IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 学校法人早稲田大学の特許一覧

特開2025-5254超音波検査ロボットの身体負荷低減システム
<>
  • 特開-超音波検査ロボットの身体負荷低減システム 図1
  • 特開-超音波検査ロボットの身体負荷低減システム 図2
  • 特開-超音波検査ロボットの身体負荷低減システム 図3
  • 特開-超音波検査ロボットの身体負荷低減システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005254
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】超音波検査ロボットの身体負荷低減システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105382
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114524
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】岩田 浩康
(72)【発明者】
【氏名】志田 優樹
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 哲規
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB09
4C601BB16
4C601EE20
4C601LL25
4C601LL35
(57)【要約】
【課題】着座式の超音波検査ロボットでの超音波検査時の被検者の姿勢変化による負担を低減すること。
【解決手段】本発明の身体負荷低減システム12は、被検者Hの超音波検査を支援する超音波検査ロボット11に付随して設けられる。身体負荷低減システム12は、検査時の被検者Hの身体負荷に対応する力情報を検出する検出装置20と、検出装置20の検出結果により、被検者Hの回転時における身体への負荷である身体負荷の大きさに応じて動作する身体補助装置21とを備えている。身体補助装置21は、着座時の被検者Hに接触可能に動作する接触動作部26と、身体負荷を低減するように、接触動作部26での被検者Hへの接触動作を制御する制御部28とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座した状態の被検者を所定方向に回転させながら、当該被検者の体表面に沿って超音波プローブを所定の姿勢で走査させるように動作する機構を有し、前記被検者の超音波検査を支援する超音波検査ロボットに付随して設けられ、検査時の前記被検者の負荷を低減する身体負荷低減システムであって、
検査時の被検者の身体負荷に対応する力情報を検出する検出装置と、当該検出装置の検出結果により、前記被検者の回転時における身体への負荷である身体負荷の大きさに応じて動作する身体補助装置とを備え、
前記身体補助装置は、着座時の前記被検者に接触可能に動作する接触動作部と、前記身体負荷を低減するように、前記接触動作部での前記被検者への接触動作を制御する制御部とを備えたことを特徴とする超音波検査ロボットの身体負荷低減システム。
【請求項2】
前記検出装置は、前記被検者の臀部が接触する前記超音波検査ロボットの着座面に作用する圧力分布を測定する着座反力検出用センサを含み、
前記制御部は、前記着座反力検出用センサでの測定結果から、前記臀部の法線方向に作用する反力の左右差を減少するように、前記接触動作部を動作調整する左右バランス調整部を備えたことを特徴とする請求項1記載の超音波検査ロボットの身体負荷低減システム。
【請求項3】
前記左右バランス調整部では、前記臀部の法線方向の反力の左右差を算出し、当該左右差を減少するように前記接触動作部を動作させることを特徴とする請求項2記載の超音波検査ロボットの身体負荷低減システム。
【請求項4】
前記左右バランス調整部では、前記着座面の各位置における前記法線方向の反力から、前記被検者の前額面に沿う方向における前記着座面の中心点回りのモーメントが算出され、当該モーメントによる左右差を減少するように前記接触動作部を動作させることを特徴とする請求項2記載の超音波検査ロボットの身体負荷低減システム。
【請求項5】
