(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005176
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】電流検出回路及びその故障検知方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/52 20200101AFI20250108BHJP
G01R 31/54 20200101ALI20250108BHJP
【FI】
G01R31/52
G01R31/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105245
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】ニデックモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】井上 聡史
(72)【発明者】
【氏名】原田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】増田 啓祐
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AA03
2G014AB02
(57)【要約】
【課題】電流検出回路の故障を検知可能な新規な構成を実現する。
【解決手段】電流検出回路(20)が設けられた装置が停止状態であるとき、カレントトランス(21)の2次側コイル(21-2)に接続された2つの配線(X、Y)にパルス電圧が印加されると、マイコン(23)は、マイコン(23)に入力される電圧に基づき、2つの配線(X、Y)の少なくとも一方の断線、又は、2つの配線(X、Y)間の短絡を検知する、電流検出回路(20)である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の配線に電流が流れる装置における当該配線の一部を成す1次側コイル、及び2次側コイルを有するカレントトランスと、
前記1次側コイルに電流が流れることにより前記2次側コイルに流れる電流を電圧に変換する変換回路と、
前記変換回路から前記電圧が入力され、当該入力された電圧をモニターするマイコンと、
前記2次側コイルと前記変換回路とを接続する2つの配線の間にパルス電圧を印加するパルス電圧印加回路と
を備え、
前記装置が停止状態であるとき、
前記パルス電圧印加回路は、前記2つの配線の間に前記パルス電圧を印加し、
前記マイコンは、前記パルス電圧印加回路による前記パルス電圧の印加に伴い、前記マイコンに入力される電圧に基づき、前記2つの配線の少なくとも一方の断線、又は、前記2つの配線間の短絡を検知する、電流検出回路。
【請求項2】
前記変換回路は、4つのダイオードから構成されるブリッジダイオードを有し、
前記2次側コイルと、前記ブリッジダイオードを構成する所定のダイオードとは、並列接続されており、
前記所定のダイオードの出力は、前記マイコンに接続されている、請求項1に記載の電流検出回路。
【請求項3】
前記パルス電圧印加回路は、
電源と前記2つの配線の一方である配線Yとの間に接続されている第1スイッチング素子と、
前記2つの配線の他方である配線Xと前記所定のダイオードの出力との間に接続されている第2スイッチング素子と、
前記電源と前記配線Xとの間に接続されている第3スイッチング素子と、
前記配線Yと前記所定のダイオードの出力との間に接続されている第4スイッチング素子と
を有し、
前記マイコンは、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の組と、前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子の組とを、交互にオン状態とする、請求項2に記載の電流検出回路。
【請求項4】
前記パルス電圧の周波数として、高周波数と低周波数とが用いられ、
前記パルス電圧印加回路は、高周波数の前記パルス電圧と低周波数の前記パルス電圧とを順に印加し、
前記パルス電圧の周波数の高低に関わらず、前記マイコンに入力される電圧が変化しなければ、前記マイコンは、高周波数の前記パルス電圧の印加による電圧及び低周波数の前記パルス電圧の印加による電圧の各々と、予め定められた閾値との大小比較に基づき、前記2つの配線の少なくとも一方の断線、又は、前記2つの配線間の短絡を検知する、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の電流検出回路。
【請求項5】
前記マイコンは、前記パルス電圧の印加による電圧と、予め定められた閾値範囲との比較に基づき、前記2つの配線の少なくとも一方の断線、又は、前記2つの配線間の短絡を検知する、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の電流検出回路。
【請求項6】
内部の配線に電流が流れる装置における当該配線の一部を成す1次側コイル、及び2次側コイルを有するカレントトランスと、
前記1次側コイルに電流が流れることにより前記2次側コイルに流れる電流を電圧に変換する変換回路と、
前記変換回路から前記電圧が入力され、当該入力された電圧をモニターするマイコンと
を備える電流検出回路の故障検知方法であって、
前記装置が停止状態であるとき、
前記2次側コイルと前記変換回路とを接続する2つの配線の間にパルス電圧を印加し、
