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特開2025-5392MMCにおけるセルの動作を制御するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005392
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】MMCにおけるセルの動作を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/49 20070101AFI20250108BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20250108BHJP
【FI】
H02M7/49
H02M7/48 E
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024090682
(22)【出願日】2024-06-04
(31)【優先権主張番号】23181770
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イン-ジアン・ハーフナー
(72)【発明者】
【氏名】ラケーシュ・レディ
(72)【発明者】
【氏名】アシュカン・ナミ
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA11
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA23
5H770DA30
5H770JA17Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電圧型コンバータのアームに配置されたセルの動作を制御するための方法に関する。
【解決手段】電圧型コンバータのアームに配置されたセルにおける所定の故障タイプの検出時に、所定の循環電流を前記アームに注入するステップと、アーム電流が、アーム電流がバイパススイッチBPSに並列に接続されたスイッチSW1のダイオードD1を経由して流れるときの方向に対応する負のアーム電流方向Iva-である時間期間を検出するステップと、前記時間期間内に閉じるようにバイパススイッチBPSを制御するステップとを含むことができる。本方法を実行するように構成された制御ユニット、ならびにセルおよび制御ユニットを備える電圧型コンバータも提供される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧型コンバータ(10)のアームに配置されたセル(12)の動作を制御するための方法であって、前記アームは、前記電圧型コンバータ(10)における電流相に関連付けられており、前記セル(12)は、
第1のセル接続端子(CC1)と、
第2のセル接続端子(CC2)と、
直列に接続された第1のスイッチおよび第2のスイッチ(SW1、SW2)を備えており、前記第1および第2のセル接続端子の一方(CC1)が、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間に配置され、前記第1および第2のスイッチ(SW1、SW2)の各々は、トランジスタ(T1、T2)および逆並列ダイオード(D1、D2)を備えている第1のスイッチングブランチと、
前記第1および第2のセル接続端子(CC1、CC2)の間に接続されたバイパススイッチ(BPS)であって、前記第1のスイッチ(SW1)または前記第2のスイッチ(SW2)が前記バイパススイッチ(BPS)と並列に接続されるように接続されたバイパススイッチ(BPS)と
を備え、
前記セル(12)は、前記第1および第2の両方のスイッチ(SW1、SW2)の前記トランジスタ(T1、T2)がオフにされたときに、前記第1および第2のセル接続端子(CC1、CC2)の間のアーム電流を、前記アーム電流の負のアーム電流方向(Iva-)に関しては前記バイパススイッチ(BPS)と並列に接続された一方の前記スイッチ(SW1、SW2)の前記ダイオード(D1、D2)を介して、前記アーム電流の正のアーム電流方向(Iva+)に関しては前記第1および第2のスイッチ(SW1、SW2)のうちの前記他方のスイッチ(SW1、SW2)の前記ダイオード(D1、D2)を介して導くように構成され、
前記方法は、
-基本周波数の1周期における前記アームの平均電流および前記電圧型コンバータの動作モードに応じて、前記セル(12)における所定の故障タイプの検出時に、所定の循環電流を前記アームに注入すること(S1)と、
-前記アーム電流が前記負のアーム電流方向(Iva-)である時間期間を検出すること(S2)と、
