IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 南通大学付属医院の特許一覧

特開2025-5375膵臓がんの医薬品及びその診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用
<>
  • 特開-膵臓がんの医薬品及びその診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用 図1
  • 特開-膵臓がんの医薬品及びその診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用 図2
  • 特開-膵臓がんの医薬品及びその診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用 図3
  • 特開-膵臓がんの医薬品及びその診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用 図4
  • 特開-膵臓がんの医薬品及びその診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用 図5
  • 特開-膵臓がんの医薬品及びその診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用 図6
  • 特開-膵臓がんの医薬品及びその診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用 図7
  • 特開-膵臓がんの医薬品及びその診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用 図8
  • 特開-膵臓がんの医薬品及びその診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用 図9
  • 特開-膵臓がんの医薬品及びその診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005375
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】膵臓がんの医薬品及びその診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20250108BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20250108BHJP
   C12Q 1/6883 20180101ALI20250108BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12Q1/68
C12Q1/6883 Z
G01N33/574 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031814
(22)【出願日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】2023107701073
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524082074
【氏名又は名称】南通大学付属医院
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 正展
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(72)【発明者】
【氏名】肖明兵
(72)【発明者】
【氏名】呉桐
(72)【発明者】
【氏名】樊興娟
(72)【発明者】
【氏名】史加海
(72)【発明者】
【氏名】鄭文傑
(72)【発明者】
【氏名】倪温慨
(72)【発明者】
【氏名】管程斉
(72)【発明者】
【氏名】陳子微
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR48
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS33
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】膵臓がんの医薬品及び診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の使用を提供する。
【解決手段】TMED8の発現量を検出する試薬であって、前記試薬は、TMED8のmRNA又はタンパク質の発現量を検出する試薬を含む、ことを特徴とする試薬を提供する。TMED8発現量の検出方法は、免疫組織化学、ウエスタンブロッティング及びリアルタイム定量PCRのうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TMED8の発現量を検出する試薬であって、前記試薬は、TMED8のmRNA又はタンパク質の発現量を検出する試薬を含む、ことを特徴とする。
【請求項2】
TMED8発現量の検出方法は、免疫組織化学、ウエスタンブロッティング及びリアルタイム定量PCRのうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項3】
前記試薬は、疾患診断製品を調製できることを特徴とする請求項1に記載の試薬。
【請求項4】
