(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005304
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】プリンタ及びメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20250108BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
B41J2/165 303
B41J2/165 101
B41J2/165 207
B41J2/01 123
B41J2/165 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105498
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】塚本 紫門
(72)【発明者】
【氏名】萩森 普
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA23
2C056EC22
2C056EC23
2C056EC35
2C056EC54
2C056FA10
2C056HA42
2C056JA01
2C056JA08
2C056JB04
2C056JB08
2C056JB15
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】フラッシング動作時には、受け部材の位置をヘッドの移動経路上に配置でき、ワイピング動作時にはインクヘッドと当接する位置にワイパを移動させることができ、これらを両立させて小型化できるプリンタを提供すること。
【解決手段】プリンタ(10)は、インクを吐出するノズルを有するインクヘッド(20)と、インクヘッド(20)を主走査方向に移動させるヘッド移動機構(11)と、インクヘッド(20)のノズルから吐出されたインクを受ける受け部材(41)と、インクヘッド(20)のノズル面を払拭するワイパ(42)と、受け部材(41)およびワイパ(42)を支持する支持部材(43)と、支持部材(43)を移動させる支持部材移動機構(40)と、インクヘッド(20)、ヘッド移動機構、および支持部材移動機構(40)を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するノズルを有するインクヘッドと、
前記インクヘッドを主走査方向に移動させるヘッド移動機構と、
前記インクヘッドのノズルから吐出されたインクを受ける受け部材と、
前記インクヘッドのノズル面を払拭するワイパと、
前記受け部材および前記ワイパを支持する支持部材と、
前記支持部材を移動させる支持部材移動機構と、
前記インクヘッド、前記ヘッド移動機構、および前記支持部材移動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記支持部材移動機構を制御して、印刷中は前記受け部材を前記インクヘッドの移動領域と重なる位置に配置させ、
前記インクヘッドをワイピングする際には、前記ワイパを前記インクヘッドのノズル面に当接させた状態で、前記ヘッド移動機構または前記支持部材移動機構を制御して、前記インクヘッドと前記支持部材とを相対移動させることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記制御装置は、印刷中に前記インクヘッドが前記受け部材の上方に位置した際に前記インクヘッドのノズルから前記受け部材に向けて前記インクを吐出する請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記支持部材移動機構は、前記支持部材を主走査方向と交差する副走査方向に移動させ、
前記制御装置は、前記インクヘッドをワイピングする際には、前記ワイパを前記インクヘッドのノズル面に当接させた状態で、前記支持部材移動機構を制御して前記インクヘッドに対して前記支持部材を移動させる請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記支持部材はベルトであって、
