(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005228
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】書類作成システム、書類作成方法、書類作成プログラムおよび書類作成データベース装置
(51)【国際特許分類】
G06F 40/186 20200101AFI20250108BHJP
【FI】
G06F40/186
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105328
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出口 裕希
【テーマコード(参考)】
5B109
【Fターム(参考)】
5B109RC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】正確性が要求される複雑な書類を容易かつ迅速に作成する書類作成システム及び方法並びにプログラム及びデータベース装置を提供する。
【解決手段】制御装置10と、書類作成データベース装置20と、を備える書類作成システム1において、書類作成データベース装置は、薬事申請書類の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章データと書類の種類に応じ定型文章データの配列を規定する配列データとを記憶する定型文章データ記憶領域及び定型文章中に記載する必要のある有効成分データを記憶する有効成分データ記憶領域を含む。制御装置は、定型文章データ記憶領域から定型文章データを抽出する処理、有効成分データ記憶領域から有効成分データを抽出して定型文章データに埋め込む処理及び抽出した定型文章データを配列データに従って配列する処理を実行し、書類の種類及び有効成分に関する情報を含む入力データに基づき薬事申請書類を作成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の書類を作成する書類作成システムであって、
各種データを記憶する記憶手段と、
前記書類を作成する制御をおこなう制御手段と、を備え、
前記記憶手段は、
前記書類の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章のデータ群を記憶する定型文章データ記憶領域と、
前記定型文章中に記載する必要のある必須記載事項のデータ群を記憶する必須記載事項データ記憶領域と、
前記書類の種類に応じた前記定型文章のデータの配列を規定する配列データを記憶する配列データ記憶領域と、を有し、
前記制御手段は、
入力された前記書類の種類および前記必須記載事項を含む入力データに基づいて前記書類を作成するように構成され、
前記定型文章データ記憶領域から前記定型文章のデータを抽出する処理と、
前記必須記載事項データ記憶領域から前記必須記載事項のデータを抽出して前記定型文章のデータに埋め込む処理と、
抽出された前記定型文章のデータを前記配列データに従って配列する処理と、を実行する、
ことを特徴とする書類作成システム。
【請求項2】
前記定型文章データ記憶領域に記憶される前記定型文章のデータには、前記必須記載事項のデータの埋め込み位置が予め規定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の書類作成システム。
【請求項3】
各種情報を表示する表示手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶される各データを基に前記入力データの入力を促すGUI画像を生成して前記表示手段に表示するとともに、前記GUI画像に対して入力された前記入力データに基づいて前記書類を作成する制御をおこなう、ことを特徴とする請求項1または2に記載の書類作成システム。
【請求項4】
前記書類は、薬事に関する申請書類であり、
前記必須記載事項は、名称、有効成分、濃度、性状および試験条件の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の書類作成システム。
【請求項5】
複数種類の書類を記憶手段に記憶された各種データに基づいて作成する書類作成方法であって、
前記記憶手段は、
前記書類の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章のデータ群を記憶する定型文章データ記憶領域と、
前記定型文章中に記載する必要のある必須記載事項のデータ群を記憶する必須記載事項データ記憶領域と、を有し、
前記書類作成方法は、
前記書類の種類および前記必須記載事項を含む情報に基づいて前記書類を作成するように構成され、
前記定型文章データ記憶領域から前記定型文章のデータを抽出する抽出工程と、
前記必須記載事項データ記憶領域から前記必須記載事項のデータを抽出して前記定型文章のデータに埋め込む埋め込み工程と、
前記抽出工程をおこなうことにより抽出された前記定型文章のデータを前記書類の種類に応じて配列する配列工程と、を含む、
ことを特徴とする書類作成方法。
【請求項6】
複数種類の書類を記憶する記憶手段を備えたコンピュータを含む書類作成システムを用いて作成する書類作成プログラムであって、
前記記憶手段は、
前記書類の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章のデータ群を記憶する定型文章データ記憶領域と、
前記定型文章中に記載する必要のある必須記載事項のデータ群を記憶する必須記載事項データ記憶領域と、
前記書類の種類に応じた前記定型文章のデータの配列を規定する配列データを記憶する配列データ記憶領域と、を有し、
前記書類作成プログラムは、
コンピュータに入力された前記書類の種類および前記必須記載事項を含む入力データに基づいて実行するように構成され、
前記定型文章データ記憶領域から前記定型文章のデータを抽出する抽出ステップと、
前記必須記載事項データ記憶領域から前記必須記載事項のデータを抽出して前記定型文章のデータに埋め込む埋め込みステップと、
前記抽出ステップをおこなうことにより抽出された前記定型文章のデータを前記配列データに従って配列する配列ステップと、を前記コンピュータに実行させる、
ことを特徴とする書類作成プログラム。
【請求項7】
複数種類の書類を作成するコンピュータに接続された書類作成データベース装置であって、
前記書類作成データベース装置は、
前記書類の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章のデータ群を記憶する定型文章データ記憶領域と、
前記定型文章中に記載する必要のある必須記載事項のデータ群を記憶する必須記載事項データ記憶領域と、
前記書類の種類に応じた前記定型文章のデータの配列を規定する配列データを記憶する配列データ記憶領域と、を有し、
前記コンピュータは、
入力された前記書類の種類および前記必須記載事項を含む入力データに基づいて、前記書類を作成するように構成され、
前記定型文章データ記憶領域から前記定型文章のデータを抽出する処理と、
前記必須記載事項データ記憶領域から前記必須記載事項のデータを抽出して前記定型文章のデータに埋め込む処理と、
抽出された前記定型文章のデータを前記配列データに従って配列する処理と、を実行する、
ことを特徴とする書類作成データベース装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類作成システム、書類作成方法、書類作成プログラムおよび書類作成データベース装置に関し、特に、複数種類の書類を作成する書類作成システム、書類作成方法、書類作成プログラムおよび書類作成データベース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種手続きは、予め定められたフォーマット(書式)にしたがって作成した書類を、所定の提出先に提出することによりおこなわれる。このような書類は、そこに記載すべき事項(以下、「必須記載事項」と称す)が多岐に亘っていることが少なくなく、かかる場合、書類作成に要する負担が増大するばかりか、記載漏れや記載ミス等のヒューマンエラーが生じやすい。
【0003】
近年、このような事情に鑑みて、書類を簡便に作成する技術について様々な開発がおこなわれている。例えば、このような技術として、特許文献1および特許文献2に記載の書類作成技術が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載の書類作成技術は、入力フォーム(質問画面)を通じて入力された回答結果を基に、出生時等に官公庁に提出すべき書類を作成するように構成されたものである。このような技術によれば、質問事項に回答するだけで、所望の書類が自動的に作成されるため、書類作成に要する負担を軽減することができ、ひいては、ヒューマンエラーの発生を抑制することが可能である。
【0005】
一方、特許文献2に記載の書類作成技術は、特許文献の請求項および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の第1概念距離を算出する算出部と、算出された第1概念距離を特許文献の請求項および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載内容に対応付けて学習する学習部と、入力された新規請求項および学習部による学習結果に基づいて新規請求項以外の文章を生成する生成部とを備えたものである。このような技術によれば、新規請求項を入力するだけで、特許出願書類が自動的に作成されるため、書類作成に要する負担を軽減することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6572183号
【特許文献2】特許第6618104号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、官公庁等に提出する書類の中には、例えば、薬事に関する申請書類(以下、「薬事申請書類」と称す)のような、申請先(例えば、申請国)によって書類の形式(書式)が異なるうえ、必須記載事項(例えば、有効成分や試験方法)の内容に応じて所定の項目(例えば、「確認試験」)への記載内容が変わる「複雑」な書類も存在する。
【0008】
特に、この「薬事申請書類」は、書類の信頼性や信憑性等を確保する観点から、例えば、有効成分や試験方法(必須記載事項)について正確かつ厳格な記載(「正確性」)が要求されるため、それ相応の知識や経験のある熟練者であっても、書類の作成に多大な労力や時間が割かれるのが一般的である。
【0009】
このような事情から、「正確性」が要求される「複雑」な書類について、容易かつ迅速に作成することができる技術が望まれている。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の書類作成技術は、質問形式で得た情報(例えば、氏名や日付などの書誌事項)を、フォーマット上の空欄に、単に穴埋めする構成となっているため、「薬事申請書類」のような「複雑」な書類を作成することは極めて困難である。
【0011】
一方、特許文献2に記載の書類作成技術は、新規請求項に関連する特許文献の記載内容を基に、文章を構築して特許出願書類(特許出願の明細書等)を作成するように構成されている。換言すれば、特許文献2に記載の技術は、当業者が実施することができる程度の内容が記載された書類、すなわち、厳格な記載まで要求されない書類を作成することができるものである。この点、仮に、この特許文献2に記載の書類作成技術を応用して「薬事申請書類」のような「複雑」な書類を作成しても、「正確性」のある記載を期待することが困難といえる。
