(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005298
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】蒸気抜きラベル
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105452
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 健太郎
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA04
3E013BB06
3E013BB09
3E013BC04
3E013BC14
3E013BE01
3E013BF02
3E013BF27
3E013BF37
(57)【要約】
【課題】加熱した際に発生する水蒸気を良好逃がしつつ、内部への水分の侵入を抑制でき、かつ水分の多いものであっても液漏れが起こりにくい蒸気抜きラベルを提供する。
【解決手段】蒸気抜き穴5が設けられている部材2に貼付される蒸気抜きラベル1であって、平面視において蒸気抜き穴5を含む範囲を覆うフィルム体3と、フィルム体3を部材2に貼付するために部材2に貼付された状態でフィルム体3と部材2との間に位置する貼着部8と、を有し、フィルム体3に蒸気抜き部6が形成され、部材2に貼付された状態で、平面視において蒸気抜き穴5及び蒸気抜き部6の周囲に貼着部8が位置し、かつ、蒸気抜き穴5の位置と蒸気抜き部6の位置とが異なることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気抜き穴が設けられている部材に貼付される蒸気抜きラベルであって、
平面視において前記蒸気抜き穴を含む範囲を覆うフィルム体と、
前記フィルム体を前記部材に貼付するために前記部材に貼付された状態で前記フィルム体と前記部材との間に位置する貼着部と、を有し、
前記フィルム体に蒸気抜き部が形成され、
前記部材に貼付された状態で、平面視において、前記蒸気抜き穴及び前記蒸気抜き部の周囲に前記貼着部が位置し、かつ、前記蒸気抜き穴の位置と前記蒸気抜き部の位置とが異なる、蒸気抜きラベル。
【請求項2】
前記部材に前記フィルム体が貼付された状態で平面視において、
前記貼着部で囲まれた、前記部材の上面に逆止構造を有し、
前記フィルム体が、前記蒸気抜き穴を覆う部分と前記逆止構造を覆う部分とを有している、請求項1に記載の蒸気抜きラベル。
【請求項3】
前記部材に前記フィルム体が貼付された状態で平面視において、
前記部材とは反対側の前記フィルム体の表面にスペーサーが設けられ、
前記スペーサーは、前記貼着部の少なくとも一部と重なる位置に設けられている、請求項1に記載の蒸気抜きラベル。
【請求項4】
前記フィルム体の厚さが、20μm以上かつ200μm以下である、請求項1に記載の蒸気抜きラベル。
【請求項5】
前記フィルム体が、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンで形成されている、請求項1に記載の蒸気抜きラベル。
【請求項6】
前記スペーサーの厚さが、20μm以上かつ200μm以下である、請求項3に記載の蒸気抜きラベル。
【請求項7】
前記逆止構造が、前記部材の上面に形成された凸部である、請求項2に記載の蒸気抜きラベル。
【請求項8】
前記蒸気抜き部が、線状の切込線として形成されている、請求項1に記載の蒸気抜きラベル。
【請求項9】
前記切込線が複数形成され、複数の前記切込線のうちの少なくとも一部が相互に交差している、請求項8に記載の蒸気抜きラベル。
【請求項10】
前記貼着部が、少なくとも、平面視において向かい合う一対の貼着線部を有する、請求項1に記載の蒸気抜きラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋材などの蒸気抜き開口を覆うように取り付けられる蒸気抜きラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子レンジで加熱する食品を収容した容器において、加熱時に発生する水蒸気を逃がす蒸気抜きラベルが各種提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の通気ラベルは、包装体に貼り付け可能に構成される通気ラベルであって、粘着層は、包装体に対して剥離性及び再粘着性を有する剥離粘着領域と、包装体に対する剥離強度が剥離粘着領域よりも高い貼付領域とを備え、剥離吸着領域が、枠状の粘着層の内周縁から外周縁まで形成された構成が開示されている。この構成であれば、包装体内部から外部環境へ気体の放出を可能にするとともに包装体内部と外部環境との間の気圧差を解消することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、加熱した際に発生する水蒸気を逃がす、この種の蒸気抜きラベルにおいて課題となっている点として以下のようなものがある。
