によって二次元コードを作成し、作成した二次元コートを内覧希望者の携帯端末5へ電子メール等で送信を行う。前記二次元コードを携帯端末5内に記憶させる。内覧希望者は内覧を希望する住宅等に赴き、その住宅玄関ドアに設置された画像取得手段(内蔵カメラ)71を装備した錠2に携帯端末5をかざし、錠2が二次元コードを読み込み、所定の条件に合致すれば解錠する、という流れである。
【0046】
また錠2は、図3の様な操作部10を有している。
操作部10は、少なくともコードリーダー8と表示部12を有している。
コードリーダー8は、公知の二次元コードを画像として取得する画像取得手段71を有し、二次元コードを読み取る装置である。
表示部12は、公知の液晶バネルや有機ELパネルであり、文字や記号等を表示することができる。
【0047】
本実施形態の錠2は画像取得手段71とコードリーダー8を有し、内覧希望者は入室時、画像取得手段71などで二次元コードの画像を取得し、コードリーダー8で二次元コードの画像に含まれているデータを読み取る。読み取られたデータが適切であれば図示しない駆動源が動作してデッドボルト140が後退して解錠状態となる。ここで、画像取得手段71としては錠2に含まれた内臓カメラなどが挙げられる。
また退出時も画像取得手段71などで二次元コードの画像を取得し、コードリーダー8で二次元コードの画像に含まれているデータを読み取る。読み取られたデータが適切であれば図示しない駆動源が動作してデッドボルト140が突出して施錠状態となる。又は、解錠から一定時間経過後に自動的に施錠するようにもできる。
【0048】
操作部10はコードリーダー8のみを有していても良いが、後述するように賃貸者が退去する場合に、表示部12が必要となる。
【0049】
操作部10内には、図4の様な制御装置(以下、錠側制御装置と称する)20が内蔵されている。錠側制御装置20は、公知のCPUやメモリーを有している。メモリーには、以下の機能を実現するプログラムが格納されている。
錠側制御装置20は、図4の様に二次元コード処理部21と、時期認定機能部(以下、カレンダー機能部と称する。)22と、秘密情報記憶部(秘密コードリスト)25と、特定情報記憶部27と、照合手段28と、復号手段32を有している。
【0050】
二次元コード処理部21は、図5のようにコード読み取り手段34によって構成されている。コード読み取り手段34は図6のようにコードリーダー8とコード読み出し手段31によって構成されている。コード読み出し手段31は、コードリーダー8で読み取られた二次元コードを解析してビット列に変換するものである。
【0051】
カレンダー機能部22は、年月日だけでなく、時刻に関する情報も得ることができるものである。
【0052】
秘密情報記憶部25には、複数の秘密情報が記憶されている。限定するものではないが、本実施形態で採用する秘密情報の候補は、67桁の数字である。限定するものではないが、本実施形態では秘密情報の候補が10000件記憶されている。秘密情報の候補は乱数器等から作成した、規則性のない数値群である。
【0053】
特定情報記憶部27には、錠2を特定する特定情報が記憶されている。特定情報は、例えば錠の識別番号等である。本実施形態では錠2を特定する特定情報とし、錠2が取り付けられている建物と部屋を特定する情報であり、例えば10号棟の12号室といった情報である。
【0054】
照合手段28は、コードリーダー8に書き込まれていた情報と、錠2のカレンダー機能部22、秘密情報記憶部25、特定情報記憶部27の値を比較するものである。
【0055】
復号手段32は、図7のように復号器33と共通鍵35によって構成されている。なお本実施形態では共通鍵35を複数備えている。即ち、本実施形態では共通鍵記憶部36に共通鍵35a~36kが記憶されている。
なお本実施形態では共通鍵記憶部にある鍵を用途別に分けて使用してもよい。
(例えば内覧モードの共通鍵と通常使用モードの共通鍵など)
