(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005170
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】除菌システム
(51)【国際特許分類】
A61L 9/14 20060101AFI20250108BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20250108BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20250108BHJP
F24F 8/30 20210101ALI20250108BHJP
F24F 8/158 20210101ALI20250108BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20250108BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20250108BHJP
B05B 17/06 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
A61L9/14
A61L9/01 B
C02F1/44 A
C02F1/44 H
F24F8/30
F24F8/158
F24F8/22
F24F8/80 110
F24F8/80 200
B05B17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105234
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】523245850
【氏名又は名称】森久 康彦
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【弁理士】
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】森久 康彦
【テーマコード(参考)】
4C180
4D006
4D074
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180CB01
4C180DD09
4C180EA52X
4C180GG09
4C180HH05
4C180JJ05
4C180KK05
4C180LL20
4D006GA03
4D006GA06
4D006PA01
4D006PB02
4D006PC80
4D074AA10
4D074DD03
4D074DD05
4D074DD12
4D074DD17
4D074DD34
4D074DD55
(57)【要約】
【課題】人の健康に影響を及ぼす恐れのある除菌液を使用せずとも、空間内に存在する菌やウイルスを不活化することが可能な除菌システムを提供する。
【解決手段】本発明の除菌システムは、常水を水処理して精製水を生成する水処理手段、及び、精製水を超音波振動により微粒子化して噴霧する噴霧手段によって構成される。噴霧手段は霧化タンク、霧化デバイス、送風口から送風する送風機、送出口、第一バッフルプレート及び第二バッフルプレートを備える。第一バッフルプレートは霧化タンクにおける幅方向一端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第一エッジ部を備え、送風口は霧化タンクの天面において、第一接続部よりも幅方向一端側寄りで、かつ、第一エッジ部よりも幅方向他端側寄りに配設される。第二バッフルプレートは、幅方向他端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第二エッジ部を備え、送出口は第二接続部よりも幅方向他端側寄りに配設される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常水を水処理して精製水を生成する水処理手段、及び、
前記精製水を超音波振動により微粒子化して噴霧する噴霧手段であって、
所定の幅を有し前記精製水を貯留可能な霧化タンクと、
前記霧化タンク内において前記精製水を霧化して微粒子を生成する超音波振動子が幅方向に複数配設された霧化デバイスと、
所定の回転数を保持可能な送風部材を備え、前記精製水の微粒子を搬送するための搬送エアを、前記霧化タンクに設けられた送風口から前記霧化タンク内に吐出する送風機と、
前記霧化タンクに設けられ、前記微粒子を前記搬送エアとともに送出する送出口と、
前記超音波振動子のうち幅方向一端側に配設された超音波振動子によって発生する精製水の液柱を受けるよう配設される第一バッフルプレートと、
前記超音波振動子のうち幅方向他端側に配設された超音波振動子によって発生する精製水の液柱を受けるよう配設される第二バッフルプレートとを備え、
前記第一バッフルプレートは、前記霧化タンクの幅方向一端側に向けて側方又は斜め下方に傾斜して配設されるとともに、前記霧化タンクにおける幅方向一端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第一エッジ部と、前記霧化タンクの天面の内側に接続される第一接続部を備え、
前記送風口は、前記霧化タンクの天面において、前記第一接続部よりも前記霧化タンクの幅方向一端側寄りで、かつ、前記第一エッジ部よりも前記霧化タンクの幅方向他端側寄りに配設され、
前記第二バッフルプレートは、前記霧化タンクの幅方向他端側に向けて側方又は斜め下方に傾斜して配設されるとともに、前記霧化タンクにおける幅方向他端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第二エッジ部と、前記霧化タンクの天面の内側に接続される第二接続部を備え、
前記送出口は前記第二接続部よりも前記霧化タンクの幅方向他端側寄りに配設される、噴霧手段、
によって構成される除菌システム。
【請求項2】
常水を水処理して精製水を生成する水処理手段、及び、
前記精製水を超音波振動により微粒子化して噴霧する噴霧手段であって、
所定の幅を有し精製水を貯留可能な霧化タンクと、
前記霧化タンク内において前記精製水を霧化して微粒子を生成する超音波振動子が幅方向に複数配設された霧化デバイスと、
所定の回転数を保持可能な送風部材を備え、前記精製水の微粒子を搬送するための搬送エアを、前記霧化タンクに設けられた送風口から前記霧化タンク内に吐出する送風機と、
前記霧化タンクに設けられ、前記微粒子を前記搬送エアとともに送出する送出口と、
前記超音波振動子のうち幅方向一端側に配設された超音波振動子によって発生する精製水の液柱を受けるよう配設される第一バッフルプレートと、
前記超音波振動子のうち幅方向他端側に配設された超音波振動子によって発生する精製水の液柱を受けるよう配設される第二バッフルプレートとを備え、
前記第一バッフルプレートは、前記霧化タンクの幅方向一端側に向けて側方又は斜め下方に傾斜して配設されるとともに、前記霧化タンクにおける幅方向一端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第一エッジ部と、前記霧化タンクの天面の内側に接続される第一接続部を備え、
前記送風口は前記霧化タンクの幅方向一端側の側面において、前記第一エッジ部よりも上方に配設され、
前記第二バッフルプレートは、前記霧化タンクの幅方向他端側に向けて側方又は斜め下方に傾斜して配設されるとともに、前記霧化タンクにおける幅方向他端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第二エッジ部と、前記霧化タンクの天面の内側に接続される第二接続部を備え、
前記送出口は前記第二接続部よりも前記霧化タンクの幅方向他端側寄りに配設される、噴霧手段、
