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特開2025-5359浸漬弁アセンブリ及び浸漬弁アセンブリを備える浸漬型二次電池装置
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  • 特開-浸漬弁アセンブリ及び浸漬弁アセンブリを備える浸漬型二次電池装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005359
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】浸漬弁アセンブリ及び浸漬弁アセンブリを備える浸漬型二次電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20250108BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20250108BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/342 101
H01M50/342 201
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177456
(22)【出願日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】202310766924.1
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523389280
【氏名又は名称】コーネックス ニュー エナジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ルオ, イ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ユアンフ
(72)【発明者】
【氏名】スン, ハイミン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA07
5H012BB02
5H012BB08
5H012DD04
5H012DD05
5H012EE04
5H040AA37
5H040AT02
5H040GG26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電池ボックス内部の発火点に消火剤を迅速、正確に噴射が可能な二次電池装置を提供する。
【解決手段】本発明は、浸漬弁アセンブリ4と、浸漬弁アセンブリを備える浸漬型二次電池装置とを開示し、浸漬弁アセンブリは、消火液貯留室41と浸漬弁43とを備え、消火液貯留室にはセルモジュールに向かう消火液出口が設けられ、消火液出口と浸漬弁とが開閉嵌合の関係を形成し、浸漬弁は、セルモジュールに熱暴走が発生した場合に、ガス圧で移動して消火液出口を開くように設けられる。浸漬型二次電池装置は、ボックスカバーと、ボックスと、セルモジュールと、浸漬弁アセンブリとを備え、浸漬弁アセンブリは、ボックスカバーの内部に設けられる。本発明の装置は、適時に電池防爆弁のガス発生が開始されてから火が出るまで応答することができ、正確な含浸を実現し、電池の熱暴走時の含浸効果を高めることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火液貯留室(41)と浸漬弁(43)とを備え、
前記消火液貯留室(41)にはセルモジュール(3)に向かう消火液出口(411)が設けられ、前記消火液出口(411)と前記浸漬弁(43)とが開閉嵌合の関係を形成し、前記浸漬弁(43)は、前記セルモジュール(3)に熱暴走が発生した場合に、ガス圧で移動して前記消火液出口(411)を開くように設けられる浸漬弁アセンブリ。
【請求項2】
排気室(42)を備え、
前記排気室(42)の吸気口(421)と前記浸漬弁(43)とが開閉嵌合の関係を形成し、前記浸漬弁(43)は、前記セルモジュール(3)に熱暴走が発生した場合に、ガス圧で移動して前記吸気口(421)を開くように設けられる請求項1に記載の浸漬弁アセンブリ。
【請求項3】
前記排気室(42)が、前記消火液貯留室(41)の前記セルモジュール(3)に隣接する側に設けられ、前記吸気口(421)の向きは、前記消火液出口(411)の向きと同じである請求項2に記載の浸漬弁アセンブリ。
【請求項4】
前記吸気口(421)が、排気通路(4211)と、該排気通路(4211)の両側にそれぞれ位置する消火液通路(4212)とを有し、
