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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005303
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】プリンタ及びワイピング方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20250108BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
B41J2/165 303
B41J2/01 401
B41J2/01 123
B41J2/165 305
B41J2/01 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105497
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】塚本 紫門
(72)【発明者】
【氏名】萩森 普
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA16
2C056EC23
2C056EC35
2C056FA10
2C056FC02
2C056HA22
2C056HA42
2C056JB02
2C056JB04
2C056JB08
2C056JB09
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】ヘッドのノズル面でインクと処理液が反応することを抑制し、ヘッドのノズル詰まりの発生を抑制できるプリンタを提供すること。
【解決手段】プリンタ(10)は、インクヘッド(21)と、処理液ヘッド(22)と、インクヘッド(21)を払拭する第1ワイパ(31)と、処理液ヘッド(22)を払拭する第2ワイパ(32)と、インクヘッド(21)または処理液ヘッド(22)と、第1ワイパ(31)または第2ワイパ(32)とを相対移動させる移動機構(40)と、制御装置とを備える。制御装置は、インクヘッド(21)のノズル面をワイピングする場合には、第1ワイパ(31)をインクヘッド(21)のノズル面に当接させた状態で、インクヘッド(21)と第1ワイパ(31)とを相対移動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するインクノズルを有するインクヘッドと、
前記インクと反応する液体である処理液を吐出する処理液ノズルを有する処理液ヘッドと、
前記インクヘッドのノズル面を払拭する第1ワイパと、
前記処理液ヘッドのノズル面を払拭する第2ワイパと、
前記インクヘッドまたは前記処理液ヘッドと、前記第1ワイパまたは前記第2ワイパとを相対移動させる移動機構と、
前記移動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記インクヘッドのノズル面をワイピングする場合には、前記第1ワイパを前記インクヘッドのノズル面に当接させた状態で、前記インクヘッドと前記第1ワイパとを相対移動させ、
前記処理液ヘッドのノズル面をワイピングする場合には、前記第2ワイパを前記処理液ヘッドのノズル面に当接させた状態で、前記処理液ヘッドと前記第2ワイパとを相対移動させることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記移動機構は、前記第1ワイパおよび前記第2ワイパが固定されたベルトと、前記ベルトを回転させる回転モータと、を備える請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記ベルトの下方に前記第1ワイパおよび前記第2ワイパを洗浄する洗浄液が貯留された洗浄液槽を備える請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記インクは樹脂成分を含み、前記処理液は前記インクに含まれる前記樹脂成分を凝集させる成分を含む請求項1に記載のプリンタ。
【請求項5】
インクを吐出するインクノズルを有するインクヘッドのノズル面と、前記インクと反応する液体である処理液を吐出する処理液ノズルを有する処理液ヘッドのノズル面と、を払拭するワイピング方法であって、
前記インクヘッドのノズル面をワイピングする場合には、第1ワイパを用い、
