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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005269
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】支援具
(51)【国際特許分類】
   B65G 7/12 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
B65G7/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105402
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
(71)【出願人】
【識別番号】506141041
【氏名又は名称】アストモスエネルギー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】大場 清貴
(72)【発明者】
【氏名】奥井 学
(72)【発明者】
【氏名】西▲はま▼ 里英
(72)【発明者】
【氏名】日野 洸輔
(57)【要約】
【課題】重い荷物の積み下ろしや運搬作業の疲労を軽減可能な支援具を提供する。
【解決手段】荷物の積み下ろしや持ち歩きを支援するための支援具であって、作業者の胴周りに巻き付けられるベルトと、前記ベルトによって保持される台座と、を備え、前記台座は、作業者の腹部左側又は腹部右側に設けられ、前記ベルトよりも外側に突出し、荷物が載置可能とされた載置面と、前記載置面よりも作業者の正面側に設けられ、前記載置面に荷物を持ち上げるときや前記載置面から荷物を下ろすときの荷物の昇降を補助する昇降補助機構と、を備える構成とした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の積み下ろしや持ち歩きを支援するための支援具であって、
作業者の胴周りに巻き付けられるベルトと、
前記ベルトによって保持される台座と、
を備え、
前記台座は、
作業者の腹部左側又は腹部右側に設けられ、前記ベルトよりも外側に突出し、荷物が載置可能とされた載置面と、
前記載置面よりも作業者の正面側に設けられ、前記載置面に荷物を持ち上げるときや前記載置面から荷物を下ろすときの荷物の昇降を補助する昇降補助機構と、
を備えることを特徴とする支援具。
【請求項2】
前記昇降補助機構は、
前記載置面に荷物を持ち上げるときや前記載置面から荷物を下ろすときに荷物と接触し、荷物の昇降方向に沿うように回転する回転体であることを特徴とする請求項1に記載の支援具。
【請求項3】
前記回転体は、モーターを備え、モーターの駆動により回転することを特徴とする請求項2に記載の支援具。
【請求項4】
荷物に接触する前記回転体の表面は、荷物の表面に吸着する吸着性を有する請求項2又は請求項3に記載の支援具。
【請求項5】
前記昇降補助機構は、
タイミングプーリーと、
前記タイミングプーリーの回転を支持する軸と、
前記タイミングプーリーに掛け渡されるタイミングベルトと、
を備え、
前記タイミングプーリーは、
作業者の正面側に位置し、タイミングベルトが荷物の昇降方向に延長する昇降方向部と、
前記昇降方向部の上部から前記載置面の方向に延長する載置面方向部と、
を有するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の支援具。
【請求項6】
前記載置面方向部は、載置面よりも上方に位置することを特徴とする請求項5に記載の支援具。
【請求項7】
前記昇降補助機構は、
荷物の昇降に応じて、前記タイミングベルトを強制的に回転可能とされたことを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の支援具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支援具に関し、特に、トラックからのガスボンベの積み下ろしやガスボンベの設置場所までの運搬を支援するための支援具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロパンガス(LPガス)などのガスボンベ(以下単にボンベという)をトラックの荷台に運び上げたり、荷台から下ろしたり、また、荷台から下ろしたボンベの運搬を容易にするものの一つとして特許文献1に示すような運搬機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-52804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボンベには、50kg容器や20kg容器等の規格化された複数のサイズがある。例えば、50kg容器は、高さが約140cm、直径が37cmの大きさとされ、20kg容器は、高さが約80cm、直径が32cmの程度の大きさとされる。