【0012】
本発明は、このような課題を解消するためになされたものであり、「正確性」が要求される「複雑」な書類を容易かつ迅速に作成することが可能な書類作成システム、書類作成方法、書類作成プログラムおよび書類作成データベース装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、本発明にかかる書類作成システムによれば、複数種類の書類を作成する書類作成システムであって、各種データを記憶する記憶手段と、前記書類を作成する制御をおこなう制御手段と、を備え、前記記憶手段は、前記書類の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章のデータ群を記憶する定型文章データ記憶領域と、前記定型文章中に記載する必要のある必須記載事項のデータ群を記憶する必須記載事項データ記憶領域と、前記書類の種類に応じた前記定型文章のデータの配列を規定する配列データを記憶する配列データ記憶領域と、を有し、前記制御手段は、入力された前記書類の種類および前記必須記載事項を含む入力データに基づいて前記書類を作成するように構成され、前記定型文章データ記憶領域から前記定型文章のデータを抽出する処理と、前記必須記載事項データ記憶領域から前記必須記載事項のデータを抽出して前記定型文章のデータに埋め込む処理と、抽出された前記定型文章のデータを前記配列データに従って配列する処理と、を実行する、ことにより解決される。
【0014】
また、上記課題は、本発明にかかる書類作成方法によれば、複数種類の書類を記憶手段に記憶された各種データに基づいて作成する書類作成方法であって、前記記憶手段は、前記書類の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章のデータ群を記憶する定型文章データ記憶領域と、前記定型文章中に記載する必要のある必須記載事項のデータ群を記憶する必須記載事項データ記憶領域と、を有し、前記書類作成方法は、前記書類の種類および前記必須記載事項を含む情報に基づいて前記書類を作成するように構成され、前記定型文章データ記憶領域から前記定型文章のデータを抽出する抽出工程と、前記必須記載事項データ記憶領域から前記必須記載事項のデータを抽出して前記定型文章のデータに埋め込む埋め込み工程と、前記抽出工程をおこなうことにより抽出された前記定型文章のデータを前記書類の種類に応じて配列する配列工程と、を含む、ことにより解決される。
【0015】
さらに、上記課題は、本発明にかかる書類作成プログラムによれば、複数種類の書類を記憶手段を備えた書類作成システムを用いて作成する書類作成プログラムであって、前記記憶手段は、前記書類の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章のデータ群を記憶する定型文章データ記憶領域と、前記定型文章中に記載する必要のある必須記載事項のデータ群を記憶する必須記載事項データ記憶領域と、前記書類の種類に応じた前記定型文章のデータの配列を規定する配列データを記憶する配列データ記憶領域と、を有し、前記書類作成プログラムは、コンピュータに入力された前記書類の種類および前記必須記載事項を含む入力データに基づいて実行するように構成され、前記定型文章データ記憶領域から前記定型文章のデータを抽出する抽出ステップと、前記必須記載事項データ記憶領域から前記必須記載事項のデータを抽出して前記定型文章のデータに埋め込む埋め込みステップと、前記抽出ステップをおこなうことにより抽出された前記定型文章のデータを前記配列データに従って配列する配列ステップと、を前記コンピュータに実行させる、ことにより解決される。
【0016】
また、上記課題は、本発明にかかる書類作成データベース装置によれば、複数種類の書類を作成するコンピュータに接続された書類作成データベース装置であって、前記書類作成データベース装置は、前記書類の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章のデータ群を記憶する定型文章データ記憶領域と、前記定型文章中に記載する必要のある必須記載事項のデータ群を記憶する必須記載事項データ記憶領域と、前記書類の種類に応じた前記定型文章のデータの配列を規定する配列データを記憶する配列データ記憶領域と、を有し、前記コンピュータは、入力された前記書類の種類および前記必須記載事項を含む入力データに基づいて、前記書類を作成するように構成され、前記定型文章データ記憶領域から前記定型文章のデータを抽出する処理と、前記必須記載事項データ記憶領域から前記必須記載事項のデータを抽出して前記定型文章のデータに埋め込む処理と、抽出された前記定型文章のデータを前記配列データに従って配列する処理と、を実行する、ことにより解決される。
【0017】
なお、書類作成システムにかかる発明においては、前記定型文章データ記憶領域に記憶される前記定型文章のデータには、前記必須記載事項のデータの埋め込み位置が予め規定されている、と好適である。
【0018】
また、書類作成システムにかかる発明においては、各種情報を表示する表示手段をさらに備え、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶される各データを基に前記入力データの入力を促すGUI画像を生成して前記表示手段に表示するとともに、前記GUI画像に対して入力された前記入力データに基づいて前記書類を作成する制御をおこなう、と好適である。
【0019】
さらに、書類作成システムにかかる発明においては、前記書類は、薬事に関する申請書類であり、前記必須記載事項は、名称、有効成分、濃度、性状および試験条件の少なくとも1つを含む、と好適である。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明にかかる書類作成システム、書類作成方法、書類作成プログラムおよび書類作成データベース装置によれば、比較的簡易な構成でありながらも、「正確性」が要求される「複雑」な書類を容易かつ迅速に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態にかかる書類作成システムの概要を説明するための概要図である。
【
図2】
図1の書類作成システムの制御装置のブロック図である。
【
図3】
図2の制御装置における制御処理の内容を示すフローチャートである。
【
図4】
図3の書類作成処理の内容を示すフローチャートである。
【
図5】書類作成データベース装置の項目リストデータ記憶領域に記憶されるデータの一例を示す説明図である。
【
図6】書類作成データベース装置の有効成分データ記憶領域に記憶される有効成分の基本情報に関するデータの一例を示す説明図である。
【
図7】書類作成データベース装置の有効成分データ記憶領域に記憶される有効成分の配合量に関するデータの一例を示す説明図である。
【
図8】書類作成データベース装置の有効成分データ記憶領域に記憶される有効成分の試験条件に関するデータの一例を示す説明図である。
【
図9】書類作成データベース装置の定型文章データ記憶領域に記憶される「タイトル」、「含量規格」および「性状」の各項目に関するデータの一例を示す説明図である。
【
図10】書類作成データベース装置の定型文章データ記憶領域に記憶される「確認試験」の項目に関するデータの一例を示す説明図である。
【
図11】書類作成データベース装置の定型文章データ記憶領域に記憶される「定量法」の項目のうちの「主たる部分」に関するデータの一例を示す説明図である。
【
図12】書類作成データベース装置の定型文章データ記憶領域に記憶される「定量法」の項目のうちの「試験条件」に関するデータの一例を示す説明図である。
【
図13】書類作成データベース装置の定型文章データ記憶領域に記憶される「標準品」、「試験・試薬」および「備考」の各項目に関するデータの一例を示す説明図である。
【
図14】制御装置の表示部に表示される「初期GUI画像」の一例を示す画像図である。
【
図15】制御装置の表示部に表示される「有効成分入力GUI画像」の一例を示す画像図である。
【
図16】書類作成システムを用いて作成された書類の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態にかかる書類作成システム1のブロック図を示したものである。なお、上記「書類作成システム1」が特許請求の範囲に記載の書類作成システムに該当する。
【0023】
(書類作成システム1の構成)
図1に示すように、書類作成システム1は、書類の一例である「薬事申請書類」を作成するシステムで、制御装置10と、書類作成データベース装置20とを備えている。これら制御装置10と書類作成データベース装置20とは、公衆通信回線2を介して互いに接続されている。なお、上記「薬事申請書類」と、「制御装置10」と、「書類作成データベース装置20」とが、それぞれ特許請求の範囲に記載の書類と、コンピュータと、記憶手段および書類作成データベース装置とに該当する。
【0024】
(制御装置10の構成)
まず、本実施形態にかかる制御装置10について説明する。
図1および
図2に示すように、本実施形態にかかる制御装置10は、例えば、公知のパーソナルコンピュータシステム(Personal Computer System)からなり、中央処理部11(CPU:Central Processing Unit)と、記憶部12と、通信部13と、表示部14と、入力部15とを有している。これら中央処理部11、記憶部12、通信部13、表示部14および入力部15は、互いに電気的に接続されている。なお、上記「表示部14」が特許請求の範囲に記載の「表示手段」に該当する。
【0025】
(中央処理部11)
中央処理部11は、記憶部12に記憶される各種プログラムを読み込み、所定の演算処理をおこなって、表示部14に所定の画像を表示させる一般的な制御を実行する。詳しくは後述するが、中央処理部11は、書類作成データベース装置20から取得した各種データに基づいて、所定のGUI(Graphical User Interface)画像(
図14および
図15参照)を生成して表示部14に表示するとともに、「薬事申請書類」を作成する制御をおこなう。なお、上記「GUI画像」が特許請求の範囲に記載のGUI画像に該当する。
【0026】
(記憶部12)
次に、記憶部12について説明する。記憶部4は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリからなり、所定のGUI画像を生成するためのGUI画像生成プログラム12Aと、書類作成システム1の基本動作を司る書類作成プログラム12Bとが記憶されている。なお、上記「書類作成プログラム12B」が特許請求の範囲に記載の書類作成プログラムに該当する。
【0027】
(GUI画像生成プログラム12A)
GUI画像生成プログラム12Aは、「薬事申請書類」の作成に必要な情報(データ)の入力を促すGUI画像を、中央処理部11に生成させるためのプログラムである。本実施形態にかかるGUI画像生成プログラム12Aは、書類作成プログラム12Bが起動した際に、これに連動して自動的に起動するように構成され、書類作成プログラム12Bの起動時に表示部14に表示する「初期GUI画像」(
図14参照)と、「初期GUI画像」の表示後に表示部14に表示する「有効成分入力GUI画像」(
図15参照)とを生成するようにプログラミングされている。
【0028】
図2および