【0006】
蒸気抜きラベルは蒸気を良好に抜くことを本来の目的としているので、蒸気抜きラベルに形成される蒸気抜き開口はできるだけ大きく形成することが好ましい。しかし、蒸気抜き開口を大きく形成すれば、容器が左右に大きく揺れた場合や、また、容器がひっくり返った場合には、蒸気抜き開口から水分が漏れてしまう課題があった。
【0007】
蒸気抜きラベルの蒸気抜き開口から抜けた蒸気は、自然と冷却され、蒸気抜き開口の周辺や内面には水分が付着することになる。従来の構成では、この水分が蓋材に予め形成された蒸気抜き穴から容器内部の食品上に落ちたりすることもあった。このように水分が食品上に落ちることは食品の食感を低下させる一因になっていた。
【0008】
本発明は上記各課題を解決するためになされたものである。
本発明の目的は、加熱した際に発生する水蒸気を良好に逃がしつつ、内部への水分の侵入を抑制でき、かつ水分の多いものであっても液漏れが起こりにくい蒸気抜きラベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様に係る蒸気抜きラベルは、
蒸気抜き穴が設けられている部材に貼付される蒸気抜きラベルであって、
平面視において前記蒸気抜き穴を含む範囲を覆うフィルム体と、
前記フィルム体を前記部材に貼付するために前記部材に貼付された状態で前記フィルム体と前記部材との間に位置する貼着部と、を有し、
前記フィルム体に蒸気抜き部が形成され、
前記部材に貼付された状態で、平面視において、前記蒸気抜き穴及び前記蒸気抜き部の周囲に前記貼着部が位置し、かつ、前記蒸気抜き穴の位置と前記蒸気抜き部の位置とが異なる、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第2態様は、前記第1態様に記載の蒸気抜きラベルであって、
前記部材に前記フィルム体が貼付された状態で平面視において、
前記貼着部で囲まれた、前記部材の上面に逆止構造を有し、
前記フィルム体が、前記蒸気抜き穴を覆う部分と前記逆止構造を覆う部分とを有している、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第3態様は、前記第1態様に記載の蒸気抜きラベルであって、
前記部材に前記フィルム体が貼付された状態で平面視において、
前記部材とは反対側の前記フィルム体の表面にスペーサーが設けられ、
前記スペーサーは、前記貼着部の少なくとも一部と重なる位置に設けられている、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第4態様は、前記第1態様に記載の蒸気抜きラベルであって、
前記フィルム体の厚さが、20μm以上かつ200μm以下である、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第5態様は、前記第1態様に記載の蒸気抜きラベルであって、
前記フィルム体が、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンで形成されている、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第6態様は、前記第3態様に記載の蒸気抜きラベルであって、
前記スペーサーの厚さが、20μm以上かつ200μm以下である、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第7態様は、前記第2態様に記載の蒸気抜きラベルであって、
前記逆止構造が、前記部材の上面に形成された凸部である、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第8態様は、前記第1態様に記載の蒸気抜きラベルであって、
前記蒸気抜き部が、線状の切込線として形成されている、ことを特徴とする。
【0017】
本発明の第9態様は、前記第8態様に記載の蒸気抜きラベルであって、
前記切込線が複数形成され、複数の前記切込線のうちの少なくとも一部が相互に交差している、ことを特徴とする。
【0018】
本発明の第10態様は、前記第1態様に記載の蒸気抜きラベルであって、
前記貼着部が、少なくとも、平面視において向かい合う一対の貼着線部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明であれば、加熱した際に発生する水蒸気を良好逃がしつつ、内部への水分の侵入を抑制でき、かつ水分の多いものであっても液漏れが起こりにくい蒸気抜きラベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態に係る蒸気抜きラベルを取り付けた容器の縦断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る蒸気抜きラベルの要部拡大縦断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る蒸気抜きラベルの平面図である。