前記パルス電圧の印加に伴い、前記マイコンに入力される電圧に基づき、前記2つの配線の少なくとも一方の断線、又は、前記2つの配線間の短絡を検知する、電流検出回路の故障検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カレントトランスを備えた電流検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の漏電警報装置では、変流器に試験電流を流すことにより、当該試験電流による変流器出力にて漏電検出部が動作し警報出力を発令し漏電警報器が正常に働くことを確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、カレントトランスを備えた電流検出回路及びその故障検知方法において、当該電流検出回路の故障を検知可能な新規な構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る電流検出回路は、内部の配線に電流が流れる装置における当該配線の一部を成す1次側コイル、及び2次側コイルを有するカレントトランスと、前記1次側コイルに電流が流れることにより前記2次側コイルに流れる電流を電圧に変換する変換回路と、前記変換回路から前記電圧が入力され、当該入力された電圧をモニターするマイコンと、前記2次側コイルと前記変換回路とを接続する2つの配線の間にパルス電圧を印加するパルス電圧印加回路とを備え、前記装置が停止状態であるとき、前記パルス電圧印加回路は、前記2つの配線の間に前記パルス電圧を印加し、前記マイコンは、前記パルス電圧印加回路による前記パルス電圧の印加に伴い、前記マイコンに入力される電圧に基づき、前記2つの配線の少なくとも一方の断線、又は、前記2つの配線間の短絡を検知する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、カレントトランスを備えた電流検出回路及びその方法において、当該電流検出回路の故障を検知可能な新規な構成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態に係るDC-DCコンバータ10の概略構成を示す回路図である。
【
図2】本実施形態に係る電流検出回路が実行する故障検知の原理を説明するための説明図である。
【
図3】本実施形態に係る電流検出回路が実行する故障検知の一例を説明するための説明図である。
【
図4】本実施形態に係る電流検出回路が実行する故障検知の他の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。
【0009】
一般的に、カレントトランスを備えた電流検出回路は、当該電流検出回路が設けられた製品内に流れる電流を検出し、例えば当該製品内に過電流が流れることを防止する。しかし、電流検出回路が故障している場合、より具体的には、(a)カレントトランスの2次側端子に接続された2本の配線において、2本の配線の少なくとも1本が断線している場合や、(b)2本の配線間が短絡している場合、電流検出回路による製品内の電流検出は不可能となり、製品内に過電流が流れることを防止できない。
【0010】
そこで、1つの製品に、複数、例えば2つの電流検出回路を設けて、いずれか一方が故障している場合でも、他方が当該製品内の電流検出を継続する、といった構成が考えられる。しかし、当該構成を採用した場合、2つの電流検出回路の制御に伴うソフトウェア処理の負荷増大、並びに製品のサイズ及び製造コストの増大を招くことになる。
【0011】
また、電流検出回路の故障は、製品が稼働している状態において電流検出回路の検出結果に異常が見られて初めて判明するのが通常である。したがって、常時稼働状態である製品であれば、電流検出回路の検出結果に異常が見られたタイミングで当該回路の故障を検知可能である。これに対し、常時稼働状態である製品ではなく、稼働状態と停止状態とを繰り返す製品においては、停止状態にて電流検出回路の故障を検知できない。このため、製品の停止状態にて故障を積極的に検知しようとした場合、製品を一旦起動させ稼働状態とし、電流検出回路を作動させなければならない。電流検出回路の故障検知のためのみに製品を稼働させることは無用な稼働コストの増大を招くことになりかねない。特に、製品が車載製品である場合、電流検出回路の故障は製品の停止状態にて検知可能であることが望ましい。製品の起動前に電流検出回路の故障を検知できれば、製品起動前、つまり、当該製品が搭載された車両が稼働する前に、当該故障に対して対策できるからである。
【0012】
本発明者らは、カレントトランスの2次側端子に接続された2本の配線間にパルス電圧を印加することで、製品が停止状態であっても当該製品を稼働させることなく、当該製品に設けられた電流検出回路の故障を検知する新規な構成を見い出した。当該構成によれば、電流検出回路の故障検知のみならず、検知された故障が、配線の断線であるのか、あるいは、配線間の短絡であるのか、いずれも判定可能である。
【0013】
すなわち、本発明者らが見い出した新規構成を備える電流検出回路は、自身の故障を検知し、当該故障が、配線の断線であるのか、あるいは、配線間の短絡であるのか、を判定するための自己判定機能を有する回路である。
【0014】
図1は、本開示の実施形態に係るDC-DCコンバータ10の概略構成を示す回路図である。
図1に示すように、DC-DCコンバータ10は、本開示の特徴部分である電流検出回路20を有している。
【0015】
ここで、
