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特開2025-5265単価見積管理装置、単価見積管理方法、及び単価見積管理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005265
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】単価見積管理装置、単価見積管理方法、及び単価見積管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20250108BHJP
【FI】
G06Q30/0601 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105395
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎
(72)【発明者】
【氏名】岡本 卓也
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB55
5L049BB55
(57)【要約】      (修正有)
【課題】見積時点で正確な諸経費を提供可能とする単価見積管理装置、単価見積管理方法及び単価見積管理プログラムを提供する。
【解決手段】単価見積管理装置100において、制御部102の検出部102gは、商品を流通させる毎に発生した諸経費を記憶させた記憶部106を参照し、入力された見積情報に合致する諸経費を検出し、みなし経費算出部102fは、検出部102gで検出された諸経費に含まれる出荷諸経費と入荷諸経費とを加算処理した諸経費単価を算出し、画面表示制御部102eは、算出された諸経費単価を出力制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を流通させる毎に発生した諸経費を記憶させた記憶部を参照し、入力された見積情報に合致する諸経費を検出する検出部と、
検出された前記諸経費に含まれる出荷諸経費と入荷諸経費とを加算処理した諸経費単価を算出するみなし経費算出部と、
算出された前記諸経費単価を出力制御する出力制御部と、
を有する単価見積管理装置。
【請求項2】
前記出力制御部は、前記諸経費、前記商品の取引形態を示す取引区分、事業所コード、得意先コード、商品コード、仕入先コード、及び、適用開始日の各入力欄を入力するための諸経費入力画面を表示部に表示制御し、
前記諸経費入力画面を介して入力された前記諸経費、前記商品の取引形態を示す前記取引区分、前記事業所コード、前記得意先コード、前記商品コード、前記仕入先コード、及び、前記適用開始日をそれぞれ関連付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部を、さらに備えること、
を特徴とする請求項1に記載の単価見積管理装置。
【請求項3】
前記出力制御部は、前記諸経費入力画面の前記取引区分の入力欄に、自社の倉庫に保管されている前記商品を得意先に送付する「倉出」の取引区分が入力された場合、前記仕入先コードの入力欄、及び、前記入荷諸経費の入力欄を入力不可の状態で前記諸経費入力画面に表示すること、
を特徴とする請求項2に記載の単価見積管理装置。
【請求項4】
前記出力制御部は、前記諸経費入力画面の前記取引区分の入力欄に、自社の倉庫に前記商品を入庫させる「倉入」の取引区分が入力された場合、前記得意先コードの入力欄、及び、前記出荷諸経費の入力欄を入力不可の状態で前記諸経費入力画面に表示すること、
を特徴とする請求項3に記載の単価見積管理装置。
【請求項5】
前記出力制御部は、事業所コード、売上予定日、得意先コード、取引区分、仕入先コード、商品コード、数量を含む前記見積情報を入力するための見積入力画面を前記表示部に表示し、
前記検出部は、前記見積情報の前記取引区分が前記「倉出」である場合、
前記見積入力画面に入力された「事業所コード、取引区分、得意先コード、商品コード及び売上予定日」に一致する「事業所コード、取引区分、得意先コード、商品コード及び適用開始日」に関連付けされている前記出荷諸経費を前記記憶部から検出し、
前記見積入力画面に入力された「事業所コード、商品コード、売上予定日、及び、入力された前記商品コードの商品の主要仕入先として商品マスタに記憶されている、前記主要仕入先の主要仕入先コード」に一致する「事業所コード、前記倉入の取引区分、商品コード、仕入先コード及び適用開始日」に関連付けされている前記入荷諸経費を前記記憶部から検出すること、
を特徴とする請求項4に記載の単価見積管理装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記見積情報の前記取引区分が、商品の仕入先から得意先へ、前記商品を直接的に搬送する「直送」の取引区分である場合、前記見積入力画面に入力された「事業所コード、取引区分、得意先コード、仕入先コード、商品コード及び売上予定日」に一致する「事業所コード、取引区分、得意先コード、仕入先コード、商品コード及び適用開始日」に関連付けされている前記出荷諸経費及び前記入荷諸経費を前記記憶部から検出すること、
を特徴とする請求項5に記載の単価見積管理装置。
【請求項7】
前記見積情報には、前記商品の売上単価、原価単価、前記売上単価に売上数を乗算処理した売上金額、及び、前記原価単価に売上数を乗算処理した原価金額が含まれており、
前記記憶部から検出された前記諸経費には、前記出荷諸経費として出荷運賃及び出荷経費が含まれると共に、前記入荷諸経費として入荷運賃及び入荷経費が含まれており、
前記みなし経費算出部は、
前記商品の前記売上単価から前記原価単価を減算処理し、前記出荷運賃及び前記入荷運賃を加算処理した運賃単価を減算処理し、前記出荷経費及び前記入荷経費を加算処理した経費単価を減算処理することで粗利単価を算出し、
前記商品の前記売上金額から前記原価金額を減算処理し、前記売上数に前記運賃単価を乗算処理した運賃金額を減算処理し、前記売上数に前記経費単価を乗算処理した経費金額を減算処理することで粗利金額を算出し、
前記出力制御部は、算出された前記粗利単価及び前記粗利金額を出力制御すること、
を特徴とする請求項5又は請求項6に記載の単価見積管理装置。
【請求項8】
前記記憶部は、
少なくとも、得意先、適用開始日、商品、単価の単位である数量、単価の項目のデータを関連づけて格納するための単価マスタと、
前記単価マスタを更新するためのデータを格納するための仮マスタと、を備え、
入力された前記見積情報が承認権限者に承認された場合に、承認された見積情報に基づいて前記仮マスタを更新する承認処理部と、
更新された前記仮マスタに基づいて前記単価マスタを更新するマスタ更新部と、をさらに備えること、
を特徴とする請求項7に記載の単価見積管理装置。
【請求項9】
前記記憶部は、得意先コード、納入先コード、仕入先コード、商品コードを関連付けて記憶するルートマスタを、さらに備え、
前記マスタ更新部は、更新された前記仮マスタに基づいて、前記ルートマスタを更新すること、
を特徴とする請求項8に記載の単価見積管理装置。
【請求項10】
前記見積情報は、承認後に前記単価マスタに記憶させるか否かを指定する承認後マスタ即時反映フラグを含み、
前記マスタ更新部は、前記承認後マスタ即時反映フラグが「即時反映する」の場合は、前記仮マスタの更新後に即時に前記単価マスタを更新すること、
を特徴とする請求項8に記載の単価見積管理装置。
【請求項11】
前記単価マスタは、
得意先コード、適用開始日、商品コード、数量及び単価を関連づけて記憶するための得意先別商品単価マスタと、
得意先コード、納入先コード、適用開始日、商品コード、数量及び単価を関連づけて記憶するための得意先納入先別商品単価マスタと、
得意先コード、仕入先コード、適用開始日、商品コード、数量及び単価を関連づけて記憶するための得意先仕入先別商品単価マスタと、
得意先コード、納入先コード、仕入先コード、適用開始日、商品コード、数量及び単価を関連づけて記憶するための得意先納入先仕入先別商品単価マスタと、を含み、
前記マスタ更新部は、前記見積情報の取引区分、得意先コード、納入先コード及び仕入先コードの有無に基づいて、前記得意先別商品単価マスタ、前記得意先納入先別商品単価マスタ、前記得意先仕入先別商品単価マスタ、及び前記得意先納入先仕入先別商品単価マスタのいずれかを選択して更新すること、
を特徴とする請求項8に記載の単価見積管理装置。
【請求項12】
