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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005376
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】角度選択的フィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/28 20060101AFI20250108BHJP
   G02B 1/11 20150101ALI20250108BHJP
   G01J 3/26 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
G02B5/28
G02B1/11
G01J3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024033789
(22)【出願日】2024-03-06
(31)【優先権主張番号】63/510,458
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/503,843
(32)【優先日】2023-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100230514
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ジェイ オケンファス
【テーマコード(参考)】
2G020
2H148
2K009
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020CB04
2G020CC21
2G020CC23
2G020CD04
2G020CD06
2G020CD16
2G020CD24
2H148GA04
2H148GA12
2H148GA33
2H148GA51
2K009AA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光学フィルタに向けられた光の入射角が、設定入射から閾値入射角に変化すると、光学フィルタのフィルタ性能が劣化することがある。この場合、バンドエッジが短波長側にブルーシフトする可能性がある。
【解決手段】いくつかの実施態様では、光学フィルタアセンブリは、基板の第1の側に配置された第1の光学フィルタであって、当該第1の光学フィルタはバンドパスフィルタである、第1の光学フィルタと、基板の第2の側に配置された第2の光学フィルタであって、当該第2の光学フィルタは、閾値入射角における閾値角度シフト量に関連する、第2の光学フィルタと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルタアセンブリであって、
基板の第1の側に配置された第1の光学フィルタであって、当該第1の光学フィルタはバンドパスフィルタである、第1の光学フィルタと、
基板の第2の側に配置された第2の光学フィルタであって、当該第2の光学フィルタは閾値入射角における閾値角度シフト量に関連する、第2の光学フィルタと、
を含む、光学フィルタアセンブリ。
【請求項2】
前記第2の光学フィルタは、前記バンドパスフィルタのバンドパス領域のための反射防止フィルタを含む、請求項1に記載の光学フィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記第2の光学フィルタは、長波長に通過帯域を有するフィルタを含む、請求項1に記載の光学フィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記第2の光学フィルタは、短波長に通過帯域を有するフィルタを含む、請求項1に記載の光学フィルタアセンブリ。
【請求項5】
前記第2の光学フィルタは、広範囲に通過帯域を有するフィルタを含む、請求項1に記載の光学フィルタアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の光学フィルタは、低角度シフト(LAS)バンドパスフィルタを含む、請求項1に記載の光学フィルタアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の光学フィルタは、超低角度シフト(HLAS)バンドパスフィルタを含む、請求項1に記載の光学フィルタアセンブリ。
【請求項8】
光学フィルタであって、
設定中心波長において少なくとも第1の閾値レベルの透過率を有するバンドパスフィルタであって、当該バンドパスフィルタの第1の側がビームを受光するように構成されている、バンドパスフィルタと、
前記設定中心波長で、且つ設定された値より大きい入射角で、少なくとも第2の閾値レベルの角度シフトを有する角度シフトフィルタであって、当該角度シフトフィルタは前記バンドパスフィルタの第2の側に配置されている、角度シフトフィルタと、
を含む、光学フィルタ。
【請求項9】
前記バンドパスフィルタは、1つ以上の高屈折率層と1つ以上の低屈折率層の交互配置を含む、請求項8に記載の光学フィルタ。
【請求項10】
前記1つ以上の高屈折率層は、
アモルファスシリコン層、又は
水素化シリコン層
のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の光学フィルタ。
【請求項11】
前記1つ以上の低屈折率層は、
酸化シリコン層、
酸化チタン層、
酸化タンタル層
のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の光学フィルタ。
【請求項12】
前記角度シフトフィルタは、
酸化タンタル層、
酸化チタン層、
酸化ニオブ層、
酸化ゲルマニウム層、
酸化シリコン層
のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の光学フィルタ。
【請求項13】