前記検出装置は、前記被検者の臀部が接触する前記超音波検査ロボットの着座面に作用する力を測定する着座反力検出用センサと、前記被検者の筋力による姿勢維持の際に前記超音波検査ロボットに作用する力を検出する筋力負荷検出用センサとを備え、
前記制御部は、前記着座反力検出用センサ及び前記筋力負荷検出用センサの検出結果に基づいて、前記被検者の内力である身体内部負荷を低減し、自身の筋力で姿勢保持せずに済むように前記接触動作部を動作調整する身体内部負荷調整部を備えたことを特徴とする請求項1記載の超音波検査ロボットの身体負荷低減システム。
【請求項6】
前記身体内部負荷調整部では、前記筋力負荷検出用センサの測定値に基づき、若しくは、当該測定値と前記着座反力検出用センサの測定値とに基づき、前記被検者の筋力の使用具合を示す負荷指標となる筋力負荷が算出され、当該筋力負荷を減少するように前記接触動作部を動作させることを特徴とする請求項5記載の超音波検査ロボットの身体負荷低減システム。
【請求項7】
前記接触動作部は、その体積を変化させるように膨張収縮可能なバルーンにより構成され、
前記制御部では、前記接触動作部の膨張量により、前記被検者への押圧力を調節することを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の超音波検査ロボットの身体負荷低減システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座式の超音波検査ロボットにおける被検者の検査時の負担を低減する超音波検査ロボットの身体負荷低減システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体に対する超音波検査として、超音波を被検者の心臓に当て、反射した音波を電気信号に変換して画像として描出することにより、被検者の心臓の形態や運動を評価するための心エコー検査が知られている。この心エコー検査では、心臓の3次元的な構造を把握し、細部までエコー画像を鮮明に描出するために高度な技術を要することから、医師や超音波検査技師に相応の知識と経験が求められる。ところが、熟練の医師や検査技師が在籍している病院は限られており、多くの医療機関では、心エコー検査を行うための医師が検査技師や不足しているのが現状である。更に、超音波検査においては、医師や検査技師等の検査者によって把持される超音波プローブが被験者の身体表面に様々な角度で当てられるため、被検者は不自然な姿勢維持を強いられ、検査の時間が長引くと負担が増大する。そこで、本発明者らは、従来、医師や検査技師が超音波プローブを手動操作することで行っていた心エコー検査を支援する超音波検査ロボットを開発し、既に提案している(特許文献1参照)。この超音波検査ロボットでは、被検者が座位姿勢の状態で、体側方向及び前後方向への回転制御を行いながら、被検者の座位姿勢を変化させる。これにより、被検者の心臓付近の体表部分に超音波プローブが適切な位置及び姿勢で当接し、医師や検査技師の簡単な操作により、鮮明な超音波画像が得られるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-70607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の着座式の超音波検査ロボットにおいては、被検者を乗せた状態での姿勢制御の際に被検者の身体を体側方向に回転させるため、身体の自重により被検者に負荷がかかり、検査時の被検者は、姿勢維持のための筋力が必要となる等、快適な検査の阻害要因となり得る。
【0005】
本発明は、このような課題に着目して案出されたものであり、その目的は、検査時の被検者の姿勢変化による負担を低減する超音波検査ロボットの身体負荷低減システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、主として、着座した状態の被検者を所定方向に回転させながら、当該被検者の体表面に沿って超音波プローブを所定の姿勢で走査させるように動作する機構を有し、前記被検者の超音波検査を支援する超音波検査ロボットに付随して設けられ、検査時の前記被検者の負荷を低減する身体負荷低減システムであって、検査時の被検者の身体負荷に対応する力情報を検出する検出装置と、当該検出装置の検出結果により、前記被検者の回転時における身体への