(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005230
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】情報取得支援コンピュータシステム、サーバコンピュータ、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250108BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105334
(22)【出願日】2023-06-27
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】517035474
【氏名又は名称】株式会社ビークルー
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 和彦
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】ユーザーの置かれた個別状況を加味した支援情報をユーザーに提示可能なコンピュータシステムを提供する。
【解決手段】情報取得支援コンピュータシステム1は、携帯端末10ひいてはユーザーAの位置履歴情報を、位置履歴取得部13によって取得し、サーバコンピュータ20に送る。サーバコンピュータ20の人工知能からなる推論部14によって、標本位置履歴と標本状況との相関関係の学習済モデル3と位置履歴情報とに基づいて、ユーザーAの個別状況を推論する。サーバコンピュータ20の支援情報取得部25によって、前記推論に基づく支援情報を取得する。取得した支援情報を携帯端末10から出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末のユーザーの情報取得を支援するコンピュータシステムであって、
標本者の位置の履歴である標本位置履歴と標本者の置かれた状況である標本状況との相関関係の学習済モデルを記憶する学習済モデル記憶部と、
前記携帯端末の位置履歴情報を取得する位置履歴取得部と、
所定期間の前記位置履歴情報と前記学習済モデルとに基づいて、前記ユーザーの個別状況を推論する推論部と、
前記推論に基づく支援情報を取得する支援情報取得部と、
前記支援情報を出力する出力部と
を備えたことを特徴とする情報取得支援コンピュータシステム。
【請求項2】
前記支援情報取得部が、前記推論に基づく支援情報を人工知能機能によって生成する生成系人工知能部を含む請求項1に記載の情報取得支援コンピュータシステム。
【請求項3】
前記出力部が、前記支援情報を人工知能機能によって生成した自然言語情報として出力する請求項1に記載の情報取得支援コンピュータシステム。
【請求項4】
携帯端末のユーザーの情報取得を支援するサーバコンピュータであって、
標本位置履歴と標本状況との相関関係の学習済モデルを記憶する学習済モデル記憶部と、
前記携帯端末の位置履歴情報を前記携帯端末から受け取る位置履歴受け取り部と、
所定期間の前記位置履歴情報と前記学習済モデルとに基づいて、前記ユーザーの個別状況を推論する推論部と、
前記推論に基づく支援情報を取得する支援情報取得部と、
前記支援情報を前記携帯端末へ送信する送信部と
を備えたことを特徴とする情報取得支援サーバコンピュータ。
【請求項5】
携帯端末のユーザーの情報取得を支援するための前記携帯端末で実行可能なプログラムであって、
前記携帯端末の位置履歴情報を取得する処理と、
前記位置履歴情報を、標本位置履歴と標本状況との相関関係の学習済モデルを記憶したサーバコンピュータへ送信する処理と、
前記サーバコンピュータによる、所定期間の前記位置履歴情報と前記学習済モデルとを用いた前記ユーザーの個別状況の推論に基づく支援情報を受信する処理と、
前記受信した支援情報を出力する処理と
を前記携帯端末に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
携帯端末のユーザーの情報取得を支援する方法であって、
前記携帯端末の位置履歴情報を取得する工程と、
標本位置履歴と標本状況との相関関係の学習済モデルと前記位置履歴情報とに基づいて、前記ユーザーの個別状況を、サーバコンピュータ又は前記携帯端末によって推論する工程と、