-前記時間期間内に閉じるように前記バイパススイッチ(BPS)を制御すること(S3)と
を含む、方法。
【請求項2】
所定の循環電流を前記アームに前記注入すること(S1)は、前記コンバータがインバータモードで、随意により0.2PU電圧以上の電力レベルで動作している場合に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
所定の循環電流を前記アームに前記注入すること(S1)は、前記バイパススイッチが閉じられる前に実行される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記負のアーム電流方向は、前記第2のセル接続端子(CC2)から前記第1のセル接続端子(CC1)への方向である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記正のアーム電流方向は、前記第1のセル接続端子(CC1)から前記第2のセル接続端子(CC2)への方向である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
-電流センサによって測定されたアーム電流測定値を提供すること(S4)と、
-前記アーム電流測定値から前記アーム電流のアーム電流方向を決定すること(S5)と
を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記時間期間内に閉じるように前記バイパススイッチ(BPS)を前記制御すること(S3)は、
-前記バイパススイッチ(BPS)を閉じるように前記バイパススイッチ(BPS)に制御信号を送信すること(S31)と、
-前記制御信号の伝送時間および前記バイパススイッチ(BPS)の閉鎖時間を補償するように前記制御信号のタイミングを決定すること(S32)と
を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記制御信号の前記タイミングを決定すること(S32)は、
-前記アーム電流の前記アーム電流方向が前記正のアーム電流方向(Iva+)である時間期間中に前記バイパススイッチ(BPS)に前記制御信号を送信すること(S321)と、
-前記アーム電流の前記アーム電流方向が前記負のアーム電流方向(Iva-)であるときに閉じるように前記バイパススイッチを制御することと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
-前記アーム電流の波形に基づき、前記アーム電流方向が前記正のアーム電流方向(Iva+)から前記負のアーム電流方向(Iva-)に変化する時点に対応する第1のゼロ交差時点(tz1)、および前記アーム電流方向が前記負のアーム電流方向(Iva-)から前記正のアーム電流方向(Iva+)に変化する時点に対応する第2のゼロ交差時点(tz2)を推定すること(S33)と、
-前記バイパススイッチが前記第1のゼロ交差時点(tz1)よりも早く閉じることがなく、かつ前記第2のゼロ交差時点(tz2)よりも遅く閉じることがないように、前記バイパススイッチ(BPS)を閉じるための制御信号を送信すること(S34)と
を含む、請求項7~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記所定の故障タイプは、前記第1のスイッチ(SW1)の制御の喪失、前記第2のスイッチ(SW2)の制御の喪失、および/またはローカルセル制御基板の故障である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記セルは、ハーフブリッジセルまたはフルブリッジセルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記電圧型コンバータ(10)のそれぞれのアームに配置された少なくとも2つのセル(12)に適用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記電圧型コンバータ(10)の同じアームに配置された少なくとも2つのセル(12)に適用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
先行する請求項のいずれかに記載の方法を実行するための手段を備える制御ユニット。
【請求項15】
