(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005295
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】スペースデブリ除去システム、スペースデブリ除去方法、スペースデブリ除去装置、射出物、及び射出物格納装置
(51)【国際特許分類】
B64G 1/64 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
B64G1/64 500
B64G1/64 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105448
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】523111957
【氏名又は名称】株式会社オン
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 訓範
(72)【発明者】
【氏名】古藤 芳久
(57)【要約】
【課題】
新規なスペースデブリ除去システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
射出物を射出することによりスペースデブリを除去するスペースデブリ除去装置と、射出物とを備えるスペースデブリ除去システムであって、スペースデブリ除去装置が、射出物を射出する射出部を備え、射出部が、圧縮した気体が噴射する際の噴射圧を利用して射出物を射出する、スペースデブリ除去システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出物を射出することによりスペースデブリを除去するスペースデブリ除去装置と、射出物とを備えるスペースデブリ除去システムであって、
スペースデブリ除去装置が、
射出物を射出する射出部
を備え、
射出部が、圧縮した気体が噴射する際の噴射圧を利用して射出物を射出する、
スペースデブリ除去システム。
【請求項2】
射出物が、内部に圧縮した気体を封入した本体部を備え、
射出部が、本体部から該圧縮した気体を噴射させることにより射出物を射出する、
請求項1に記載のスペースデブリ除去システム。
【請求項3】
射出物が、圧縮した気体を噴射するための噴射口を塞ぐ閉塞手段を備え、
射出部が、該噴射口を開く開放手段を備える、
請求項2に記載のスペースデブリ除去システム。
【請求項4】
射出物が、本体部の内部の圧縮した気体を外部に噴出させることが可能なノズル部を備える、
請求項1~3のいずれかに記載のスペースデブリ除去システム。
【請求項5】
開放手段が、ノズル部を本体部の内部に押圧し、閉塞手段を本体部の内部に移動させることで、噴射口を開く、
請求項4に記載のスペースデブリ除去システム。
【請求項6】
射出部が、射出物を射出部の内部に固定する固定手段を備え、
射出部が、固定手段による射出物の固定が解除されたときに、射出物を射出する、
請求項1~3のいずれかに記載のスペースデブリ除去システム。
【請求項7】
射出物を格納する格納部と、
格納部から射出部へ射出物を移動させる射出物移動手段と
を備える、
請求項1~3のいずれかに記載のスペースデブリ除去システム。
【請求項8】
スペースデブリ除去装置を移動させる装置移動手段
を備え、
射出部が、スペースデブリ除去装置が所定の位置に移動した後に、射出物を射出する、
請求項1~3のいずれかに記載のスペースデブリ除去システム。
【請求項9】
射出物が、面状に展開することが可能な面状部を備える、
請求項1~3のいずれかに記載のスペースデブリ除去システム。
【請求項10】
宇宙空間を撮像した画像を取得する画像取得手段と、
レーザー光を利用することで、スペースデブリ除去装置とスペースデブリとの距離を特定する距離特定手段と、
画像取得手段により取得された宇宙空間の画像、及び、距離特定手段により特定されたスペースデブリ除去装置とスペースデブリとの距離により、スペースデブリの位置に関する情報を特定する位置特定手段と
を備える、
請求項1~3のいずれかに記載のスペースデブリ除去システム。
【請求項11】
射出物を射出することによりスペースデブリを除去するスペースデブリ除去方法であって、
射出物を射出する射出ステップ
を有し、
射出ステップが、圧縮した気体が噴射する際の噴射圧を利用して射出物を射出する、
スペースデブリ除去方法。
【請求項12】
射出物を射出することによりスペースデブリを除去するスペースデブリ除去装置であって、
射出物を射出する射出部
を備え、
射出部が、圧縮した気体が噴射する際の噴射圧を利用して射出物を射出する、
スペースデブリ除去装置。
【請求項13】
射出物を射出することによりスペースデブリを除去するスペースデブリ除去装置に用いられる射出物であって、
内部に圧縮した気体を封入した本体部
を備える、
射出物。
【請求項14】
射出物を射出することによりスペースデブリを除去するスペースデブリ除去装置と、射出物とを備えるスペースデブリ除去システムに用いられる射出物格納装置であって、
射出物を格納する格納部と、
格納部からスペースデブリ除去装置へ射出物を移動させる射出物移動手段と
を備える、
射出物格納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペースデブリ除去システム、スペースデブリ除去方法、スペースデブリ除去装置、射出物、及び射出物格納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
宇宙開発の発展に伴い、スペースデブリ(宇宙ゴミ)の量は年々増加している。
【0003】
スペースデブリが、活動中の人工衛星、有人宇宙船、国際宇宙ステーション(ISS)などに衝突した場合、設備が破壊されたり、乗員の生命に危険が及ぶ可能性がある。
【0004】
そのため、スペースデブリを除去する必要性が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の少なくとも1つの目的は、新規なスペースデブリ除去システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、
[1]射出物を射出することによりスペースデブリを除去するスペースデブリ除去装置と、射出物とを備えるスペースデブリ除去システムであって、スペースデブリ除去装置が、射出物を射出する射出部を備え、射出部が、圧縮した気体が噴射する際の噴射圧を利用して射出物を射出する、スペースデブリ除去システム;
[2]射出物が、内部に圧縮した気体を封入した本体部を備え、射出部が、本体部から該圧縮した気体を噴射させることにより射出物を射出する、前記[1]に記載のスペースデブリ除去システム;
[3]射出物が、圧縮した気体を噴射するための噴射口を塞ぐ閉塞手段を備え、射出部が、該噴射口を開く開放手段を備える、前記[2]に記載のスペースデブリ除去システム;
[4]射出物が、本体部の内部の圧縮した気体を外部に噴出させることが可能なノズル部を備える、前記[1]~[3]のいずれかに記載のスペースデブリ除去システム;
[5]開放手段が、ノズル部を本体部の内部に押圧し、閉塞手段を本体部の内部に移動させることで、噴射口を開く、前記[4]に記載のスペースデブリ除去システム;
[6]射出部が、射出物を射出部の内部に固定する固定手段を備え、射出部が、固定手段による射出物の固定が解除されたときに、射出物を射出する、前記[1]~[5]のいずれかに記載のスペースデブリ除去システム;
[7]射出物を格納する格納部と、格納部から射出部へ射出物を移動させる射出物移動手段とを備える、前記[1]~[6]のいずれかに記載のスペースデブリ除去システム;
[8]スペースデブリ除去装置を移動させる装置移動手段を備え、射出部が、スペースデブリ除去装置が所定の位置に移動した後に、射出物を射出する、前記[1]~[7]のいずれかに記載のスペースデブリ除去システム;
[9]射出物が、面状に展開することが可能な面状部を備える、前記[1]~[8]のいずれかに記載のスペースデブリ除去システム;
[10]宇宙空間を撮像した画像を取得する画像取得手段と、レーザー光を利用することで、スペースデブリ除去装置とスペースデブリとの距離を特定する距離特定手段と、画像取得手段により取得された宇宙空間の画像、及び、距離特定手段により特定されたスペースデブリ除去装置とスペースデブリとの距離により、スペースデブリの位置に関する情報を特定する位置特定手段とを備える、前記[1]~[9]のいずれかに記載のスペースデブリ除去システム;
[11]射出物を射出することによりスペースデブリを除去するスペースデブリ除去方法であって、射出物を射出する射出ステップを有し、射出ステップが、圧縮した気体が噴射する際の噴射圧を利用して射出物を射出する、スペースデブリ除去方法;
[12]射出物を射出することによりスペースデブリを除去するスペースデブリ除去装置であって、射出物を射出する射出部を備え、射出部が、圧縮した気体が噴射する際の噴射圧を利用して射出物を射出する、スペースデブリ除去装置;
[13]射出物を射出することによりスペースデブリを除去するスペースデブリ除去装置に用いられる射出物であって、内部に圧縮した気体を封入した本体部を備える、射出物;
[14]射出物を射出することによりスペースデブリを除去するスペースデブリ除去装置と、射出物とを備えるスペースデブリ除去システムに用いられる射出物格納装置であって、射出物を格納する格納部と、格納部からスペースデブリ除去装置へ射出物を移動させる射出物移動手段とを備える、射出物格納装置;
により、達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、新規なスペースデブリ除去システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る、スペースデブリ除去システムの構成を説明するための概略図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る、射出物の構成を説明するための概略図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る、スペースデブリ除去装置の射出機構を説明するための概略図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る、射出物の噴射機構を説明するための概略図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る、スペースデブリ除去装置の射出準備機構を説明するための概略図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る、射出物の例を示す概略図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る、射出物の展開機構を説明するための概略図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る、スペースデブリ除去装置の射出準備機構を説明するための概略図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る、スペースデブリ除去装置及び格納部の構成例を示す概略図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係る、位置特定処理のフローチャートである。