前記サーバコンピュータが、前記推論に基づく支援情報を取得する工程と、
前記支援情報を前記携帯端末から出力する工程と
を備えたことを特徴とする情報取得支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末のユーザーの情報取得を支援するコンピュータシステム、サーバコンピュータ、プログラム及び方法に関し、特に、ユーザーが置かれた状況に応じた的確な情報取得を支援するコンピュータシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーが知りたいことや欲していることに応じた情報を提供するコンピュータシステムとしては、大手検索エンジンが知られている。その使用に際しては、ユーザーが、携帯端末等の端末コンピュータのWEB画面の検索フォームにキーワードをテキスト入力したり、音声検索オンモードで音声入力したりする。そうすると、インターネット等の通信網を介して、検索エンジンによる検索結果が画面表示されたり音声出力されたりする。場所を指定して知りたい項目(公園、飲食店、交通機関など)を入力すると、関係する場所がマークされた地図が画面表示されるアプリケーションも知られている。
【0003】
特許文献1には、ユーザーのSNS関連情報等を利用してユーザーの状況を分析して、SNSを通じた対話形式のアドバイスを行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の検索エンジンにおいては、検索時におけるユーザーの個別状況を判断することは無い。ユーザーは、検索結果のリストの中から、知りたい情報が含まれていると思われる項目を選択して内容を確認し、知りたいことと異なる場合は別の項目を確認し、これを繰り返して、ようやく知りたい情報にたどり着くことができる。
【0006】
一方、特に外出先で情報の検索を行う場合、その場所及びその時点におけるユーザーの置かれた個別状況(例えば、疲れた、おなかが空いた、トイレに行きたい、道に迷った、急いでいる等の状況)に関連した事柄が、知りたい情報となる場合が多い。
本発明は、かかる事情に鑑み、ユーザーの置かれた個別状況を加味した支援情報をユーザーに提示可能なコンピュータシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、発明者は、鋭意研究考察を行なった。我々人間は、他者の動き(位置の履歴)を見れば、その人が疲れているようであるとか、道に迷っているようであるとか、急いでいるようであるとかの個別状況を推し量ることが出来る。人間が出来るのであれば、コンピュータシステムによっても人工知能機能を使えば可能と考えられる。
本発明は、かかる考察の下になされたものであり、携帯端末のユーザーの情報取得を支援するコンピュータシステムであって、
標本者の位置の履歴である標本位置履歴と標本者の置かれた状況である標本状況との相関関係の学習済モデルを記憶する学習済モデル記憶部と、
前記携帯端末の位置履歴情報を取得する位置履歴取得部と、
所定期間の前記位置履歴情報と前記学習済モデルとに基づいて、前記ユーザーの個別状況を推論する推論部と、
前記推論に基づく支援情報を取得する支援情報取得部と、
前記支援情報を出力する出力部と
を備えたことを特徴とする。
【0008】
ユーザーが取得したい情報としては、ユーザーが意識して明確に欲している情報の他、言語化されていない程度に漠然と、又は無意識ないしは無自覚に欲している情報をも含む。
携帯端末の位置履歴は、その携帯端末を携行するユーザーの位置履歴(動きの履歴)に相当する。位置履歴情報には、位置そのものの他、速度、加速度、移動方向等の履歴情報等が含まれていてもよい。
標本者は、位置履歴と置かれた状況との学習データの提供者であり、実在の提供者に限らず、人工知能機能によって作成した仮想標本者でもよい。
標本位置履歴は、標本者が携行する携帯端末等によって取得できる。標本状況としては、例えば疲れている、トイレに行きたい、おなかがすいた等の標本者の心身状態や、道に迷っている、急いでいる等の標本者の事情が挙げられる。多数の標本位置履歴と標本状況とによって、それらの相関関係の学習済モデルが得られる。