複数のセル(12)と、請求項14に記載の制御ユニットと、を備えるモジュラー・マルチレベル・コンバータ(MMC:Modular Multilevel Converter)などの電圧型コンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本出願は、電力変換器、具体的には電圧型コンバータ(VSC:Voltage Source Converter)の分野に関する。より詳細には、VSC内のセル・バイパス・コンポーネントのストレスを低減し、好ましくは最小化する方法に関する。さらに、本出願は、本方法を実行するための制御ユニット、ならびにセルおよび制御ユニットを組み込んだ電圧型コンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
高電圧直流(HVDC:High Voltage Direct Current)送電システムが、電力を効率的なやり方で伝送するために使用される。HVDCシステムは、電力を高電圧交流(HVAC:high voltage alternating current)からHVDCに変換し、あるいはその逆に変換するために、HVDCコンバータに依存する。そのようなHVDCコンバータの1つは、トランジスタを使用して前記変換を実行する電圧型コンバータ(VSC:voltage-source converter)として知られている。
【0003】
HVDC VSCシステムの誤った挙動のために、HVDC VSCシステムの1つ以上のセルを機械的にバイパスすることが必要な場合がある。これを、機械的なバイパススイッチを閉じることによって行うことができる。しかしながら、この動作の際に、HVDC VSCシステムの1つ以上のスイッチが意図したようには動作しない恐れがあり、バイパススイッチが異常に大きいメガアンペア(MA:Mega Ampere)の短絡電流にさらされる可能性がある。この理由で、バイパススイッチは、MAの短絡電流を維持するように設計されなければならない。真空遮断器などの市場で入手可能な解決策は、典型的には、小さなkAの短絡電流のみを維持するように設計されているため、HVDC VSCシステム用のバイパススイッチを特別に設計しなければならず、コストの増加につながる。
【0004】
上記に鑑み、より費用効率の高いやり方でバイパスコンポーネントのストレスを低減し、好ましくは最小化するための解決策を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本発明の目的は、現在の解決策における前述の欠点を軽減する改善された解決策を提供することである。さらに、本発明の第1の目的は、電圧型コンバータのアームに配置されたセルの動作を制御するための方法を提供することであり、前記アームは、前記電圧型コンバータ内の電流相に関連付けられている。本発明の第1の目的は、請求項1によって解決される。本発明の第2の目的は、そのような方法を実行するための制御ユニットを提供することである。第2の目的は、請求項14によって解決される。本発明の第3の目的は、複数のセルと上述の制御ユニットとを備える電圧型コンバータを提供することである。第3の目的は、請求項15によって解決される。
【0006】
本発明は、セルをバイパスすることが必要になる電圧型コンバータのセル故障の場合に、バイパススイッチなどのセル・バイパス・コンポーネントを通ってメガアンペア(MA:Mega Ampere)の短絡電流が導かれるのを制限または防止するために、セルの動作を特定のやり方で制御することができるという本発明の考え方に基づく。これにより、セル・バイパス・コンポーネントが被るストレスを低減することによって、寿命を改善することができる。さらに、MAの短絡電流に合わせて寸法付けられたセル・バイパス・コンポーネントは高価である。本発明の考え方は、短絡電流を制限することを含むため、セル・バイパス・コンポーネントをより小さい短絡電流に合わせて寸法付けることを可能にすることにより、コストを削減する。
【0007】
セルは、1つ以上のエネルギー貯蔵素子(コンデンサなど)と、セルの動作を制御するための1つ以上のスイッチとを備えることができる。前記スイッチは、オンにされたときに電流を導くトランジスタと、トランジスタがオフにされたときに電流を導く逆並列ダイオードとを備えることができる。スイッチのトランジスタをオン/オフすることによって、スイッチ状態に影響を与える。スイッチのオン/オフを、スイッチのトランジスタのオン/オフと理解すべきである。オフにされたスイッチは、依然として逆並列ダイオードを介して電流を導くことができる。
【0008】
電圧型コンバータにおいてセル故障が発生した場合、1つ以上のセルをバイパスする必要があり得る。セルは、セルをバイパスすることを可能にするバイパススイッチを備えることができる。セルのバイパスは、セルのエネルギー貯蔵素子がバイパススイッチによってバイパスされることを意味し得る。セルの1つ以上のスイッチが、バイパススイッチが閉じられる前にオフにされてよい。直列に接続された1対のスイッチを含むスイッチングブランチを備えており、バイパススイッチが一方のスイッチと並列に接続されているセルの場合、バイパススイッチを閉じる前にセルをソフト・バイパス・モードにすることが望ましい場合がある。ソフト・バイパス・モードとは、並列スイッチがオンであり、他方のスイッチがオフにされることを意味する。並列スイッチをオンにすることができる限り、バイパススイッチは、セルコンデンサ放電からの大きい短絡電流を被ることがない。