負荷である身体負荷の大きさに応じて動作する身体補助装置とを備え、前記身体補助装置は、着座時の前記被検者に接触可能に動作する接触動作部と、前記身体負荷を低減するように、前記接触動作部での前記被検者への接触動作を制御する制御部とを備える、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、検査時の被検者の身体負荷に対応する情報を検出装置で測定しながら、身体補助装置の動作により、被検者の身体負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る超音波検査用のロボットシステムの主要部の構成を表すブロック図である。
図2】ロボット本体を着座した被検者とともに表す概略斜視図である。
図3】検査時における被検者の座位姿勢を説明するためのロボット本体の概略斜視図である。
図4】(A)、(B)は、検査時における被検者の座位姿勢の変化と接触動作部の作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1には、本実施形態に係る超音波検査用のロボットシステムの主要部の構成を表すブロック図が示されている。この図において、前記ロボットシステム10は、被検者の心エコー検査を支援するように動作する超音波検査ロボット11と、超音波検査ロボット11に付随して設けられ、検査時の被検者の負荷を低減する身体負荷低減システム12とを備えている。
【0011】
前記超音波検査ロボット11は、着座した状態の被検者を身体の左右方向(体側方向)及び前後方向に回転させながら、被検者の体表面に沿って超音波プローブを所定の姿勢で走査させるように動作する機構を有する。この超音波検査ロボット11は、座位姿勢の被検者に対する心エコー検査を可能に動作する着座式のロボット本体14と、ロボット本体14を動作制御する制御装置15とにより構成される。
【0012】
前記ロボット本体14は、図2に示されるように、着座状態の被検者Hの姿勢を同図中矢印方向、すなわち、身体の体側方向(ロール方向)と身体の前後方向(ピッチ方向)に回転させるように動作することで、被検者Hの身体の向きを調整する身体姿勢調整機構17と、超音波プローブPを移動可能に保持し、座位姿勢の被検者Hの胸壁付近の体表面に超音波プローブPを所定の姿勢で走査させるプローブ移動機構18とを備えている。心エコー検査時には、身体姿勢調整機構17の着座面17Aに着座した被検者Hが、適宜、その上方に位置する手摺状の把持部17Bを自身の手で把持した状態で、身体姿勢調整機構17が動作する。この動作により、被検者Hの重力方向に対する心臓の姿勢を変化させるとともに、プローブ移動機構18により超音波プローブPを適切な姿勢で走査させることで、被検者Hの心臓の鮮明な超音波画像が取得可能となる。
【0013】
前記制御装置15は、被検者Hの事前の情報入力や、医師や検査技師等の操作者による遠隔若しくは近接での動作指令により、ロボット本体14の動作を制御するコンピュータによって構成される。
【0014】
以上の超音波検査ロボット11については、本発明者らにより、特開2023-70607にて既に提案しており、本発明の本質部分でないことから、詳細な構成等の説明を省略する。
【0015】
前記身体負荷低減システム12は、図1に示されるように、検査時の被検者の身体負荷に対応する力情報を検出する検出装置20と、検出装置20の検出結果に基づいて、被検者の回転時における身体への負荷である身体負荷の大きさに応じて動作する身体補助装置21とを備えている。
【0016】
前記検出装置20は、図3にも示されるように、被検者の臀部が接触する前記着座面17Aに作用する力を測定する着座反力検出用センサ23と、被検者の筋力による姿勢維持の際に前記把持部17Bに作用する力を検出する筋力負荷検出用センサ24とを備えている。
【0017】
前記着座反力検出用センサ23は、着座面17Aに敷設されたシート状の圧力分布センサからなり、被検者Hの着座面17Aに対する法線方向の反力が、細分化された区画(計測点)毎に検出され、着座面17Aに対する圧力分布を測定可能となっている。これにより、着座時の被検者Hの臀部を左右で分割したそれぞれの領域について、総合計した反力を導出でき、被検者Hの姿勢変化時の着座面17Aに対する法線方向の反力の左右差を把握することが可能となる。