個別状況としては、例えば疲れている、トイレに行きたい、おなかがすいた等のユーザーの心身状態や、道に迷っている、急いでいる等のユーザーの事情が挙げられる。その個別状況が、前記学習済モデル及び位置履歴情報から推論される。好ましくは、推論部は、人工知能(AI)によって構成されている。学習済モデル及び推論部は、本システムのサーバコンピュータに設けられていてもよく、携帯端末に設けられていてもよい。
推論した個別状況に応じて、支援情報が取得される。好ましくは、支援情報は、ユーザーの現在位置情報を勘案して取得される。例えば、ユーザーが疲れていると推論されたときは、取得される支援情報として、ユーザーの現在位置近くの、座って休むためのベンチや喫茶店、飲食店、コンビニエンスストア等の場所やそこまでのルートの情報が挙げられる。ユーザーが急いでいると推論されたときは、取得される支援情報として、ユーザーの現在位置近くの、タクシーやバス等の交通機関の乗り場やそこまでのルートの情報が挙げられる。
支援情報の取得は、検索エンジンによる検索や、生成系人工知能部による生成を含む。
これによって、ユーザーの個別状況に適した支援情報をユーザーに提示することができる。ユーザー自身が言語化されていない程度に漠然と、又は無意識ないしは無自覚に欲している情報をも支援情報としてユーザーに提示することができる。
支援情報の出力部は、好ましくは、自然言語による音声出力部である。
出力部が、テキスト出力部であってもよい。
【0009】
好ましくは、前記支援情報取得部が、前記推論に基づく支援情報を人工知能機能によって生成する生成系人工知能部を含む。
前記支援情報取得部として、検索エンジンを用いてもよい。
【0010】
好ましくは、前記出力部が、前記支援情報を人工知能機能によって生成した自然言語情報として出力する。前記出力部が、ユーザーとの自然言語による対話によって前記支援情報を提示してもよい。
【0011】
また、本発明は、携帯端末のユーザーの情報取得を支援するサーバコンピュータであって、
標本位置履歴と標本状況との相関関係の学習済モデルを記憶する学習済モデル記憶部と、
前記携帯端末の位置履歴情報を前記携帯端末から受け取る位置履歴受け取り部と、
所定期間の前記位置履歴情報と前記学習済モデルとに基づいて、前記ユーザーの個別状況を推論する推論部と、
前記推論に基づく支援情報を取得する支援情報取得部と、
前記支援情報を前記携帯端末へ送信する送信部と
を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、携帯端末のユーザーの情報取得を支援するための前記携帯端末で実行可能なプログラムであって、
前記携帯端末の位置履歴情報を取得する処理と、
前記位置履歴情報を、標本位置履歴と標本状況との相関関係の学習済モデルを記憶したサーバコンピュータへ送信する処理と、
前記サーバコンピュータによる、所定期間の前記位置履歴情報と前記学習済モデルとを用いた前記ユーザーの個別状況の推論に基づく支援情報を受信する処理と、
前記受信した支援情報を出力する処理と
を前記携帯端末に実行させることを特徴とする。
【0013】
本発明方法は、携帯端末のユーザーの情報取得を支援する方法であって、
前記携帯端末の位置履歴情報を取得する工程と、
標本位置履歴と標本状況との相関関係の学習済モデルと前記位置履歴情報とに基づいて、前記ユーザーの個別状況を、サーバコンピュータ又は前記携帯端末によって推論する工程と、
前記サーバコンピュータが、前記推論に基づく支援情報を取得する工程と、
前記支援情報を前記携帯端末から出力する工程と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ユーザーの個別状況をも加味した支援情報をユーザーに提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る情報取得支援コンピュータシステムの概略を示す構成図である。
【
図2】
図2は、前記情報取得支援コンピュータシステムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、前記情報取得支援コンピュータシステムによる情報取得支援処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態に係る情報取得支援コンピュータシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(
