(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005286
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】携帯用トイレ
(51)【国際特許分類】
A61F 5/44 20060101AFI20250108BHJP
A47K 11/06 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
A61F5/44 D
A47K11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105434
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】501114501
【氏名又は名称】エスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092923
【弁理士】
【氏名又は名称】石垣 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187757
【弁理士】
【氏名又は名称】石垣 春樹
(72)【発明者】
【氏名】長倉 英治
【テーマコード(参考)】
2D036
4C098
【Fターム(参考)】
2D036HA11
2D036HA21
2D036HA26
2D036HA41
4C098AA09
4C098CC22
4C098CC23
4C098CC24
4C098CE15
(57)【要約】
【課題】比較的優れた衛生状態と快適さとをもって使用できる携帯用トイレを提供すること。
【解決手段】携帯用トイレは、通気性と通水性のいずれも持たない層を備えた外袋10と、内袋のなかと内袋のそととの間での通水性および通気性を有した内袋20と、使用者が装着時に使用者の足を通す前記外袋に接続された第一、第二開口11と、使用者が装着中のズレ落ちを抑止する装着安定手段兼、外袋からそとへの漏れ出しを抑止する密封手段としての紐30と、を備え、前記外袋と前記内袋とが、外袋の開口部近傍と内袋の開口部近傍とで接合されていることにより二重袋状態となっていて、内袋のそとであり外袋のなかである空間に衛生処理上の機能素材60を設置できる部分を生じるように構成された。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性と通水性のいずれも持たない層を備えた外袋と、
内袋のなかと内袋のそととの間での通水性および通気性を有した内袋と、
使用者が装着時に片方の足を通す前記外袋に接続された第一開口と、
使用者のもう一方の足を通す前記外袋に接続された第二開口と、
使用者が装着中のズレ落ちを抑止する装着安定手段と、
外袋からそとへの漏れ出しを抑止する密封手段と、
を備えた携帯用トイレであって、
前記外袋と前記内袋とが、外袋の開口部近傍と内袋の開口部近傍とで接合されていることにより二重袋状態となっていて、内袋のそとであり外袋のなかである空間に衛生処理上の機能素材を設置できる部分を生じるように構成されたことを特徴とする携帯用トイレ。
【請求項2】
前記使用者が装着中のズレ落ちを抑止する装着安定手段は紐であり、
該紐は前記外袋からそとへの漏れ出しを抑止する密封手段としても機能することを特徴とする請求項1に記載の携帯用トイレ。
【請求項3】
前記内袋には逆流防止手段としての接着部が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として災害時などの緊急時に便利な携帯用トイレに関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は過去、特許文献1に係る「衛生処理収納袋」を開発した。現在に到るまでこれを実施し、使用済みオムツ等の衛生的な配慮有る取り扱いが望ましいものを処理、収納するものとして提供している。この技術を携帯用トイレに応用、改良できないかということを出願人は検討してきた。
【0003】
この点、市場においては各種の携帯用トイレが提供されている。例えば特許文献2に係る「完全密封型トイレ用汚物処理袋」は、内側に不織布を使用、外側にポリプロピレン生地を使用、不織布とポリプロピレンシートを張り合わせ、内部に吸水性ポリマーを主成分とした消臭・殺菌剤入り凝固薬剤を封入した汚物処理シートを使用、中心部分を折り曲げホームベース型袋状に圧着加工を行ったトイレ用汚物処理袋を、外側に取って付き脱着袋を装着、ポリプロピレン成分、完全ニオイ遮断シートを袋状に加工、袋上部にポリプロピレンひもを取り付け縛ることにより水分、空気を完全に遮断することの可能な完全密封袋を用いたトイレ用外側汚物処理袋の口を縛ることにより完全密封化が実現。先端形状の工夫及び汚物を密封化することにより特殊場面での汚物移動、汚物処理を容易にしかつ、1回ごとの使用取替えが可能であることを特徴とするものであり、これによれば用を足した後の処理において、衛生面、移動面、処理面にて有効かつ利便効果を得ることのできる完全密閉型トイレ用汚物処理袋の提供がなされるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-178373