図1では、電流検出回路20が設けられる装置として、DC-DCコンバータ10を例として説明されているが、電流検出回路20が設けられる装置は、DC-DCコンバータ10に限られるものではない。当該装置としては、AC-DCコンバータ、AC-ACコンバータ、及びDC-ACインバータのいずれであっても良い。また、電流検出回路20が設けられる装置は、これら装置の入力側に配置される装置、出力側に配置される装置であっても良い。
【0016】
また、電流検出回路20が設けられる装置は、車載製品が好適であり、特に、車載充電器や、その他、車両に搭載される電力変換装置等に好適である。
【0017】
DC-DCコンバータ10は、入力側回路11と、トランス12と、出力側回路13と、を有している。入力側回路11は、第1入力端子In1及び第2入力端子In2を有している。出力側回路13は、第1出力端子Out1及びOut2を有している。トランス12は、入力側回路11と出力側回路13との間を電気的に絶縁分離している。
【0018】
DC-DCコンバータ10は、第1入力端子In1と第2入力端子In2との間に入力された直流電圧Vinを昇圧し、当該昇圧された直流電圧Voutを第1出力端子Out1と第2出力端子Out2との間に出力する。また、DC-DCコンバータ10は、第1入力端子In1と第2入力端子In2との間に入力された直流電圧Vinを降圧し、当該降圧された直流電圧Voutを第1出力端子Out1と第2出力端子Out2との間に出力する。
【0019】
なお、
図1には、入力側回路11、トランス12及び出力側回路13の各々について、具体的な素子等の部材が示されているが、本実施形態とは関係しない部材については説明を省略する。
【0020】
電流検出回路20は、カレントトランス21と、変換回路22と、マイコン23と、パルス電圧印加回路24と、を有している。
【0021】
カレントトランス21は、1次側コイル21-1及び2次側コイル21-2を有している。カレントトランス21では、1次側コイル21-1に流れる電流の大きさが1次側コイル21-1及び2次側コイル21-2の各々の巻き数に応じて変換され、その大きさが変換された電流が2次側コイル21-2に流れる。
【0022】
1次側コイル21-1は、入力側回路11内の配線Lの一部を成している。より具体的には、1次側コイル21-1は、当該配線Lの途中に挿入されており、当該配線Lを流れる電流は1次側コイル21-1の両端間を経由する。
【0023】
2次側コイル21-2の両端には、それぞれ、配線X及び配線Yが接続されている。2次側コイル21-2の両端は、それぞれ配線X及び配線Yを介して、変換回路22に接続されている。
【0024】
変換回路22には、配線X及び配線Yを介して2次側コイル21-2から流れてくる電流が入力される。変換回路22は、当該入力される電流を電圧に変換し、当該電圧を出力する。当該電圧はマイコン23に入力される。
【0025】
変換回路22は、ブリッジダイオードを構成する第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、第3ダイオードD3及び第4ダイオードD4と、抵抗素子R1及び抵抗素子R2と、を有している。第1ダイオードD1~第4ダイオードD4は、同一のダイオード特性を備えている。ただし、各々のダイオード特性は、完全に同一である必要はなく、第1ダイオードD1~第4ダイオードD4が構成するブリッジダイオードが、ブリッジダイオードとしての機能を果たす上で支障のないレベルでの差異であれば、同一の範疇に入るものである。
【0026】
2次側コイル21-2の両端に流れる電流の向きは、1次側コイル21-1の両端に流れる電流の向きの変化に合わせて変化する。このため、2次側コイル21-2の両端に流れる電流の向きは、2次側コイル21-2側から配線X側に向かう向き(以下、「第1の向き」と称する。)dxと、当該第1の向きdxとは逆向きである、2次側コイル21-2側から配線Y側に向かう向き(以下、「第2の向き」と称する。)dyと、の2パターンとなる。
【0027】
第1~4ダイオードD1~4は、第1の向きdxに流れる電流及び第2の向きdyに流れる電流を1つの向きに流れる電流に変換するための、所謂ブリッジダイオードである。
図1では、第1の向きdxに流れる電流は、第2ダイオードD2を経由して抵抗素子R1に向かうことになる。一方、第2の向きdyに流れる電流は、第1ダイオードD1を経由して抵抗素子R1に向かうことになる。つまり、第1の向きdxに流れる電流及び第2の向きdyに流れる電流はいずれも、第3の向きdzに流れる電流に変換される。
【0028】
第3の向きdzに流れる電流は、抵抗素子R1及び抵抗素子R2を経由し、再び、2次側コイル21-2側へ向かうことになる。より具体的には、第3の向きdzに流れる電流が第1の向きdxに流れる電流であった場合、第3ダイオードD3を経由して配線Yを流れ、2次側コイル21-2へ流れ込む。一方、第3の向きdzに流れる電流が第2の向きdyに流れる電流であった場合、第4ダイオードD4を経由して配線Xを流れ、2次側コイル21-2へ流れ込む。
【0029】
マイコン23は、第1ポートM1及び第2ポートM2を有している。第1ポートM1は、変換回路22の抵抗素子R2の一端に接続され、第2ポートM2は抵抗素子R2の他端に接続されている。抵抗素子R2の両端間を上述の第3の向きdzに流れる電流が流れることにより、当該電流による電圧降下が生じる。当該電圧降下による抵抗素子R2の両端間の電位差が第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される。すなわち、当該電位差が、上述した、変換回路22からマイコン23へ入力される電圧となる。