前記設定中心波長は、100ナノメートル(nm)~14000nmの範囲にある、請求項8に記載の光学フィルタ。
【請求項14】
前記設定された値は、30度~90度の範囲にある、請求項8に記載の光学フィルタ。
【請求項15】
光学システムであって、
電気光学要素と、
複合光学フィルタであって、当該複合光学フィルタは、
設定中心波長において、少なくとも第1の閾値レベルの透過率を有するバンドパスフィルタであって、当該バンドパスフィルタの第1の側がビームを受光するように構成されている、バンドパスフィルタと、
前記設定中心波長で、且つ設定された値より大きい入射角で、少なくとも第2の閾値レベルの角度シフトを有する角度シフトフィルタであって、当該角度シフトフィルタは前記バンドパスフィルタの第2の側に配置されている、角度シフトフィルタと、を含み、
当該複合光学フィルタは前記電気光学要素と位置合わせされており、
当該複合光学フィルタは、第1の設定角度範囲において第1の閾値より多い光量を透過し、第2の設定角度範囲において第2の閾値より少ない光量を透過するように構成されている、複合光学フィルタと、
を含む、光学システム。
【請求項16】
前記電気光学要素は、前記設定中心波長で発光するように構成された光エミッタである、請求項15に記載の光学システム。
【請求項17】
前記電気光学要素が、前記設定中心波長で検出するように構成された光検出器である、請求項15に記載の光学システム。
【請求項18】
前記バンドパスフィルタは、1つ以上の高屈折率層と1つ以上の低屈折率層の交互配置を含む、請求項15に記載の光学システム。
【請求項19】
前記バンドパスフィルタは、基板を含み、前記角度シフトフィルタが前記基板の上に配置されている、請求項15に記載の光学システム。
【請求項20】
前記基板は、ガラス基板である、請求項19に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]本特許出願は、2023年6月27日に出願され、「WAVELENGTH AND ANGLE SENSITIVE BANDPASS FILTER」と題された米国仮特許出願第63/510,458号の優先権を主張する。この先行出願の開示は、本特許出願の一部とみなされ、参照により本特許出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
光学フィルタは、入射光のスペクトル帯域又はスペクトル成分を選択するために使用される。例えば、ハイパスフィルタは、フィルタのエッジ波長よりも長い波長の光を選択する。逆に、ローパスフィルタは、エッジ波長よりも短い波長の光を選択する。バンドパスフィルタは異なるタイプのフィルタであって、フィルタの帯域幅の中でフィルタの中心波長に近い波長の光を選択するフィルタである。チューナブルバンドパスフィルタは、その中心波長を調整できる光学フィルタである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光学フィルタに向けられた光の入射角(Angle Of Incidence、AOI)が、設定入射(例えば、0度、45度、90度など)から閾値入射角(例えば、設定入射角からの偏差が約30度より大きい)に変化すると、光学フィルタのフィルタ性能が劣化することがある。この場合、バンドエッジが短波長側にブルーシフトする可能性がある。さらに、入射角が設定入射(例えば、垂直入射、非選択された垂直以外の入射角など)から閾値入射角(例えば、閾値効果レベルより大きい)に変化すると、光学フィルタに対して偏光効果が顕著になる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施態様では、光学フィルタアセンブリは、基板の第1の側に配置された第1の光学フィルタであって、当該第1の光学フィルタはバンドパスフィルタである、第1の光学フィルタと、基板の第2の側に配置された第2の光学フィルタであって、第2の光学フィルタは閾値入射角における閾値角度シフト量に関連する、第2の光学フィルタと、を含む。
【0005】
いくつかの実施態様では、光学フィルタは、設定中心波長において少なくとも第1の閾値レベルの透過率を有するバンドパスフィルタであって、当該バンドパスフィルタの第1の側がビームを受光するように構成されている、バンドパスフィルタと、設定中心波長で、且つ設定された値よりも大きい入射角で、少なくとも第2の閾値レベルの角度シフトを有する角度シフトフィルタであって、当該角度シフトフィルタがバンドパスフィルタの第2の側に配置されている、角度シフトフィルタと、を含む。
【0006】
いくつかの実施態様では、光学システムは、電気光学要素、設定中心波長において少なくとも第1の閾値レベルの透過率を有するバンドパスフィルタであって、当該バンドパスフィルタの第1の側がビームを受け取るように構成されている、バンドパスフィルタと、設定中心波長で、且つ設定された値よりも大きい入射角で、少なくとも第2の閾値レベルの角度シフトを有する角度シフトフィルタであって、当該角度シフトフィルタがバンドパスフィルタの第2の側に配置されている、角度シフトフィルタと、を含み、前記バンドパスフィルタと前記角度シフトフィルタは、前記電気光学要素に対して位置合わせされている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本明細書で説明する実施例の図である。
図2A】光学フィルタアセンブリの例を示す図である。
図2B】光学フィルタアセンブリの例を示す図である。
図3A】光学フィルタの一例の光学特性図である。
図3B】光学フィルタの一例の光学特性図である。
図3C】光学フィルタの一例の光学特性図である。
図3D】光学フィルタの一例の光学特性図である。
図3E】光学フィルタの一例の光学特性図である。
図3F】光学フィルタの一例の光学特性図である。
図3G】光学フィルタの一例の光学特性図である。