によって構成される除菌システム。
【請求項3】
前記水処理手段が、逆浸透膜処理、イオン交換処理、活性炭吸着処理、紫外線処理、限外ろ過膜処理、又は、蒸留のうちいずれか一つあるいはその組み合わせによって構成される、
請求項1又は2に記載の除菌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌システムに関し、特に、空気中に浮遊するウィルスや細菌を、アルコールや塩素系の薬剤を用いずに除菌するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中には様々なウイルスや細菌が浮遊しており、人体に取り込まれると各種疾病の原因となるため、除去することが望ましい。また、学校や病院、駅や商業施設、オフィスビルなど不特定多数の人が往来する場所では、様々なウイルスや細菌が持ち込まれるため、感染の拡大を抑制するためには、施設内の各所を効果的に除菌することが特に望ましい。
【0003】
除菌の方法として、ウイルスや細菌を不活化する効果のある、アルコールや塩素系の除菌液を用い、人の手が触れる箇所や床などを清拭することが考えられる。ただし、このような方法は、人が触れると想定される様々な箇所をこまめに清拭する必要があり、大変な手間がかかるため、実用的ではない。
【0004】
また、アルコールや塩素系の除菌液を霧化して空間内に噴霧することで、空気中に浮遊する菌に接触させて不活化することが考えられている(特許文献1)。
【0005】
特許文献1に記載されるようなこの方法は、噴霧手段から自動的に除菌液を噴霧させればよく、人手を用いなくても効果的に除菌を行うことができるため、様々な場所において活用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、空間内に広く噴霧された除菌液は、ウイルスや細菌を不活化させるだけでなく、鼻や口を通じて人体に取り込まれることにもなるため、人の健康に影響を及ぼす恐れのある除菌液を噴霧することに対して敬遠する声も少なくない。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、人の健康に影響を及ぼす恐れのある除菌液を使用せずとも、空間内に存在する菌やウイルスを不活化することが可能な除菌システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明の発明者らは、常水から不純物を除去した精製水を、超音波振動による霧化とバッフルプレートによる選別によってブラウン運動を起こすことができる程度に微粒子化させて噴霧することで、空間内に存在する菌やウイルスを効果的に不活化することができることを見出し、本願発明に至った。
【0010】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
第1の特徴に係る除菌システムは、常水を水処理して精製水を生成する水処理手段、及び、精製水を超音波振動により微粒子化して噴霧する噴霧手段によって構成される。噴霧手段は、所定の幅を有し前記精製水を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内において精製水を霧化して微粒子を生成する超音波振動子が幅方向に複数配設された霧化デバイスと、所定の回転数を保持可能な送風部材を備え、精製水の微粒子を搬送するための搬送エアを、霧化タンクに設けられた送風口から霧化タンク内に吐出する送風機と、霧化タンクに設けられ、微粒子を搬送エアとともに送出する送出口と、超音波振動子のうち幅方向一端側に配設された超音波振動子によって発生する精製水の液柱を受けるよう配設される第一バッフルプレートと、超音波振動子のうち幅方向他端側に配設された超音波振動子によって発生する精製水の液柱を受けるよう配設される第二バッフルプレートとを備え、第一バッフルプレートは、霧化タンクの幅方向一端側に向けて側方又は斜め下方に傾斜して配設されるとともに、霧化タンクにおける幅方向一端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第一エッジ部と、霧化タンクの天面の内側に接続される第一接続部を備え、送風口は、霧化タンクの天面において、第一接続部よりも霧化タンクの幅方向一端側寄りで、かつ、第一エッジ部よりも霧化タンクの幅方向他端側寄りに配設され、第二バッフルプレートは、霧化タンクの幅方向他端側に向けて側方又は斜め下方に傾斜して配設されるとともに、霧化タンクにおける幅方向他端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第二エッジ部と、霧化タンクの天面の内側に接続される第二接続部を備え、送出口は第二接続部よりも霧化タンクの幅方向他端側寄りに配設される。
【0012】
第1の特徴に係る発明によれば、二枚のバッフルプレートの配置と送風口の配置により、単にバッフルプレートで液柱を受けるよりも微細な粒子を搬送エアによって搬送することができ、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを選択的に噴霧することが可能となる。そして、噴霧される精製水はブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子となっているため、噴霧された空間の隅々にまで行き届き、空間内に浮遊しているウイルスや細菌を不活化することができる。特に、常水から不純物を除去した精製水を微粒子化しているため、不純物の影響を受けることなく空間内に均一に浮遊することができる。そのため、空間内の様々な場所に散在しているウイルスや細菌を精製水の微粒子が捕集して確実に不活化することができる。
【0013】
第2の特徴に係る除菌システムは、常水を水処理して精製水を生成する水処理手段、及び、精製水を超音波振動により微粒子化して噴霧する噴霧手段によって構成される。噴霧手段は、所定の幅を有し前記精製水を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内において精製水を霧化して微粒子を生成する超音波振動子が幅方向に複数配設された霧化デバイスと、所定の回転数を保持可能な送風部材を備え、精製水の微粒子を搬送するための搬送エアを、霧化タンクに設けられた送風口から霧化タンク内に吐出する送風機と、霧化タンクに設けられ、微粒子を搬送エアとともに送出する送出口と、超音波振動子のうち幅方向一端側に配設された超音波振動子によって発生する精製水の液柱を受けるよう配設される第一バッフルプレートと、超音波振動子のうち幅方向他端側に配設された超音波振動子によって発生する精製水の液柱を受けるよう配設される第二バッフルプレートとを備え、第一バッフルプレートは、霧化タンクの幅方向一端側に向けて側方又は斜め下方に傾斜して配設されるとともに、霧化タンクにおける幅方向一端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第一エッジ部と、霧化タンクの天面の内側に接続される第一接続部を備え、送風口は霧化タンクの幅方向一端側の側面において、第一エッジ部よりも上方に配設され、第二バッフルプレートは、霧化タンクの幅方向他端側に向けて側方又は斜め下方に傾斜して配設されるとともに、霧化タンクにおける幅方向他端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第二エッジ部と、霧化タンクの天面の内側に接続される第二接続部を備え、送出口は第二接続部よりも霧化タンクの幅方向他端側寄りに配設される。
【0014】