【0030】
マイコン23には、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加された電圧が入力される。マイコン23は、当該電圧に基づき、カレントトランス21の1次側コイル21-1の両端に流れる電流を検出する。より具体的には、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧は、1次側コイル21-1の両端に流れる電流の大きさがカレントトランス21によって変換された電流が、抵抗素子R2を流れる際に生じる電圧降下による電位差である。マイコン23は、当該電圧をモニターすることにより、1次側コイル21-1の両端に流れる電流、すなわち、DC-DCコンバータ10の入力側回路11内の配線Lを流れる電流を検出する。
【0031】
パルス電圧印加回路24は、配線Xと配線Yとの間にパルス電圧を印加する。パルス電圧印加回路24の構成及び機能については、後述する。
【0032】
電流検出回路20が実行する電流検出について説明する。
【0033】
DC-DCコンバータ10が起動し、DC-DCコンバータ10が稼働状態になると、DC-DCコンバータ10内の配線Lに電流が流れる。当該電流は、1次側コイル21-1にも流れる。1次側コイル21-1に電流が流れると、2次側コイル21-2にも電流が流れる。2次側コイル21-2に流れる電流は、配線X及び配線Yを介して、変換回路22に入力される。変換回路22は、入力された電流を電圧に変換し、当該電圧をマイコン23の第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加する。
【0034】
マイコン23には、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加された電圧が入力される。マイコン23は、入力された電圧に基づき、DC-DCコンバータ10内の配線Lに流れる電流を検出する。
【0035】
なお、マイコン23は、検出された電流に応じたDC-DCコンバータ10の制御を実行する構成を更に備えていてもよい。当該制御内容としては、例えば、DC-DCコンバータ10の入力側回路11を構成する第1トランジスタT1、第2トランジスタT2、第3トランジスタT3及び第4トランジスタT4の各々のオン状態とオフ状態とを切り替えるタイミング調整である。
【0036】
ただし、本開示は、マイコン23がDC-DCコンバータ10の制御を実行する構成に限るものではない。マイコン23とは別体のマイコンをDC-DCコンバータ10内に配置しても良い。マイコン23が、検出された電流に応じた指示を、DC-DCコンバータ10内に配置されたマイコンに出力し、DC-DCコンバータ10内のマイコンが、入力された指示に応じたDC-DCコンバータ10の制御を実行しても良い。
【0037】
(a)パルス電圧印加回路の構成
まず、パルス電圧印加回路24の回路構成について説明する。
【0038】
図1に示すように、パルス電圧印加回路24は、第1スイッチング素子SW1と、第2スイッチング素子SW2と、第3スイッチング素子SW3と、第4スイッチング素子SW4と、抵抗素子R0と、を有している。
【0039】
第1~4スイッチング素子SW1~4の各々は、マイコン23からの制御信号S1~S4に基づき、オン状態とオフ状態とが切り替わる。第1~4スイッチング素子SW1~4の各々は、例えばFETである。ただし、本開示は、第1~4スイッチング素子SW1~4の各々がFETである構成に限られるものではない。入力される制御信号に基づきオン状態とオフ状態とが切り替わるスイッチング機能を備えた素子であればよい。
【0040】
抵抗素子R0の一端は、DC-DCコンバータ10内に供給されている電源Vccに接続されている。ただし、本開示は、抵抗素子R0の一端に接続される電源は、DC-DCコンバータ10内の電源Vccに限られるものではない、抵抗素子R0の一端に電圧を供給可能な電源であればよい。
【0041】
抵抗素子R0の他端は、第1スイッチング素子SW1の一端及び第3スイッチング素子SW3の一端に接続されている。また、第1スイッチング素子SW1の他端は、配線Yに接続されている。第3スイッチング素子SW3の他端は、配線Xに接続されている。
【0042】
なお、抵抗素子R0は、第1スイッチング素子SW1及び第3スイッチング素子SW3への大電流の流入を制限するためのものであり、パルス電圧印加回路24に必須の構成要件ではない。
【0043】
第2スイッチング素子SW2の一端は、配線Xに接続されている。第4スイッチング素子SW4の一端は、配線Yに接続されている。第2スイッチング素子SW2の他端及び第4スイッチング素子SW4の他端は、変換回路22に接続されている。より具体的には、第2スイッチング素子SW2の他端及び第4スイッチング素子SW4の他端は、変換回路22内の第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2の各出力と抵抗素子R1の一端とを結ぶ配線に接続されている。
【0044】
(b)故障検知のタイミング
電流検出回路20は、DC-DCコンバータ10が停止状態であるとき、電流検出回路20の故障検知を実行する。例えば、マイコン23に、DC-DCコンバータ10の状態をモニターする機能を付加することにより、電流検出回路20は、DC-DCコンバータ10が停止状態であることを認識可能である。
【0045】