前記疾患のタイプは、腫瘍を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の試薬。
【請求項5】
腫瘍診断用キットであって、免疫組織化学によるTMED8タンパク質の発現量を検出する試薬、ウエスタンブロッティングによるTMED8タンパク質の発現量を検出する試薬、リアルタイム定量PCRによるTMED8遺伝子及び/又はmRNA発現量を検出するプライマーペアのうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とするキット。
【請求項6】
前記腫瘍は、膵臓がんを含む、ことを特徴とする請求項5に記載のキット。
【請求項7】
TMED8の発現量を向上させる試薬であって、前記試薬は、TMED8のアゴニスト、TMED8のアナログ、TMED8を過剰発現する試薬のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする。
【請求項8】
前記試薬は、疾患治療製品を調製できることを特徴とする請求項7に記載の試薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍の精密医療技術分野に属し、具体的には、膵臓がんの医薬品及びその診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用に関する。
【背景技術】
【0002】
膵臓がん(PC)は極めて一般的で悪性度が極めて高い腫瘍であり、早期診断が困難で、転移しやすく、進行が迅速で予後が極めて悪く、世界のがん死亡の主な原因になる。膵臓がんの発生率が最も高い地域には、北米、ヨーロッパ、オーストラリアが含まれ、世界の人口高齢化が進行し、喫煙、肥満、糖尿病、飲酒などが、世界中の多くの地域で流行していると共に、膵臓がんの発生率の急激な増加につながり、ただし、潜在的な有病率と予防戦略の差異により、これらのリスク要因の相対的な貢献は世界的に異なる。遺伝的要因は直接変化することはできないが、遺伝性がん遺伝子中の病原性変異、遺伝性膵臓炎に関する遺伝子及び全ゲノム関連研究で決定された一般的な変異体を含む膵臓がんのリスクの重要な構成部分である。がんの遺伝子の変化を特定することは、このがんの病因を深く理解するだけでなく、早期検出戦略を指導する機会を提供することもできる。膵臓がんは、早期に明らかな症状がないため、タイムリーな発見・診断が困難になり、現在臨床で一般的に使用されている腫瘍マーカー、例えば、CA199やCEAなどは、膵臓がんの早期診断に対する感受性・特異性が低くなる。確定診断されると、多くの患者はすでに中晩期にあり、根治的手術切除のほかは、化学放射線療法を補助する等の手段は予後の改善に非常に限られている。したがって、感受性・特異性がより強い初期マーカーと有効的な治療標的を探索し、発見することには重要な意義がある。
【0003】
TMEDファミリー(膜貫通emp24ドメインファミリー)は、I型単一チャネル膜貫通タンパク質で構成されており、すべての真核生物に発見され、ヒトの発育及び疾患での地位を無視できない。分泌経路における重要な輸送タンパク質として、制御されるタンパク質輸送経路が異常になると、先天性奇形、糖尿病、がんを含む多くの疾患を引き起こす。過去の研究により、TMEDタンパク質の異常な発現は、通常、肝臓疾患、膵臓疾患及び免疫系障害と密接に関連しており、疾患の発生発展の過程中に、分泌ループを形成し、細胞及び細胞内の各細胞小器官の正常な形態を維持し、細胞小器官間でさまざまな重要な貨物成分を循環輸送し、細胞器間のコミュニケーションを実現することができ、それにより、疾患のプロセスを持続的に調節し、特に悪性腫瘍細胞の増殖及び分化において、重要な役割を果たす。
【0004】
TMED8(NCBI Gene:283578)は、該ファミリーの重要なメンバーの1つであり、14番染色体の77,335,021-77,377,094塩基の間に位置し、分子量は約55kDaであり、細胞核及び細胞質内においてすべて発現される。現在、TMED8とヒトの疾患と正常な生理学的機能との関係に関する文献は報告されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、膵臓がんの医薬品及び診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用を提供し、具体的には疾患診断用キットの調製におけるTMED8の応用、及び腫瘍治療用医薬品の調製におけるTMED8の応用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、TMED8の発現量を検出する試薬の、疾患診断製品の調製における応用を提供する。
【0007】
好ましくは、前記試薬は、TMED8のmRNA又はタンパク質の発現量を検出する試薬を含む。
【0008】
好ましくは、前記TMED8の発現量の検出方法は、免疫組織化学、ウエスタンブロッティング及びリアルタイム定量PCRの少なくとも1種を含む。
【0009】
好ましくは、前記疾患のタイプは、腫瘍を含む。
【0010】
本発明は、さらに、免疫組織化学によるTMED8タンパク質の発現量を検出する試薬、ウエスタンブロッティングによるTMED8タンパク質の発現量を検出する試薬、リアルタイム定量PCRによるTMED8遺伝子及び/又はmRNAの発現量を検出するプライマーペアの中の少なくとも1種を含む腫瘍診断用キットを提供する。