前記処理液ヘッドのノズル面をワイピングする場合には、前記第1ワイパとは異なる第2ワイパを用いるワイピング方法。
【請求項6】
前記インクヘッドのノズル面をワイピングする場合には、前記第1ワイパを前記インクヘッドのノズル面に当接させ、かつ、前記第2ワイパを前記処理液ヘッドのノズル面から離間させ、
前記処理液ヘッドのノズル面をワイピングする場合には、前記第2ワイパを処理液ヘッドのノズル面に当接させ、かつ、前記第1ワイパをインクヘッドのノズル面から離間させる請求項5に記載のワイピング方法。
【請求項7】
前記インクヘッドのノズル面をワイピングする場合には、前記処理液ヘッドのノズル面から離間させた前記第2ワイパをクリーニングし、
前記処理液ヘッドのノズル面をワイピングする場合には、前記インクヘッドのノズル面から離間させた前記第1ワイパをクリーニングする請求項6に記載のワイピング方法。
【請求項8】
前記インクは樹脂成分を含み、前記処理液はインクに含まれる前記樹脂成分を凝集させる成分を含む請求項5に記載のワイピング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出するインクヘッドと、インクと反応する処理液を吐出する処理液ヘッドを備えたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタと呼ばれるプリンタには、インクを吐出するインクヘッドと、インクと反応する処理液を吐出する処理液ヘッドを備えたものがある。インクヘッドのインクを吐出するインクノズルのノズル面と、処理液ヘッドの処理液を吐出する処理液ノズルは、適宜ワイピング装置のワイパで払拭される。このようなプリンタとして特許文献1に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたインクジェットプリンタは、弾性のある樹脂製のワイプブレードと、多孔質部材からなるワイプブレードとがベルトに固定され、ベルトが回転することで記録ヘッドを複数種類のワイプブレードで払拭するワイピング装置を備えている。また、ベルトの下に洗浄液槽が設けられている。
【0004】
ワイプブレードを洗浄液の入った洗浄槽を通過させることで、洗浄液をワイプブレードに付着さる。ワイプブレードの移動速度を制御し、ノズル面に洗浄液を付着させる場合には高速でワイプブレードを移動させてノズル面を十分に払拭せずに洗浄液を付着させ、ノズル面を払拭する場合には、低速でワイプブレードを移動させノズル面を十分に払拭する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-32930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インクを吐出するインクヘッドと、インクと反応する処理液を吐出する処理液ヘッドとを備えたプリンタでは、インクヘッドと処理液ヘッドを同じワイパで払拭すると、ヘッドのノズル面でインクと処理液が反応してしまい、ヘッドのノズル詰まりが発生してしまう。
【0007】
本発明は、ヘッドのノズル面でインクと処理液が反応することを抑制し、ヘッドのノズル詰まりの発生を抑制できるプリンタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、インクを吐出するインクノズルを有するインクヘッドと、
前記インクと反応する液体である処理液を吐出する処理液ノズルを有する処理液ヘッドと、
前記インクヘッドのノズル面を払拭する第1ワイパと、
前記処理液ヘッドのノズル面を払拭する第2ワイパと、
前記インクヘッドまたは前記処理液ヘッドと、前記第1ワイパまたは前記第2ワイパとを相対移動させる移動機構と、
前記移動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記インクヘッドのノズル面をワイピングする場合には、前記第1ワイパを前記インクヘッドのノズル面に当接させた状態で、前記インクヘッドと前記第1ワイパとを相対移動させ、
前記処理液ヘッドのノズル面をワイピングする場合には、前記第2ワイパを前記処理液ヘッドのノズル面に当接させた状態で、前記処理液ヘッドと前記第2ワイパとを相対移動させることを特徴とするプリンタが提供される。
【0009】
本開示の別の面によれば、インクを吐出するインクノズルを有するインクヘッドのノズル面と、前記インクと反応する液体である処理液を吐出する処理液ノズルを有する処理液ヘッドのノズル面と、を払拭するワイピング方法であって、