【0009】
しかしながら、セル故障により、並列スイッチが意図したように動作しなくなる可能性があり、これにより、並列スイッチがオンになることが妨げられる可能性があり、したがって、セルをソフト・バイパス・モードにすることが妨げられる可能性がある。
【0010】
本明細書で論じられる本発明の考え方に基づく本発明は、セル・バイパス・コンポーネントのストレスを低減することができ、とくにはバイパススイッチを閉じる前にセルをソフト・バイパス・モードにすることができない場合に、セル・バイパス・コンポーネントのストレスを低減することができる。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、電圧型コンバータのアームに配置されたセルの動作を制御するための方法が提供され、前記アームは、前記電圧型コンバータ内のアーム電流の相に関連付けられている。
【0012】
本方法によって動作を制御することができるセルは、
第1のセル接続端子と、
第2のセル接続端子と、
直列に接続された第1のスイッチおよび第2のスイッチを備えており、第1および第2のセル接続端子の一方が、第1のスイッチと第2のスイッチとの間に配置され、第1および第2のスイッチの各々は、トランジスタおよび逆並列ダイオードを備えている第1のスイッチングブランチと、
第1および第2のセル接続端子の間に接続されたバイパススイッチと
を備えるセルであり、
バイパススイッチは、第1のスイッチまたは第2のスイッチがバイパススイッチと並列に接続されるように接続され、
セルは、第1および第2の両方のスイッチのトランジスタがオフにされたときに、第1および第2のセル接続端子の間のアーム電流を、アーム電流の負のアーム電流方向に関してはバイパススイッチと並列に接続された一方のスイッチのダイオードを介し、アーム電流の正のアーム電流方向に関しては第1および第2のスイッチのうちの他方のスイッチのダイオードを介して導くように構成されている。
【0013】
前記セルを制御するための方法は、
-セルにおける所定の故障タイプの検出時に、基本周波数の1周期における前記アームの平均電流および電圧型コンバータの動作モードに応じて、所定の循環電流を前記アームに注入することと、
-アーム電流が負のアーム電流方向である時間期間を検出することと、
-前記時間期間内に閉じるようにバイパススイッチを制御することと
を含む。
【0014】
この方法により、セル・バイパス・コンポーネントのストレスを低減することができ、好ましくは最小化することができる。これにより、セル・バイパス・コンポーネントの寿命が長くなる。とくには、この方法を使用することで、とくには並列スイッチのオンを妨げるセル故障が発生したときにセル・バイパス・コンポーネントのストレスが低減される。この方法は、セル・バイパス・コンポーネント、とくにはバイパススイッチを、より小さい短絡電流に耐えればよいように設計することを可能にする。したがって、バイパススイッチを複雑にしなくてもよく、より小さくすることができ、コストが削減される。
【0015】
第1のセル接続端子は、第1のスイッチと第2のスイッチとの間に配置されてよい。第2のセル接続端子は、第1のスイッチと第2のスイッチとの間に配置されてよい。
【0016】
バイパススイッチと並列に接続されるスイッチは、第1のスイッチであってもよいし、第2のスイッチであってもよい。
【0017】
バイパススイッチは、一実施形態においては、機械的なバイパススイッチである。バイパススイッチを、100A~1kA、1kA~10kA、10kA~100kA、100kA~1MA、1MA~10MA、またはそれ以上の大きさを有する短絡電流に耐えることができるように寸法付けることができる。
【0018】
負のアーム電流方向を、第1のセル接続端子から第2のセル接続端子への方向と定義することができる。正のアーム電流方向を、第2のセル接続端子から第1のセル接続端子への方向と定義することができる。しかしながら、これは逆であってもよい。負のアーム電流方向に流れるアーム電流は、負の値を有することができ、それによって「負のアーム電流」を提供する。正のアーム電流方向に流れるアーム電流は、正の値を有することができ、それによって「正のアーム電流」を提供する。好ましくは、セルは、アーム電流が負であるとき、両方のスイッチがオフにされたときに負のアーム電流が並列スイッチのダイオードを介して流れるように構成されてよい。