このような大きさの違いにより、実際の現場では、50kg容器のような大きなものには特許文献1に示すような運搬機が利用され、20kg容器のような大きさのものでは、大きさ、特に高さが中途半端のため、荷台への上げ下げや運搬が担いで行われる場合が多い。
しかしながら、20kg容器は、50kg容器に比べて大きさが小さいものの、重さが約40kg近くとなるため、無理な姿勢を取りながら重量物を上げ降ろしするため疲労も多く、所謂ギックリ腰の要因になったり、手足を痛めたりし易く、重労働であった。
【0005】
そこで、本発明では、重い荷物の積み下ろしや運搬作業の疲労を軽減可能な支援具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための支援具の構成として、荷物の積み下ろしや持ち歩きを支援するための支援具であって、作業者の胴周りに巻き付けられるベルトと、ベルトによって保持される台座とを備え、台座は、作業者の腹部左側又は腹部右側に設けられ、ベルトよりも外側に突出し、荷物が載置可能とされた載置面と、載置面よりも作業者の正面側に設けられ、載置面に荷物を持ち上げるときや載置面から荷物を下ろすときの荷物の昇降を補助する昇降補助機構とを備える構成とした。
本構成によれば、荷物の重さが、台座、ベルトを介して腰骨を含む下半身の骨格で支持されるので、作業者の体の一部に負担を強いることなく、長時間の作業でも疲労を軽減することができる。また、台座が作業者の腹部左側又は腹部右側に設けられることにより、荷物を作業者の左半身側又は右半身側に寄せて搬送することができ、前方の視界を確保しつつ荷物の積み下ろしや積み込み、搬送をすることができる。
また、台座が、昇降補助機構を備えることにより、荷物を持ち上げたり、持ち下ろしたりするときに必要とされる力を小さくすることができ、作業者がしゃがんだりすることなく、荷物を持ち上げたり、持ち下ろしたりすることができる。
また、支援具の他の構成として、昇降補助機構は、載置面に荷物を持ち上げるときや載置面から荷物を下ろすときに荷物と接触し、荷物の昇降方向に沿うように回転する回転体で構成された。
本構成によれば、作業者が荷物を持ち上げたり、持ち下ろしたりするときに、作業者の力とともに回転体が荷物の移動方向に回転しつつ荷物の重さを支えるので、荷物を持ち上げたり、持ち下ろしたりするときに必要とされる力を小さくし、作業者の負担を軽減することができる。
また、支援具の他の構成として、回転体は、モーターを備え、モーターの駆動により回転する構成とした。
本構成によれば、例えば、作業者が荷物を持ち上げるときに、回転体が積極的に荷物を持ち上げる方向に力を加えることができるので、荷物を持ち上げるときの作業者の負担を軽減することができる。
また、支援具の他の構成として、回転体は、表面に吸着性を有する構成とした。
本構成によれば、回転体が荷物に接触し、荷物の昇降にともなって回転するときに、荷物に対する滑りを防止できる。
また、支援具の他の構成として、昇降補助機構は、タイミングプーリーと、タイミングプーリーの回転を支持する軸と、タイミングプーリーに掛け渡されるタイミングベルトと、を備え、タイミングプーリーは、作業者の正面側に位置し、タイミングベルトが荷物の昇降方向に延長する昇降方向部と、昇降方向部の上部から載置面の方向に延長する載置面方向部とを有する構成とした。
本構成によれば、荷物をタイミングベルトに接触させた状態を維持しつつ、タイミングベルトの回転を利用して荷物を持ち上げたり、持ち下げたりすることにより、荷物を持ち上げたり、持ち下ろしたりするときに必要とされる力を小さくすることができる。
また、支援具の他の構成として、載置面方向部は、載置面よりも上方に位置する構成とした。
本構成によれば、昇降補助機構を利用して持ち上げた荷物を、載置面に移動させることができる。
また、支援具の他の構成として、昇降補助機構は、荷物の昇降に応じて、タイミングベルトを強制的に回転可能とされた構成とした。
本構成によれば、荷物を持ち上げるときに、タイミングベルトを荷物の持ち上げ方向に回転させることにより、荷物の持ち上げに必要とされる力を、より軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】支援具の装着図である。