前記支持部材移動機構は、前記ベルトを回転させる回転モータを備える請求項1に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記ベルトの下方には前記ワイパまたは前記受け部材を洗浄する洗浄液が貯留された洗浄液槽を備える請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記インクと反応する処理液を吐出するノズルを有する処理液ヘッドを備え、
前記ワイパは、前記インクヘッドのノズル面を払拭する第1ワイパと、前記処理液ヘッドのノズル面を払拭する第2ワイパを含み、
前記制御装置は、前記インクヘッドをワイピングする際には、前記第1ワイパを前記インクヘッドのノズル面に当接させた状態で、前記ヘッド移動機構または前記支持部材移動機構を制御して前記インクヘッドと前記支持部材とを相対移動させ、
前記処理液ヘッドをワイピングする際には、前記第2ワイパを前記処理液ヘッドのノズル面に当接させた状態で、前記ヘッド移動機構または前記支持部材移動機構を制御して前記処理液ヘッドと前記支持部材とを相対移動させる請求項1に記載のプリンタ。
【請求項7】
印刷中にインクヘッドを主走査方向に移動させながら、前記インクヘッドのノズルから受け部材に向けてインクを吐出するフラッシング動作と、前記インクヘッドのノズル面をワイパで払拭するワイピング動作とを、受け部材およびワイパを支持する支持部材を移動させる支持部材移動機構を備えたプリンタで実行するメンテナンス方法であって、
前記フラッシング動作を実行する際には、前記支持部材移動機構を制御して、前記受け部材を前記インクヘッドの移動領域と重なる位置に配置させ、
前記ワイピング動作を実行する際には、前記ワイパを前記インクヘッドのノズル面に当接させた状態で、前記インクヘッドと前記支持部材とを相対移動させるメンテナンス方法。
【請求項8】
前記支持部材移動機構は、前記支持部材を主走査方向と交差する副走査方向に移動させ、
前記ワイピング動作を実行する際には、前記ワイパを前記インクヘッドのノズル面に当接させた状態で、前記支持部材移動機構を制御して前記インクヘッドに対して前記支持部材を移動させる請求項7に記載のメンテナンス方法。
【請求項9】
前記フラッシング動作を実行する際には、前記受け部材を前記インクヘッドの移動領域と重なる位置に配置させ、かつ、前記ワイパを前記インクヘッドのノズル面から離間させ、
前記ワイピング動作を実行する際には、前記ワイパを前記インクヘッドのノズル面に当接させた状態で、前記インクヘッドと前記支持部材とを相対移動させ、かつ、前記受け部材を前記インクヘッドのノズル面から離間させる請求項7に記載のメンテナンス方法。
【請求項10】
前記フラッシング動作を実行する際には、前記インクヘッドのノズル面から離間させた前記ワイパをクリーニングし、
前記ワイピング動作を実行する際には、前記インクヘッドのノズル面から離間させた前記受け部材をクリーニングする請求項9に記載のメンテナンス方法。
【請求項11】
前記ワイピング動作は、前記インクヘッドのノズル面を第1ワイパで払拭する第1ワイピング動作と、前記インクと反応する処理液を吐出する処理液ヘッドのノズル面を前記第1ワイパと異なる第2ワイパで払拭する第2ワイピング動作を含む請求項7に記載のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクヘッドから吐出されたインクを受ける受け部材と、インクヘッドを払拭するワイパとを備えたプリンタ及びこのプリンタのメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタと呼ばれるプリンタには、インクを吐出するインクヘッドと、インクヘッドから吐出されたインクを受ける受け部材と、インクヘッドを払拭するワイパとを備えたものがある。ノズル詰まりを抑制するために、インクヘッドが主走査方向に往復走査する度に受け部材(フラッシングステージ)上でフラッシングが行われる。インクヘッドのインクを吐出するインクノズルのノズル面は、適宜ワイピング装置のワイパで払拭される。このようなプリンタとして特許文献1に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1に開示された技術では、複数のノズルが配置されたノズル面をそれぞれ有しており、互いに異なる種類の液体を吐出する複数の液体吐出ヘッドと、ノズル面に付着した異物を払拭するワイパとを備えた液体吐出装置における液体吐出ヘッドのメンテナンス方法が記載されている。