また、電流検出回路20は、DC-DCコンバータ10が稼働状態から停止状態に移行し、予め定められた期間、停止状態が継続した場合に、上述の故障検知を実行してもよいし、あるいは、DC-DCコンバータ10が稼働状態から停止状態に移行したタイミングで上述の故障検知を実行してもよい。
【0046】
また、DC-DCコンバータ10の停止状態であるとき、DC-DCコンバータ10のユーザが電流検出回路20に対し、上述の故障検知を実行するように指示を与えてもよい。この場合、マイコン23は、ユーザからの指示を受け付けるためのユーザインターフェイスを有することが好ましい。
【0047】
要は、電流検出回路20が、電流検出回路20の故障検知を実行する際、DC-DCコンバータ10が停止状態であればよい。本開示は、電流検出回路20がどのようなタイミングで故障検知を実行するかについては、上述のタイミングに限られるものではない。
【0048】
(c)故障検知の処理手順
以下、電流検出回路20が実行する故障検知の処理手順について、具体的に説明する。
【0049】
マイコン23は、制御信号S1~S4を出力することにより、第1~4スイッチング素子SW1~SW4の各々を、オン状態とオフ状態に切り替える。より詳細には、マイコン23は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2を共にオン状態とするとき、第3スイッチング素子SW3及び第4スイッチング素子SW4を共にオフ状態とする。一方、マイコン23は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2を共にオフ状態とするとき、第3スイッチング素子SW3及び第4スイッチング素子SW4を共にオフ状態とする。
【0050】
すなわち、マイコン23は、第1スイッチング素子SW1と第2スイッチング素子SW2の組と、第3スイッチング素子SW3と第4スイッチング素子SW4の組とを、交互にオン状態とする。
【0051】
第1スイッチング素子SW1と第2スイッチング素子SW2の組がオン状態であるとき、電源Vccから供給される電圧(以下、「Vcc電圧」と称する。)は、抵抗素子R0及び第1スイッチング素子SW1を介して、配線Yに印加される。一方、第3スイッチング素子SW3と第4スイッチング素子SW4の組がオン状態であるとき、Vcc電圧は、抵抗素子R0及び第3スイッチング素子SW3を介して、配線Xに印加される。
【0052】
したがって、第1スイッチング素子SW1と第2スイッチング素子SW2の組と、第3スイッチング素子SW3と第4スイッチング素子SW4の組とが、交互にオン状態となることにより、配線Yと配線Xとに交互にVcc電圧が印加される。また、カレントトランス21の2次側コイル21-2の両端に交互にVcc電圧が印加されることになるので、2次側コイル21-2から見れば、配線Xと配線Yとの間に、プラスVcc電圧とマイナスVcc電圧とが繰り返されるパルス電圧が印加されるといえる。また、当該パルス電圧の周波数は、第1スイッチング素子SW1と第2スイッチング素子SW2の組がオン状態となる周期の逆数であり、第3スイッチング素子SW3と第4スイッチング素子SW4の組がオン状態となる周期の逆数でもある。
【0053】
なお、パルス電圧印加回路24が、配線Xと配線Yとの間に印加するパルス電圧は、急峻に立ち上がり、急峻に立ち下がる波形を備えているものに限られない。当該パルス電圧の波形は、立ち上がり及び立ち下がりが鈍った波形であっても構わない。要は、当該パルス電圧は、大小関係にある2つの電圧を周期的に繰り返す電圧であれば良い。
【0054】
また、
図1に示したパルス電圧印加回路24の回路構成は一例であり、本開示は当該回路構成に限られるものではない。上述のパルス電圧を配線Xと配線Yとの間に印加できれば、どのような回路構成であっても構わない。
【0055】
ここで、電流検出回路20が実行する故障検知の原理について、
図2を用いて説明する。
図2は、電流検出回路20が実行する故障検知の原理を説明するための説明図である。
【0056】
第1スイッチング素子SW1と第2スイッチング素子SW2の組がオン状態であるとき、Vcc電圧は、抵抗素子R0及び第1スイッチング素子SW1を介して、配線Yに印加される。配線Yに当該電圧が印加されると、
図2に示すように、(1-1)抵抗素子R0、ダイオードDi(ここでは、第1ダイオードD1)、抵抗素子R1及び抵抗素子R2を、この順の向きd1で電流が流れる電流経路と、(1-2)抵抗素子R0、2次側コイル21-2、第2スイッチング素子SW2(図示省略)、抵抗素子R1及び抵抗素子R2を、この順の向きd2で電流が流れる電流経路と、が形成される。
【0057】
一方、第3スイッチング素子SW3と第4スイッチング素子SW4の組がオン状態であるとき、Vcc電圧は、抵抗素子R0及び第3スイッチング素子SW3を介して、配線Xに印加される。配線Xに当該電圧が印加されると、
図2に示すように、(2-1)抵抗素子R0、ダイオードDi(ここでは、第2ダイオードD2)、抵抗素子R1及び抵抗素子R2を、この順の向きd1で電流が流れる電流経路と、(2-2)抵抗素子R0、2次側コイル21-2、第4スイッチング素子SW4(図示省略)、抵抗素子R1及び抵抗素子R2を、この順の向きd2で電流が流れる電流経路と、が形成される。
【0058】
このように、第1スイッチング素子SW1と第2スイッチング素子SW2の組がオン状態であるときであっても、第3スイッチング素子SW3と第4スイッチング素子SW4の組がオン状態であるときであっても、2つの電流経路が形成される。
