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特開2025-5373ポリオール含有組成物、及びマットレス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005373
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】ポリオール含有組成物、及びマットレス
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/14 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
A47C27/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024028483
(22)【出願日】2024-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2023104786
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000113517
【氏名又は名称】BASF INOACポリウレタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 雅之
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AB07
3B096AD02
(57)【要約】
【課題】ポリウレタンフォームの空洞を低減する。
【解決手段】ポリオール含有組成物は、マットレス10を構成するポリウレタンフォーム40を得るためのポリオール含有組成物である。ポリオールは、ポリオール全体に含まれるアルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が12.5質量%以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットレスを構成するポリウレタンフォームを得るためのポリオール含有組成物であって、
前記ポリオールは、前記ポリオール全体に含まれるアルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が12.5質量%以上である、ポリオール含有組成物。
【請求項2】
ポリウレタンフォームを得るためのポリオール含有組成物であって、
前記ポリオールは、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック共重合ポリエーテルポリオールとエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共重合ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールを含み、
前記ランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量は、前記ポリオール全体を100質量部とした場合に10質量部以上であって、
前記ポリオールは、前記ポリオール全体に含まれるアルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が12.5質量%以上である、ポリオール含有組成物。
【請求項3】
前記ポリオール全体の平均官能基数が3.0より小さい、請求項1又は2に記載のポリオール含有組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のポリオール含有組成物から形成されるポリウレタンフォームを備えるマットレス。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のポリオール含有組成物から形成されるポリウレタンフォームを周辺部に備えるマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリオール含有組成物、及びマットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、マットレスの製造方法を開示する。このマットレスの製造方法は、スプリング構体の周辺部に成形用型を位置させる。そして、型内壁面とスプリング構体周辺部との間に空隙部を形成し、空隙部に発泡性合成樹脂を注入してスプリング構体の側面に発泡弾性体を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭52-028067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の方法で発泡弾性体としてのポリウレタンフォームを成形した場合に、次のような課題があった。すなわち、ポリウレタンフォームと、型内面との間に空洞(ボイド)が発生することがあった。このような空洞を後加工で埋める場合には、手間が掛かる。また、空洞を後加工で埋めたとしても、例えば、マットレスの感触、座り心地、寝心地等に影響を与えることが懸念される。
本開示は、ポリウレタンフォームの空洞を低減するためのものであり、以下の形態として実現できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]
マットレスを構成するポリウレタンフォームを得るためのポリオール含有組成物であって、
前記ポリオールは、前記ポリオール全体に含まれるアルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が12.5質量%以上である、ポリオール含有組成物。
[2]
ポリウレタンフォームを得るためのポリオール含有組成物であって、
前記ポリオールは、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック共重合ポリエーテルポリオールとエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共重合ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールを含み、
前記ランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量は、前記ポリオール全体を100質量部とした場合に10質量部以上であって、