【0056】
また錠側制御装置20には切換え手段37がある。切換え手段は内覧モードと通常使用モードとを切り替えるものである。本実施形態で採用する切換え手段37はデップスイッチであるが、テンキー等を操作して内覧モードと通常使用モードの切り替えを行ってもよい。
【0057】
次に解錠コード作成装置3について説明する。図1のように解錠コード作成装置3は公知のパーソナルコンピュータであり、CPUやメモリーを有している。解錠コード作成装置3はキーボード(入力手段)55と表示画面56を有している。
【0058】
解錠コード作成装置3は、錠2を解錠するための入力用コードに関連する情報を有する二次元コードを作成し、携帯端末に送信する機能を有するものである。
解錠コード作成装置3には、図8の様にデータ一時保管部40と、二次元コード作成部42と、秘密情報候補記憶部43と、暗号化手段50と、通信部45がある。
データ一時保管部40は、入力用コードを一時的に保管するメモリーである。
【0059】
ここで、解錠コード作成装置3に入力したデータである入力用コードを含んだものを暗号化したものを解錠暗号といい、錠を解錠する時期に関連する時期情報と、対象となる錠を特定する対象情報と、特定秘密情報を含んだ情報を暗号化したものである。当該入力用コードは、工場出荷時に錠2に書き込まれるデータでもあり、錠2側では解錠コードと呼ぶ。
【0060】
二次元コード作成部42は、図9に示すように、二次元コード作成手段51によって構成されている。
【0061】
暗号化手段50は、データ一時保管部40に保管されている入力用コードを暗号化するものであり、図11に示すように暗号器60と、共通鍵35によって構成されている。解錠コード作成装置3が保有する共通鍵35は一つ又は複数あってもよい。
(例えば内覧モードの共通鍵と通常使用モードの共通鍵など)
二次元コード作成部42は入力用コードに関連する情報を二次元コード化するものである。
【0062】
秘密情報候補記憶部43には、前記した錠側制御装置20の秘密情報記憶部25と同じ秘密情報が記憶されている。
【0063】
本実施形態の解錠コード作成装置3に必要事項を入力し、入力用データを作成し、入力用データを暗号化して入力用暗号データを二次元コードに変換するものである。
本実施形態の解錠コード作成装置3は、所定の操作を行うことにより、表示画面56に図10に示す様な入力画面が表示される。作業者は、キーボード(入力手段)55を操作して入力し、表の空欄が埋められる。
入力画面は、大きく分けて、時期情報入力欄120と、対象となる錠を特定する対象情報欄41と、予備欄52及び管理コード等を入れる管理コード欄53によって構成されている。
【0064】
時期情報入力欄120には、「年」、「月」、「日」、「時間」の欄がある。
例えば、内覧希望者が2023年5月5日の正午から内覧を希望しているならば、年、欄に「2023」を入力し、月欄に「5」を入力し、日欄に「5」を入力する。時間欄には、「12」を入力する。時間欄は、余裕を考慮してそれより前の時間を入力する場合が多い。また時間帯を入力することとしてもよい。
【0065】
対象情報欄41には、「部屋番号」の欄がある。例えば12号室を見たいのであれば、「12」と入力する。
対象情報欄41は、対象となる錠2を特定する対象情報を入力する欄であり、錠2の識別番号を入力する構成としてもよい。
【0066】
予備欄52は、特別に必要がある情報を入力する欄であり、普段は使わない。
管理コード欄53は、普段は使わないが、想定する使用例は解錠コード作成装置3に複数の秘密情報がある場合や、用途によって共通鍵を変更した場合などに用いる。通常は錠2と取り決めた秘密情報がランダムに自動的に入力される。秘密情報は、乱数であり、秘密情報候補記憶部43に記憶された数値候補の一つである。予備欄52と管理コード欄53は非表示でもよい
【0067】
入力画面に入力された情報が、入力用コードの元となる。