【0059】
いずれの組がオン状態となった場合でも、各々の2つの電流経路においては、ダイオードDiと2次側コイル21-2とは、2つの電流経路に共通する接続点aと接続点bとの間に並列接続されることになる。なお、
図1において、接続点aは、第1スイッチング素子SW1と配線Yとの接続点、及び、第3スイッチング素子SW3と配線Xとの接続点に相当する。また、接続点bは、第2スイッチング素子SW2と、変換回路22内の第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2の各出力と抵抗素子R1の一端とを結ぶ配線との接続点、並びに、第4スイッチング素子SW4と、変換回路22内の第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2の各出力と抵抗素子R1の一端とを結ぶ配線との接続点に相当する。
【0060】
2次側コイル21-2は、所謂コイルであるので、配線Xと配線Yとの間に印加されるパルス電圧の周波数が高くなるにつれて、2次側コイル21-2のインピーダンスも高くなる。このため、当該パルス電圧の周波数の高低に応じて、ダイオードDiのインピーダンスと2次側コイル21-2のインピーダンスとの大小関係は逆転する。接続点aと接続点bとの間を流れる電流は、ダイオードDiと2次側コイル21-2のうち、インピーダンスの小さい方を流れる。したがって、上述のパルス電圧の周波数の高低に応じて、接続点aと接続点bとの間には、電流がダイオードDiを流れた場合における電圧降下による電位差、又は、電流が2次側コイル21-2を流れた場合における電圧降下による電位差、のうちのいずれかが生じる。
【0061】
しかし、電流検出回路20が故障している場合、より具体的には、
図1において符号Bで示すように、配線Yが断線している場合には、2次側コイル21-2には電流は流れない。このため、上述した接続点aと接続点bとの間を流れる電流は、ダイオードDiのみを流れることになる。したがって、上述のパルス電圧の周波数の高低に関わらず、接続点aと接続点bとの間には、電流がダイオードDiを流れた場合における電圧降下による電位差のみが生じる。このことは、配線Xが断線している場合、並びに配線X及び配線Yの両方が断線している場合でも同様である。
【0062】
また、電流検出回路20が故障している場合、より具体的には、
図1において符号Aで示すように、配線Xと配線Yとの間が短絡している場合には、当該短絡箇所を電流が流れることになる。当該短絡箇所のインピーダンスが、ダイオードDiのインピーダンスよりも小さいのは明らかであるので、上述した接続点aと接続点bとの間を流れる電流は、ダイオードDiには流れず、上記短絡箇所のみを流れることになる。したがって、上述のパルス電圧の周波数の高低に関わらず、接続点aと接続点bとの間には、電流が上記短絡箇所を流れた場合における電圧降下による電位差のみが生じる。
【0063】
以上のとおり、電流検出回路20が正常である場合、上述のパルス電圧の周波数の高低に応じて、
図2に示した接続点aと接続点bとの間に生じる電位差は変化する。当該変化に伴い、マイコン23の第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧も変化する。
【0064】
これに対し、電流検出回路20が故障している場合、上述のパルス電圧の周波数の高低に関わらず、
図2に示した接続点aと接続点bとの間に生じる電位差は変化しない。上述のパルス電圧の周波数の高低に関わらず、マイコン23の第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧も変化しない。
【0065】
ただし、配線X及び配線Yのうちの少なくとも一方が断線している場合、接続点aと接続点bとの間には、電流がダイオードDiを流れた場合における電圧降下による電位差のみが生じる。一方、配線Xと配線Yとの間が短絡している場合、接続点aと接続点bとの間には、電流が当該短絡箇所を流れた場合における電圧降下による電位差のみが生じる。このため、断線の場合と短絡の場合とでは、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧が異なる。
【0066】
電流検出回路20は、上記原理を利用したものであり、配線Xと配線Yとの間に印加されるパルス電圧の周波数を高低させ、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧をモニターすることにより、電流検出回路20の故障を検知するものである。また、電流検出回路20は、電流検出回路20の故障が、配線X及び配線Yのうちの少なくとも一方の断線なのか、配線Xと配線Yとの間の短絡なのか、をも判定するものである。
【0067】
以下、
図3に示す例を用いて、電流検出回路20が実行する故障検知の処理手順について、引き続き説明する。
図3は、電流検出回路20が実行する故障検知の一例を説明するための説明図である。
図3に示す例では、配線Xと配線Yとの間に印加されるパルス電圧の周波数として、高周波数である10kHzと、低周波数である10Hzと、を用いている。以下では、最初に、高周波数のパルス電圧を印加し、次に、低周波数のパルス電圧を印加する手順を例として説明するが、本開示は、当該手順に限られるものではなく、逆の手順であっても構わない。また、以下に述べる具体的な数値に関しては、全て一例に過ぎず、本開示を限定するものではない。
【0068】