図14に示すように、「初期GUI画像」は、「薬事申請書類」の作成に必要な基本情報の入力を促す画像である。本実施形態では、基本情報の入力項目(以下、「基本入力項目」と称す)として、「依頼No.」、「薬事販売名」、「申請国」、「書式」、「剤形」、「示性値」、「性状」および「有効成分の数」等が採用されている。なお、上記「薬事販売名」と、「性状」とが、それぞれ特許請求の範囲に記載の販売名と、性状とに該当する。
【0029】
基本入力項目のうちの「申請国」、「書式」、「剤形」および「示性値」は、ユーザが選択可能なリスト形式で表示されるように構成される(
図14参照)。ユーザは、リスト中の所望の文字列上にカーソルを位置させた後、入力操作(クリック操作)をすることで、当該文字列を選択できるようになっている。
【0030】
また、上記したリスト表示される文字列は、後述する項目リストデータ記憶領域21に記憶されるデータ等に基づいて生成されるようになっている(
図1および
図5(a)~(d)参照)。例えば、「申請国」が「日本」である場合、「剤形」の入力項目として「化粧水」やクリーム等のデータが(
図5(a)の「国内剤形リスト」参照)、「示性値」の入力項目として「なし」や「pH」等のデータが(
図5(c)の「国内示性値リスト」参照)、それぞれ「初期GUI画像」に表示されるようになっている。同様に、「申請国」が「海外」(本実施形態では、「台湾」や「韓国」等)である場合、「剤形」の入力項目として「化粧水」や「」クリーム」等のデータが(
図5(b)の「海外剤形リスト」参照)、「示性値」の入力項目として「なし」や「pH」等のデータが(
図5(d)の「海外示性値リスト」参照)、それぞれ「初期GUI画像」に表示される。なお、本実施形態では、上記した「書式」の項目については、「申請国」が「日本」である場合に限って、「書式A」および「書式B」の何れか一方を選択することができるように構成されている。
【0031】
また、GUI画像生成プログラム12Aでは、「示性値」の項目において「なし」以外の文字列が選択されると、その文字列に対応する項目が追加表示されるようにプログラミングされている。例えば、
図14に示すように、「国内示性値リスト」の「示性値」の項目において、「pH」が選択されると、「pH下限」および「pH上限」といった項目が追加的に表示されるようになっている。なお、この「pH」は、「薬事申請書類」において、「[試験名]pH」として記載すべき事項(項目)となっているものである(
図16参照)。
【0032】
一方、「依頼No.」、「薬事販売名」および「性状」の各項目については、所望の文字列を入力することができるように構成され、「有効成分の数」の項目については、「△」または「▽」の図形画像を選択操作することで、所望の数値が入力されるようになっている。
【0033】
また、GUI画像生成プログラム12Aでは、上記各基本入力項目のデータが全て入力されると、「有効成分情報を入力する」といった文字列画像(
図14参照)の選択操作が有効となるようにプログラミングされている。なお、本実施形態では、この文字列画像の選択操作があった場合、「有効成分入力GUI画像」に遷移されるように構成されている。
【0034】
次に、「有効成分入力GUI画像」について
図2および
図15を参照しつつ説明する。
図2および
図15に示すように、「有効成分入力GUI画像」は、有効成分に関する情報(データ)の入力を促す画像である。本実施形態では、「初期GUI画像」の「有効成分の数」(
図14参照)で入力した数分の有効成分を登録するように構成される。
【0035】
本実施形態にかかる「有効成分入力GUI画像」では、「有効成分名」、「濃度」および「試験条件」の各項目が表示されるようになっている。これらの項目は、ユーザが選択可能なリスト形式(例えば、「有効成分名」では「グリチルレチン酸ステアリル」や「酢酸DL-α-トコフェロール」等の文字列)で表示される。ユーザは、リスト中の所望の文字列上にカーソルを位置させた後、入力操作(クリック操作)をすることで、当該文字列を選択できるようになっている。なお、上記「有効成分名」と、「濃度」と、「試験条件」とが、それぞれ特許請求の範囲に記載の有効成分と、濃度と、試験条件とに該当する。
【0036】
これらの項目のリストは、後述する書類作成データベース装置20(
図1参照)の有効成分データ記憶領域22に記憶されるデータ(
図6の「有効成分名」、
図7の「配合量」および
図8の「試験条件」等参照)等に基づいて生成される。例えば、「有効成分名」として「グリチルレチン酸ステアリル」を選択すると、「濃度」の入力項目として、
図7の「グリチルレチン酸ステアリル」に関する「配合量」のデータが、「試験条件」の入力項目として、
図8の「グリチルレチン酸ステアリル」に関する「試験条件」のデータが、それぞれ「有効成分入力GUI画像」に表示されるようになっている。
【0037】
図15に示すように、GUI画像生成プログラム12Aでは、「有効成分名」、「濃度」および「試験条件」の各項目のデータが全て入力されていることを条件に、その有効成分について登録できるようにプログラミングされている。なお、本実施形態では、「有効成分情報を登録する」といった文字列画像を選択操作することで、その有効成分が登録されるように構成されている。
【0038】
上記したように、本実施形態では、「初期GUI画像」の「有効成分の数」(
図14参照)で入力した数分の有効成分を登録するように構成されているため、例えば、「初期GUI画像」の「有効成分の数」で入力した数が「2」であった場合、ユーザは、「2種類」の有効成分(例えば、「グリチルレチン酸ステアリル」および「酢酸DL-α-トコフェロール」)について、上記したような登録操作をおこなうこととなる。
【0039】
GUI画像生成プログラム12Aでは、全ての有効成分が登録されると、「書類を作成する」といった文字列画像(
図15参照)の選択操作が有効となるようにプログラミングされている。なお、本実施形態では、この文字列画像の選択操作があった場合、本プログラムによる制御から書類作成プログラム12Bによる制御に移行するように構成されている。
【0040】
(書類作成プログラム12B)
次に、書類作成プログラム12Bについて
図1および
図2を参照しつつ説明する。
図1および
図2に示すように、書類作成プログラム12Bは、「初期GUI画像」および「有効成分入力GUI画像」に対して入力されたデータと、書類作成データベース装置20に記憶される各データとに基づいて、中央処理部11に「薬事申請書類」を作成させるためのプログラムである。
【0041】
詳しくは後述するが、書類作成プログラム12Bでは、(1)まず、「初期GUI画像」に対して入力されたデータ(例えば、「申請国」や「書式」の基本入力項目)に基づいて、関連する定型文章データを、書類作成データベース装置20の定型文章データ記憶領域23から抽出する(
図9~
図13参照)、(2)次に、抽出した定型文章中に有効成分に関する「変数データ」が含まれている場合、その「変数データ」に対応する有効成分データを、書類作成データベース装置20の有効成分データ記憶領域22から抽出する(
図6~
図8参照)、(3)その後、抽出した有効成分データを定型文章データ中に埋め込む(挿入する)、(4)次に、抽出した定型文章データの並び替え等をおこなう、といった処理を順におこなうことにより、「薬事申請書類」(
図16参照)が作成されるようにプログラミングされている。
【0042】
(通信部13、表示部14および入力部15)
次に、通信部13、表示部14および入力部15について説明する。通信部13は、公衆通信回線2を介して、書類作成データベース装置20等の通信機器と通信可能なインターフェイスである。表示部14は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)からなり、中央処理部11からの指令に基づいて所定の画像(例えば、「初期GUI画像」(
図14参照)や「有効成分入力GUI画像」(
図15参照)」を表示する装置である。入力部15は、例えば、公知のキーボードやタッチパネルからなり、例えば、書類作成データベース装置20に記憶された各種データを追加、変更および削除する際に、そのデータを入力等するための装置である。
【0043】
(書類作成データベース装置20の構成)
次に、書類作成データベース装置20について
図1および
図5~
図13を参照しつつ説明する。
図1に示すように、書類作成データベース装置20は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリからなり、項目リストデータ記憶領域21と、有効成分データ記憶領域22と、定型文章データ記憶領域23とを有している。本実施形態にかかる書類作成データベース装置20は、例えば、エクセル(登録商標)等の表計算ソフトを用いて作成されたデータが、上記各記憶領域に記憶される構成となっている。なお、上記「有効成分データ記憶領域22」と、「定型文章データ記憶領域23」とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の必須記載事項データ記憶領域と、定型文章データ記憶領域とに該当する。
【0044】
(項目リストデータ記憶領域21)
図1および
図5に示すように、項目リストデータ記憶領域21は、「初期GUI画像」に表示される所定の基本入力項目(
図14の「申請国」、「書式」、「剤形」および「示性値」の各基本入力項目参照)のリストデータを記憶する領域である。例えば、項目リストデータ記憶領域21には、「申請国」が、「日本」である場合の剤形リスト(
図5(a)参照)や示性値リスト(
図5(c)参照)のデータと、「台湾」等の海外である場合の「剤形リスト」(
図5(b)参照)および「示性値リスト」(
図5(d)参照)のデータとが記憶されている。なお、
図5では、「剤形」および「示性値」の各リストデータのみを例示したが、「申請国」(本実施形態では、「日本」、「台湾」および「韓国」等(
図14参照))や「書式」(本実施形態では、「書式A」および「書式B」(
図14参照))についても、「剤形」および「示性値」と同様に、各リストデータが項目リストデータ記憶領域21に記憶されている。
【0045】
項目リストデータ記憶領域21に記憶されるリストデータは、書類作成プログラム12B(GUI画像生成プログラム12A)(
図2参照)を起動した際に読み込まれ、「初期GUI画像」中の所定の基本入力項目(例えば、
図14の「剤形」等参照)の選択欄に反映(リスト表示)されるようになっている。
【0046】
なお、項目リストデータ記憶領域21に記憶されるリストデータは、法改正に伴う「薬事申請書類」の書式の変更等に応じて、その内容を変更(追加および削除等)することが可能である。例えば、
図5(c)の「国内示性値リスト」において項目を増やす場合、「Index:1」の「示性値:pH」の下段に、「Index:2」の「示性値:〇〇〇」といった内容が記載された列を追加して、項目リストデータ記憶領域21に記憶させればよい。このように、本実施形態では、リストデータの内容を容易に変更することができるため、データベース上で書類情報(「薬事申請書類」に記載する内容)を効率的に一元管理することが可能である。
【0047】
(有効成分データ記憶領域22)
次に、有効成分データ記憶領域22について
図1および
図6~
図8を参照しつつ説明する。
図1および
図6~
図8に示すように、有効成分データ記憶領域22は、申請品目(
図14の「薬事販売名」)の有効成分に関するデータ(以下、「有効成分データ」ともいう)を記憶する領域である。具体的には、有効成分データ記憶領域22には、各種「薬事申請書類」に記載する必要がある、(1)有効成分の基本情報に関するデータ(
図6参照)、(2)有効成分の配合量に関するデータ(
図7参照)および(3)有効成分の試験条件に関するデータ(