入力用コードには、錠を解錠する時期に関連する時期情報と、対象となる錠を特定する対象情報と、特定秘密情報を含んでいる。
特定秘密情報は秘密情報候補記憶部43より選択された1つである。
即ち入力用コードには、時期情報入力欄120に入力された、「年」、「月」、「日」、「時間」の情報が時期情報として含まれている。また入力用コードには、「部屋番号」の情報が、対象となる錠を特定する対象情報として含まれている。さらに入力用コードには、自動的に入力された番号が特定秘密情報として含まれている。
【0068】
ここで、特定秘密情報は、秘密情報候補記憶部43で記憶されている秘密情報の候補(乱数リスト表)の中から選択された一つの情報を言い、入力用コードに含まれるものである。限定するものではないが、本実施形態では秘密情報の候補が10000件記憶されている。
【0069】
入力画面に所定の事項を入力し、所定の操作(二次元コード発行54を押す)を行うことにより、入力用コードは暗号化され(入力用暗号コード)関連する情報を有する二次元コードが作成される。
即ち、図11に示す様に、データ一時保管部40に保管されたデータ(入力用コード)が、暗号化手段50に送信され、暗号器60と共通鍵35を用いて暗号化される。暗号化にあたり、公知の暗号モードなら何でもよい。さらに暗号化されたデータ(入力用暗号コード)が、二次元コード作成部42に送信されて二次元コードが作られる。
二次元コードは、必要に応じて図示しないプリンターによって印刷される。また必要に応じて通信部45から携帯端末5に送信され、携帯端末の表示画面に表示される。
【0070】
次に、施解錠システム1の使用方法について説明する。
前記した様に、本実施形態の施解錠システム1は、内覧希望者だけで内覧を行うことを想定して作られたシステムである。内覧が予想される場合には、錠2の切換え手段37を内覧モードに切り替えておく。
内覧モードは、解錠コード作成装置3で作成された二次元コードを使用して解錠を行う動作モードである。
【0071】
内覧希望者は不動産業者や建物の管理者(以下、業者と称する)に対して内覧を申し込む。
業者は次の情報を内覧希望者に問い合わせる。
(1)内覧対象の物件
例えば、内覧対象が集合住宅であれば、マンション名と部屋番号を確認する。戸建て住宅であるならば、住所等を確認する。
(2)内覧希望時期
内覧を希望する年月日及び時刻を確認する。
【0072】
業者は、解錠コード作成装置3を操作して入力画面を表示し、内覧希望者から知らされた情報に基づいて入力画面に必要事項を入力し、入力用コードを作成する。前記した様に、入力用コードには、時期情報と、対象情報と、特定秘密情報が含まれている。
【0073】
入力用コードが暗号化され作成された二次元コードは、内覧希望者の携帯端末に送信される。またこのとき、施錠時の注意事項が知らされる。
即ち本実施形態の錠2では、内覧後、施錠が完了すると、表示部12に施錠確認コードが表示される。施錠が完了するとその施錠確認コードを業者に知らせる必要があることが施錠時の注意事項として通知される。業者は施錠確認コードを内覧者から聞き、想定値の場合は確実に物件が施錠されたことがわかる。
しかし、表示部12がなく画像取得手段71のみの場合は施錠確認コードは発行せず、内覧完了の連絡のみの運用となる。
【0074】
内覧希望者は、内覧する物件に赴き、自己の携帯端末5に二次元コードを表示し、錠2のコードリーダー8に読み取らせる。
錠2の錠側制御装置20は、二次元コードを解読して、二次元コードに含まれる時期情報と、対象情報と、特定秘密情報を、錠2側が保有する情報と比較する。即ち、二次元コードに含まれる時期情報、対象情報、特定秘密情報と、錠2のカレンダー機能部22の情報、錠2の特定情報、秘密情報の候補を比較する。
錠2の特定情報は、特定情報記憶部27に記憶された錠2を特定する情報である。錠2の秘密情報の候補は、秘密情報記憶部25に記憶されている複数の秘密情報である。
【0075】