第2の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明と同様、二枚のバッフルプレートの配置と送風口の配置により、単にバッフルプレートで液柱を受けるよりも微細な粒子を搬送エアによって搬送することができ、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを選択的に噴霧することが可能となる。そして、噴霧される精製水はブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子となっているため、噴霧された空間の隅々にまで行き届き、空間内に浮遊しているウイルスや細菌を不活化することができる。特に、常水から不純物を除去した精製水を微粒子化しているため、不純物の影響を受けることなく空間内に均一に浮遊することができる。そのため、空間内の様々な場所に散在しているウイルスや細菌を精製水の微粒子が捕集して確実に不活化することができる。
【0015】
また、第3の特徴に係る除菌システムは、第1又は第2の特徴に係る発明であって、水処理手段が、逆浸透膜処理、イオン交換処理、活性炭吸着処理、紫外線処理、限外ろ過膜処理、又は、蒸留のうちいずれか一つあるいはその組み合わせによって構成される。
【0016】
第3の特徴に係る発明によれば、用いる常水や含有される不純物の種類に応じて水処理の内容を組み替えることで、必要な精製度を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、人の健康に影響を及ぼす恐れのある除菌液を使用せずとも、空間内に存在する菌やウイルスを不活化することが可能な除菌方法及び除菌システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る除菌システムの全体構成を表す模式図である。
図1(a)は水処理手段と噴霧手段が別体のものであり、
図1(b)は水処理手段が噴霧手段に内蔵されたものである。
【
図2A】
図2Aは、本実施形態に係る噴霧手段2の斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、本実施形態に係る噴霧手段2のカバー部材80を外した状態の正面図である。
【
図2C】
図2Cは、本実施形態に係る噴霧手段2のカバー部材80を外した状態の右側面図である。
【
図2D】
図2Dは、本実施形態に係る噴霧手段2のカバー部材80を外した状態の背面図である。
【
図3A】
図3Aは、本実施形態に係る微粒子化ユニット10の部分拡大斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、本実施形態に係る微粒子化ユニット10の使用時の状態における模式図である。
【
図4A】
図4Aは、本実施形態に係る噴霧手段2の吹き出しユニット30の斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、本実施形態に係る噴霧手段2の吹き出しユニット30の平面図である。
【
図4C】
図4Cは、本実施形態に係る噴霧手段2の吹き出しユニット30の正面図である。
【
図4D】
図4Dは、本実施形態に係る噴霧手段2の吹き出しユニット30の底面図である。
【
図5A】
図5Aは、本実施形態に係る据付ユニット60の正面図である。
【
図5C】
図5Cは、本実施形態に係るベース部材61の底面図である。
【
図6A】
図6Aは、本実施形態に係るトップ部材63の、トップ部材カバー63gを外した状態における平面図である。
【
図6C】
図6Cは、本実施形態に係るトップ部材63の底面図である。
【
図6D】
図6Dは、本実施形態に係るトップ部材カバー63gの平面図である。
【
図6E】
図6Eは、精製水補給時におけるトップ部材63と吹き出しユニット30の斜視図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る除菌システムを使用した除菌方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0020】
[除菌システムの全体構成]
図1を用いて、本実施形態に係る除菌システムの全体構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る除菌システムの全体構成を表す模式図である。
図1(a)は水処理手段と噴霧手段が別体のものであり、
図1(b)は水処理手段が噴霧手段に内蔵されたものである。
【0021】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、本実施形態に係る除菌システムは、常水から不純物を除去して精製水を生成する水処理手段1、及び、精製水を超音波振動により微粒子化して噴霧する噴霧手段2によって構成される。
【0022】
水処理手段1は、常水から不純物を除去することで精製水を生成するためのものである。水処理手段1による不純物の除去は、逆浸透膜による処理、イオン交換樹脂を用いて常水中の陽イオン及び陰イオンを除去するイオン交換処理、活性炭に不純物を吸着させる吸着処理、紫外線を照射して不純物を除去する紫外線処理、限外ろ過膜を用いて限外ろ過を行う限外ろ過膜処理、水と不純物の沸点の違いを利用して不純物を分離する蒸留、のいずれか一つ又はそれらの組み合わせによって行われる。
【0023】
噴霧手段2は、水処理手段1で不純物を除去された精製水を、超音波振動によってブラウン運動を起こすことができる程度に微粒子化して噴霧するものである。ブラウン運動を起こすことができる程度とは、具体的には、0.1~1.0μm程度の平均粒径を有する微粒子を指す。詳細は後述するが、本実施形態において、噴霧手段2は、超音波振動子を用いて霧化した粒子をバッフルプレートを用いて選別することによって、ブラウン運動を起こすことができる程度の粒径を持つ微粒子のみを取り出して噴霧する。
【0024】
次に、
図2~
図6を用いて、本実施形態に係る噴霧手段2について説明する。なお、以下では、
図1(a)に示すような、水処理手段1と噴霧手段2が別体のものについて説明する。
図2Aは噴霧手段2の全体構成を表す斜視図を示し、
図2Bはカバー部材80を外した状態の正面図を示し、
図2Cはカバー部材80を外した状態の右側面図を示し、
図2Dはカバー部材80を外した状態の背面図を示す。また、
図3Aは微粒子化ユニット10の部分拡大斜視図を示し、
図3Bは微粒子化ユニット10の使用時の様子を示す模式図である。また、
図4Aは吹き出しユニット30の斜視図を、
図4Bは吹き出しユニット30の平面図を、
図4Cは吹き出しユニット30の正面図を、
図4Dは吹き出しユニット30の底面図を示す。また、
図5Aは、据付ユニット60の正面図を、
図5Bは
図5AのA-A断面図を、
図5Cはベース部材61の底面図を示す。また、
図6Aはトップ部材63の、トップ部材カバー63gを外した状態における平面図を、
図6Bは
図6AのA-A断面図を、
図6Cはトップ部材63の底面図を、
図6Dはトップ部材カバー63gの平面図を、
図6Eは液剤補給時におけるトップ部材63と吹き出しユニット30の斜視図を示す。なお、
図2Bにおいては、液位センサ15、制御ユニット50及び電源ユニット70は省略して図示し、
図2Cにおいては、電源ユニット70は省略して図示する。
【0025】
図2A~
図2Dに示すように、本実施形態の噴霧手段2は、精製水を霧化して微粒子を生成し搬送する微粒子化ユニット10と、微粒子化ユニット10に供給するための精製水を貯留するタンクユニット20と、微粒子化ユニット10で生成された微粒子を吹き出す吹き出しユニット30と、微粒子化ユニット10で生成された微粒子の送出及び微粒子化ユニット10への精製水の供給を行う供給ユニット40と、各ユニットを構成する機器の制御を行う制御ユニット50と、それぞれのユニット同士を固定する据付ユニット60と、各機器に電力を供給する電源ユニット70と、それぞれのユニットを覆うカバー部材80によって構成される。