前記排気通路(4211)が、前記セルモジュール(3)の防爆弁(312)の上方に位置する請求項2に記載の浸漬弁アセンブリ。
【請求項5】
前記排気通路(4211)と前記消火液通路(4212)との間に防水構造(45)が設けられる請求項4に記載の浸漬弁アセンブリ。
【請求項6】
前記消火液貯留室(41)と前記排気室(42)との間に仕切り板(46)が設けられ、
前記浸漬弁(43)が、前記仕切り板(46)に貫設され、
前記浸漬弁(43)の上部が外側に延びて、上シールプレート(434)を形成し、
該上シールプレート(434)と前記消火液出口(411)との間がシールを形成し、
前記浸漬弁(43)の下部が外側に延びて、下シールプレート(435)を形成し、
該下シールプレート(435)と前記吸気口(421)との間がシールを形成する請求項2に記載の浸漬弁アセンブリ。
【請求項7】
前記浸漬弁(43)の対向する両側面がいずれも内凹面(436)に設けられ、
該内凹面(436)が、第1の斜面(4361)と第2の斜面(4362)とを備え、
前記第1の斜面(4361)が、前記仕切り板(46)と当接または離間するためのものであり、
前記第2の斜面(4362)が、前記消火液通路(4212)への消火液の流れを導くためのものである請求項6に記載の浸漬弁アセンブリ。
【請求項8】
前記浸漬弁(43)の端面には、交差する第1の凹溝(437)と第2の凹溝(438)とが設けられ、
前記第1の凹溝(437)が、前記消火液貯留室(41)と前記排気室(42)とを連通するためのものであり、
前記第2の凹溝(438)が、前記浸漬弁(43)の両側の前記排気室(42)を連通するためのものであり、
前記第1の凹溝(437)及び前記第2の凹溝(438)が、いずれも前記吸気口(421)から避けて設けられている請求項6に記載の浸漬弁アセンブリ。
【請求項9】
前記下シールプレート(435)と前記吸気口(421)との間にシーラントを設けることによりシールを形成する請求項6に記載の浸漬弁アセンブリ。
【請求項10】
前記浸漬弁(43)の頂部には、前記浸漬弁(43)が押し上げられた後の最大変位を制限するためのストッパ装置(47)が設けられる請求項1に記載の浸漬弁アセンブリ。
【請求項11】
浸漬弁アセンブリ(4)が、アレイに分布している複数のセグメント式の浸漬弁(43)を備え、
該浸漬弁(43)が、前記セルモジュール(3)内のシングルセル(31)と1対1に対応して設けられている請求項1に記載の浸漬弁アセンブリ。
【請求項12】
ボックスカバー(1)と、ボックス(2)と、セルモジュール(3)と、請求項1から11のいずれか一項に記載の浸漬弁アセンブリ(4)と、を備え、
該浸漬弁アセンブリ(4)が、前記ボックスカバー(1)の内部に設けられる浸漬型二次電池装置。
【請求項13】
前記セルモジュール(3)のトップカバー(311)が円弧状をしており、前記トップカバー(311)の中央部の防爆弁(312)領域が最低点に設定されている請求項12に記載の浸漬型二次電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の熱暴走技術の分野に属し、特に浸漬弁アセンブリ及び浸漬弁アセンブリを備える浸漬型二次電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、風力発電などの再生可能エネルギーの大規模な発展に伴い、再生可能エネルギーはますます電力網に接続され、蓄電の発展は電力系統の安全安定を維持する重要な支持となる。一方、電気化学貯蔵産業の発展に伴い、貯蔵電池による火災事故もますます多くなっている。
【0003】
現在、市場で電池ボックスレベルの消火方法及び装置の多くは、消火薬剤輸送管路とノズルを介して消火抑制剤貯留タンクを連通し、電池ボックス内に輸送するものであり、例えば特許文献202210706726.1に開示されているように、電池ホルダーに突出するボックス内のノズルに消火管路を接続することにより、ボックス内部に消火剤を噴射する貯留システムの自動消火方法及びシステムである。しかし、次の欠点があり:ボックスの片側に噴射を行うと、ボックス内のすべての電池を覆うことができず、一般的な消火用の抑制剤が噴射された後、空気中で急速に気化分散し、霧状になり、発火点がから離れていると、抑制剤がノズルから最も遠い電池位置に拡散するまでに時間がかかるため、消火と熱暴走の広がりを抑える効果にある程度影響する。また、ノズルの構造が複雑であるため、取り付け固定や自身のスペースが必要となり、設置しすぎると、ボックスに電池を収納するスペースに大きく影響し、貯留プロジェクトのコストが増加し、製品のエネルギー密度が低下する。そのため、電気化学貯蔵設備において、貯蔵設備の空間的負担を増加させることなく、消火の効果をいかに高めることができるかが、現在早急に解決すべき問題である。