【
図4】第2実施形態に係る蒸気抜きラベルの要部拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る一実施形態である蒸気抜きラベルについて説明する。なお、各図は、本発明の構成を説明するための模式的な図であり、部材相互の寸法関係を厳密に規定するものではない。
【0022】
[第1実施形態]
図1~
図3は、第1実施形態を説明するための図であり、
図1は容器の蓋部に蒸気抜きラベルを取り付けた構成の一例を示す縦断面図、
図2は本実施形態の特徴構成を抜き出して描いた要部拡大縦断面図、
図3は蒸気抜きラベルの一例を示す平面図である。
【0023】
なお、蒸気抜きラベル1は、
図1に例示するように容器21の蓋部2aのほぼ全面を覆うように設けられた大面積のラベルとして構成される場合や、
図3に示すように蓋部2aに形成された蒸気抜き穴5を覆う、比較的小面積のラベルとして構成される場合がある。なお、
図1において蒸気抜き穴5と蒸気抜き部6は省略して描いている。
【0024】
図1~
図3に示す本実施形態に係る蒸気抜きラベル1の説明において、蓋部2aの平面内に含まれる一の方向(例えば横方向、左右方向)をX方向で示している。平面内で一の方向に直交する方向(例えば前後方向)をY方向で示している。Z方向は、平面内にあるX方向とY方向に対して共に直交する方向(本実施形態では上下方向)を示している。また、Z方向に沿う視線が平面視であり、Z方向に沿う断面が縦断面である。
【0025】
<蒸気抜きラベル1の構成>
蒸気抜きラベル1は、蒸気抜き穴5が設けられている部材2に貼付されるラベルである。この実施形態では、部材2が、加熱される食品が収容された容器21の上端面の開口22を塞ぐ蓋部2aである場合を例にして説明する。蒸気抜き穴5は、食品に含まれる水分を蒸気として良好に排出するために適宜、蓋部2aの好ましい位置に設けられる。
【0026】
蒸気抜きラベル1は、少なくとも、平面視において蒸気抜き穴5を含む範囲を覆うフィルム体3と、フィルム体3を蓋部2aに貼付するための貼着部8を有している。
【0027】
フィルム体3には蒸気抜き部6が形成されている。蒸気抜き部6は基本的に蒸気を抜く部分であれば、個数、構成、及び形状は特に限定されないが、フィルム体3に形成される複数の切込線15で構成されることが好ましい。
【0028】
フィルム体3は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの熱収縮性を有しない樹脂、紙などで構成されるが、蒸気抜き部6を設ける点において、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンで構成することが好ましい。これらの材質を採用すれば、水蒸気の熱で変形することを防止できる。また、それ以外の耐熱性の低い樹脂を採用すれば、水蒸気の熱で変形してしまう虞れがある。
【0029】
フィルム体3の厚さは、20μm以上かつ200μm以下に設定されてよい。フィルム体3の厚さが20μmよりも薄いと、容器21の中身の液が蒸気抜き部6に来たときに液漏れが起こってしまう不都合が生じる。一方、フィルム体3の厚さが200μmよりも厚いと、切込線15などで構成される蒸気抜き部6の抵抗が大きくなり、水蒸気が良好に逃げなくなってしまう可能性がある。液漏れの的確な防止や良好な蒸気抜きの確保などの点において、フィルム体3の厚さは、30μm以上かつ130μm以下であることが好ましく、45μm以上かつ120μm以下であることがより好ましい。
【0030】
貼着部8は、フィルム体3と蓋部2aの間に位置する貼着領域で構成され、平面視において蒸気抜き穴5と蒸気抜き部6との周囲を囲むように形成される。つまり、貼着部8を設けることで、蒸気抜き穴5と蒸気抜き部6とが連通するとともに、蒸気が漏れない閉鎖空間である蒸気通路7が形成されることになる。貼着部8の形状は、蒸気抜き穴5と蒸気抜き部6とを連通させることができるとともに、蒸気抜き穴5から出た蒸気が蒸気抜き部6から抜けるような蒸気通路7が形成されるものであれば特に限定されない。例えば、貼着部8の囲み形状は、平面視において、矩形の枠状、円形の環状、略楕円形の環状、及び蓋部の周縁に沿う形状であってよく、その他の形状であってもよい。
【0031】
また、蒸気抜きラベル1は、
図2に示すように、蒸気抜き穴5と蒸気抜き部6とは、平面視において重ならないように各々の位置をずらして設けられている。重ならないように位置をずらして設けることで、蒸気抜き部6に付着した水分が蒸気抜き穴5から容器21の内部の食品に侵入(浸入)する可能性を低減できる。ずらす距離(言い換えると、平面視における蒸気抜き穴5と蒸気抜き部6との最短距離)は、蒸気が良好に抜け、かつ水分が蒸気抜き穴5から食品上に落ちることを抑制できる距離であれば限定されない。