前記ポリオールは、前記ポリオール全体に含まれるアルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が12.5質量%以上である、ポリオール含有組成物。
[3]
前記ポリオール全体の平均官能基数が3.0より小さい、[1]又は[2]に記載のポリオール含有組成物。
[4]
[1]から[3]のいずれか1項に記載のポリオール含有組成物から形成されるポリウレタンフォームを備えるマットレス。
[5]
[1]から[3]のいずれか1項に記載のポリオール含有組成物から形成されるポリウレタンフォームを周辺部に備えるマットレス。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、ポリウレタンフォームの空洞を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るマットレスを模式的に示す断面図である。
図2】マットレスの一部を拡大して示す図である。
図3】スプリングを有する構造体に通気性部材を付ける様子を説明する図である。
図4】2つの注入部から注入されたポリウレタンフォーム形成用組成物の流れを概念的に示す図である。
図5】ポリウレタンフォームの合わせ面を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「-」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10-20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10-20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。また、本明細書において、各数値範囲の上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0009】
1.ポリオール含有組成物(その1)
ポリオール含有組成物(その1)は、マットレス10を構成するポリウレタンフォーム40を得るためのポリオール含有組成物である。ポリオールは、ポリオール全体に含まれるアルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が12.5質量%以上である。
【0010】
ポリオール含有組成物は、発泡剤、触媒、及び整泡剤から選択される少なくとも1種を任意の成分として含んでいてもよい。ポリオール含有組成物の各成分について説明する。
【0011】
ポリオール
(1.1)エチレンオキサイド単位の含有量
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールが用いられる。ポリオールは、空洞(ボイド)低減の観点から、ポリオール全体に含まれるアルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が12.5質量%以上であり、好ましくは13質量%以上であり、より好ましくは14質量%以上であり、更に好ましくは15質量%以上である。上記のエチレンオキサイド単位の含有量の上限値は、特に限定されない。上記のエチレンオキサイド単位の含有量は、通常、35質量%以下であり、30質量%以下、20質量%以下であってもよい。
【0012】
エチレンオキサイド単位を除く他のアルキレンオキサイド単位としては、例えば、プロピレンオキサイド単位、ブチレンオキサイド単位、テトラヒドロフラン単位、エピクロロヒドリン単位、スチレンオキサイド単位等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、プロピレンオキサイド単位又はブチレンオキサイド単位が好ましく、プロピレンオキサイド単位がより好ましい。
【0013】
ポリオール全体に含まれるアルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合のエチレンオキサイド単位の含有量は、以下のようにして算出できる。
ポリエーテルポリオールが1種の場合には、当該ポリオールのEO率(質量%)が、エチレンオキサイド単位の含有量に相当する。
【0014】
次に、ポリエーテルポリオールが2種以上用いられている場合について、具体的に説明する。例えば、ポリオールとして、ポリエーテルポリオール(a)、ポリエーテルポリオール(b)、ポリエーテルポリオール(c)の3種を用いた場合には、以下の式により、エチレンオキサイド単位の含有量(質量%)を求めることができる。
【数1】


ここで、EO率はポリエーテルポリオール(a)のEO率(質量%)、Wはポリエーテルポリオール(a)の質量部を表し、EO率はポリエーテルポリオール(b)のEO率(質量%)、Wはポリエーテルポリオール(b)の質量部を表し、EO率はポリエーテルポリオール(c)のEO率(質量%)、Wはポリエーテルポリオール(c)の質量部を表す。
【0015】
各ポリオールのEO率は、上記のエチレンオキサイド単位の含有量が12.5質量%以上である限り、特に限定されない。ポリオールは、ポリウレタンフォームの諸物性を確保しつつEO率を調整し易い観点から、EO率0質量%より大きく20質量%以下のポリオール(A)と、EO率20質量%より大きく90質量%以下のポリオール(B)とを併用することが好ましい。ポリオール(B)のEO率は、40質量%以上であってもよく、60質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよい。
ポリオール(B)の含有量は、ポリオール全体(100質量%)に対して、好ましくは0質量%より大きく10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上8質量%以下であり、更に好ましくは2質量%以上6質量%以下である。
【0016】
(1.2)好ましいポリオール
ポリオールは、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック共重合ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールを含むことが好ましく、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック共重合ポリエーテルポリオールとエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共重合ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールを含むことがより好ましい。