【0004】
これに基づいて、本発明は、上記の技術的課題に対して、浸漬弁アセンブリ及び浸漬弁アセンブリを備える浸漬型二次電池装置を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0005】
従来技術に存在する欠点に対して、本発明は、浸漬弁アセンブリ及び浸漬弁アセンブリを備える浸漬型二次電池装置を提供することを目的とする。本発明は、適時に電池防爆弁のガス発生が開始されてから火が出るまで応答することができ、正確な含浸を実現し、電池の熱暴走時の含浸効果を高めることができる。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は下記の技術案により実現する。
【0007】
本発明に係る浸漬弁アセンブリは、消火液貯留室と浸漬弁とを備え、前記消火液貯留室にはセルモジュールに向かう消火液出口が設けられ、前記消火液出口と前記浸漬弁とが開閉嵌合の関係を形成し、前記浸漬弁は、前記セルモジュールに熱暴走が発生した場合に、ガス圧で移動して前記消火液出口を開くように設けられる。
【0008】
好ましくは、前記浸漬弁アセンブリが排気室をさらに備え、前記排気室の吸気口と前記浸漬弁とが開閉嵌合の関係を形成し、前記浸漬弁は、前記セルモジュールに熱暴走が発生した場合に、ガス圧で移動して前記吸気口を開くように設けられる。
【0009】
さらに好ましくは、前記排気室は、前記消火液貯留室の前記セルモジュールに隣接する側に設けられ、前記吸気口の向きは、前記消火液出口の向きと同じである。
【0010】
さらに好ましくは、前記吸気口は、排気通路と、前記排気通路の両側にそれぞれ位置する消火液通路とを有し、前記排気通路は、前記セルモジュールの防爆弁の上方に位置する。
【0011】
さらに好ましくは、前記排気通路と前記消火液通路との間に防水構造が設けられる。
【0012】
さらに好ましくは、前記消火液貯留室と前記排気室との間に仕切り板が設けられ、前記浸漬弁は前記仕切り板に貫設され、前記浸漬弁の上部は外側に延び、上シールプレートを形成し、該上シールプレートと前記消火液出口との間はシールを形成し、前記浸漬弁の下部は外側に延び、下シールプレートを形成し、該下シールプレートと前記吸気口との間はシールを形成する。
【0013】
さらに好ましくは、前記浸漬弁の対向する両側面はいずれも内凹面に設けられ、該内凹面は第1の斜面と第2の斜面とを備え、前記第1の斜面は、前記仕切り板と当接または離間するためのものであり、前記第2の斜面は、前記消火液通路への消火液の流れを導くためのものである。
【0014】
さらに好ましくは、前記浸漬弁の端面には、交差する第1の凹溝と第2の凹溝とが設けられ、前記第1の凹溝は、前記消火液貯留室と前記排気室とを連通するためのものであり、前記第2の凹溝は、前記浸漬弁の両側の前記排気室を連通するためのものであり、前記第1の凹溝と前記第2の凹溝は、いずれも前記吸気口から避けて設けられている。
【0015】
前記下シールプレートと前記吸気口との間にシーラントを設けることによりシールを形成する。
【0016】
前記浸漬弁の頂部には、前記浸漬弁が押し上げられた後の最大変位を制限するためのストッパ装置が設けられる。
【0017】
好ましくは、前記浸漬弁アセンブリは、アレイに分布している複数のセグメント式の浸漬弁を備え、前記浸漬弁は、前記セルモジュール内のシングルセルと1対1に対応して設けられている。
【0018】
本発明に係る浸漬型二次電池装置は、ボックスカバーと、ボックスと、セルモジュールと、上記の浸漬弁アセンブリとを備え、前記浸漬弁アセンブリは、前記ボックスカバーの内部に設けられる。
【0019】
好ましくは、前記セルモジュールのトップカバーは円弧状をしており、前記トップカバーの中央部の防爆弁領域は最低点に設定されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、従来技術と比較すると、以下の利点および有益な効果を有する。
【0021】