【
図11】本発明の実施の形態に係る、射出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は、以下の実施の形態に限定されない。以下で説明するフローチャートを構成する各処理の順序は、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で順不同であり、また、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で、フローチャートを構成する各処理の一部を省略することや、フローチャートを構成する各処理に新たな処理を追加することも可能である。また、フローチャートを構成する各処理を実行する主体となる装置は、本発明の趣旨に反しない限り、他の装置へ変更することが可能である。その際、処理内容に矛盾や不整合が生じないように、処理内容を変更することが可能である。
【0010】
本発明のスペースデブリ除去システムは、射出物を射出することによりスペースデブリを除去するスペースデブリ除去装置と、射出物とを備える。「スペースデブリの除去」には、スペースデブリの移動、スペースデブリの軌道変更、スペースデブリの回収などが含まれる。
【0011】
スペースデブリ除去装置は、人工衛星に搭載して宇宙空間へ打ち上げることが可能である。スペースデブリ除去装置は、例えば、人工衛星の外装に備えることができる。スペースデブリ除去装置は、人工衛星に搭載した状態で、宇宙空間に存在するスペースデブリに対して射出物を射出し、スペースデブリを除去することが可能である。人工衛星は、スペースデブリを除去するために打ち上げられるものでもよく、他の目的のために打ち上げられるものでもよい。スペースデブリ除去装置を搭載する人工衛星が備える制御システムを構成する装置には、本発明のスペースデブリ除去システムを利用するためのアプリケーションがインストールされてもよい。以下、「スペースデブリ除去装置を搭載する人工衛星が備える制御システム」を、単に、「制御システム」ともいう。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る、スペースデブリ除去システムの構成を説明するための概略図である。
図1に示すスペースデブリ除去システム1は、スペースデブリ除去装置11、及び射出物12(12a)を備えている。また、
図1に示すスペースデブリ除去装置11は、制御装置111、押出機構112、ロック機構113(113a及び113b)、及び筐体114を備えている。制御装置111と押出機構112、及び、制御装置111とロック機構113は、それぞれ、通信により接続されていてもよく、導線などにより電気的に接続されていてもよい。また、図示しないが、制御装置111、押出機構112、及び/又はロック機構113は、人工衛星が備える電源システムから電力の供給を受けることが可能であってもよい。
【0013】
なお、本明細書においては、射出物12として、面状に展開することが可能な面状部を備えない射出物12aと、面状に展開することが可能な面状部を備える射出物12bとを例として挙げるが、射出物12a及び射出物12bが射出される機構としては、共通のものを採用することができる。また、スペースデブリ除去システム1は、射出物12a及び射出物12bとは異なる構造及び/又は機能を有する射出物12を備えることも可能である。以下、射出物12a及び射出物12bに共通する構造及び/又は機能について説明する際には、射出物12a及び/又は射出物12bを、射出物12と記載する。
【0014】
図1に示すスペースデブリ除去装置11において、押出機構112、ロック機構113、及び筐体114を、射出物12を射出する射出部としてもよい。射出部は、圧縮した気体が噴射する際の噴射圧を利用して射出物12を射出するものである。圧縮した気体が噴射する際の噴射圧を利用して射出物12を射出する態様は、特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、射出物12の内部に圧縮した気体が封入されており、該圧縮した気体が射出物12の外部に噴射される際の圧力を利用して、射出物12を射出してもよい。あるいは、例えば、射出部の内部に圧縮した気体が封入されており、該圧縮した気体が射出物12に対して噴射される際の圧力を利用して、射出物12を射出してもよい。
【0015】
以下、射出物12の内部に圧縮した気体が封入されており、該圧縮した気体が射出物12の外部に噴射される際の圧力を利用して、射出物12を射出する態様について説明する。
【0016】
射出物12は、射出部の内部に配置することができる。以下、射出物12を射出部の内部に配置することを、射出物12を射出部又はスペースデブリ除去装置11に装填するという。また、射出部の内部において射出物12が配置された位置を、射出物12の装填位置という。
【0017】
図1において、射出物12は、筐体114の内部であって、2つのロック機構113a及び113bの間に装填されている。また、
図1において、射出物12は、筐体114の内部において、押出機構112が備えられている側とは反対側に装填されている。
【0018】
射出物12は、押出機構112が備えられている側とは反対の方向に向かって射出されるものとする。図示しないが、筐体114において、射出物12が射出される箇所は、開口していることが好ましい。スペースデブリ除去装置11において射出物12が射出される開口部を、射出口ともいう。以下、スペースデブリ除去装置11において、射出口が備えられている側を前方、射出口が備えられている側と反対側を後方とする。射出物12の装填位置は、射出部の内部の前方側であっても、中間であっても、後方側であってもよい。また、以下、射出物12において、射出物12が射出される方向側を前方(先)又は上方、射出物12が射出される方向側と反対側を後方又は下方とする。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態に係る、射出物の構成を説明するための概略図である。
【0020】
図2(A)は、射出物12(12a)の側面視の概略図である。
図2に示す射出物12は、本体部121、及びノズル部122を備えている。射出物12は、本体部121をスペースデブリ除去装置11の前方に向け、ノズル部122をスペースデブリ除去装置11の後方に向けた状態で、射出部に装填されてもよい。つまり、射出物12において、本体部121側を前方(先)又は上方、ノズル部122側を後方又は下方としてもよい。
【0021】
本体部121の内部には、圧縮した気体が封入されている。気体の種類は、特に限定されず、適宜設計可能である。気体の種類は、例えば、空気でも、アルゴンでも、窒素でも、ヘリウムでもよい。また、気体を圧縮する際の圧力は、特に限定されない。気体を圧縮する際の圧力は、射出物12を射出する際に必要となる噴射圧の大きさ、本体部121の強度などに応じて、適宜設計可能である。以下、「本体部121の内部に封入された、圧縮した気体」を、単に、「本体部121の内部に封入された気体」ともいう。
【0022】
本体部121の内部に圧縮した気体を封入する方法は、特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、本体部121の表面に圧縮した気体を注入するための孔が設けられており、本体部121の内部に圧縮した気体を注入した後、該孔を封止することで、本体部121の内部に圧縮した気体を封入してもよい。
【0023】
本体部121の形状は、特に限定されず、適宜設計可能である。本体部121の形状は、例えば、略球形状であっても、略卵形状であっても、略円錐形状であっても、略角錐形状であっても、略直方体形状であっても、略円柱形状であっても、略角柱形状であっても、砲弾のような形状であってもよい。本体部121の内部に封入した気体の圧力に耐えやすいという観点からは、本体部121の形状は、略球形状であることが好ましい。なお、略球形状には、球形状、楕円体などの、全体として丸みを帯びた立体形状が含まれ得る。
【0024】
また、本体部121の大きさ、本体部121の内部の空洞の大きさ、及び、本体部121の壁の厚さは、特に限定されない。本体部121の大きさ、本体部121の内部の空洞の大きさ、及び、本体部121の壁の厚さは、射出物12を射出する際に必要となる気体の体積、スペースデブリ除去装置11を搭載する人工衛星の大きさ、本体部121の内部に封入された気体の圧力、本体部121の素材などに応じて、適宜設計可能である。
【0025】
ノズル部122は、本体部121の内部に封入された気体を、射出物12の外部に噴射することが可能なものである。
図2(A)において、ノズル部122の先端は、本体部121の後方に備えられた突起部1211の内部に挿入されている。
【0026】
図2(B)は、射出物12(12a)の内部構造を説明するための概略図である。
図2(B)は、
図2(A)に示す概略図において、射出物12(12a)の本体部121の内部構造を目視可能としたものである。
【0027】
図2において、本体部121の後方に備えられた突起部1211は、略円筒形状であり、両端部が開口している。ここでは、突起部1211の内部を、本体部121の本体開口部1212とする。本体開口部1212は、本体部121の内部に封入された気体を噴射するための噴射口として機能してもよい。
【0028】
図2(B)において、本体部121の内部には、本体開口部1212を塞ぐ閉塞手段1213、及び、本体部121の内部から気体が漏れることを防止する本体シール部1214が備えられている。
【0029】
閉塞手段1213は、本体開口部1212を塞ぐことができるものであればよく、特に限定されない。閉塞手段1213は、例えば、立体形状を有する部材であっても、平面形状を有する部材であってもよい。立体形状は、例えば、例えば、略球形状であっても、略卵形状であっても、略円錐形状であっても、略角錐形状であっても、略直方体形状であっても、略円柱形状であっても、略角柱形状であっても、砲弾のような形状であってもよい。また、平面形状は、例えば、円形状であっても、楕円形状であっても、多角形状であっても、他の任意の形状であってもよい。また、閉塞手段1213は、栓として機能するものであっても、扉として機能するものであってもよい。
【0030】
図2(B)において、閉塞手段1213は、略球形状を有する部材である。また、
図2(B)において、閉塞手段1213は、本体開口部1212を塞ぐ栓として機能している。また、本体部121の内部に封入されているのは圧縮した気体であるため、閉塞手段1213に対して、本体開口部1212を塞ぐ位置に留まる方向に圧力がかかる。そのため、後述するように、閉塞手段1213がノズル部122により移動させられるまでは、閉塞手段1213は、本体開口部1212を塞ぐ栓として機能する。
【0031】
