(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005275
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】車両用フロアパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 22/26 20060101AFI20250108BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
B21D22/26 D
B62D25/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105416
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 健治
(72)【発明者】
【氏名】川居 宥斗
(72)【発明者】
【氏名】原田 將義
【テーマコード(参考)】
3D203
4E137
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB04
3D203CA62
3D203CA73
4E137AA01
4E137AA18
4E137BB01
4E137CA03
4E137CA09
4E137EA01
4E137GA01
4E137GA15
4E137GB02
(57)【要約】
【課題】ブランク材のプレス加工によって車両用フロアパネルにパネル搬送用の吸着座面を平坦化して設けることができ且つ材料歩留まりを向上させることができる、車両用フロアパネルの製造方法を提供する。
【解決手段】車両用フロアパネル10の製造方法は、製品形状部位のみからなるブランク材1を車両用フロアパネル10に成形するものである。この製造方法では、車両用フロアパネル10に、パネル補強用の溝形状のビードと、吸着座面13が立設壁14で囲まれてなるパネル搬送用の吸着部12と、を互いに近接させて配置するように、ブランク材1をプレス加工する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品形状部位のみからなるブランク材を車両用フロアパネルに成形する、車両用フロアパネルの製造方法であって、
前記車両用フロアパネルに、パネル補強用の溝形状のビードと、吸着座面が立設壁で囲まれてなるパネル搬送用の吸着部と、を互いに近接させて配置するように、前記ブランク材をプレス加工する、車両用フロアパネルの製造方法。
【請求項2】
前記ビードを前記吸着部に繋げるように前記ブランク材をプレス加工する、請求項1に記載の、車両用フロアパネルの製造方法。
【請求項3】
前記車両用フロアパネルは、車幅方向の左右両側を車長方向に延びるサイドメンバー溶接領域と、左右両側の前記サイドメンバー溶接領域の間を前記車幅方向に延びるクロスメンバー溶接領域と、を有し、
前記サイドメンバー溶接領域のうち前記クロスメンバー溶接領域との交差領域に前記吸着部を設けるように前記ブランク材をプレス加工する、請求項1または2に記載の、車両用フロアパネルの製造方法。
【請求項4】
前記サイドメンバー溶接領域のうち前記吸着部の前記車長方向の両側に前記ビードを設けるように前記ブランク材をプレス加工する、請求項3に記載の、車両用フロアパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用フロアパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、自動車のフロア構造が開示されている。このフロア構造を構成するフロアパネルは、平面部と該平面から下方に膨出した曲面部とを有するものであり、金属製のブランク材のプレス加工によって成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のフロアパネルを搬送するとき、バキュームカップをフロアパネルの吸着面に押し当てて吸着保持する作業を行うことがある。フロアパネルの吸着面を凸面すると、吸着面が作業者の足で踏まれて凹んだ後に元の形状に復帰するときに異音が発生するという問題が生じ得る。このような問題をフロアパネルの板厚を増やすことなく解消するためには、フロアパネルに平坦化された吸着座面を設けるのが有効である。