【0026】
[微粒子化ユニット10の構成]
図2及び
図3を使用して、本実施形態に係る微粒子化ユニット10について説明する。
図3Aは微粒子化ユニット10の部分拡大斜視図を示し、
図3Bは微粒子化ユニット10の使用時の様子を示す模式図である。なお、
図3Aにおいては、送風機13及びHEPAフィルタ13fの図示を省略している。
【0027】
図3Aに示すように、微粒子化ユニット10は、所定の幅を有し精製水を貯留可能な霧化タンク11と、霧化タンク11内において精製水を霧化して微粒子を生成する超音波振動子12a、12b、12c・・・が幅方向及び奥行き方向に複数配設された霧化デバイス12と、所定の回転数を保持可能な図示しない送風部材を備え、精製水の微粒子を搬送するための搬送エアを、霧化タンク11に設けられた送風口11bから霧化タンク11内に吐出する送風機13と、超音波振動子12a、12b、12c・・・によって発生する精製水の液柱を受けるよう配設される二枚のバッフルプレート14a、14bと、霧化タンク11内の液位を検知する液位センサ15とを備える。
【0028】
霧化タンク11は、タンクユニット20から供給される精製水を貯留して霧化するためのものであり、所定の幅を有する略直方体の形状を呈する。霧化タンク11の天面11dには供給口11aが形成されており、後述する供給ユニット40の精製水供給ポンプ41を介してタンクユニット20から供給された精製水が供給口11aを介して霧化タンク11内に流入する。また、霧化タンク11の天面11dには送風口11bが形成されており、送風機13からの搬送エアが送風口11bを通じて霧化タンク11内に流入する。さらに、霧化タンク11の天面11dには送出口11cが形成されており、霧化タンク11内で霧化された微粒子が搬送エアとともに送出口11cから送出される。霧化タンク11は後述する据付ユニット60の下部ベース61に、例えばねじ止めなどの周知の手段によって固定される。このとき、霧化タンク11は、据付ユニット60の六本の柱状部材62によって画定される領域の内側に配設される。なお、霧化タンク11はポリエチレンテレフタラート(PET)によって形成される。また、本実施形態においては、霧化タンク11の天面11dは、霧化タンク11の本体部分に装着される天面部材によって形成される。
【0029】
霧化デバイス12は霧化タンク11内の底部に配設された複数の超音波振動子12a、12b、12c・・・を備えるデバイスであり、電源ユニット70から供給される電力によって作動して超音波を発する。本実施形態に係る霧化デバイス12は、霧化タンク11の奥行き方向にわたって2列、幅方向にわたって3列の超音波振動子12a、12b、12c、12d、12e、12fが平面状に配設されており、霧化タンク11内の広範囲にわたって精製水を霧化して微粒子を発生させる。霧化デバイス12を作動させると、液面からは配列された超音波振動子12a、12b、12c・・・ごとに、それぞれの超音波振動子12a、12b、12c・・・の上方に向けて液柱が発生する。
【0030】
送風機13は、制御ユニット50からの信号に応じて回転数を制御可能な図示しない送風部材を備えており、霧化された精製水を搬送するための搬送エアを送風口11bを通じて霧化タンク11内に供給するものであり、搬送エアを吐出する図示しない吐出口が霧化タンク11の送風口11bに接続され、下方に向けて送風可能に配設される。本実施形態において、送風機13は電源ユニット70から供給される電力によって駆動され、制御ユニット50からの信号に応じて印加電圧を変化させることで回転数を制御する。
【0031】
また、
図3Bに示すように、送風機13は、略鉛直下向きの吐出口と、吐出口に直交する吸込口を有し、回転軸の軸方向から吸い込んだ空気を径方向へ吹き出す遠心ファンとして形成される。つまり、略水平に配設された図示しない送風部材の回転軸の軸方向から水平方向に空気を吸い込み、送風部材によって圧力が印可されて略鉛直下向きの吐出口から径方向に空気が押し出されて霧化タンク11内に供給される。
【0032】
本実施形態における送風機13は、略水平方向に延設される回転軸に直交する吸込口を有し水平方向から搬送エアを吸い込むとともに、吸込口から略直角方向に変位した下方に搬送エアを吐出する形式であるため、送風機への吸込み圧力を強く維持することができる。そのため、風量を維持しつつ大きな圧力損失を引き起こすことができ、低圧力かつ大流量の搬送エアを発生させ、ブラウン運動ができる程度の微細な微粒子を大量に生成することができる。
【0033】
また、このとき、送風部材の回転軸に直交する吸い込み面を持ち略水平方向に空気を吸い込む吸込口にHEPAフィルタ13fが装着されているため、HEPAフィルタ13fの設置面積を広く取ることができ、効果的に空気中の細菌や雑菌を捕捉することが可能となる。しかも、本実施形態における送風機13は送風部材の回転軸の軸方向から吸い込み径方向から吐出する遠心ファンの形式を有し吸引力が強いため、吸引したエアに含まれる細菌類を確実にHEPAフィルタで捕捉することができる。
【0034】
また、同じ細菌の除去効率を発揮するにしても、HEPAフィルタ13fの設置面積を広く取ることによって少ない圧力損失で効果を発揮することができるため、過大な送風機を設置する必要はない。特に、本発明の噴霧手段においては、後述するように、霧化タンク11に吹き込む搬送エアをバッフルプレート14a、14bに衝突させることで霧化タンク11内で圧力損失を引き起こし、ブラウン運動をすることができる小さな微粒子のみを搬送するものであるから、霧化タンク11内に供給されるよりも前に大きな圧力損失が発生することは避けなければならない。
【0035】
なお、吸込口に装着するHEPAフィルタ13fは着脱可能に形成し、定期的に洗浄できるようにすることが好ましい。
【0036】
次に、二枚のバッフルプレート14a、14bについて説明する。バッフルプレート14a、14bはステンレス鋼によって形成された平板状の部材であり、その基本的機能は、霧化デバイス12の超音波振動によって発生した液滴を大きな液滴と小さな微粒子とに分けることである。つまり、それぞれの超音波振動子12a、12b、12c・・・の上方に液柱が発生すると、液柱に含まれる粒径の大きな液滴はバッフルプレート14a、14bに衝突して下方に流れ霧化タンク11に貯留される液層に還流する。一方、液柱に含まれる粒径の小さな霧滴は、バッフルプレート14a、14b近傍に浮遊した状態となり、送風機13によって供給される搬送エアに伴い送出口11cへ搬送される。このように、バッフルプレート14a、14bの働きによって、超音波振動によって発生した粒径の大きな液滴と粒径の小さな霧滴とを分離することができる。
【0037】
このような基本的機能に加え、本実施形態に係るバッフルプレート14a、14bは、さらに、後述する機能を発揮できるよう、下記のように配設される。
【0038】
本実施形態に係るバッフルプレート14a(本発明における第一バッフルプレート)は、送風口11bの下方であって、超音波振動子のうち霧化タンク11の幅方向一端側に配設された超音波振動子12a、12dの上方に配設される。
【0039】
また、バッフルプレート14aは、一端が霧化タンク11の天面11dに接続される接続部14ac(本発明における第一接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク11の幅方向一端側の側面と所定の間隔を隔てて配設されるエッジ部14ae(本発明における第一エッジ部)を有するよう、霧化タンク11の幅方向一端側に向けて斜め下方に傾斜して配設される。
【0040】