【0004】
具体的には、ヘッドのメンテナンスを行う際に、廃液トレイおよびワイピングユニットを支持するステージを移動させると同時にノズルからインクを吐出するフラッシング動作を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
印刷中にフラッシング動作を実行する場合には、吐出されたインクを受ける廃液トレイの位置はヘッドの移動経路上に位置されている必要がある。一方で、ワイピング動作を実行する際には、インクヘッドと当接する位置にワイパを移動させる必要がある。このため、特許文献1の技術では、これらを両立させることができず、フラッシング動作用の機構とワイピング動作用の機構とを別々に設ける必要があり、印刷外領域のスペースを圧迫してしまい、機体全体のサイズが大きくなる。
【0007】
本発明は、フラッシング動作時には、受け部材の位置をヘッドの移動経路上に配置でき、ワイピング動作時にはインクヘッドと当接する位置にワイパを移動させることができ、これらを両立させて小型化できるプリンタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、インクを吐出するノズルを有するインクヘッドと、
前記インクヘッドを主走査方向に移動させるヘッド移動機構と、
前記インクヘッドのノズルから吐出されたインクを受ける受け部材と、
前記インクヘッドのノズル面を払拭するワイパと、
前記受け部材および前記ワイパを支持する支持部材と、
前記支持部材を移動させる支持部材移動機構と、
前記インクヘッド、前記ヘッド移動機構、および前記支持部材移動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記支持部材移動機構を制御して、印刷中は前記受け部材を前記インクヘッドの移動領域と重なる位置に配置させ、
前記インクヘッドをワイピングする際には、前記ワイパを前記インクヘッドのノズル面に当接させた状態で、前記ヘッド移動機構または前記支持部材移動機構を制御して、前記インクヘッドと前記支持部材とを相対移動させることを特徴とするプリンタが提供される。
【0009】
本開示の別の面によれば、印刷中にインクヘッドを主走査方向に移動させながら、前記インクヘッドのノズルから受け部材に向けてインクを吐出するフラッシング動作と、前記インクヘッドのノズル面をワイパで払拭するワイピング動作とを、受け部材およびワイパを支持する支持部材を移動させる支持部材移動機構を備えたプリンタで実行するメンテナンス方法であって、
前記フラッシング動作を実行する際には、前記支持部材移動機構を制御して、前記受け部材を前記インクヘッドの移動領域と重なる位置に配置させ、
前記ワイピング動作を実行する際には、前記ワイパを前記インクヘッドのノズル面に当接させた状態で、前記インクヘッドと前記支持部材とを相対移動させるメンテナンス方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、フラッシング動作時には、受け部材の位置をヘッドの移動経路上に配置でき、ワイピング動作時にはインクヘッドと当接する位置にワイパを移動させることができ、これらを両立させて小型化できるプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、比較例によるプリンタの要部平面図である。
【
図2】
図2は、実施例1、2によるプリンタの要部平面図である。
【
図3】
図3は、実施例1によるプリンタの要部側面図である。
【
図4】
図4は、実施例2によるプリンタの要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、左右とはプリンタに対面した状態を基準として左右、前後とはプリンタに対面した状態を基準として前後を指す。
【0013】
<比較例>
(比較例のプリンタ100について)