【特許文献2】特開2007-244637
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来から存する携帯用トイレは、使用の快適さ・衛生度合いにおいて更なる改良が可能なものであった。特に、携帯性高さと低コストとを維持、追及しながらも、水分等への適切な処理を効率よく行い、また、使用者及び周囲において不衛生を生じにくくすることが可能な携帯用トイレの提供が求められていた。
そこで、発明が解決しようとする課題は、比較的優れた衛生状態と快適さとをもって使用できる携帯用トイレを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、請求項1による携帯用トイレは、通気性と通水性のいずれも持たない層を備えた外袋と、内袋のなかと内袋のそととの間での通水性および通気性を有した内袋と、使用者が装着時に片方の足を通す前記外袋に接続された第一開口と、使用者のもう一方の足を通す前記外袋に接続された第二開口と、使用者が装着中のズレ落ちを抑止する装着安定手段と、外袋からそとへの漏れ出しを抑止する密封手段と、を備えた携帯用トイレであって、前記外袋と前記内袋とが、外袋の開口部近傍と内袋の開口部近傍とで接合されていることにより二重袋状態となっていて、内袋のそとであり外袋のなかである空間に衛生処理上の機能素材を設置できる部分を生じるように構成されたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2による携帯用トイレは、請求項1による携帯用トイレであって、前記使用者が装着中のズレ落ちを抑止する装着安定手段は紐であり、該紐は前記外袋からそとへの漏れ出しを抑止する密封手段としても機能することを特徴とするものである。
請求項3による携帯用トイレは、請求項1または2による携帯用トイレであって、前記内袋には逆流防止手段としての接着部が設けられたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
発明の効果は、比較的優れた衛生状態と快適さとをもって使用できる携帯用トイレを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例の携帯用トイレにつき、外袋のなかの構造を含んで示した正面図である。
【
図2】実施例の携帯用トイレにつき、使用状態を示した正面図である。
【
図3】実施例の携帯用トイレにつき、使用状態を示した左側面図である。
【
図4】実施例の携帯用トイレにつき、密封後の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1は実施例の携帯用トイレにつき、外袋のなかの構造を含んで示した正面図である。
外袋10は一層であり、その素材をポリエチレンとしたことで、通気性と通水性のいずれも持たない層を備えた外袋となっている。また、これにより比較的音や傷の発生しにくさ等の面でも有利な外袋となっている。色は汚れを目立たせないという効果を狙い黒色とした。図中の上が外袋の開口となっており、特に立体形状をとっていない一般的な袋である。なお、「上」などというときの上下方向は、装着者から見た際の方向をいうものとし、前後方向や左右方向に関しても同様に装着者から見た際の方向をいうものとする。すなわち、直立している装着者における頭の方向を上方向、足の方向を下方向、胸側を前方向、背中側を後方向、右手側を右方向、左手側を左方向とする。
【0011】
外袋上の左上と右上にはそれぞれ足を通す開口11が設けられており、この実施例では特に携帯用トイレの裏表の区別はつけていないので、任意の一方の開口を、使用者が装着時に片方の足を通す前記外袋に接続された第一開口、とする。もう一方の開口を、使用者のもう一方の足を通す前記外袋に接続された第二開口、として構成している。
これら開口の大きさなどは使用者として想定する者の足の太さよりも大きいものとする、多少の広がりでは破損しないようにする等、足を通す開口として十分に機能するように設計されるべきであり、必要ならば素材・厚みの検討やテープ等による補強などもなされることが望ましい。
【0012】
これら足を通す開口11に挟まれる様に、外袋の上方を延長してできる覆い部12が前・後ろに計二つ、構成されている。二つの覆い部12として前側の覆い部、後ろ側の覆い部があることで、多少のズレにも対応できるほか、前側にあっては尿への、後ろ側にあっては水分の多い便や、かがみ・しゃがみ体勢によるズレへの対策としても機能する。
外袋にはさらに、外袋の内部空間を下に向けてすぼまるようにするための接着部分13も設けられている。
【0013】