【0011】
好ましくは、前記腫瘍は、膵臓がんを含む。
【0012】
本発明はまた、疾患治療製品の調製における、TMED8の発現量を向上させるための試薬の応用を提供する。
【0013】
好ましくは、前記試薬は、TMED8のアゴニスト、TMED8のアナログ、TMED8を過剰発現する試薬のうちの少なくとも1種を含む。
【0014】
本発明はまた、内因性TMED8発現量を向上させる試薬又は外因性TMED8を含む腫瘍治療薬を提供する。
【0015】
好ましくは、前記治療は、腫瘍細胞の移動の阻害、腫瘍細胞増殖の阻害、腫瘍細胞アポトーシスの促進、MAPKシグナル伝達経路活性化の阻害のうちの少なくとも1種を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、膵臓がん組織チップを作製することにより、免疫組織化学技術を使用して膵臓がんにおけるTMED8の発現状況を検出したところ、膵臓がん腫瘍組織におけるTMED8の発現レベルは、paratumor組織のそれよりもかなり高くなっている。また、TMED8を過剰発現する膵臓がん安定発現細胞系を確立することにより、qRT-PCR、ウェスタンブロット、細胞スクラッチ、CCK8、Transwell、フローサイトメトリー、ヌードマウスの皮下腫瘍形成などのインビボおよびインビトロ実験を利用し、膵臓がん細胞の生物学的挙動に対するTMED8の影響を調査し、TMED8遺伝子の発現をアップレギュレートした後、膵臓がん細胞の移動及び増殖能力を顕著に阻害し、且つ膵臓がん細胞のアポトーシスを促進することを発見している。本発明では、さらに、TMED8遺伝子がMAPKシグナル伝達経路に関連していることを発見している。したがって、TMED8は膵臓がん遺伝子による診断・治療における効果的な標的として使用でき、精密医療の膵臓がん診断キット及び治療薬の製造に重要な応用意義がある。本発明は、初回、膵臓がんにおけるTMED8の発現、および膵臓がん細胞の行動生物学に対する影響を探索し、可能な作用メカニズムとMAPKシグナル伝達経路との密接関連を調査している。TMED8は、膵臓がんの診断キット及び治療薬として、膵臓がんの早期診断及び治療に有効なサポートを提供することが期待されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】膵臓がん及びparatumor組織チップにおけるTMED8の発現をIHCにより検出し、選択した代表的な部位の図である。a-bは、低分化PCがん及びparatumor組織染色結果、c-dは、中分化PCがん及びparatumor組織染色結果、e-fは、高分化PCがん及びparatumor組織染色結果である。
図2】TMED8の発現、それに対応するWB及びPCRによる検証結果の図である。
図3】膵臓がん正常カテーテル上皮細胞と腫瘍細胞系におけるTMED8の発現比較図である。
図4】膵臓がん安定発現細胞系のTMED8の過剰発現効率検証図である。
図5】細胞スクラッチ及びTranswell実験による膵臓がん細胞の移動能に対するTMED8の過剰発現の影響を示す図である。
図6】CCK8及びクローン形成実験による膵臓がん細胞の増殖能力に対するTMED8の過剰発現の影響を示す図である。
図7】フローサイトメトリーによる膵臓がん細胞アポトーシス能力に対するTMED8の過剰発現の影響を示す図である。
図8】膵臓がん細胞によるヌードマウスの皮下腫瘍形成に対するTMED8の過剰発現の影響を示す図である。
図9】MAPK関連分子に対するTMED8の発現増加の影響を示す図である。
図10】TMED8過剰発現プラスミドpLV3-CMV-TMED8(human)-3×FLAG-EF1a-CopGFP-Puroの構築図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、TMED8発現量を検出する試薬の、疾患診断製品の調製におけるの応用を提供する。
【0019】
本発明の実施例において、生物学的サンプルライブラリーに基づいて膵臓がん組織チップを作製し、免疫組織化学技術を使用して膵臓がんにおけるTMED8の発現を検出し、結果として、膵臓がん腫瘍組織におけるTMED8の発現レベルは、paratumor組織よりも顕著に高くなり、且つ統計により、TMED8高発現群の患者の予後が比較的に良く、それにより前記TMED8を膵臓がん診断のバイオマーカーとする。
【0020】
本発明に記載の試薬は、好ましくは、TMED8のmRNA又はタンパク質の発現量を検出する試薬を含み、かつ前記検出方法は好ましくは、免疫組織化学、ウェスタンブロット及びリアルタイム定量PCRの少なくとも1種を含む。本発明に記載の疾患のタイプは、好ましくは、腫瘍を含み、より好ましくは膵臓がんである。
【0021】
本発明は、さらに、免疫組織化学によるTMED8タンパク質の発現量を検出する試薬、ウエスタンブロッティングによるTMED8タンパク質の発現量を検出する試薬、リアルタイム定量PCRによるTMED8遺伝子のmRNA発現量を検出するプライマーペアのうちの少なくとも1種を含む腫瘍診断用キットを提供する。TMED8及び内部コントロール18Sのプライマー配列を表1に示す。
【0022】
表1 プライマー配列
【0023】
本発明に記載の腫瘍は、好ましくは、膵臓がんを含む。
【0024】
本発明はまた、疾患治療製品の調製における、TMED8の発現量を向上させる試薬の応用を提供する。
【0025】