図1を参照する。比較例に係るプリンタ100は、紙等のメディアを後方から前方に向かって搬送可能な搬送装置と、この搬送装置から送られたメディアを載置可能なテーブル106と、このテーブル106の上方において左右幅方向に伸びるレール102と、このレール102上に移動可能に設けられたキャリッジと、それぞれ異なる色のインクが充填されたインクカートリッジと、これらのインクカートリッジからインクを送液可能に接続されたインクチューブと、これらのインクチューブに接続されていると共にキャリッジに収納されインクを吐出するヘッド101と、ヘッド101が微量に吐出するインクを受けるフラッシングステージ103と、ヘッド101のノズル面を払拭するワイピング装置104と、ヘッド101のノズル内のインクを吸収する際にノズル面を覆うキャップ105と、を備える。
【0014】
(比較例のプリンタ100の作用について)
比較例のプリンタ100において、フラッシングでは、印刷中に印刷領域外でヘッドが微量に吐出するインクを、フラッシングステージ103に設けられたインクを吸収する吸収材で吸収する。例えば、ヘッド101が主走査方向に往復走査する度にフラッシングステージ103上でフラッシングを行い(これをラインフラッシングと呼ぶ)、ノズル詰まりを抑制する。ワイピングでは、ヘッド101のノズル面をワイピング装置104のワイパで払拭する。なお、印刷中でないときにフラッシングを行う場合は、通常キャップ105に向けてフラッシングする。
【0015】
ラインフラッシングは、印刷中に行うため、フラッシングステージ103は、ワイピング装置104やキャップ105よりも印刷領域に近い位置にある。このため、比較例のプリンタ100では、印刷領域外にフラッシングステージ103、ワイピング装置104、キャップ105がこの順に配置されており、主走査方向に大きなスペースを要する。
【0016】
<実施例1>
(プリンタ10について)
図2及び
図3を参照する。実施例1のプリンタ10は、紙等からなるメディアにカラー画像を形成可能なインクジェット式のプリンタである。プリンタ10は、例えば、大型の看板、ポスターの印刷を行うことができる。
【0017】
プリンタ10は、メディアを後方から前方に向かって搬送可能な搬送装置と、この搬送装置から送られたメディアを載置可能なテーブル15と、このテーブル15の上方において左右幅方向(主走査方向)に伸びるガイドレール12と、それぞれ異なる色のインクが充填されたインクカートリッジと、これらのインクカートリッジからインクを送液可能に接続されたインクチューブと、これらのインクチューブに接続されていると共にインク14を吐出するノズルを有するインクヘッド20と、インクヘッド20を主走査方向に移動させるヘッド移動機構11と、インクヘッド20のノズルから吐出されたインク14を受ける受け部材(フラッシングステージ)41と、インクヘッド20のノズル面を払拭するワイパ42と、受け部材41およびワイパ42を支持する支持部材43と、支持部材43を移動させる支持部材移動機構40と、インクヘッド20、ヘッド移動機構11、および支持部材移動機構40を制御する制御装置と、を備える。さらにプリンタ10は、インクヘッド20のノズル内のインクを吸収する際にノズル面を覆うキャップ51を備えていてもよい。
【0018】
プリンタ10は、搬送装置によって前方にメディアを送りながら、インクヘッド20の下方を通過するメディアに印刷を行い、メディアを切断するカッター装置等任意の装置を搭載することもできる
【0019】
ヘッド移動機構11は、例えば、ガイドレールの左右にプーリが設けられ、これらのプーリにベルトが掛け渡され、プーリをモータによって回転させることにより、ベルトに固定されたキャリッジ(インクヘッド20)が移動する、周知の構成を採用することができる。
【0020】
(制御装置について)
制御装置は、支持部材移動機構40を制御して、印刷中は受け部材41をインクヘッド20の移動領域と重なる位置に配置させ、インクヘッド20をワイピングする際には、ワイパ42をインクヘッド20のノズル面に当接させた状態で、ヘッド移動機構11または支持部材移動機構40を制御して、インクヘッド20と支持部材43とを相対移動させる。
【0021】
また、制御装置は、印刷中にインクヘッド20が受け部材41の上方に位置した際にインクヘッド20のノズルから受け部材41に向けてインク14を吐出させる。また、制御装置は、インクヘッド20をワイピングする際には、ワイパ42をインクヘッド20のノズル面に当接させた状態で、支持部材移動機構40を制御してインクヘッド20に対して支持部材43を移動させる。