【0005】
そこで、フロアパネルの成形にあわせて平坦な吸着座面を形成するように金型を準備して、ブランク材をプレス加工することができる。ところが、プレス加工ではブランク材が塑性変形するときの肉余りが原因で、吸着座面のまわりにしわが発生することが起こり得る。このため、フロアパネルに最終的に形成される吸着座面を所望の形状に平坦化するのが難しい。
【0006】
ブランク材に、製品形状部位よりも外側に張り出した部分であるつかみ代を設けて、このつかみ代を外側に引っ張りつつプレス加工を行う工法を採用すれば、吸着座面とその周辺部との間で生じる断面線長差を解消することで吸着座面まわりに肉余りが発生するのを防ぐことが可能になる。したがって、吸着座面のまわりにしわが発生するのを抑制できる。しかしながら、ブランク材につかみ代を設けると、つかみ代の分の余分な材料が必要になるため、材料歩留まりが低下する。そこで、材料歩留まりの向上を図るためには、ブランク材に上記つかみ代を設けることなくプレス加工を行う工法を採用するのが好ましいが、この場合には上記断面線長差を解消することができず、フロアパネルに設ける吸着座面を平坦化するのが難しくなる。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ブランク材のプレス加工によって車両用フロアパネルにパネル搬送用の吸着座面を平坦化して設けることができ且つ材料歩留まりを向上させることができる、車両用フロアパネルの製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
製品形状部位のみからなるブランク材を車両用フロアパネルに成形する、車両用フロアパネルの製造方法であって、
前記車両用フロアパネルに、パネル補強用の溝形状のビードと、吸着座面が立設壁で囲まれてなるパネル搬送用の吸着部と、を互いに近接させて配置するように、前記ブランク材をプレス加工する、車両用フロアパネルの製造方法、
にある。
【発明の効果】
【0009】
上述の態様の製造方法によれば、製品形状部位のみからなるブランク材がプレス加工によって車両用フロアパネルに成形される。この場合、ブランク材自体が車両用フロアパネルの最終製品になる。したがって、従来のブランク材のつかみ代のような余分な材料が不要になり、これにより材料歩留まりが低下するのを防ぐことができる。
【0010】
また、上述の態様の製造方法によれば、ブランク材のプレス加工によって、パネル補強用のビードとパネル搬送用の吸着部とが車両用フロアパネルに互いに近接して設けられる。ビードと吸着部を互いに近接させるように成形すれば、ブランク材がプレス加工時に塑性変形するときにビード側から吸着部の吸着座面側に肉余り部分が侵入するのを、吸着部の立設壁によって抑制することができ、これによりブランク材のプレス加工時に生じる肉余りを吸着部の周辺に分散化できる。その結果、製品形状部位のみからなるブランク材をプレス加工する工法を採用した場合であっても、吸着部の吸着座面が肉余りによって最終的に平坦化できなくなるのを抑制できる。
【0011】
吸着部の吸着座面を平坦化することによって、吸着座面が作業者の足で踏まれても凹みにくくなり、このときの吸着座面の形状変化に伴う異音の発生を防ぐことが可能になる。また、吸着部の吸着座面を平坦化できれば、バキュームカップによる吸着座面の吸着保持性能を高めることができ、車両用フロアパネルの搬送作業の円滑化を図ることが可能になる。
【0012】
以上のごとく、上述の態様によれば、ブランク材のプレス加工によって車両用フロアパネルにパネル搬送用の吸着座面を平坦化して設けることができ且つ材料歩留まりを向上させることができる、車両用フロアパネルの製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態1にかかる車両ボディーの後部を斜め上方後側からみた斜視図。
【
図2】実施形態1の車両用フロアパネルを上方からみた概略平面図。
【
図3】ブランク材のプレス加工時の様子を模式的に示す断面図。
【
図4】
図1中の車両用フロアパネルのA領域を斜め上方前側からみた斜視図。
【
図9】実施形態2の車両用フロアパネルの