【0018】
前記筋力負荷検出用センサ24は、被検者Hが把持部17Bを把持した状態でロボット本体14の動作によって姿勢変化した際に、当該姿勢を維持するために把持部17Bを通じて被検者Hの筋力を使用する際の力を測定可能となっている。この筋力負荷検出用センサ24は、把持部17Bに配置されたロードセル(力覚センサ)からなり、被検者Hが把持部17Bを把持した際の被検者Hの上下方向にそれぞれ作用する荷重を測定可能に配置される。
【0019】
なお、検出装置20としては、前述した各種の情報を検出できる限りにおいて、前記センサの他に、他の様々なセンサ類、装置類、或いはシステム類等を適用することができる。また、検出装置20として、着座反力検出用センサ23に対し、着座姿勢で接地している被検者Hの足裏の反力を測定するセンサや装置類を代替若しくは併用することができる。この場合、当該測定値について、着座反力検出用センサ23の測定値を用いた後述する処理と同様の処理を行うこともできる。
【0020】
前記身体補助装置21は、図1に示されるように、空気圧の変化によって体積を可変に膨張収縮するバルーンからなり、着座時の被検者に接触可能に動作する接触動作部26と、接触動作部26に繋がり、接触動作部26の内部空間に対して空気を給排するポンプ、チューブやバルブ等からなる空気給排機構27と、接触動作部26内の空気量を調整するように空気給排機構27を動作させ、接触動作部26での被検者への接触動作を制御する制御部28とを備えている。
【0021】
前記接触動作部26は、図3に示されるように、着座面17Aの一端側(身体の左側)から起立し、使用時における被検者Hの左側の臀部側面に対向するロボット本体14の座部側壁17Cの内面側と、使用時における被検者Hの左側の胸部側面に対向するロボット本体14の上側側壁17Dの内面側との2箇所に取り付けられている。
【0022】
ここで、本実施形態のロボット本体14は、図4(A)の初期姿勢と同図(B)の左傾斜姿勢の間での左右方向の回転が可能となっている。前記接触動作部26は、同図(A)のように初期姿勢で被検者Hとの間で非接触となっており、検査時に同図(B)のように回転して被検者Hが左側に姿勢変化すると膨張し、被検者Hの左側の臀部側面と腕部側面に当接する。この際、接触動作部26では、被検者Hの横方向の傾きによる負荷が軽減するように、空気給排機構27からの空気の流入量が変化し、被検者Hへの押圧力が調整される。
【0023】
前記制御部28は、超音波検査ロボット11に一体的に或いは別体として設けられたコンピュータによって構成されており、接触動作部26の反力、すなわち、接触動作部26に当接した被検者Hへの押圧力を調整可能に構成される。
【0024】
この制御部28は、図1に示されるように、着座反力検出用センサ23の検出結果に基づいて、臀部の法線方向に作用する反力の左右差を減少するように、接触動作部26の膨張量を調整する左右バランス調整部30と、着座反力検出用センサ23及び筋力負荷検出用センサ24の検出結果に基づいて、被検者Hの内力である身体内部負荷を低減して自身の筋力で姿勢保持せずに済むように接触動作部26の膨張量を調整する身体内部負荷調整部31とを備えている。
【0025】
前記左右バランス調整部30では、検査時に被検者が把持部17Bを把持しておらず、自身の筋力で姿勢保持をしていない等の場合に、次の処理が行われる。
【0026】
先ず、着座反力検出用センサ23により検出された被検者Hの臀部が接触する前記各計測点における法線方向の反力における圧力分布から、左右に分割された領域毎に圧力を合計し、臀部の反力における左右の圧力差が算出される。そして、当該圧力差を解消するように接触動作部26の膨張量が調整される。例えば、被検者Hが、図4(A)の初期状態から、検査時に同図(B)の左側に回転して被検者が傾いた状態では、当該傾いている図中左側の臀部の反力が右側よりも大きい。このため、同図左側からの押圧力を接触動作部から被検者Hに作用させて臀部の反力の左右差を解消するように、空気給排機構27から接触動作部26への空気の供給量が調整される。この際、着座反力検出用センサ23の検出結果を所定時間毎に取得しながら、空気給排機構27の動作がフィードバック制御され、反力の左右差が所定の閾値以下になった際に、空気給排機構27から接触動作部26への空気供給が停止され、接触動作部26内の空気量が所定状態に維持される。