バッフルプレート14b(本発明における第二バッフルプレート)は、供給口11a及び送出口11cの下方であって、超音波振動子のうち霧化タンク11の幅方向他端側に配設された超音波振動子12c、12fの上方に配設される。
【0041】
また、バッフルプレート14bは、一端が霧化タンク11の天面に接続される接続部14bc(本発明における第二接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク11の幅方向他端側、つまり、バッフルプレート14aが配設される側とは逆側の側面と所定の間隔を隔てて配設されるエッジ部14be(本発明における第二エッジ部)を有するよう、バッフルプレート14aとは逆方向、つまり、霧化タンク11の幅方向他端側に向けて斜め下方に傾斜して配設される。
【0042】
つまり、バッフルプレート14aの端部は霧化タンク11の幅方向一端側の側面と所定の間隔を隔てるよう配設され、バッフルプレート14bの端部は霧化タンク11の幅方向他端側の側面と所定の間隔を隔てるよう配設される。
【0043】
そして、送風口11bはバッフルプレート14aの接続部14acよりも幅方向一端側寄りで、かつ、エッジ部14aeよりも霧化タンク11の幅方向他端側寄りに設けられるとともに、送出口11cはバッフルプレート14bの接続部14bcよりも幅方向他端側寄りに設けられる。
【0044】
液位センサ15は霧化タンク11内に貯留されている精製水の液位を検知するためのものであり、本実施形態においては霧化タンク11の外部に配設されたフロート式のものが使用される。この場合、霧化タンク11には、適宜の高さに図示しない流通孔が設けられており、流通孔を通じて液位センサ15に精製水が流入する。流通孔を通じて接続された霧化タンク11と液位センサ15は同じ圧力下におかれるため、液位センサ15内の液位と霧化タンク11内の液位は同じ値となる。このようにして、外付けの液位センサ15によって霧化タンク11の液位が検知されるが、液位を計測できるものであればこれに限ったものではない。本実施形態における液位センサ15は、所定の第一液位h1、及び、第一液位h1よりも高い第二液位h2を検知するために使用される。
【0045】
停止センサ16は、液位センサ15と同様に、霧化タンク11内に貯留されている精製水の液位を検知するためのものであるが、後述するように、噴霧手段2の運転を強制的に停止することを判別するための液位を検知するものである。
【0046】
上述の通り、霧化タンク11は、据付ユニット60の六本の柱状部材62によって画定される領域の内側に配設されるが、同様に、微粒子化ユニット10を構成する各機器も、六本の柱状部材62によって画定される領域の内側に配設される。言い換えると、平面で見たときに、複数の柱状部材62が最も外側に位置し、複数の柱状部材62に囲まれる領域の内側に各機器が位置するように配設される。
【0047】
[タンクユニット20の構成]
タンクユニット20は、霧化タンク11に供給する精製水を一時的に貯留しておくためのものであり、微粒子化ユニット10の上方に配置される。タンクユニット20は略直方体の形状を呈しており、上面には、後述するトップ部材63の精製水補給口63eに連通する流入口が開口する。また、底面には、供給ユニット40の精製水供給管42に接続される接続口が開口する。タンクユニット20は後述する据付ユニット60の六本の柱状部材62によって画定される領域の内側に配設されるよう、例えばねじ止め等の周知の手段によって柱状部材62に固定される。このとき、タンクユニット20の外面にフランジ部を設け、フランジ部において柱状部材62との接続を行うようにしてよい。タンクユニット20の略中央部には、上下方向に凹部20aが形成されており、霧化タンク11から吹き出しユニット30に微粒子と搬送エアを供給する供給パイプ43が当該凹部20aを通ることができるよう構成される。タンクユニット20の容量は、霧化タンク11の容量よりも大きく、タンクユニット20への一回の精製水の補給によって、霧化タンク11への精製水の供給を複数回にわたって行うことができるため、長時間にわたって運転を継続することが可能である。なお、タンクユニット20は、霧化タンク11と同様に、ポリエチレンテレフタラート(PET)によって形成される。
【0048】
[吹き出しユニット30の構成]
図4を用いて、吹き出しユニット30について説明する。
図4Aは吹き出しユニット30の斜視図を、
図4Bは吹き出しユニット30の平面図を、
図4Cは吹き出しユニット30の正面図を、
図4Dは吹き出しユニット30の底面図を示す。
【0049】
吹き出しユニット30は、微粒子化ユニット10で生成された微粒子を搬送エアとともに吹き出すためのものであり、据付ユニット60の最上部に配設されるトップ部材63から上方に突出するように設置される。吹き出しユニット30は、所定の幅、奥行き及び高さを有する無底の略筒状の吹き出し部材31によって形成され、上端には斜め上方に傾斜し、幅方向にスリット状に形成された噴霧口32を有する。吹き出し部材31の下端には、後述するトップ部材63の係止凹部63bに挿入可能な複数の図示しない係止爪部が形成される。
【0050】
吹き出し部材31の内部には、天面の内側から区画壁33が突設され、区画壁33に囲まれる領域に供給ユニット40の供給パイプ43を接続することで、微粒子化ユニット10からの微粒子と搬送エアが吹き出しユニット30内に流入するようになっている。この点について、
図6Aに示すトップ部材63の、トップ部材カバー63gを外した状態における平面図を参照して説明すると、トップ部材63の天面には、供給ユニット40の供給パイプ43に接続される接続口63aが開口する。同時に、トップ部材63の天面には、吹き出しユニット30の下端部に形成される図示しない係止爪部が係止される係止凹部63bが形成される。そして、吹き出しユニット30の係止爪部がトップ部材63の係止凹部63bに係止されると、区画壁33の下端がトップ部材63における接続口63aの周囲にシールして密着され、区画壁33の内側領域と供給ユニット40の供給パイプ43が接続口63aを介して接続される。
【0051】
そして、区画壁33の内側領域の上端には、斜め上方に傾斜したスリット状の噴霧口32が形成され、接続口63aから区画壁33の内側領域に流入した微粒子及び搬送エアが、噴霧口32から噴霧される。
【0052】
[供給ユニット40の構成]
図2に戻り、供給ユニット40の構成について説明する。
【0053】
図2B~
図2Dに示すように、供給ユニット40は、タンクユニット20に貯留された精製水を微粒子化ユニット10に供給するための精製水供給ポンプ41と、精製水供給ポンプ41に接続されタンクユニット20と微粒子化ユニット10の間で精製水を流通させる精製水供給管42と、微粒子化ユニット10で生成された微粒子と搬送エアを吹き出しユニットに供給する供給パイプ43によって構成される。
【0054】
精製水供給管42は、タンクユニット20の底面に形成された図示しない接続口と精製水供給ポンプ41の入口とを接続するとともに、精製水供給ポンプ41の出口と霧化タンク11の天面に形成された供給口11aとを接続する。
【0055】
つまり、精製水供給ポンプ41と精製水供給管42を用いることで、タンクユニット20に貯留される精製水を、必要に応じて供給口11aから霧化タンク11内に供給することができる。
【0056】
なお、本実施形態においては、精製水供給ポンプ41としてチューブポンプが使用されるが、これに限ったものではない。
【0057】
供給パイプ43は、霧化タンク11の天面に形成された送出口11cとトップ部材63の接続口63aとを接続する。
【0058】
つまり、霧化タンク11で生成された微粒子は、搬送エアとともに送出口11cから送出され、供給パイプ43を流通してトップ部材63の接続口63aから吹き出しユニット30に形成される区画壁32の内側領域に流入した後、噴霧口31から噴霧される。