内袋20は一層であり、通水性および通気性を有する不織布よりなっている。図中の上が内袋の開口となっており、特に立体形状をとっていない。その形状は下に向けてすぼまるようなものを採用している。外袋10と内袋20とが、外袋のなかに衛生処理上の機能素材60をあらかじめ設置した上で外袋の開口部近傍と内袋の開口部近傍とで接合されて、二重袋状態となっている。内袋の大きさは基本的に外袋の内部空間よりも小さいが、この接合部分の横幅については外袋と内袋とで同じ長さとした。この実施例における前記横幅以外の内袋と外袋との隙間は3から5cm程度である。これにより内袋のそとであり外袋のなかである空間40に衛生処理上の機能素材60を設置できる部分を生じるように構成され、またこの内袋のそとであり外袋のなかである空間40とその外部との間で固体を行き来させるための手段は設けられていないものとなっている。後者により、使用前から使用後に渡り、多少保管の向きの悪さや輸送中の揺れなどが生じても漏れ出し等が抑止できるとの効果を生じる。
【0014】
外袋、内袋、あるいはその双方において、下に向けてすぼまるように構成することで機能素材60とその対象とが偏って存することを抑止し、効果的に機能を発揮できるとの効果を期待できる。
外袋のなかに入れる衛生処理上の機能素材60としては、除菌と吸水とを行うジェルを入れている。
なお、直接的に菌への対策をするか否かにかかわらず、便から水分を奪うことによれば腐敗の進行抑止や、臭気の立ち昇りを防ぐといった効果を期待できる。
【0015】
内袋のそとであり外袋のなかである空間40は、衛生処理上の機能素材60を設置できるだけでなく、便中から奪い取った水分であって、内袋外へ出たものを留めておける空間としても機能させることができる。留める力としては衛生処理上の機能素材60としての吸水機能によるものであることが望ましいが、この機能を超える水分が生じた場合であっても、この空間が存することで便中の水分による腐敗の進行抑止や、内袋を通すことなく漏れ出・立ち昇る臭気の抑止等の効果を期待できる。
【0016】
水分処理に関し、携帯性やコストなどの面とのバランスをとりながら、吸水をはじめとする衛生処理上の機能素材の対応能力やサイズなどを設計するが、一般的に携帯用トイレは水分・便の量に対応できる範囲の上限が存し、これを超えることのないようにしなければ衛生・快適に使用することができないという状況である。しかしながら、この発明によれば、対応範囲の幅を改善することができる。
すなわち、効率的に機能素材及びトイレ内収納容量を活用でき、多少の水分量超過があっても少なくとも内袋のなかからは概ね出て行く結果、腐敗の進行や、袋の口からの臭気の立ち昇りを軽減できることとなる。結果、比較的優れた衛生状態をもたらす効果を得ることができる。
【0017】
内袋20には、逆流防止手段としての接着部21が内袋の前面と背面とを融着により接着することで設けられている。その形状は内袋のなかを上から下へと進むことは可能とし、逆流することは一定程度抑止するような形状である。なお、逆流防止手段としての接着部の設け方はこれに限るものではなく、融着以外の接着を用いても良いし、形状は、例えば単に篩となるように(例えば破線状に)なっているだけであっても、用便時は重力により落ち、密封後は一定程度の逆流抑止力を期待できる。
【0018】
さらにこの実施例では、内袋20のなかにも簡易的で比較的弱い吸水力を有する衛生処理上の機能素材50を入れて吸水力の調整をしている。これは任意に使用できるよう後入れとする等も考えられる。その場合は便の水分が多いときなどに特に有効である。今回の実施例に係る衛生処理上の機能素材50については、逆流防止が効くように素材の選択、形・大きさなどを設定し、逆流防止を付す前に入れておいた。この点についてはシートなどを用いて、その表面上から重ねて逆流防止としての接着をするなどの方法を取ることも可能である。そもそも、不織布からなる内袋自体がある程度の吸水性を有しており、これの厚さ、層数、機能付与する加工処理等の調整によることも可能である。
もっとも、水分はなるべく内袋から出て行くことが原則として望ましい。重力と機能素材60による吸水機能とを優先的に活用し、それに加えて適度に内袋のなかでも吸水機能が発揮されるといった調整、設計、使用方法がより望ましい。
【0019】
内袋20を上に延長するように構成(実施例でも少しそうなっているが)するか、あるいは別途の不織布やシートなど貼り付け等によって、併せその外袋10・覆い部12への接着の仕方を工夫する(内袋自身の持つ吸水機能をどの地点で発揮させるのがよいかに応じ融着の使用範囲を調整する等)などしてさらに効果的に覆い部12を働かせることもできる。
さらには、これについて、想定外に高い位置で生じた水分等が足のほうへ流れるのではなく、内袋のなかへと流れていくよう誘導するように設計しても良い。
続いて、使用者が装着中のズレ落ちを抑止する装着安定手段としての紐30は、その素材をポリプロピレンとし、紐の全長を3:1程度に分けるところで、一方の足を通す開口11の上部に固着した。