【0017】
以下、エチレンオキサイドを「EO」とも称し、プロピレンオキサイドを「PO」とも称し、具体的に説明する。
ブロック共重合ポリエーテルポリオールとしては、POが付加されたものにEOがブロック付加されてなるポリオール、PO及びEOがランダム付加されたものにEOがブロック付加されてなるポリオール、EOが付加されたものにPOがブロック付加されてなるポリオール等が挙げられる。これらの中でも、末端一級水酸基の割合を確保する観点から、POが付加されたものにEOがブロック付加されてなるポリオールが好ましい。
ランダム共重合ポリエーテルポリオールは、PO及びEOがランダム付加されてなるポリオールである。
【0018】
POが付加されたものにEOがブロック付加されてなるブロック共重合ポリエーテルポリオールの含有量は特に限定されない。POが付加されたものにEOがブロック付加されてなるブロック共重合ポリエーテルポリオールの合計の含有量は、例えば、ポリオール全体を100質量部とした場合に好ましくは60質量部以上であり、70質量部以上、80質量部以上、90質量部以上であってもよい。上記のブロック共重合ポリエーテルポリオールの合計の含有量は、100質量部以下であり、好ましくは98質量部以下である。
【0019】
ランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量は特に限定されない。ランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量は、ポリオール全体を100質量部とした場合に、10質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが更に好ましい。上記のランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量は、例えば、60質量部以下、50質量部以下、40質量部以下であってもよい。ランダム共重合ポリエーテルポリオールを用いることで、全ポリオール中の末端一級水酸基の割合を過度に増加させることなく、上記のエチレンオキサイド単位の含有量を好適に確保できる。よって、ポリウレタンフォームの反応性を保ちつつ、ガス抜け性を良好にできると考えられる。
また、反応性及びガス抜け性の両立の観点から、上記のランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量は、ポリオール全体を100質量部とした場合に、1.0質量部以上35質量部以下であることも好ましく、2.0質量部以上20質量部以下であってもよく、3.5質量部以上10質量部以下であってもよい。
ランダム共重合ポリエーテルポリオールの分子量は、5000以下が好ましく、4000以下がより好ましく、3300以下が更に好ましい。ランダム共重合ポリエーテルポリオールの分子量の下限は、通常、1000以上であり、2000以上、2500以上であってもよい。ランダム共重合ポリエーテルポリオールの分子量は水酸基価(mgKOH/g)の実測値と、ポリオールの価数から計算される値である。
好ましいポリオールとしては、上記のランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量が1.0質量部以上であり、上記のランダム共重合ポリエーテルポリオールの分子量が3300以下のものを例示できる。
【0020】
ポリマーポリオールとして、例えば、ポリオール中に、分散した微粒子ポリマーを含む液体のものを用いることができる。微粒子ポリマーは、例えばスチレン、アクリロニトリル、アクリル、メラミン等のポリマーや、ポリ尿素等が挙げられる。ポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオール(ベースポリオール)に、スチレンまたはアクリロニトリル、あるいはスチレンとアクリロニトリルを重合したものが好ましい。スチレンとアクリロニトリルの比率は0/100~50/50が好ましい。ポリマーポリオールのポリマーコンテント(ポリマーポリオール全体に対するベースポリオール以外の部分の質量割合)は10質量%以上55質量%以下であることが好ましく、15質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。ポリウレタンフォーム40の硬さを向上させるという観点においては、ポリマーコンテントは大きいほうが好ましいが、同ポリマーコンテントが大きくなりすぎると、粘度が高くなり作業性が低下するおそれがある。なお、ポリマーポリオールとしては、1種のポリマーポリオールのみが含有されてもよいし、分子量やポリマーコンテント、官能基数等が異なる2種以上のポリマーポリオールが併用されてもよい。
ポリマーポリオールの含有量は特に限定されない。ポリマーポリオールの含有量は、ポリオール全体を100質量部とした場合に好ましくは1質量部以上40質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上35質量部以下であり、更に好ましくは8質量部以上30質量部以下である。
【0021】
各ポリオールの分子量は特に限定されない。各ポリオールの分子量は、好ましくは20000以下であり、より好ましくは15000以下であり、更に好ましくは10000以下であり、更に好ましくは7000以下であり、更に好ましくは6000以下である。各ポリオールの分子量の下限は、通常、1000以上であり、2000以上、2500以上であってもよい。
各ポリオールの分子量は水酸基価(mgKOH/g)の実測値と、ポリオールの価数から計算される値である。
【0022】
(1.3)平均官能基数
ポリオール全体の平均官能基数は、特に限定されない。ポリオール全体の平均官能基数は、空洞(ボイド)抑制の観点から、好ましくは3.0より小さい。ポリオール全体の平均官能基数は、通常2.0以上であり、例えば、2.5以上、2.8以上であってもよい。
ポリオール全体の平均官能基数は、ポリオール全体に含まれる各ポリオールの官能基数と、各ポリオールのモル分率から算出される。例えば、ポリオールとして、ポリオール(a)、ポリオール(b)、ポリオール(c)の3種を用いた場合には、以下の式により、ポリオール全体の平均官能基数を求めることができる。
【数2】