図8参照)が記憶されている。なお、上記有効成分データ記憶領域22に記憶される「有効成分に関するデータ」が特許請求の範囲に記載の必須記載事項のデータに該当する。
【0048】
有効成分データ記憶領域22には、例えば、有効成分が「グリチルレチン酸ステアリル」であれば、(1)有効成分の基本情報に関するデータとして、「有効成分名{active_ing}:グリチルレチン酸ステアリル」、「分子量{molecular_weight}:723.16」、「化学式{formula}:C48H82O4」、「希釈溶媒{dilluent}:エタノール(99.5)」、「標準物質名称{standard}:グリチルレチン酸ステアリル標準品」および「標準物質含量{standard_purity}:グリチルレチン酸ステアリル標準品」等のデータが(
図6参照)、(2)有効成分の配合量に関するデータとして、「配合量:0.1%」、「試料採取量{sampling_weight}:1g」、「試料希釈量{sample_dil_volume}:50mL」、「検量線:3点」、「内標準物質{internal_standard}:―」、「内標準溶液希釈倍率{is_dil_factor}:―」、「内標準溶液添加量{is_vol}:―」、「標準物質採取量{std_sampling_weight}:0.1g」、「標準物質希釈量{std_dil_volume}:100mL」、「標準溶液採取量{std_coll_volume}:1mL、2mL、3mL」、「標準溶液希釈量{std_sol_dil_volume}:100mL」および「書式A用計算式係数{document_A_factor}:200」等のデータが(
図7参照)、(3)有効成分の試験条件に関するデータとして、「試験条件:A法」、「検出器{detector}:紫外吸光光度計」、「測定波長{wave_length}:254nm」、「スペクトル測定範囲{wave_range}:200~400nm」、「カラム内径{column_diameter}:4.6mm」、「カラム長さ{column_length}:15cm」、「カラム充填剤{column_packing}:液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲル」、「カラム粒子径{particle_size}:5μm」、「カラム温度{column_temp}:40℃」、「移動相{mobile_phase}:メタノール」、「流量{flow_rate}:毎分0.8mL」および「注入量{injection_volume}:20μL」等のデータが(
図8参照)、それぞれ記憶されている。なお、上記「{*****}」は、有効成分データ記憶領域22に記憶される有効成分データの各項目を識別するための「変数データ」(例えば、「有効成分名」の項目であれば、{active_ing})で、後述する定型文章データ中に埋め込む(挿入する)制御をおこなう際に参照されるものである。定型文章データ中に有効成分データを埋め込む制御については後述する。
【0049】
有効成分データ記憶領域22に記憶される有効成分データは、項目リストデータ記憶領域21に記憶されるリストデータと同様に、その内容を変更(追加および削除等)することが可能である。これにより、有効成分データについても、その内容を容易に変更することができるため、データベース上で書類情報(「薬事申請書類」に記載する内容)を効率的に一元管理することが可能である。
【0050】
(定型文章データ記憶領域23)
次に、定型文章データ記憶領域23について
図1、
図9~
図13および
図16を参照しつつ説明する。
図1および
図9~
図13に示すように、定型文章データ記憶領域23は、「薬事申請書類」(
図16参照)の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章データを、書類の種類(本実施形態では、「日本」の「書式A」、「書式B」、「台湾」および「韓国」等)に応じて記憶する領域である。
【0051】
具体的には、定型文章データ記憶領域23には、「薬事申請書類」(
図16参照)に記載する項目、すなわち、「タイトル」(
図9(a)参照)、「含量規格」(
図9(b)参照)、「性状」(
図9(c)参照)、「確認試験」(
図10参照)、「定量法」(
図11および
図12参照)、「標準物質」(
図13(a)参照)、「試薬・試液」(
図13(b)参照)および「備考」(
図13(c)参照)等の項目ごとに、定型文章データ(以下、これらの項目の定型文章データを「大分類文章データ」ともいう)がそれぞれ記憶されている。
【0052】
また、上記各「大分類文章データ」には、それぞれ、配列順を示すデータ(配列データ)が紐付けて記憶され、「薬事申請書類」を作成した際に、「タイトル」、「含量規格」、「性状」、「確認試験」、「定量法」、「標準物質」、「試薬・試液」および「備考」等の各「大分類文章データ」が、その順で配列(記載)されるように設定されている(
図16参照)。図示は省略するが、本実施形態では、上記した項目の定型文章データに加えて、「pH」等の示性値の項目に関する定型文章データも、配列順を示すデータ(例えば、「確認試験」の項目と「定量法」の項目の間)とともに、定型文章データ記憶領域23に記憶されている(
図14および
図16参照)。なお、上記「配列データ」を記憶する「定型文章データ記憶領域23」が特許請求の範囲に記載の配列データ記憶領域に該当する。
【0053】
例えば、「初期GUI画像」(
図14参照)に対して「薬事販売名:〇〇〇〇〇クリーム」、「申請国:日本」、「書式:書式A」および「性状:白色のクリームである。」といったデータが入力されるとともに、「有効成分入力GUI画像」(
図15参照)に対して所定の有効成分データが入力された場合、定型文章データ記憶領域23に記憶される各定型文章データ(
図9~
図13参照)に基づいて、
図16に示すような「書式A」の「薬事申請書類」が自動的に作成されるようになっている。
【0054】
ところで、「薬事申請書類」に記載する項目のうち、特に、「確認試験」や「定量法」は、申請品目(
図14の「薬事販売名」)の品質等に関わる内容を記載する重要な項目であり、審査等において最も重点が置かれる部分でもある。この点、「確認試験」および「定量法」は、正確かつ厳格な記載が要求される項目といえる。このため、「確認試験」および「定量法」の各定型文章データについては(
図10~
図12参照)、他の項目の定型文章データ(
図9および
図13参照)に比べて、より細分化された状態で、定型文章データ記憶領域23に記憶されるようになっている。
【0055】
図10に示すように、「確認試験」の項目では、例えば、確認試験で用いられる検出器の種類(「PDA(フォトダイオードアレイ検出器)」および「UVD(紫外吸収検出器)」)や、有効成分の種類(例えば、「酢酸DL-α-トコフェロール」)等に応じて異なる定型文章データが用意され、これらの定型文章データは、「PDA-1」~「PDA-5」や「UVD-1」~「UVD-3」といったように、データの配列順が規定されたうえで細分化されている。
【0056】
図10に示す「PDA-1」~「PDA-5」を例にとっていえば、これらの定型文章データは「確認試験」で用いられる検出器が「PDA」に属する場合に選択され(
図8の「検出器」参照)、「PDA-1」~「PDA-5」の各定型文章データを、その順に配列することで「確認試験」の文章が作成されるようになっている(
図16参照)。
【0057】
また、本実施形態では、「確認試験」の定型文章データ中に、「{*****}」の文字列(以下、「変数データ」ともいう)が随所に埋め込まれている。この「{*****}」は、上記した有効成分データ記憶領域22に記憶される項目(例えば、
図6の「標準品名」)を識別するためのデータ(「変数データ」)である。なお、上記定型文章データ中に埋め込まれた「変数データ」の位置が、特許請求の範囲に記載の埋め込み位置に該当する。
【0058】
本実施形態では、「確認試験」の文章は、定型文章データ中の「{*****}」に、これに対応する有効成分データを埋め込む(挿入する)ことによって完成されるように構成される。
【0059】
ここで、有効成分「グリチルレチン酸ステアリル」について「書式A」および「A法」(
図8参照)で「確認試験」の文章を作成する場合を例にとって説明する。なお、本実施形態では、このような文章を作成する制御は、主に、制御装置10の中央処理部11でおこなわれるように構成されている。この中央処理部11による制御処理については後述する。
【0060】
「グリチルレチン酸ステアリル」は、有効成分データ記憶領域22に記憶される有効成分データによれば、「A法」のとき「検出器」が「PDA」に属する「フォトダイオードアレイ検出器」であるため(
図8参照)、「確認試験」の項目で用いる定型文章データは、「PDA-1」~「PDA-5」となる。
【0061】
図10に示すように、「書式A」の「PDA-1」の定型文章データは、「本品を定量法{serial_num}にしたがい液体クロマトグラフィーで試験を行うとき、試料溶液から得たピークの一つの保持時間は、標準溶液から得た{active_ing}のピークの保持時間に一致する。また、保持時間の一致したそれぞれのピークの紫外吸収スペクトルを比較するとき、両者のスペクトルは波長{wave_length}付近に吸収の極大を認める。」となっており、このデータ中には、「{active_ing}」および「{wave_length}」といった「変数データ」が含まれている。なお、「{serial_num}」は、「定量法」の項目において記載される通し番号(例えば、(1))であり、「初期GUI画像」(
図14参照)にて設定された有効成分の数および「有効成分入力GUI画像」(
図15参照)にて選択された順番に応じて自動的に生成される。
【0062】
有効成分データ記憶領域22(
図1参照)に記憶される「グリチルレチン酸ステアリル」の有効成分データによれば、「有効成分名{active_ing}」は「グリチルレチン酸ステアリル」(
図86参照)、「測定波長(確認試験){wave_length}」は「254nm」である(
図8参照)。「PDA-1」の定型文章データの文章は、上記有効成分データを、これに対応する「変数データ」に埋め込むことで完成させることができるようになっている(
図16参照)。
【0063】
本実施形態では、「PDA-1」の定型文章データの文章を作成した後、「PDA-2」~「PDA-5」の各定型文章データの文章を作成するように構成される。
【0064】
ここで、「PDA-1」の定型文章データの文章と、「PDA-2」~「PDA-5」の定型文章データの文章とを分けて作成する理由について説明する。「確認試験」の項目では、その記載内容が、前段の「主たる部分」(「PDA-1」)と、後段の「試験条件」(「PDA-2」~「PDA-5」)とに分かれた2部構成になっており、前者と後者とでは、記載パタンが異なるものとなっている。また、「薬事申請書類」では、有効成分が複数ある場合、有効成分ごとに「主たる部分」および「試験条件」を記載しなければならないこととされている(
図16参照)。
【0065】
すなわち、本実施形態のような、定型文章データ中の「変数データ」に有効成分データを埋め込んで文章を作成する構成では、有効成分が複数ある場合、記載パタンが異なる「主たる部分」の文章と「試験条件」の文章とを、有効成分ごとに完成させていくよりも、これらを別々に完成させていくほうが効率的である。このような理由から、本実施形態では、「PDA-1」の定型文章データの文章(「主たる部分」の文章)を作成した後に、「PDA-2」~「PDA-5」の定型文章データの文章(「試験条件」の文章)を作成するようにしている。なお、以下においては、説明の便宜上、「主たる部分」および「試験条件」の各定型文章データを「小分類文章データ」ともいうこととする。