図2】ベルトの平面図である。
図3】台座の斜視図及び平面図である。
図4】台座からタイミングベルトを除外した図である。
【0008】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[支援具の概略構成]
図1は、支援具の装着図である。図1に示すように、支援具1は、作業者Mの胴部に装着され、例えば、ベルト2と、台座8とを備えた構成とされる。
【0010】
図2は、ベルトの平面図である。
ベルト2は、作業者Mの胴部周りに巻き付け可能な周長を有する帯状のベルト本体4と、作業者Mの胴部周りを包み込むサポート部6とを備える。ここで言う胴部周りとは、身体における腹部及び腰部を意味する。ベルト本体4は、端部同士の連結を可能とするバックル42;42を両端に備える。ベルト本体4は、例えば、バックル42に設けられた調整機構により作業者Mの体形に応じて長さが調整可能とされる。
【0011】
サポート部6は、例えば、ベルト本体4の長さよりも短く設定された帯状体として構成される。サポート部6の長さは、例えば、少なくとも両腰骨に達する長さとすると良く、より好ましくは、作業者Mの腹部及び腰部の全体を包囲可能な長さとすると良い。
【0012】
サポート部6は、例えば、骨材をなす緩衝材6Aと、緩衝材6Aの表面を覆う被覆体6Bとを備えた構成とされる。
緩衝材6Aは、例えば、ベルト2を胴部に巻き付けたときに、作業者Mの胴部に対してクッション性を有するとともに、ガスが充填された20kgボンベ(以下、充填済みボンベという)の重さに対して剛性を有する素材とされる。また、好ましくは、緩衝材6Aを構成する素材は、上記性質に加え、復元性を有すると良い。このような素材には、例えば、硬質ウレタン等の利用が挙げられる。
なお、充填済みボンベの重さに対する剛性については、後述の支援具1の作用の説明において詳述する。
【0013】
被覆体6Bは、緩衝材6Aの表面を保護し、緩衝材6Aをベルト本体4との一体化を可能とする。被覆体6Bは、例えば、一面側にベルト本体4を保持するための複数のベルト通し62を備え、ベルト通し62にベルト本体4を挿入することでベルト本体4が緩衝材6Aと一体化される。
【0014】
ベルト2は、サポート部6がベルト本体4の外周側となるように作業者Mに装着される。なお、前述の説明では、ベルト2を作業者Mに巻き付けたときに、サポート部6がベルト本体4の外周側となるように装着するものとしたが、ベルト本体4がサポート部6の内周側となるように装着するようにしても良い。
【0015】
また、ベルト2は、サポート部6に設けたベルト通し62にベルト本体4を通すことにより、ベルト本体4とサポート部6とを一体的に構成したがこれに限定されない。例えば、ベルト本体4を緩衝材6Aで挟み込み、ベルト本体4の両端が露出するように緩衝材6Aを被覆体6Bで覆うことでベルト本体4と緩衝材6Aとを一体化するようにしても良い。
【0016】
図3は、台座8の外観斜視図である。
台座8は、作業者Mがボンベなどの荷物を載せて搬送するための部材であって、例えば、作業者Mの身体の腹部左側に設けられる。腹部左側とは、作業者Mが直立した状態の正中面(矢状面)が前側に広がる方向から左横腹の間を意味する。以下の説明では、正中面(矢状面)が前側に広がる方向を正面という。
【0017】
台座8は、例えば、金属等の剛性を有する素材により構成される。
台座8は、例えば、該台座8をベルト2に取り付けるための挟み板80及び基板部81と、搬送するボンベを載置するための載置部82と、ボンベを載置部82に持ち上げたり、載置部82からボンベを下ろすときの昇降を補助する昇降補助機構90とを備えた構成とされる。
【0018】
図3に示すように、挟み板80、基板部81及び載置部82は、例えば、それぞれ平板を素材として構成することができる。載置部82は、該載置部82を構成する板材が基板部81を構成する板材にT字状をなすように直交して結合される。
【0019】
台座8は、載置部82がベルト2(作業者M)から外側に突出するように、作業者Mの腹部周りに巻かれたベルト2を挟み板80と基板部81とで挟み、挟み板80と基板部81とをボルトなどの固定手段で一体化するように締め付けることでベルト2に固定される。
【0020】
載置部82は、台座8をベルト2に固定したときに、作業者Mの腹部左側の所定の位置に装着された状態において、正面側から左脇腹側に向けて身体に沿うように斜めに延長するように構成される。
【0021】
また、載置部82には、昇降補助機構90を取り付けられるための機構取付部83が連続して設けられている。