ここで、Fはポリエーテルポリオール(a)の官能基数、Wはポリエーテルポリオール(a)の質量部、Mはポリエーテルポリオール(a)の分子量を表し、Fはポリエーテルポリオール(b)の官能基数、Wはポリエーテルポリオール(b)の質量部、Mはポリエーテルポリオール(b)の分子量を表し、Fはポリエーテルポリオール(c)の官能基数、Wはポリエーテルポリオール(c)の質量部、Mはポリエーテルポリオール(c)の分子量を表す。
【0023】
各ポリオールの官能基数は、特に限定されない。各ポリオールの官能基数は、好ましくは2以上4以下であり、より好ましくは3又は2である。ポリオールは、上記のポリオール全体の平均官能基数を3.0以下とする観点から、官能基数2のポリオールを含むことが好ましい。
各ポリオールの官能基数とは、各ポリオールが有する活性水素基の数を意味する。各ポリオールが市販品である場合には、カタログ値を各ポリオールの官能基数として採用してもよい。
【0024】
(1.4)ポリオールの粘度
ポリオールの粘度は特に限定されない。ポリオールの粘度は、3000mPa・s以下が好ましく、2000mPa・s以下がより好ましく、1200mPa・s以下が更に好ましい。ポリオールの粘度は、通常、500mPa・s以上である。なお、ポリオールの粘度は、E型粘度計における25℃での粘度として測定できる。
【0025】
(2)発泡剤
ポリオール含有組成物には、発泡剤が含まれていてもよい。発泡剤は特に限定されない。発泡剤としては、例えば、水、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)等のハイドロハロオレフィン、メチレンクロライド、エチレンクロライド等の塩化アルキレン、イソペンタン等の炭素数4-8のアルカンが挙げられる。これらの中でも、水が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。発泡剤の含有量は特に限定されない。発泡剤の含有量は、各種物性を確保する観点から、ポリオール100質量部に対して好ましくは1質量部以上10質量部以下、より好ましくは2質量部以上5質量部以下である。
【0026】
(3)触媒
ポリオール含有組成物には、触媒が含まれていてもよい。触媒は特に限定されない。各種の触媒は単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
触媒としては、例えば、泡化触媒、樹脂化触媒、泡化および樹脂化の両方を促進し得るうる触媒(バランス触媒)、イソシアネート基の三量化反応を促進させる三量化触媒等が挙げられる。
【0027】
泡化触媒としては、例えば、N,N,N'-トリメチル-N'-アミノプロピル-ビス(アミノエチル)エーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン等の3級アミンまたはその有機酸塩等、モルホリン化合物、ピペラジン化合物が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
樹脂化触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、2-ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン、N,N-ジメチルアミノヘキサノール等のアミンまたはその有機酸塩、有機金属等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
触媒は市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、泡化触媒としてNiax A-1(モメンティブ社製)、樹脂化触媒としてDABCO 33LSI(Evonik社製)、カオーライザーNo.25(花王社製)、RZETA(東ソー社製)が挙げられる。
触媒の含有量は、ポリオール100質量部に対して、触媒の合計量が0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
ポリオールとして、POが付加されたものにEOがブロック付加されてなるブロック共重合ポリエーテルポリオールを含有する場合には、末端一級水酸基のポリオールによって、反応性を担保し得る。よって、この場合には、樹脂化触媒の量は、ポリオール100質量部に対して、0.8質量部以下であることが好ましく、0.45質量部以下、0.35質量部以下であってもよい。上記の樹脂化触媒の量は、0質量部以上であり、好ましくは0.1質量部以上である。
【0028】
(4)整泡剤
ポリオール含有組成物には、整泡剤が含まれていてもよい。整泡剤は特に限定されない。整泡剤としては、例えば、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤が挙げられる。シリコーン系整泡剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサンとポリエーテルの共重合体等のポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。整泡剤は単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
具体的なシリコーン界面活性剤としては、例えば、VORASURF SZ-1333、SZ-1327、SZ-1328、SZ-1346E、SRX274DL(いずれも東レ・ダウコーニング株式会社製)、Niax silicone L-5302、L-1500、L-1501、L-1504、L-1506、L-1580、L-1593、L-1603(いずれもmomentive社製)、DABCO DC2525(Evonik社製)が挙げられる。
整泡剤の含有量は、ポリオール100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上5質量部以下がより好ましい。
【0029】
(5)その他の成分
ポリオール含有組成物は、上記の成分以外に、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、難燃剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、粘着付与剤、相溶化剤等、添加剤として公知のものを添加することができる。