これに係る使用方法は後述するが、装着の安定は、汚れにくく衛生的に使用できることにつながる。
使用者は足を通しての装着をし、さらには使用者が装着中のズレ落ちを抑止する装着安定手段としての紐を備えることで、使用者及び周囲において不衛生を生じにくくする効果を得ることができる。
【0020】
図2は実施例の携帯用トイレにつき、使用状態を示した正面図であり、
図3は同じく左側面図である。なお、両図において使用者がとっている体勢は同じではない。
使用者はまず、携帯用トイレの使用にあたり邪魔となる着衣を外す。少なくとも下半身の着衣についてはすべてを外すのが良い。靴等に関しては足を通す開口11の構成の仕方(大きさや強度など)によっては外さなくとも良い。
続いて足を通す開口11それぞれに足を通し、携帯用トイレを装着する。
さらに、紐30を、その長い側を後ろから廻して、
図3において図示されている左足側に相当する足を通す開口11の中を通し、これと紐30の短い側とで、
図2において図示されている前側に相当する覆い部12の前で結ぶ。また、
図3において図示されている後ろ側に相当する覆い部12を紐の内側へ挟み込む。これにより装着はさらに安定する。
使用者は、立った、かがんだ、あるいはしゃがんだ状態で便が携帯用トイレの袋内(外袋10として図示)へ取り込まれると想定可能なことを確認し、用を足す。
用便後は、携帯用トイレの装着を全部または一部解除し、別途用意したペーパー等により体等必要な箇所を拭い、汚れを掃除し、それによるゴミを携帯用トイレ内(図としては外袋10内であり、より具体的には内袋のなか)へ捨てることができる。この際に、必要に応じ追加の機能素材50を投入しても良い。
【0021】
図4は実施例の携帯用トイレにつき、密封後の状態を示した図である。
実施例における、使用者が装着中のズレ落ちを抑止する装着安定手段、は紐30であるが、この紐30は外袋からそとへの漏れ出しを抑止する密封手段としても使用する。
装着解除後は、覆い部12を外袋10の中へ折り込んで、その後外袋開口が閉じられるように折り込み、望ましくはまき下げる。このとき、この後の処理までの間の保管においての利便のため、内部の空気を抜いてカサを減らすと良い。また、実施例における携帯用トイレはその袋が立体構造ではないので、左右方向を分けるように折りたたみたくなることがあるが、可能な範囲で前後方向へ広げて立体的にするようにして左右方向の幅を減らすようにすれば、機能素材の効きにムダ・ムラがでることを避けやすくなると考えられる。
紐30により開口がさらに密封されるよう縛る。縛るにあったっては望ましくは4、5重に巻いて縛るとより確実である。これにより固体、液体、気体につき、外袋のそとへの漏れ出しを抑止するべく、密封をすることができる。
これをさらに、別途用意した通気・通水を遮断できて密封もできる袋などに入れると良い。
さらに、これが30個程度収納可能な前述「衛生処理収納袋」をセットで提供するなどすれば、使用後、処理までの保管の間を衛生的なものとすることができる。
以上、実施の一例に基づき発明を実施するための形態について説明を行ったが、あくまで一例を示しただけであり、実施手段の内容がこれに限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲内で変更等を行うことができることはもちろんである。
【0022】
また、従来の技術を説明するに当たり、出願人の過去の技術を述べたが、これはあくまで参考までに述べただけであって、これによる記載に拘束されるものではない。例えば、内袋を絞るような構成については、本発明においてこれが必須の要件にはあたらないことは言うまでもない。両書類に共通して記載のある内袋などについても、そのあり方や有無などにつき、それぞれの趣旨に沿った把握がされるべきものである。例えば完全には袋として構成されておらず、隙間などがあって内袋のそとであり外袋のなかである空間と固形物が行き来できるようになっていたとしても一定の趣旨については反しない構成とすることも可能と考えられる。
【0023】
実施例では外袋10は黒としたが、他の色を使用しても汚れを目立たせないという効果を引き続き発揮することができる場合がある。他にもデザイン性を優先しても良いし、逆に汚れが目立つようにすることで衛生上のリスク管理に資する白色などを選択しても良いし、使用者の健康管理のため袋内部を視認可能なものとする、例えば外袋においては一部を透明とする等、さまざまなバリエーションが考えられる。
外袋の素材はポリプロピレン等でも良く、通気・通水をしないようにとの趣旨の元、そのように追加の加工処理がされたような素材も含めて選択可能である。意図しない接触等による破損、穴あきなどにも配慮できる構成であればさらに望ましい。