前記マスタ更新部は、前記見積情報について、前記取引区分が「在庫見積」、得意先コードが「データ有り」、納入先コードが「データ無し」、仕入先コードが「データ無し」の場合は、前記得意先別商品単価マスタを更新すること、
を特徴とする請求項11に記載の単価見積管理装置。
【請求項13】
前記マスタ更新部は、前記見積情報について、前記取引区分が「在庫見積」、得意先コードが「データ有り」、納入先コードが「データ有り」、仕入先コードが「データ無し」の場合は、前記得意先納入先別商品単価マスタを更新すること、
を特徴とする請求項11に記載の単価見積管理装置。
【請求項14】
前記マスタ更新部は、前記見積情報について、前記取引区分が「直送見積」、得意先コードが「データ有り」、納入先コードが「データ無し」、仕入先コードが「データ有り」の場合は、前記得意先仕入先別商品単価マスタを更新すること、
を特徴とする請求項11に記載の単価見積管理装置。
【請求項15】
前記マスタ更新部は、前記見積情報について、前記取引区分が「直送見積」、得意先コードが「データ有り」、納入先コードが「データ有り」、仕入先コードが「データ有り」の場合は、前記得意先納入先仕入先別商品単価マスタを更新すること、
を特徴とする請求項11に記載の単価見積管理装置。
【請求項16】
検出部が、商品を流通させる毎に発生した諸経費を記憶させた記憶部を参照し、入力された見積情報に合致する諸経費を検出する検出ステップと、
みなし経費算出部が、検出された前記諸経費に含まれる出荷諸経費と入荷諸経費とを加算処理した諸経費単価を算出するみなし経費算ステップと、
出力制御部が、算出された前記諸経費単価を出力制御する出力制御ステップと、
を有する単価見積管理方法。
【請求項17】
コンピュータを、
商品を流通させる毎に発生した諸経費を記憶させた記憶部を参照し、入力された見積情報に合致する諸経費を検出する検出部と、
検出された前記諸経費に含まれる出荷諸経費と入荷諸経費とを加算処理した諸経費単価を算出するみなし経費算出部と、
算出された前記諸経費単価を出力制御する出力制御部として機能させること、
を特徴とする単価見積管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単価見積管理装置、単価見積管理方法、及び単価見積管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2023-075555号公報)に開示されているメンテナンス費用予測プログラムは、情報取得部と、情報取得部に接続された探索装置、探索装置に接続されたデータベースを備える。そして、メンテナンス対象の設備から設備データを取得し、過去において設備から取得した参照用設備データ、及び、メンテナンス費用との3段階以上の連関度を利用し、取得した設備データに応じた参照用設備データに基づき、メンテナンス費用を予測する。
【0003】
これにより、特段のスキルや経験が無くても、人手に頼ることなく、電気、ガス、水道等の各種設備のメンテナンス費用を予測できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-075555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、例えば化学商社においては、商品の仕入を行う仕入先から商品を販売する得意先に対して、直接的に商品を搬送する直送取引が行われることが多い。このような直送取引においては、受注時点で経費及び運賃の計上を行うことは困難であるため、見積計上時点で経費及び運賃の計上を行う。しかし、見積時点での経費及び運賃等の諸経費は、不確かな金額となることもあり、結果、不採算となり、予測した粗利通りの利益を得られない不都合を多々生じていた。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、見積時点で正確な諸経費を提供可能とした単価見積管理装置、単価見積管理方法、及び単価見積管理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明に係る単価見積管理装置は、商品を流通させる毎に発生した諸経費を記憶させた記憶部を参照し、入力された見積情報に合致する諸経費を検出する検出部と、検出された諸経費に含まれる出荷諸経費と入荷諸経費とを加算処理した諸経費単価を算出するみなし経費算出部と、算出された諸経費単価を出力制御する出力制御部と、を有する。
【0008】
また、本発明に係る単価見積管理方法は、検出部が、商品を流通させる毎に発生した諸経費を記憶させた記憶部を参照し、入力された見積情報に合致する諸経費を検出する検出ステップと、みなし経費算出部が、検出された諸経費に含まれる出荷諸経費と入荷諸経費とを加算処理した諸経費単価を算出するみなし経費算ステップと、出力制御部が、算出された諸経費単価を出力制御する出力制御ステップと、を有する。
【0009】
また、本発明に係る単価見積管理プログラムは、コンピュータを、商品を流通させる毎に発生した諸経費を記憶させた記憶部を参照し、入力された見積情報に合致する諸経費を検出する検出部と、検出された諸経費に含まれる出荷諸経費と入荷諸経費とを加算処理した諸経費単価を算出するみなし経費算出部と、算出された諸経費単価を出力制御する出力制御部として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、見積時点で正確な諸経費を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施の形態に係る単価見積管理装置の一例を示すブロック図である。
図2図2は、マスタ更新処理のパターンである更新マトリクスを示す図である。
図3図3は、単価見積管理装置の制御部の全体の処理の流れの概略を説明するためのフローを示す図である。
図4図4は、単価見積管理装置の制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータの一例を示す図である。
図5図5は、単価見積管理装置の制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータの一例を示す図である。
図6図6は、単価見積管理装置の制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータの一例を示す図である。
図7図7は、単価見積管理装置の制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータの一例を示す図である。
図8図8は、単価見積管理装置の制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータの一例を示す図である。
図9図9は、単価見積管理装置の制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータの一例を示す図である。
図10図10は、単価見積管理装置の制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータの一例を示す図である。
図11図11は、単価見積管理装置の制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータの一例を示す図である。
図12図12は、単価見積管理装置の制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータの一例を示す図である。
図13図13は、単価見積管理装置の制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータの一例を示す図である。
図14図14は、取引区分マスタの一例を示す図である。
図15図15は、商品マスタの一例を示す図である。
図16図16は、みなし経費単価マスタの一例を示す図である。
図17図17は、「直送」の取引区分を入力した状態の諸経費入力画面を示す図である。
図18図18は、「倉出」の取引区分を入力した状態の諸経費入力画面を示す図である。
図19図19は、「倉入」の取引区分を入力した状態の諸経費入力画面を示す図である。
図20図20は、見積入力画面の一例を示す図である。
図21図21は、見積入力画面の明細画面の一例を示す図である。
図22図22は、「倉出」の取引区分が入力された際に、みなし経費単価マスタから読み出される諸経費を説明するための図である。
図23図23は、「倉出」の取引区分の入力時における粗利単価及び粗利金額の算出動作及び表示動作を説明するための図である。
図24図24は、見積入力画面の他の例を示す図である。