まず、マイコン23は、制御信号S1~4を出力することにより、第1~4スイッチング素子SW1~4の各々のオン状態とオフ状態とを切り替え、配線Xと配線Yとの間に10kHz、つまり、高周波数のパルス電圧を印加する。
【0069】
電流検出回路20が正常である場合、
図2に示した接続点aと接続点bとの間には、インピーダンスのより小さいダイオードDiを電流が流れた場合における電圧降下による電位差が生じ、当該電位差に応じた電圧である300mVが、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される。
【0070】
また、電流検出回路20が故障している場合、より具体的には、
図1において符号Aで示すように、配線Xと配線Yとの間が短絡している場合には、
図2に示した接続点aと接続点bとの間には、当該短絡箇所を電流が流れた場合における電圧降下による電位差が生じ、当該電位差に応じた電圧である800mVが、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される。
【0071】
また、電流検出回路20が故障している場合、より具体的には、
図1において符号Bで示すように、配線Yが断線している場合には、
図2に示した接続点aと接続点bとの間には、ダイオードDiを電流が流れた場合における電圧降下による電位差が生じ、当該電位差に応じた電圧である200mVが、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される。
【0072】
次に、マイコン23は、制御信号S1~4を出力することにより、第1~4スイッチング素子SW1~4の各々のオン状態とオフ状態とを切り替え、配線Xと配線Yとの間に10Hz、つまり、低周波数のパルス電圧を印加する。
【0073】
電流検出回路20が正常である場合、
図2に示した接続点aと接続点bとの間には、インピーダンスのより小さい2次側コイル21-2を電流が流れた場合における電圧降下による電位差が生じ、当該電位差に応じた電圧である700mVが、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される。当該電圧は、高周波数のパルス電圧を印加する場合と異なる電圧となる。
【0074】
また、電流検出回路20が故障している場合、より具体的には、
図1において符号Aで示すように、配線Xと配線Yとの間が短絡している場合には、
図2に示した接続点aと接続点bとの間には、当該短絡箇所を電流が流れた場合における電圧降下による電位差が生じ、当該電位差に応じた電圧である800mVが、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される。当該電圧は、高周波数のパルス電圧を印加する場合と同じ電圧となる。
【0075】
また、電流検出回路20が故障している場合、より具体的には、
図1において符号Bで示すように、配線Yが断線した場合には、
図2に示した接続点aと接続点bとの間には、ダイオードDiを電流が流れた場合における電圧降下による電位差が生じ、当該電位差に応じた電圧である200mVが、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される。当該電圧は、高周波数のパルス電圧を印加する場合と同じ電圧となる。
【0076】
以上のとおり、電流検出回路20が正常である場合、配線Xと配線Yとの間に印加されるパルス電圧の周波数の高低に伴い、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧は変化する。これに対し、電流検出回路20が故障している場合、より具体的には、上述の短絡の場合又は上述の断線の場合のいずれであっても、配線Xと配線Yとの間に印加されるパルス電圧の周波数の高低に関わらず、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧は変化しない。すなわち、配線Xと配線Yとの間に印加されるパルス電圧の周波数の高低に関わらず、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧が変化しなければ、電流検出回路20は、当該結果に基づき、電流検出回路20の故障を検知できる。
【0077】
さらに、電流検出回路20は、電流検出回路20の故障が、配線X及び配線Yのうちの少なくとも一方の断線なのか、配線Xと配線Yとの間の短絡なのか、をも判定できる。電流検出回路20は、電流検出回路20の故障を検知した際、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧と、予め定められた閾値(以下、「閾値T」と称する。)との大小関係により、上述の断線なのか、上述の短絡なのか、を判定できる。
【0078】
例えば、閾値Tとして、500mVを用いればよい。
図3の例であれば、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧は、短絡している場合であれば800mVであるので、当該電圧は閾値Tよりも大きい。これに対し、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧は、断線している場合であれば200mVであるので、当該電圧は閾値Tよりも小さい。このように、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧と、閾値Tとの大小関係により、電流検出回路20は、電流検出回路20の故障が、上述の断線なのか、上述の短絡なのか、を判定できる。