【0066】
次に、「PDA-2」~「PDA-5」の各定型文章データの文章を作成する手法について説明する。「PDA-2」~「PDA-5」の各定型文章データの文章は、上記した「PDA-1」の定型文章データの文章を作成したときと同様な手法(手順)で作成する。具体的には、「PDA-2」~「PDA-5」の各定型文章データの文章の作成は、定型文章データ中に「変数データ」が含まれている場合、(1)「変数データ」に対応する有効成分データを有効成分データ記憶領域22から抽出する、(2)抽出した有効成分データを、定型文章データ中の対応する「変数データ」に埋め込む、といった手順を踏むことによりおこなわれる。
【0067】
図10に示すように、「PDA-2」の定型文章データは「試験条件」、「PDA-3」の定型文章データは「カラム、カラム温度、移動相及び流量は定量法{serial_num}の試験条件を準用する。」、「PDA-4」の定型文章データは「検出器:フォトダイオードアレイ検出器」および「PDA-5」の定型文章データは「(測定波長:{wave_length}、スペクトル測定範囲:{wave_range})」となっており、「PDA-5」のデータ中には、「{wave_length}」および「{wave_range}」といった「変数データ」が含まれている。なお、「{serial_num}」は、上記したように、「定量法」の項目において記載される通し番号(例えば、(1))である。
【0068】
有効成分データ記憶領域22(
図1参照)に記憶される「グリチルレチン酸ステアリル」の有効成分データによれば、「PDA-5」の「測定波長{wave_length}」は「254nm」、「スペクトル測定範囲{wave_range}」は「200~400nm」である(
図8参照)。「PDA-5」の定型文章データの文章は、このような有効成分データを、対応する「変数データ」に埋め込むことで、完成させることが可能になっている。その後、「PDA-2」~「PDA-5」の各定型文章データを、その順に配列することで、「試験条件」の文章が完成される(
図16の「確認試験」の項目参照)。
【0069】
本実施形態では、「確認試験」の「主たる部分」の文章(「PDA-1」の定型文章データの文章)と「試験条件」の文章(「PDA-2」~「PDA-5」の定型文章データの文章)とを完成させた後、各文章をこの順に配列することで、「確認試験」の文章(「書式A」)が完成されるようになっている(
図16の「確認試験」の項目参照)。なお、本実施形態では、「主たる部分」の文章を作成した後に「試験条件」の文章を作成する構成としたが、「試験条件」の文章を作成した後に「主たる部分」の文章を作成してもよい。
【0070】
次に、「定量法」の項目について
図11および
図12を参照しつつ説明する。
図11および
図12に示すように、「定量法」の項目では、「確認試験」の項目と同様に、前段の「主たる部分」と、後段の「試験条件」とに分かれた2部構成となっている。この点、「定量法」の定型文章データは、「確認試験」の定型文章データと同様に、「主たる部分」および「試験条件」の各「小分類文章データ」により構成されたものといえる。
【0071】
また、
図11に示すように、「定量法」の項目では「主たる部分」に相当する文章として、例えば、定量法で用いられる検量線の種類(「1点検量線」、「3点検量線」および「内標準法」)(
図7参照)等に応じて異なる定型文章データが用意されている。これらの定型文章データは、「LC(1点検量線)-1」~「LC(1点検量線)-3」や「LC(3点検量線)-1」~「LC(3点検量線)-3」といったように、データの配列順が規定されたうえで細分化されている。なお、有効成分「グリチルレチン酸ステアリル」について「主たる部分」の文章を作成する場合、「配合量」が「0.1%」のとき、「LC(3点検量線)-1」~「LC(3点検量線)-3」の定型文章データが選択される。
【0072】
図11および
図12に示すように、「定量法」の定型文章データには、「確認試験」の定型文章データと同様に、データ中の随所に「変数データ」が埋め込まれている。このため、本実施形態では、「定量法」の項目も、上記した「確認試験」の項目と同様な手法で、文章を作成するようになっている。
【0073】
ここで、有効成分「グリチルレチン酸ステアリル」について、「配合量」が「0.1%」かつ「A法」のとき、「書式A」で「定量法」の文章を作成する場合を例にとって説明する。本実施形態では、「定量法」の項目の文章を作成する場合、「確認試験」の項目の文章を作成する場合と同様に、まず、「主たる部分」の文章を作成し、その後、「試験条件」の文章を作成するようになっている。
【0074】
上記したように、「グリチルレチン酸ステアリル」について、「定量法」の「主たる部分」の文章を作成する場合、「LC(3点検量線)-1」~「LC(3点検量線)-3」の定型文章データが選択される。
図11に示すように、「書式A」の「LC(3点検量線)-1」の定型文章データは、「本品約{sampling_weight}を精密に量り、{dilluent}を加えて溶かし、正確に{sample_dil_volume}とする。これを0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し、ろ液を試料溶液とする。{standard}約{std_sampling_weight}を精密に量り、{dilluent}に溶かし、正確に{std_dil_volume}とする。この液{std_coll_volume}を正確に量り、それぞれに{dilluent}を加えて正確に{std_sol_dil_volume}とし、標準溶液(1)、(2)、(3)とする。試料溶液及び標準溶液(1)、(2)、(3)それぞれ{injection_volume}ずつを正確にとり、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行う。標準溶液(1)、(2)、(3)のピーク面積より検量線を作成し、試料溶液のピーク面積から{active_ing}の含量を求める。」となっており、データ中には「{sampling_weight}」等の複数の「変数データ」が埋め込まれている。
【0075】
有効成分データ記憶領域22に記憶される「グリチルレチン酸ステアリル」の有効成分データによれば(
図6~
図8参照)、「試料採取量{sampling_weight}:1g」、「希釈溶媒{dilluent}:エタノール(99.5)」、「試料希釈容量{sample_dil_volume}:50mL」、「標準物質名称{standard}:グリチルレチン酸ステアリル標準品」「標準物質採取量{std_sampling_weight}:0.1g」、「標準物質希釈量{std_dil_volume}:100mL」、「標準溶液採取量{std_coll_volume}:1mL、2mL、3mL」、「標準溶液希釈量{std_sol_dil_volume}:100mL」、「注入量{injection_volume}:20」および「有効成分名{active_ing}:グリチルレチン酸ステアリル」である。
【0076】
また、
図11に示すように、「書式A」の「LC(3点検量線)-2」の定型文章データは、「本品100g中の{active_ing}の量(g)」、「LC(3点検量線)-3」の定型文章データは、「= 標準品の採取量(mg)/本品の採取量(g)×AT/AS×1/{document_A_factor}」となっており、「LC(3点検量線)-2」および「LC(3点検量線)-3」のデータ中には、「{active_ing}」および「{document_A_factor}」といった「変数データ」が含まれている。
【0077】
有効成分データ記憶領域22に記憶される「グリチルレチン酸ステアリル」の有効成分データによれば(
図7参照)、「有効成分名{active_ing}:グリチルレチン酸ステアリル」および「書式A計算式係数{document_A_factor}:200」である。「定量法」の「主たる部分」の文章(「LC(3点検量線)-1」~「LC(3点検量線)-3」の定型文章データの文章)は、このような有効成分データを、対応する「変数データ」に埋め込むことで完成されるようになっている(
図16参照)。
【0078】
次に、「グリチルレチン酸ステアリル」について、「定量法」の「試験条件」の文章を作成する場合について
図12を参照しつつ説明する。
図12に示すように、「書式A」の定型文章データは、「タイトル:試験条件」、「検出器:検出器:{detector}(測定波長:{wave_length})」、「カラム:カラム:内径{column_diameter}、長さ{column_length}のステンレス管に{particle_size}の液体クロマトグラフィー用{column_packing}を充てんする。」、「カラム温度:カラム温度:{column_temp}付近の一定温度」、「移動相:移動相:{mobile_phase}」および「流量:流量:{flow_rate}」となっており、データ中には、「{detector}」等の複数の「変数データ」が配置されている。なお、
図12に記載の「タイトル」や「検出器」等の定型文章データには、配列順を示すデータ(配列データ)が紐付けて記憶され、上記例では、「タイトル」、「検出器」、「カラム」、「カラム温度」、「移動相」、「流量」の配列順で「試験条件」の文章が作成されるように構成される(
図16参照)。
【0079】
有効成分データ記憶領域22に記憶される「グリチルレチン酸ステアリル」の有効成分データによれば(
図8参照)、「A法」のとき「検出器{detector}:フォトダイオードアレイ検出器」、「測定波長{wave_length}:254nm」、「カラム内径{column_diameter}:4.6mm」、「カラム長さ{column_length}:15cm」、「カラム粒子径{particle_size}:5μm」、「カラム充填剤{column_packing}:液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲル」、「カラム温度{column_temp}:40℃」、「移動相{mobile_phase}:メタノール」および「流量{flow_rate}:毎分0.8mL」である。上記した「カラム」や「カラム温度」等の項目の文章は、このような有効成分データを、対応する「変数データ」に埋め込むことで完成させることができるようになっている(
図16参照)。その後、上記した「タイトル」、「カラム」およや「カラム温度」等の項目の各定型文章データを、所定の配列順に配列することで、「定量法」の「試験条件」の文章が完成される(
図16参照)。
【0080】
本実施形態では、「定量法」の「主たる部分」の文章(「LC(3点検量線)-1」~「LC(3点検量線)-3」の定型文章データの文章)と「試験条件」の文章(「タイトル」、「カラム」およや「カラム温度」等の項目の定型文章データの文章)とを完成させた後、各文章をこの順に配列することで、「定量法」の項目の文章(「書式A」)が完成されるようになっている(
図16の「定量法」の項目参照)。
【0081】
なお、定型文章データ記憶領域23に記憶される定型文章データは、項目リストデータ記憶領域21に記憶されるリストデータや、有効成分データ記憶領域22に記憶される有効成分データと同様に、その内容を変更(追加および削除等)することが可能である。これにより、有効成分データについても、その内容を容易に変更することができるため、データベース上で書類情報(「薬事申請書類」に記載する内容)を効率的に一元管理することが可能である。