図1~
図3)>
図1は、1又は複数のユーザーAの情報取得を支援するコンピュータシステム1を示したものである。情報取得支援コンピュータシステム1は、各ユーザーAが携行する携帯端末10と、サーバコンピュータ20とによって構成されている。
【0017】
携帯端末10は、携行可能なコンピュータであり、例えばスマートフォンによって構成されている。コンピュータとしての携帯端末10は、CPU11と、記憶部12を含む。記憶部12には、ユーザーの情報取得を支援するための携帯端末10で実行可能なプログラム12pが格納されている。
図2に示すように、CPU11によってプログラム12pが実行されることにより、携帯端末10が、情報取得支援コンピュータシステム1における位置履歴取得部13、音声入力部14、出力部15等として機能する。
【0018】
位置履歴取得部13は、携帯端末10の位置履歴情報を取得するものであり、位置センサ13aと、位置履歴記憶部13bを含む。位置センサ13aは、例えばGPS(Global Positioning System)受信部、加速度センサ、ジャイロセンサ、WiFi受信部、ブルートゥース受信部、高周波受信部等によって構成され、携帯端末10の位置情報を検知する。位置情報は、例えば1秒間隔などの任意の間隔で定期的に位置センサ13aから取得されるが、取得の方法はこれに限定されない。位置情報は、現在位置の他、速度、加速度、向き、向きの変化等の情報を含んでいてもよい。
【0019】
加速度センサ、ジャイロセンサ等の位置センサは、必ずしも携帯端末10自体に搭載されている必要はない。例えば、ユーザーが携帯端末10と共に第2端末(図示省略)をも携行している場合、第2端末に加速度センサやジャイロセンサ等の位置センサが設けられていてもよい。第2端末によって取得された加速度や移動方向等の情報が携帯端末10にブルートゥース等によって送信されるようになっていてもよい。第2端末としては、例えば時計型ウェラブルバイタルセンサ、サイクルコンピュータ等が挙げられる。
【0020】
WiFi受信部やブルートゥース受信部や高周波受信部は、例えば駅構内や改札、商業施設等に設置されたWiFi受信機やビーコン等のブルートゥース発信機や高周波発信機からのWiFi信号やブルートゥース信号や高周波信号を受信する。これら信号は、対応する発信機の設置場所の位置情報と紐づけられており、これによって、携帯端末10ひいてはユーザーの詳細な位置情報を取得できる。
【0021】
位置履歴記憶部13bは、位置センサ13aによって取得された位置情報を時刻情報と共に位置履歴情報として一時保存する。位置履歴記憶部13bが記憶部12によって構成されていてもよい。
【0022】
音声入力部14は、マイクロフォンなどによって構成されている。
出力部15は、取得した支援情報を音声又はテキスト(文字情報)にて出力する。好ましくは、出力部15は、支援情報を人工知能機能によって生成した音声による自然言語情報として出力する。出力部15は、音声出力のためのスピーカを含む。さらに、出力部15が、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)16を介して、外部WEBサイト4と連携可能であってもよい。支援情報が、外部WEBサイト4の情報を含んでいてもよい。外部WEBサイト4としては、道案内サービスのWEBサイト、交通機関の予約WEBサイト等が挙げられる。
【0023】
図1に示すように、携帯端末10とサーバコンピュータ20とは、通信ネットワーク2を介して通信可能である。通信ネットワーク2は、インターネット回線等の公衆通信網を用いることができる。
【0024】
サーバコンピュータ20は、システム1の管理者が管理するコンピュータであり、クラウドサーバでもよく物理サーバでもよい。サーバコンピュータ20は、CPU21と、記憶部22を含む。記憶部22には、学習済モデル3及びプログラム22pが格納されている。
【0025】
記憶部22は、学習済モデル記憶部を構成する。学習済モデル3は、標本位置履歴と標本状況との相関関係の学習済モデルである。標本位置履歴は、前記相関関係の学習データの提供者(標本者)の位置の履歴である。標本状況は、学習データの提供者(標本者)の置かれた状況である。学習データの提供者は、本システム1の協力者でもよくユーザーA自身でもよい。或いは、標本者は、人工知能機能によって作成した仮想標本者でもよい。