図25図25は、見積入力画面の明細画面の他の例を示す図である。
図26図26は、「直送」の取引区分が入力された際に、みなし経費単価マスタから読み出される諸経費を説明するための図である。
図27図27は、「直送」の取引区分の入力時における粗利単価及び粗利金額の算出動作及び表示動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
[概要]
例えば、単価見積を行う場合に、営業担当者の見積業務がExcel、メール、電話とシステム外かつ多岐に渡っており、管理者が単価の見積状況を把握できていなかった。そのため、管理者の意図しない価格決定がされてしまい、利益の機会損失につながっていた。
【0014】
また、契約で決まった結果を書面で回覧し、別途、情報システム担当者が各種マスタを登録していたため、マスタの登録間違いや、登録までのタイムラグが発生していた。そのため、事務員が登録したいときにマスタがまだ作成されていない場合や、都度の入力による間違いが多発してしまっていた。
【0015】
そこで、本実施の形態で、営業担当者が、見積入力により得意先等に対する単価見積を登録し、上長が承認することで、見積登録した内容に基づき、各単価マスタ(得意先別商品単価マスタ、得意先納入先別商品単価マスタ、得意先仕入先別商品単価マスタ、得意先納入先仕入先別商品単価マスタ)及びルートマスタを作成する。
【0016】
これにより、契約内容を見積情報として登録することで、見積情報の一元管理と共有を行うと共に、承認後、自動的に単価マスタを作成するため、単価見積の業務を効率化することができる。また、1件の見積の登録情報に基づき、自動的に更新対象の単価マスタを振り分けて登録を行うため、単価マスタ登録の効率化だけでなく、承認された見積情報が反映されるため、統制面の強化や事務員の入力を含めた業務全般を効率化することができる。
【0017】
また、例えば化学商社においては、直送取引が多く行われることから、販売原価として、経費(立替金利)及び運賃の計上が多い。しかし、受注時点で経費及び運賃を計上することは困難であるため、見積計上時点に経費及び運賃を計上した見積が不採算な見積となることがあり、予測した粗利が得られない不都合を生じていた。このため、実施の形態の単価見積管理装置は、上述の単価マスタ上に存在しない経費及び運賃を登録し、見積時点での不採算見積の検知等を可能としている(みなし経費及び運賃の予測に伴う不採算見積計上の防止動作)。
【0018】
なお、以下、「見積区分」及び「取引区分」は、同義語して説明を行う。
【0019】
[構成]
図1は、実施の形態の単価見積管理装置100のブロック図である。単価見積管理装置100は、例えばワークステーション又は市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータ等を用いることができる。
【0020】
単価見積管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。単価見積管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0021】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、単価見積管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、単価見積管理装置100と、サーバ200、営業担当者端末410・・・、営業上長端末420・・・とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネット又はLAN(Local Area Network)等である。これにより、通信インターフェース部104は、ネットワーク300を介して、サーバ200とデータ通信可能に構成されている。
【0022】
営業担当者端末410・・・は、営業部門の担当者が使用する端末であり、単価見積管理装置100にアクセス可能に構成されている。
【0023】
営業上長端末420・・・は、営業部門の上長が使用する端末であり、単価見積管理装置100にアクセス可能に構成されている。
【0024】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ装置(家庭用テレビを含む:表示部の一例)の他、スピーカ又はプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス装置、及びマイクロホンの他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置を用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0025】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。
【0026】
また、この記憶部106は、仮マスタ106a、得意先別商品単価マスタ106b、得意先納入先別商品単価マスタ106c、得意先仕入先別商品単価マスタ106d、得意先納入先仕入先別商品単価マスタ106e、ルートマスタ106f、及び、見積データファイル106gを備えている。得意先別商品単価マスタ106b、得意先納入先別商品単価マスタ106c、得意先仕入先別商品単価マスタ106d、得意先納入先仕入先別商品単価マスタ106eを「単価マスタ」と総称する。
【0027】
仮マスタ106aは、単価マスタ更新用のマスタであり、例えば、見積番号、行番号、見積区分(在庫見積、直送見積)得意先、納入先、仕入先、適用開始日、適用終了日、承認後マスタ即時反映フラグ、商品、数量、単価を関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。
【0028】
得意先別商品単価マスタ106bは、得意先、適用開始日、適用終了日、商品、数量、単価を関連付けて登録したテーブル等で構成することができる。
【0029】
得意先納入先別商品単価マスタ106cは、得意先、納入先、適用開始日、適用終了日、商品、数量、単価を関連付けて登録したテーブル等で構成することができる。
【0030】
得意先仕入先別商品単価マスタ106dは、得意先、仕入先、適用開始日、適用終了日、商品、数量、単価を関連付けて登録したテーブル等で構成することができる。
【0031】
得意先納入先仕入先別商品単価マスタ106eは、得意先、納入先、仕入先、適用開始日、適用終了日、商品、数量、単価を関連付けて登録したテーブル等で構成することができる。
【0032】
ルートマスタ106fは、商流を管理するためのマスタであり、得意先、納入先、仕入先、商品を関連付けて登録したテーブル等で構成することができる。
【0033】
見積データファイル106gは、見積情報を格納するためのテーブルである。見積情報は、見積番号、行番号、見積区分(在庫見積、直送見積)、事業所、見積日、受注予定日、売上予定日、担当者、得意先、納入先、仕入先、仮マスタ106a(単価マスタ)を更新するか否かを指定する単価更新区分(0:更新しない、1:更新する)、適用開始日、適用終了日、承認後マスタ即時反映フラグ、商品、数量、単価、金額、明細摘要を含んでいてもよい。
【0034】
承認後マスタ即時反映フラグで単価マスタの更新タイミングを、承認後即時、又は、任意のタイミングのいずれかを選択可能となっている。承認後マスタ即時反映フラグが「即時反映する」の場合は、承認後に単価マスタを即時更新し、「即時反映しない」の場合は、任意のタイミングで単価マスタを更新する。
【0035】
また、記憶部106は、取引区分マスタ106k、みなし経費単価マスタ106m、及び、商品マスタ106pを備えている。
【0036】
取引区分マスタ106kは、図14に示すように、データ区分、取引区分番号、及び、取引区分名(=見積区分名)を含んで構成される。データ区分は、その商取引のデータが、商品の受注のデータであるか、商品の発注のデータであるかを示しており、「受注」又は「発注」とのように入力される。
【0037】
取引区分名は、商品の取引形態を示しており、「倉出」は、自社の倉庫から得意先に商品を搬送する取引形態であり、その取引区分番号は、例えば「1」に設定されている。「直送」は、商品の仕入を行う仕入先から得意先に、直接的に商品を搬送する取引形態であり、その取引区分番号は、例えば「2」に設定されている。「倉入発注」は、仕入先から自社の倉庫に商品を搬入する取引形態であり、その取引区分番号は、例えば「4」に設定されている。