本発明の実施例において、TMED8を過剰発現する膵臓がん安定発現細胞系を確立することにより、qRT-PCR、ウェスタンブロット、細胞スクラッチ、CCK8、Transwell、フローサイトメトリー、ヌードマウスの皮下腫瘍形成などのインビボおよびインビトロ実験を利用し、膵臓がん細胞の生物学的挙動に対するTMED8の影響を調査し、TMED8遺伝子の発現をアップレギュレートした後、膵臓がん細胞の移動及び増殖能力を顕著に阻害し、且つ膵臓がん細胞のアポトーシスを促進することを発見しており、本発明はさらに、TMED8遺伝子がMAPKシグナル伝達経路に関連していることを発見している。したがって、TMED8は膵臓がん遺伝子の診断・治療における効果的な標的として使用できる。
【0026】
本発明に記載の試薬は、好ましくは、TMED8のアゴニスト、TMED8のアナログ、TMED8を過剰発現する試薬のうちの少なくとも1種を含む。
【0027】
本発明に記載のTMED8を過剰発現する方法は、SEQ IDNo.5に示すTMED8過剰発現プラスミドpLV3-CMV-TMED8(human)-3×FLAG-EF1a-CopGFP-Puroを構築することを含むことが好ましい。
【0028】
本発明は、さらに、内因性TMED8発現量を向上させる試薬又は外因性TMED8を含む腫瘍治療薬を提供する。
【0029】
本発明に記載の内因性TMED8発現量を向上させる試薬は、好ましくは、上記TMED8を過剰発現する試薬と同じであり、ここでさらに説明しない。本発明に記載の外因性TMED8は、好ましくは、上記TMED8のアゴニスト、TMED8のアナログと同じであり、ここでさらに説明しない。本発明に記載の治療は、好ましくは、腫瘍細胞移動の阻害、腫瘍細胞増殖の阻害、腫瘍細胞アポトーシスの促進、MAPKシグナル伝達経路活性化の阻害のうちの少なくとも1種を含む。
【0030】
以下、本発明をさらに説明するために実施例を参照しながら本発明で提供された膵臓がんの医薬品及び診断キットの調製におけるTMED8遺伝子の応用を詳しく説明しているが、本発明の保護範囲に対する制限として理解することができない。
【0031】
本発明の実施例において、使用された試薬及び機器は、特に説明しない限り、すべて本分野の一般的なキット及び機器であり、試薬販売店から購入することができる。
【0032】
1、本発明の実施例での主な試薬:
IHC検査キット(Servicebio、中国)、4%パラホルムアルデヒド固定液(Servicebio、中国)、PBS緩衝液(Servicebio、中国)、ウシ血清アルブミンBSA粉末(Solarbio Life Sciences、中国)、TritonX-100(Solarbio Life Sciences、中国)、キシレン(国薬集団、中国)、ヘマトキシリン染色液(Byotime、中国)、ヘマトキシリン分化液(Byotime、中国)、無水エタノール(国薬集団、中国)、クエン酸ナトリウム抗原賦活化溶液(Beyotime、中国)、ウサギ由来抗TMED8抗体(Invitrogen、アメリカ合衆国)、ウサギ由来抗Ki67(Absin、中国)、HRP標識ヤギ抗ウサギ二次抗体(Abcam、アメリカ合衆国)、95%エタノール(国薬集団、中国)、DMEM基礎培地(Cytiva、中国)、IMDM基礎培地(Cytiva、中国)、RPMI基礎培地(Cytiva、中国)、PBS基礎緩衝液(Servicebio、中国)、ウシ胎児血清(Gibco、アメリカ合衆国)、無血清タイプ細胞凍結保存液(新賽美、中国)、EDTA含有トリプシナーゼ消化液(新賽美、中国)、ペニシリン-ストレプトマイシン溶液(新賽美、中国)、塩酸テトラサイクリン溶液(上海生工、中国)、ピューロマイシン(Sangon、アメリカ合衆国)、細胞培養ディッシュ(Nest、中国)、Lipofectamine 2000(Invitrogen、アメリカ合衆国)、6ウェルプレート、96ウェルプレート、24ウェルプレート(Nest、中国)、細胞培養チャンバー8μm透明PETフィルム(BD Falcon、アメリカ合衆国)、1.5mL、4mL、10mLの遠沈管、細胞凍結保存管(Biosharp、アメリカ合衆国)、Trizol(諾維賛、中国)、セルスクレイパー(Nest、中国)、DEPC水(上海生工、中国)、LC 8連チューブ(Roche、スイス)、無酵素ピペットチップ、遠沈管(Biosharp、中国)、無水エタノール(国薬集団、中国)、イソプロパノール(国薬集団、中国)、トリクロロメタン/クロロホルム(国薬集団、中国)、(1)RIPA強力な細胞溶解液(Byotime、中国)、プロテアーゼ阻害剤CM(Amresco、アメリカ合衆国)、ホスファターゼ阻害剤PI(Amresco、アメリカ合衆国)、BCAタンパク質解析用キット(Byotime、中国)、タンパク質ローディング用緩衝液4×Loading