また、本体シール部1214は、本体部121の内部から気体が漏れることを防止することができるものであればよく、特に限定されない。本体シール部1214は、例えば、パッキンであっても、ガスケットであってもよい。
【0032】
図2(B)において、本体シール部1214は、突起部1211の内壁上、及び、本体部121の、本体開口部1212の近傍の内壁上に備えられている。なお、本体シール部1214は、突起部1211の内壁上、及び、本体部121の、本体開口部1212の近傍の内壁上を連続して覆うように配置されているため、
図2(B)においては、符号の記載を1か所としている。
【0033】
図2(B)において、閉塞手段1213は、本体部121の、本体開口部1212の近傍の内壁上に備えられたシール部1214に接するように配置されている。閉塞手段1213がシール部1214に接するように配置されることで、本体部121の内部から気体が漏れることを防止することができる。
【0034】
また、
図2(B)において、ノズル部122は、ノズル部122の先端の近傍が、突起部1211の内壁上に備えられた本体シール部1214に接するように配置されている。ここで、
図2(C)及び(D)を参照して、ノズル部122の構造を説明する。
【0035】
図2(C)は、ノズル部122の斜視の概略図である。また、
図2(D)は、ノズル部122の上面視の概略図である。
図2(C)及び(D)に示すノズル部122は、中空の構造を備えている。また、ノズル部122は、パイプ部1221、及び先端部1222を備えている。パイプ部1221における、先端部1222とは反対側の端部は、開口している。また、先端部1222の先端側には、4つの開口部が備えられている。以下、パイプ部1221における、先端部1222とは反対側の開口した端部を、ノズル開口部1223aともいう。また、先端部1222の先端側に備えられた開口部を、ノズル開口部1223b(1223b
1~1223b
4)ともいう。
【0036】
パイプ部1221は、本体部121の内部に封入された気体が射出物12の外部に噴射される際に、該気体の流路となるものである。パイプ部1221の形状は、特に限定されず、適宜設計可能である。パイプ部1221の形状は、例えば、筒状の形状を有していてもよい。筒状の形状とは、円筒の形状でもよく、角筒の形状でもよい。パイプ部1221の前後方向に垂直な方向における断面の面積は、均一でもよく、不均一でもよい。
【0037】
先端部1222は、ノズル部122の端部である。先端部1222は、本体部121の突起部1211の内部に配置される。先端部1222は、後述のように、ノズル部122が本体部121の内部に向かって押し出された際に、閉塞手段1213に接触する。先端部1222の形状は、特に限定されず、適宜設計可能である。先端部1222の形状は、例えば、半球形状、欠球形状などの丸みを帯びた形状であっても、円錐の側面形状などの尖った形状であっても、深皿形状、浅皿形状などの平たい形状であってもよい。あるいは、先端部1222は、ノズル開口部1223aと同様に、特別な形状を有しない部位であってもよい。後述のように、閉塞手段1213を本体開口部1212から離れるように移動させることが容易であるという観点からは、先端部1222の形状は、丸みを帯びた形状であることが好ましい。
【0038】
パイプ部1221が備えるノズル開口部1223aの数は、特に限定されず、適宜設計可能である。パイプ部1221が備えるノズル開口部1223aの数は、例えば、1個であっても、2個であっても、3個であっても、4個であってもよい。また、先端部1222が備えるノズル開口部1223bの数は、特に限定されず、適宜設計可能である。先端部1222が備えるノズル開口部1223bの数は、例えば、1個であっても、2個であっても、3個であっても、4個であってもよい。
【0039】
詳細は後述するが、ノズル部122が本体部121の内部の閉塞手段1213を移動させ、本体開口部1212を開くことで、本体部121の内部に封入されていた気体が、本体開口部1212に配されたノズル部122から、本体部121の外部に噴射される。ノズル部122は、突起部1211の内壁上に備えられた本体シール部1214に接するように配置されるため、本体部121の内部に封入されていた気体は、突起部1211の内壁とノズル部122との間からは噴射されず、ノズル部122の内部を通過して、ノズル開口部1223aから噴射される。
【0040】
次に、射出物12が射出部から射出される機構について説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る、スペースデブリ除去装置の射出機構を説明するための概略図である。
図3においては、射出物12が射出部から射出される態様が、時系列に沿って、5つの図に示されている。以下、
図3において一番上に示された図を第1図、上から二番目に示された図を第2図、上から三番目に示された図を第3図、上から四番目に示された図を第4図、一番下に示された図を第5図とする。なお、
図3において、制御装置111の記載は省略されている。
【0041】
図3に示すスペースデブリ除去装置11において、射出物12(12a)は、筐体114の内部であって、押出機構112が備えられている側とは反対側に装填されている。
図3に示す押出機構112は、アクチュエータ部1121、押出部1122、押圧部1123、及び押圧シール部1124を備えている。筐体114の内部において、押出機構112は、アクチュエータ部1121、押出部1122、押圧部1123、押圧シール部1124の順に前方に位置するように配置されている。また、アクチュエータ部1121は、筐体114の後方の端部に配置されている。
図3において、アクチュエータ部1121と押出部1122、押出部1122と押圧部1123、押圧部1123と押圧シール部1124は、それぞれ、物理的に接続されている。
【0042】
押出機構112は、射出物12のノズル部122を、射出物12の本体部121の内部に向かって押圧しながら押し出すものである。
【0043】
アクチュエータ部1121は、入力されたエネルギーなどを、物理的運動に変換するものである。アクチュエータ部1121は、例えば、リニアモータなどであってよい。アクチュエータ部1121により、押出部1122、押圧部1123、及び押圧シール部1124が、射出物12に向かって押し出されてもよい。
【0044】
押出部1122は、押圧部1123、及び押圧シール部1124を、射出物12に向かって押し出すものである。押出部1122の形状は、特に限定されず、適宜設計可能である。押出部1122の形状は、例えば、棒状であってもよい。棒状とは、略円柱形状であっても、略角柱形状であってもよい。押出部1122の前後方向に垂直な方向における断面の面積は、均一でもよく、不均一でもよい。また、押出部1122の前後方向の長さは、特に限定されず、適宜設計可能である。
【0045】
押圧部1123は、射出物12のノズル部122を押圧するものである。押圧部1123において、ノズル部122と接触する面を、押圧面ともいう。押圧部1123及び押圧面の形状、大きさ、表面積などは、特に限定されず、適宜設計可能である。押圧面は、ノズル部122のノズル開口部1223aの少なくとも一部を覆うことが可能であってもよい。また、押圧面は、平面であっても、曲面であってもよい。
【0046】
押圧シール部1124は、押圧部1123とノズル部122の間から気体が漏れることを防止するものである。
図3において、押圧シール部1124は、押圧部1123の押圧面上に備えられている。ノズル開口部1223aが押圧シール部1124に接した状態で、ノズル部122が押圧されることで、後述するように、ロック機構113による射出物12の固定が解除されるまで、射出物12から気体が噴射されることを防止することができる。
【0047】
図3において、射出物12は、本体部121をスペースデブリ除去装置11の前方に向け、ノズル部122をスペースデブリ除去装置11の後方に向けた状態で、射出部に装填されている。
図3の第1図において、押圧シール部1124は、射出物12のノズル部122に接触していない。
【0048】
また、
図3において、2つのロック機構113a及び113bは、射出物12を両側から挟むように、筐体114の内部に配置されている。
図3の第1図において、2つのロック機構113a及び113bは、射出物12の本体部121に接触していない。つまり、
図3の第1図において、ロック機構113a及び113bは、射出物12を射出部の内部に固定していない。
【0049】
ロック機構113は、射出物12を射出部の内部に固定するものである。ロック機構113の形状は、特に限定されず、適宜設計可能である。ロック機構113の形状は、例えば、アームのような形状であっても、鎖のような形状であっても、紐のような形状であってもよい。また、ロック機構113が射出物12を固定する態様は、特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、ロック機構113は、物理的に射出物12を固定してもよく、電磁的に射出物12を固定してもよい。また、スペースデブリ除去装置11が備えるロック機構113の数は、特に限定されず、適宜設計可能である。スペースデブリ除去装置11が備えるロック機構113の数は、例えば、1個であっても、2個であっても、4個であってもよい。
【0050】
図3においては、アームのような形状を有する2つのロック機構113a及び113bが、物理的に射出物12を固定することとする。
【0051】
図3の第1図に示す状態から、押出部1122、押圧部1123、及び押圧シール部1124が射出物12に向かって押し出され、押圧シール部1124が射出物12のノズル部122に接触したとき、
図3の第2図のように、ロック機構113a及び113bは、射出物12を射出部の内部に固定してもよい。ロック機構113a及び113bは、アームの先端を射出物12の本体部121に接触させることで、射出物12を射出部の内部に固定している。
【0052】
図3の第2図のように、射出物12が射出部の内部に固定された状態で、さらに、押出部1122、押圧部1123、及び押圧シール部1124が射出物12に向かって押し出されると、
図3の第3図に示すように、ノズル部122のほぼ全体が、本体部121の内部に挿入される。
【0053】
ノズル部122のほぼ全体が、本体部121の内部に挿入されたとき、押出機構112による押出部1122、押圧部1123、及び押圧シール部1124の押し出しが停止されてもよい。また、ノズル部122のほぼ全体が、本体部121の内部に挿入されたとき、
図3の第4図に示すように、射出部は、ロック機構113a及び113bによる射出物12の固定を解除してもよい。射出物12の固定が解除されたとき、
図3の第5図に示すように、射出物12は、射出部から射出される。
【0054】
次に、射出物12が射出部から射出される際の、射出物12の内部から気体が噴射される機構について説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る、射出物の噴射機構を説明するための概略図である。