本発明は、浸漬弁アセンブリとしてセグメント式の浸漬弁を採用し、当該セグメント式の浸漬弁は、二次電池装置の長手方向に沿って全長にわたってボックスカバーの内部に固定され、浸漬弁アセンブリはボックスカバーの内部空間のみを占め、セルモジュールの収納空間や製品のエネルギー密度に影響を与えない。また、セグメント式の浸漬弁を下のシングルセルと1対1に対応させて設置することで、適時に電池防爆弁のガス発生が開始されてから火が出るまで応答することができ、正確な含浸を実現し、電池の熱暴走時の含浸効果を高めることができる。
【0022】
本発明は、排気室の吸気口を1つの排気通路と2つの消火液通路の3つの通路に設置し、排気通路と消火液通路の間に防水構造を設置し、電池が熱暴走して外に排気する必要がある場合、3つの通路は同時に分離され、排気通路は防爆弁の真上に位置してずっと排気状態にあり、2つの消火液通路は排気通路を補助して一緒に排気室に排気し、排気量を増加させることができる。また、2つの消火液通路は高温ガスの影響を受けにくいため、消火液は浸漬弁の壁面と消火液通路を伝わって下方のセルに流れ、熱暴走を遅らせることができ、また、防水構造の存在により、消火液は排気通路に流れず、排気通路の排気効果には影響しない。
【0023】
本発明は、トップカバーにアーチ型のデザインを採用し、これにより、浸漬された消火液を電池のトップカバーの防爆弁領域に集めることができ、消火液が優先的に電池の内部に入り、熱暴走抑制の効果を改善することができる。
【0024】
本発明は、浸漬弁の端面に十字に交差する第1の凹溝と第2の凹溝を設けることにより、電池室と浸漬室との間のガス圧バランスが確保され、ガスが消火液貯留室と排気室に入ることが保証され、消火液の円滑な流下に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の浸漬弁アセンブリの断面概略構成図である。
図2図1の浸漬弁を除く断面概略構成図である。
図3】本発明の浸漬弁の斜視概略構成図である。
図4】本発明の浸漬型二次電池装置の斜視概略構成図である。
図5】本発明の浸漬型二次電池装置の断面概略構成図である。
図6】本発明のシングルセルの斜視概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
当業者が本発明の技術的観点をよりよく理解できるように、以下、具体的な実施例に関連して本発明の好ましい実施例について説明するが、添付図面は例示的な説明のためのものであり、本特許を制限するものとは理解されないことを理解されたい。なお、本実施形態をよりよく説明するために、図面の一部の部材は省略、拡大、縮小されているが、実際の製品のサイズを表すものではない。当業者には、図面中の公知の構成およびその説明の一部が省略することが理解される。図面に記載する位置関係は例示的なものであり、本特許の制限を理解することはできない。
【0027】
図1から3を参照し、本発明は、浸漬弁アセンブリを提供し、浸漬弁アセンブリは、消火液貯留室41と浸漬弁43とを備え、消火液貯留室41にはセルモジュール3に向かう消火液出口411が設けられ、消火液出口411と浸漬弁(43)とが開閉嵌合の関係を形成し、浸漬弁43は、セルモジュール3に熱暴走が発生した場合に、ガス圧で移動して消火液出口411を開くように設けられる。
【0028】
上記の構造設計から分かるように、本発明では、消火液出口の向きを設置することと、消火液出口にガス圧によって移動可能な浸漬弁を配置することにより、浸漬弁が移動して消火液出口を開くことができ、セルモジュールへの正確な浸漬が可能となる。
【0029】
図1、2を参照し、一実施例では、浸漬弁アセンブリは排気室42をさらに備え、排気室42の吸気口421と浸漬弁43とが開閉嵌合の関係を形成し、浸漬弁43は、セルモジュール3に熱暴走が発生した場合に、ガス圧で移動して吸気口421を開くように設けられる。
【0030】
上記の構造設計から分かるように、本実施例では、消火液貯留室41に加えて、さらに排気室42を設け、吸気口421と浸漬弁43との嵌合関係を規定することで、熱暴走により発生したガスによる浸漬弁アセンブリの移動を実現し、消火液貯留室41と排気室42とを連動して開放することができる。
【0031】
さらに、排気室42は、消火液貯留室41のセルモジュール3に隣接する側に設けられ、吸気口421の向きは、消火液出口411の向きと同じである。具体的には、排気室42は消火液貯留室41の下方に位置し、吸気口421の向きと消火液出口411の向きは共に下向きであり、セルモジュールのトップカバーに位置合わせされている。
【0032】
図1、2を参照し、一実施例では、吸気口421は、排気通路4211と、排気通路4211の両側にそれぞれ位置する消火液通路4212とを有し、排気通路4211は、セルモジュール3の防爆弁312の上方に位置する。