Buffer(諾維賛、中国)、Marker標準タンパク質(諾維賛、中国)、PVDF膜(Sigma、アメリカ合衆国)、TEMEDテトラメチルエチレンジアミン(Sigma、アメリカ合衆国)、0×電気泳動用緩衝液プレミックス(Servicebio、武漢)、10×転写バッファープレミックス(Servicebio、武漢)、10×TBSTプレミックス(Servicebio、武漢)、塩化ナトリウム(NaCl)(国薬集団、中国)、イソプロパノール(国薬集団、中国)、過硫酸アンモニウム(AP)(Sigma、アメリカ合衆国)、グリシン(Glycine)(国薬集団、中国)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(国薬集団、中国)、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)(国薬集団、中国)、メタノール(国薬集団、中国)、脱脂粉乳(伊利乳業、中国)、超高感度ECL化学発光キット(新賽美、中国)、30%ポリアクリルアミド溶液(Servicebio、中国)、Tween(国薬集団、中国)、マウス抗ヒトGAPDH抗体(Proteintech、中国)、ウサギ抗ヒトTMED8抗体(Invitrogen、アメリカ合衆国)、ウサギ抗ヒトERK1/2抗体(CST、アメリカ合衆国)、ウサギ抗ヒトERKリン酸化抗体(CST、アメリカ合衆国)、ウサギ抗ヒトP38抗体(CST、アメリカ合衆国)、ウサギ抗ヒトP38リン酸化抗体(CST、アメリカ合衆国)、ウサギ抗ヒトJNK抗体(CST、アメリカ合衆国)、ウサギ抗ヒトJNKリン酸化抗体(CST、アメリカ合衆国)、ウサギ抗ヒトCasepase3抗体(Santa、日本)、ウサギ抗ヒトCD63抗体(Abcam、アメリカ合衆国)、ウサギ抗ヒトCD81抗体(Abcam、アメリカ合衆国)、ウサギ抗ヒトCD9抗体(Abcam、アメリカ合衆国)、マウス抗ヒトKi-67抗体(武漢三鷹、中国)、HRP標識ヤギ抗ウサギIgG抗体(Invitrogen、アメリカ合衆国)、HRP標識ヤギ抗マウスIgG抗体(Invitrogen、アメリカ合衆国)、CCK-8キット(Byotime、中国)、細胞周期解析キット(福麦斯生物、中国)、アポトーシス検出キット:AnnexinV-PE/7-AAD二重染色(凱基生物、中国)、クリスタルバイオレット染液(Byotime、中国)。
2、本発明の実施例で使用される主な機器
組織チップシステム(UT06、韓国Unitma社)、倒立顕微鏡(Leica、ドイツ)、化学発光・ゲル撮影装置(BioRad、アメリカ合衆国)、全自動マイクロプレートリーダ(BioRad、アメリカ合衆国)、電気泳動システム(BioRad、アメリカ合衆国)、細胞培養インキュベーター(賽默飛、アメリカ合衆国)。
【0033】
実施例1
2020~2023年間、南通大学附属医院の臨床生物ライブラリーから79例のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)されたがん及びparatumor組織を含む膵臓がん組織サンプルを取得した。がん患者は、放射線療法、化学療法、免疫療法を含む何の治療も受けておらず、臨床症例情報は詳細で完全である。該研究計画は、中国南通大学附属医院人類研究倫理委員会によって承認されたものである。
1、組織チップの制作
(1)HE切片の鏡下観察結果に基づいて、パラフィンブロックの代表的ながん巣領域を標識した。
(2)パラフィンと黄蝋を1:1で混合し、TMAブランク受容体パラフィンブロックを制作した。パラフィンブロックにおいて、10×7ポイントの組織アレイを設計し、次に組織マイクロアレイヤーでパンチしてTMAブランクパラフィンブロックを制作した。
(3)ドナーパラフィンブロックを標識点において最も代表的ながん巣領域を選択し、直径2mmの組織ブロックを収集し、各例からそれぞれ1つのコアを採取した。
(4)採取された組織コアを、受容体パラフィンブロックの孔に移し、各組織コアの間に、一定の距離をあけて、対応するparatumor組織を対照として採取した。
(5)組織アレイブロックを55℃のインキュベーターに入れて10分間加熱して融合させ、パラフィンブロックが溶融する前に、取り出して室温で冷却し、受容体パラフィンブロックとドナー組織を一体として融合させた。
(6)切片にする前、組織チップを4℃の条件下で置いて、約4時間予冷し、その後、全自動組織スライサーを使用して組織アレイブロックを修正し、速度が20mm/回転であり、全部の組織が完全であるまで修正した。
(7)スライサーを使用して組織アレイブロックを切片にし、連続切片をそれぞれ冷水にさらして自然に展開させ、次に切片を45℃の温水に移して、2分間程度展開させた後に、剥離防止処理を施したスライドガラスに貼り付けて乾させた。
(8)切片を60℃の高温オーブンに置いて3分間焼き、58℃で18h焼き続いた。
(9)完成した組織チップを切片ボックスに保存し、-20℃で置いて保存して使用に備えた。
2、免疫組織化学染色:
(1)まず組織チップを、60℃の恒温オーブンに置いて、パラフィンが熔融するまで約40min焼き付けた。
(2)すぐにチップをキシレンI、キシレンII、100%エタノールI及び100%エタノールIIに置き、それぞれ5分間浸漬させ、次に順次95%エタノール、90%エタノール、80%エタノール及び70%エタノールに入れ、それぞれ2分間浸漬させ、次に清水で洗浄した。
(3)事前に免疫組織化学用キットに抗原賦活化溶液を入れ、且つ水浴法で、95℃まで予熱し、次にチップを容器に入れ、次に95℃で20分間処理して抗原賦活化を行い、室温まで自然に冷却し、5分間/1回でPBSにより3回洗浄した。
(4)スーパーパップペンでチップ上の組織周りに境界線を描き、次に円の内部に3%Hを滴下し、10min培養させ、5分間/1回でPBSにより3回洗浄した。
(5)一次抗体(ウサギ抗ヒトTMED8抗体)を滴加し、4℃で一晩培養させた。