【0026】
図2に示すように、CPU21によってプログラム22pが実行されることにより、サーバコンピュータ20が、情報取得支援コンピュータシステム1における位置履歴受取部23、推論部24、支援情報取得部25、送信部26等として機能する。
【0027】
位置履歴受取部23は、位置履歴情報を携帯端末10から受け取る。
【0028】
推論部24は、好ましくは本システム1専用の人工知能によって構成され、所定期間の位置履歴情報と学習済モデル3とに基づいて、ユーザーAの現在(支援実行時)の個別状況を推論する。好ましくは、所定期間は、現在までの数分間から数十分間であり、より好ましくは現在までの5分間から10分間程度である。
【0029】
支援情報取得部25は、推論に基づく支援情報を取得する。好ましくは、支援情報取得部25は、生成系人工知能部によって構成され、前記推論に基づく支援情報を生成する。
支援情報取得部25として、検索エンジンを用いてもよい。
【0030】
送信部26は、取得された支援情報を携帯端末10へ送信する。
【0031】
情報取得支援コンピュータシステム1は、次のようにして、ユーザーAの情報取得を支援する。
携帯端末10がプログラム12pを実行し、サーバコンピュータ20がプログラム12pを実行することによって、情報取得支援がなされる。
【0032】
<位置履歴情報取得工程>
詳しくは、
図3のフローチャートにて示すように、携帯端末10の位置履歴取得部13が、自機10ひいてはユーザーAの位置履歴情報を取得して一時保存する(ステップ101)。
【0033】
<位置履歴情報送受信工程>
取得された位置履歴情報は、携帯端末10からサーバコンピュータ20へ送信される(ステップ102)。送信のタイミングは、一定時間置きでもよく、位置履歴記憶部13bに蓄積した位置履歴情報が所定のデータ量に達する度であってもよい。送信タイミングの時間間隔は、前記所定期間より短いことが好ましい。
【0034】
サーバコンピュータ20は、位置履歴情報を受信して(ステップ110)、記憶部22に蓄積する(ステップ111)。記憶部22が、位置履歴記憶部13bの役目を担っていてもよい。
【0035】
<個別状況推論工程>
サーバコンピュータ20の推論部24は、現時点までの所定期間(例えば数分間~数十分間)の位置履歴情報と、標本位置履歴と標本状況との相関関係の学習済モデル3とに基づいて、ユーザーAの個別状況を推論する(ステップ120)。
【0036】
例えば、位置の変化が遅くなったとか、位置が止まったり変化したりするような位置履歴情報の場合、これと対応する学習済モデル3における標本状況としては「疲れていること」が挙げられる。疲れによって、歩く速度が遅くなったり、立ち止まったりしている可能性が高いからである。これによって、推論部24は、「ユーザーAの個別状況=疲れている」と推論する。
【0037】
位置の変化が大きくなるような位置履歴情報の場合、これと対応する学習済モデル3における標本状況としては「急いでいること」が挙げられる。急いでいるために走り出した可能性があるからである。これによって、推論部24は、「ユーザーAの個別状況=急いでいる」と推論する。
【0038】
移動の方向が頻繁に変化するような位置履歴情報の場合、これと対応する学習済モデル3における標本状況としては「道に迷っていること」が挙げられる。道に迷って頻繁に向きを変えている可能性があるからである。これによって、推論部24は、「ユーザーAの個別状況=道に迷っている」と推論する。
【0039】
推論部24は、個別状況の推論が出来たときは(ステップ121の「yes」)、その推論結果を支援情報取得部へ入力する(ステップ122)。
<支援情報取得工程>
支援情報取得部25は、推論結果に基づいて支援情報を取得する(ステップ130)。好ましくは、支援情報の取得には、ユーザーAの現在位置、取得時の時間帯、曜日等の情報を加味する。
【0040】