前記インクヘッドのノズル面をワイピングする場合には、第1ワイパを用い、
前記処理液ヘッドのノズル面をワイピングする場合には、前記第1ワイパとは異なる第2ワイパを用いるワイピング方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ヘッドのノズル面でインクと処理液が反応することを抑制し、ヘッドのノズル詰まりの発生を抑制できるプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例によるプリンタの要部側面図である。
図2図1に示したプリンタの一部を構成するヘッドの平面図である。
図3図3(A)は、比較例によるワイピング装置のワイピング1回目の作用図、図3(B)は、比較例によるワイピング装置のワイピング2回目の作用図である。
図4図4(A)は、実施例による第1ワイパでインクヘッドのノズル面をワイピングする作用図、図4(B)は、実施例による第2ワイパで処理液ヘッドのノズル面をワイピングの作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、左右とはプリンタに対面した状態を基準として左右、前後とはプリンタに対面した状態を基準として前後を指す。
【0013】
<実施例>
(プリンタ10について)
図1及び図2を参照する。プリンタ10は、紙等からなるメディアにカラー画像を形成可能なインクジェット式のプリンタである。プリンタ10は、例えば、大型の看板、ポスターの印刷を行うことができる。
【0014】
プリンタ10は、メディアを後方から前方に向かって搬送可能な搬送装置と、この搬送装置から送られたメディアを載置可能なテーブルと、このテーブルの上方において左右幅方向(走査方向)に伸びるレールと、このレール上に移動可能に設けられたキャリッジ11と、それぞれ異なる色のインクが充填されたインクカートリッジと、これらのインクカートリッジからインクを送液可能に接続されたインクチューブと、これらのインクチューブに接続されていると共にキャリッジ11に収納されているヘッド(プリントヘッド)20と、を備える。なお、ヘッド20は、インクを吐出するインクノズルを有するインクヘッド21と、インクと反応する液体である処理液を吐出する処理液ノズルを有する処理液ヘッド22と、を有する。インクヘッド21のノズル面と処理液ヘッド22のノズル面は、キャリッジ11の底面よりも下方に露出している。
【0015】
プリンタ10は、搬送装置によって前方にメディアを送りながら、ヘッド20の下方を通過するメディアに印刷を行い、メディアを切断するカッター装置等任意の装置を搭載することもできる。
【0016】
また、プリンタ10は、インクヘッド21と、処理液ヘッド22と、インクヘッド21のノズル面を払拭する第1ワイパ31と、処理液ヘッド22のノズル面を払拭する第2ワイパ32と、インクヘッド21または処理液ヘッド22と、第1ワイパ31または第2ワイパ32とを相対移動させる移動機構40と、移動機構40を制御する制御装置と、を備える。
【0017】
第1ワイパ31及び第2ワイパ32は、共に可撓性を有する材料(例えば、ゴム)によって構成される。また、ワイパの形状は、例えば、平板状である。また、本実施形態では、走査方向におけるワイパの幅は、ワイパを副走査方向(メディアの搬送方向)に移動させた場合に2つのノズル列を一度に払拭できる幅である。ただし、第1ワイパ31はCMYKノズル列全てを一度に払拭できる幅であってもよい。ワイパは1つのノズル列を一度に払拭できる幅であってもよい。また、第1ワイパ31と第2ワイパ32の幅は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0018】
(移動機構40について)
移動機構40は、第1ワイパ31および第2ワイパ32が固定されたベルト41と、このベルト41を支持するプーリ42と、このプーリ42を介してベルト41を回転させる回転モータ43と、を備える。
【0019】
本実施形態では、移動機構40は、搬送装置によってメディアが搬送される方向(メディア搬送方向、副走査方向)に第1ワイパ31および第2ワイパ32を移動させる。すなわち、移動機構40は、ノズルが並ぶ方向に第1ワイパ31および第2ワイパ32を移動させる。移動機構40は、前方から後方に向かってワイパを移動させてもよいし、後方から前方に向かってワイパを移動させてもよい。
【0020】