図4においては、射出物12の内部から気体が噴射される態様が、時系列に沿って、4つの図に示されている。以下、
図4において一番上に示された図を第1図、上から二番目に示された図を第2図、上から三番目に示された図を第3図、一番下に示された図を第4図とする。なお、
図4においては、本体シール部1214を図示していないが、本体部121は、
図2(B)に示すような本体シール部1214を備えているものとする。
【0055】
図4の第1図のように、押圧シール部1124が射出物12のノズル部122に接触していない場合、射出物12の本体部121の内部に備えられた閉塞手段1213は、本体開口部1212を塞いでいる。閉塞手段1213が本体開口部1212を塞いでいるときには、本体部121の内部に封入された気体は、閉塞手段1213及び本体シール部1214により、本体部121の外部への噴射を妨げられている。
【0056】
図4の第1図に示す状態から、押出部1122、押圧部1123、及び押圧シール部1124が射出物12に向かって押し出されていくと、
図4の第2図に示すように、ノズル部122の先端部1222が、閉塞手段1213に近づいていく。
【0057】
図4の第2図に示す状態から、さらに、押出部1122、押圧部1123、及び押圧シール部1124が射出物12に向かって押し出されていくと、
図4の第3図に示すように、ノズル部122の先端部1222が、閉塞手段1213を移動させる。閉塞手段1213は、本体開口部1212及びノズル開口部1223bから離れるように、本体部121の内部で移動してもよい。閉塞手段1213が移動すると、本体部121の内部に封入された気体が、ノズル開口部1223bから、ノズル部122の内部に侵入するように、矢印20に示す方向へ移動する。押圧シール部1124に対して本体部121の内部に封入された気体の圧力がかかるが、本体部121がロック機構113a及び113bにより固定されているため、本体部121の内部に封入された気体は、まだ噴射されない。
【0058】
図4の第3図に示す状態から、さらに、押出部1122、押圧部1123、及び押圧シール部1124が射出物12に向かって押し出されていくと、
図4の第4図に示すように、ノズル部122のほぼ全体が本体部121の内部に挿入される。ノズル部122のほぼ全体が本体部121の内部に挿入されたときには、閉塞手段1213は、ノズル開口部1223bを開放するような位置に移動していてもよい。ノズル開口部1223bが開放されると、本体部121の内部に封入された気体が、より多く、ノズル開口部1223bから、ノズル部122の内部に侵入するように、矢印20に示す方向へ移動する。押圧シール部1124に対して、より大きな圧力がかかるが、本体部121がロック機構113a及び113bにより固定されているため、本体部121の内部に封入された気体は、まだ噴射されない。
【0059】
図4の第4図に示す状態で、ロック機構113a及び113bによる射出物12の固定が解除されると、本体部121の内部に封入された気体は、ノズル部122のノズル開口部1223b及びパイプ部1221を通って、ノズル開口部1223aから噴射される。射出部は、本体部121の内部に封入された気体を噴射させることにより、射出物12を射出することができる。
【0060】
射出物12aは、スペースデブリ除去装置11から射出され、スペースデブリに衝突することで、スペースデブリの移動、及び/又は、スペースデブリの軌道変更を行うことができる。
【0061】
また、スペースデブリ除去装置11と射出物12aとを、紐などにより物理的に接続しておくことで、スペースデブリに衝突した後の射出物12aを回収することも可能である。
【0062】
上述の押出機構112、及びロック機構113は、制御装置111により制御されてもよい。制御装置111は、スペースデブリ除去装置11による射出物12の射出を制御するものである。
【0063】
制御装置111は、スペースデブリ除去装置11を搭載している人工衛星が備える制御システムと接続されていてもよい。制御装置111及び人工衛星が備える制御システムは、通信により接続されていてもよく、導線などにより電気的に接続されていてもよい。制御装置111は、人工衛星が備える制御システムからの制御にしたがって、スペースデブリ除去装置11による射出物12の射出を制御してもよい。
【0064】
例えば、制御装置111は、押出機構112による押し出しの開始及び/又は停止を制御してもよい。また、例えば、制御装置111は、ロック機構113による射出物12の固定の開始及び/又は解除を制御してもよい。
【0065】
上記においては、押圧シール部1124が射出物12のノズル部122に接触したときに、ロック機構113による射出物12の固定を開始する例を記載したが、ロック機構113による射出物12の固定を開始するタイミングは特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、射出部に射出物12が装填されたときに、ロック機構113による射出物12の固定を開始してもよく、押出機構112による押し出しが開始したときに、ロック機構113による射出物12の固定を開始してもよい。
【0066】
また、上記においては、ノズル部122のほぼ全体が本体部121の内部に挿入されたときに、ロック機構113による射出物12の固定を解除する例を記載したが、ロック機構113による射出物12の固定を解除するタイミングは特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、押圧部1123が所定の位置に到達したときに、ロック機構113による射出物12の固定を解除してもよい。
【0067】
また、スペースデブリ除去装置11による射出物12の射出が完了した場合、射出が完了したことを示す信号及び/又は情報が、制御装置111から制御システムへ送信されてもよい。例えば、制御装置111は、ロック機構113による射出物12の固定を解除したときに、射出が完了したことを示す信号及び/又は情報を、制御システムへ送信してもよい。
【0068】
上記においては、押出機構112、ロック機構113、及び筐体114を備える射出部を例として挙げたが、射出部は、押出機構112、ロック機構113、及び/又は筐体114を備えていなくともよい。また、射出部は、押出機構112、ロック機構113、及び筐体114以外の機構及び/又は構造を備えていてもよい。射出部が備える機構及び/又は構造は、射出物12の構造、スペースデブリ除去装置11の射出機構などに応じて、適宜、設計可能である。
【0069】
例えば、射出物12が備える閉塞手段1213が、扉として機能するものであり、制御装置111が閉塞手段1213を開くよう制御することが可能である場合には、射出部は、筐体114を備えていればよい。
【0070】
また、上述のように射出物12を射出した後、スペースデブリ除去装置11は、他の射出物12を射出することが可能であってもよい。例えば、スペースデブリ除去システム1は、複数の射出物12を格納する格納部を備え、スペースデブリ除去装置11に、順次、射出物12を装填し、射出することが可能であってもよい。
【0071】
以下、スペースデブリ除去装置11に射出物12が装填され、射出の準備が完了するまでの、射出準備機構について説明する。
図5は、本発明の実施の形態に係る、スペースデブリ除去装置の射出準備機構を説明するための概略図である。
図5は、スペースデブリ除去システム1を搭載した人工衛星の上面視の概略図である。つまり、
図5においては、人工衛星の外装の上面に、格納部と、スペースデブリ除去装置11が備えられていることとする。
【0072】
図5においては、スペースデブリ除去装置11に射出物12が装填され、射出の準備が完了するまでの態様が、時系列に沿って、4つの図に示されている。以下、
図5において一番上に示された図を第1図、上から二番目に示された図を第2図、上から三番目に示された図を第3図、一番下に示された図を第4図とする。
図5において、スペースデブリ除去装置11が備える、制御装置111及びロック機構113の記載は省略されている。
【0073】
図5に示すスペースデブリ除去システム1は、スペースデブリ除去装置11、及び射出物12(12a)を格納する格納部13a(13a
1~13a
5)を備えている。
図5において、スペースデブリ除去装置11は、格納部13aの側面に備えられている。スペースデブリ除去装置11、及び格納部13aは、人工衛星の外周部14に収まるように、人工衛星に搭載されている。なお、
図5においては、射出物12aについて、1つの射出物12aを除き、符号の記載を省略している。
【0074】
なお、本明細書においては、射出物12aを格納する格納部を格納部13aとし、後述する、射出物12bを格納する格納部を格納部13bとする。
【0075】
スペースデブリ除去システム1が備える格納部13の個数は、特に限定されず、適宜設計可能である。スペースデブリ除去システム1が備える格納部13の個数は、例えば、1個でも、5個でも、15個でも、30個でもよい。
【0076】
また、格納部13及びスペースデブリ除去装置11の配置の態様は、特に限定されず、適宜設計可能である。スペースデブリ除去装置11は、例えば、格納部13の側面に位置するように配置されてもよく、格納部13の上面に位置するように配置されてもよい。
【0077】
図5において、それぞれの格納部13aは、格納部13aの内部に、9つの射出物12aを格納することが可能となっている。格納部13aの内部に格納する射出物12aの数は、特に限定されず、適宜設計可能である。格納部13aの内部に格納する射出物12aの数は、例えば、5個であっても、10個であっても、15個であってもよい。
【0078】
また、格納部13aの内部において、射出物12aは、本体部121同士が隣接するように配置されている。格納部13aの内部における、射出物12aの配置の態様は、特に限定されない。格納部13aの内部における、射出物12aの配置の態様は、格納部13aの形状、格納部13aの大きさ、格納部13aの内部に格納する射出物12aの数、後述の、射出物12aを格納部13aから射出部へ移動させる態様などに応じて、適宜設計可能である。
【0079】
スペースデブリ除去システム1は、格納部13aに格納された射出物12aを、スペースデブリ除去装置11の射出部へ、移動させることが可能であってもよい。射出物12aを格納部13aから射出部へ移動させる態様は、特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、射出物12aをコンベアにより射出部へ移動させてもよく、射出物12aを射出部へ押し出すことで移動させてもよく、射出物12aを電磁的に射出部へ移動させてもよい。スペースデブリ除去システム1は、射出物12aを移動させる態様に応じて、モータ、電磁石などを備えていてもよい。
【0080】
図5の第1図に示すように、格納部13aに格納された射出物12aは、該格納部13aの側面に備えられたスペースデブリ除去装置11の射出部へ移動させられることで、スペースデブリ除去装置11に装填されてもよい。