図4に対応した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0015】
上述の態様の、車両用フロアパネルの製造方法において、前記ビードを前記吸着部に繋げるように前記ブランク材をプレス加工するのが好ましい。
【0016】
この製造方法によれば、吸着部に繋がるビードの溝形状を適宜に設定することによって、吸着部の吸着座面とその周辺部との間に断面線長差が残るのを抑制することができる。これにより、ブランク材のプレス加工時の肉余りの発生自体を抑えることができ、車両用フロアパネルに最終的に形成される吸着座面の平坦度合いを高めることができる。
【0017】
上述の態様の、車両用フロアパネルの製造方法において、前記車両用フロアパネルは、車幅方向の左右両側を車長方向に延びるサイドメンバー溶接領域と、左右両側の前記サイドメンバー溶接領域の間を前記車幅方向に延びるクロスメンバー溶接領域と、を有し、前記サイドメンバー溶接領域のうち前記クロスメンバー溶接領域との交差領域に前記吸着部を設けるように前記ブランク材をプレス加工するのが好ましい。
【0018】
この製造方法によれば、車両用フロアパネルのサイドメンバー溶接領域のうちクロスメンバー溶接領域との交差領域に吸着部を設けることができる。
【0019】
上述の態様の、車両用フロアパネルの製造方法において、前記サイドメンバー溶接領域のうち前記吸着部の前記車長方向の両側に前記ビードを設けるように前記ブランク材をプレス加工するのが好ましい。
【0020】
この製造方法によれば、車両用フロアパネルのサイドメンバー溶接領域のうちクロスメンバー溶接領域との交差領域に吸着部を設け、且つ、車長方向についてこの吸着部の両側にビードを設けることができる。
【0021】
以下、上述の態様の、車両用フロアパネルの製造方法の具体的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
なお、本明細書及び図面では、特に断わらない限り、車幅方向をX軸方向とし、車長方向をY軸方向とし、車高方向をZ軸方向としている。
【0023】
(実施形態1)
1.車両用フロアパネル10の構造
図1に示されるように、実施形態1にかかる車両用フロアパネル(以下、単に「フロアパネル」という。)10は、車両ボディーBの後席側フロアパネルに相当する。フロアパネル10には、パネル補強用の複数のビード11と、複数の吸着部12と、が設けられている。吸着部12は、フロアパネル10の搬送時にバキュームカップ(図示省略)を押し当てて吸着保持するのに使用される。
【0024】
図2に示されるように、フロアパネル10は、サイドメンバー溶接領域10aとクロスメンバー溶接領域10bを有する。サイドメンバー溶接領域10aは、車幅方向Xの左右両側を車長方向Yに延びる領域である。このサイドメンバー溶接領域10aにサイドメンバー21が溶接される。クロスメンバー溶接領域10bは、左右両側のサイドメンバー溶接領域10aの間を車幅方向Xに延びる領域である。このクロスメンバー溶接領域10bにクロスメンバー22が溶接される。
【0025】
本形態では、ブランク材1(
図3を参照)のプレス加工によって、フロアパネル10のサイドメンバー溶接領域10aのうちクロスメンバー溶接領域10bとの交差領域10cに吸着部12が設けられている。また、サイドメンバー溶接領域10aのうち吸着部12の車長方向Yの両側にビード11が設けられている(
図1及び
図2を参照)。ビード11は、車長方向Yに延びる溝形状をなしている。クロスメンバー溶接領域10bには、複数の凹部及び凸部を適宜に組み合わせてなる補強部18が設けられている。
【0026】
図3に示されるように、本形態の製造方法では、下側の金型D1と上側の金型D2を有するプレス加工機で金属製の板状部材であるブランク材1をプレス加工する。なお、
図3では、便宜上、フロアパネル10の形状を模式的に示している。金型D1,D2は、フロアパネル10の最終形状に応じて予め準備される。ブランク材1を金型D1で下側から支持した状態で、ブランク材1の上方から金型D2を下降させる。これにより、ブランク材1がフロアパネル10に成形される。この製造方法によれば、フロアパネル10のサイドメンバー溶接領域10aのうちクロスメンバー溶接領域10bとの交差領域10cに吸着部を設け、且つ、車長方向Yについてこの吸着部12の両側にビード11を設けることができる。