なお、移動機構40は、キャリッジ11を左右幅方向(走査方向)に伸びるレールに沿って移動させる機構であってもよい。すなわち、第1ワイパ31及び第2ワイパ32は移動せず、キャリッジ11が第1ワイパ31及び第2ワイパ32に対して相対移動する構成であってもよい。本実施形態では、メディア搬送方向(副走査方向)は、ノズルが並ぶ方向と一致し、走査方向はノズルが並ぶ方向と交差する方向である。
【0021】
また、プリンタ10は、ベルト41の下方に第1ワイパ31および第2ワイパ32を洗浄する洗浄液44が貯留された洗浄液槽45を備える。
【0022】
プリンタ10は、第1ワイパ31及び/又は第2ワイパ32に付着したインクまたは処理液を吸収するワイパクリーナを備えていてもよい。ワイパクリーナは、例えば、インク又は処理液を吸収する吸収体で構成されている。ワイパクリーナは、ノズル面を払拭した後の第1ワイパ31又は第2ワイパ32が当接可能な位置に配置されている。洗浄液槽45やワイパクリーナは、ワイパをクリーニングするための部材の一例である。
【0023】
(メディアについて)
メディアは、例えば、ロールに巻かれたロールメディアであり、メディアの材質としては、普通紙などの紙類であってもよく、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の樹脂類であってもよく、アルミニウム材、鉄材等の金属類であってもよく、様々な材料で構成可能である。メディアは、搬送装置によって後方から前方に向かって送られる。
【0024】
(ヘッド20、インクヘッド21、インクカートリッジおよびインクについて)
インクカートリッジは、シアンインクが充填されたシアンカートリッジと、マゼンダインクが充填されたマゼンダカートリッジと、イエローインクが充填されたイエローカートリッジと、ブラックインクが充填されたブラックカートリッジと、からなる。また、プリンタ10は、処理液が充填された処理液カートリッジを備える。
【0025】
なお、インクカートリッジを構成するカートリッジの数やインクカートリッジに充填されているインクの色は任意に選択することができる。インクカートリッジに充填されるインクは、メディアへの定着性に優れた、水性レジンインクが好ましい。短時間に多くの印刷を行うためには、速乾性に優れたインクを選択することも好ましい。この他、任意の水性インクや有機溶剤系インクを選択することができる。
【0026】
ヘッド20のうちインクヘッド21は、前述のカートリッジにそれぞれ対応しインクを吐出可能なヘッドであり、シアンインクを吐出するシアンヘッド21Cと、マゼンダインクを吐出するマゼンダヘッド21Mと、イエローインクを吐出するイエローヘッド21Yと、ブラックインクを吐出するブラックヘッド21Kと、からなる。各インクヘッド21は、インクを吐出するインクノズル列を1列備えていてもよいし、複数列備えていてもよい。
【0027】
(ヘッド20、処理液ヘッド22および処理液について)
処理液は、オプティマイザであり、前述のカラーインクと反応する。インクは樹脂成分を含み、処理液はインクに含まれる樹脂成分を凝集させる成分を含む。オプティマイザは、樹脂成分を含むカラーインク(水性レジンインク)を用いる場合に併用する処理液である。オプティマイザは、水性レジンインク内の樹脂成分を凝集させる効果があり、オプティマイザが吐出された領域に水性レジンインクが吐出されることが望ましい。
【0028】
ヘッド20のうち処理液ヘッド22は、処理液を吐出する処理液ノズル列(Op)からなる2列の処理液ヘッド22Opである。
【0029】
なお、処理液ヘッド22は、1つの処理液ノズル列から構成されていてもよいし、3列以上の処理液ノズル列から構成されていてもよい。図2では、処理液ヘッド22は、インクヘッド21の右側に配置されているが、インクヘッド21の左側に配置されていてもよい。
【0030】
<比較例>
(比較例のプリンタ100の作用について)
図3を参照する。比較例のプリンタ100は、インクに関係なくワイパブレードを共用してワイプする場合の例である。
【0031】
図3(A)は、比較例によるワイピング装置のワイピング1回目の作用図であり、プリンタ100は、1つの液剤Aヘッド101Aと、3つの液剤Bヘッド101Bと、1つのワイピングユニット102と、2つのワイパブレード103、104と、を備える。同じワイピングユニット上のワイパブレード103、104は個別制御が不可能である。ワイピング1回目で、左のワイパブレード103で左から1番目の液剤Aヘッド101Aをワイピングし、右のワイパブレード104で左から2番目の液剤Bヘッド101Bをワイピングする。