【0022】
(支持部材移動機構40について)
支持部材移動機構40は、支持部材43を主走査方向と交差する副走査方向に移動させるものである。すなわち、支持部材移動機構40は、支持部材43をノズルの並ぶ方向に移動させるものである。ただし、支持部材移動機構40は、支持部材43を主走査方向に移動させるものであってもよい。
【0023】
ワイパ42は、可撓性を有する材料(例えば、ゴム)によって構成される。また、ワイパの形状は、例えば、平板状である。
【0024】
(メディアについて)
メディアは、例えば、ロールに巻かれたロールメディアであり、メディアの材質としては、普通紙などの紙類であってもよく、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の樹脂類であってもよく、アルミニウム材、鉄材等の金属類であってもよく、様々な材料で構成可能である。本実施形態では、メディアは、搬送装置によって後方から前方に向かって送られる。
【0025】
(インクヘッド20、インクカートリッジおよびインクについて)
インクカートリッジは、シアンインクが充填されたシアンカートリッジと、マゼンダインクが充填されたマゼンダカートリッジと、イエローインクが充填されたイエローカートリッジと、ブラックインクが充填されたブラックカートリッジと、からなる。なお、インクカートリッジを構成するカートリッジの数やインクカートリッジに充填されるインクの色は任意に選択することができる。インクカートリッジに充填されるインクは、メディアへの定着性に優れた、水性レジンインクが好ましい。短時間に多くの印刷を行うためには、速乾性に優れたインクを選択することも好ましい。この他、任意の水性インクや有機溶剤系インクを選択することができる。
【0026】
インクヘッド20は、前述のカートリッジにそれぞれ対応しインクを吐出可能なヘッドと、シアンインクを吐出するシアンヘッド20Cと、マゼンダインクを吐出するマゼンダヘッド20Mと、イエローインクを吐出するイエローヘッド20Yと、ブラックインクを吐出するブラックヘッド20Kと、からなる。
【0027】
インクヘッド20のノズル面は、キャリッジの底面よりも下方に露出している。各インクヘッド20には、ノズルが並んでおり、本実施形態では、メディア搬送方向(副走査方向)は、ノズルが並ぶ方向と一致し、主走査方向はノズルが並ぶ方向と交差する方向である。
【0028】
プリンタ10は、受け部材41やワイパ42に付着したインクを吸収するクリーナを備えていてもよい。クリーナは、例えば、インクを吸収する吸収体で構成されている。クリーナは、フラッシング動作後の受け部材41やノズル面を払拭した後のワイパ42が当接可能な位置に配置されている。クリーナは、受け部材やワイパをクリーニングするための部材の一例である。
【0029】
(実施例1のプリンタ10の作用について)
プリンタ10では、受け部材(フラッシングステージ)41とワイパ42を支持する支持部材43としてのベルト47を移動させる。支持部材移動機構40は、前方から後方に向かってベルト47を移動させてもよいし、後方から前方に向かってベルト47を移動させてもよい。印刷中は、インクヘッド20の走査軌道上に受け部材(フラッシングステージ)41が位置するように支持部材43を移動させる。ワイピング時は、支持部材43を作動させて、インクヘッド20のノズル面を払拭する。また、ワイピング時には、ワイパ42をインクヘッド20の軌道上に停止させ、ヘッド移動機構11によって、インクヘッド20を主走査方向に移動させて、インクヘッド20のノズル面を払拭してもよい。
【0030】
なお、ワイパ42は2つ、3つ、それ以上に複数あってもよい。複数のワイパを設けた場合には、吐出する液体の成分によって、ワイパ42を使い分けてもよい。また、クリーナを備えるプリンタであった場合には、ベルト47を移動させ、ワイパ42や受け部材41をクリーナに当接することで洗浄される。
【0031】
<実施例2>
(実施例2のプリンタ10について)
図2及び
図4を参照する。なお、実施例1と共通の構成は図面に符号を振り、説明を省略する。実施例2のプリンタ10は、インク14と反応する処理液を吐出するノズルを有する処理液ヘッド21を備える。ワイパ42は、インクヘッド20のノズル面を払拭する第1ワイパ42a(42)と、処理液ヘッド21のノズル面を払拭する第2ワイパ42b(42)を含む。第2ワイパ42b(42)は第1ワイパ42a(42)とは異なる。