【0027】
本形態の製造方法では、最終的にフロアパネル10となる製品形状部位のみからなるブランク材1をプレス加工する工法を採用している。すなわち、ブランク材1には、製品形状部位よりも車幅方向Xの両側に張り出したつかみ代2(
図3中の二点鎖線で示される)が設けられていない。このような工法は「製品内プロファイル工法」とも称される。
【0028】
上記工法を採用することにより、ブランク材1のプレス加工後に、つかみ代2に相当する部位を除去する必要がなく、つかみ代2の分の余分な材料が不要になる。一方で、上記工法を採用すると、つかみ代を外側に引っ張りつつプレス加工を行う工法に比べて、パネル搬送用の吸着部12とその周辺部との間に断面線長差が残り易くなる。この場合には、肉余りが原因で、吸着部12のまわりにしわが発生することが起こり得る。そこで、本形態では、上記工法を採用した場合でも、吸着部12のまわりにしわが発生するのを抑制できる技術を構築している。
【0029】
ここで、
図1中のフロアパネル10のA領域を拡大して示す
図4と、
図4に関連する
図5を参照しながら、ビード11と吸着部12のそれぞれの構造について説明する。
【0030】
2.吸着部12の構造
図4及び
図5に示されるように、吸着部12は、吸着座面13及び立設壁14を有し、全体としては、フロアパネル10の基準面10dよりも車高方向Zの上方へ突出するように設けられている。吸着座面13は、吸着部12を車高方向Zの上方からみた平面視が略円形である。吸着座面13の大きさは、パネル搬送時に使用するバキュームカップのカップ径を上回るように寸法設定されている。また、吸着座面13の中央部には、プレス加工時の形状変化を抑制するための凹部13aが設けられている。凹部13aは必要に応じて省略しても良い。立設壁14は、吸着座面13を周りの囲むように基準面10dから立設している。
【0031】
3.ビード11の構造
図4及び
図5に示されるように、ビード11は、フロアパネル10の基準面10dよりも下方に凹んだ溝形状をなしている。このビード11は、下底面11aと、下底面11aよりも高所に位置する上底面11bと、を有する二段溝になっている。本形態では、フロアパネル10にビード11と吸着部12が互いに近接して配置されており、特に、フロアパネル10にビード11が吸着部12に繋がるように配置されている。すなわち、ビード11は、車幅方向Xの両側に上底面11bよりも上方に位置する側壁面11cを有し、この側壁面11cが吸着部12の立設壁14まで延びて突き当たるように成形されている。これにより、ビード11が吸着部12に繋がる形状が実現される。
【0032】
ビード11が吸着部12に繋がる形状を採用すれば、吸着部12とその周辺部との間での車幅方向Xの断面線長差を解消することができる。例えば、
図4において、吸着部12を含む第1領域15と、第1領域15よりも車長方向Yの前方に位置する第2領域16及び第3領域17を想定する。3つの領域15,16,17は、車幅方向Xに互いに平行に延びる領域であり、且つ、車幅方向Xの平面視寸法が同一の領域である。
【0033】
本形態では、第1領域15の断面線長L1(
図6を参照)を、第2領域16の断面線長L2(
図7を参照)、および第3領域17の断面線長L3(
図8を参照)のそれぞれと概ね一致させるように、ビード11の溝形状を設定している。すなわち、吸着部12に繋がるビード11の溝形状を適宜に設定すれば、吸着部12の吸着座面13とその周辺部との間に断面線長差が残るのを抑制することができる。これにより、ブランク材1のプレス加工時の肉余りの発生自体を抑えることができ、その結果、フロアパネル10に最終的に形成される吸着座面13の平坦度合いを高めることができる。
【0034】
4.作用効果
上述の実施形態1により、以下のような作用効果が得られる。
【0035】
実施形態1の製造方法によれば、製品形状部位のみからなるブランク材1がプレス加工によってフロアパネル10に成形される。この場合、ブランク材1自体がフロアパネル10の最終製品になる。したがって、従来のブランク材のつかみ代2のような余分な材料が不要になり、これにより材料歩留まりが低下するのを防ぐことができる。
【0036】