【0019】
セル故障は、アーム電流の分析に基づいて検出可能であり得る。例えば、アーム電流が、予想される挙動から逸脱する可能性がある。これにより、セル故障が発生したと推測できる。基本周波数の1周期における前記アーム内の平均電流が前記アーム内の基準平均電流から逸脱する場合、セル故障が発生したと推測することができる。これに代え、あるいは組み合わせて、セル故障は、セルの1つ以上の特性を感知するように構成された1つ以上のセンサによって検出可能であり得る。セル故障は、セル内の任意のコンポーネントの挙動を監視し、任意の異常を検出することによって検出され得る。
【0020】
基本周波数は、周期波形の最低周波数を意味し得る。正弦波の重ね合わせに関して、基本周波数は、高調波関連周波数の和における最低周波数の正弦波、または隣接する周波数間の差の周波数であり得る。したがって、基本周波数の1周期は、そのような周波数の周期であってよい。アーム電流の分析は、アーム電流の基本周波数の周期にわたってアーム電流を平均化することを含むことができる。これに加え、あるいは代えて、基本周波数は、接続されたAC周波数、例えば50Hzまたは60Hzを意味し得る。
【0021】
所定の循環電流の注入は、例えばアーム電流を含むセル内の既存の循環電流に影響を及ぼすために電流が注入されることを意味することができる。循環電流の注入は、循環電流基準を変更することによって実現されてよく、循環を制御するための制御ユニットが、循環を基準値に従うように制御し得る。循環電流は、対応する相の電圧基準に加えられるデルタ電圧の印加によって注入され得る。
【0022】
循環電流の前記注入は、基本周波数の1周期の間の前記アーム内の平均電流および電圧コンバータの動作モードに依存し得る。基本周波数の1周期の間の前記アーム内の平均電流に依存するという条件は、1つの基本周波数の間の前記アーム内の平均電流が、1つの基本周波数の間の前記アーム内の基準平均電流から逸脱し、しきい値平均電流値だけ逸脱する場合を意味し得る。電圧変換器の動作モードに依存するという条件とは、電圧型コンバータが整流器モード(すなわち、ACからDCに電力を移す)にあるか否かを意味し得る。電圧型コンバータが整流器モードにあるとき、平均充電電流が0未満であるため、循環電流の注入は不必要であり得る。
【0023】
一実施形態によれば、前記アームへの所定の循環電流の前記注入は、コンバータがインバータモードで、随意により0.2PU電圧以上の電力レベルで動作している場合に実行される。随意により、電力レベルは、0.2PU電圧~0.3PU電圧、0.3PU電圧~0.4PU電圧、または0.4PU電圧~0.5PU電圧の区間、またはそれ以上であってよい。これにより、セル故障の検出後にすぐにバイパススイッチが閉じられなくても、適切な制御なしでセルが故障に直面しているときにセル電圧の上昇を制限することが可能になる。
【0024】
一実施形態によれば、前記アームへの所定の循環電流の前記注入は、バイパススイッチが閉じられる前に実行される。これにより、バイパススイッチが閉じられる前にセル充電が制限され得る。これにより、エネルギー貯蔵素子からの放電電流による短絡電流をさらに低減することができる。
【0025】
一実施形態によれば、負のアーム電流方向は負のアーム電流の方向であり、正のアーム電流方向は正のアーム電流の方向である。バイパススイッチと並列に接続されたスイッチは、負のアーム電流方向のための逆並列ダイオードを介してオフ状態のアーム電流を導き得る。これは、セル設計に応じて適切な構成であり得る。
【0026】
一実施形態によれば、本方法は、
-電流センサによって測定されたアーム電流測定値を提供することと、
-アーム電流測定値からアーム電流のアーム電流方向を決定することと
を含む。
【0027】
電流センサによってアーム電流を測定することによって、センサ位置に応じて、アーム内の複数のセルのうちのどのセルが故障に直面しているかを判定することが可能であり得る。本方法は、各々がそれぞれのセルに関連して配置された複数の電流センサによって測定されたアーム電流測定値を提供することを含み得る。アーム電流方向は、アーム電流極性に基づいて決定され得る。アーム電流極性が負である場合、アーム電流方向は、負のアーム電流方向として決定され得る。アーム電流極性が正である場合、アーム電流方向は、正のアーム電流方向として決定され得る。アーム電流およびアーム電流方向を具体的に測定することにより、本方法は、より応答性が高く正確な性能をもたらすことができる。関連する測定値(例えば、電力出力)からのアーム電流およびアーム電流方向の推測に頼ることを避けることができる。