図5においては、スペースデブリ除去装置11の前後方向と、格納部13aに格納された射出物12aの前後方向とが揃っているため、射出物12aを前後方向に垂直な方向へ移動させることで、射出物12aをスペースデブリ除去装置11に装填することが可能である。
【0081】
射出物12aがスペースデブリ除去装置11に装填された後、スペースデブリ除去システム1は、
図5の第2図~第4図に示すように、スペースデブリ除去装置11を、人工衛星の外周部14に向かって移動させてもよい。
図5の第2図~第4図において、スペースデブリ除去装置11は、格納部13aの側面に沿って、前方に移動している。
【0082】
スペースデブリ除去システム1は、
図5の第4図に示すように、スペースデブリ除去装置11の前端部が人工衛星の外周部14に到達したとき、スペースデブリ除去装置11の移動を停止させてもよい。そして、スペースデブリ除去装置11の前端部が人工衛星の外周部14上に位置する状態で、射出物12aが射出されてもよい。射出物12aが射出される態様については、前述の、
図3及び
図4の記載を、必要な範囲で採用できる。
【0083】
スペースデブリ除去装置11を移動させる態様は、特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、スペースデブリ除去システム1は、モータなどにより、スペースデブリ除去装置11を移動させてもよい。
【0084】
また、スペースデブリ除去装置11を移動させる位置、つまり、スペースデブリ除去装置11が射出物12aを射出する位置(射出位置)は、特に限定されず、適宜設計可能である。射出位置は、例えば、人工衛星の外周部14の外側であってもよく、人工衛星の外周部14上であってもよく、人工衛星の外周部14の内側であってもよい。スペースデブリ除去装置11は、所定の位置に移動した後に、射出物12aを射出することができる。また、スペースデブリ除去装置11は、射出物12aを装填した位置から移動せずに、射出物12aを射出してもよい。射出された射出物12aが、人工衛星、格納部13aなどに衝突する可能性を低くすることができるという観点からは、射出位置は、人工衛星の外周部14の外側、又は、人工衛星の外周部14上であることが好ましい。なお、射出位置には、スペースデブリ除去装置11の前端部(射出口)が位置されてもよい。
【0085】
なお、スペースデブリ除去システム1は、スペースデブリ除去装置11を射出位置に移動させる際以外にも、スペースデブリ除去装置11を移動させてよい。例えば、スペースデブリ除去システム1は、射出物12aを装填するために、スペースデブリ除去装置11を、所定の格納部13aの側面などに位置するように移動させてもよい。
【0086】
スペースデブリ除去システム1が複数の格納部13を備える場合には、制御装置111又は制御システムは、いずれの格納部13からスペースデブリ除去装置11へ射出物12を装填するかを特定してもよい。そして、制御装置111又は制御システムは、特定した格納部13から射出物12を装填できるように、スペースデブリ除去装置11を移動するよう制御してもよい。
【0087】
上述の、格納部13aに格納された射出物12aの移動、及びスペースデブリ除去装置11の移動は、制御装置111又は制御システムにより制御されてもよい。例えば、制御装置111又は制御システムは、格納部13aに格納された射出物12aの移動の開始及び/又は停止を制御してもよい。また、例えば、制御装置111又は制御システムは、スペースデブリ除去装置11の移動の開始及び/又は停止を制御してもよい。
【0088】
上記においては、射出物12が、面状に展開することが可能な面状部を備えない射出物12aである例を挙げたが、射出物12は、面状に展開することが可能な面状部を備える射出物12bであってもよい。
図6は、本発明の実施の形態に係る、射出物の例を示す概略図である。
図6(A)は、射出物12bの側面視においての概略図であり、
図6(B)は、射出物12bを先端側から視認した際の概略図である。
【0089】
図6(A)及び(B)に示す射出物12bは、本体部121、ノズル部122、面状部123、骨部124(124a、124b、124c、及び124d)、接続部125、展開機構部126(126a
1、126a
2、126b
1、126b
2、126c
1、126c
2、126d
1、及び126d
2)、及び展開防止部127を備えている。なお、
図6(A)では、射出物12bの側面視において手前側に存在する、骨部124d、及び展開機構部126d(126d
1、及び126d
2)の記載を省略している。また、
図6(B)では、展開防止部127の記載を省略している。
【0090】
本体部121及びノズル部122については、
図2における射出物12(12a)の本体部121及びノズル部122の記載を、必要な範囲で採用できる。
【0091】
接続部125は、本体部121と骨部124とを接続するものである。
図6において、本体部121と、4つの骨部124a~124dとは、接続部125を介して、物理的に接続されている。
【0092】
接続部125の形状は、特に限定されず、適宜設計可能である。接続部125の形状は、例えば、円柱形状であっても、角柱形状であっても、直方体形状であっても、球形状であっても、卵形状であっても、円錐形状であっても、角錐形状であってもよい。
図6において、接続部125は、略円柱形状を有している。また、接続部125の大きさは、特に限定されない。接続部125の大きさは、例えば、本体部121の大きさ、面状部123の大きさ、骨部124の長さなどに応じて、適宜設計可能である。
【0093】
骨部124は、面状部123が面状に展開するときに芯となり、面状部123を支えるものである。骨部124と面状部123とは、物理的に接続されていることが好ましい。
【0094】
骨部124の形状は、特に限定されず、適宜設計可能である。骨部124の形状は、例えば、棒状であってもよい。また、骨部124の長さは、特に限定されない。骨部124の長さは、例えば、面状部123の大きさなどに応じて、適宜設計可能である。
【0095】
骨部124の数は、特に限定されず、適宜設計可能である。骨部124の数は、例えば、3個であっても、4個であっても、8個であってもよい。
図6においては、骨部124の数が4個である例を記載している。
【0096】
骨部124が配置される態様は、特に限定されず、適宜設計可能である。骨部124は、射出物12bを先端側から視認した際に対称となるように配置されてもよい。
図6においては、4個の骨部124は、射出物12bを先端側から視認した際に左右対称かつ点対称となるように、十字に配置されている。
【0097】
また、骨部124は、
図6に示すように、折り畳まれていてもよい。
図6においては、骨部124(124a~124d)は、それぞれ、2か所で、内側に向けて折り畳まれている。また、骨部124が折り畳まれている箇所には、展開機構部126が備えられている。
【0098】
展開機構部126は、骨部124及び面状部123を展開するものである。展開機構部126が骨部124及び面状部123を展開する態様は、特に限定されず、適宜設計可能である。展開機構部126は、例えば、スプリングなどであってよい。
【0099】
なお、
図6において、骨部124aが折り畳まれた状態において、射出物12bの先端側に備えられた展開機構部を、展開機構部126a
1とし、射出物12bの後方側に備えられた展開機構部を、展開機構部126a
2とする。また、同様に、
図6において、骨部124b~124dが折り畳まれた状態において、射出物12bの先端側に備えられた展開機構部を、それぞれ、展開機構部126b
1~126d
1とし、射出物12bの後方側に備えられた展開機構部を、それぞれ、展開機構部126b
2~126d
2とする。
【0100】
骨部124の折り畳み箇所の数は、特に限定されず、適宜設計可能である。骨部124の折り畳み箇所の数は、例えば、1か所であっても、2か所であっても、3か所であってもよい。
【0101】
また、骨部124に備えられる展開機構部126の個数は、特に限定されず、適宜設計可能である。骨部124に備えられる展開機構部126の個数は、例えば、1個であっても、2個であっても、3個であってもよい。また、展開機構部126は、骨部124が折り畳まれている箇所以外に備えられてもよい。例えば、展開機構部126は、骨部124と接続部125とが接続している箇所に備えられてもよい。
【0102】
図6においては、射出物12bが展開防止部127を備えているため、骨部124及び面状部123は展開していない。展開防止部127は、骨部124及び面状部123が展開することを防止するものである。
【0103】
展開防止部127が骨部124及び面状部123の展開を防止する態様は、特に限定されず、適宜設計可能である。展開防止部127は、例えば、物理的に骨部124及び面状部123の展開を防止してもよく、電磁的に骨部124及び面状部123の展開を防止してもよい。展開防止部127が物理的に骨部124及び面状部123の展開を防止する場合、展開防止部127は、例えば、ゴムバンドであっても、紐であってもよい。展開防止部127が電磁的に骨部124及び面状部123の展開を防止する場合、展開防止部127は、例えば、電磁石であってもよい。
【0104】
図6において、展開防止部127は、骨部124及び面状部123を束ねることで、物理的に、骨部124及び面状部123が展開することを防止している。
【0105】
展開防止部127による骨部124及び面状部123の展開の防止が解除された場合、展開機構部126によって、骨部124及び面状部123が展開される。スペースデブリ除去システム1は、展開防止部127による展開の防止を解除する展開解除手段を備えていてもよい。展開解除手段は、物理的に展開の防止を解除してもよく、電磁的に展開の防止を解除してもよい。展開解除手段が物理的に展開の防止を解除する場合、展開解除手段は、展開防止部127を切断することで外してもよく、展開防止部127を切断せずに取り外してもよい。
【0106】
図7は、本発明の実施の形態に係る、射出物の展開機構を説明するための概略図である。
図7においては、射出物12bが展開する態様が、時系列に沿って、4つの図に示されている。以下、
図7において一番上に示された図を第1図、上から二番目に示された図を第2図、上から三番目に示された図を第3図、一番下に示された図を第4図とする。なお、
図7において、展開機構部126の記載は省略されている。また、
図7の第1図において、射出物12bの側面視において手前側に存在する、骨部124dの記載は省略されている。さらに、
図7の第2図~第4図において、射出物12bの側面視において奥側に存在する、骨部124cの記載は省略されている。
【0107】
図7の第1図に示すように、展開防止部127による展開の防止が解除された場合、
図7の第2図~第4図に示すように、骨部124の、折り畳まれた箇所が、展開機構部126によって展開していく。また、面状部123は、骨部124と物理的に接続されているため、骨部124が展開する際に、併せて、展開することとなる。
【0108】