【0059】
本実施形態においては、供給パイプ43は蛇腹状のフレキシブルチューブによって構成されるが、これに限ったものではない。また、供給パイプ43はタンクユニット20の略中央部に形成された上下方向の凹部を通り、送出口11cと接続口63aとを接続する。
【0060】
[制御ユニット50の構成]
制御ユニット50は、送風機13の駆動や精製水供給ポンプ41の駆動を制御するものであり、周知の回路やスイッチ等によって構成される。
【0061】
[据付ユニット60の構成]
図5を用いて据付ユニット60について説明する。
図5Aは、据付ユニット60の正面図を、
図5Bは
図5AのA-A断面図を、
図5Cはベース部材61の底面図を示す。
【0062】
据付ユニット60は、上記各ユニットや部材を固定するためのものであり、下部ベース61と、複数の柱状部材62と、トップ部材63と、複数の脚部64とによって構成される。
【0063】
下部ベース61は、据付ユニット60の下端に位置する平面矩形状の板状の部材であり、霧化タンク11を固定するとともに、複数の柱状部材62下端部を固定する。本実施形態においては、下部ベース61の四辺に上方に突出する立ち上がり部61aを備え、各立ち上がり部61aにおいて、複数の柱状部材62の下端部が図示しないねじ止めによって固定されている。また、下部ベース61の四つの隅部には、噴霧手段2を床面に設置するための脚部64を接続する接続口61bが設けられる。接続口61bには雌ねじが形成されており、脚部64に形成される雄ねじ部が回動可能に接続される。
【0064】
柱状部材62は、略鉛直方向に配設される複数の柱状の部材であり、複数の柱状部材で画定される領域の内側の領域を各ユニットが配設される領域として画定するとともに、各ユニットを固定する部材である。
図5Bに示すように、本実施形態においては、六本の柱状部材62を用いて各ユニットが配設される内側領域を画定する。各柱状部材62の下端部は下部ベース61の立ち上がり部61aに固定されるとともに、上端部はトップ部材63に、図示しないねじ止めによって固定される。つまり、六本の柱状部材62は、下部ベース61とトップ部材63とを接続する。なお、
図5A及び
図5Bにおいては、理解を補助するために、立ち上がり部61a及び柱状部材62の厚みを大きく描いている。
【0065】
そして、柱状部材62の中間部分においては、タンクユニット20や制御ユニット50等を固定するための図示しない固定部が配置される。
【0066】
特に、柱状部材62の上方においては、タンクユニット20を固定するための固定部の一つとして機能するボルトを挿通可能な図示しない挿通孔が同一高さに複数配置されており、タンクユニット20の所定高さに配設された雌ねじ部に当該ボルトをねじ止めすることで、タンクユニット20を柱状部材62に固定することができるようになっている。
【0067】
このようにして、鉛直方向に配設される複数の柱状部材62によって囲まれる領域に各機器を配設することで、各機器は縦方向に積み重なるように配設される。そして、平面で見たときに柱状部材62が最も外側に配置される部材であるため、後述するカバー部材80を柱状部材62に巻き付けるように配設することが可能となる。このとき、カバー部材80は凹凸のない形状を呈するため、カバー部材80を装着した噴霧手段2は、様々な環境に適合するすっきりとした印象を与える外観を得ることができる。
【0068】
次に、トップ部材63について、
図6を用いて説明する。
図6Aはトップ部材63の、トップ部材カバー63gを外した状態における平面図を、
図6Bは
図6AのA-A断面図を、
図6Cはトップ部材63の底面図を、
図6Dはトップ部材カバー63gの平面図を、
図6Eは精製水補給時におけるトップ部材63と吹き出しユニット30の斜視図を示す。
【0069】
トップ部材63は据付ユニット60の最上部に位置する部材であり、各柱状部材62の上端部に固定されるとともに、噴霧手段2全体の最上部において吹き出しユニット30を固定する部材である。トップ部材63は、
図6B及び
図6Eに示すように、側壁を有する、角部に丸みを帯びた無底の平面略矩形状の筒状部材からなる。
【0070】
図6A及び
図6Cに示すように、トップ部材63の天面には、供給ユニット40の供給パイプ43に接続される接続口63aが開口する。同時に、トップ部材63の天面には、吹き出し部材31の下端部に形成される図示しない係止爪部が係止される係止凹部63bが形成される。
【0071】
さらに、トップ部材63の天面には、下方に向けて局所的に高さが低くなる天面凹部63cと、天面凹部63cを覆う開閉可能な扉部63dとを備えるとともに、天面凹部63cには、タンクユニット20の上面に形成された図示しない流入口に接続される精製水補給口63eを備える。精製水補給口63eの内面には雌ねじが形成されており、雄ねじ部を有する図示しないキャップ部材が螺着されるよう構成される。
【0072】
トップ部材63と複数の柱状部材62との接続は、天面に設けられた複数のネジ穴63fから図示しないボルトを挿通し、当該ボルトを各柱状部材62の上端に設けられた図示しない雌ねじ部にねじ止めすることによって行われる。あるいは、柱状部材62に雌ねじ部を設ける代わりに、ボルトとナットを用いて接続してもよい。トップ部材63と柱状部材62を接続した後、トップ部材63の天面は、
図6Eに示すように、
図6Dに示すトップ部材カバー63gによって覆われる。
【0073】
[電源ユニット70の構成]
電源ユニット70は、家庭用や商用の電源に接続し、各機器に電力を供給するユニットである。具体的には、電源タップに接続するケーブルや、噴霧手段2自体の電源スイッチ71等が電源ユニット70に含まれる。
【0074】
[カバー部材80の構成]
カバー部材80は、複数の柱状部材62の周囲に配設され、各機器を覆う部材である。
【0075】
具体的には、
図2Aに示すように、トップ部材63の下方から下部ベース61までの高さを覆うように複数の柱状部材62の周囲に巻き付けられて配設される。カバー部材80は弾性を有するステンレス鋼の板状部材を、曲げ加工によって屈曲することによって形成される。
【0076】
ここで、噴霧手段2を構成するにあたり、鉛直方向に配設される複数の柱状部材62によって囲まれる領域に微粒子化ユニット10やタンクユニット20等の各機器を配設しているため、平面で見たときに柱状部材62が最も外側に配置される。そのため、カバー部材80を柱状部材62に巻き付けるように配設することが可能となる。このとき、カバー部材80は凹凸のない形状を呈するため、カバー部材80を装着した噴霧手段2は、様々な環境に適合するすっきりとした印象を与える外観を得ることができる。
【0077】
[除菌システムを使用した除菌方法]
次に、
図7に示すフローチャートを用いて、本実施形態に係る除菌システムを使用した除菌方法について説明する。
図7は、本実施形態に係る除菌システムを使用した除菌方法のフローチャートである。
【0078】
〔ステップS100:常水の処理〕
まず、噴霧手段2において微粒子化及び噴霧を行うに先立ち、水処理手段1を用いて常水中の不純物を除去し、精製水を生成する(ステップS100)。
【0079】
水処理手段1において常水の処理を行うことで、常水中に存在するカルシウム分などの無機物、リグニンやタンニンなどの有機物、コロイドなどの微粒子、及び、藻類やバクテリアなどの微生物が除去され、不純物の含有量が極めて少ない精製水が生成される。
【0080】
本実施形態に係る水処理手段1による不純物の除去は、逆浸透膜による処理、イオン交換樹脂を用いて常水中の陽イオン及び陰イオンを除去するイオン交換処理、活性炭に不純物を吸着させる吸着処理、紫外線を照射して不純物を除去する紫外線処理、限外ろ過膜を用いて限外ろ過を行う限外ろ過膜処理、水と不純物の沸点の違いを利用して不純物を分離する蒸留、のいずれか一つ又はそれらの組み合わせによって行われる。用いる常水や含有される不純物の種類に応じて水処理の内容を組み替えることで、必要な精製度を得ることができる。