例えば、「ユーザーAの個別状況=疲れている」と推論された場合、支援情報取得部25は、ユーザーAの現在位置の近くに在る休憩可能スポットを検索する。休憩可能スポットとしては、座れる場所として公園のベンチ、喫茶店等を支援情報として提示するのに加え、代替移動手段としてバスやタクシーの乗り場等の選択肢を支援情報として提示する。喫茶店の場合、営業中か否かを時間帯及び曜日等の情報をもとに判断する。検索された休憩可能スポットの名称、住所、現在位置からの道順等を支援情報として取得する。
【0041】
「ユーザーAの個別状況=急いでいる」と推論された場合、例えばユーザーAの現在位置の近くに在るタクシー乗り場やバス乗り場を検索する。これら交通機関の乗り場の場所、現在位置からの道順、所要時間等を支援情報として取得する。
【0042】
「ユーザーAの個別状況=道に迷っている」と推論された場合、例えば、現在位置周辺地域の時間帯や曜日に応じた特性から目的地(例えば現在位置近くの人が集まる場所)を人工知能機能によって推測したり、携帯端末10のスケジュール管理アプリケーションと連携する等して目的地を推測したりすることで、支援情報として、ユーザーAの現在位置からその目的地までの道順情報を生成する。支援情報として、「目的地はどこですか?」等の問いかけ情報を生成してもよい。
取得される支援情報は、1つに限らず、複数でもよい。
【0043】
<支援情報送受信工程>
取得(検索又は生成)された支援情報は、サーバコンピュータ20から送信され(ステップ131)、これを携帯端末10が受信する(ステップ140)。
【0044】
<支援情報出力工程>
携帯端末10の出力部15は、受信した支援情報を人工知能機能によって生成した音声(自然言語情報)にて出力する(ステップ141)。より好ましくは、出力部15は、ユーザーAと自然言語で対話するようにして支援情報を提示する。さらに、出力部15が、API16を介してアクセスした外部WEBサイト4を支援情報として提示してもよい。
【0045】
具体的には、「ユーザーAの個別状況=疲れている」との推論に基づき、出力部15が休憩可能スポットの情報(名称、住所、道順等)を提示したり、「ユーザーAの個別状況=急いでいる」と推論に基づき、出力部15が交通機関の情報(場所、道順、所要時間等)を提示したり、「ユーザーAの個別状況=道に迷っている」と推論に基づき、推測した目的地の情報(道順等)を出力部15が提示したりする。道順については、API16を介して、道案内サービスの外部WEBサイトにアクセスして、道案内情報を提供するようにしてもよい。或いは、API16を介して、交通機関の予約サービスなどの外部WEBサイトにアクセスして予約を促してもよい。
【0046】
複数の支援情報をユーザーAに選択肢として提示してもよい。
推論部14の人工知能の推論を確認する為に、出力部15から「このような理解で宜しいですか?」等の音声による問いかけをし、ユーザーAからの返答をサーバコンピュータ20の人工知能にフィードバックしてもよく、場合によっては、支援情報の取得(検索又は生成)をやり直してもよい。
【0047】
このようにして、情報取得支援コンピュータシステム1によれば、ユーザーAの個別状況を加味した的確な支援情報をユーザーに提示することができる。
ユーザーAは、自ら検索を殆どしなくても又は少ない手間で、個別状況に応じた知りたい情報を取得することができる。
ユーザーAが何か困っていたり、慌てていたりする場合に、ユーザーAが検索する前にシステム1からユーザーAに問いかける事で、ユーザーAを安心させたり困っている状況を解消したりする効果が得られる。
【0048】
情報取得支援コンピュータシステム1においては、人工知能からなる推論部24及び学習済モデル3がサーバコンピュータ20に設けられているため、携帯端末10の処理負荷を軽減できる。
【0049】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(
図4)>
図4は、本発明の第2実施形態に係る情報取得支援コンピュータシステム1Bを示したものである。システム1Bにおいては、標本位置履歴と標本状況との相関関係の学習済モデル3及び推論部17が携帯端末10に設けられている。したがって、携帯端末10内において、位置履歴取得部13によって取得された位置履歴情報が、学習済モデル3を用いた推論部17による個別状況の推論に供される。すなわち、携帯端末10が、個別状況の推論を行なう。推論結果が、携帯端末10からサーバコンピュータ20へ送信されて、支援情報取得部25による支援情報の取得(検索又は生成)に供される。