機構取付部83は、例えば、載置部82を構成する板材と一体に設けられ、前述のように、載置部82が作業者Mの腹部左側に位置するように台座8がベルト2に固定されたときに、載置部82よりも作業者Mの正面側に位置するように設けられる。
【0022】
機構取付部83は、作業者Mの正面側において作業者Mの体に沿うように延長する一対の板片83A;83Bにより形成される。一方の板片83Aは体側、他方の板片83Bは体(板片83A)から所定距離離れ、互いに平行に延長して設けられている。体から離れた板片83Bは、載置部82から延長する延長片83Cにより板片83Aとともに載置部82と一体的に形成されている。
【0023】
昇降補助機構90は、機構取付部83を構成する板片83A;83B;83Cで囲まれたコ字状の空間を利用して設けられる。
図3図4に示すように、本実施形態に係る昇降補助機構90は、一対のフレーム91;91と、複数のタイミングプーリー93A;93B;95A;95B;97A;97Bと、軸92;94;96と、タイミングベルト99A;99Bとにより構成されている。
【0024】
フレーム91;91は、同一の部材として構成される。フレーム91;91は、例えば、板材をL字状に成形して構成されている。
一方のフレーム91は、機構取付部83を構成する板片83Aに、他方のフレーム91は、機構取付部83を構成する板片83Bに設けられる。
【0025】
各フレーム91は、L字を成す頂部側を板片83A;83Bの先端側に向け、フレーム91を形成する一方の片部91Aが板片83A;83Bに沿って延長し、他方の片部91Bが下向きに延長するように板片83A;83Bに固定される。板片83A;83Bに固定されたフレーム91;91は、互いに対向し、平行な位置関係とされる。
【0026】
機構取付部83に取り付けられたフレーム91;91には、フレーム91;91間を架橋するように、複数の軸92;94;96が貫通して設けられる。各軸92;94;96は、フレーム91;91に対して回転自在となるようにフレーム91;91により支持される。
なお、本実施形態では、軸96は、ベアリング98を介してフレーム91;91に支持される。ベアリング98は、例えば、フレーム91の片部91Bの延長方向に変位可能に取り付けられ、タイミングベルト99A;99Bの張力の調整を可能とされている。
【0027】
図3,4に示すように、軸92は、板片83A;83Bに固定された片部91Aの先端側に設けられ、軸94は、フレーム91;91の頂部側に設けられ、軸96は、下向きに延長する片部91Bの先端側に設けられている。フレーム91;91に設けられた軸92;94;96は、互いに平行である。
【0028】
軸92のフレーム91;91間にはタイミングプーリー93A;93Bが並列に固定され、軸94のフレーム91;91間にはタイミングプーリー95A;95Bが並列に固定され、軸96のフレーム91;91間にはタイミングプーリー97A;97Bが並列に固定される。
【0029】
本実施形態では、説明の便宜上、タイミングプーリー93A;93B;95A;95B;97A;97Bは、同一のものとして説明する。ここで言う同一とは、タイミングベルト99A;99Bが掛けられる外径及び歯数が同じであることを言う。
【0030】
タイミングプーリー93A;95A;97Aには、タイミングベルト99Aが掛け渡され、タイミングプーリー93B;95B;97Bには、タイミングベルト99Bが掛け渡される
【0031】
本実施形態では、タイミングプーリー93A;95A;97Aに掛け渡されたタイミングベルト99A、及びタイミングプーリー93B;95B;97Bに掛け渡されたタイミングベルト99Bは、平行に延長するように構成されている。
【0032】
タイミングプーリー93A;95A;97Aに掛け渡されたタイミングベルト99Aは、タイミングプーリー93Aからタイミングプーリー95Aを経てタイミングプーリー97Aの区間においてフレーム91;91の外側に露出するように、タイミングプーリー93A;95A;97Aの外形寸法や、軸92;94;96の位置が設定されている。
【0033】
また、台座8が立位の姿勢の作業者Mに装着されたときに、例えば、タイミングベルト99Aは、タイミングプーリー97A;95Aの区間において昇降方向に延長するようにタイミングプーリー97A;95Aを設けると良い。また、例えば、タイミングプーリー97A側がタイミングプーリー95A側よりも作業者Mの正中面側に位置するように軸96;94の位置関係となるようにしても良い。以下の説明では、タイミングベルト99Aのタイミングプーリー97A;95Aに掛け渡される区間を昇降方向部99nという。
【0034】