【0038】
商品マスタ106pは、図15に示すように、商取引される商品の商品コード、及び、商品の主要となる仕入先を示す主要仕入先コードを含んで構成される。
【0039】
みなし経費単価マスタ106mには、過去の商取引で生じた諸経費が登録され、番号、事業所コード、得意先コード、商品コード、仕入先コード、適用開始日、取引区分(=見積区分)、及び、諸経費を含んで構成される。
【0040】
適用開始日は、その諸経費の適用が開始される日にちを示しており、主に、実際に商取引が行われた日付等が用いられる。諸経費としては、一例として出荷経費(出荷運賃及び出荷経費)及び入荷経費(入荷運賃及び入荷経費)が登録される。取引区分は、商取引が行われた際の取引形態であり、上述のように「2:直送」、「1:倉出」又は「4:倉入」等のように登録される。
【0041】
制御部102は、単価見積管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS(オペレーティングシステム)等の制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラム(単価見積管理プログラム等)、所要データ等を格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0042】
制御部102は、記憶部106に格納されている、仮マスタ106a、得意先別商品単価マスタ106b、得意先納入先別商品単価マスタ106c、得意先仕入先別商品単価マスタ106d、得意先納入先仕入先別商品単価マスタ106e、ルートマスタ106f、見積データファイル106g、取引区分マスタ106k、みなし経費単価マスタ106m、及び、商品マスタ106p等にアクセス可能に構成されている。なお、これらのマスタ又はファイルは、他の場所(例えば、サーバ200)に設けられていてもよく、制御部102がアクセス可能な構成であればよい。
【0043】
制御部102は、単価見積管理プログラムに基づいて動作することで、単価見積入力部102a、ワークフロー処理部102b、承認処理部102c、マスタ更新部102d、画面表示制御部102e、みなし経費算出部102f、及び、検出部102gとして機能する。画面表示制御部102eは、出力制御部の一例である。
【0044】
なお、この実施の形態の説明では、画面表示制御部102eは、モニタ装置である出力装置114を介して見積情報等を表示することとして説明を行うが、出力制御部が、出力装置の一例であるプリンタ装置に、見積情報等の印刷情報を供給して印刷を行うようにしてもよい。
【0045】
単価見積入力部102aは、営業担当者端末410からのアクセスに応じて、見積入力画面を提供し、見積入力画面上での営業担当者端末410の営業担当者の操作等に応じて、見積番号、見積日、受注予定日、売上予定日、得意先、納入先、仕入先、適用開始日、商品、数量、単価、金額を含む見積情報を入力して見積データファイル106gに登録する。営業担当者は、見積情報を登録すると、ワークフローを使用して見積情報の承認を申請する。
【0046】
ワークフロー処理部102bは、ワークフロー環境を提供する。例えば、ワークフロー処理部102bは、営業担当者端末410からのアクセスに応じて、ワークフロー申請画面を提供し、営業担当者がワークフロー申請画面で見積情報と承認ルート(例えば、営業上長等)を指定すると、指定された承認ルートでの回覧を実行して承認ルートに通知し、承認ルートで(例えば、営業上長端末420の営業上長により)見積情報の承認又は却下の決定がなされる。
【0047】
承認処理部102cは、見積情報が承認された場合に、当該見積情報に基づいて、仮マスタ106aを更新する。
【0048】
マスタ更新部102dは、更新した仮マスタ106aに基づいて単価マスタを更新する。また、マスタ更新部102dは、更新した仮マスタ106aに基づいてルートマスタ106fを更新する。
【0049】
見積情報(仮マスタ106a)は、承認後に単価マスタに即時反映するか否かを指定する承認後マスタ即時反映フラグを含み、マスタ更新部102dは、承認後マスタ即時反映フラグが「即時反映する」の場合は、仮マスタ106aの更新後に即時に単価マスタを更新し、「即時反映しない」の場合は、仮マスタ106aの更新後に任意のタイミングで単価マスタを更新する。
【0050】
図2は、マスタ更新処理のパターンである更新マトリクスを示す図である。図2を参照して、単価マスタの更新パターンを説明する。マスタ更新部102dは、見積情報(仮マスタ106a)の見積区分(在庫見積、直送見積)と、得意先、納入先、及び仕入先の有無で、更新先の単価マスタ(得意先別商品単価マスタ106b、得意先納入先別商品単価マスタ106c、得意先仕入先別商品単価マスタ106d、得意先納入先仕入先別商品単価マスタ106e)を選択する。どのパターンでもルートマスタ106fは必ず更新する。
【0051】
見積区分が「在庫見積」で、得意先「○:データ有り」、納入先「-:データ無し」、仕入先「-:データ無し」の場合は、得意先別商品単価マスタ106bを更新する。
【0052】
見積区分が「在庫見積」で、得意先「○:データ有り」、納入先「○:データ有り」、仕入先「-:データ無し」の場合は、得意先納入先別商品単価マスタ106cを更新する。
【0053】
見積区分が「直送見積」で、得意先「○:データ有り」、納入先「-:データ無し」、仕入先「○:データ有り」の場合は、得意先仕入先別商品単価マスタ106dを更新する。
【0054】
見積区分が「直送見積」で、得意先「○:データ有り」、納入先「○:データ有り」、仕入先「○:データ有り」の場合は、得意先納入先仕入先別商品単価マスタ106eを更新する。
【0055】
画面表示制御部102eは、モニタ114に表示する各種画面(例えば、単価見積入力画面、受注入力画面等)の表示及びその入力を制御する。
【0056】
検出部102gは、商品を流通させる毎に発生した諸経費を記憶させた記憶部(みなし経費単価マスタ106m)を参照し、入力された見積情報に合致する諸経費を検出する。
【0057】
みなし経費算出部102fは、検出部102gに検出された諸経費に含まれる出荷諸経費と入荷諸経費とを加算処理した諸経費単価を算出する。
【0058】
出力制御部の一例である画面表示制御部102eは、算出された諸経費単価を出力装置114に出力制御して表示する。
【0059】
また、出力制御部の一例である画面表示制御部102eは、諸経費、商品の取引形態を示す取引区分、事業所コード、得意先コード、商品コード、仕入先コード、及び、適用開始日の各入力欄を入力するための諸経費入力画面を表示部(出力装置114)に表示制御する。
【0060】
記憶制御部の一例であるマスタ更新部102dは、諸経費入力画面を介して入力された諸経費、商品の取引形態を示す取引区分、事業所コード、得意先コード、商品コード、仕入先コード、及び、適用開始日をそれぞれ関連付けて記憶部(みなし経費単価マスタ106m)に記憶させる。
【0061】
また、出力制御部の一例である画面表示制御部102eは、諸経費入力画面の取引区分の入力欄に、自社の倉庫に保管されている商品を得意先に送付する「倉出」の取引区分が入力された場合、仕入先コードの入力欄、及び、入荷諸経費の入力欄を入力不可の状態で諸経費入力画面に表示する。これにより、仕入に関わる余計な入力欄に対して、誤って入力が行われる不都合を防止できる。
【0062】
また、出力制御部の一例である画面表示制御部102eは、諸経費入力画面の取引区分の入力欄に、自社の倉庫に商品を入庫させる「倉入」の取引区分が入力された場合、得意先コードの入力欄、及び、出荷諸経費の入力欄を入力不可の状態で諸経費入力画面に表示する。自社倉庫への入荷となるため、得意先の特定が不可となる。このため、得意先、出荷運賃及び出荷経費の入力欄を入力不可とすることで、余計な入力欄に対して、誤って入力が行われる不都合を防止できる。
【0063】
また、出力制御部の一例である画面表示制御部102eは、事業所コード、売上予定日、得意先コード、取引区分、仕入先コード、商品コード、数量を含む見積情報を入力するための見積入力画面を表示部に表示する。
【0064】
検出部102gは、見積情報の取引区分が「倉出」である場合、見積入力画面に入力された「事業所コード、取引区分、得意先コード、商品コード及び売上予定日」に一致する「事業所コード、取引区分、得意先コード、商品コード及び適用開始日」に関連付けされている出荷諸経費を記憶部(みなし経費単価マスタ106m)から検出する。
【0065】