【0082】
(書類作成システム1における制御処理)
次に、書類作成システム1において実行される制御処理(以下、「書類作成制御処理」と称す)について
図1~
図5を参照しつつ説明する。以下においては、説明の便宜上、制御装置10と書類作成データベース装置20とが互いに通信可能な状態になっていることを前提として説明する。なお、上記「書類作成制御処理」に基づいて書類を作成する手法が特許請求の範囲に記載の書類作成方法に該当する。
【0083】
(ステップS100)
図1~
図3に示すように、本実施形態にかかる書類作成制御処理は、主に、制御装置10の中央処理部11において実行され、ステップS100における処理をおこなうことから始まる。
【0084】
中央処理部11は、ステップS100において、GUI画像生成プログラム12Aが起動されたか否かを判定する制御をおこなう。なお、本実施形態では、上記したように、書類作成プログラム12Bを起動すると、これに連動して、GUI画像生成プログラム12Aも自動的に起動するように構成されている。中央処理部11は、GUI画像生成プログラム12Aが起動されたと判定すると、ステップS200に処理を移し、起動されていないと判定すると、この処理を繰り返し実行する。
【0085】
(ステップS200)
中央処理部11は、ステップS200において、文書作成データベース装置200からリストデータを取得する処理(リストデータ取得処理)をおこなう。具体的には、中央処理部11は、GUI画像生成プログラム12Aにしたがって、項目リストデータ記憶領域21に記憶されるリストデータ(
図5参照)を取得する制御を実行する。
【0086】
本実施形態では、上記したように、項目リストデータ記憶領域21に、「申請国」および「書式」に関するリストデータ(図示省略)に加えて、「国内剤形リスト」(
図5(a)参照)、「海外剤形リスト(
図5(b)参照)」、「国内示性値リスト」(
図5(c)参照)および「海外示性値リスト」(
図5(d)参照)の各リストデータが記憶されている。このため、中央処理部11は、ステップS200において、これらのリストデータを取得する制御をおこなう。中央処理部11は、上記リストデータ取得処理をおこなった後、ステップS300に処理を移す。
【0087】
(ステップS300)
中央処理部11は、ステップS300において、「初期GUI画像」を表示する処理(初期GUI画像表示処理)をおこなう。具体的には、中央処理部11は、GUI画像生成プログラム12Aにしたがって、表示部14に、「初期GUI画像」(
図14参照)を表示する制御を実行する。
図14に示すように、本実施形態にかかる「初期GUI画像」では、ステップS200で取得したリストデータに基づいて、「依頼No.」、「薬事販売名」、「申請国」、「書式」、「剤形」、「示性値」、「性状」および「有効成分の数」等のユーザが入力する基本入力項目が、表示部14に表示されるようになっている。
図2および
図3に示すように、中央処理部11は、上記初期GUI画像表示処理をおこなった後、ステップS400に処理を移す。
【0088】
(ステップS400)
図1~
図3および
図14に示すように、中央処理部11は、ステップS400において、「初期GUI画像」に対するデータの入力が完了したか否かを判定する処理をおこなう。本実施形態にかかる「初期GUI画像」(
図14参照)において、ユーザは、リスト表示された「申請国」、「書式」、「剤形」や「示性値」の文字列の選択、「超音波処理」の「あり」または「なし」の選択、および、「性状」や「有効成分の数」の文字列データの入力等をおこなう。なお、上記「初期GUI画像」に対して入力されたデータが特許請求の範囲に記載の入力データに該当する。
【0089】
また、本実施形態では、リスト表示された「示性値」において「なし」以外の文字列が選択されると、必要に応じて、選択された文字列に対応する項目が追加的に表示されるように構成される。本実施形態にかかる「初期GUI画像」では、「示性値」の表示リストにおいて「pH」が選択されると、「pH下限」および「pH上限」の項目が自動的に追加表示されるようになっている。ユーザは、上記「申請国」等の項目のほか、「pH下限」および」「pH上限」のような追加項目が表示された場合、この追加項目についてもデータを入力しなければならない構成となっている。なお、本実施形態では、「pH下限」および」「pH上限」のような追加項目のデータは、ステップS200の処理において、リストデータとともに、文書作成データベース装置200から取得するように構成される。
【0090】
中央処理部11は、「初期GUI画像」に対するデータの入力が完了したと判定すると、ステップS500に処理を移し、データの入力が完了していないと判定すると、この処理を繰り返し実行する。なお、本実施形態では、中央処理部11は、「初期GUI画像」に対するデータの入力が完了した後、「有効成分情報を入力する」といった文字列画像(
図14参照)の選択操作があったときに、ステップS500に処理を移すように構成される。
【0091】
(ステップS500)
図1~
図3に示すように、中央処理部11は、ステップS500において、文書作成データベース装置200から有効成分データを取得する処理(有効成分データ取得処理)をおこなう。具体的には、中央処理部11は、GUI画像生成プログラム12Aにしたがって、有効成分データ記憶領域22に記憶される有効成分データ(
図7~
図9参照)を取得する制御を実行する。中央処理部11は、上記有効成分データ取得処理をおこなった後、ステップS600に処理を移す。なお、本実施形態では、有効成分データ取得処理を、リストデータ取得処理(ステップS200)の後におこなったが、例えば、当該リストデータ取得処理と同時に、おこなうことも可能である。
【0092】
(ステップS600)
中央処理部11は、ステップS600において、「有効成分入力GUI画像」を表示する処理(表示成分入力GUI画像表示処理)をおこなう。具体的には、中央処理部11は、GUI画像生成プログラム12Aにしたがって、表示部14に、「有効成分入力GUI画像」(
図15参照)を表示する制御を実行する。
図15に示すように、本実施形態にかかる「有効成分入力GUI画像」では、「有効成分名」、「濃度」および「試験条件」といった項目が、表示部14に表示されるようになっている。なお、本実施形態では、これらの各項目は、ステップS500で取得した有効成分データ(例えば、
図7の「有効成分名」や「配合量」および
図8の「試験条件」)に基づいて、リスト化された状態で表示されるように構成される。中央処理部11は、有効成分入力GUI画像表示処理をおこなった後、ステップS700に処理を移す。
【0093】
(ステップS700)
図1~
図3および
図15に示すように、中央処理部11は、ステップS700において、「有効成分入力GUI画像」に対するデータの入力が完了したか否かを判定する処理をおこなう。本実施形態にかかる「有効成分入力GUI画像」において、ユーザは、リスト表示された「有効成分名」、「濃度」および「試験条件」の各項目について選択操作をすることで、有効成分の登録をおこなう。なお、上記「有効成分入力GUI画像」に対して選択入力されたデータが特許請求の範囲に記載の入力データに該当する。
【0094】
また、本実施形態では、「初期GUI画像」における「有効成分の数」(
図14参照)の項目において、「2」以上の値が入力された場合、その数分の有効成分の登録をおこなうように構成されている。
図15の「有効成分入力GUI画像」は、「1個目の有効成分」に関する情報を登録している様子を示したものである。
【0095】
本実施形態では、リスト表示される有効成分名のうち、所望の有効成分が選択されると、その有効成分に対応する「濃度」および「試験条件」が切り替わって表示されるようになっている。例えば、
図15の「有効成分入力GUI画像」の有効成分名において、「グリチルレチン酸ステアリル」が選択されると、「濃度:0.1%、0.2%または0.05%」および「試験条件:A法またはB法」がリスト表示されるようになっている。このようなリスト表示は、ステップS500(
図3参照)の処理で取得した有効成分データ(
図7の「有効成分名」や「配合量」および
図8の「試験条件」)に基づいて生成されるものである。
【0096】
同様に、「有効成分入力GUI画像」の有効成分名において、「酢酸DL-α-トコフェロール」が選択されると、「濃度:0.3%または0.1%」および「試験条件:A法またはB法」がリスト表示されることとなる。
【0097】
また、本実施形態では、「1個目の有効成分」として、「グリチルレチン酸ステアリル」、「濃度:0.1%」および「試験条件:A法」を登録する場合、「有効成分情報を登録する」といった文字列を選択入力することによって、その有効成分の登録が完了するように構成されている。また、「2個目の有効成分」および「3個目の有効成分」(例えば、「酢酸DL-α-トコフェロール」)の登録も、これと同様な操作をすることによっておこなうことが可能になっている。なお、この場合、有効成分の登録がおこなわれた有効成分名(例えば、「グリチルレチン酸ステアリル」)は、その次の有効成分の登録(例えば、「酢酸DL-α-トコフェロール」)をおこなう際に、「有効成分名」の表示欄から削除して表示することが好ましい。これにより、有効成分の誤入力等を防止することが可能になる。また、3個目(最後)の有効性分を登録する場合、これが最後の有効成分の登録であることをユーザに知らしめるため、例えば、「有効成分情報を登録する」といった文字列に代えて、「書類を作成する」といった文字列に変更してもよい。
【0098】
図2および
図3に示すように、中央処理部11は、「有効成分入力GUI画像」に対するデータの入力が完了したと判定すると、ステップS800に処理を移し、データの入力が完了していないと判定すると、この処理を繰り返し実行する。
【0099】
(ステップS800)
図1~
図3に示すように、中央処理部11は、ステップS800において、書類作成処理をおこなう。具体的には、中央処理部11は、書類作成プログラム12Bにしたがって、
図4に示すステップS801~ステップS808の処理をおこなう。以下、中央処理部11による書類作成処理を、
図1、
図2および
図4を参照しつつ説明する。
【0100】
(ステップS801)
図4に示すように、本実施形態にかかる書類作成処理は、ステップS801の処理をおこなうことから始まる。
図1、
図2および
図4に示すように、中央処理部11は、ステップS801において、書類作成データベース装置20から「大分類文章データ」を抽出する処理(大分類文章データ抽出処理)をおこなう。この「大文類分章データ」は、「タイトル」、「含量規格」、「性状」、「確認試験」、(「示性値」、(例えば、「pH」))「定量法」、「標準物質」(、「試薬・試液」)および「備考」の項目ごとに作成された定型文章のデータである(
図9~
図13参照)。なお、上記「大分類文章データ抽出処理」が特許請求の範囲に記載の、定型文章データを抽出する処理、抽出工程および抽出ステップに該当する。
【0101】
例えば、「初期GUI画像」に対して入力されたデータが「申請国:日本」、「書式:書式A」および「示性値:pH」である場合(
図14参照)、中央処理部11は、定型文章データ記憶領域23に記憶される、「タイトル」(
図9(a)参照)、「含量規格」(
図9(b)参照)、「性状」(
図9(c)参照)、「確認試験」(
図10参照)、「pH」、「定量法」(
図11および
図12参照)、「標準物質」(
図13(a)参照)、「試薬・試液」(