(6)室温で1時間復温させ、一次抗体を除去し、PBSで3回洗浄し、5分間/1回で、ポリマー増強剤を滴加し、室温で20min培養させ、5分間/1回でPBSにより3回洗浄した。
(7)二次抗体(酵素標識抗マウス/ウサギIgGポリマー)を滴加し、室温で30min培養させ、5分間/1回でPBSにより3回洗浄した。
(8)新鮮に調製されたDAB試薬を滴加し、発色した後、チップを水道水で5分間すすいで発色を終了させた。
(9)チップをヘマトキシリンで2分間染色させ、すぐに流水でゆっくり洗浄し、0.5%HClエタノール溶液に入れ、2分間浸漬させ、最後に流水で15分間洗浄した。
(10)チップを順次80%エタノール、90%エタノール、95%エタノール、100%エタノールI、100%エタノールII、キシレンにおいて、1分間浸漬させ、且つ通風室において自然に陰干しにした。
(11)最後に中性樹脂で封入した。
3、結果の判断:
組織内細胞の着色程度に応じて、陽性強度を3つのレベルに分けることができ、陽性着色がない場合、0レベル(陰性)であり、淡黄色の場合、1レベル(弱陽性)であり、黄褐色の場合、2レベル(中陽性)であり、ダークブラウンの場合、3レベル(強陽性)であり、細胞陽性比率=陽性細胞数/細胞総数であり、4つのレベルに分けることができ、0~4レベルの比率は順次、0~5%、6%~25%、26%~50%、51%~75%及び>75%である。チップの結果は、3人の病理科専門家が、独立的に閲読してスコアリングした後、スコアリングの四分位数に従って「-、+、++、+++」4つの群に分けて統計及び解析を行った。
【0034】
79例の膵臓がん腫瘍及びparatumor組織切片標本を免疫組織化学染色した結果を図1に示すように、TMED8タンパク質陽性は主に、がん組織の腫瘍細胞の胞質及びがん組織間質に発現され、黄褐色を呈するが、大部分のparatumor組織は、低発現又は無発現である。統計的結果より、TMED8は実際に膵臓がん組織チップで顕著に高発現*p<0.05になることを示している。
【0035】
8対の膵臓がん患者のがん及びparatumor組織を選択してWB検証を行い、結果を図2に示すように、上記に一致した。
【0036】
実施例2
1、細胞のトランスフェクション
(1)プラスミドの転換及び抽出:-20℃の冷蔵庫で保存されたTMED8の過剰発現プラスミドpLV3-CMV-TMED8(human)-3×FLAG-EF1a-CopGFP-Puroのプラスミド乾燥粉末を取り出し、40μLのDEPC水を添加して溶解し、同時に電熱恒温水槽を開いて42℃まで上昇し、-80℃の超低温冷蔵庫に貯蔵されたDH5αコンピテントセルを、氷に置いて融解し、コンピテントセルが融解したらすぐに転換実験操作を行い、
TMED8過剰発現プラスミド(図10)と融解したコンピテントセルを、1:3の体積比で混合させ、管壁を軽くはじいて2~3回に軽く吹き付けて、均一に混合し、氷に静置し、25分間計った直後に42℃のウォーターバスに入れて、45秒間の時間を正確に計って培養させ、すぐに氷に移動して3分間氷浴し、転換されたプラスミドを、40μL無抗生物質LB液体培地含有の細胞培養チューブに添加し、恒温振動台を使用して、37℃の条件下で、200rpm回転速度で1時間予振動させ、予振動が終了して50μg/mL濃度のアンピシリン含有液体培地4mLを添加し、37℃の条件下で、250rpm回転速度で一晩振動させ、雑菌が生えないように具体的な時間を14~16時間範囲内に制御し、Axygenプラスミド抽出キットを用いて、標準手順に応じて菌液を抽出し、得られたプラスミド濃度を測定し、記録し、余剰の菌液とグリセリンを混合して保全することができ、-80℃条件下で貯蔵した。
(2)安定発現細胞株の確立:適量の野生型トランスフェクト対象細胞(PANC-1及びBXPC-3膵臓がん細胞系)を、6ウェルプレート内に播種し、好ましくは6時間の接着後の密度を、60%~70%に制御し、血清及びジアボディを含まない1640基礎培地80μLとプラスミド3μgを融合させ、管壁を軽くはじき、試薬を均一に混合させ、DNAの断裂を回避するために、ピペットで吹き付けず、室温で5分間静置した後に、Lipofectamine 2000トランスフェクション試薬3μLを添加し、室温で20~30分間静置した後、6ウェルプレートの完全培地に添加し、ピペットで軽く吹き付けて均一に混合させ、37℃、5%二酸化炭素条件での細胞培養器に置いて24~48時間培養させ、初回の24時間に、1回観察し、その後に、12時間ごとに細胞状態を1回観察し、トランスフェクション試薬毒性による細胞状態が悪くなる場合、すぐに培地を交換し、トランスフェクションが安定した後、蛍光顕微鏡下で、プラスミドに付属する蛍光標識を使用して、細胞トランスフェクションの効率を観察し、トランスフェクションが成功した後、対応する抵抗性を使用し、一般的にピューロマイシンを使用して、トランスフェクションが失敗した野生型細胞を選び出し、トランスフェクションが成功した細胞をスクリーニングし、安定発現細胞株を確立し、継代保存後に細胞総タンパク又は総RNAを取得してWB又はqRT-PCR実験を行い、細胞の過剰発現効率を検証し、結果を図4に示した。
2、CCK-8細胞増殖活力の検出