また、この場合、検出部102gは、見積入力画面に入力された「事業所コード、商品コード、売上予定日、及び、入力された商品コードの商品の主要仕入先として商品マスタ106pに記憶されている、主要仕入先の主要仕入先コード」に一致する「事業所コード、「倉入」の取引区分、商品コード、仕入先コード及び適用開始日」に関連付けされている入荷諸経費を記憶部(みなし経費単価マスタ106m)から検出する。
【0066】
また、検出部102gは、見積情報の取引区分が、商品の仕入先から得意先へ、商品を直接的に搬送する「直送」の取引区分である場合、見積入力画面に入力された「事業所コード、取引区分、得意先コード、仕入先コード、商品コード及び売上予定日」に一致する「事業所コード、取引区分、得意先コード、仕入先コード、商品コード及び適用開始日」に関連付けされている出荷諸経費及び入荷諸経費を記憶部(みなし経費単価マスタ106m)から検出する。
【0067】
また、見積情報には、商品の売上単価、原価単価、売上単価に売上数を乗算処理した売上金額、及び、原価単価に売上数を乗算処理した原価金額が含まれている。また、記憶部(みなし経費単価マスタ106m)から検出された諸経費には、出荷諸経費として出荷運賃及び出荷経費が含まれると共に、入荷諸経費として入荷運賃及び入荷経費が含まれている。
【0068】
みなし経費算出部102fは、商品の売上単価から原価単価を減算処理し、出荷運賃及び入荷運賃を加算処理した運賃単価を減算処理し、出荷経費及び入荷経費を加算処理した経費単価を減算処理することで粗利単価を算出する。また、みなし経費算出部102fは、商品の売上金額から原価金額を減算処理し、売上数に運賃単価を乗算処理した運賃金額を減算処理し、売上数に経費単価を乗算処理した経費金額を減算処理することで粗利金額を算出する。そして、出力制御部の一例である画面表示制御部102eは、算出された粗利単価及び粗利金額を出力制御する。なお、出力制御部は、算出された粗利単価及び粗利金額を印刷情報として印刷装置に出力してもよい。
【0069】
[実施の形態の動作]
次に、実施の形態の単価見積管理装置100の制御部102の具体的な処理を説明する。
【0070】
(全体の処理)
図3は、単価見積管理装置100の制御部102の全体の処理の流れの概略を説明するためのフローチャートである。この図3において、単価見積入力部102aは、見積入力処理を実行する(ステップS1)。
【0071】
具体的には、見積入力処理では、単価見積入力部102aは、営業担当者端末410からのアクセスに応じて、見積入力画面を提供し、見積入力画面上での営業担当者端末410の営業担当者の操作等に応じて、見積番号、見積区分、見積日、受注予定日、売上予定日、得意先、納入先、仕入先、単価更新区分、適用開始日、適用終了日、承認後マスタ即時反映フラグ、商品、数量、単価、金額を含む見積情報を入力して見積データファイル106gに登録する。営業担当者は、見積情報を登録すると、ワークフロー(WF)を使用して見積情報の承認を申請する。営業上長(承認権限者の一例)は、見積情報がOKの場合は承認し、NGの場合は却下する。
【0072】
承認処理部102cは、承認処理を実行する(ステップS2)。具体的には、承認処理では、承認処理部102cは、見積情報が承認された場合に、当該見積情報に基づいて仮マスタ106aを更新する。上長が承認することで、単価マスタ更新用の仮マスタ106aが更新される。
【0073】
マスタ更新部102dは、マスタ更新処理を実行する(ステップS3)。具体的には、マスタ更新部102dは、更新した仮マスタ106aに基づいて単価マスタ及びルートマスタ106fを更新する。
【0074】
マスタ更新部102dは、承認後マスタ即時反映フラグが「即時反映する」の場合は、仮マスタ106aの更新後に即時に単価マスタを更新し、承認後マスタ即時反映フラグが「即時反映しない」の場合は、仮マスタ106aの更新後に任意のタイミングで単価マスタを更新する。
【0075】
マスタ更新部102dは、見積情報(仮マスタ106a)の見積区分(在庫見積、直送見積)と、得意先、納入先、及び仕入先の有無で、更新先のマスタ(得意先別商品単価マスタ106b、得意先納入先別商品単価マスタ106c、得意先仕入先別商品単価マスタ106d、得意先納入先仕入先別商品単価マスタ106e)を選択する。このように、見積時の条件に従い、更新先の単価マスタを振り分ける。
【0076】
具体的には、見積区分が「在庫見積」で、得意先「○:データ有り」、納入先「-:データ無し」、仕入先「-:データ無し」の場合は、得意先別商品単価マスタ106bを更新する。見積区分が「在庫見積」で、得意先「○:データ有り」、納入先「○:データ有り」、仕入先「-:データ無し」の場合は、得意先納入先別商品単価マスタ106cを更新する。見積区分が「直送見積」で、得意先「○:データ有り」、納入先「-:データ無し」、仕入先「○:データ有り」の場合は、得意先仕入先別商品単価マスタ106dを更新する。見積区分が「直送見積」で、得意先「○:データ有り」、納入先「○:データ有り」、仕入先「○:データ有り」の場合は、得意先納入先仕入先別商品単価マスタ106eを更新する。
【0077】
(サンプルデータ)
図4図13を参照して、単価見積管理装置100の制御部102の処理の具体例を説明する。図4図13は、単価見積管理装置100の制御部102の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【0078】
(S1:見積入力処理)
図4図6を参照して、見積入力処理の具体例を説明する。単価見積入力部102aは、営業担当者端末410からのアクセスに応じて、見積入力画面を提供し、見積入力画面上での営業担当者端末410の営業担当者の操作等に応じて、見積番号、見積区分、見積日、受注予定日、売上予定日、得意先、納入先、仕入先、単価更新区分、適用開始日、適用終了日、承認後マスタ即時反映フラグ、商品、数量、単価、金額を含む見積情報を入力して見積データファイル106gに登録する。営業担当者は、見積情報を登録すると、ワークフロー(WF)を使用して見積情報の承認を申請する。営業上長は、見積情報がOKの場合は承認し、NGの場合は却下する。
【0079】
図4は、見積入力画面のメイン画面の表示例、図5は、見積入力画面の明細画面の表示例を示す図である。図4に示すように、見積入力画面のメイン画面は、事業所、見積日、受注予定日、売上予定日、得意先、担当者、納入先、単価更新区分、適用開始日、適用終了日を指定(入力)するヘッダエリアと、単価見積の明細を指定するエリアであり、行番号、見積区分、承認後マスタ即時反映フラグ(ボックスチェック有り:即時反映する、ボックスチェック無し:即時反映しない)、商品、仕入先、数量、単価、金額、明細摘要を指定する明細エリアと、不図示の登録ボタンとを備えている。不図示の登録ボタンを押すと、画面の入力内容に応じた見積情報が作成されて、見積データファイル106gに登録される。図4及び図5の例に示すようなデータが入力された場合は、図6に示すような見積情報が登録される。
【0080】
明細エリアで行を選択(ダブルクリック等)すると、図5に示すような明細画面が表示され、明細画面でデータを入力して、不図示の反映ボタンを押すと、明細エリアの選択した行にデータが反映される。
【0081】
ヘッダエリアの「単価更新区分」は、「0:更新しない」又は「1:更新する」を指定し、「1:更新する」を指定した場合は、見積情報が仮マスタ106aに反映される。「適用開始日」は、見積した単価の適用開始日である。「適用終了日」は、見積した単価の適用終了日であり、任意項目である。
【0082】
明細エリアの「見積区分」は、「10:在庫見積」又は「20:直送見積」を指定し、選択した見積区分に応じて更新される単価マスタが決定される。「数量」は、入力した数量に従い、数量毎の単価を設定する。「仕入先」は、見積区分が「20:直送見積」の場合に有効であり、「10:在庫見積」の場合は無効である(在庫見積は、倉庫在庫を得意先・納入先に納入する場合の見積であり、仕入先は関係ないためである)。「承認後マスタ即時反映フラグ」は、チェックを付けた場合「即時反映する」は、最終承認時に即、単価マスタに反映する。
【0083】
図6は、見積情報のデータ例を示している。図6は、上記図4及び図5の見積入力画面の入力内容に対応した見積情報の例を示している。見積情報は、見積番号、行番号、見積区分、事業所、見積日、受注予定日、売上予定日、担当者、得意先、納入先、仕入先、単価更新区分、適用開始日、適用終了日、承認後マスタ即時反映、商品、数量、単価、金額、明細摘要の項目を備えている。