難燃剤としては、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル系化合物、赤燐、ポリリン酸アンモニウム等のリン系化合物、メラミン系化合物、金属水和物、アンチモン化合物等が挙げられる。難燃剤は、ポリオール100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、5質量部以上15質量部以下がより好ましい。
【0030】
2.ポリウレタンフォーム形成用組成物
本実施形態のポリウレタンフォーム形成用組成物は、例えば、二液型の組成物であり、上記のポリオール含有組成物と、ポリイソシアネートを含むイソシアネート含有組成物と、を含む。ポリウレタンフォーム形成用組成物におけるポリオール含有組成物とイソシアネート含有組成物とは、例えば、使用時に混合して用いられる。
【0031】
(1)ポリイソシアネート
ポリイソシアネートは、特に限定されない。ポリイソシアネートは、MDI系イソシアネートが好ましい。MDI系イソシアネート(ジフェニルメタンジイソシアネート系イソシアネート)として、具体的には、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートの混合物であるポリメリックMDI、これらのカルボジイミド変性体、ウレタン変性体、ウレア変性体、アロファネート変性体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体等、さらにこれらのイソシアネートとポリオールを反応させて得られるMDIプレポリマー等を挙げることができる。MDI系イソシアネートは、複数種類を併用してもよい。これらの中でも、ポリウレタンフォームに弾性力を付与する観点から、MDIプレポリマーがより好ましく、カルボジイミド変性体を含むMDIと、ポリエーテルポリオールとのプレポリマーが更に好ましい。なお、上記のエチレンオキサイド単位の含有量を算出するにあたり、MDIプレポリマーの原料となるポリエーテルポリオール中のアルキレンオキサイド単位、及びエチレンオキサイド単位については考慮しない。
【0032】
イソシアネートインデックス(INDEX)は、成形性の観点から、70-130が好ましく、80-120がより好ましい。イソシアネートインデックスは、イソシアネートにおけるイソシアネート基のモル数をポリオールの水酸基や発泡剤としての水などの活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値であり、[イソシアネートのNCO当量/活性水素当量×100]で計算される。
【0033】
(2)その他の成分
イソシアネート含有組成物は、ポリオールを除く、ポリオール含有組成物に含まれ得る成分を含んでいてもよい。例えば、イソシアネート含有組成物は、酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0034】
3.マットレス10
マットレス10は、図1に示すように、上記のポリオール含有組成物(その1)から形成されるポリウレタンフォーム40を備えることが好ましい。マットレス10は、周辺部に荷重が掛かった際の沈み込みを抑制する観点から、上記のポリオール含有組成物(その1)から形成されるポリウレタンフォーム40を周辺部に備えることがより好ましい。
【0035】
より具体的には、本実施形態のマットレス10は、複数のスプリング21を有する構造体20と、構造体20の外周に配される通気性部材30と、通気性部材30の外周に配されるポリウレタンフォーム40と、を備える。以下、マットレス10を説明する際には、「上面」はマットレス10の使用時に人が載る側を向く面を意味し、「下面」はマットレス10の使用時に床側を向く面を意味する。また、マットレス10の「外周面」は、上面と下面を繋ぐ面を意味する。
【0036】
(1)構造体20
構造体20は、例えば鋼線などの金属線で構成されている。複数のスプリング21は、金属線が編み込まれた連続ばねで構成されていてもよく、独立したコイルスプリングを組み合わせて構成されてもよい。各スプリング21は、上下方向に沿う弾性力を発揮する。
【0037】
構造体20は、全体として略直方体状の外形を有している。構造体20の外周には、各スプリング21の側面が露出する。すなわち、構造体20の外周は、各スプリング21側面の形状がそのまま現れている。より具体的には、図2に示すように、構造体20の外周には、複数のスプリング21の側面21Aが点在して現れ、スプリング21の側面21Aが存在しない領域はスプリング21内に向けて開放されている。
【0038】
(2)通気性部材30
通気性部材30は、例えば、通気性を有するシート状の部材である。通気性部材30は、例えば、空気を通しつつ、ポリウレタンフォーム形成用組成物の通さない構成である。通気性部材30は、例えば、スプリング21に追従して変形可能な構成である。通気性部材30の材質は特に限定されない。通気性部材30としては、ポリウレタンフォーム等の発泡体シート、不織布等が挙げられる。通気性部材30の厚さは特に限定されない。通気性部材30の厚さは、例えば、0.1mm以上20mm以下である。
【0039】
通気性部材30は、図1に示すように、構造体20の外周に配される。通気性部材30は、例えば、構造体20の側面全体を覆っている。本実施形態の通気性部材30は、構造体20の外周面、構造体20の上面のうち外周面近傍の縁部、および、構造体20の下面のうち外周面近傍の縁部を覆っている。他方、通気性部材30は、構造体20の上面の縁部を除く部分と、構造体20の下面の縁部を除く部分を覆わない。構造体20及び通気性部材30の上には、クッション材11が配されている。構造体20及び通気性部材30の下には、クッション材13が配されている。
【0040】
(3)ポリウレタンフォーム40
ポリウレタンフォーム40は、図1に示すように、通気性部材30の外周に配される。ポリウレタンフォーム40は、通気性部材30を介して構造体20の側面を覆っている。本実施形態のポリウレタンフォーム40は、構造体20の側面とともに、クッション材11の側面、及びクッション材13の側面を覆っている。
【0041】
ポリウレタンフォーム40は、全体として枠状をなしている。ポリウレタンフォーム40は、構造体20を囲む壁部材であるとも言える。ポリウレタンフォーム40の断面は、略矩形状をなしている。ポリウレタンフォーム40の寸法は特に限定されない。図1に示すポリウレタンフォームの幅W1は、例えば、5mm以上100mm以下である。図1に示すポリウレタンフォームの高さH1は、例えば、50mm以上300mm以下である。
【0042】