また、タイミングベルト99Aは、タイミングプーリー95A;93Aの区間において載置面82aよりも上方、かつ載置面82aと平行に延長するように、フレーム91;91における軸96;94の位置を設定すると良い。以下の説明では、タイミングベルト99Aのタイミングプーリー95A;93Aに掛け渡される区間を載置面方向部99mという。
【0035】
なお、タイミングプーリー93B;95B;97B、及びタイミングベルト99Bは、
タイミングプーリー93A;95A;97A、及びタイミングベルト99Aと並列に設けられているので、前述のタイミングプーリー93A;95A;97A、及びタイミングベルト99Aと同様の関係にある。
【0036】
載置部82は、作業者Mが立位の状態において上を向く面(上面)がボンベを載置し、トラックへの積み込みやトラックからの荷下ろし、設置場所まで搬送するための載置面82aとして機能する。本実施形態では、載置部82の上面全体を載置面82aとして説明するが、載置部82の一部を載置面として構成しても良い。
また、載置部82が作業者Mから外側に突出する突出量や身体に沿って延長する長さ、形状については、搬送物に応じて適宜設定すれば良い。
【0037】
[支援具の装着]
支援具1は、ベルト2を作業者Mの胴部(腰骨の上方に緩衝材6Aがしっかりと密着するように)巻き付けられると良い。台座8は、例えば、作業者Mの胴部に巻き付けられたベルト2を挟み板80と基板部81とで挟み込むことでベルト2により保持される。作業者Mに対する台座8の位置は、例えば、正面よりも左寄りの左脇腹近傍とされる。
【0038】
[支援具の作用]
以下、支援具1の作用として、充填済みのボンベをトラックの荷台から下ろし、設置場所まで搬送した後に、使用済みのボンベをトラックの荷台に積み込む作業を用いて説明する。なお、以下の説明では、荷下ろしや荷積みの対象の一例として20kgボンベとして説明する。また、ボンベは、荷下ろし易いようにあらかじめ荷台の縁部近傍まで移動されているものとする。
【0039】
[荷台からの荷下ろし]
まず、作業者Mは、左手でボンベの上端部を掴み、ボンベの上側を向こう側に押してボンベを傾け、荷台から離れた底部を右手で掴む。ここでいう向こう側とは、作業者Mから遠い側を意味する。
【0040】
次に、作業者Mは、ボンベを傾斜させた状態を維持しつつ手前側に引き寄せるようにして、ボンベの底部の一部を台座8の載置面82aに載せ、例えば、左半身と左腕で抱え込む位置まで、載置面82aを滑らすようにして移動させる。
そして、台座8の載置部82及び左右の手でボンベを支えながらボンベを体の左側に抱える。この状態を維持しながらボンベの設置場所まで歩いて搬送することができる。このとき、ボンベの重さは、台座8からベルト2を介して腰骨から下半身の骨格で受け止めることになり、設置場所まで容易に搬送することができる。
【0041】
また、設置場所に到着後、充填済みのボンベを地面に下ろす際には、載置面82a上を昇降補助機構90側に滑らせつつ、ボンベの下側を支える右手でボンベを持ち上げてボンベの底部の一部をタイミングベルト99A;99B上に載せる。
そして、ボンベを両手で支えつつタイミングベルト99A;99Bに一部が載せられたボンベをさらに正中面側へと移動させ、ボンベを完全にタイミングベルト99A;99B上に載せる。このとき、タイミングベルト99A;99Bが回転することで、ボンベを正面側に移動させることができるので、ボンベの全体をタイミングベルト99A;99B上に容易に載せることができる。
次に、ボンベの下側を右手で支えつつさらにボンベを正中面側へと移動させることで、ボンベの底部がタイミングベルト99A;99Bの載置面方向部99mから離れ、ボンベの側面(外周面)がタイミングベルト99A;99Bの頂部に接触する。そして、ボンベの側面がタイミングベルト99A;99Bの頂部から昇降方向部99nに接触した状態を維持するようにバランスを取りながら徐々にボンベを支える力を弱めることでボンベを地面に下ろすことができる。
ボンベの側面がタイミングベルト99A;99Bの頂部から昇降方向部99nに接触した状態を維持するようにボンベを下ろす際、ボンベには、タイミングベルト99A;99Bが回転するときのバックトルクが作用するので、ボンベを支える力を小さくすることができる。
【0042】