【0084】
同図に示す例では、1行目は、見積番号「MT001」、行番号「1」、見積区分「在庫見積」、事業所「T100」、見積日「2022/4/1」、受注予定日「2022/5/10」、売上予定日「2022/6/30」、担当者「TAN001」、得意先「TK001」、納入先「NOU001」、仕入先「-」、単価更新区分「更新する」、適用開始日「2022/5/1」、適用終了日「2022/12/31」、承認後マスタ即時反映「する」、商品「商品A」、数量「1ケース」、単価「¥1,000」、金額「¥1,000」、明細摘要「新規取引の見積:基本数量」となっている。
【0085】
(S2:承認処理)
図7を参照して、承認処理を説明する。承認処理部102cは、見積情報が承認された場合に、当該見積情報に基づいて仮マスタ106aを更新する。
【0086】
図7は、仮マスタ106aのデータ例を示す図である。仮マスタ106aは、見積番号、行番号、見積区分、得意先、納入先、仕入先、適用開始日、適用終了日、承認後マスタ即時反映フラグ、商品、数量、単価の項目を備えている。
【0087】
同図に示す例では、1行目は、見積番号「MT001」、行番号「1」、見積区分「在庫見積」、得意先「TK001」、納入先「NOU001」、仕入先「-」、適用開始日「2022/5/1」、適用終了日「2022/12/31」、承認後マスタ即時反映フラグ「即時反映する」、商品「商品A」、数量「1ケース」、単価「¥1,000」となっている。行番号「1」と「4」については、承認後マスタ即時反映フラグが「即時反映する」となっているので、単価マスタを即時に更新する。
【0088】
(S3:マスタ更新処理)
図8及び図9を参照して、マスタ更新処理の具体例を説明する。マスタ更新部102dは、更新した仮マスタ106aに基づいて単価マスタ及びルートマスタ106fを更新する。マスタ更新部102dは、承認後マスタ即時反映フラグが「即時反映する」の場合は、仮マスタ106aの更新後に即時に単価マスタを更新し、承認後マスタ即時反映フラグが「即時反映しない」の場合は、仮マスタ106aの更新後に任意のタイミングで単価マスタを更新する。また、マスタ更新部102dは、見積情報(仮マスタ106a)の見積区分(在庫見積、直送見積)と、得意先、納入先、及び仕入先の有無で、更新先のマスタ(得意先別商品単価マスタ106b、得意先納入先別商品単価マスタ106c、得意先仕入先別商品単価マスタ106d、得意先納入先仕入先別商品単価マスタ106e)を選択する。
【0089】
図7の仮マスタ106aで承認後マスタ即時反映フラグが「即時反映する」となっている行番号「1」、「4」は、図8(A)、(B)に示すように、即時に単価マスタを更新する。行番号「1」~「3」は、見積区分が「在庫見積」で、得意先「TK001」、納入先「NOU001」、仕入先「データ無し」となっているので、得意先納入先別商品単価マスタ106cを更新する。行番号「4」は、見積区分が「直送見積」で、得意先「TK001」、納入先「NOU001」、仕入先「SR001」となっているので、得意先納入先仕入先別商品単価マスタ106eを更新する。
【0090】
図8(A)は、得意先納入先別商品単価マスタ106cの更新例を示す図である。得意先納入先別商品単価マスタ106cは、得意先、納入先、適用開始日、適用終了日、商品、数量、単価の項目を備えている。同図に示す例では、得意先「TK001」、納入先「NOU001」、適用開始日「2022/5/1」、適用終了日「2022/12/31」、商品「商品A」、数量「1ケース」、単価「¥1,000」となっている。
【0091】
図8(B)は、得意先納入先仕入先別商品単価マスタ106eの更新例を示す図である。得意先納入先仕入先別商品単価マスタ106eは、得意先、納入先、仕入先、適用開始日、適用終了日、商品、数量、単価の項目を備えている。同図に示す例では、得意先「TK001」、納入先「NOU001」、仕入先「SR001」、適用開始日「2022/5/1」、適用終了日「2022/12/31」、商品「商品B」、数量「1個」、単価「¥200」となっている。
【0092】
図8(C)は、ルートマスタ106fの更新例を示している。ルートマスタ106fは、得意先、納入先、仕入先、商品の項目を備えている。同図に示す例では、1行目は、得意先「TK001」、納入先「NOU001」、仕入先「-」、商品「商品A」、2行目は、得意先「TK001」、納入先「NOU001」、仕入先「SR001」、商品「商品B」となっている。
【0093】
図7の仮マスタ106aで承認後マスタ即時反映情報が「即時反映しない」となっている行番号「2」、「3」は、仮マスタ106aを更新後、任意のタイミングで、図9(A)に示すように得意先納入先別商品単価マスタ106cを更新する。
【0094】
図9(A)は、得意先納入先別商品単価マスタ106cの更新例を示す図である。図9(B)は、ルートマスタ106fの更新例を示す図である。ルートマスタ106fについては、既に同一レコードが存在するため上書き更新される。
【0095】
次に、後日、見積の改定があり、改定した見積情報を登録した場合を図10及び図11を参照して説明する。
【0096】
図10は、改訂した見積情報の例を示す図である。図10では、図6の見積情報の行番号「1」のデータが改訂されている。図10において、見積番号「MT002」、見積日「2022/6/1」、受注予定日「2022/6/10」、適用開始日「2022/6/1」、単価「¥1,100」、金額「¥1,100」、明細摘要「既存取引の見積改訂」に改訂されている。
【0097】
図11(A)は、図10の改訂した見積情報に基づいて更新された仮マスタ106aの更新例を示している。
【0098】
図11(B)は、図11(A)の仮マスタ106aに基づいて更新された得意先納入先別商品単価マスタ106cの更新例を示している。2行目は、改訂した見積で作成されたレコードを示している。
【0099】
図11(C)は、ルートマスタ106fの更新例を示す図である。ルートマスタ106fについては、既に同一レコードが存在するため上書き更新される。
【0100】
(ルートマスタ・単価マスタ活用イメージ)
図12及び図13を参照して、受注入力画面でのルートマスタ・単価マスタの活用イメージを説明する。図12は、受注入力画面の表示例を示す図である。図13(A)は、ルート検索画面の表示例、図13(B)は、得意先納入先別商品単価マスタ106cのデータ例を示す図である。画面表示制御部102eは、例えば、以下のように受注入力画面の表示を制御する。
【0101】
受注入力画面は、図12に示すように、事業所、受注日、出荷日、売上予定日、得意先、担当者、納入先を指定するためのヘッダエリアと、ルートマスタ106fからルートを選択するためのルート検索画面を表示するためのルート検索ボタンと、行番号、受注区分、数量、明細摘要、商品、単価、金額、仕入先等の明細を指定するための明細エリアと、を備えている。
【0102】
ルート検索ボタンを押下すると、例えば、図13(A)に示すようなルート検索画面が表示される。ルート検索画面では、ルートマスタ106fのデータの一覧が表示され、担当者がルートを選択する。選択したルート(得意先、納入先、仕入先、商品)が受注入力画面に表示される。明細エリアで担当者が「数量」を入力すると、選択したルートに対応する単価マスタから「受注日」を基準に該当する適用開始日の「単価」と「金額(単価×数量)」を明細エリアに表示する。
【0103】
同図に示す例では、ルート検索画面で、1行目の得意先「TK001」、納入先「NOU001」、仕入先「-」、商品「商品A」のルートが選択され、得意先「TK001」、納入先「NOU001」、商品「商品A」が受注入力画面に表示される。明細エリアで数量「1ケース」を入力すると、選択したルートに対応する得意先納入先別商品単価マスタ106c(得意先「TK001」、納入先「NOU001」、仕入先「-」のため)から受注日「2022/5/1」を基準に該当する適用開始日「2022/5/1」のレコードの単価「¥1,000」を取得して、単価「¥1,000」と金額「¥1,000(=¥1,000×1)」が明細エリアに表示される。
【0104】
このように、ルート検索を行うことで、入力担当者は各取引先を入力する手間を省略でき、ルートを選択することで商品を含めた情報が画面にセットされる。その後、数量を入力することで、対象商品の単価がセットされるため、入力を効率化することができる。
【0105】
[みなし経費及び運賃の予測に伴う不採算見積計上の防止動作]