【0079】
なお、閾値Tは、例えばマイコン23内のメモリに予め記憶させておけばよい。マイコン23は、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧と、上記のメモリ内の閾値Tとの大小関係を比較すれば良い。
【0080】
また、閾値Tについては、電流検出回路20が正常である場合、及び電流検出回路20が故障している場合を想定し、2次側コイル21-2のインダクタンス、第1~4ダイオードD1~4の各ダイオード特性、及び抵抗素子R0~R2の抵抗値を適切に設定すれば、容易に求めることができる。
【0081】
以上説明したとおり、電流検出回路20によれば、電流検出回路20の故障を検知し、当該故障が断線なのか、短絡なのか、を判定できる。
【0082】
特に、電流検出回路20が設けられる製品が車載製品であれば、当該製品の起動前に電流検出回路の故障を検知できる。製品起動前、つまり、当該製品が搭載された車両が稼働する前に、当該故障に対して対策できる。稼働前に故障を検知できず、製品が稼働してしまった場合、当該製品内に流れる電流を検出し、当該製品内に過電流が流れることを防止するといった、電流検出回路の本来の機能を果たすことができない。
【0083】
図4を用いて、本開示の他の実施形態について説明する。
図4は、電流検出回路20が実行する故障検知の他の一例を説明するための説明図である。
図4に示す例では、配線Xと配線Yとの間に印加されるパルス電圧の周波数として、1kHzを用いている。本開示の他の実施形態では、上述の実施形態とは異なり、高周波数と低周波数の2つの周波数を用意しない。
【0084】
上述の実施形態では、電流検出回路20は、配線Xと配線Yとの間に印加されるパルス電圧の周波数を高低させ、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧をモニターすることにより、電流検出回路20の故障を検知するものであった。これに対し、本開示の他の実施形態では、上記のパルス電圧の周波数は高低させることなく、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧と、予め定められた閾値範囲(以下、「閾値範囲U」と称する。)との比較により、故障の有無、及び、断線なのか、短絡なのか、を判定できる。なお、以下に述べる具体的な数値に関しては、全て一例に過ぎず、本開示を限定するものではない。
【0085】
例えば、閾値範囲Uとして、350mV~650mVを用いればよい。
図4の例であれば、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧は、電流検出回路20が正常である場合であれば500mVであるので、当該電圧は閾値範囲U内にある。第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧は、短絡している場合であれば800mVであるので、当該電圧は、閾値範囲U外にあり、且つ、閾値範囲Uの上限である650mVよりも大きい。第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧は、断線している場合であれば200mVであるので、当該電圧は、閾値範囲U外にあり、且つ、閾値範囲Uの下限である350mVよりも小さい。このように、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧と、閾値範囲Uとの比較により、電流検出回路20は、電流検出回路20の故障を検知すると共に、当該故障が断線なのか、短絡なのか、を判定できる。
【0086】
なお、閾値範囲Uは、例えばマイコン23内のメモリに予め記憶させておけばよい。マイコン23は、第1ポートM1と第2ポートM2との間に印加される電圧と、上記のメモリ内の閾値範囲Uとを比較すれば良い。
【0087】
また、閾値範囲Uの上限及び下限については、電流検出回路20が正常である場合、及び電流検出回路20が故障している場合を想定し、2次側コイル21-2のインダクタンス、ダイオードDiのダイオード特性、及び抵抗素子R0~R2の抵抗値を適切に設定すれば、容易に求めることができる。ただし、電流検出回路20が正常である場合、
図2に示した接続点aと接続点bとの間には、パルス電圧の周波数、ダイオードDiのダイオード特性、及び2次側コイル21-2のインダクタンスに応じて、ダイオードDiを電流が流れた場合における電圧降下による電位差又は2次側コイル21-2を電流が流れた場合における電圧降下による電位差が生じることに留意すべきである。
【0088】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
10 DC-DCコンバータ
11 入力側回路
12 トランス
13 出力側回路
20 電流検出回路
21 カレントトランス
21-1 1次側コイル
21-2 2次側コイル
22 変換回路
23 マイコン
24 パルス電圧印加回路
D1 第1ダイオード
D2 第2ダイオード
D3 第3ダイオード
D4 第4ダイオード
In1 第1入力端子
In2 第2入力端子
M1 第1ポート
M2 第2ポート
Out1 第1出力端子
Out2 第2出力端子
R0、R1、R2 抵抗素子
SW1 第1スイッチング素子
SW2 第2スイッチング素子
SW3 第3スイッチング素子
SW4 第4スイッチング素子
Vcc 電源