【0032】
(処理液ヘッド21および処理液について)
処理液は、例えば、オプティマイザであり、前述のカラーインクと反応する。インクは樹脂成分を含み、処理液はインクに含まれる樹脂成分を凝集させる成分を含む。オプティマイザは、樹脂成分を含むカラーインク(水性レジンインク)を用いる場合に併用する処理液である。オプティマイザは、水性レジンインク内の樹脂成分を凝集させる効果があり、オプティマイザが吐出された領域に水性レジンインクが吐出されることが望ましい。処理液ヘッド21は、処理液を吐出する処理液ノズル列からなる。処理液ヘッド21のノズル面は、キャリッジの底面よりも下方に露出している。
【0033】
(実施例2の制御装置について)
制御装置は、インクヘッド20をワイピングする際には、第1ワイパ42a(42)をインクヘッド20のノズル面に当接させた状態で、ヘッド移動機構11または支持部材移動機構40を制御してインクヘッド20と支持部材43とを相対移動させる。
【0034】
また、処理液ヘッド21をワイピングする際には、第2ワイパ42bを処理液ヘッド21のノズル面に当接させた状態で、ヘッド移動機構11または支持部材移動機構40を制御して処理液ヘッド21と支持部材43とを相対移動させる。
【0035】
インクヘッド20をワイピングするための第1ワイパ42aと、処理液ヘッド21をワイピングするための第2ワイパ42bとを使い分けることで、ノズル面や受け部材41でインクと処理液が反応してしまうのを抑制できる。
【0036】
支持部材43はベルトであって、支持部材移動機構40は、受け部材41及びワイパ42が固定されたベルト47と、このベルト47を支持するプーリ48と、このプーリ48を介してベルト47を回転させる回転モータ44と、を備える。
【0037】
支持部材移動機構40は、前方から後方に向かってベルト47を移動させてもよいし、後方から前方に向かってベルト47を移動させてもよい。
【0038】
ベルト47の下方にはワイパ42または受け部材41を洗浄する洗浄液45が貯留された洗浄液槽46を備える。
【0039】
プリンタ10は、受け部材41やワイパ42に付着したインクや処理液を吸収するクリーナを備えていてもよい。クリーナは、例えば、インクや処理液を吸収する吸収体で構成されている。クリーナは、フラッシング動作後の受け部材41やノズル面を払拭した後のワイパ42が当接可能な位置に配置されている。洗浄液槽46やクリーナは、受け部材やワイパをクリーニングするための部材の一例である。
【0040】
インクヘッド20、処理液ヘッド21が副走査方向において一致した位置に配置されている(インライン配置)が、インクヘッド20、処理液ヘッド21が副走査方向において少なくとも一部ずれて配置されて(スタガ配置)いてもよい。
【0041】
(実施例2のプリンタ10の作用について)
プリンタ10では、受け部材(フラッシングステージ)41とワイパ42をベルト47に固定し、ベルト47を回転モータ44で移動させる。印刷中は、インクヘッド20の走査軌道上に受け部材(フラッシングステージ)41が位置するようにベルト47を移動させる。ワイピング時は、ベルト47を移動させて、インクヘッド20のノズル面を払拭する。また、ワイピング時には、ワイパ42を移動させず、ヘッド移動機構11によって、インクヘッド20を主走査方向に移動させて、インクヘッド20のノズル面を払拭してもよい。ベルト47の下には、洗浄液槽46があり、ベルト47を移動させることで、ワイパ42および受け部材(フラッシングステージ)41を洗浄する。クリーナを備えるプリンタであった場合には、ベルト47を移動させ、ワイパ42や受け部材41をクリーナに当接することで洗浄される。なお、ワイパ42は1つであってもよいし、3つ以上にあってもよい。また、吐出する液体の成分によって、ワイパ42を使い分けてもよいし、使い分けなくてもよい。
【0042】
以上に説明したプリンタ10についてまとめる。
図2、
図3、