また、充填済みのボンベを設置後、使用済みのボンベを搬送する場合には、ボンベのプロテクターに設けられた持ち手を左手、若しくは両手で掴み、タイミングベルト99A;99Bの頂部や昇降方向部99nにボンベの側面の一部を接触させながら、右手がボンベのスカートに設けられた持ち手に達する高さまで持ち上げる。そして、右手がボンベのスカートに設けられた持ち手に達する高さまでボンベを持ち上げたら、左手でボンベのプロテクター、右手でボンベのスカートを掴み、スカートがタイミングベルト99A;99Bに達するまで、さらにボンベを持ち上げる。このときボンベの側面の一部が、タイミングベルト99A;99Bの頂部や昇降方向部99nのいずれかに接触した状態を維持することにより、タイミングベルト99A;99Bが回転するときのバックトルクが作用し、ボンベを持ち上げる力を小さくすることができる。なお、ここで言うバックトルクとは、持ち上げようとする力に逆らうように重力によってボンベが落ちようとする力によってタイミングベルト99A;99Bが回転しようとしたときに抵抗となる力を意味する。
【0043】
以上説明したように、支援具1によれば、ボンベの重さが、台座8、サポート部6を介して腰骨を含む下半身の骨格で支持されるので、作業者Mの体の一部に負担を強いることなく、長時間の作業でも疲労を軽減することができる。また、台座8を作業者の左脇に位置するようにベルト2によって保持することにより、ボンベを作業者の左半身側に寄せて搬送することになり、前方の視界を確保しつつボンベを搬送することができる。
【0044】
また、台座8が、昇降補助機構90を備えることにより、ボンベを載置面82aに持ち上げるときや、載置面82aからボンベを持ち下ろすときに、タイミングベルト99A;99Bにボンベを接触させた状態でボンベを持ち上げたり、持ち下ろしたりすることにより、タイミングベルト99A;99Bが回転するときに生じるバックトルクによってボンベを持ち上げたり、持ち下ろしたりするときに必要とされる力を小さくすることができ、作業者Mがしゃがんだりすることなく、ボンベを持ち上げたり、持ち下ろしたりすることができる。
【0045】
また、タイミングベルト99A;99Bは、ゴムを素材として形成されるため、ボンベが接触した時の接触面積や、摩擦が大きいので、前述のようなボンベの持ち上げや、持ち下ろしに好適である。
【0046】
なお、本実施形態では、2本のタイミングベルト99A;99Bを用いた構成としたが、1本であっても良く、その数量は適宜変更すると良い。
【0047】
また、上記実施形態では、昇降補助機構90を構成するタイミングベルト99A;99Bは、接触したボンベとの摩擦により回転するものとしたが、例えば、タイミングプーリーが取り付けられる軸92や軸94或いは軸96をモーターなどにより強制的に回転させてタイミングベルト99A;99Bを回転させるようにすると良い。
特に、ボンベを持ち上げるときに、ボンベを持ち上げる方向にタイミングベルト99A;99Bを強制的に回転させることにより、ボンベを持ち上げる力をより軽減することができる。
【0048】
なお、台座8の載置部82は、載置面82aが搬送時などにボンベがずれにくいように滑り止め加工等を備えた構成とすると良い。ここで言う滑り止め加工とは、図4を用いて説明したボンベの荷下ろし時や積み込み時の作業時に、載置面82a上においてボンベの滑りを許容する程度の例えば、凹凸とすると良く、例えば、縞鋼板に形成されるような凹凸などが挙げられる。
【0049】
なお、本実施形態では、左半身側でボンベを抱え、搬送するものとして台座8を腹部左側用として構成したが、右半身側でボンベを抱えるように台座8を腹部右側用として構成しても良い。
【0050】
なお、昇降補助機構90は、前述のクローラーベルトやタイミングベルトなどで構成されるクローラー装置に限定されず、載置面82aに荷物を持ち上げるときや前記載置面から荷物を下ろすときに荷物と接触し、荷物の昇降方向に沿うように回転する回転体であっても良い。回転体とは、前述のクローラーベルトやベルト、ローラーなどその形態は問わず、荷物の昇降にともなって回転できるものであれば良い。
また、回転体は、例えば、モーターの駆動により回転すると良い。なお、モーターは、回転体に内蔵されていても良く、回転体の外部に設けても良い。
また、回転体は、表面に吸着性を有する構成とすると良い。吸着性は、例えば、磁石,粘着テープなどの吸着要素を用いても良い。
【0051】
なお、本実施形態に係る支援具1は、ボンベの積み下ろしや搬送に限定されず、容器に収容された他の荷物でも良く、荷物に応じて載置部82の形状を設定すると良い。
【符号の説明】
【0052】
1 支援具、2 ベルト、8 台座、82 載置部、82a 載置面、
83 機構取付部、90 昇降補助機構、
91 フレーム、92;94;96 軸、
93A;93B;95A;95B;97A;97B タイミングプーリー、
99A;99B タイミングベルト、M 作業者。
図1
図2
図3
図4