図13(b)参照)および「備考」(
図13(c)参照)の各「大分類文章データ」(「書式A」)を抽出する制御をおこなう。なお、各「大分類文章データ」には、「薬事申請書類」を作成する際の記載順(配列順)が規定された配列データが紐付けられている(図示省略)。
中央処理部11は、大分類文章データ抽出処理をおこなった後、ステップS802に処理を移す。
【0102】
(ステップS802)
中央処理部11は、ステップS802において、「大分類文章データ」が「小分類文章データ」により構成されているか否かを判定する処理をおこなう。詳しくは後述するが、本実施形態にかかる書類作成処理は、(1)まず、「大分類文章データ」ごとに文章を作成する(ステップS802~ステップS807)、(2)次に、作成された各「大分類文章データ」(項目)の並び替え等をおこなって「薬事申請書類」を作成する(ステップS808およびステップS809)、といった手順を踏むことによりおこなわれる。
【0103】
本実施形態では、上記したように、「大分類文章データ」が複数の「小分類文章データ」(本実施形態では、「主たる部分」と「試験条件」)により構成される項目は、「確認試験」および「定量法」の2つである。このため、中央処理部11は、本処理において、「確認試験」および「定量法」の各項目については、「大分類文章データ」が「小分類文章データ」により構成されていると判定する一方、それ以外の項目については、「小分類文章データ」により構成されていないと判定することとなる。
【0104】
これらの点について、「タイトル」および「確認試験」の各「大分類文章データ」の文章を、この順で作成する場合を例にとって説明する。この例では、中央処理部11は、まず、「タイトル」の項目の文章を作成するため、ステップS802の処理を実行する。この場合、中央処理部11は、ステップS802の処理で「No」と判定するため、「タイトル」の項目の文章を作成する処理をおこなうこととなる(ステップS802で「No」→ステップS807)。「タイトル」の項目の文章を作成した時点では、全ての「大分類文章データ」の文章が作成されていないため、中央処理部11は、次の「大分類文章データ」である「確認試験」を作成する処理をおこなう(ステップS808で「No」→ステップS802)。次に、中央処理部11は、ステップS802で「Yes」と判定するため、ステップS803以降の処理をおこなって「確認試験」の文章を作成する処理をおこなう。その後、「確認試験」の項目の文章が完成すると、「タイトル」および「確認試験」の各項目の文章を並び替える処理等がおこなわれ(ステップS808で「Yes」→ステップS809)、「タイトル」および「確認試験」が記載された書類が完成するようになっている。
【0105】
(ステップS803)
中央処理部11は、ステップS803において、「小分類文章データ」を抽出する処理(小分類文章データ抽出処理)をおこなう。具体的には、中央処理部11は、「有効成分入力GUI画像」(
図15参照)に対して入力された有効成分に関するデータに基づいて、「確認試験」または「定量法」の項目で用いる「小分類文章データ」(定型文章データ)を抽出する制御を実行する。
【0106】
例えば、中央処理部11は、「有効成分入力GUI画像」(
図15参照)に対して入力されたデータが「有効成分:グリチルレチン酸ステアリル」および「試験条件:A法」であった場合、上記したように、「確認試験」の項目で用いる定型文章データとして「PDA-1」~「PDA-5」を(
図10および
図8の「A法」参照)、または、「定量法」の「主たる部分」で用いる定型文章データとしては「LC(3点検量線)-1」~「LC(3点検量線)-3」を(
図11参照)抽出する制御をおこなう。中央処理部11は、上記小分類データ抽出処理をおこなった後、ステップS804に処理を移す。
【0107】
(ステップS804)
中央処理部11は、ステップS804において、書類作成データベース装置20から有効成分データを抽出する処理(有効成分データ抽出処理)をおこなう。
図10~
図13に示すように、「確認試験」および「定量法」の各「小分類文章データ」(定型文章データ)には、それぞれ「変数データ」が随所に埋め込まれている。このため、本処理では、「小分類文章データ」の文章を完成させるため、有効成分データ記憶領域22から「変数データ」に対応する有効成分データを抽出するようにしている。
【0108】
この点について、上記した「確認試験」の「PDA-1」(
図10参照)を例にとって説明すると、「PDA-1」には、「・・・両者のスペクトルは波長{wave_length}付近に吸収の極大を認める。」といった「変数データ」が埋め込まれている(
図10参照)。このため、中央処理部11は、有効成分データ記憶領域22から、「グリチルレチン酸ステアリル」の{wave_length}(「測定波長」)に対応する有効成分データ「254nm」(
図8参照)を抽出する制御をおこなうこととなる。
【0109】
中央処理部11は、有効成分データ抽出処理をおこなった後、ステップS805に処理を移す。なお、本実施形態では、上記したように、「確認試験」(または「定量法」)の「主たる部分」の文章と、「試験条件」の文章とは、一方の文章が完成した後に、他方の文章を作成するように構成されている。例えば、「確認試験」の項目で用いる「小分類文章データ」が、上記で例示した「PDA-1」~「PDA-5」であったとすると、本実施形態では、「PDA-1」(「主たる部分」)の文章を完成させた後、「PDA-2」~「PDA-5」(「試験条件」)の文章を作成する処理、すなわち、ステップS804および後述するステップS805の処理をおこなうように構成される。また、「有効成分入力GUI画像」(
図15参照)において複数の有効成分名が登録された場合であっても、本実施形態では、有効成分ごとに、「主たる部分」の文章を作成した後、「試験条件」の文章を作成する処理を実行するようになっている。
【0110】
(ステップS805)
中央処理部11は、ステップS805において、「小分類文章データ」を作成する処理(小分類文章データ作成処理)をおこなう。具体的には、中央処理部11は、ステップS803で抽出した「小分類文章データ」中の「変数データ」に、ステップS804で抽出した有効成分データを埋め込む制御を実行する。例えば、ステップS803で抽出した「小分類文章データ」(「確認試験」の「PDA-1」)が「・・・両者のスペクトルは波長{wave_length}付近に吸収の極大を認める。」、ステップS804で抽出した有効成分データが「測定波長({wave_length}):254nm」であったとすると、中央処理部11は、「・・・両者のスペクトルは波長254nm付近に吸収の極大を認める。」といった文章を作成する制御をおこなう。中央処理部11は、上記小分類文章データ作成処理をおこなった後、ステップS806に処理を移す。なお、上記「小分類文章データ」中の「変数データ」に有効成分データを埋め込む制御が、特許請求の範囲に記載の、前記必須記載事項のデータを・・・前記定型文章のデータに埋め込む処理、埋め込み工程および埋め込み抽出ステップに該当する。
【0111】
(ステップS806)
中央処理部11は、ステップS806において、全ての「小分類文章データ」の文章が完成したか否かの判定をおこなう。すなわち、「確認試験」(または「定量法」)の「主たる部分」および「試験条件」の各文章が完成した場合、中央処理部11は、全ての「小分類文章データ」の文章が完成したと判定する一方、「主たる部分」の文章のみが完成している場合、全ての「小分類文章データ」の文章が完成していないと判定することとなる。中央処理部11は、全ての「小分類文章データ」の文章が完成したと判定すると、ステップS807に処理を移し、全ての「小分類文章データ」の文章が完成していないと判定すると、ステップS804に処理を移す。
【0112】
(ステップS807)
中央処理部11は、ステップS807において、「大分類文章データ」の文章を作成する処理(大分類文章データ作成処理)をおこなう。ここで、ステップS802の処理で、「小分類文章データ」により構成されていないと判定された「大分類文章データ」について文章を作成する場合と(「ステップS802」で「No」→「ステップS807」)、「小分類文章データ」により構成されていると判定された「大分類文章データ」について文章を作成する場合と(「ステップS802」で「Yes」→「ステップS803」→・・・→「ステップS807」)に分けて説明する。
【0113】
まず、ステップS802の処理で、「小分類文章データ」により構成されていないと判定された「大分類文章データ」について文章を作成する場合を説明する。なお、この場合の「大分類文章データ」は、「確認試験」および「定量法」以外の項目(例えば、「タイトル」)のデータである。
【0114】
例えば、「初期GUI画像」(
図14参照)に対して入力されたデータが「薬事販売名:〇〇〇〇〇」および「申請国:日本」および「書式:書式A」であったときに、「タイトル」の文章を作成する場合、中央処理部11は、ステップS801の処理で抽出した「{product_name}の規格及び試験方法」(
図9(a)の「書式A」参照)のうちの「{product_name}」に、「薬事販売名」の項目で入力された「〇〇〇〇〇」を挿入する(埋め込む)処理をおこなう。これにより、「〇〇〇〇〇の規格及び試験方法」といった「タイトル」(「大分類文章データ」)の文章が作成されることとなる。
【0115】
次に、ステップS802の処理で、「小分類文章データ」により構成されていると判定された「大分類文章データ」の文章について作成する場合を説明する。なお、この場合の「大分類文章データ」は、「確認試験」および「定量法」の項目のデータである。
【0116】
例えば、ステップS805の処理で作成した「小分類文章データ」の文章が「主たる部分:[試験名]確認試験 (1)グリチルレチン酸ステアリル 本品を定量法(1)にしたがい・・・」および「試験条件:試験条件 カラム、カラム温度、移動相及び流量は・・・」であったときに、「確認試験」の文章を作成する場合、中央処理部11は、「主たる部分」の文章の次に「試験条件」の文章となるように文章の順序を並び替える処理をおこなう。これにより、「確認試験」(「大分類文章データ」)の文章が作成されることとなる。中央処理部11は、上記大分類文章データ作成処理をおこなった後、ステップS808に処理を移す。なお、上記「主たる部分」の文章の次に「試験条件」の文章を並べる処理が、特許請求の範囲に記載の、前記定型文章のデータを前記配列データに従って配列する処理、配列工程および配列ステップに該当する。
【0117】
(ステップS808)
中央処理部11は、ステップS808において、全ての「大分類文章データ」の文章の作成が完了したか否かを判定する処理をおこなう。具体的には、中央処理部11は、「薬事申請書類」に記載すべき項目(例えば、「含量規格」、「性状規格」)の「大分類文章データ」の文章が全て作成されているか否かを判定する制御を実行する。なお、ここでいう「薬事申請書類」とは、「初期GUI画像」に対して入力された「申請国」や「書式」に基づいて決定された書類の形式(例えば、国内における「書式A」や「書式B」、「台湾」や「韓国」における書式)を意味し、「記載すべき事項」とは、当該書類ごとに定められた項目のほか、「初期GUI画像」や「有効成分入力GUI画像」に対して入力されたデータ(例えば、「pH上限」や「pH下限」)に基づく情報も広く含む意味である。
【0118】