即ち、コードリーダー8で読み取った図形を、コード読み出し手段31で2次元コードを解析してビット列に変換する。そしてそのデータを復号手段32で復号して暗号化される前のデータに戻す。具体的にはデータを復号器33に入力し、共通鍵35によって復号する。本実施形態では共通鍵35は事前に解錠コード作成装置3と取り決めている。しかし、別の使用例として管理コードで使用する共通鍵35を指定してもよい。又は共通鍵35a~36kを順次使用してすべての組合せで一致確認してもよい。管理コードを使用する場合は2次元コード化される際に共通鍵35の何番目の鍵を使用するかを示す(共通鍵35を2次元コード化することではない。)。
そしてそのデータを照合手段28に送信して錠2側が保有する情報と比較する。
具体的には、図12に示す様に、ステップ1で、二次元コードに含まれる対象情報と、錠2の特定情報記憶部27に記憶された特定情報を比較する。続くステップ2では、二次元コードに含まれる時期情報の内の年月日と、カレンダー機能部22から得られる現実の年月日を比較する。続くステップ3では、二次元コードに含まれる時期情報の内の時刻と、カレンダー機能部22から得られる現実の時刻を比較する。時刻は完全一致が望ましい。しかし、システムの運用では両者は完全一致する必要はなく、ある程度の範囲の違いであればYESとなる。
【0076】
続くステップ4では、二次元コードに含まれる特定秘密情報と、秘密情報記憶部25に記憶されている複数の秘密情報を順次比較する。即ち二次元コードに含まれる特定秘密情報が秘密情報記憶部25に記憶されている複数の秘密情報に含まれたものであるならばステップ4がYESとなる。
全てのステップがYESであれば錠2が解錠可能となる。いずれ一つでもNOが有ればステップ5に移行してエラー表示がなされる。
【0077】
以上説明した施解錠システム1は、錠2と解錠コード作成装置3との間の通信は不要であり、錠2は通信の要する待機電力が不要である。そのため錠2は消費電力が少なく、電池の消耗が少ない。また、錠2を運用する施設にワイファイ(WiFi)等の通信設備は不要である。
またでたらめに入力した数値が秘密情報記憶手段に含まれている確率は極めて小さいので、秘密情報記憶手段に含まれている数値を知らずに二次元コードを作成しても、合致する可能性は極めて小さい。そのため本実施形態の施解錠システム1は、安全性が高い。
【0078】
以上説明した施解錠システム1では、錠2に復号手段32があり、当該復号手段32は共通鍵35を複数備えている。
そのため施解錠システム1を複数の使用者に提供する際の安全性が高い。
即ち、施解錠システム1では、錠2に秘密情報記憶部25があり、当該秘密情報記憶部25に複数の秘密情報が記憶されている。施解錠システム1は、錠2の秘密情報記憶部 25に含まれるいずれかの秘密情報と、二次元コードに含まれる特定秘密情報が一致することを条件の一つとして解錠されるものであるから、理想的には、秘密情報記憶部25に含まれる秘密情報が、各錠2ごとに異なるものであることが望ましい。しかしながら、錠2ごとに保有する秘密情報が異なると、解錠コード作成装置3側が保有すべき秘密情報の候補の数が膨大なものとなり、且つ使い勝手が悪い。
提供先ごとに秘密情報記憶部25に含まれる秘密情報を変えれば、この問題は解消する。
【0079】
しかしながらこの方策は、手間であるという問題がある。
そこで本実施形態では、図13に示すように錠2に共通鍵35を複数記憶させることとした。施解錠システム1を提供する場合には、解錠コード作成装置3を駆動するソフトウェアも提供することになるが、その際の解錠コード作成装置3は、特定の共通鍵だけ格納しておく。
本実施形態の施解錠システム1では、提供先ごとに解錠コード作成装置の暗号化時に使用される共通暗号鍵が異なるので、業者間の互換性が解消され、安全性が確保される。
【0080】
しかしながら本発明は、この構成に限定されるものでなく、図14に示す錠2の制御装置の様に、錠2に秘密情報記憶部25が複数あってもよい。