【0032】
ずらす距離は、5mm以上かつ50mm以下に設定されてよい。ずらす距離が5mmよりも小さいと、蒸気抜き部6に付着した水分が蒸気抜き穴5から容器21の内部へと侵入してしまう可能性がある。一方、ずらす距離が50mmよりも大きいと、蒸気抜きラベル1が巨大になってしまい、蒸気抜きラベル1の汎用性が低減してしまう。良好な蒸気抜きの確保や容器21内への水分の侵入の抑制などの点において、ずらす距離(言い換えると、平面視における蒸気抜き穴5と蒸気抜き部6との最短距離)は、5mm以上かつ50mm以下であることが好ましく、7mm以上かつ30mm以下であることがさらに好ましく、10mm以上かつ20mm以下であることが最も好ましい。
【0033】
図3に示す構成では、切込線15によって蒸気抜き部6が形成されている。切込線15は複数個設けられ、それらの複数の切込線15の少なくとも一部が相互に交差している形状にすることが好ましい。
図3に示す構成では、×形状(バツ形状)の切込線15が横方向に3個、前後方向に3個、合計9個の×部分が設けられている例が示してある。これら全体で蒸気抜き部6を構成している。
図3に示すような線分が交差する構成を採用すれば、複数の直線を平行に並べた構成に比べて、良好な蒸気抜きを確保しつつ、引っ掛かりによるフィルム体3の破損や、外部からの異物又は水分の侵入を防ぐ点において優れている。なお、切込線15は、1個(1本)のみ形成されるようにしてもよい。
【0034】
蒸気通路7には逆止構造9が設けられる。
この実施形態では、逆止構造9を蓋部2aの上面に形成された凸部で形成した例を示している。凸部は凸条として構成することもできる。また、必要に応じて複数の凸部が隙間を介して、例えば、前後方向(Y方向)に延びるように線状に配設した構成でもよい。
【0035】
逆止構造9は蒸気通路7内で、所謂、逆止弁的機能を発揮するために設けられる。
つまり、逆止構造9は、蒸気抜き穴5から噴出した蒸気が蒸気抜き部6に向かって流れやすく、蒸気抜き部6に付着した水分が蒸気抜き穴5に向けて侵入することを抑制する構成である。上記機能を実現する構成であれば、凸部又は凸条以外の突出構成も採用が可能である。
【0036】
なお、加熱による蒸気抜きが行われておらず、蓋部2aの上面とフィルム体3の下面との間の蒸気通路7内に圧がかけられていない状態では、蓋部2aの上面とフィルム体3の下面との間の水分は、表面張力によって蓋部2aの上面とフィルム体3の下面との間に保持され且つ逆止構造9によって移動が制限される。これにより、蒸気が自然と冷却された水分が蒸気抜き部6の側から蒸気抜き穴5の側へと移動することが制限され、また、蒸気抜き穴5から漏れ出た水分が蒸気抜き部6の側へと移動することが制限される。
【0037】
図2に示すように、貼着部8によって形成される蒸気通路7において、蒸気抜き穴5に対向するフィルム体3の位置には抜き穴覆い部分12があり、逆止構造9に対向するフィルム体3の位置には逆止構造覆い部分13が設けられている。このような構成であれば、蒸気抜き穴5の上方位置には抜き穴覆い部分12があるので、閉じた空間内において蒸気抜き部6の方向に自然に導かれる。また、逆止構造覆い部分13があることにより、逆止構造9の逆止弁的機能を確実なものとすることができる。
【0038】
本実施形態に係るスペーサー11は、蓋部2aの上方域に部材(例えば、他の容器)が存在した状況下であっても蒸気抜き部6からの蒸気が抜けるだけの高さ(厚さ)を確保するために、必要に応じて設けられる構成である。
【0039】
通常、スペーサー11は、フィルム体3の外側の表面に形成される。
図2に示すように、フィルム体3の蓋部2aから見て反対側の面には、接着層10を介してスペーサー11が設けられている。スペーサー11は、
図3に示す構成では平面視において向かい合う一対の線分を有している。
【0040】
図2に示すように、スペーサー11の延びる部分と貼着部8の延びる部分とは、平面視において少なくとも一部が重なるように設けられている。この構成を採用すると、スペーサー11は貼着部8の部分に重なって所定方向に延びる部分を有しているので、スペーサー11の蓋部2aに対する支持構造が安定する。また、スペーサー11が平面視において貼着部8と重なるようにすることにより、蓋部2aの上方域に部材が存在した状況でスペーサー11が押し下げられて蒸気通路7を閉塞してしまうことが防止される。例えば、
図2に示すように、貼着部8は、平面視においてスペーサー11の形状に対応する向かい合う一対の貼着線部を有している。
【0041】