図3H】光学フィルタの一例の光学特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の実施例の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照番号は同じ又は類似の要素を示す場合がある。以下の説明では、例として分光計を使用する。しかしながら、本明細書で説明する技術、原理、手順、及び方法は、他の光学センサ及び分光センサを含むがこれらに限定されない、任意のセンサと共に使用することができる。
【0009】
光学センサデバイスには、光送信器、電球、周囲光源などの光源から発せられる光を受光するセンサ素子からなるセンサ素子アレイが含まれてもよい。例えば、分光計において、光学センサデバイスは、対象物から反射された光を受光するためのセンサ素子のアレイを含むことができ、それによって対象物の識別を可能にする。センサ素子は、当該センサ素子が電磁周波数の特定のスペクトル範囲に関する情報を取得できるように、センサ素子への光をフィルタリングする光学フィルタと関連してもよい。例えば、センサ素子は、近赤外(NIR)スペクトル範囲、可視スペクトル範囲、紫外スペクトル範囲、及び/又はこれらと同様の範囲において、通過帯域を有する光学フィルタに位置合わせされてもよい。
【0010】
バンドパスフィルタの全統合スループットが、角度シフト(例えば、光学フィルタに向けられた光の設定された入射角(AOI)に対する変化)に対して比較的センシティブではない場合がある。例えば、比較的大きな(例えば、設定入射角から閾値(例えば30度)より大きな)入射角であっても、バンドパスフィルタは、比較的多くの割合の光を通過させることができる。しかし、比較的大きな入射角でバンドパスフィルタを通過する光には迷光が含まれることがあり、この迷光がフォトダイオードなどのセンサ素子によって検出されるノイズレベルを増加させる。さらに、複数の光源が存在する場合に、比較的大きな入射角の光がバンドパスフィルタを通過できるようにすると、複数の光源間でクロストークが発生する可能性がある。言い換えれば、意図しない光源(例えば、太陽や部屋の電球)からの迷光も、意図した光源(例えば、光エミッタ)からの光であるが異なるセンサ素子に向けられることを意図した光も、バンドパスフィルタを通過する可能性がある。さらに、複数のデバイス又はチャネルが特定の検出器の関心波長として同じ光源波長を使用している場合、複数のデバイス又はチャネルの存在により、特定の入射角(例えば、閾値より大きい角度)で特定の検出器に向けて迷光が照射される可能性がある。したがって、バンドパスフィルタを通過する光を設定された角度範囲に制限して、過剰なノイズ及び/又は光源間のクロストークを回避することが望ましい場合がある。
【0011】
本明細書に記載されるいくつかの実施態様は、光の入射角を制限し、バンドパス干渉フィルタリングを提供する共通の基板表面位置に堆積された2つの光学フィルタを有する、光学フィルタアセンブリ、光学デバイス、光学素子、光学モジュール、光学システム、及び/又はこれらと同様のものを提供する。例えば、複合光学フィルタは、バンドパス光学フィルタである第1の光学フィルタと、高角度シフト(例えば、閾値角度以上のシフト)光学フィルタである第2の光学フィルタとを含んでもよい。第1の光学フィルタと第2の光学フィルタは、基板の反対側で実現されてもよいし、基板の片側で実現されてもよい(例えば、2つの異なる光学フィルタを使用するか、第1の光学フィルタと第2の光学フィルタの機能性を組み合わせた単一の光学フィルタを使用する)。このようにして、光学フィルタアセンブリは、設定入射角で光を透過し、閾値入射角より大きい入射角で光を反射又は遮断し、設定された通過帯域外の光を反射又は遮断してもよい。このようにして、光学センサ又はセンサ素子アレイにおける過剰なノイズ又はクロストークを回避することなどにより、バンドパスフィルタに対する閾値以上の入射角の影響が回避されうる。
【0012】
図1は、本明細書で説明する実施例100の図である。図1に示すように、実施例100は光学システム110を含む。光学システム110は、光学システムの一部であってもよく、センサ判定に対応する電気出力を提供してもよい。例えば、光学システム110は、その他の例として、LIDARシステム、三次元感知システム、分光システム、ジェスチャー認識システム、顔認識システム、物体認識システム、撮像システム、虹彩認識システム、動作追跡システム、又は通信システムの一部であってもよい。
【0013】
いくつかの実施態様において、光学システム110は、光学フィルタアセンブリ120を含むことができ、この光学フィルタアセンブリ120は、基板130及び一組の光学フィルタ140を含むことができる。いくつかの実施態様では、光学フィルタアセンブリ120は、バンドパスフィルタを含みうる。例えば、光学フィルタアセンブリ120は、本明細書においてより詳細に説明されるように、第1の範囲の波長の光の第1の部分を通過させ、第2の範囲の波長の光の第2の部分を遮断するように構成されるバンドパス干渉フィルタを形成する1つ又は複数の層を含みうる。追加的に又は代替的に、光学フィルタアセンブリ120は、長波長に通過帯域を有する(LWP)フィルタ、短波長に通過帯域を有する(SWP)フィルタ、低角度シフト(LAS)バンドパスフィルタ、超低角度シフト(HLAS)バンドパスフィルタ、広範囲波長に通過帯域を有する(BWP)フィルタ、赤外カットオフ(IR Cut)フィルタ、ノッチフィルタ、及び/又はそれと同様なフィルタを含むことができる。いくつかの実施態様において、光学フィルタアセンブリ120は、200ナノメートル(nm)~14000nmのバンドパスを有してもよく、可視スペクトル範囲、NIRスペクトル範囲、中波赤外(MWIR)スペクトル範囲、長波赤外(LWIR)スペクトル範囲、紫外スペクトル範囲、及び/又はそれと同様の範囲で使用されてもよい。
【0014】