【0081】
なお、水処理手段1は、噴霧手段2と同じ部屋に設置してもよいし、別の場所に設置しても構わない。あるいは、噴霧手段2内に組み込んでも構わない。また、水処理手段1による水処理は、一次水処理のみであってもよいし、一次水処理に加え二次水処理を行い、より高純度の精製水を得てもよい。精製水中の不純物が少なく純度が高いほど、微粒子化して噴霧した際にウイルスを捕集する効果が高くなる。
【0082】
〔ステップS110:精製水の補給〕
次に、ステップS100で生成された精製水を、噴霧手段2のタンクユニット20に補給する(ステップS110)。
【0083】
タンクユニット20に精製水を補給する際には、ユーザはトップ部材63の天面に設けられた開閉可能な扉部63dを開け、精製水補給口63eに装着された図示しないキャップを取り外し、天面凹部63cに形成される精製水補給口63eに精製水を流し込む。精製水を補給し終えたらキャップを締め、扉部63dを閉める。
【0084】
このように、精製水補給口63eが開閉可能な扉部63dに覆われているため、使用しないときには精製水補給口63eを扉部63で覆うことができ、すっきりとした外観を保持することができる。特に、精製水補給口63eは天面凹部63cに形成されているため、扉部63dを閉めるとトップ部材63の天面は吹き出しユニット30を除けば同一平面を有するため、とりわけ優れた外観性を発揮できる。
【0085】
〔ステップS120:精製水の供給開始〕
ステップS110においてタンクユニット20に精製水が補給されると、ユーザは電源ユニット70を構成する図示しない電源コードを一般家庭用又は商業用の電源に接続した上で、同様に電源ユニット70を構成する電源スイッチ71を入れる。電源スイッチ71を入れると、制御ユニット50は精製水供給ポンプ41を作動し、タンクユニット20に投入された精製水の、霧化タンク11への供給を開始する(ステップS120)。
【0086】
タンクユニット20に貯留された精製水の霧化タンク11への供給は下記のように行われる。つまり、制御ユニット50からの信号によって精製水供給ポンプ41が駆動し、それに伴いタンクユニット20底面に形成された図示しない接続口から精製水が流出し、精製水供給管42と精製水供給ポンプ41を通って、霧化タンク11の上面に形成された供給口11aから霧化タンク11内に流入する。
【0087】
〔ステップS130:精製水の霧化〕
ステップS120において精製水の供給が停止されると、制御ユニット50は微粒子化ユニット10における精製水の霧化を開始する(ステップS130)。
【0088】
微粒子化ユニット10において精製水の霧化を行うに際し、制御ユニット50は送風機13による搬送エアの送風を開始するとともに、霧化デバイス12による精製水の霧化を開始する。
【0089】
霧化デバイス12の作動に伴い、
図3Bに示すように、各超音波振動子12a、12b、12c・・・の上方には液柱が立ち上がる。液柱には大小様々な粒径を有する粒子が含まれるが、液柱が接触するように超音波振動子の上方において斜め下方に傾斜して配設されたバッフルプレート14a、14bに対し、液柱に含まれる粒径の大きな液滴が接触して下方に流れ、貯留されている液層に還流するとともに、粒径の小さな霧滴のみが空中に浮遊する。
【0090】
また、送風機13の作動に伴い、搬送エアが送風口11bから下方に向けて供給され、空中に浮遊する粒径の小さな霧滴を搬送して、送出口11cから送出させる。
【0091】
このとき、霧化タンク11の幅方向一端側に設けられたバッフルプレート14aは、送風口11bの下方で、かつ、幅方向一端側の超音波振動子12a、12dの上方に配設されているため、送風機13から供給される搬送エアが直接液面や液柱に到達することが防止されるとともに、液面から立ち上がる液柱や液滴が送風口11bから流入し直接送風機13に到達することが防止される。そのため、精製水の霧化や搬送エアの供給がお互いを妨げることなく機能し、それにより、粒子の粒径の選別の性能が担保される。
【0092】
また、送風機13から供給された搬送エアはバッフルプレート14aの一側の面に衝突し、バッフルプレート14aの一側の面に沿って流動するため、その際に圧力損失が発生し、粒子を搬送するための圧力が低下する。搬送エアの圧力が低下するため、バッフルプレート14a、14bに衝突することで液滴と小さな粒子とに分離された精製水から、通常搬送できる程度の大きさの粒子よりもさらに小さな微粒子のみが搬送エアによって搬送される。
【0093】
また、バッフルプレート14aの一側の面に沿って流動した搬送エアが、エッジ部14aeと霧化タンク11の一端側の面の間から流出する際に、バッフルプレート14aの他側の面、つまり液柱が接触する領域には負圧の領域が形成されるが、その負圧領域においては搬送エアの圧力が一層低下するため、粒径の非常に小さな微粒子以外は搬送することができず、下方の液面に落下することになる。そのため、ブラウン運動を起こすことができる程度に粒径の小さな微粒子のみが搬送エアによって下流側に搬送される。
【0094】
このようなメカニズムによって、単にバッフルプレートで液柱を受けるよりも微細な粒子を搬送エアによって搬送することができ、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを選択的に噴霧することが可能な噴霧手段を提供することができる。
【0095】
また、バッフルプレート14aは、一端が霧化タンク11の天面11dに接続される接続部14ac(第一接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク11の幅方向一端側の側面と所定の間隔を隔てるエッジ部14ae(第一エッジ部)を有するよう、斜め下方に傾斜して配設される。そして、送風機13から供給される搬送エアを霧化タンク11内の外周側を通過させるべく、内方から外方に向けて突出して配設されている。
【0096】
バッフルプレート14aのこのような構造により、送風口11bから下向きに供給された搬送エアは、バッフルプレート14aの配設方向にしたがって流れの向きを斜め下方に変化させ、霧化タンク11の一端側の側面とバッフルプレート14aのエッジ部14aeとの間に形成される間隙を通過して霧化タンク11の液層付近の底部に至る。底部に至った搬送エアは他端側の側面に向かって方向を転換し、液面近傍を霧化タンク11の他端側の側面に向かって流通する。そして、霧化タンク11の他端側の側面近傍で向きを上方に転換し、天面11dに形成された送出口11cに向けて流れる。また、一部の搬送エアは、霧化タンク11の一端側の側面とバッフルプレート14aの他端部との間に形成される間隙を通過した後、バッフルプレート14aにおける液柱を受ける側の面に回り込んでから、霧化タンク11内に旋回流を形成し、送出口11cから流出する。
【0097】
このようにして、送風口11bから下向きに供給された搬送エアは、バッフルプレート14aの配設方向にしたがって霧化タンク11の内部でゆるやかな旋回流を形成し、一部は液柱を受ける側の面に回り込んでから、一部は霧化タンク11内の外周側を通過したうえで、送出口11cから送出される。
【0098】
そして、送風口11bから供給された搬送エアが霧化タンク11内の外周側を通過してゆるやかな旋回流を形成するため、旋回流の発生に伴う遠心力の効果によって、微細な粒子とさらに微細な微粒子とに分離され、微粒子のみが搬送エアに搬送される。
【0099】