【0032】
図3(B)は、比較例によるワイピング装置のワイピング2回目の作用図である。ワイピングユニット102を右に移動させ、ワイピング2回目で、左のワイパブレード103で左から3番目の液剤Bヘッド101Bをワイピングし、右のワイパブレード104で左から4番目の液剤Bヘッド101Bをワイピングする。
【0033】
比較例では、ワイピングした際にヘッドノズル面で複数のインクが混合してしまうことで化学的変化が起こり、ノズル詰まりなどが発生する。特に水性レジンインクは、カラーインクとオプティマイザが混合するとカラーインクに含まれる樹脂成分が凝集し、ノズル詰まりが発生する。
【0034】
<実施例>
(実施例のプリンタ10の作用について)
図4に併せて図2を参照する。実施例のプリンタ10は、ワイパ31、32を複数設け、カラーインクノズル列と処理液ノズル列とで、第1ワイパ31、第2ワイパ32を使い分ける。
【0035】
図4(A)は、実施例によるインクヘッドのノズル面をワイピングする場合の作用図である。プリンタ10において、制御装置は、インクヘッド21のノズル面をワイピングするときは、第1ワイパ31をインクヘッド21のノズル面に当接させた状態で、インクヘッド21に対して第1ワイパ31を矢印(1)のように相対移動させる。具体的には想像線で示す第1ワイパ31のワイピング開始位置から実線で示す第1ワイパ31の位置に向けて移動させる。このとき、第2ワイパ32も同時に移動し、ベルト41の下にある洗浄液槽45の洗浄液44によって洗浄される。ワイパクリーナを備えるプリンタであった場合には、第2ワイパ32は第1ワイパ31と同時に移動しつつ、ワイパクリーナに当接することで洗浄される。インクヘッド21のノズル面のワイピングが完了したら、第2ワイパ32が処理液ヘッド22の下方に位置するようにキャリッジ11を左右方向に移動させる。
【0036】
図4(B)は、実施例による処理液ヘッドのノズル面をワイピングする場合の作用図である。プリンタ10において、制御装置は、処理液ヘッド22のノズル面をワイピングするときは、第2ワイパ32を処理液ヘッド22のノズル面に当接させた状態で、処理液ヘッド22に対して第2ワイパ32を矢印(2)のように相対移動させる。このとき第1ワイパ31も同時に移動し、ベルト41の下にある洗浄液槽45の洗浄液44によって洗浄される。ワイパクリーナを備えるプリンタであった場合には、第1ワイパ31は第2ワイパ32と同時に移動しつつ、ワイパクリーナに当接することで洗浄される。
【0037】
以上に説明したプリンタ10についてまとめる。
図1図2図4を参照する。第1に、プリンタ10は、インクを吐出するインクノズルを有するインクヘッド21と、インクと反応する液体である処理液を吐出する処理液ノズルを有する処理液ヘッド22と、インクヘッド21のノズル面を払拭する第1ワイパ31と、処理液ヘッド22のノズル面を払拭する第2ワイパ32と、インクヘッド21または処理液ヘッド22と、第1ワイパ31または第2ワイパ32とを相対移動させる移動機構40と、移動機構40を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、インクヘッド21のノズル面をワイピングする場合には、第1ワイパ31をインクヘッド21のノズル面に当接させた状態で、インクヘッド21と第1ワイパ31とを相対移動させ、処理液ヘッド22のノズル面をワイピングする場合には、第2ワイパ32を処理液ヘッド22のノズル面に当接させた状態で、処理液ヘッド22と第2ワイパ32とを相対移動させる。
【0038】
インクヘッド21と処理液ヘッド22とで、第1ワイパ31、第2ワイパ32を使い分けることができる。これにより、ヘッド20のノズル面でインクと処理液が反応することを抑制できる。すなわち、ヘッド20のノズル詰まりの発生を抑制できる。
【0039】
第2に、第1のプリンタ10であって、移動機構40は、第1ワイパ31および第2ワイパ32が固定されたベルト41と、ベルト41を回転させる回転モータ43と、を備える。
【0040】
第1ワイパ31と第2ワイパ32を共通の駆動源(回転モータ43)で駆動させることができ、移動機構40を小型化できる。
【0041】
第3に、第2のプリンタ10であって、ベルト41の下方に第1ワイパ31および第2ワイパ32を洗浄する洗浄液44が貯留された洗浄液槽45を備える。
【0042】