【0033】
上記の構造設計から分かるように、電池が熱暴走して外に排気する必要がある場合、3つの通路が同時に開き、排気通路4211は防爆弁312の真上に位置してずっと排気状態にあり、2つの消火液通路4212は排気通路4211を補助して一緒に排気室42に排気し、排気量を増加させることができる。また、2つの消火液通路4212は高温ガスの影響を受けにくいため、消火液は浸漬弁43の壁面と消火液通路4212を伝わって下方のセルに流れ、熱暴走を遅らせることができる。
【0034】
さらに、排気通路4211と消火液通路4212との間に防水構造45が設けられる。防水構造45は縦置きの防水板を採用することができ、防水構造45の存在により、消火液が排気通路4211に流れることがなく、消火液が下方に浸漬する過程で排気通路4211を塞いで、排気通路4211の排気効果に影響を与えないようにする。
【0035】
図1、2を参照し、一実施例では、消火液貯留室41と排気室42との間に仕切り板46が設けられ、浸漬弁43は仕切り板46に貫設され、浸漬弁43の上部は外側に延び、上シールプレート434を形成し、上シールプレート434と消火液出口411との間はシールを形成し、浸漬弁43の下部は外側に延び、下シールプレート435を形成し、下シールプレート435と吸気口421との間はシールを形成する。具体的には、下シールプレート435と吸気口421との間にシーラントを設けることによりシールを形成する。シーラントが高温のガスに触れると溶け、浸漬弁43が高温のガスの圧力で上昇し、吸気口421が開く。
【0036】
上記の構造設計から分かるように、上シールプレート434と下シールプレート435を設けることにより、浸漬弁43と消火液出口411と吸気口421との間をより良好にシールすることができる。
【0037】
図3を参照し、一実施例では、浸漬弁43の対向する両側面はいずれも内凹面436に設けられ、内凹面(436)は第1の斜面4361と第2の斜面4362とを備え、第1の斜面4361は、仕切り板46と当接または離間するためのものであり、第2の斜面4362は、消火液通路4212への消火液の流れを導くためのものである。
【0038】
上記の構造設計から分かるように、浸漬弁43が上動すると、第1の斜面436と仕切り板46との間に隙間があり、消火液は第2の斜面4362を伝わって下シールプレート435に流下し、下シールプレート435の外縁から消火液通路4212内に流れ、下方のセルを消火することができる。
【0039】
図3を参照し、一実施例では、浸漬弁43の端面には、交差する第1の凹溝437と第2の凹溝438とが設けられ、第1の凹溝437は、消火液貯留室41と排気室42とを連通するためのものであり、第2の凹溝438は、浸漬弁43の両側の排気室42を連通するためのものであり、第1の凹溝437と第2の凹溝438は、いずれも吸気口421から避けて設けられている。
【0040】
上記の構造設計から分かるように、このようにすると、電池室と浸黙室との間のガス圧バランスが確保され、ガスが消火液貯留室41と排気室42に入ることが保証され、消火液の円滑な流下に有利である。
【0041】
さらに、浸漬弁43の頂部には、浸漬弁43が押し上げられた後の最大変位を制限するためのストッパ装置47が設けられる。ストッパ装置47は、引張りばねであってもよいし、機械的な寸法の装置であってもよく、浸漬弁43の頂部にはめ込まれている。
【0042】
図3を参照し、一実施例では、浸漬弁アセンブリ4は、アレイに分布している複数のセグメント式の浸漬弁43を備え、浸漬弁43は、セルモジュール3内のシングルセル31と1対1に対応して設けられている。
【0043】
上記の構造設計から分かるように、浸漬弁43をシングルセル31に整列させ、セル単独で正確な浸漬を実現し、適時に電池防爆弁312のガス発生が開始されてから火が出るまで応答することができ、熱暴走時の電池の浸漬効果をさらに向上させることができる。
【0044】
また、本発明は、上記の浸漬弁アセンブリの構造設計案に基づいて、浸漬型二次電池装置を提供する。
【0045】
図4、5を参照し、一実施例では、浸漬型二次電池装置は、ボックスカバー1と、ボックス2と、セルモジュール3と、浸漬弁アセンブリ4とを備え、浸漬弁アセンブリ4は、ボックスカバー1の内部に設けられる。
【0046】