スペーサー11によって形成される厚さは、20μm以上かつ200μm以下であるとすることが好ましい。スペーサー11によって形成される厚さが20μmよりも薄いと、例えば容器21の上に容器を重ね置きした場合に、蒸気抜きルートが確保できない可能性があるからである。スペーサー11によって形成される厚さが200μmよりも厚いと、その突出部にゴミ等が付着したりする不都合が生じる。また、200μmよりも厚いと製造コストが高くなる。良好な蒸気抜きルートの確保や異物付着の的確な防止や製造コストの抑制などの点において、スペーサー11によって形成される厚さは、30μm以上かつ130μm以下であることが好ましく、45μm以上かつ120μm以下であることがより好ましい。
【0042】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態を説明するための図であり、電子レンジ内で複数の容器を積み重ねて加熱する場合を想定した場合に、スペーサーを設けることの利点を説明するための要部拡大縦断面図である。
【0043】
図4に示すように、スペーサー11,11を設けることで、容器21を積み重ねた場合でも下側の容器21の蓋部2aに貼付されている蒸気抜きラベル1と上側の容器21の底面との間に蒸気抜き部6から蒸気が抜ける上下方向の厚みを確保することができる。なお、
図3に示すような一対の線分等で構成されるスペーサー11,11の間隔は、適宜、好ましい間隔に設定することができる。例えば、
図4に示すように容器21の左右方向において容器21のほぼ右端から左端に位置するスペーサー11,11の間隔を設定することも可能である。これに対して、容器21の蓋部2aの一部領域、例えば平面視から見て容器21の周辺部位置に存在する小さい距離であるスペーサー11,11の間隔を設定することも可能である。
【0044】
以下、本発明の変形例について説明する。
前記実施形態では、蒸気抜きラベル1が、水分を含む食品を収容した容器21の蓋部2aに取り付けられる場合を想定したが、本発明は容器21の態様や有無に限定されず、水分を含み、加熱される食品を内部に収容した収容袋(即ち、前記実施形態における容器21に対して着脱する蓋部2aに対応する構成を有していない;図示せず)の上面に蒸気抜きラベル1を取り付ける場合においても同様に適用できる発明である。
なお、その場合において、蒸気抜きラベル1が設けられる部分は、収容袋の上面だけでなく、必要に応じて側面などに設けられる可能性を本発明は除外するものではない。
【0045】
[実施例]
以下、具体的な実施例について説明する。
実施例1は、切込線15を入れるフィルム体3の素材として、ポリエチレンテレフタレートを採用し、そのフィルム体3の厚みを25μmに形成した実施例である。
実施例2は、切込線15を入れるフィルム体3の素材として、ポリエチレンテレフタレートを採用し、その外側フィルムの厚みを188μmに形成した実施例である。
実施例3は、切込線15を入れるフィルム体3の素材として、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)を採用し、その外側フィルムの厚みを40μmに形成した実施例である。
上記3つの実施例において、以下の評価実験を行った。
【0046】
[液漏れ評価]
この液漏れ評価は、蒸気抜き部6から水が漏れるか否かの評価である。具体的には、所定量の水を入れた電子レンジ加熱可能のカップの蓋部に本実施形態に係る蒸気抜きラベル1を取り付けて蒸気抜き穴5を封鎖し、カップをひっくり返したときの水漏れ状態を確認した。
評価レベルとしては、
水漏れなし:○、
少し水漏れあり:△、
明らかに水漏れあり:×
で評価した。
【0047】
[蒸気抜き評価]
電子レンジ加熱可能のカップで構成された容器に本実施形態に係る蒸気抜きラベルを用いて蒸気抜き穴5を封鎖し、水蒸気が良好に抜けるか否かを確認した。
評価レベルとしては、
水蒸気が良好に抜ける:○、
水蒸気が抜ける程度が中程度:△、
水蒸気が抜ける程度が悪く、蒸気抜きラベルが異常に膨らむ:×
で評価した。
【0048】
【0049】
上記評価結果からも分かるように、各実施例の構成であれば、水蒸気が良好に抜け、かつ水分量が多い食品を収容したカップであっても液漏れが起こりにくい蒸気抜きラベルを提供することができた。
【0050】
以上、実施形態を例示して本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の構成には限定されない。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて判断されるべきであり、その範囲内であれば、多様な変形や構成の追加、又は改良が行えることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1:蒸気抜きラベル
2:部材
2a:蓋部
3:フィルム体
5:蒸気抜き穴
6:蒸気抜き部
8:貼着部
9:逆止構造
11:スペーサー
12:抜き穴覆い部分
13:逆止構造覆い部分
15:切込線