【0028】
一実施形態によれば、前記時間期間内に閉じるようにバイパススイッチを制御することは、
-バイパススイッチを閉じるようにバイパススイッチに制御信号を送信することと、
-制御信号の伝送時間およびバイパススイッチの閉鎖時間を補償するように制御信号のタイミングを決定することと
を含む。
【0029】
これにより、セル・バイパス・コンポーネントのストレスをもたらす可能性があるオフ状態の並列スイッチが第2の方向に導通しているときに、バイパススイッチが閉じないことを保証することができる。バイパススイッチの閉鎖時間は、バイパススイッチの種類およびその変動に依存し得る。制御信号の伝送時間は、制御信号のソースから制御信号のターゲットまでの距離に依存し得る。制御信号がターゲットによって受信されると、バイパススイッチを作動させて閉じることができる。
【0030】
一実施形態によれば、制御信号のタイミングを決定することは、
-アーム電流のアーム電流方向が正のアーム電流方向である時間期間の間にバイパススイッチに制御信号を送信することと、
-アーム電流のアーム電流方向が負のアーム電流方向であるときに閉じるようにバイパススイッチを制御することと
を含む。
【0031】
これにより、セル・バイパス・コンポーネントに回避可能なストレスをもたらすことなくバイパススイッチを閉じることができる時間ウィンドウが増加する。したがって、適切な動作のための安全性のマージンが増加する。
【0032】
一実施形態によれば、本方法は、
-アーム電流の波形に基づき、アーム電流方向が正のアーム電流方向から負のアーム電流方向に変化する時点に対応する第1のゼロ交差時点、およびアーム電流方向が負のアーム電流方向から正のアーム電流方向に変化する時点に対応する第2のゼロ交差時点を推定することと、
-バイパススイッチが第1のゼロ交差時点よりも早く閉じることがなく、かつ第2のゼロ交差時点よりも遅く閉じることがないように、バイパススイッチを閉じるための制御信号を送信するステップと
を含む。
【0033】
一実施形態によれば、前記所定の故障タイプは、第1のスイッチおよび/または第2のスイッチの制御の喪失、ならびに/あるいはローカルセル制御基板内の故障である。
【0034】
所定の故障タイプは、セル故障を示し得るセルのそれぞれの特性を感知するように構成された1つ以上のセンサによって検出され得る。所定の故障タイプは、アーム電流分析によって検出され得る。一例として。制御の喪失は、スイッチと制御ユニットとの間の通信の喪失、またはスイッチの故障、または制御ユニットの故障を含み得る。所定の故障タイプは、任意のセル故障であり得る。所定の故障タイプは、第1のスイッチングブランチの故障、例えば第1のスイッチまたは第2のスイッチあるいはその両方の故障であり得る。セルが第2のスイッチングブランチを備える場合、所定の故障タイプは、第2のスイッチングブランチの故障、例えば第3のスイッチまたは第4のスイッチあるいはその両方の故障であり得る。所定の故障タイプは、セルの動作を制御する任意の制御ユニットの故障であり得る。所定の故障タイプは、2つ以上の要素間の接続における故障であり得る。所定の故障タイプは、これらの故障のいずれかであってよく、これらの故障の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0035】
一実施形態によれば、セルはハーフブリッジセルまたはフルブリッジセルである。本方法は、電圧型コンバータ内のハーフブリッジセルまたはフルブリッジセルのいずれかの動作を制御するために適用され得る。本方法は、電圧型コンバータのハーフブリッジセルおよびフルブリッジセルの両方の動作を制御するために適用され得る。
【0036】
一実施形態によれば、本方法は、電圧型コンバータのそれぞれのアームに配置された少なくとも2つのセルに適用される。本方法は、電圧型コンバータの2つまたは3つのアームに配置された1つ以上のセルに適用され得る。本方法は、電圧型コンバータのレグ内の第1のアームおよび第2のアームのいずれかまたは両方の任意のセルに適用され得る。本方法は、電圧型コンバータのそれぞれのレグ内のそれぞれの第1のアームおよびそれぞれの第2のアームのいずれかまたは両方の任意のセルに適用され得る。
【0037】