例えば、「薬事申請書類」に記載すべき項目が、「タイトル」、「含量規格」、「性状」、「確認試験」、「pH」、「定量法」、「標準物質」、「試薬・試液」および「備考」である場合において、中央処理部11は、これらの項目の「大分類文章データ」の文章が全て作成されていると、「Yes」と判定することとなる。中央処理部11は、全ての「大分類文章データ」の文章の作成が完了していると判定すると、ステップS809に処理を移し、全ての「大分類文章データ」の文章の作成が完了していないと判定すると、ステップS802に処理を移す。
【0119】
(ステップS809)
中央処理部11は、ステップS309において、「大分類文章データ」の文章を並び替えるとともにレイアウトする処理(大分類文章データ並び替え・レイアウト処理)をおこなう。具体的には、中央処理部11は、各「大分類文章データ」に紐付けられた配列データにしたがって、当該「大分類文章データ」を、例えば、「タイトル」、「含量規格」、「性状」、「確認試験」、「pH」、「定量法」、「標準物質」、「試薬・試液」および「備考」といった順に並び替えるとともに、各項目の文章をレイアウト(例えば、文字間や記載位置)する制御を実行する。これにより、各項目が整然と記載された「薬事申請書類」を作成されることとなる(
図16参照)。なお、上記「大分類文章データ」の文章を並び替える処理が、特許請求の範囲に記載の、前記定型文章のデータを前記配列データに従って配列する処理、配列工程および配列ステップに該当する。中央処理部11は、上記大分類文章データ並び替え・レイアウト処理をおこなった後、ステップS900(
図3参照)に処理を移す。
【0120】
(ステップS900)
図3に示すように、中央処理部11は、ステップS809の処理で作成された「薬事申請書類」を表示部14(
図2参照)に表示(書類表示処理)書類表示処理させる処理をおこなう。これにより、ユーザは、表示部14に表示された「薬事申請書類」を確認して、プリントアウト等をすることが可能になる。中央処理部11は、上記書類表示処理をおこなった後、本書類作成制御処理を終了する。
【0121】
以上のように、本実施形態にかかる書類作成システム1によれば、「薬事販売名」、「有効成分名」、「濃度」、「性状」および「試験条件」等の情報を入力することにより、「薬事申請書類」が作成されるように構成されている。すなわち、本実施形態では、書類作成に必要な最小限の情報を入力するだけで、正確性が要求される複雑な書類を容易かつ迅速(自動的)に作成することができるので、ユーザの書類作成に要する負担を軽減することができ、ひいては、ヒューマンエラーの発生を確実に防止することが可能である。
【0122】
また、本実施形態では、「有効成分名」、「濃度」および「試験条件」等の入力情報を基に選定された有効成分データが、定型文章データ中の「変数データ」に挿入されることによって、「薬事申請書類」を構成する定型文章データ(例えば、
図10~
図12に示す「確認試験」や「定量法」の定型文章データ)の文章が完成されるように構成されている。すなわち、本実施形態では、「薬事申請書類」に記載する内容が法改正等により変更されたとしても、例えば、定型文章データの内容や、定型文章データ中の「変形データ」の位置(埋め込み位置)または「変更データ」に埋め込むデータの内容をカスタマイズすることで、容易に対応(追従)することができる。
【0123】
さらに、本実施形態によれば、「薬事申請書類」の作成に必要な情報の入力は、「初期GUI画像」(
図14参照)および「有効成分入力GUI画像」(
図15参照)を通じておこなうように構成されている。すなわち、本実施形態では、ユーザは、「初期GUI画像」および「有効成分入力GUI画像」に表示された項目にしたがって、所定の情報を入力すればよいため、入力漏れや誤入力等のヒューマンエラーを有効に防止することができる。
【0124】
なお、上記実施形態では、項目リストデータ記憶領域21、有効成分データ記憶領域22および定型文章データ記憶領域23を書類作成データベース装置20に設けたが、これらの一部または全部を制御装置10の記憶部12に設けてもよい。上記各記憶領域の全部を記憶部12に設けた場合にあっては、書類作成データベース装置20を省略することが可能である。
【0125】
また、上記実施形態では、中央処理部11において、(1)定型文章データ記憶領域23から定型文章データを抽出する処理と(
図3の「ステップS801」等参照)、(2)定型文章データの「変数データ」に有効成分データ等のデータを埋め込む処理と(
図4の「ステップS805」や「ステップS807」参照)および(3)定型文章データを並び替える処理(
図4の「ステップS809」や「ステップS807」参照)を実行するように構成したが、例えば、上記(1)および(2)の各処理については、中央処理部11でおこない、上記(3)の処理については、手作業でおこなうことも可能である。
【0126】
さらに、上記実施形態では、有効成分が複数ある場合において、「確認試験」(または「定量法」)の「主たる部分」および「試験条件」の各文章(「小分類文章データ」の各文章)を作成するとき、「主たる部分」の文章を完成させた後に「試験条件」の文章を作成したが、有効成分ごとに「主たる部分」および「試験条件」の各文章を完成させていくことも可能である。
【0127】
また、上記実施形態では、書類作成システム1を用いて「薬事申請書類」を作成したが、定型的な文章を記載する書類であれば、「薬事申請書類」以外の書類を作成してもよい。
【0128】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述および図面により、本発明は限定されるものではない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実例および運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれることはもちろんであることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0129】
1 書類作成システム
2 公衆通信回線
10 制御装置
11 中央処理部
12 記憶部
12A GUI画像生成プログラム
12B 書類作成プログラム
13 通信部
14 表示部
15 入力部
20 書類作成データベース装置
21 項目リストデータ記憶領域
22 有効成分データ記憶領域
23 定型文章データ記憶領域
【手続補正書】
【提出日】2024-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の書類を作成する書類作成システムであって、
各種データを記憶する記憶手段と、
前記書類を作成する制御をおこなう制御手段と、
を備え、
前記記憶手段は、
前記書類の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章のデータ群を記憶する定型文章データ記憶領域と、
前記定型文章中に記載する必要のある必須記載事項のデータ群を記憶する必須記載事項データ記憶領域と、
前記書類の種類に応じた前記定型文章のデータの配列を規定する配列データを記憶する配列データ記憶領域と、
を有し、
前記制御手段は、
入力された前記書類の種類および前記必須記載事項を含む入力データに基づいて前記書類を作成するように構成され、
前記定型文章データ記憶領域から前記定型文章のデータを抽出する処理と、
前記必須記載事項データ記憶領域から前記必須記載事項のデータを抽出して前記定型文章のデータに埋め込む処理と、
抽出された前記定型文章のデータを前記配列データに従って配列する処理と、
を実行する、ことを特徴とする書類作成システム。
【請求項2】
前記定型文章データ記憶領域に記憶される前記定型文章のデータには、前記必須記載事項のデータの埋め込み位置が予め規定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の書類作成システム。
【請求項3】
各種情報を表示する表示手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶される各データを基に前記入力データの入力を促すGUI画像を生成して前記表示手段に表示するとともに、前記GUI画像に対して入力された前記入力データに基づいて前記書類を作成する制御をおこなう、ことを特徴とする請求項1または2に記載の書類作成システム。
【請求項4】
前記書類は、薬事に関する申請書類であり、
前記必須記載事項は、名称、有効成分、濃度、性状および試験条件の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の書類作成システム。
【請求項5】
複数種類の書類を記憶手段に記憶された各種データに基づいて作成する書類作成方法であって、
前記記憶手段は、
前記書類の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章のデータ群を記憶する定型文章データ記憶領域と、
前記定型文章中に記載する必要のある必須記載事項のデータ群を記憶する必須記載事項データ記憶領域と、
を有し、
前記書類作成方法は、
前記書類の種類および前記必須記載事項を含む情報に基づいて前記書類を作成するように構成され、
前記定型文章データ記憶領域から前記定型文章のデータを抽出する抽出工程と、
前記必須記載事項データ記憶領域から前記必須記載事項のデータを抽出して前記定型文章のデータに埋め込む埋め込み工程と、
前記抽出工程をおこなうことにより抽出された前記定型文章のデータを前記書類の種類に応じて配列する配列工程と、
を含む、ことを特徴とする書類作成方法。
【請求項6】
複数種類の書類を記憶する記憶手段を備えたコンピュータを含む書類作成システムを用いて作成する書類作成プログラムであって、
前記記憶手段は、
前記書類の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章のデータ群を記憶する定型文章データ記憶領域と、
前記定型文章中に記載する必要のある必須記載事項のデータ群を記憶する必須記載事項データ記憶領域と、
前記書類の種類に応じた前記定型文章のデータの配列を規定する配列データを記憶する配列データ記憶領域と、
を有し、
前記書類作成プログラムは、
コンピュータに入力された前記書類の種類および前記必須記載事項を含む入力データに基づいて実行するように構成され、
前記定型文章データ記憶領域から前記定型文章のデータを抽出する抽出ステップと、
前記必須記載事項データ記憶領域から前記必須記載事項のデータを抽出して前記定型文章のデータに埋め込む埋め込みステップと、
前記抽出ステップをおこなうことにより抽出された前記定型文章のデータを前記配列データに従って配列する配列ステップと、
を前記コンピュータに実行させる、ことを特徴とする書類作成プログラム。
【請求項7】
複数種類の書類を作成するコンピュータに接続された書類作成データベース装置であって、
前記書類作成データベース装置は、
前記書類の文書を分割した複数の文章ブロックからなる定型文章のデータ群を記憶する定型文章データ記憶領域と、
前記定型文章中に記載する必要のある必須記載事項のデータ群を記憶する必須記載事項データ記憶領域と、
前記書類の種類に応じた前記定型文章のデータの配列を規定する配列データを記憶する配列データ記憶領域と、
を有し、
前記コンピュータは、
入力された前記書類の種類および前記必須記載事項を含む入力データに基づいて、前記書類を作成するように構成され、
前記定型文章データ記憶領域から前記定型文章のデータを抽出する処理と、
前記必須記載事項データ記憶領域から前記必須記載事項のデータを抽出して前記定型文章のデータに埋め込む処理と、
抽出された前記定型文章のデータを前記配列データに従って配列する処理と、
を実行する、ことを特徴とする書類作成データベース装置。