又は、秘密情報の候補リストを100個の集合にして、その100個を元に演算し、集合値を増やして使用してもよい。例えば候補リストの値を暗号器に入力し、その結果を使用するなどである。
また一つの共通鍵を全ての使用者で使用する構成を否定するものではない。
【0081】
例えば、多くのマンションを管理する管理者は、マスターキーに相当する二次元コードがあれば便利である。
つまり、管理者ID(特別解錠コード)を錠2に記憶させておき、管理者IDを含む二次元コードであれば解錠可能とすることにより、この問題を解消することができる。
例えば、施解錠システム1では管理者IDとして、秘密情報候補記憶部43の乱数リスト表の一部(9998―10000番)を特別解錠コードとする。
図15は、マスターキーに相当する二次元コードで解錠するときのフローチャートである。管理者ID(特別解錠コード)は、例えば管理コード欄53に「9998」入力する。
管理コード欄53の入力により秘密情報候補記憶部43の9998番の数値が選択される。このようにして管理者IDを含む二次元コードを作ることができる。錠2には、9998―10000番は管理者IDであることを事前に書き込んでおく。
【0082】
以上説明した実施形態では、二次元コードに一組の入力用コードに関連する情報が含まれている。即ち前記した実施形態では、錠を解錠する時期に関連する時期情報と、対象となる錠を特定する対象情報と、特定秘密情報の三者が一組の入力用コードを構成している。
上記した実施形態では、図16(a)の様に、入力用コードの情報が二次元コード100に含まれている。
これに対して変形例で採用する二次元コード101では、図16(b)の様に、3組の入力用コードの情報が含まれている。
この二次元コード101は、例えば同日に複数の物件を内覧したい場合に便利である。
【0083】
錠2は内覧のみだけでなく、入居後も使用できると便利である。
内覧を終え、賃貸契約や売買契約が完了すると、動作モードを通常使用モードに切り替える。
【0084】
以上説明した使用方法は、内覧を行う場合を想定したものであるが、賃貸者が退去する場合にも内覧モードが有効である。
例えば賃貸契約が終了し、退去が決まった場合には、動作モードを内覧モードに切り替える。そして管理者は前記内覧完了時と同様に、退去用コードを退出者に知らせる。
退去が完了し、施錠が完了すると表示部12に施錠確認コードが表示される。退去者は、携帯端末5等で施錠確認コードを管理者に知らせる。この通知により、管理者は施錠されたことを確認することができる。
なお、施錠確認コードを知らせなかった場合には何らかのペナルティを科すことも考えられる。例えば施錠確認コードの通知を条件として敷金の返還を行うことも考えられる。
【0085】
次に通常使用モードについて説明する。
通常使用モードでは、入居者の携帯端末5を携帯型解錠コード作成装置として使用し、携帯端末5で二次元コードを作成する。
即ち、特別のソフトウェアを携帯端末5にインストールして携帯型解錠コード作成装置とする。以下、携帯端末5を携帯型解錠コード作成装置130と称する。入居者は図17に示す、錠2の切換えスイッチ150を押し、内覧モードから通常使用モードに切り換える。
本実施形態では、例として切換えスイッチ150を押すのみとしたが、他に何らかのパスワードを入力後、切換えスイッチ150を押す。又は、切換えスイッチの代わりにパスワード又は二次元コード入力で有効に切り換えてもよい。
【0086】
本実施形態の携帯型解錠コード作成装置130は、携帯側コードデータ作成部113と暗号化手段115と、秘密情報記憶部152と、更新コード記憶部153と、二次元コード作成部42を有する。
本実施形態では、錠側制御装置20は内覧モードと同じなので、公知のCPUやメモリーを有している。従って、錠側制御装置20は、図4の様に二次元コード処理部21と、カレンダー機能部22と、秘密情報記憶部25と、特定情報記憶部27と、照合手段28を有している。