一実施形態によれば、本方法は、電圧型コンバータの同じアームに配置された少なくとも2つのセルに適用される。本方法は、電圧型コンバータの同じアーム内の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれ以上のセルに適用され得る。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、制御ユニットが提供される。制御ユニットは、第1の態様またはその任意の実施形態による方法を実行するための手段を備える。制御ユニットは、第1の態様またはその任意の実施形態による方法を実行するように構成され得る。制御ユニットは、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第2のスイッチングブランチ内の追加のスイッチ、および/またはバイパススイッチを制御するための1つ以上のゲート制御ユニットを含み得る。制御ユニットは、測定値を記憶するためのメモリ素子を含み得る。制御ユニットは、セルおよび/またはアーム電流の1つ以上のそれぞれの特性を測定するための1つ以上のセンサを含み得る。制御ユニットは、バイパス制御ユニットおよび/またはバイパス点火ユニットを備え得る。制御ユニットは、バイパススイッチBPSの点火に所定の遅延を導入するための遅延ユニットを備え得る。
【0039】
本発明の第3の態様によれば、モジュラー・マルチレベル・コンバータ(MMC:Modular Multilevel Converter)などの電圧型コンバータが提供される。電圧型コンバータは、複数のセルと、第2の態様またはその任意の実施形態による制御ユニットとを備える。
【0040】
本発明の第4の態様によれば、コンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、プログラムがコンピュータによって実行されると、第1の態様またはその任意の実施形態による方法をコンピュータに実行させる命令を含む。
【0041】
コンピュータとは、情報がどのように処理されるべきかに関するプログラム、ソフトウェア、または一連の命令に基づいて、何らかの結果のために情報を受け入れて処理することができる任意の装置を意味し得る。情報は、デジタル化されたデータの形態であってよい。非限定的な例として、コンピュータは、サーバ、固定コンピューティングデバイス、ポータブルコンピューティングデバイスであってよい。
【0042】
第5の態様によれば、コンピュータ可読媒体が提供される。コンピュータ可読媒体は、コンピュータによって実行されるときに第1の態様またはその任意の実施形態による方法をコンピュータに実行させる命令を含む。コンピュータ可読媒体は、命令を含むための任意の適切な媒体であってよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読記憶媒体であってよい。
【0043】
本発明は、添付の独立請求項によって定義され、実施形態は、添付の従属請求項、以下の説明、および図面に記載される。
【0044】
図面の簡単な説明
本発明を、添付の図面を参照して以下でさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の一実施形態による電圧型コンバータを示している。
図2】本発明の実施形態によるそれぞれのセルを示している。
図3】本発明の実施形態によるそれぞれのセルを示している。
図4】本発明の実施形態によるそれぞれのセルを示している。
図5】本発明の実施形態によるそれぞれのセルを示している。
図6】本発明の実施形態によるそれぞれのセルを示している。
図7】本発明の実施形態によるそれぞれのセルを示している。
図8】本発明の一実施形態による電圧型コンバータの概略図である。
図9】本発明の一実施形態による本発明の態様の概略図である。
図10】本発明の一実施形態に従って動作が制御されるセルについて、時間につれての電流を示すグラフである。
図11】本発明の一実施形態による方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
実施形態の説明
以下で、本開示の原理および趣旨を、例示的な実施形態を参照して説明する。これらの実施形態はすべて、当業者が本開示をよりよく理解し、さらに実施するために与えられているにすぎず、本開示の範囲を限定するためのものではないことを理解されたい。例えば、一実施形態の一部として図示または説明された特徴を別の実施形態と共に使用して、さらに別の実施形態を得ることができる。明確にするために、実際の実施態様のすべての特徴が本明細書において説明されるわけではない。当然のことながら、そのような実際の実施形態の開発において、システム関連およびビジネス関連の制約の遵守など、実施態様ごとに異なるであろう開発者の特定の目標を達成するために、多数の実施態様固有の決定を行わなければならないことが理解されよう。さらに、そのような開発努力は複雑で時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとって日常的な仕事であることが理解されよう。
【0047】