図4を参照する。第1に、プリンタ10は、インク14を吐出するノズルを有するインクヘッド20と、インクヘッド20を主走査方向に移動させるヘッド移動機構11と、インクヘッド20のノズルから吐出されたインクを受ける受け部材41と、インクヘッド20のノズル面を払拭するワイパ42と、受け部材41およびワイパ42を支持する支持部材43と、支持部材43を移動させる支持部材移動機構40と、インクヘッド20、ヘッド移動機構11、および支持部材移動機構40を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、支持部材移動機構40を制御して、印刷中は受け部材41をインクヘッド20の移動領域と重なる位置に配置させ、インクヘッド20をワイピングする際には、ワイパ42をインクヘッド20のノズル面に当接させた状態で、ヘッド移動機構11または支持部材移動機構40を制御して、インクヘッド20と支持部材43とを相対移動させる。
【0043】
フラッシング動作時には、受け部材41の位置をインクヘッド(ヘッド)20の移動経路上に配置でき、ワイピング動作時にはインクヘッド20と当接する位置にワイパ42を移動させることができる。
【0044】
図2、
図3、
図4を参照する。第2に、第1のプリンタ10であって、制御装置は、印刷中にインクヘッド20が受け部材41の上方に位置した際にインクヘッド20のノズルから受け部材41に向けてインク14を吐出する。
【0045】
印刷中のフラッシング動作を実行することができ、印刷中のノズル目詰まり等を抑制できる。
【0046】
図2、
図3、
図4を参照する。第3に、第1乃至第2いずれかのプリンタ10であって、支持部材移動機構40は、支持部材43を主走査方向と交差する副走査方向に移動させ、制御装置は、インクヘッド20をワイピングする際には、ワイパ42をインクヘッド20のノズル面に当接させた状態で、支持部材移動機構40を制御してインクヘッド20に対して支持部材43を移動させる。
【0047】
プリンタ10の主走査方向におけるサイズが大型化することを抑制することができる。
【0048】
図2、
図4を参照する。第4に、第1乃至第3いずれかのプリンタ10であって、支持部材43はベルト47であって、支持部材移動機構40は、ベルト47を回転させる回転モータ44を備える。
【0049】
フラッシング動作時には、受け部材41の位置をインクヘッド(ヘッド)20の移動経路上に配置でき、ワイピング動作時にはインクヘッド20と当接する位置にワイパ42を移動させることができる。
【0050】
図2、
図4を参照する。第5に、第4のプリンタ10であって、ベルト47の下方にはワイパ42または受け部材41を洗浄する洗浄液45が貯留された洗浄液槽46を備える。
【0051】
ワイパ42や受け部材41をきれいな状態にすることができる。
【0052】
図2、
図3、
図4を参照する。第6に、第1のプリンタ10であって、インク14と反応する処理液を吐出するノズルを有する処理液ヘッド21を備え、ワイパ42は、インクヘッド20のノズル面を払拭する第1ワイパ42aと、処理液ヘッド21のノズル面を払拭する第2ワイパ42bを含み、制御装置は、インクヘッド20をワイピングする際には、第1ワイパ42aをインクヘッド20のノズル面に当接させた状態で、ヘッド移動機構11または支持部材移動機構40を制御してインクヘッド20と支持部材43とを相対移動させ、処理液ヘッド21をワイピングする際には、第2ワイパ42bを処理液ヘッド21のノズル面に当接させた状態で、ヘッド移動機構11または支持部材移動機構40を制御して処理液ヘッド21と支持部材43とを相対移動させる。
【0053】
インク14と処理液がノズル面や受け部材41内で反応し、ノズルの目詰まりや受け部材41に反応後の物質が堆積することを抑制できる。
【0054】
図2、
図3、
図4を参照する。第7に、メンテナンス方法は、印刷中にインクヘッド20を主走査方向に移動させながら、インクヘッド20のノズルから受け部材41に向けてインク14を吐出するフラッシング動作と、インクヘッド20のノズル面をワイパ42で払拭するワイピング動作とを、受け部材41およびワイパ42を支持する支持部材43を移動させる支持部材移動機構40を備えたプリンタ10で実行するメンテナンス方法であって、フラッシング動作を実行する際には、支持部材移動機構40を制御して、受け部材41をインクヘッド20の移動領域と重なる位置に配置させ、ワイピング動作を実行する際には、ワイパ42をインクヘッド20のノズル面に当接させた状態で、インクヘッド20と支持部材43とを相対移動させる。