なお、「骨部124及び面状部123が展開する」とは、骨部124及び面状部123が、射出物12bが射出される方向(以下、射出物12bの射出方向ともいう)に対して垂直な方向に広がることを指すものとする。また、「骨部124及び面状部123が、射出物12bの射出方向に対して垂直な方向に広がる」とは、骨部124及び面状部123の位置の変化をベクトルで表したときに、該ベクトルが、射出物12bの射出方向に対して垂直な方向のベクトル成分を有することを指すものとする。
【0109】
後述するように、射出物12bは、面状に展開した状態で、スペースデブリに向けて射出される。面状に展開した面状部123は、スペースデブリに到達すると、スペースデブリを包み込む、又は、スペースデブリに絡みつくことが可能である。そして、包み込んだ、又は、絡みついたスペースデブリの、移動、及び/又は、軌道変更を行うことができる。射出物12bは、スペースデブリが複数存在する場合には、複数のスペースデブリを、まとめて、移動、及び/又は、軌道変更することが可能である。
【0110】
また、スペースデブリ除去装置11と射出物12bとを、紐などにより物理的に接続しておくことで、包み込んだ、又は、絡みついたスペースデブリを回収することも可能である。
【0111】
面状部123を構成する素材は、特に限定されず、適宜設計可能である。面状部123を構成する素材は、例えば、ネットでも、布でも、樹脂製のシートでも、革でも、紙でもよい。
【0112】
面状部123と骨部124とを接続する態様は、特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、骨部124の少なくとも一部に、面状部123の少なくとも一部を物理的に接続してもよい。
図7においては、骨部124の先端に、面状部123の端部が、物理的に接続されている。
【0113】
射出物12bは、射出物12aと同様の射出機構により、スペースデブリ除去装置11の射出部から射出される。射出物12bは、射出物12aと同様、格納部の内部に格納され、スペースデブリ除去装置11に、順次、装填され、射出されてもよい。
【0114】
以下、スペースデブリ除去装置11に射出物12bが装填され、射出の準備が完了するまでの、射出準備機構について説明する。
図8は、本発明の実施の形態に係る、スペースデブリ除去装置の射出準備機構を説明するための概略図である。
図8は、スペースデブリ除去システム1を搭載した人工衛星の上面視の概略図である。つまり、
図8においては、人工衛星の外装の上面に、格納部と、スペースデブリ除去装置11が備えられていることとする。
【0115】
図8においては、スペースデブリ除去装置11に射出物12bが装填され、射出の準備が完了するまでの態様が、時系列に沿って、4つの図に示されている。以下、
図8において一番上に示された図を第1図、上から二番目に示された図を第2図、上から三番目に示された図を第3図、一番下に示された図を第4図とする。
図8において、スペースデブリ除去装置11が備える、制御装置111及びロック機構113の記載は省略されている。
【0116】
図8に示すスペースデブリ除去システム1は、スペースデブリ除去装置11、及び射出物12(12b)を格納する格納部13bを備えている。
図8において、スペースデブリ除去装置11は、格納部13bの側面に備えられている。スペースデブリ除去装置11、及び格納部13bは、人工衛星の外周部14に収まるように、人工衛星に搭載されている。なお、
図8においては、射出物12bについて、1つの射出物12bを除き、符号の記載を省略している。また、
図8においては、射出物12bが備える展開機構部126、及び展開防止部127の記載を省略している。
【0117】
スペースデブリ除去システム1が備える格納部13bの個数は、特に限定されず、適宜設計可能である。スペースデブリ除去システム1が備える格納部13bの個数は、例えば1個でも、5個でも、15個でも、30個でもよい。
【0118】
また、格納部13b及びスペースデブリ除去装置11の配置の態様は、特に限定されず、適宜設計可能である。スペースデブリ除去装置11は、例えば、格納部13bの側面に位置するように配置されてもよく、格納部13bの上面に位置するように配置されてもよい。
【0119】
図8において、格納部13bの内部には、9つの射出物12bを格納することが可能となっている。格納部13bの内部に格納する射出物12bの数は、特に限定されず、適宜設計可能である。格納部13bの内部に格納する射出物12bの数は、例えば、5個であっても、10個であっても、15個であってもよい。
【0120】
また、格納部13bの内部において、射出物12bは、本体部121同士が隣接するように配置されている。格納部13bの内部における、射出物12bの配置の態様は、特に限定されない。格納部13bの内部における、射出物12bの配置の態様は、格納部13bの形状、格納部13bの大きさ、格納部13bの内部に格納する射出物12bの数、射出物12bを格納部13bから射出部へ移動させる態様などに応じて、適宜設計可能である。
【0121】
スペースデブリ除去システム1は、格納部13bに格納された射出物12bを、スペースデブリ除去装置11の射出部へ、移動させることが可能であってもよい。射出物12bを格納部13bから射出部へ移動させる態様は、前述の、
図5における、射出物12aを格納部13aから射出部へ移動させる態様についての記載を、必要な範囲で採用できる。
【0122】
図8の第1図に示すように、格納部13bに格納された射出物12bは、該格納部13bの側面に備えられたスペースデブリ除去装置11の射出部へ移動させられることで、スペースデブリ除去装置11に装填されてもよい。
図8においては、スペースデブリ除去装置11の前後方向と、格納部13bに格納された射出物12bの前後方向とが揃っているため、射出物12bを前後方向に垂直な方向へ移動させることで、射出物12bをスペースデブリ除去装置11に装填することが可能である。
【0123】
射出物12bがスペースデブリ除去装置11に装填された後、スペースデブリ除去システム1は、
図8の第2図~第4図に示すように、スペースデブリ除去装置11を、人工衛星の外周部14に向かって移動させてもよい。
図8の第2図~第4図において、スペースデブリ除去装置11は、格納部13bの側面に沿って、前方に移動している。
【0124】
スペースデブリ除去システム1は、
図8の第4図に示すように、スペースデブリ除去装置11の前端部が人工衛星の外周部14に到達したとき、スペースデブリ除去装置11の移動を停止させてもよい。そして、スペースデブリ除去装置11の前端部が人工衛星の外周部14上に位置する状態で、展開防止部127による骨部124及び面状部123の展開の防止が解除され、骨部124及び面状部123が展開してもよい。そして、骨部124及び面状部123が展開した状態で、射出物12bが射出されてもよい。射出物12bが射出される態様については、前述の、
図3及び
図4の記載を、必要な範囲で採用できる。
【0125】
スペースデブリ除去装置11を移動させる態様は、特に限定されず、適宜設計可能である。スペースデブリ除去装置11を移動させる態様は、前述の、
図5についての記載を、必要な範囲で採用できる。
【0126】
また、スペースデブリ除去装置11を移動させる位置、つまり、スペースデブリ除去装置11が射出物12bを射出する位置(射出位置)は、特に限定されず、適宜設計可能である。射出位置は、例えば、人工衛星の外周部14の外側であってもよく、人工衛星の外周部14上であってもよく、人工衛星の外周部14の内側であってもよい。スペースデブリ除去装置11は、所定の位置に移動した後に、骨部124及び面状部123を展開し、射出物12bを射出することができる。また、スペースデブリ除去装置11は、射出物12bを装填した位置から移動せずに、骨部124及び面状部123を展開し、射出物12bを射出してもよい。
【0127】
射出物12bの骨部124及び面状部123が展開する際に、骨部124及び面状部123が人工衛星、格納部13bなどに接触する可能性を低くすることができるという観点からは、射出位置は、人工衛星の外周部14の外側、又は、人工衛星の外周部14上であることが好ましい。なお、射出位置には、スペースデブリ除去装置11の前端部(射出口)が位置されてもよい。
【0128】
あるいは、骨部124及び面状部123は、射出物12bを射出する際に展開されてもよく、骨部124及び面状部123は、射出物12bを射出した後に展開されてもよい。
【0129】
なお、スペースデブリ除去システム1は、スペースデブリ除去装置11を射出位置に移動させる際以外にも、スペースデブリ除去装置11を移動させてよい。例えば、スペースデブリ除去システム1は、射出物12bを装填するために、スペースデブリ除去装置11を、所定の格納部13bの側面などに位置するように移動させてもよい。
【0130】
上述の、格納部13bに格納された射出物12bの移動、及びスペースデブリ除去装置11の移動は、制御装置111又は制御システムにより制御されてもよい。例えば、制御装置111又は制御システムは、格納部13bに格納された射出物12bの移動の開始及び/又は停止を制御してもよい。また、例えば、制御装置111又は制御システムは、スペースデブリ除去装置11の移動の開始及び/又は停止を制御してもよい。
【0131】
また、展開防止部127による骨部124及び面状部123の展開の防止の解除は、制御装置111又は制御システムにより制御されてもよい。あるいは、展開防止部127による骨部124及び面状部123の展開の防止は、スペースデブリ除去装置11が射出位置に移動する間に、物理的に展開防止部127が切断されることにより解除されてもよい。この場合、格納部13bの側面などに、展開解除手段が備えられていてもよい。
【0132】
上記においては、格納部13a又は格納部13bが、平面上に、1つの段を構成するように配置される例を挙げたが、格納部13a及び/又は格納部13bは、立体的に、2つ以上の段を構成するように配置されてもよい。
図9は、本発明の実施の形態に係る、スペースデブリ除去装置及び格納部の構成例を示す概略図である。
図9に示すスペースデブリ除去装置及び格納部は、人工衛星の外装の上面に備えられるものとする。
【0133】
図9(A)は、15個の格納部13a(13a
1、13a
2、・・・、及び13a
15)と1個のスペースデブリ除去装置11の構成例を示す概略図である。なお、
図9(A)において、正面から視認しにくい8個の格納部13a(13a
7~13a
10、及び13a
12~13a
15)については、符号の記載を省略している。
図9(A)において、格納部13aは、5個で1つの段を構成するように配置されている。具体的には、格納部13a
1~13a
5が一番上の段を構成し、格納部13a
6~13a
10が真ん中の段を構成し、格納部13a
11~13a
15が一番下の段を構成している。
【0134】