【0087】
入力用暗号は、対象となる錠を特定する対象情報と、錠を解錠する時期に関連する時期情報と、特定秘密情報とからなる常用入力用コードとからなる入力用コードと、当該携帯型解錠コード作成装置の起動ごとに更新される携帯側更新コードとを暗号化したものである。
【0088】
本実施形態では、図16の「予備欄」を更新コードとして使用する。この予備欄は12ビット長を例とした。予備欄のビット長は解錠暗号の項目ごとのビット長を変更するとビット長は自由に変更できる。前記内覧時は予備欄の更新コードを例として、「111111」と決め使用していたとする。
【0089】
ここで、更新コードには、携帯側更新コードと、錠側更新コードがある。
【0090】
図18のように携帯型解錠コード作成装置130に、「年」、「月」、「日」、「時間」等の時期情報と、錠を特定する部屋番号を対象情報として入力する。そして、携帯側コードデータ作成部113には解錠コード作成装置3と同様に秘密情報記憶部152を持つ。
さらに、乱数生成器151から生成された一つの6ビットずつで上位と下位からなる数字列を更新コード記憶部153に入力し、これらを暗号化手段115にて暗号化する。
【0091】
前記暗号化された入力用暗号データには、対象情報と特定秘密情報 と、携帯側更新コードを含む。
そして、携帯型解錠コード作成装置130に解錠コード作成装置3と同様の二次元コード作成部42があり、入力用暗号データを二次元コードに変換して表示画面に表示させる。
【0092】
このとき、携帯型解錠コード作成装置130は、携帯側更新コードの上位を下位へ移動後空いた上位のビット例へ乱数生成器151から発生した新たな6ビットの数字列に更新する。携帯側更新コード更新後の値を記憶しておく。
【0093】
入居者は前記携帯型解錠コード作成装置130を錠2の画像取得手段71にかざし、画像取得手段71が二次元コードの画像を取得し、コードリーダー8で二次元コードの画像に含まれているデータを読み取り、ビット列に変換する。ビット列化されたデータは、復号器で特定の共通暗号鍵を用いてデータを復号するものである。
【0094】
そして、当該二次元データから復号化されたデータと、錠2の秘密情報記憶部25に記憶された秘密情報と、特定情報記憶手段に記憶された特定情報と、錠2側更新コードを比較する。その結果、全てが一致すれば解錠となる。
解錠が確認されれば、図20の錠2側更新コードを更新する。更新方法は、錠2更新コードの下位数字列を上位数字列へ書き込む(錠2側更新コードを6ビット左シフトする。)。(2)携帯側更新コードの上位数字列を錠2側更新コードの下位数字列として書き込んで更新する。(錠2側更新コードを6ビット左シフトで空いた部分に上位数字列を入力する。)。
【0095】
入居者が2度目以降に解錠する場合も、上記と同等の比較を行う。
【0096】
携帯型解錠コード作成装置130では、少なくとも対象となる錠を特定する対象情報と、秘密情報から選択された特定秘密情報と、携帯型解錠コード作成装置130を起動するごとに更新される携帯側更新コードとを含んだ暗号が作成される。
これらの対象情報と、特定秘密情報と、携帯側更新コードを暗号化手段115へ入力後、二次元コード作成部42によって二次元コードに変換する。
【0097】
対象情報は、錠を特定する情報で、例えば部屋番号などが挙げられる。
特定秘密情報は秘密情報から選択される。
携帯側更新コードは、上位と下位の6ビット 計12ビットの数字列からなり、当該施解錠システムを起動後、乱数生成器151から6ビットの乱数が発生し、当該乱数は携帯側更新コードの上位を下位へ移動したのち、上位の数字列に書き込まれ、データ記憶部に記憶される。前記携帯側更新コードを用いて入力用コードを作成し、暗号化後に携帯型解錠コード作成装置130の携帯画面に二次元データが表示される。
【0098】