次に、直送取引においては、受注時点で経費及び運賃の計上を行うことは困難であるため、見積計上時点で経費及び運賃の計上を行う。しかし、見積時点での経費及び運賃等の諸経費は、不確かな金額となることもあり、結果、不採算となり、予測した粗利通りの利益を得られない不都合を多々生ずることが懸念される。
【0106】
ここで、一度、経費及び運賃が発生すると、この発生した経費及び運賃に基づいて、諸経費の類推が可能となる。また、単価見積が多くなると、諸経費を正確に予測することが可能となる。このようなことから、実施の形態の単価見積管理装置100は、上述の各単価マスタ106b~106e上に存在しない経費及び運賃等の諸経費を、みなし経費単価マスタ106mに予め登録しておき、見積時点で諸経費を参照して見積情報に含めて表示(又は印刷、音声出力等)することで、不採算見積の検知等を可能としている。
【0107】
[諸経費の登録動作]
まず、みなし経費単価マスタ106mに対する諸経費の登録動作を説明する。単価見積管理装置100の操作者により、入力装置112を介して諸経費の登録が指定されると、画面表示制御部102eは、図17図19に例示する諸経費入力画面を出力装置114に表示する。この図17図19に示すように、諸経費入力画面は、取引区分(=見積区分)、事業所コード、得意先コード、商品コード、仕入先コード、及び、適用開始日の各入力欄を備えている。また、諸経費入力画面は、出荷運賃、入荷運賃、出荷経費、及び、入荷経費の入力欄を備えている。
【0108】
操作者は、行われた商取引に対応する取引区分を、取引区分の入力欄に入力する。図17は、「直送」の取引区分が入力された例である。また、図18は、「倉出」の取引区分が入力された例である。図19は、「倉入」の取引区分が入力された例である。操作者は、取引区分を入力すると、その商取引を行った事業所、得意先、商品名、仕入先、出荷運賃、入荷運賃、出荷経費、及び、入荷経費を、各入力欄に入力する。また、操作者は、入力した出荷運賃及び入荷運賃等の諸経費を適用可能とする日付を適用開始日に入力し、登録を指定する。
【0109】
登録を指定されると、マスタ更新部102dは、事業所、得意先、商品名、仕入先、適用開始日、出荷運賃、入荷運賃、出荷経費及び入荷経費をそれぞれ関連付けて、みなし経費単価マスタ106mに登録(記憶)する。これにより、図16に示したように、商取引毎に、いわば取引レコードのかたちで各商取引の諸経費がマスタ更新部102dに登録される。
【0110】
ここで、図18に示すように、諸経費入力画面の取引区分の入力欄に、自社の倉庫に保管されている商品を得意先に送付する「倉出」の取引区分が入力された場合、画面表示制御部102eは、仕入先コードの入力欄、及び、入荷諸経費(入荷運賃及び入荷経費)の入力欄を入力不可の状態で諸経費入力画面に表示する。これにより、仕入に関わる余計な入力欄に対して、誤って入力が行われる不都合を防止できる。
【0111】
また、図19に示すように、諸経費入力画面の取引区分の入力欄に、自社の倉庫に商品を入庫させる「倉入」の取引区分が入力された場合、画面表示制御部102eは、得意先コードの入力欄、及び、入荷諸経費(入荷運賃及び入荷経費)の入力欄を入力不可の状態で諸経費入力画面に表示する。自社倉庫への入荷となるため、得意先の特定が不可となる。このため、得意先、出荷運賃及び出荷経費の入力欄を入力不可とすることで、余計な入力欄に対して、誤って入力が行われる不都合を防止できる。
【0112】
[見積情報の表示動作]
このように諸経費がマスタ更新部102dに過去の商取引の履歴(諸経費等)が登録されると、これから行われる商取引の見積時に、正確性の高い諸経費を含めて表示し、計上可能とすることができる。
【0113】
具体的には、商取引の見積時となると、操作者は、入力装置112を介して見積入力画面の表示を指定操作する。この指定操作が行われると、画面表示制御部102eは、図20に例示する見積入力画面を、出力装置114を介して表示する。
【0114】
この見積入力画面は、事業所、見積日、得意先、担当者、及び、売上予定日の各入力欄を含んで構成されている。操作者により、各入力欄に対して入力が行われ、入力装置112の実行キーが操作されると、画面表示制御部102eは、図21に例示する見積入力画面の明細画面を、出力装置114に表示する。
【0115】
この明細画面は、行番号、取引区分、商品コード、仕入先コード、数量、売上単価、及び、原価単価等の各入力欄を含んで構成される。また、明細画面は、売上金額、原価金額、運賃単価、運賃金額、経費単価、経費金額、粗利単価及び粗利金額の表示欄を含んで構成される。
【0116】
この明細画面の取引区分に対して、操作者により、図21に示すように「倉出」の取引区分が入力されたとする。取引区分に「倉出」が入力されると、図22の「2番」のレコードに例示するように、検出部102gは、図20に示した見積入力画面及び図21に示した見積入力画面の明細画面に入力された「事業所コード、取引区分、得意先コード、商品コード及び売上予定日」に一致する「事業所コード、取引区分、得意先コード、商品コード及び適用開始日」に関連付けされている出荷諸経費(出荷運賃及び出荷経費)をみなし経費単価マスタ106mから検出する。
【0117】
また、検出部102gは、図22の「2番」のレコードに例示するように、見積入力画面又は見積入力画面の明細画面に入力された「事業所コード、商品コード、売上予定日、及び、入力された前記商品コードの商品の主要仕入先として、図15に例示した商品マスタ106pに記憶されている、主要仕入先の主要仕入先コード」に一致する「事業所コード、「倉入」の取引区分、商品コード、仕入先コード及び適用開始日」に関連付けされている入荷諸経費(入荷運賃及び入荷経費)をみなし経費単価マスタ106mから検出する。なお、「適用開始日」は、見積入力画面の売上予定日が、適用開始日以降の日にちであることが検出部102gの検出条件となっている。
【0118】
このようにみなし経費単価マスタ106mから出荷諸経費(出荷運賃及び出荷経費)及び入荷諸経費(入荷運賃及び入荷経費)が検出されると、みなし経費算出部102fは、図23に示すように、見積入力画面の明細画面に入力された商品の売上単価から原価単価を減算処理し、検出された出荷運賃及び入荷運賃を加算処理した運賃単価を減算処理し、出荷経費及び入荷経費を加算処理した経費単価を減算処理することで粗利単価を算出する。
【0119】
粗利単価=売上単価-原価単価-運賃単価-経費単価
【0120】
図23の例の場合、商品の売上単価は、3200円である。また、原価単価は、1800円である。また、検出された出荷運賃(200円)及び入荷運賃(220円)を加算処理した運賃単価は420円である。また、検出された出荷経費(250円)及び入荷経費(420円)を加算処理した経費単価は670円である。
【0121】
このため、みなし経費算出部102fは、「売上単価3200円-原価単価1800円-運賃単価420円-経費単価670円」の演算を行うことで、粗利単価310円を算出する。
【0122】
また、みなし経費算出部102fは、図23に示すように、商品の売上金額から原価金額を減算処理し、売上数(数量)に運賃単価を乗算処理した運賃金額を減算処理し、売上数に経費単価を乗算処理した経費金額を減算処理することで粗利金額を算出する。
【0123】
粗利金額=売上金額-原価金額-運賃金額-経費金額
【0124】
図23の例の場合、2ケース(数量=2)の商品を売り上げたことによる商品の売上金額は、6400円である。また、2ケース(数量=2)の商品の原価金額は、3200円である。また、2ケース(数量=2)の商品の運賃金額は、840円である。また、2ケース(数量=2)の商品の経費金額は、1340円である。
【0125】
このため、みなし経費算出部102fは、「売上金額6400円-原価金額3200円-運賃金額840円-経費金額1340円」の演算を行うことで、620円の粗利単価を算出する。
【0126】
画面表示制御部102eは、算出された粗利単価及び粗利金額を含む見積情報を、図23に示すように出力装置114を介して表示する(印刷又は音声出力でもよい)。
【0127】
次に、図24に示す見積入力画面、及び、図25に示す見積入力画面の明細画面において、取引区分に対して「直送」が入力された場合、図26の「1番」のレコードに例示するように、検出部102gは、図24に示した見積入力画面及び図25に示した見積入力画面の明細画面に入力された「事業所コード、取引区分、得意先コード、仕入先コード、商品コード及び売上予定日」に一致する、「事業所コード、取引区分、得意先コード、仕入先コード、商品コード、及び、適用開始日」に関連付けされている出荷諸経費(出荷運賃及び出荷経費)をみなし経費単価マスタ106mから検出する。