図9(A)において、スペースデブリ除去装置11は、格納部13aの側面に配置されている。スペースデブリ除去装置11は、上下及び前後に移動することで、15個の格納部13aの各側面に位置することが可能である。スペースデブリ除去装置11は、それぞれの格納部13aの側面に位置している間に、それぞれの格納部13aの内部に備えられた射出物12aを装填することが可能であってよい。また、スペースデブリ除去装置11は、射出物12aを装填した状態で、射出位置まで移動し、射出物12aを射出してもよい。射出位置は、一番下の段のいずれかの位置であっても、真ん中の段のいずれかの位置であっても、一番上の段のいずれかの位置であってもよい。
【0135】
図9(B)は、3個の格納部13b(13b
1、13b
2、及び13b
3)と1個のスペースデブリ除去装置11の構成例を示す概略図である。
図9(B)において、格納部13bは、1個で1つの段を構成するように配置されている。具体的には、格納部13b
1が一番上の段を構成し、格納部13b
2が真ん中の段を構成し、格納部13b
3が一番下の段を構成している。
【0136】
図9(B)において、スペースデブリ除去装置11は、格納部13bの側面に配置されている。スペースデブリ除去装置11は、上下に移動することで、3個の格納部13bの各側面に位置することが可能である。スペースデブリ除去装置11は、それぞれの格納部13bの側面に位置している間に、それぞれの格納部13bの内部に備えられた射出物12bを装填することが可能であってよい。また、スペースデブリ除去装置11は、射出物12bを装填した状態で、射出位置まで移動し、射出物12bを射出してもよい。射出位置は、一番下の段のいずれかの位置であっても、真ん中の段のいずれかの位置であっても、一番上の段のいずれかの位置であってもよい。
【0137】
図9(C)は、5個の格納部13a(13a
16、13a
17、・・・、及び13a
20)と2個の格納部13b(13b
4、及び13b
5)と1個のスペースデブリ除去装置11の構成例を示す概略図である。
図9(C)において、格納部13aは、5個で1つの段を構成するように配置されている。また、
図9(C)において、格納部13bは、1個で1つの段を構成するように配置されている。具体的には、格納部13a
16~13a
20が一番上の段を構成し、格納部13b
4が真ん中の段を構成し、格納部13b
5が一番下の段を構成している。
【0138】
図9(C)において、スペースデブリ除去装置11は、格納部13a又は格納部13bの側面に配置されている。スペースデブリ除去装置11は、上下及び前後に移動することで、5個の格納部13a及び2個の格納部13bの各側面に位置することが可能である。スペースデブリ除去装置11は、それぞれの格納部13a又は格納部13bの側面に位置している間に、それぞれの格納部13a又は格納部13bの内部に備えられた射出物12a又は射出物12bを装填することが可能であってよい。また、スペースデブリ除去装置11は、射出物12a又は射出物12bを装填した状態で、射出位置まで移動し、射出物12a又は射出物12bを射出してもよい。射出位置は、一番下の段のいずれかの位置であっても、真ん中の段のいずれかの位置であっても、一番上の段のいずれかの位置であってもよい。
【0139】
スペースデブリ除去システム1が複数の格納部13を備える場合には、制御装置111又は制御システムは、いずれの格納部13からスペースデブリ除去装置11へ射出物12を装填するかを特定してもよい。そして、制御装置111又は制御システムは、特定した格納部13から射出物12を装填できるように、スペースデブリ除去装置11を移動するよう制御してもよい。
【0140】
なお、上記の格納部13は、独立した装置と捉えることもできる。つまり、上記の格納部13は、射出物を格納する格納部と、格納部からスペースデブリ除去装置へ射出物を移動させる射出物移動手段とを備えた、射出物格納装置であってもよい。また、射出物格納装置には、上記のように、スペースデブリ除去装置11を取り付けることが可能であってもよい。その場合、射出物格納装置の格納部に格納された射出物12の移動、及びスペースデブリ除去装置11の移動は、制御装置111又は制御システムにより制御されてもよく、射出物格納装置に備えられた制御部により制御されてもよい。
【0141】
また、スペースデブリ除去システム1は、複数のスペースデブリ除去装置11を備えていてもよい。例えば、人工衛星の外装のいずれか1つの面上に、格納部13と、複数のスペースデブリ除去装置11とが備えられてもよい。あるいは、例えば、人工衛星の外装のうち、複数の面上に、複数の格納部13と、複数のスペースデブリ除去装置11とが備えられてもよい。
【0142】
なお、スペースデブリ除去システム1を構成する装置等を構成する素材は、特に限定されず、適宜設計可能である。スペースデブリ除去システム1を構成する装置等を構成する素材は、宇宙空間内での使用、高温下での使用、打ち上げる際の衝撃などに耐え得るものであることが好ましい。
【0143】
本発明のスペースデブリ除去システム1は、スペースデブリの位置、移動方向、移動速度など(以下、スペースデブリの位置に関する情報ともいう)を特定し、該スペースデブリに向かって射出物12を射出することが可能であってもよい。以下、スペースデブリの位置に関する情報を特定する態様について説明する。
【0144】
図10は、本発明の実施の形態に係る、位置特定処理のフローチャートである。
【0145】
スペースデブリ除去システム1は、宇宙空間を撮像した画像を取得する(ステップS101)。次に、スペースデブリ除去システム1は、スペースデブリ除去装置11とスペースデブリとの距離を特定する(ステップS102)。そして、スペースデブリ除去システム1は、ステップS101において取得された宇宙空間の画像、及び、ステップS102において特定されたスペースデブリ除去装置11とスペースデブリとの距離により、スペースデブリの位置に関する情報を特定し(ステップS103)、位置特定処理を終了する。
【0146】
ステップS101~ステップS103の処理は、スペースデブリ除去システム1が備えるいずれの装置、機能部、又はシステムにより実行されてもよい。ステップS101~ステップS103の処理は、例えば、スペースデブリ除去装置11が備える制御装置111により実行されてもよく、スペースデブリ除去装置11を搭載する人工衛星が備える制御システムにより実行されてもよい。以下、ステップS101~ステップS103の処理が、スペースデブリ除去装置11を搭載する人工衛星が備える制御システムにより実行される例を中心に説明する。
【0147】
ステップS101において、宇宙空間を撮像した画像を取得する方法は、特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、スペースデブリ除去システム1がカメラなどの撮像装置を備え、該撮像装置が、宇宙空間を撮像してもよい。また、該撮像装置により撮像された画像が、制御システムへ送信されてもよい。該撮像装置は、スペースデブリ除去装置11を搭載する人工衛星の外装に搭載してもよい。
【0148】
あるいは、スペースデブリ除去装置11を搭載する人工衛星がカメラなどの撮像装置を備えている場合には、人工衛星が備える撮像装置により撮像された画像が、制御システムへ送信されてもよい。あるいは、他の人工衛星が備える撮像装置により撮像された画像が、スペースデブリ除去装置11を搭載する人工衛星が備える制御システムへ送信されてもよい。他の人工衛星は、他のスペースデブリ除去装置11を搭載するものでもよく、他のスペースデブリ除去装置11を搭載しないものでもよい。
【0149】
「宇宙空間を撮像した画像」は、宇宙空間の内部を撮像した画像であればよく、特に限定されない。「宇宙空間を撮像した画像」は、動画像であってもよく、静止画像であってもよい。「宇宙空間を撮像した画像」には、宇宙空間内に存在するスペースデブリの一部又は全部が写っていることが好ましい。スペースデブリの存在、及び、スペースデブリが移動している方向を特定することが容易であるという観点からは、「宇宙空間を撮像した画像」は、宇宙空間、及び、該宇宙空間内に存在するスペースデブリの全部(全体像)が写っている動画像であることが好ましい。
【0150】
ステップS102において、スペースデブリ除去装置11とスペースデブリとの距離を特定する方法は、特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、スペースデブリ除去システム1は、レーザー光を利用することで、スペースデブリ除去装置11とスペースデブリとの距離を特定してもよい。その場合、スペースデブリ除去システム1は、レーザー距離計を備えていてもよい。レーザー距離計は、出力が大きく、消費電力が小さいものであることが好ましい。
【0151】
レーザー距離計は、ステップS101において撮像された画像に写っているスペースデブリに対してレーザー光を照射し、スペースデブリにより反射したレーザー光が受光部に到達するまでの時間を基に、レーザー距離計とスペースデブリとの距離を計測することができる。レーザー距離計は、計測した距離を制御システムへ送信してもよい。
【0152】
制御システムは、レーザー距離計から受信したレーザー距離計とスペースデブリとの距離、人工衛星においてレーザー距離計が備えられている位置、及び、人工衛星においてスペースデブリ除去装置11が備えられている位置を基に、スペースデブリ除去装置11とスペースデブリとの距離を特定することができる。人工衛星においてレーザー距離計が備えられている位置、及び、人工衛星においてスペースデブリ除去装置11が備えられている位置に関する情報は、予め、制御システムに記憶されていてもよい。スペースデブリ除去システム1が複数のスペースデブリ除去装置11を備える場合には、スペースデブリ除去システム1は、次に射出物12を射出するスペースデブリ除去装置11とスペースデブリとの距離を特定してもよい。
【0153】
ステップS103における、「スペースデブリの位置に関する情報」には、スペースデブリの位置、スペースデブリの移動方向、スペースデブリの移動速度などが含まれ得る。スペースデブリの位置は、スペースデブリ除去装置11に対するスペースデブリの相対的な位置でもよく、所定の座標系等により表されるスペースデブリの絶対的な位置でもよい。また、スペースデブリの移動方向は、スペースデブリ除去装置11に対するスペースデブリの相対的な移動方向でもよく、所定の座標系等により表されるスペースデブリの絶対的な移動方向でもよい。
【0154】
ステップS103において、スペースデブリの位置に関する情報を特定する方法は、特に限定されず、適宜設計可能である。
【0155】
制御システムは、例えば、ステップS101において取得された宇宙空間の画像を基に、スペースデブリが存在する方向を特定してもよい。そして、スペースデブリが存在する方向、及び、ステップS102において特定されたスペースデブリ除去装置11とスペースデブリとの距離を基に、スペースデブリの位置を特定してもよい。
【0156】
また、制御システムは、例えば、スペースデブリの位置を所定の時間ごとに特定することで、スペースデブリの移動方向、及び/又は、スペースデブリの移動速度を特定してもよい。
【0157】
あるいは、制御システムは、例えば、ステップS101において取得された宇宙空間の画像を基に、スペースデブリの移動方向を特定してもよい。