また、実施形態1の製造方法によれば、ブランク材1のプレス加工によって、パネル補強用のビード11とパネル搬送用の吸着部12とがフロアパネル10に互いに近接して設けられる。ビード11と吸着部12を互いに近接させるように成形すれば、ブランク材1がプレス加工時に塑性変形するときにビード11側から吸着部12の吸着座面13側に肉余り部分が侵入するのを、吸着部12の立設壁14によって抑制することができ、これによりブランク材1のプレス加工時に生じる肉余りを吸着部12の周辺に分散化できる。その結果、製品形状部位のみからなるブランク材1をプレス加工する工法を採用した場合であっても、吸着部12の吸着座面13が肉余りによって最終的に平坦化できなくなるのを抑制できる。
【0037】
吸着部12の吸着座面13を平坦化することによって、吸着座面13が作業者の足で踏まれても凹みにくくなり、このときの吸着座面13の形状変化に伴う異音の発生を防ぐことが可能になる。また、吸着部12の吸着座面13を平坦化できれば、バキュームカップによる吸着座面13の吸着保持性能を高めることができ、フロアパネル10の搬送作業の円滑化を図ることが可能になる。なお、ここでいう「平坦化」とは、吸着座面13を完全な平らな面とすることは勿論、吸着座面13を微小な凹凸を含む面とすることをも含む主旨である。
【0038】
したがって、実施形態1の製造方法によれば、製品内プロファイル工法を採用した場合でも、ブランク材1のプレス加工によってフロアパネル10にパネル搬送用の吸着座面13を平坦化して設けることができ且つ材料歩留まりを向上させることができる。
【0039】
(実施形態2)
図9及び
図10に示されるように、実施形態2にかかるフロアパネル10Aは、実施形態1にかかるフロアパネル10と同様に、車両ボディーBの後席側フロアパネルに相当する。このフロアパネル10Aは、ビード11と吸着部12が互いに近接して配置されている点でフロアパネル10と一致しているが、ビード11が吸着部12に繋がるように配置されていない点でフロアパネル10と相違している。すなわち、フロアパネル10Aのビード11は、車幅方向Xの両側に上底面11bよりも上方に位置する側壁面11c(
図5を参照)を有していない。その他は、フロアパネル10と同様である。実施形態2では、実施形態1と同様の製造方法を使用し、ブランク材1をプレス加工によってフロアパネル10Aに成形する。
【0040】
実施形態2の製造方法によれば、製品内プロファイル工法を採用した場合でも、ブランク材1のプレス加工時に生じる肉余りを吸着部12の周辺に分散化できる。これにより、ブランク材1のプレス加工によってフロアパネル10Aにパネル搬送用の吸着座面13を平坦化して設けることができ且つ材料歩留まりを向上させることができる。
【0041】
その他、実施形態1の場合と同様の作用効果を奏する。
【0042】
5.変更例
本発明は、上述の典型的な形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変更が考えられる。例えば、上述の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0043】
上述の形態では、フロアパネル10,10Aのサイドメンバー溶接領域10aのうちクロスメンバー溶接領域10bとの交差領域10cに吸着部12を設ける場合について例示したが、これに代えて、フロアパネル10,10Aのうちの交差領域10cとは別の部位に吸着部12を設けるようにしても良い。
【0044】
上述の形態では、フロアパネル10,10Aの吸着部12の車長方向Yの両側にビード11を設ける場合について例示したが、これに代えて、吸着部12の車長方向Yの片側のみにビード11を設けるようにしても良い。
【0045】
上述の形態では、車両ボディーBの後席側フロアパネルを製造する製造方法について例示したが、この製造方法を、必要に応じて、後席側フロアパネル以外のフロアパネルの製造方法に適用することもできる。
【符号の説明】
【0046】
1…ブランク材、 10,10A…車両用フロアパネル、 10a…サイドメンバー溶接領域、 10b…クロスメンバー溶接領域、 10c…交差領域、 11…ビード、 12…吸着部、 13…吸着座面、 14…立設壁、 X…車幅方向、 Y…車長方向