図2に示すように、本実施形態のポリウレタンフォーム40は、通気性部材30に接合して、ポリウレタンフォーム40と通気性部材30の複合材を構成する。この複合材の少なくとも一部が、スプリング21の隣接する金属線間に進入している。このような構成によれば、ポリウレタンフォーム40及び/又は構造体20に荷重が掛かった場合に、ポリウレタンフォーム40と構造体20とが組み付いて荷重を分散して受けることができ、マットレス10全体として一体的な使用感が得られる。このような形態は、後述の製造方法によってポリウレタンフォーム40を成形することで実現できる。すなわち、後述の製造方法によれば、ポリウレタンフォーム40の発泡圧によって通気性部材30が構造体20内の空間に押し込まれて、ポリウレタンフォーム40及び通気性部材30が、スプリング21に組み付いた状態となる。なお、図2以外の各図においては、ポリウレタンフォーム40と通気性部材30を簡略化して描いており、ポリウレタンフォーム40がスプリング21に組み付いた様子は描かれていない。
【0043】
(4)その他の構成
マットレス10は、構造体20、クッション材11,13、通気性部材30、及びポリウレタンフォーム40以外にも、これらを一括してカバーする外装体等を更に備えていてもよい。
【0044】
なお、本開示のマットレスは、上記のポリオール含有組成物から形成されるポリウレタンフォームをマットレスの周辺部に備える構成に限定されない。例えば、マットレスは、上記のポリオール含有組成物から形成されるポリウレタンフォームを周辺部以外の部位に備えていてもよく、マットレス全体が、上記のポリオール含有組成物から形成されるポリウレタンフォームで構成されていてもよい。
【0045】
4.マットレス10の製造方法
本実施形態のマットレス10の製造方法は、図3から図5に示すように、例えば、通気性部材30を外周に備えた構造体20(以下、通気性部材付き構造体25とも称する)の少なくとも側面25Aを型50で包囲した状態で、型50内に上記のポリウレタンフォーム形成用組成物を流し込み、ポリウレタンフォーム形成用組成物を発泡させることでポリウレタンフォーム40を形成する。
【0046】
より具体的には、マットレス10の製造方法では、図3に示すように、通気性部材付き構造体25を準備する。そして、クッション材13(図1参照)、通気性部材付き構造体25、クッション材11(図1参照)を積層して、型50にセットする。通気性部材付き構造体25が型50にセットされた状態では、通気性部材付き構造体25の側面25Aは、型50の側壁51で包囲される。型50を閉じて、通気性部材付き構造体25と側壁51の内面との間に、ポリウレタンフォーム40を成形するため成形空間S1を形成する。
【0047】
続いて、型50内にポリウレタンフォーム形成用組成物を流し込む。流し込まれたポリウレタンフォーム形成用組成物は、発泡しつつ成形空間S1全体に行き渡る。図4は、2つの注入部53,53に注入されたポリウレタンフォーム形成用組成物の流れを概念的に示している。隣り合う注入部53,53に流し込まれたポリウレタンフォーム形成用組成物は、それぞれ所定の位置まで流れて合わさることになる。図5では、ポリウレタンフォーム形成用組成物は、成形空間S1のコーナー部で合わさっている。また、注入部53が一つの場合でも、注入部53から両側に流れたポリウレタンフォーム形成用組成物は、それぞれ所定の位置まで流れて合わさることになる。すなわち、ポリウレタンフォーム40は、ポリウレタンフォーム形成用組成物が合わさった部位において、図5に示すように、合わせ面41が形成される。
【0048】
型50内に流し込まれたポリウレタンフォーム形成用組成物を発泡させることでポリウレタンフォーム40を形成する。ポリウレタンフォーム40の発泡時において、型50内のガスは主に通気性部材付き構造体25側に抜ける。この際、ポリウレタンフォーム形成用組成物の発泡圧により、通気性部材30の一部が構造体20の内部に押し込まれる(図2参照)。ポリウレタンフォーム形成用組成物の発泡が完了し、ポリウレタンフォーム40が形成されてから、型50を開いて、マットレス10を取り出す。以上により、マットレス10の製造が完了する。
【0049】
なお、上記のマットレス10の製造方法は一例であり、本開示は上記のマットレス10の製造方法に限定されない。マットレスの製造方法は、マットレスを構成するポリウレタンフォームの形状等に応じて、適宜ポリウレタンフォームをモールド成形すればよい。
【0050】
5.本実施形態の作用効果
本実施形態のポリオール含有組成物(その1)によれば、ポリウレタンフォーム40と型50内面との間の空洞(ボイド)の発生を低減できる。その結果、ポリウレタンフォーム40の空洞を後加工で埋める手間を省くことができる。また、空洞(ボイド)に起因して、マットレス10の感触、座り心地、寝心地等が悪くなることを抑制できる。
【0051】
空洞(ボイド)の発生を低減できる理由は定かではないが、次のように推測される。なお、本開示は、以下の推測理由に限定解釈されない。
型50内のガスが通気性部材付き構造体25側に抜ける際に、このガスによって発泡中又は発泡済みのポリウレタンフォーム形成用組成物が通気性部材付き構造体25側に引き込まれると推測される。これは、ポリウレタンフォーム40と型50内面との間に空洞(ボイド)ができる一因と考えられる。空洞(ボイド)は、ポリウレタンフォーム形成用組成物が合わさる部位(ポリウレタンフォーム40の合わせ面41)付近において発生し易い。ポリウレタンフォーム40の合わせ面41は、一般的に、合わさるポリウレタンフォーム形成用組成物毎に反応の進行具合が異なる部位である。例えば、図5の合わせ面41において、一方の注入部53から流れてきたポリウレタンフォーム形成用組成物の反応が、他方の注入部53から流れてきたポリウレタンフォーム形成用組成物の反応よりも進んだ状態となり得る。この状態で、一方の注入部53から流れてきたポリウレタンフォーム形成用組成物に通気性部材付き構造体25側に向かう力が過度に作用すると、ポリウレタンフォーム形成用組成物が通気性部材付き構造体25側に引き込まれて、ポリウレタンフォーム40と型50内面との間に空洞(ボイド)ができると考えられる。
本実施形態のポリオール含有組成物は、上記のポリオールのエチレンオキサイド単位の含有量が12.5質量%以上である。このため、ポリウレタンフォーム40成形時のガス抜け性が改善して、上記のような空洞(ボイド)の発生が抑制されたと推測される。
【0052】
6.ポリオール含有組成物(その2)