いくつかの実施態様では、光学フィルタアセンブリ120は、角度シフトフィルタを含んでもよい。例えば、光学フィルタアセンブリ120は、第1の範囲の入射角(例えば、第1の部分の光の波長に対するシフトなし)で第1の部分の光を通過させ、第2の範囲の入射角で第2の部分の光の波長をシフトさせるように構成された角度センシティブフィルタを形成する1つ又は複数の層を含んでもよい。この場合、第2の部分の光の波長をシフトさせることによって、光学フィルタアセンブリ120は、光学システム110のキャビティに入射する迷光が光学システム110にとって関心のある波長にならないようにすることができる。換言すれば、光学システム110が、例えば、980nmの波長の光の特性を測定するように構成されている場合、角度センシティブフィルタは、通常の入射角(例えば、0度の入射角、±10度)を有する光はシフトされないが、閾値入射角(例えば、10度より大きい、又は-10度より小さい)を有する光は、異なる波長(例えば、900nm又は1100nmの中心波長)にシフトされるようにする。したがって、第2の部分の光の波長をシフトさせることにより、第1の部分の光は、第2の部分の光からのノイズやクロストークなしに(又は低減された量で)測定することができる。
【0015】
いくつかの実施態様では、光学フィルタアセンブリ120は、1つ又は複数の他のフィルタを含んでもよい。例えば、光学フィルタアセンブリ120は、反射防止フィルタを含んでもよい。例えば、光学フィルタアセンブリ120は、光学フィルタアセンブリ120のバンドパスフィルタと同じバンドパス領域に構成される反射防止フィルタを含んでもよい。この場合、反射防止フィルタは、表面にコーティングされていてもよいし、バンドパスフィルタ内に含まれていてもよい。
【0016】
本明細書で説明されるいくつかの実施態様はセンサシステム内の1つ又は複数の光学フィルタの観点から説明されているかもしれないが、いくつかの(他の)実施態様では、別のタイプのシステム、センサシステムの外部の光学素子、光学パッケージの光学素子、及び/又はそれと同様のものにおいて使用されてもよい。いくつかの実施態様において、光学システム110は、光検出器システム、アバランシェ光検出器システム、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)検出器システム、又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器システムを含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施態様では、基板130は、ガラス基板などの透明基板、シリコン基板、ゲルマニウム基板、及び/又はそれと同様の基板であってもよい。いくつかの実施態様では、基板130は二酸化シリコン基板であってもよい。いくつかの実施態様では、基板130は、光学フィルタ140のセットの特定の側に配置されてもよい。例えば、基板130は、基板130の表面上に配置された第1の光学フィルタ140(例えば、角度センシティブフィルタ)を有してもよく、第2の光学フィルタ140は、第1の光学フィルタ140の上に配置されてもよい(例えば、第1の光学フィルタ140が第2の光学フィルタ140と基板130とによって挟まれるような配置)。換言すれば、第1の光学フィルタ140及び第2の光学フィルタ140の両方は(いずれの順序でも)、基板130の同じ側に配置されてもよい(又は、光学フィルタ140が他の光学フィルタ140の基板を形成してもよい)。追加的に又は代替的に、基板130は、基板130の対向する側面に光学フィルタ140を有してもよい。例えば、第1の光学フィルタ140が基板130の第1の側に配置され、第2の光学フィルタ140が基板130の第2の側に配置されてもよい(例えば、第1の光学フィルタ140及び第2の光学フィルタ140が基板130を挟むように配置)。いくつかの実施態様では、基板130は省略されてもよい。例えば、(光学フィルタ140のセットの)バンドパスフィルタは、(光学フィルタ140のセットの)角度センシティブフィルタの表面上に、その間に基板を介することなく、又はいずれかのフィルタの上に、直接配置されてもよい。この場合、バンドパスフィルタと角度センシティブフィルタは、バンドパスフィルタと角度センシティブフィルタとの間で光のコヒーレンスを有するように組み合わせられる。いくつかの実施態様では、光学フィルタ140のセットのフィルタを分離する基板ではなく、他の媒体(他にも例があるが、例えば、空気ギャップ、気体ギャップ、又は液体ギャップなど)により、光学フィルタ140のセットのフィルタを分離してもよい。
【0018】
いくつかの実施態様では、光学フィルタ140のセットは、交互の高屈折率層と低屈折率層とを交互に備えたセット(例えば、複数の高屈折率層と複数の低屈折率層を交互に配置する構成など)を含んでもよい。例えば、光学フィルタ140のセットは、他にも例があるが、例えば、アモルファスシリコン、酸化ニオブチタンなどの高屈折率材料を含んでもよい。追加的に又は代替的に、光学フィルタ140のセットは、他にも例があるが、例えば、シリコン層、二酸化シリコン層、水素化シリコン層、五酸化タンタル層、五酸化ニオブ層、ゲルマニウム層、シリコンゲルマニウム層、水素化シリコンゲルマニウム層、ニオブタンタル酸化物層、二酸化チタン層、窒化シリコン層、窒化アルミニウム層などを含んでもよい。追加的に又は代替的に、光学フィルタ140のセットは、屈折率が2.0より大きい、2.5より大きい、3.0より大きい、3.5より大きい、及び/又は同様の屈折率を有する、別のタイプの高屈折率材料層を含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施態様では、光学フィルタ140のセットは、二酸化シリコンなどの低屈折率材料を含んでもよい。追加的に又は代替的に、光学フィルタ140のセットは、2.5未満、2.0未満、1.5未満、及び/又は同様の屈折率を有する、別のタイプの低屈折率材料層を含んでもよい。例えば、光学フィルタ140のセットは、940nmで動作するバンドパスフィルタのためのアモルファスシリコン層と二酸化シリコン層の交互層のセットと、角度センシティブフィルタのための酸化タンタル層と酸化シリコン層の交互層のセットを含んでもよい。いくつかの実施態様では、光学フィルタ140のセットは、3つ又はそれ以上の異なる材料を含んでもよい。例えば、光学フィルタ140のセットは、水素化シリコン層のサブセット、五酸化タンタル層のサブセット、及び二酸化シリコン層のサブセットを有してもよい。この場合、3つ又はそれ以上の異なるタイプの層を使用することにより、フィルタ層140が、2つの異なる材料のみを使用する場合と比較して、いくつかの波長において、より高い透過率及び/又は低減された角度シフトを達成できるようにすることができる。