【0027】
なお、ここでの臀部の反力の左右差の解消に関しては、次の手法を採ることもできる。すなわち、先ず、着座反力検出用センサ23の検出結果により、着座面17Aの各計測点における法線方向の反力について、被検者Hの前額面に沿う身体左右方向(前額面回り)における着座面17Aの左右方向の中心点回りのモーメントがそれぞれ算出される。そして、当該各モーメントを打ち消すように、前述の空気給排機構27をフィードバック制御し、各モーメントの総計が所定の閾値以下になった際に、空気給排機構27の動作を停止する。
【0028】
前記身体内部負荷調整部24では、検査時に被検者Hが把持部17Bを把持することで、自身の筋力で姿勢保持をしている場合に、次の処理が行われる。
【0029】
先ず、着座反力検出用センサ23及び筋力負荷検出用センサ24の測定結果に基づき、被検者の筋力の使用具合を示す負荷指標である筋力負荷が検出される。この筋力負荷は、筋力負荷検出用センサ24の測定値を、着座反力検出用センサ23で測定された臀部の反力の総合計値で除算することにより求められる。なお、筋力負荷としては、次のように求めることも可能である。例えば、筋力負荷検出用センサ24の測定値から筋力負荷を求める他、着座反力検出用センサ23及び筋力負荷検出用センサ24の比(割合)やこれらセンサ23,24の各測定値の和で筋力負荷検出用センサ24の測定値を割った値(割合)を筋力負荷としても良い。更に、検出装置20により足裏の反力が測定される場合には、当該測定値を着座反力検出用センサ23の測定値と合わせた上で、若しくは、何れか一方を選択した上で、筋力負荷検出用センサ24の測定値に対する前述の割合等の演算により筋力負荷を求めることもできる。
【0030】
そして、筋力負荷を解消するように接触動作部26の膨張量が調整される。つまり、筋力負荷の値が大きく、被検者Hの筋力の入り具合が多いときには、接触動作部26から被検者Hへの押圧力をより大きくするように、接触動作部26の膨張量が調整される。一方、筋力負荷の値が小さく、被検者Hの筋力の入り具合が少ないときには、接触動作部26から被検者Hへの押圧力がより小さくなるように、接触動作部26の膨張量が調整される。この際、各センサ23,24の検出結果を所定時間毎に取得しながら、空気給排機構27の動作がフィードバック制御され、筋力負荷が所定の閾値以下になった際に、空気給排機構27の動作を停止し、接触動作部26内の空気量が所定状態に維持される。
【0031】
従って、このような実施形態によれば、被検者Hの身体の左右方向の回転による自重による身体負荷を検出することができ、その検出結果に基づいて、接触動作部26からの反力が被検者Hに作用することになる。ここで、接触動作部26にバルーンを用いたことにより、人間の身体を包み込める柔軟性や強度が確保され、被検者H個人の体格に合わせた身体支持が可能となる。超音波検査ロボット11では、適切な超音波画像を取得するために、被検者H個人の体格に応じて所定の姿勢を維持する必要があるが、当該体格差に関わらず、超音波プローブPと被検者Hとの相対関係の維持調整を簡易な構成で実行できるという効果を得る。
【0032】
なお、前記身体補助装置21としては、本実施形態と同様の作用を奏する限りにおいて、種々の構成を代替採用することができる。例えば、接触動作部26については、配置箇所や配置数を適宜増減することができ、また、バルーンに限らず、他の弾性構造体や付勢部材等を用いた他の部材や機構を採用することもできる。
【0033】
更に、本発明は、心エコー画像を取得するための前記超音波検査ロボット11に限らず、被検者Hを所定方向に回転させて他の超音波画像の取得を可能にする他の着座式の超音波検査ロボットへの適用も可能である。
【0034】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 ロボットシステム
11 超音波検査ロボット
12 身体負荷低減システム
17 身体姿勢調整機構
18 プローブ移動機構
17A 着座面
17B 把持部
20 検出装置
23 着座反力検出用センサ
24 筋力負荷検出用センサ
21 身体補助装置
26 接触動作部
28 制御部
30 左右バランス調整部
31 身体内部負荷調整部
H 被検者
P 超音波プローブ
図1
図2
図3
図4