ポリオール含有組成物(その2)は、ポリウレタンフォーム40を得るためのポリオール含有組成物である。ポリオールは、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック共重合ポリエーテルポリオールとエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共重合ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールを含む。ランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量は、ポリオール全体を100質量部とした場合に、例えば、10質量部以上であり、15質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが更に好ましい。上記のランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量の上限値は特に限定されない。上記のランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量は、例えば、60質量部以下、50質量部以下、40質量部以下であってもよい。ポリオールは、ポリオール全体に含まれるアルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が12.5質量%以上である。
【0053】
ランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量は、ポリオール全体を100質量部とした場合に1.0質量部以上であってもよく、2.0質量部以上、3.5質量部以上であってもよい。上記のランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量は、例えば、35質量部以下、20質量部以下、10質量部以下であってもよい。
ランダム共重合ポリエーテルポリオールの分子量は、5000以下が好ましく、4000以下がより好ましく、3300以下が更に好ましい。ランダム共重合ポリエーテルポリオールの分子量の下限は、通常、1000以上であり、2000以上、2500以上であってもよい。ランダム共重合ポリエーテルポリオールの分子量は水酸基価(mgKOH/g)の実測値と、ポリオールの価数から計算される値である。
好ましいポリオールとしては、上記のランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量が1.0質量部以上であり、上記のランダム共重合ポリエーテルポリオールの分子量が3300以下のものを例示できる。
【0054】
ポリオール含有組成物(その2)において、「ポリオール含有組成物(その1)」の次の説明をそのまま適用し、その記載は省略する。
・「(1.2)好ましいポリオール」の欄における「エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック共重合ポリエーテルポリオール」「エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共重合ポリエーテルポリオール」「ポリマーポリオール」の説明
・「(1.1)エチレンオキサイド単位の含有量」の欄の記載
・「(1.3)平均官能基数」の欄の記載
・「(1.4)ポリオールの粘度」の欄の記載
また、ポリオール含有組成物(その2)において、ポリウレタンフォーム(その1)の欄における「(2)発泡剤」「(3)触媒」「(4)整泡剤」「(5)その他の成分」の欄における説明をそのまま適用し、その記載は省略する。
また、ポリオール含有組成物(その2)についても、上述の「2.ポリウレタンフォーム形成用組成物」「3.マットレス10」「4.マットレス10の製造方法」の記載の説明をそのまま適用し、その記載は省略する。
【0055】
本実施形態のポリオール含有組成物(その2)によれば、ポリウレタンフォーム40と型50内面との間の空洞(ボイド)の発生を低減できる。ポリオール含有組成物(その2)の用途は特に限定されない。ポリオール含有組成物(その2)は、マットレス10に好適に用いることができる。すなわち、本実施形態のマットレス10は、ポリオール含有組成物(その2)から形成されるポリウレタンフォーム40を備えるマットレスとして把握できる。また、本実施形態のマットレス10は、ポリオール含有組成物(その2)から形成されるポリウレタンフォーム40を備えるマットレスとしても把握できる。
【実施例0056】
次に、実施例及び比較例を挙げて上記実施形態を更に具体的に説明する。
1.ポリウレタンフォームの製造
まず、各実施例及び各比較例のポリウレタンフォームに用いた組成物の原料成分を以下に示す。
ポリオール1:エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック共重合ポリエーテルポリオール、分子量5000、官能基数3、EO率15質量%、水酸基価33mgKOH/g
ポリオール2:ポリマーポリオール、分子量5000、官能基数3、EO率15質量%、水酸基価27mgKOH/g、ポリマーコンテント20質量%、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック共重合ポリエーテルポリオールをベースポリオールとするアクリロニトリル系ポリマーポリオール
ポリオール3:エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共重合ポリエーテルポリオール、分子量3000、官能基数3、EO率8質量%、水酸基価56mgKOH/g
ポリオール4:ポリプロピレントリオール、分子量3000、官能基数3、EO率0質量%、水酸基価56mgKOH/g
ポリオール5:エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック共重合ポリエーテルポリオール、分子量3000、官能基数3、EO率20質量%、水酸基価56mgKOH/g
ポリオール6:エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共重合ポリエーテルポリオール、分子量3000、官能基数3、EO率80質量%、水酸基価56mgKOH/g
ポリオール7:エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック共重合ポリエーテルポリオール、分子量4000、官能基数2、EO率20質量%、水酸基価37mgKOH/g