第1ワイパ31および第2ワイパ32は洗浄されるので、きれいな状態の第1ワイパ31および第2ワイパ32でワイピングを行うことができる。
【0043】
第4に、第1乃至第3いずれかのプリンタ10であって、インクは樹脂成分を含み、処理液はインクに含まれる樹脂成分を凝集させる成分を含む。
【0044】
インクヘッド21と処理液ヘッド22とで、第1ワイパ31、第2ワイパ32を使い分けることができる。これにより、ヘッド20のノズル面でインクと処理液が反応することを抑制できる。すなわち、ヘッド20のノズル詰まりの発生を抑制できる。
【0045】
第5に、ワイピング方法は、インクを吐出するインクノズルを有するインクヘッド21のノズル面と、インクと反応する液体である処理液を吐出する処理液ノズルを有する処理液ヘッド22のノズル面と、を払拭するワイピング方法であって、インクヘッド21のノズル面をワイピングする場合には、第1ワイパ31を用い、処理液ヘッド22のノズル面をワイピングする場合には、第1ワイパ31とは異なる第2ワイパ32を用いる。
【0046】
インクヘッド21と処理液ヘッド22とで、第1ワイパ31、第2ワイパ32を使い分けることができる。これにより、ヘッド20のノズル面でインクと処理液が反応することを抑制できる。すなわち、ヘッド20のノズル詰まりの発生を抑制できる。
【0047】
第6に、第5のワイピング方法であって、インクヘッド21のノズル面をワイピングする場合には、第1ワイパ31をインクヘッド21のノズル面に当接させ、かつ、第2ワイパ32を処理液ヘッド22のノズル面から離間させ、処理液ヘッド22のノズル面をワイピングする場合には、第2ワイパ32を処理液ヘッド22のノズル面に当接させ、かつ、第1ワイパ31をインクヘッド21のノズル面から離間させる。
【0048】
第1ワイパ31と第2ワイパ32を共通の駆動源(回転モータ43)で駆動させることができ、移動機構40を小型化できる。
【0049】
第7に、第6のワイピング方法であって、インクヘッド21のノズル面をワイピングする場合には、処理液ヘッド22のノズル面から離間させた第2ワイパ32をクリーニングし、処理液ヘッド22のノズル面をワイピングする場合には、インクヘッド21のノズル面から離間させた第1ワイパ31をクリーニングする。
【0050】
第1ワイパ31および第2ワイパ32は洗浄されるので、きれいな状態の第1ワイパ31および第2ワイパ32でワイピングを行うことができる。
【0051】
第8に、第5乃至第7いずれかのワイピング方法であって、インクは樹脂成分を含み、処理液はインクに含まれる樹脂成分を凝集させる成分を含む。
【0052】
インクヘッド21と処理液ヘッド22とで、第1ワイパ31、第2ワイパ32を使い分けることができる。これにより、ヘッド20のノズル面でインクと処理液が反応することを抑制できる。すなわち、ヘッド20のノズル詰まりの発生を抑制できる。
【0053】
尚、実施例では、処理液をオプティマイザとしたが、これに限定されず、処理液は、プライマーであってもよい。プライマーは、インクとメディアの密着性を向上させる効果があり、プライマーが吐出された領域にインクが吐出されることが望ましい。オプティマイザやプライマーのような処理液は、カラーインクと化学反応する処理液であるため、ノズル面で反応させるとノズル詰まり等の原因となる。実施例では、ノズルの並ぶ方向(副走査方向、メディア搬送方向)にワイパで払拭しているが、走査方向に払拭してもよい。
【0054】
また、ワイパは、ノズル列を1列ずつ払拭してもよいし、インクヘッドのノズル列と処理液ヘッドのノズル列をそれぞれ一度に払拭してもよい。上記の例では、インクヘッド、処理液ヘッドが副走査方向において一致した位置に配置されている(インライン配置)が、インクヘッド、処理液ヘッドが副走査方向において少なくとも一部ずれて配置されて(スタガ配置)いてもよい。
【0055】
実施例では、メディアを副走査方向に搬送するプリンタであったが、メディアを載置可能なテーブルが副走査方向に移動可能なプリンタであってもよいし、ヘッドが走査方向および副走査方向に移動可能なプリンタであってもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…プリンタ
20…ヘッド
21…インクヘッド(ヘッド)
22…処理液ヘッド(ヘッド)
31…第1ワイパ(ワイパ)
32…第2ワイパ(ワイパ)
40…移動機構
41…ベルト
42…プーリ
43…回転モータ
44…洗浄液
45…洗浄液槽
図1
図2
図3
図4