【0020】
図1でさらに示され、参照番号170で示されるように、入力光信号は、1つ又は複数の入射角θで光学フィルタアセンブリ120に向けられる。例えば、入力光信号150-1及び150-2が、入射角θ(例えば、設定入射角)及びθで光学フィルタアセンブリ120に向けられてもよい。参照番号175によって示されるように、入力光信号の第1の部分は、光学フィルタアセンブリ120によって反射される。例えば、入力光信号の一部が光学フィルタ140のセットのバンドパスフィルタの通過帯域の外側にあることに基づいて、光学フィルタ140のセットは、入力光信号の当該一部を反射することができる。
【0021】
図1にさらに示され、参照番号180によって示されるように、光信号の別の部分は、光学フィルタアセンブリ120を通過して伝達される。例えば、光学フィルタアセンブリ120の通過帯域内の入力光信号の一部は、本明細書でより詳細に説明するように、光学フィルタアセンブリ120を通過する。光学フィルタアセンブリ120の通過帯域内の入力光信号の当該一部のうちの一部は、角度シフトされ、及び/又は遮断されてもよい。例えば、光学フィルタアセンブリ120を通過する入射角θの光は、光学フィルタ140のセットの角度センシティブフィルタによって、シフトされない、及び/又は通過する。対照的に、入射角θ又はそれ以上の角度の光は、光学フィルタ140のセットの角度センシティブフィルタによって角度シフトされ、及び/又は遮断される。したがって、光学フィルタアセンブリ120を通過する入力光信号の一部には、シフトされない又は遮断されない第1のサブ部分と、シフトされる又は遮断される第2のサブ部分とが含まれる。
【0022】
「シフトされない」又は「遮断されない」及び「シフトされる」又は「遮断されない」という用語が使用されているが、全てのフィルタスペクトルは、一定量(例えば、設定されたパーセンテージ)だけシフト又は遮断されてもよいし、「シフトされない」又は「遮断されない」光は、フィルタスペクトルが閾値量以下だけシフトされるか、又は閾値パーセンテージ以上だけ透過される光を含んでもよいし、「シフトされた」光は、フィルタスペクトルが閾値量より大きくシフトされるか、又は閾値パーセンテージ未満だけ透過される光を含んでもよい。
【0023】
参照番号185によって示されるように、入力光信号の一部が光学センサ160(例えば、光学検出器又は光検出器)に伝わることに基づいて、光学センサ160は、光学システム110のための出力電気信号を提供してもよい。例えば、光学センサ160は、光の強度、光の特性(例えば、分光学的特性)、光の波長などを特定する出力電気信号を提供してもよい。いくつかの実施態様では、光学センサ160は、光のサブ部分のみを測定してもよい。例えば、光学センサ160は、低い角度でフィルタを通過する光を測定する場合もあるし、高い角度でフィルタにより反射又は遮断される光を測定しない場合もある。追加的に又は代替的に、光学センサ160は、光を測定してもよいが、光学センサ160は、シフトされた光に起因する測定ノイズ又はクロストークの量が、ノイズ又はクロストークの閾値量よりも少なくなるように構成されてもよい。
【0024】
上述したように、図1は単に実施例として提示されている。他の実施例は、図1に関して説明されているものと異なりうる。
【0025】
図2A及び図2Bは、例示的な光学フィルタアセンブリ200/200’の図である。図2Aに示すように、光学フィルタアセンブリ200は、基板210を含み、その上に、第1の側に第1の光学フィルタ220が配置され、第2の側に第2の光学フィルタ230が配置されている。
【0026】
いくつかの実施態様において、第1の光学フィルタ220は、小さい角度シフトを示す通過帯域フィルタであってもよい。例えば、第1の光学フィルタ220は、銀(Ag)材料を用いて製造された低角度シフト通過帯域フィルタであってもよい。いくつかの実施態様において、銀材料は、光コーティング、赤緑青カラーフィルタ、又は別のタイプの低角度シフトフィルタを形成してもよい。追加的に又は代替的に、第1の光学フィルタ220は、水素化シリコン(Si:H)を用いて製造された低角度シフトバンドパスフィルタであってもよい。いくつかの実施態様において、第1の光学フィルタ220は、ここでより詳細に説明されるように、閾値より大きい入射角で閾値より小さい角度シフトに関連してもよい。例えば、第1の光学フィルタ220は、入射角の特定の範囲において、20%未満の角度シフト、10%未満の角度シフト、5%未満の角度シフト、1%未満の角度シフト、及び/又はそれらと同程度のものに関連してもよい。この場合、入射角の特定の範囲は、約0度~約60度、約0度~約45度、約0度~約30度、及び/又は同様な範囲であってよい。
【0027】