中皿に予培養して検出しようとする過剰発現安定発現細胞及び野生型対照細胞株を使用して、皿内の細胞融合度が90%になると、消化して再懸濁させ、皿内の細胞量を適切に制御する必要があり、混雑した状態で成長した細胞は、その自身のアポトーシスを引き起こし、その後の結果の正確性に影響を与える可能性がある。細胞をカウントし、細胞成長特性によれば、1ウェルあたり5,000~100,00個の数で96ウェルプレートに播種し、各群は、操作方法によって引き起こされる実験誤差を減らすために、すべて5~6個の繰り返しウェルを設置し、変数制御の目的を達成するために、対照細胞の数と処理群細胞の数が等しくなければならないことに注意して、6~12時間後、細胞が接着した後、細胞増殖活力の検出を開始し、細胞増殖活力は、細胞倍増周期に基づいて5日間連続的に検出する必要があるため、実験操作及び結果の検出は、毎日同時に実行する必要がある。
CCK8試薬と対応する細胞の基礎培地を1:9の体積比で混合させ、新鮮な作動液を取得し、元のウェル中の培地を廃棄し、1×PBS緩衝液で洗浄した後、1ウェルあたり10%濃度CCK8作動液100μLを添加し、37℃培養器において、1~2時間静置して反応した後、マイクロプレートリーダを使用して460nm部位において、それに対して吸光度を測定し、データを記録し、全ての検出が完了した後、データの処理及び比較解析を行った。
結果を図6に示すように、TMED8の過剰発現は、膵臓がん細胞の増殖能力を阻害した。
3、細胞スクラッチ治癒実験
新しい無菌包装6ウェルプレートを、クリーンベンチに置いて逆さまにして置き、直定規及びマーカーを用いてプレートの底部に、3×3の格子座標線を描き、後期スクラッチ実験の顕微鏡下での撮影の位置決めを容易にした。適量の野生型及び過剰発現細胞株を6ウェルプレート内に播種し、対照群及び過剰発現群にそれぞれ3つの繰返しウェルを設置し、その成長周期に基づいて、新鮮な完全栄養培地を使用して90%の密度に培養する時、アルコールで消毒殺菌された直定規及び1mLの無菌青ピペットチップで細胞スクラッチを行い、過程中、手法の垂直と力度が均一であることに注意し、操作による結果誤差を減らし、実験変数をよりよく制御するために、各ウェル内のひっかき傷のサイズを、基本的に同じになるように制御すべきであり、実験結果の繰り返しを確保するために、各ウェル内にもそれぞれ3つのスクラッチ線を描き、スクラッチが完了した後、1×PBS緩衝液を添加し、掻き出した浮遊細胞及び細胞破片をきれいに洗浄し、スクラッチ傷の境界で細胞が洗い流されないように力を入れて柔らかくしなければならない。低血清濃度の完全な培地に交換し、細胞成長を維持しながら後続の観察を便利にするように成長速度を制御し、実験開始の0hとして時点を記録し、写真を撮り、24hごとに1回、細胞スクラッチの治癒を顕微鏡下で観察し、写真を撮り、72h後、実験の最終結果を統合解析した。
結果を図5に示すように、TMED8の過剰発現は、膵臓がん細胞の移動能力を阻害していることが分かった。
4、細胞コロニー形成実験
EDTA含有トリプシンを使用して検出対象細胞を単一の状態に消化させ、細胞懸濁液を収集し、細胞をカウントし、1ウェルあたり500個の数で、対照群及び過剰発現群の細胞をそれぞれ6ウェルプレートに播種し、各群に3個のウェルを設置し繰り返し、各ウェルにいずれも新鮮な完全培地2mLを添加して培養し、細胞培養器に置いて、37℃、5%二酸化炭素の条件下で5~7日間培養し、細胞初期数量が少ないため、コロニー形成期間に培地を交換する必要がなく、5~7日間後、培養用プレートを取り出し、顕微鏡下でコロニー形成状態を観察し、1×PBSで洗浄して廃棄した後、各ウェルに1mLの4%パラホルムアルデヒド固定液を添加して2時間固定し、PBSで3回洗浄してクリスタルバイオレット染液を添加して1時間染色し、作動液を廃棄して再蒸留水で洗浄して干した後、写真を撮り、両方の群の細胞間のコロニー形成差異を観察した。
結果を図6に示すように、TMED8の過剰発現は、膵臓がん細胞コロニーの形成を阻害し、即ち膵臓がん細胞の増殖能力を阻害していることが分かった。
5、Transwell細胞移動実験
検出対象の細胞に対して消化再懸濁及びカウントを行い、傍らに置いて使用に備え、細胞培養用24ウェルプレート及びサポートモデルの8μmの透明なPETフィルム付きチャンバーを取り出し、チャンバーを24ウェルプレートの培養用ウェルに置き、チャンバーの槽外には即ち、培養用ウェル内に5%濃度のウシ胎児血清含有完全栄養培地600μLを加え、30000個の細胞をカウントして吸い取り、ウシ胎児血清を含まない基礎栄養培地200μLを用いて十分に再懸濁し、ピペットをチャンバーの内槽に移し、細胞成長周期に基づいて24~72時間培養し、細胞を十分に生体膜を通過させ、細胞の移動能力を観察し、チャンバーを取り出し、内槽培地を吸引して廃棄し、きれいな24ウェルプレートのウェル内に置き、4%パラホルムアルデヒド固定液に浸漬して2時間固定した後、再蒸留水で軽くすすぎ、次にクリスタルバイオレット染色液を添加して1時間染色した後、再蒸留水で洗浄し、染色が深すぎて結果への観察に影響を与えると、メタノールで脱色洗浄を行い、フィルムのブランク部位でのクリスタルバイオレットを溶離させることができ、染色が完了した後、チャンバーを逆さまにし、室温で乾かし、通常の光学顕微鏡で観察し、適切な視野を選択して撮影した。
結果を、図5に示すように、TMED8の過剰発現は、膵臓がん細胞の移動能力を阻害していることが分かった。
6、フローサイトメトリー