【0158】
上記のような位置特定処理により特定されたスペースデブリの位置に関する情報を基に、制御システムは、射出物12を射出する方向を特定してもよい。また、制御システムは、スペースデブリの位置に関する情報と併せて、スペースデブリ除去装置11を搭載した人工衛星の移動の状況、スペースデブリ除去装置11の射出物12の射出速度(移動速度)などの情報を利用して、射出物12を射出する方向を特定してもよい。
【0159】
スペースデブリ除去システム1が複数のスペースデブリ除去装置11を備える場合には、制御システムは、いずれのスペースデブリ除去装置11から射出物12を射出するかを特定してもよい。スペースデブリ除去システム1は、特定されたスペースデブリ除去装置11の射出口が、特定された方向を向くように、人工衛星、及び/又は、スペースデブリ除去装置11の向きを変更させることができる。人工衛星、及び/又は、スペースデブリ除去装置11の向きの変更は、制御システムにより制御され、実行されてもよい。特定されたスペースデブリ除去装置11の射出口が、特定された方向を向いた状態で、以下のような射出処理が実行されてもよい。
【0160】
図11は、本発明の実施の形態に係る、射出処理のフローチャートである。
【0161】
スペースデブリ除去システム1は、射出物12を、装填位置へ移動させる(ステップS201)。次に、スペースデブリ除去システム1は、スペースデブリ除去装置11を、射出位置へ移動させる(ステップS202)。スペースデブリ除去システム1は、押出機構112によるノズル部122の押圧を開始する(ステップS203)。スペースデブリ除去システム1は、ロック機構113による射出物12の固定を開始する(ステップS204)。スペースデブリ除去システム1は、押出機構112によるノズル部122の押圧を停止する(ステップS205)。スペースデブリ除去システム1は、ロック機構113による射出物12の固定を解除し(ステップS206)、射出処理を終了する。
【0162】
ステップS201における、射出物12の移動は、スペースデブリ除去装置11が備える制御装置111又は人工衛星が備える制御システムにより制御されてもよい。例えば、制御装置111又は制御システムは、格納部13に格納された射出物12の移動の開始及び/又は停止を制御してもよい。スペースデブリ除去装置11に射出物12が装填された状態で、ステップS202が実行されてもよい。
【0163】
ステップS202における、スペースデブリ除去装置11の移動は、スペースデブリ除去装置11が備える制御装置111又は人工衛星が備える制御システムにより制御されてもよい。例えば、制御装置111又は制御システムは、スペースデブリ除去装置11の移動の開始及び/又は停止を制御してもよい。スペースデブリ除去装置11が射出位置に到達した状態で、ステップS203が実行されてもよい。
【0164】
ステップS203における、ノズル部122の押圧の開始は、スペースデブリ除去装置11が備える制御装置111により制御されてもよい。制御装置111は、制御システムから、射出物12を射出するためのコマンド、又は、射出物12を射出するためのトリガーとなる信号を受信したことに応じて、ノズル部122の押圧を開始するよう制御してもよい。
【0165】
ステップS204における、ロック機構113による射出物12の固定の開始は、スペースデブリ除去装置11が備える制御装置111により制御されてもよい。
【0166】
ステップS205における、ノズル部122の押圧の停止は、スペースデブリ除去装置11が備える制御装置111により制御されてもよい。
【0167】
ステップS206における、射出物12の固定の解除は、スペースデブリ除去装置11が備える制御装置111により制御されてもよい。制御装置111は、制御システムから、射出物12を射出するためのコマンド、又は、射出物12を射出するためのトリガーとなる信号を受信したことに応じて、射出物12の固定を解除するよう制御してもよい。射出物12の固定が解除されると、射出物12は、スペースデブリ除去装置11の射出口から射出される。
【0168】
ステップS201~ステップS206の各処理の具体的な態様は、前述の記載を、必要な範囲で参照できる。
【0169】
なお、スペースデブリ除去装置11の射出部に射出物12が装填された状態である場合には、ステップS201は行われなくともよい。また、スペースデブリ除去システム1が格納部13を備えない場合には、ステップS201及びステップS202は行われなくともよい。
【0170】
また、ステップS201及びステップS202は、スペースデブリ除去装置11の射出口が、特定された方向を向いた状態となる前に実行されていてもよい。そして、スペースデブリ除去装置11の射出口が、特定された方向を向いた状態となった場合に、ステップS203におけるノズル部122の押圧の開始が行われてもよい。
【0171】
あるいは、ステップS201~ステップS205は、スペースデブリ除去装置11の射出口が、特定された方向を向いた状態となる前に実行されていてもよい。そして、スペースデブリ除去装置11の射出口が、特定された方向を向いた状態となった場合に、ステップS206における射出物12の固定の解除が行われ、射出物12が射出されてもよい。
【0172】
スペースデブリ除去システム1が複数の射出物12を備える場合、スペースデブリ除去システム1は、スペースデブリ除去装置11から射出物12を射出した後、他の射出物12をスペースデブリ除去装置11に装填するように制御を開始してもよい。例えば、スペースデブリ除去システム1は、スペースデブリ除去装置11から射出物12を射出した後、いずれかの格納部13から射出物12を装填することが可能な位置に、スペースデブリ除去装置11を移動させるよう制御してもよい。スペースデブリ除去装置11がいずれかの格納部13から射出物12を装填することが可能な位置に配置された後に、射出物12を射出する態様については、上記の射出処理の記載を必要な範囲で採用できる。
【0173】
スペースデブリ除去システム1が複数のスペースデブリ除去装置11を備える場合、スペースデブリ除去システム1は、所定のスペースデブリ除去装置11から射出物12を射出した後、同じスペースデブリ除去装置11から射出物12を射出するように制御してもよく、他のスペースデブリ除去装置11から射出物12を射出するように制御してもよい。あるいは、スペースデブリ除去システム1が複数のスペースデブリ除去装置11を備える場合、スペースデブリ除去システム1は、複数のスペースデブリ除去装置11から同時に射出物12を射出するように制御してもよい。
【0174】
このように、スペースデブリ除去システムが、射出物を射出することによりスペースデブリを除去するスペースデブリ除去装置と、射出物とを備え、スペースデブリ除去装置が、射出物を射出する射出部を備え、射出部が、圧縮した気体が噴射する際の噴射圧を利用して射出物を射出することで、新規なスペースデブリ除去システムを提供することができる。
【0175】
本発明のスペースデブリ除去システムは、人工衛星に搭載され、ロケットによって宇宙空間に運搬される。そのため、スペースデブリ除去システムは、安価で、軽量であることが好ましい。本発明のスペースデブリ除去装置は、圧縮した気体が噴射する際の噴射圧を利用して射出物を射出するため、構造が単純で、必要となる部品の点数も少ない。よって、安価で、軽量なスペースデブリ除去システムを提供することが可能である。
【0176】
また、このように、射出物が、内部に圧縮した気体を封入した本体部を備え、射出部が、本体部から該圧縮した気体を噴射させることにより射出物を射出することで、射出物から圧縮した気体を噴射させることにより、射出物を射出することができる。
【0177】
さらに、このように、射出物が、圧縮した気体を噴射するための噴射口を塞ぐ閉塞手段を備え、射出部が、該噴射口を開く開放手段を備えることで、射出物の内部に圧縮した気体を封入すること、及び、射出物の内部から圧縮した気体を噴射させることができる。
【0178】
また、このように、射出物が、本体部の内部の圧縮した気体を外部に噴出させることが可能なノズル部を備えることで、圧縮した気体を所定の方向へ噴出することができる。
【0179】
さらに、このように、開放手段が、ノズル部を本体部の内部に押圧し、閉塞手段を本体部の内部に移動させることで、噴射口を開くことにより、ノズル部を押圧することで噴射口を開くことができる。
【0180】
また、このように、射出部が、射出物を射出部の内部に固定する固定手段を備え、射出部が、固定手段による射出物の固定が解除されたときに、射出物を射出することで、任意のタイミングで射出物を射出することができる。
【0181】
さらに、このように、スペースデブリ除去システムが、射出物を格納する格納部と、格納部から射出部へ射出物を移動させる射出物移動手段とを備えることで、射出物を格納すること、及び、射出物を射出部へ装填することができる。
【0182】
また、このように、スペースデブリ除去システムが、スペースデブリ除去装置を移動させる装置移動手段を備え、射出部が、スペースデブリ除去装置が所定の位置に移動した後に、射出物を射出することで、所定の位置で射出物を射出することができる。
【0183】
さらに、このように、宇宙空間を撮像した画像を取得する画像取得手段と、レーザー光を利用することで、スペースデブリ除去装置とスペースデブリとの距離を特定する距離特定手段と、画像取得手段により取得された宇宙空間の画像、及び、距離特定手段により特定されたスペースデブリ除去装置とスペースデブリとの距離により、スペースデブリの位置に関する情報を特定する位置特定手段とを備えることで、スペースデブリの位置を特定することができる。
【0184】
なお、宇宙空間の画像、及び、スペースデブリ除去装置とスペースデブリとの距離によりスペースデブリの位置に関する情報を特定するシステムは、射出物を射出せずにスペースデブリを除去するシステムにおいても、利用することができる。つまり、宇宙空間を撮像した画像を取得する画像取得手段と、スペースデブリ除去装置とスペースデブリとの距離を特定する距離特定手段と、画像取得手段により取得された宇宙空間の画像、及び、距離特定手段により特定されたスペースデブリ除去装置とスペースデブリとの距離により、スペースデブリの位置に関する情報を特定する位置特定手段とを備える、スペースデブリ位置特定システムは、単独で利用することが可能である。また、スペースデブリ除去装置とスペースデブリとの距離は、レーザー光を利用して特定してもよい。
【符号の説明】
【0185】
1 スペースデブリ除去システム
11 スペースデブリ除去装置
12 射出物
13 格納部
14 人工衛星の外周部
20 矢印
111 制御装置
112 押出機構
113 ロック機構
114 筐体
121 本体部
122 ノズル部
123 面状部
124 骨部
125 接続部
126 展開機構部
127 展開防止部
1121 アクチュエータ部
1122 押出部
1123 押圧部
1124 押圧シール部
1211 突起部
1212 本体開口部
1213 閉塞手段
1214 本体シール部
1221 パイプ部
1222 先端部
1223 ノズル開口部