さらに、本実施形態においては、送風口11bと送出口11cとが、霧化タンク11の天面11dであってバッフルプレート14aを挟んで互いに逆側における箇所に設けられる。
【0100】
そのため、バッフルプレート14aを挟んだ旋回流を形成することができ、旋回流による遠心分離の効果を高めることができる。
【0101】
このようにして、本実施形態における微粒子化ユニット10は、送風機13とバッフルプレート14aが協働することによって、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを選択的に生成して送出することができる。
【0102】
また、本実施形態においては、バッフルプレート14bは、一端が霧化タンク11の天面に接続される接続部14bc(第二接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク11の幅方向他端側、つまり、バッフルプレート14aが配設される側とは逆側の側面と所定の間隔を隔てるエッジ部14be(第二エッジ部)を備えるよう、バッフルプレート14aとは逆方向の斜め下方に向けて配設される。
【0103】
そして、バッフルプレート14bは送出口11cの下方で、かつ、幅方向他端側の超音波振動子12c、12fの上方に配設されている。そのため、超音波振動子12c、12fによって発生した液柱に含まれる粒径の大きな液滴がバッフルプレート14bの下面に接触して下方に流れ、貯留されている液層に還流するとともに、粒径の小さな霧滴のみが空中に浮遊する。
【0104】
このとき、搬送エアの圧力はバッフルプレート14aとの接触によって低下しているため、通常搬送できる程度の大きさの粒子よりもさらに小さな微粒子のみが搬送エアによって搬送される。このようにして、バッフルプレート14b近傍で発生した粒子に関しても、粒径の小さな微粒子のみを選別して搬送することができる。
【0105】
また、送風口11bは霧化タンク11の天面11dにおいてバッフルプレート14aの接続部14acよりも幅方向一端側寄りで、かつ、エッジ部14aeよりも霧化タンク11の幅方向他端側寄りに設けられるとともに、送出口11cはバッフルプレート14bの接続部14bcよりも幅方向他端側に設けられることにより、霧化タンク11内に形成される旋回流はバッフルプレート14a及びバッフルプレート14bを挟んで霧化タンク11内全体にわたって形成される大きなものとなる。そのため、搬送エアの遠心力による微粒子の選定がより強化され、ブラウン運動を起こすことができる程度に微細な微粒子のみを確実に選別して送出することができる。
【0106】
特に、本実施形態においては、常水から不純物を除去した精製水を微粒子化ユニット10で霧化するため、微細な不純物による影響を受けることなく、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子、すなわち、平均粒径0.1~1.0μm程度の微粒子を得ることができる。
【0107】
なお、
図3Bにおいては、送風口11bは霧化タンク11の天面において、バッフルプレート14aの接続部14acよりも幅方向一端側寄りで、かつ、エッジ部14aeよりも霧化タンク11の幅方向他端側寄りに設けられるものについて示したが、図示は省略するものの、送風口11bを霧化タンク11の幅方向一端側の側面において、バッフルプレート14aのエッジ部14aeよりも上方に配設してもよい。この場合においても、搬送エアがバッフルプレート14aに接触することに伴う圧力損失の効果と、エッジ部14aeを通って霧化タンク11内に大きな旋回流を形成する効果が得られるため、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを搬送することができる。
【0108】
〔ステップS140:精製水の噴霧〕
ステップS130において微粒子化ユニット10でブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子となった精製水は、吹き出しユニット30から噴霧される(ステップS140)。
【0109】
このとき、精製水はブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子となっているため、噴霧された空間の隅々にまで行き届き、空間内に浮遊しているウイルスや細菌を不活化することができる。特に、常水から不純物を除去した精製水を微粒子化しているため、不純物の影響を受けることなく空間内に均一に浮遊することができる。そのため、空間内の様々な場所に散在しているウイルスや細菌を精製水の微粒子が捕集して確実に不活化することができる。
【0110】
なお、精製度の高い精製水の微細な粒がウイルスや細菌を不活化するメカニズムについては解明されていないものの、精製水の純度が高いほどウイルスや細菌の不活化効果が高くなることから、不純物が極めて少ない精製水の微粒子がウイルスや細菌に接触することで、水分子がウイルスや細菌を形成する細胞から電子を奪い、その結果、ウイルスや細菌を形成する細胞が不活化しているものと考えられる。水道水のような不純物が多く含まれる常水を超音波振動子で霧化したとしても、不純物を核として水の粒子の塊が安定的に形成されるため、水分子が電子を奪う力が強くないものと考えられる。
【0111】
<実施例1>
所定の容積を有しウイルス検液を散布した試験用チャンバー内に、本実施形態に係る除菌システムによって不純物を除去した精製水の微粒子化及び噴霧を行い、浮遊ウイルスの減少率を測定した。ウイルス検液はチャンバー内に10分かけて噴霧し、その後、チャンバー内を攪拌ファンを用いて2分間の攪拌を行った。その後、200mLの精製水の噴霧を10分かけて行い、精製水の噴霧開始から120分間における浮遊ウイルスの減少率を時系列で測定した。なお、比較例として、不純物除去を行わない水道水を実施例1で用いたものと同じ機材により超音波振動によって微粒子化し、同じチャンバー内に噴霧を行った。
【0112】
本実施形態に係る除菌システムを用いて不純物を除去した精製水を、超音波振動により平均粒径0.1~1.0μmとなるよう微粒子化したものを噴霧した場合、120分後にはチャンバー内のウイルスを99.9%除去できることが確認できた。
【0113】
一方、水道水を微粒子化して噴霧した場合には、120分後には95%の減少となったが、これは、ウイルス検液のみ散布して放置した場合における自然減少によるものと大差はなく、水道水を微粒子化して噴霧したとしてもウイルス除去効果は無いとの結果に至った。この結果は、水道水には消毒用の塩素系薬剤など水以外の不純物が多く含まれており、不純物を核として水の粒子の塊が安定的に形成されるため、水分子が電子を奪う力が強くないためであると考えられる。
【0114】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0115】
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0116】
この発明の除菌システムは、不特定多数の人が往来する駅や商業施設、オフィスビルのような建物内や、スタジアムや畜舎などの屋外の施設まで、ウイルスや細菌が浮遊する種々の施設に適用することができる。
【符号の説明】
【0117】
1 水処理手段
2 噴霧手段
10 微粒子化ユニット
11 霧化タンク
11a 流入口
11b 送風口
11c 送出口
11d 天面
12 霧化デバイス
12a、b・・・ 超音波振動子
13 送風機
14a、b バッフルプレート
15 液位センサ
16 停止センサ
20 タンクユニット
30 吹き出しユニット
31 吹き出し部材
32 噴霧口
40 供給ユニット
50 制御ユニット
60 据付ユニット
61 下部ベース
62 柱状部材
63 トップ部材
64 脚部
70 電源ユニット
80 カバー部材