アポトーシスのフローサイトメトリー検出:PEフルオレセイン標識AnnexinV染料及び7-AAD染料を選択して検出対象の細胞に対して二重染色を行い、アポトーシスを検出し、まずEDTAを含まないトリプシンを使用して細胞を消化して収集し、1×PBS細胞洗浄液で2~3回洗浄し、細胞をカウントし、好ましくは、各サンプルを一般的に10000~50000個の細胞に制御し、その後の蛍光消光を防ぐために固定する必要がなく、収集されたきれいな細胞を沈殿させ、緩衝液100μLで再懸濁し、懸濁液100μLごとにそれぞれAnnexinV染料1μL及び7-AAD染料5μLを添加し、軽くて均一に混合した後、遮光及び室温で染色を与え、5~10分間反応させた後、さらに緩衝液400μLを添加して均一に混合し、フローサイト専門試験管に移し、1時間内に検出が完了し、PEでは朱色蛍光であり、その励起波長はEx=488nm、発光波長はEm=578nm、FL2チャネルを使用することを提案し、7-AAD染料は赤色蛍光であり、その励起波長はEx=546nm、発光波長はEm=647nmであり、FL3チャネルを使用して検出することを提案し、後続のデータ解析過程中に蛍光補償調整を実行する必要がある。
結果を図7に示すように、TMED8の過剰発現は、膵臓がん細胞のアポトーシスを促進していることが分かった。
7、ヌードマウス皮下腫瘍形成
4週齢の雄性BALB/C免疫欠陥ヌードマウスを選択して皮下腫瘍形成実験を行い、実験前に、各ヌードマウスを計量及び記録し、PANC-1対照細胞及び過剰発現細胞をそれぞれトリプシンで消化した後、細胞のカウントを行い、各ヌードマウスについて各種細胞を約2×10個注射する必要があり、無菌の1×PBS溶液で再懸濁し、動物実験を行う前に、細胞の損傷による死亡を防ぐために細胞懸濁液を氷に置く必要があることに注意し、同一のヌードマウスの上肢の左右腋下にそれぞれTMED8を過剰発現した等量のPANC-1細胞及びPANC-1対照細胞を注射し、その後、毎日にマウスの状態を観察する必要があり、4~6週間、腫瘍形成後、ヌードマウスを屠殺して解剖し、腫瘍体を取り出して計量及び体積測定を行った後、固定して後続の免疫組織化学実験に使用しており、マウスの異質性による干渉因子を制御しやすく、腫瘍の体内成長に対するTMED8の影響をより直感的に判断することができる。
結果を図8に示すように、TMED8は、ヌードマウス皮下での膵臓がん細胞の腫瘍形成能力を阻害し、即ち動物体内での膵臓がん細胞の増殖能力を阻害していることが分かった。
8、ウエスタンブロッティング
(1)細胞及び組織総タンパク質の抽出:過程全体に、総タンパク質を取得する必要がある細胞サンプルを氷に置いて操作し、皿から培地を捨て、1×PBS溶液で洗浄し、0.2~0.4mLのRIPA強力な細胞溶解液を添加し、約半時間溶解させた後、セルスクレイパーで溶解を補助してスクラップした後、1.5mL遠沈管に移し、4℃の環境下での電気輪転機に置いて一晩輪転し、タンパク質を十分に溶解させた後、7500rpm回転速度で15分間遠心分離し、上澄み液を吸引して細胞破片沈殿を捨て、上澄み液の総体積の1/4量のサンプル緩衝液(Loading Buffer)を添加し、少なくとも30分間煮沸し、タンパク質を十分に加熱して安定的に変性することを確保し、タンパク質は凍結し繰り返して分解されないように、室温まで冷却した後に-20℃又は-80℃の冷蔵庫に分けて包装して保存した。
(2)SDS-PAGEゲルの調製:ゲルプレートを洗浄乾燥してゲル調製用フレームに置いてクランプし、再蒸留水を添加して漏れをテストし、漏れをテストして合格してから、垂直に乾燥し、異なる濃度の分離ゲルの成分割合で調製し(表2を参照)、調製された分離ゲルを予め架設したゲルプレートに緩慢で均一に注入し、過程中に気泡の生成を回避することを注意し、イソプロパノールでゲルを押して約40分間静置し、ゲルプレートを軽く揺れし、コロイドが凝固したことを確認した後、イソプロパノールを流し出して再蒸留水で軽く洗浄して乾燥させ、調製された上層濃縮ゲルを添加して櫛を迅速で垂直に挿入し(表3を参照)、このステップでは、特に、気泡の生成を回避する必要があり、そうしないと、ローディングウェルの変形及びサンプル漏れが現れやすい。
【0037】
表2 10mLの異なる濃度SDS-PAGE分離ゲルの調製ための成分(mL)
【0038】
表3 8mLの上層濃縮ゲルの調製ための配合処方
9、TMED8は、MAPK経路を介してPAAD腫瘍細胞の生物機能を調節することにより膵臓がんの発生・発展に影響を与える可能性がある。
PANC-1対照及び過剰発現細胞系(各群にはいずれも、3つの繰り返しのサンプルがある)を選択して転写群の配列決定を行い、データ解析により、248個の差異遺伝子を取得し、そのうち、アップレギュレートしたのは103個であり、ダウンレギュレートしたのは145個であり、それぞれヒートマップ及びボルケーノプロットで可視化を行い、それらに対して機能注釈及びKEGGエンリッチメント解析を行い、顕著な相関性があるMAPKシグナル伝達経路を選択して次の研究を行い、重要な分子であるERK、JNK、P38及びJNK、及びそれらのリン酸化の発現レベルにWB検証を行った。
【0039】
結果を図9に示すように、TMED8は、MAPK経路の活性化を阻害していることが分かった。
【0040】
上記の実施例より本発明を詳細に説明しているが、それらは本発明の実施例の一部にすぎず、全ての実施例ではなく、本実施例に基づいて創造的な前提なしで本発明の保護範囲に属する他の実施例を得ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
2025005375000001.xml