いくつかの実施態様では、第1の光学フィルタなどの低角度シフト(LAS)フィルタは、例えば近赤外(NIR)スペクトル範囲であって、約0度~約30度の角度範囲において、例えば約20nm未満の中心通過帯域の角度シフトを示すバンドパスフィルタを含んでもよい。いくつかの実施態様において、NIRスペクトル範囲のLASフィルタは、高屈折率材料としてアモルファスシリコン又は水素化シリコンを含んでもよい。いくつかの実施態様において、超低角度シフト(HLAS)フィルタは、例えば、NIRスペクトル範囲であって、約0度~約30度の角度範囲において、例えば、約10nm未満の中心通過帯域の角度シフトを示すバンドパスフィルタを含んでもよい。いくつかの実施態様では、NIRスペクトル範囲のHLASフィルタは、高屈折率材料としてアモルファスシリコン又は水素化シリコンを含んでもよい。第1の光学フィルタのLAS及びHLASタイプはNIRスペクトル範囲に関して記載されているが、LASフィルタ及びHLASフィルタは、他のスペクトル範囲の第1の光学フィルタに使用されてもよいことが理解される。いくつかの実施態様において、第1の光学フィルタ220は複数の層を含んでもよい。例えば、第1の光学フィルタ220を形成するために、フォトリソグラフィの手法を使用するなどして、複数の層が堆積及び/又はパターン化されてもよい。いくつかの実施態様では、光学フィルタアセンブリ200は、特定のサイズに関連してもよい。例えば、光学フィルタは、約10nmと約5000nmとの間の厚さに関連してもよい。
【0028】
いくつかの実施態様において、第2の光学フィルタ230は、大きな角度シフトを示す角度センシティブフィルタであってよい。例えば、第2の光学フィルタ230は、入射角の特定の範囲において、1%より大きい、5%より大きい、10%より大きい、20%より大きい、30%より大きい、及び/又はそれらと同様の角度シフトに関連してもよい。いくつかの実施態様において、第2の光学フィルタ230のような角度センシティブフィルタ又は高角度シフトフィルタは、10%~20%の範囲の角度シフトに関連するフィルタを含んでもよい。いくつかの実施態様において、設定された角度シフトが生じる入射角の特定の範囲は、約0度と約90度との間、約10度と約60度との間、約30度と約45度との間、及び/又は同様な範囲であってよい。いくつかの実施態様において、入射角の特定の範囲は、約30度より大きく、約45度より大きく、及び/又はそれらと同様のものであってよい。いくつかの実施態様において、第2の光学フィルタ230は、閾値未満の屈折率を有する材料から製造されてもよい。例えば、第2の光学フィルタ230は、二酸化シリコン(SiO)ベースのフィルタ、五酸化タンタル(Ta)ベースのフィルタ、及び/又はそれらと同様のものであってよい。いくつかの実施態様において、第2の光学フィルタ230は、複数の層を含んでもよい。例えば、第2の光学フィルタ230を形成するために、フォトリソグラフィの手法及び/又はそれと同様の手法を使用するなどして、複数の層が堆積及び/又はパターン化されてもよい。
【0029】
いくつかの実施態様では、閾値を超える割合の光が、閾値未満の入射角(又は設定入射角からの偏差が閾値未満である入射角)で第1の光学フィルタ220及び第2の光学フィルタ230を通過してもよい。例えば、第1の光学フィルタ220及び第2の光学フィルタ230は、約60度未満、約45度未満、約30度未満、及び/又はそれらと同様の入射角を有する光に対して、とりわけ、約75%より大きい透過率、約90%より大きい透過率、約95%より大きい透過率、約99%より大きい透過率、又は約99.9%より大きい透過率を可能としてもよい。
【0030】
対照的に、閾値以上の入射角に関連する光(例えば、設定入射角から閾値だけずれた光線240-5及び240-6)については、第1の光学フィルタ220及び/又は第2の光学フィルタ230の通過が遮断されてもよい。この場合、光は、第1の光学フィルタ220及び/又は第2の光学フィルタ230によって反射されてもよい。いくつかの実施態様では、閾値以下の割合の光が、閾値以上の入射角で第1の光学フィルタ220及び第2の光学フィルタ230によって遮断されてもよい。例えば、第1の光学フィルタ220及び/又は第2の光学フィルタ230は、約30度以上、約45度以上、約60度以上、及び/又はそれらと同様の入射角を有する光に対して、約50%以下の透過率、約25%以下の透過率、約10%以下の透過率、約5%以下の透過率、約1%以下の透過率、及び/又は同様な透過率に関連づけられてもよい。この場合、光学フィルタアセンブリ200は、約75%、約90%、約95%、約99%、約99.9%、約99.99%、約99.999%、及び/又は同様な閾値割合の光を遮断してもよい。このようにして、高角度シフト成分光学フィルタ及び低角度シフト成分光学フィルタを含む複合光学フィルタの使用は、アパーチャを不要にし、それにより、光学デバイスの製造の複雑さの低減、コストの低減、パッケージサイズの低減、及び/又は同様の効果を可能にする。
【0031】
いくつかの実装では、光学フィルタアセンブリ200は、光学フィルタアセンブリ200が閾値入射角を満たす第1の範囲の入射角で透過的であり、閾値入射角を満たさない第2の範囲の入射角では透過的でない、特定のスペクトル範囲に関連づけられてもよい。例えば、光学フィルタアセンブリ200は、約600ナノメートル(nm)と約1200nmとの間、約700nmと約1100nmとの間、約800nmと約1000nmとの間、及び/又は同様なスペクトル範囲に関連してもよい。追加的に又は代替的に、光学フィルタアセンブリ200は、約1200nmと約2000nmとの間、約1400nmと約1800nmとの間、約1500nmと約1700nmとの間、及び/又は同様なスペクトル範囲に関連してもよい。追加的に又は代替的に、光学フィルタアセンブリ200は、約200nmと約4000nmとの間、約1000nmと約3000nmとの間、約1500nmと約2500nmとの間、及び/又は同様なスペクトル範囲に関連してもよい。いくつかの実施態様では、光学フィルタアセンブリ200は、約100nmと約14000nmとの間のスペクトル範囲、又はそのサブ範囲と関連してもよい。追加的に又は代替的に、光学フィルタアセンブリ200は、可視スペクトル範囲、近赤外スペクトル範囲、紫外スペクトル範囲、それらの組み合わせ、及び/又は同様な範囲と関連してもよい。
【0032】