【0055】
フラッシング動作時には、受け部材41の位置をインクヘッド(ヘッド)20の移動経路上に配置でき、ワイピング動作時にはインクヘッド20と当接する位置にワイパ42を移動させることができる。印刷中のフラッシング動作を実行することができ、印刷中のノズル目詰まり等を抑制できる。
【0056】
図2、
図3、
図4を参照する。第8に、第7のワイピング方法であって、支持部材移動機構40は、支持部材43を主走査方向と交差する副走査方向に移動させ、ワイピング動作を実行する際には、ワイパ42をインクヘッド20のノズル面に当接させた状態で、支持部材移動機構40を制御してインクヘッド20に対して支持部材43を移動させる。
【0057】
プリンタ10の主走査方向におけるサイズが大型化することを抑制することができる。
【0058】
図2、
図4を参照する。第9に、第7乃至第8いずれかのワイピング方法であって、フラッシング動作を実行する際には、受け部材41をインクヘッド20の移動領域と重なる位置に配置させ、かつ、ワイパ42をインクヘッド20のノズル面から離間させ、ワイピング動作を実行する際には、ワイパ42をインクヘッド20のノズル面に当接させた状態で、インクヘッド20と支持部材43とを相対移動させ、かつ、受け部材41をインクヘッド20のノズル面から離間させる。
【0059】
フラッシング動作時には、受け部材41の位置をインクヘッド(ヘッド)20の移動経路上に配置でき、ワイピング動作時にはインクヘッド20と当接する位置にワイパ42を移動させることができる。
【0060】
図2、
図4を参照する。第10に、第7乃至第9いずれかのワイピング方法であって、フラッシング動作を実行する際には、インクヘッド20のノズル面から離間させたワイパ42をクリーニングし、ワイピング動作を実行する際には、インクヘッド20のノズル面から離間させた受け部材41をクリーニングする。
【0061】
ワイパ42や受け部材41をきれいな状態にすることができる。
【0062】
図2、
図3、
図4を参照する。第11に、第7のワイピング方法であって、ワイピング動作は、インクヘッド20のノズル面を第1ワイパ42aで払拭する第1ワイピング動作と、インク14と反応する処理液を吐出する処理液ヘッド21のノズル面を第1ワイパ42aと異なる第2ワイパ42bで払拭する第2ワイピング動作を含む。
【0063】
インク14と処理液がノズル面や受け部材41内で反応し、ノズルの目詰まりや受け部材41に反応後の物質が堆積することを抑制できる。
【0064】
尚、実施例では、ノズルの並ぶ方向(副走査方向、メディア搬送方向)にワイパで払拭しているが、ノズルが並ぶ方向と交差する方向(主走査方向)に払拭してもよい。
【0065】
また、ワイパは、ノズル列を1列ずつ払拭してもよいし、インクヘッドのノズル列と処理液ヘッドのノズル列をそれぞれ一度に払拭してもよい。
【0066】
実施例では、メディアを副走査方向に搬送するプリンタであったが、メディアを載置可能なテーブルが副走査方向に移動可能なプリンタであってもよいし、ヘッドが走査方向および副走査方向に移動可能なプリンタであってもよい。
【0067】
実施例2では、インクヘッドと処理液ヘッドを備えたプリンタであったが、インクヘッドのみを備えたプリンタを実施例2の構成に適用してもよい。また、実施例1ではインクヘッドのみを備えたプリンタであったが、インクヘッドと処理液ヘッドを備えたプリンタを実施例1の構成に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のインクヘッドから吐出されたインクを受ける受け部材と、インクヘッドを払拭するワイパとを備えたプリンタに好適である。
【符号の説明】
【0069】
10…プリンタ
11…ヘッド移動機構
14…インク
20…インクヘッド(ヘッド)
21…処理液ヘッド(ヘッド)
40…支持部材移動機構
41…受け部材(フラッシングステージ)
42、42a…ワイパ(ワイパ装置)、第1ワイパ
42、42b…ワイパ(ワイパ装置)、第2ワイパ
43…支持部材
44…回転モータ
45…洗浄液
46…洗浄液槽
47…ベルト
51…キャップ