錠2は、少なくともコード読み取り手段と、複数の秘密情報を記憶する秘密情報記憶手段と、当該錠を特定する特定情報と復号手段を有し、携帯型解錠コード作成装置130で二次元化した入力用暗号データを画像取得手段(内蔵カメラ)71によって画像として取得する。取得した画像は、コード読み取り装置にて、数字列に変換した後、復号化される。当該二次元コードは復号器33にて、対象情報と、特定秘密情報(67ビットの数字列)と、携帯側更新コード(上位と下位で6ビットずつの数字列)に復元される。
【0099】
そして施解錠後には、(1)錠2側更新コードの下位数字列を上位数字列へ移動させる。(2)携帯側更新コードの上位数字列を錠2側更新コードの下位数字列として書き込んで更新を行う。更新された錠2側更新コードは、錠2のデータ記憶手段で記憶される。
【0100】
携帯側更新コードは、携帯型解錠コード作成装置が起動されればすぐに更新されるようになっており、乱数生成器151から生成した乱数を携帯側更新コードの上位数字列に書き込まれる。このとき元の上位数字列は下位数字列として下位に移動し、更新される。錠2側更新コードは、携帯型解錠コード作成装置が起動し、一度施解錠しなければ更新されない。錠2側更新コードは施解錠が終わったのち更新されるが、まず、錠2側更新コードの下位数字列が上位数字列に移動し、空いた下位数字列に前記携帯側更新コードの上位の数字列を書き込む。
【0101】
ここで、解錠する条件としては、図19のように前記錠2に記憶された解錠コードが、前記携帯型解錠コード作成装置で入力され、二次元コード化された後、復号された入力用コードデータと合致することを条件とする。つまり、復号後の入力用コードデータの特定秘密情報が錠2の秘密情報記憶部にある秘密情報と合致し、解錠コードデータの特定情報と復号後の入力用コードデータの対象情報とが合致し、さらに携帯側更新コードの下位の数字列と、錠2側更新コードの下位の数字列が合致することが好ましい。
【0102】
錠2側更新コードの下位の数字列と、携帯側更新コードの下位の数字列が合致しない場合は、錠2側更新コードの上位の数字列と携帯側更新コードの下位の数字列を比較し、合致すれば施解錠が可能となる。
施解錠後は、携帯画面に示す施解錠終了ボタンを押し、施解錠が完了する。
【0103】
次に、携帯側更新コードと、錠2側更新コードの更新の一例を図20に示す。図20に示すように、初期設定は携帯側更新コードと錠2側更新コードの上位、下位ともに同じ数字列である。携帯型解錠コード作成装置130を起動させると、乱数生成器151から乱数が生成され、携帯側更新コードの上位に組み込まれ、更新される。従って、この時の携帯側更新コードの上位が「101010」となり、下位が「111111」となる。初回の比較対象となる錠2側更新コードは、施解錠が行われていないので更新されず、上位、下位ともに「111111」となっている。
ここで、携帯側更新コードと、錠2側更新コードの下位はどちらも同じ数字列なので問題なく解錠できる。
【0104】
一度解錠すれば錠2側更新コードが更新される。錠2側更新コードの更新は、(1)錠2側更新コードの下位数字列を上位数字列として書き込む。(2)携帯側更新コードの上位数字列を錠2側更新コードの下位数字列として書き込んで更新するので、更新後は、上位が「111111」、下位が「101010」となる。また、錠2は、この更新後の錠2側更新コードを記憶する。さらに、入居者はこのとき携帯画面の施解錠終了ボタンを押し、解錠を終了する。
【0105】
次回施解錠を行うために携帯型解錠コード作成装置130を起動させると、初回と同様に携帯側更新コードが更新される。乱数生成器151から生成された乱数「000111」を上位に書き込むとともに上位数字列「101010」が下位数字列として移動する。
この携帯側更新コードと入力用コードが暗号化され、そして二次元コード化され、錠2側に読み込まれる。次に、錠2側で記憶されている錠2側更新コードと錠2で読み込まれた携帯側更新コードとを比較する。