いくつかの実施態様では、光学フィルタアセンブリ200は、ブロッカ、エッジフィルタ、バンドパスフィルタ、及び/又はそれらに同様のものなど、1つ以上の他のフィルタを含んでもよい。いくつかの実施態様では、光学フィルタアセンブリ200は、(例えば、第1の光学フィルタ220及び/又は第2の光学フィルタ230を環境劣化から保護するための)保護カバーを含んでもよい。いくつかの実施態様において、光学フィルタアセンブリ200は、1つ以上の他の材料の層を含んでもよい。例えば、光学フィルタアセンブリ200は、第1の光学フィルタ220又は第2の光学フィルタ230に対して、シリコン(Si)ベースの材料、水素化シリコン(Si:H)ベースの材料、ゲルマニウム(Ge)ベースの材料、水素化ゲルマニウム(Ge:H)ベースの材料、シリコンゲルマニウム(SiGe)ベースの材料、アルミニウム(Al)ベースの材料、銀(Ag)ベースの材料、二酸化シリコン(SiO)ベースの材料、酸化アルミニウム(Al)ベースの材料、二酸化チタン(TiO)ベースの材料、五酸化ニオブ(Nb)材料、五酸化タンタル(Ta)材料、フッ化マグネシウム(MgF)材料、酸化ニオブチタン(NbTiO)材料、五酸化ニオブタンタル(NbTa)材料、酸化亜鉛材料(ZnO)、白金(Pt)材料、金(Au)材料、蛍光材料などを含んでもよい。いくつかの実施態様では、スペーサ層又は材料は、1つ以上の光学フィルタに含まれてもよい。
【0033】
図2Bに示すように、光学フィルタアセンブリ200’は、閾値入射角以上の光の通過を許容し、閾値入射角未満の光の通過を遮断又は角度シフトしてもよい。例えば、光学フィルタアセンブリ200’は、基板210’上に堆積された第1の光学フィルタ220’及び第2の光学フィルタ230’を含んでもよい。第1の光学フィルタ220’は低角度シフトフィルタであってもよく、第2の光学フィルタ230’は高角度シフトフィルタであってもよい。この場合、第1の光学フィルタ220’及び第2の光学フィルタ230’は、光学フィルタアセンブリ200’に向けられた光の波長が、高入射角(例えば、閾値入射角以上)で光学フィルタアセンブリ200’に対して透過的であり、低入射角(例えば、閾値入射角未満)で反射するように構成されてもよい。
【0034】
いくつかの実施態様では、光学フィルタアセンブリ200/200’は双方向であってもよい。例えば、光学フィルタアセンブリ200/200’は、特定の方向に光を透過させるように示されているが、光学フィルタアセンブリ200/200’は、別の方向に光を透過させるように構成されてもよい。
【0035】
上述したように、図2A及び図2Bは単に実施例として提示されている。他の実施例も可能であり、図2A及び図2Bに関して説明したものとは異なっていてもよい。
【0036】
図3A~3Hは、例示的な光学フィルタの光学特性の図である。
【0037】
図3Aに示すように、図中の300は、第1の光学フィルタ350の光学特性を示しており、この第1の光学フィルタ350は、940nmにバンドパスを有する低角度シフトフィルタであってもよい、図中の300に示すように、第1の光学フィルタ350は、偏光されていない平行光を受け、この平行光は、0°~50°の範囲の入射角(AOI)で第1の光学フィルタ350に向けられる。この場合、0°のAOIにおいて、第1の光学フィルタ350は、約930nm~約960nmの波長範囲(例えば、約940nmを中心とする波長範囲)において約95%の透過率を示す。AOIが30°の場合、第1の光学フィルタ350は、約925nm~約950nmの波長範囲において約93%の透過率を示す。AOIが50°の場合、第1の光学フィルタは、約915nm~約935nmの波長範囲において約90%の透過率を示す。
【0038】
図3Bに示すように、図中の302は、第2の光学フィルタ352の光学特性を示しており、この第2の光学フィルタ352は、940nmにバンドパスを有するバンドパスフィルタ及び角度シフトフィルタを含む複合光学フィルタであってもよい。図中の302に示すように、第2の光学フィルタ352は、偏光していない平行光を受け、この平行光は、0°~50°の範囲のAOIで第2の光学フィルタ352に向けられる。この場合、0°のAOIにおいて、第2の光学フィルタ352は、約930nm~約955nmの波長範囲(例えば、940nmを中心とする波長範囲)において約95%の透過率を有する。AOIが30°の場合、第2の光学フィルタ352は、いずれの波長においても50%の透過率を超えない(約910nm~約945nmの波長範囲において約10%を超える透過率を有する)。AOIが50°の場合、第2の光学フィルタ352は、いずれの波長においても15%の透過率を超えない(約898nm~約900nmの波長範囲において約13%のピーク透過率を有する)。したがって、第2の光学フィルタ352は、小さいAOI(例えば、0°のAOI)では光学フィルタ350とほぼ同じバンドパスを有するが、第1の光学フィルタ350で生じるようにバンドパスを単にシフトさせるのではなく、より大きなAOIではほとんどの光を遮断する。
【0039】
図3Cに示すように、図中の304は、第2の光学フィルタ352(例えば、バンドパスフィルタなどの第1の構成要素光学フィルタ)の第1の側の光学特性を示す。図3Dに示すように、図中の306は、第2の光学フィルタ352(例えば、角度シフトフィルタ、高角度シフトフィルタ、又は角度センシティブフィルタなどの第2の構成要素光学フィルタ)の第2の側の光学特性を示す。図中の304及び306に示すように、第2の光学フィルタ352の第2の側が示す角度に対する感度は、光学フィルタ352の第1の側のそれよりも大きい。
【0040】