【0128】
このようにみなし経費単価マスタ106mから出荷諸経費(出荷運賃及び出荷経費)及び入荷諸経費(入荷運賃及び入荷経費)が検出されると、みなし経費算出部102fは、図27に示すように、見積入力画面の明細画面に入力された各単価及び金額に基づいて、下記の演算を行い、粗利単価、及び、粗利金額を算出する。
【0129】
粗利単価=売上単価-原価単価-運賃単価-経費単価
【0130】
粗利金額=売上金額-原価金額-運賃金額-経費金額
【0131】
図27の例の場合、商品の売上単価は、4500円である。また、原価単価は、2800円である。また、検出された出荷運賃(110円)及び入荷運賃(210円)を加算処理した運賃単価は320円である。また、検出された出荷経費(310円)及び入荷経費(410円)を加算処理した経費単価は720円である。
【0132】
このため、みなし経費算出部102fは、「売上単価4500円-原価単価2800円-運賃単価320円-経費単価720円」の演算を行うことで、粗利単価1660円を算出する。
【0133】
また、図27の例の場合、2ケース(数量=2)の商品を売り上げたことによる商品の売上金額は、9000円である。また、2ケース(数量=2)の商品の原価金額は、5600円である。また、2ケース(数量=2)の商品の運賃金額は、640円である。また、2ケース(数量=2)の商品の経費金額は、1440円である。
【0134】
このため、みなし経費算出部102fは、「売上金額9000円-原価金額5600円-運賃金額640円-経費金額1440円」の演算を行うことで、3220円の粗利金額を算出する。
【0135】
画面表示制御部102eは、算出された粗利単価及び粗利金額を含む見積情報を、図27に示すように出力装置114を介して表示する(印刷又は音声出力でもよい)。
【0136】
このように、過去の商取引により、実際に発生した諸経費をみなし経費単価マスタ106mに登録しておき、後に同じ又は類似の商取引を行う際にみなし経費単価マスタ106mから読み出して見積計上することで、見積時点で正確な諸経費を計上可能とすることができる。また、実際の粗利に近い金額の他、単価ベースでも粗利を確認することができ、上述の承認作業において、承認権限者は、見積単価の粗利の適正の度合いを検討することができる。
【0137】
[実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、実施の形態の単価見積管理装置100は、少なくとも、得意先、適用開始日、商品、単価の単位である数量、単価の項目のデータを関連づけて格納するための単価マスタと、単価マスタを更新するためのデータを格納するための仮マスタ106aと、見積番号、見積日、受注予定日、売上予定日、得意先、納入先、仕入先、適用開始日、商品、数量、単価、金額の項目を含む見積情報を入力する単価見積入力部102aと、入力された見積情報が承認された場合に、承認された見積情報に基づいて仮マスタ106aを更新する承認処理部102cと、更新された仮マスタ106aに基づいて単価マスタを更新するマスタ更新部102dと、を備えている。このため、単価見積の業務を効率化することができる。
【0138】
また、過去の商取引により、実際に発生した諸経費をみなし経費単価マスタ106mに登録しておき、後に同じ又は類似の商取引を行う際にみなし経費単価マスタ106mから読み出して見積計上することで、見積時点で正確な諸経費を計上可能とすることができる。また、実際の粗利に近い金額の他、単価ベースでも粗利を確認することができ、上述の承認作業において、承認権限者は、見積単価の粗利の適正の度合いを検討することができる。
【0139】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施の形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0140】
また、本実施の形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0141】
また、本実施の形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0142】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。
【0143】
例えば、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0144】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0145】
また、単価見積管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0146】
例えば、単価見積管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU及び当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施の形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて単価見積管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0147】
また、このコンピュータプログラムは、単価見積管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0148】
また、本実施の形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム商品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0149】
また、「プログラム」とは、任意の言語又は記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成及び読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0150】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0151】
また、単価見積管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータ又はワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、単価見積管理装置100は、当該装置に本実施の形態で説明した処理を実行するソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することで実現してもよい。
【0152】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施の形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施の形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明は、経費及び運賃等の諸経費を計上した見積を生成する業種に適用して好適であり、一例として、化学業界、食品業界、商社等の商品を販売(卸売を含む)する業種に適用できる。
【符号の説明】
【0154】
100 単価見積管理装置
102 制御部
102a 単価見積入力部
102b ワークフロー処理部
102c 承認処理部
102d マスタ更新部
102e 画面表示制御部
102f みなし経費算出部
102g 検出部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 仮マスタ
106b 得意先別商品単価マスタ
106c 得意先納入先別商品単価マスタ
106d 得意先仕入先別商品単価マスタ
106e 得意先納入先仕入先別商品単価マスタ
106f ルートマスタ
106g 見積データファイル
106k 取引区分マスタ
106m みなし経費単価マスタ
106p 商品マスタ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
410 営業担当者端末
420 営業上長端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図26
図27