つまり、携帯側更新コードの上位数字列「000111」、下位数字列「101010」と錠2側更新コードの上位数字列「111111」、下位数字列「101010」の下位数字列同士を比べるとどちらも「101010」なので施解錠できる。
施解錠の条件は図19の秘密情報、対象情報、そして前記更新コードとなる。
このように施解錠ごとに携帯側更新コードと錠2側更新コードが更新されるので、さらに安全性が高まる。
【0106】
また、生成した二次元コードを錠2に提示せず、携帯画面の施解錠終了ボタンを押してしまった場合は、前記錠2の錠2側更新コードが更新されない。従って、携帯側更新コードと比較した場合に、合致せず解錠できない場合が発生する。
【0107】
本実施形態では、図21のように携帯側更新コードの下位数字列の過去20回分と、錠2側更新コードの下位数字列を比較し、一回でも合致すれば解錠可能とする。このとき、比較回数が21回を超えるとエラー処理を行う。
前記方法は、入力用コード内のビットを用いて実現する方法例である。
しかし、共通鍵暗号の暗号化モードを利用して実現してもよい。
例えば、CBCモードのように暗号化時に初期化ベクトルと呼ばれる初期値を活用することである。
前記の更新コードの代わりに暗号化時の初期値を前記携帯型解錠コード作成装置130と錠2の間で取り決め、次に前記の更新コードを更新するタイミングで初期値(初期化ベクトル)をカウントアップする等でもよい。
【0108】
本実施形態では、前記携帯型解錠コード作成装置130で生成される二次元コードの時期情報を保有する。つまり、前記携帯型解錠コード作成装置130で二次元コードを作成した時刻を把握する。前記錠2は時期認定機能を持っており、該時期認定機能には時刻情報も含まれる。そして前記携帯型解錠コード作成装置130での二次元コートを作成した時刻と、錠2の時刻を比べることで、錠2の時刻補正に使用することができる。
【0109】
前記錠2の時刻補正は、前記携帯型解錠コード作成装置130で二次元コードが生成された時と時間をあけずに、前記二次元コードを錠2のコード読み取り手段にて読み取る必要がある。つまり、二次元コード生成と、二次元コード読み取りを瞬時又は取り決めた時間に行う必要がある。例えば前記二次元コード生成と二次元コード読み取りとの間は5分以内とする必要がある。
【0110】
そして図22のように、前記携帯型解錠コード作成装置130での二次元コードを生成した時刻と、錠2の時刻を比べる。その差が3分以内の場合、補正は行わない。その差が3~4分あると、錠2の時刻を携帯型解錠コード作成装置130で二次元コートを生成した時刻に補正する。
この時刻補正をするために、携帯型解錠コード作成装置130の二次元コードが生成された後、二次元コードは5分間有効とすることによって、当該補正は自動的に行われる。
【0111】
本発明の実施形態によれば、施解錠ごとに暗号化された施解錠データが変わるので安全性が高くなる。また、更新前の携帯側更新コードを含む二次元コードによっても解錠可能とできる。また、該二次元コードを生成した時刻と、錠の時期情報とを比較することによって、錠の時刻補正を行うことができる。
【符号の説明】
【0112】
1 施解錠システム
2 錠
3 解錠コード作成装置
8 コードリーダー
10 操作部
11 暗号入力手段
12 表示部
20 錠側制御装置
21 二次元コード処理部
22 カレンダー機能部
25 暗号記憶部
27 特定情報記憶部
28 照合手段
31 コード読み出し手段
32 復号手段
33 復号器
35 共通鍵
36 共通鍵記憶部
37 切換え手段
40 データ一時保管部
42 二次元コード作成部
50 暗号化処理
51 コード作成手段
60 暗号器
71 画像取得手段
113携帯側暗号データ作成部
130携帯型解錠コード作成装置
150切換えスイッチ
151乱数生成器
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