図3Eに示すように、図中の308は、第3の光学フィルタ354の光学特性を示しており、この第3の光学フィルタ354は、940nmにバンドパスを有するバンドパスフィルタ及び角度シフトフィルタを含む別の複合光学フィルタであってもよい。図中の308に示すように、第3の光学フィルタ354は、偏光していない平行光を受け、この平行光は、0°~50°の範囲のAOIで第3の光学フィルタ354に向けられる。この場合、0°のAOIにおいて、第3の光学フィルタ354は、約930nm~約955nmの波長範囲(例えば、940nmを中心とする波長範囲)において約90%の透過率を有する。AOIが30°の場合、第3の光学フィルタ354は、約910nm~約950nmの波長範囲において約60%~70%の範囲の透過率を有する。AOIが50°の場合、第3の光学フィルタ354は、いずれの波長においても5%の透過率を超えない(約885nm~約890nmの波長範囲において約5%のピーク透過率を有する)。したがって、第3の光学フィルタ354は、小さいAOI(例えば、0°のAOI)では光学フィルタ350とほぼ同じバンドパスを有するが、第1の光学フィルタ350で生じるようにバンドパスを単にシフトさせるのではなく、より大きなAOIではほとんどの光を遮断する。
【0041】
図3Fに示すように、図中の310は、第3の光学フィルタ354(例えば、バンドパスフィルタなどの第1の構成要素光学フィルタ)の第1の側の光学特性を示す。図3Gに示すように、図中の312は、第3の光学フィルタ354(例えば、角度シフトフィルタ、高角度シフトフィルタ、又は角度センシティブフィルタなどの第2の構成要素光学フィルタ)の第2の側の光学特性を示す。図中の310及び図中の312に示すように、第2の光学フィルタ354の第2の側が示す角度に対する感度は、光学フィルタ354の第1の側のそれよりも大きい。
【0042】
図3Hは、0°~50°までの入射角における光学フィルタ350~354の透過率の積分値の比較を示す。そこで示されるように、角度シフトフィルタを含まない第1の光学フィルタ350は、AOIの範囲の全体で高レベルの透過率を提供する。対照的に、第2の光学フィルタ352と第3の光学フィルタ354は、より大きなAOI(例えば、10°を超えるAOI)で透過率が低下し、つまり角度に対する感度を示す。図3Hにおいて、光学フィルタ352及び354は、第1の設定角度範囲において第1の閾値より多い光量を透過し、第2の設定角度範囲において第2の閾値より少ない光量を透過する。例えば、光学フィルタ352及び/又は354は、特に、0°~10°、0°~20°、又は0°~30°の範囲の入射角において、閾値割合(例えば、50%、75%、90%、95%、又は99%)よりも多い光を透過する。対照的に、光学フィルタ352は、特に、30°~90°、40°~90°、又は50°~90°の範囲の入射角において、閾値割合(例えば、50%、25%、10%、5%、又は1%)未満の光しか透過しない。
【0043】
上述のように、図3A~3Hは単に実施例として提供されている。他の実施例も可能であり、図3A~3Hに関して説明したものとは異なっていてもよい。
【0044】
前述の開示は、説明ないし記述であるが、それは網羅的であることを意図するものではなく、実施態様を開示内容と同じ形態に限定することを意図するものでもない。変更及び変形は、上記の開示に照らしてなされうるものであり、実施態様を行うことで得られうるものである。
【0045】
本明細書において、閾値を満たすとは、文脈によっては、閾値より大きい、閾値以上である、閾値未満である、閾値以下である、閾値と等しい、閾値と等しくない等の値を指す場合がある。
【0046】
特定の特徴の組み合わせが特許請求の範囲に記載され、及び/又は明細書に開示されているものの、これらの組み合わせは、様々な実施態様の開示を制限することを意図するものではない。実際、これらの特徴の多くは、特許請求の範囲に具体的に記載されていない方法、及び/又は明細書に開示されていない方法で、組み合わせることができる。以下に列挙する各従属請求項は、1つの請求項のみに直接従属することがあるが、様々な実施態様の開示には、各従属請求項が特許請求の範囲内の他の全ての請求項と組み合わされたものも含まれる。本明細書で使用される場合、リスト中の複数の要素の「少なくとも1つ」と表された語句は、単一の部材を含む、それらの要素の任意の組み合わせを指す。一例として、「a、b、又はcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、aとb、aとc、bとc、及びaとbとc、並びに同じ要素が複数個ある場合における任意の組み合わせを包含することを意図している。
【0047】
本明細書で使用されるいかなる要素、行為、又は指示も、そのように明示的に記述されない限り、重要又は必須と解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される場合、冠詞「a」及び「an」は、1つ又は複数の要素を含むことを意図しており、「1つ以上」と互換的に使用されうる。さらに、本明細書で使用される場合、冠詞「the」は、冠詞「the」に関連して参照される1つ以上の要素を含むことを意図しており、「1つ以上」と互換的に使用されうる。さらに、本明細書で使用される場合、「セット」という用語は、1つ以上の要素(例えば、関連する要素、関連しない要素、又は関連する要素と関連しない要素の組み合わせ)を含むことを意図しており、「1つ以上」と互換的に使用されうる。1つの要素のみが意図される場合、「1つのみ」又は類似の文言が使用される。また、本明細書で使用される場合、「has(有する)」、「have(有する)」、「having(有する)」などの用語は、オープンエンドの用語であることを意図している。さらに、「・・・に基づく」という表現は、明示的に別段の記載がない限り、「少なくとも部分的に、・・・に基づく」を意味することを意図している。また、本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、一連の中で使用される場合、包摂的であることを意図しており、明示的に別段の記載がない限り(例えば、「いずれか」又は「いずれか一方のみ」と組み合わせて使用される場合でない限り)、「及び/又は」と互換的に使用されうる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
【外国語明細書】