なお、ポリオール1、ポリオール2、ポリオール5、ポリオール7は、POが付加されたものにEOがブロック付加されてなるポリオールである。表1では、「PO-EO」と記載する。
【0057】
触媒1:樹脂化触媒、トリエチレンジアミン 33%、プロピレングリコール67%の希釈品
触媒2:2-ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン 33%、 ジオール67%の希釈品
触媒3:N,N,N'-トリメチル-N'-アミノプロピル-ビス(アミノエチル)エーテル
整泡剤1:シリコーン系整泡剤、東レ・ダウコーニング社製 VORASURF SZ-1346E
整泡剤2:シリコーン系整泡剤、東レ・ダウコーニング社製 VORASURF SZ-1327
発泡剤:水
ポリイソシアネート:MDIプレポリマー、NCO% 26.9%のカルボジイミド変性体を含むMDIとポリエーテルポリオールとのプレポリマー、BASF INOACポリウレタン社製、1900B
【0058】
上記各成分を下記表1,2に示す配合割合で混合し、以下の製造方法によって各実施例及び比較例のポリウレタンフォームを得た。
【0059】
まず、実施形態に記載の通気性部材付き構造体を模した入れ子を準備した。入れ子は、300mm×300mmサイズの正方形のアルミ板2枚の間に、270mm×270mm×厚さ100mmの直方体のポリウレタンフォームを挟み込み、更に側面に通気性部材を配したものである。
型に入れ子をセットし、型の内面と通気性部材との間に幅50mm、一辺の長さが300mmのL字状の成形空間を設けた。型は、L字状に延びた成形空間の両端に、組成物を注入するための穴をそれぞれ有している。
【0060】
続いて、組成物を混合、攪拌して、一方の穴に注入した。一方の穴に組成物を注入してから、30秒経過後に、他方の穴に組成物を注入した。なお、他方の穴に注入した組成物は、識別のため着色した。その後、型を閉じて、20分経過後に脱型した。以上のようにして、実施例及び比較例のポリウレタンフォームを得た。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】
【0063】
2.組成物の特性
(1)エチレンオキサイド単位の含有量
実施形態に記載の方法で、エチレンオキサイド単位の含有量を算出した。なお、エチレンオキサイド単位の含有量を算出するにあたって、ポリマーポリオールはポリエーテルポリオールとして計算するものとする。
(2)ランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量
ランダム共重合ポリエーテルポリオールの含有量は、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共重合ポリエーテルポリオールの合計の量を、ポリオール全体の量で除して算出した。
(3)ポリオール全体の平均官能基数
実施形態に記載の方法で、ポリオール全体の平均官能基数を算出した。
(4)ポリマーポリオールの含有量
ポリマーポリオールの含有量は、ポリマーポリオールの合計の量を、ポリオール全体の量で除して算出した。
(5)粘度(25℃)
実施形態に記載の方法で、ポリオールの粘度を測定した。
【0064】
3.評価
実施例及び比較例のポリウレタンフォームについて、一方の穴に注入した組成物と、他方の穴に注入した組成物が合わさる合わさり面を観察し、以下の基準で評価した。
AA:空隙(ボイド)がなく、合格である。
A:空隙(ボイド)がほとんどなく、合格である。
B:空隙(ボイド)が少しあるが、合格である。
C:空隙(ボイド)がBよりも目立つが、合格である。
D:空隙(ボイド)があり、不合格である。
【0065】
4.結果
組成物の特性及び評価結果を表1,2に併記する。
実施例1-実施例11は、下記要件aを満たしている。
・要件a:ポリオールは、ポリオール全体に含まれるアルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が12.5質量%以上である。
これに対して、比較例1,2は要件aを満たしていない。
実施例1-実施例11は、比較例1,2と比較して、評価が高かった。要件aを満たすことで、空隙(ボイド)を抑制し得ること示唆された。
【0066】
実施例1-実施例9のうち、実施例8,9は、下記要件bを満たしている。
・要件b:ポリオール全体の平均官能基数が3.0より小さい。
実施例8,9は、実施例1-実施例7と比較して、評価が高かった。要件bを満たすことで、空隙(ボイド)をより一層抑制し得ること示唆された。
【0067】
実施例2と実施例3を比較する。実施例2は、エチレンオキサイド単位の含有量が12.9質量%であり、評価Cである。実施例3は、エチレンオキサイド単位の含有量が16.8質量%であり、評価Bである。この結果より、エチレンオキサイド単位の含有量を増加することによって、空隙(ボイド)をより一層抑制し得ること示唆された。
【0068】
実施例2と実施例5を比較する。実施例2は、ポリマーポリオールの含有量が20質量部であり、評価Cである。実施例5は、ポリマーポリオールの含有量が30質量部であり、評価Bである。この結果より、ポリマーポリオールの含有量を増加することによって、空隙(ボイド)をより一層抑制し得ること示唆された。
【0069】
実施例2と実施例6,7を比較する。実施例2は、EO率が20質量%よりも大きいポリオールを用いておらず、評価Cである。実施例6,7は、EO率が20質量%よりも大きい(具体的にはEO率80質量%)ポリオールを用いており、評価Bである。この結果より、EO率が20質量%よりも大きいポリオールを用いることによって、空隙(ボイド)をより一層抑制し得ること示唆された。
【0070】
5.実施例の効果
以上の実施例によれば、ポリウレタンフォームと、型内面との間の空洞を低減できる。
【0071】
本開示は上記で詳述した実施形態に限定されず、本開示の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 …マットレス
11 …クッション材
13 …クッション材
20 …構造体
21 …スプリング
21A…側面
25 …通気性部材付き構造体
25A…側面
30 …通気性部材
40 …ポリウレタンフォーム
41 …合わせ面
50 …型
51 …側壁
53 …注入部
図1
図2
図3
図4
図5