上記の構造設計から分かるように、ボックスカバー1の内部に消火液貯留室41と排気室42を集積することで、浸漬弁アセンブリ4が下方のセルモジュールの収納空間を占有することを回避し、電池のエネルギー密度を向上させ、熱暴走時に高温の排気ガスを排除すると同時に高温ガスでトリガー浸漬弁43を作動させることができ、浸漬装置の検出感度とロバスト性を向上させることができる。
【0047】
図6を参照し、一実施例では、セルモジュール3のトップカバー311は円弧状をしており、トップカバー311の中央部の防爆弁312の領域は最低点に設定されている。
【0048】
上記の構造設計から分かるように、これにより、浸漬された消火液を電池のトップカバーの防爆弁領域に集めることができ、消火液が優先的に電池の内部に入り、熱暴走抑制の効果を改善することができる。
【0049】
上記のような構造設計に基づいて、本発明の浸漬弁アセンブリの作動原理は以下の通りである。
【0050】
電池が熱暴走すると、電池の防爆弁312から高温ガスが噴出するが、熱暴走電池の真上にある排気通路4211の位置は電池防爆弁312と同軸線上にあり、高温のガスは浸漬弁43と排気室42の間のシーラントを溶かし、電池チャンバーの高圧が浸漬弁43を押し上げ、消火液出口411と吸気口421を開くと、高温ガスは排気通路4211と消火液通路4212を通って排気室42の内部に入り、さらに装置から排出され、消火液は、浸漬弁43の内側凹面436を伝って消火液通路4212内に流下し、下方のトップカバー311に落下し、トップカバー311の弧を伝わって中央部に向かって防爆弁312の領域に集まり、防爆弁312を通って電池内部に入り、熱暴走を抑製する。
【0051】
ここで、浸漬弁43の材料は7系アルミニウム合金または8系アルミニウム合金であってもよく、アルミニウム合金は比較的軽く、浸漬弁の開弁圧力にはほとんど影響しないからである。したがって、浸漬弁43と排気室42との間のシール剤による接着力のみを考慮すればよい。
【0052】
通常、臨界条件下で浸漬弁43がスムーズに開くように、シングルセル31が熱暴走した場合の防爆弁312の開弁圧力を浸漬弁43の開弁圧力に設定する。
【0053】
本発明の説明および添付図面によれば、当業者は、本発明に係る浸漬型二次電池装置を容易に製造または使用することができ、本発明に記載されている積極的な効果を奏することができる。
【0054】
特に断りのない限り、本発明において、「長さ」、「幅」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」という用語が指示す方位または位置関係は、図面に示す方位または位置関係に基づくものであり、本発明の説明と説明の簡略化を目的とするものであって、装置または構成要素が特定の方向を有し、特定の方向で構成され、動作しなければならないことを示したり示唆したりするものではないので、本発明で説明する方向または位置関係の用語は例示的な説明であり、本特許の制限を理解することはできず、当業者にとっては図面を参照し、状況に応じて上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0055】
特に明示的な規定および限定がない限り、本発明において、「設置」、「接続」、および「接続」という用語がある場合、広義の理解をしなければならない。例えば、固定的に接続されていてもよいし、着脱可能に接続されていてもよいし、一体的に接続されていてもよい。直接接続されていても、中間媒体を介して間接的に接続されていても、2つの素子内部の連通であってもよい。 当業者には、上述の用語の本発明における具体的な意味は具体的に理解できる。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない、本発明の技術的思想に基づいて上記実施形態に実質的に簡単に変更、均等に変更を加えたものは、本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0057】
1 ボックスカバー
2 ボックス
3 セルモジュール
31 シングルセル
311 トップカバー
312 防爆弁
4 浸漬弁アセンブリ
41 消火液貯留室
411 消火液出口
42 排気室
421 吸気口
4211 排気通路
4212 消火液通路
422 排気口
43 浸漬弁
434 上シールプレート
435 下シールプレート
436 内凹面
4361 第1の斜面
4362 第2の斜面
437 第1の凹槽
438 第2の凹槽
45 防水構造
46 仕切り板
47 ストッパ装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6