外袋を立体的な構造にしても良い。そのほうが使用のしやすさが向上する場合があり、また使用後に密閉する際外袋を折り曲げてしまって機能素材の効きにムダ・ムラがでることを避けやすくなる等とも考えられる。マチを設けると溝・山等が形成されやすくなって機能素材の効きにムダ・ムラがでる場合もあるということは考えられるので、例えば底板を設けるなどとすることも可能である。
【0024】
内袋20は通気・通水可との趣旨に合うものとして織布やメッシュ素材などの使用も可能である。
内袋の素材によっては消音効果、接触のやわらかさ向上、汚物の跳ね防止、ヒダができる場合の蓋効果などが期待できる場合がある。ヒダについてはこれを積極的に設けても良い。
逆流防止手段としての接着部21は融着以外の手段によっても良く、外袋の上から重ねて形成しても良く、内袋以外の部分に設けても良い。ヒダや逆流防止手段は便の収まり(重力による内袋ないの下方への移動)を邪魔しない程度とすることが望ましい。
用いられる機能素材は、ジェル、ペレット、パルプ、スポンジなどさまざまな態様が考えられ、また袋体などの素材自体に処理を施すなどした場合も含めて、発揮させる機能としては吸水や、除菌等の菌対策や、消臭などのほかにもpHの調整や香気の発出などさまざまなものが考えられる。
【0025】
足を通す開口をゴムを用いて構成するなどして、使用後装着を解く前に体についた汚れなどを拭うための手を入れる口としても良い。また、ベルト、紐などによることも可能である。
立って使用する場合に特に重要な、足のほうへ水分を含んだ汚物が流れていってしまうことを抑止すべく、足を入れる開口の近傍にY字状などの不織布を付ける等して水分の誘導手段としても良い。Y字のV部分で足のほうへ流れそうな水分をひとまず吸わせ、それに続くI部分で内袋の方へ水分がつたうように誘導することができる。これについては、比較的接触が強くなる足を通す開口との接触・摩擦を和らげる効果も期待でき、かつ、外袋において力がかかって裂けやすい部分であるこの部分を補強するという効果も期待できる。
裂けやすい部分を補強するとの効果を得るべく、足を通す開口近傍やそれ以外の箇所にも、また外袋の外側からでもテープ等で補強をしても良い。
紐30をいずれかの場所にあらかじめ固着しておくか否か等、使用者が装着中のズレ落ちを抑止する装着安定手段の構成は、装着の安定性と、装着のしやすさ・使用後の外しやすさなどを勘案しながらさまざまなバリエーションをとることができる。足を入れる開口を吊るに際しては固着と口の中にひもを通す方法と、以外にもベルトを通す時のように上部ループを設けて使用することもできる。単に穴やスリットをあけて紐を通しても良いが、裂けやすいのであれば併せテープなどで補強をすると良い。
【0026】
前・後ろの覆い部についても、挟み込みのほか、同様の構成をとって紐を使用することができるようにしても良い。一本の紐を一箇所あらかじめ固着しておくとするならば、後ろの覆い部の上端に、紐の全長の二分の一ほどのところを固着すると装着使用がより快適にできるような構成となる。ただし、これについては千切れてしまうことのない様、補強を行うことが望ましい場合がある。いずれにせよ採用された構成にも応じ足を通すことと紐を使用することと、どちらを先にすることを推奨するか等、使用者に対し説明がなされることが望ましい。装着安定手段として考えると紐以外にもベルト、ゴム、サスペンダー式、粘着テープなどの利用、上半身の着衣への面ファスナー利用、袴のように前後を任意着脱などが採用可能であり、これら手段を併用もしくは代用することも考えられる。また、一部の構成を安定させるためにのみこれらの手段を使用しても良い。
【0027】
紐30は排便後の密封手段としても機能させることが効果的であるが、これと併せて、又はこれに変えて別の密封手段を設けることも可能である。例えば粘着テープ等の使用が考えられる。
外袋を下に向けてすぼまるようにできる接着部分によって不要となった部分を取り去っても良い。そうすることで製造の手間はかかるが軽量化・省スペース化が可能となる。また、これの代わりに当初からすぼまるような形の外袋を採用しても良い。逆に、内袋に下に向けてすぼまるようにできる接着部分を設けても良い。
使用後中身をトイレに流すような使用方法をとらないので、汚れを拭うものとして非水溶性のペーパーやウェットティシュー、布なども使用可能である。また、これらをセットにして提供してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この携帯トイレは災害時や登山や長距離車移動などの外出時などに便利に使えるものである。緊急事態にあっては、例えば不意の嘔吐への対処などは応用して利用することも可能である。また、生産に際しては、袋を生産・調達することができる場合には特に、それらを少しの応用で活用可能な点も利用可能性の高い発明といえる。
【符号の説明】
【0029】
10 外袋
11 足を通す開口
20 内袋
21 逆流防止手段としての接着部
30 紐
40 内袋のそとであり外袋のなかである空間
50、60 衛生処理上の機能素材