【0050】
第2実施形態に係る情報取得支援コンピュータシステム1Bにおいては、位置履歴情報を携帯端末10からサーバコンピュータ2へ送信する必要が無い。推論結果のデータ量は、位置履歴情報のデータ量と比べ非常に小さい。したがって、データ通信量を十分に小さくできる。
【0051】
推論部17は、携帯端末10のマイクロフォン等の音声入力部14と連携していてもよい。例えば、音声入力部14に入力されたユーザーAの音声(自然言語情報)に支援要求シグナルが含まれていないかを解析し、支援要求シグナルが含まれていた場合、それをトリガー(きっかけ)として、個別状況の推論を行なうようにしてもよい。
【0052】
支援要求シグナルとしては、ユーザーによる「あれ?」、「えっと」、「なんやろ」等の無意識又は無自覚に発せられるつぶやきが挙げられる。携帯端末10が、音声(自然言語情報)を解析して支援要求シグナルが含まれていないかを判定するための人工知能機能や学習済モデルを有していてもよい。
【0053】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、第1実施形態(
図2)においても、第2実施形態(
図4)と同様に、携帯端末10の音声入力部14に入力されたユーザーAの音声(自然言語情報)に支援要求シグナルが含まれていないかを解析し、支援要求シグナルが含まれていた場合、個別状況の推論及び支援情報の取得を行なうようにしてもよい。
【0054】
この第1実施形態の変形例の支援要求シグナルとしては、ユーザーによる「あれ?」、「えっと」、「なんやろ」等の無意識又は無自覚に発せられるつぶやきが挙げられる。携帯端末10には、音声(自然言語情報)を解析して支援要求シグナルが含まれていないかを判定するための図示しない人工知能機能や学習済モデルを有し、ユーザーAの音声に支援シグナルが含まれている場合は、「支援シグナル有り」の情報をサーバコンピュータ20に送信し、推論を開始させる。
【0055】
この第1実施形態の変形例では、ユーザーAの音声に支援要求シグナルが含まれていた場合に位置履歴情報をサーバコンピュータ20に送信する様にしてもよい。この場合は、携帯端末10の音声入力部14に入力されたユーザーAの音声に「支援要求シグナルが含まれている」と前記図示しない人工知能もしくは学習済モデルが判断した時点までの所定時間分(例えば数分間~数十分間)の位置履歴情報を位置履歴取得部13から読みだし、「支援シグナル有り」の情報と共にサーバコンピュータ20に送信する。
【0056】
例えば、第1及び第2の実施形態において、支援情報取得部25の参照する情報を位置履歴情報の種類の応じて変える事が出来る。(支援情報取得部25が「検索エンジン」の場合は位置履歴情報の種類に応じて参照する情報を変更し、「生成系人工知能」の場合は位置履歴情報の種類に応じて参照する情報が異なる様に学習させてもよい。)
具体的には、携帯端末10で取得するGPSによる位置履歴情報を用いる場合、支援情報取得部25は地図情報を参照して支援情報を出力し、GPSによる位置履歴情報に代えて(または加えて)WiFi、ブルートゥース、RFID等の近接通信手段による詳細な位置履歴情報(基地局やビーコンの固有ID情報とそれらの受信時刻の情報)を支援情報取得部25の入力として用いる場合は、前記詳細な位置履情報で特定された場所に関する詳細な情報、例えば公の統計情報や、各種施設などが取得した時間、曜日、月ごとの人流データ、通行人の属性などを参照して支援情報を出力してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、例えばスマーフォンを用いた情報取得技術に適用できる。
【符号の説明】
【0058】
A ユーザー
1,1B 情報取得支援コンピュータシステム
2 通信ネットワーク
3 学習済モデル
10 携帯端末
11 CPU
12 記憶部
12p プログラム
13 位置履歴取得部
13a 位置センサ
13b 位置履歴記憶部
14 音声入力部
15 出力部
16 API
17 推論部
20 サーバコンピュータ
21 CPU
22 記憶部(学習済モデル記憶部)
22p プログラム
23 位置履歴受取部
24 推論部
25 支援情報取得部
26 送信部