ここで、添付の図面を参照して、本開示の主題を説明する。さまざまな構造、システム、および装置が、説明のみを目的として、当業者に周知の細部で説明を不明瞭にしてしまうことがないように、図面に概略的に示されている。それにもかかわらず、添付の図面は、開示される主題の例示的な例を描写して説明するために含まれている。本明細書において使用される語句は、当業者によるそれらの語句の理解に矛盾しない意味を有すると理解および解釈されるべきである。用語または句の特別な定義、すなわち当業者によって理解される通常の慣習的な意味とは異なる定義は、本明細書における用語または句の一貫した使用によって暗示されることを意図しない。用語または句が特別な意味、すなわち当業者によって理解される意味以外の意味を有することが意図される限りにおいて、そのような特別な定義は、用語または句の特別な定義を直接的かつ明白に提供する定義的なやり方で本明細書に明示的に記載される。
【0048】
本主題は、セル故障が検出された場合のセルバイパスにおいて、セル・バイパス・コンポーネントのストレスを低減し、好ましくはセル・バイパス・コンポーネントのストレスを最小化するための解決策を提供する。本発明の考え方は、部分的には、電圧型コンバータのアーム内の1つ以上のセルの動作を制御するための方法として部分的に実現される。さらに、本発明の考え方は、本方法を実行するための制御ユニットとして実現される。さらに、本発明の考え方は、セルおよび制御ユニットを備える電圧型コンバータとして実現される。
【0049】
図1が、3つのレグに配置されたセル12を備える電圧型コンバータ10を示している。各々のレグは、直列に接続されて中間点を提供する2つのアームを備えてよい。中間点とは、2つの要素の間の位置を意味することができ、2つの要素のちょうど中間の位置を厳密に指すものではない。各々のレグの中間点は、電圧型コンバータ10のAC出力を形成することができる。3つのレグが存在するため、コンバータは三相ACシステムに接続されてよい。各々のアームにおいて、複数のセルが図8に示されるように縦列に配置されている。電圧型コンバータにおけるセルC1、C2、・・・、CNの動作を、上述の方法によって制御することができる。アーム電流を、各々のアームを通って導くことができ、このアーム電流は、電流のそれぞれの相に関連付けられる。
【0050】
電圧型コンバータは、図1に示されるように、モジュラー・マルチレベル・コンバータ(MMC:modular multilevel converter)として実現されてよい。しかしながら、上述の方法は、特定の種類の電圧型コンバータのセルの動作の制御にとくに限定されないが、この方法は、特定の種類の電圧型コンバータに関して特定の利点をもたらすことができる。相レグは、ワイ接続またはデルタ接続であってよく、2つの相レグの間の接合部が、三相ACシステムの対応する相に接続される。
【0051】
電圧型コンバータは、例えば、HVDC送電、FACTSシステム、または静止形周波数コンバータシステムにおいて使用されるような電力変換器であってよい。
【0052】
セル12は、フルブリッジセルまたはハーフブリッジセルであってよい。図において、セルは、ハーフブリッジセルとして例示されている。しかしながら、セルがフルブリッジセルであってもよいことを理解されたい。セルは、エネルギー貯蔵素子と、最大2つの異なる極性のうちの1つを有するエネルギー貯蔵素子を相レグに挿入するか、あるいはエネルギー貯蔵素子をバイパスするように構成されたスイッチとを備える。1つ以上のセル内のエネルギー貯蔵素子は、コンデンサであってよい。したがって、各々のセルはセル電圧を有することができる。このセル電圧が、波形を形成するために相レグに挿入され、あるいはバイパスされる。
【0053】
電圧型コンバータ10の一変形例において、1つ以上の相レグがフルブリッジセルを備える。別の変形例において、各々の相レグはフルブリッジセルを備える。さらに別の変形例においては、1つ以上の相レグがハーフブリッジセルを備える。さらに別の変形例において、各々の相レグはハーフブリッジセルを備える。さらに別の変形例においては、1つ以上の相レグが、フルブリッジセルとハーフブリッジセルとの混合を備える。さらに別の変形例においては、各々の相レグが、フルブリッジセルとハーフブリッジセルとの混合を備える。
【0054】
例えば図2および図3を参照すると、上述の方法によって動作を制御することができるセル12は、第1のセル接続端子CC1および第2のセル接続端子CC2を備える。セル12は、第1のスイッチングブランチと、図2および図3においてコンデンサCcとして例示されているエネルギー貯蔵素子とをさらに備える。スイッチングブランチは、エネルギー貯蔵素子Ccに接続されている。スイッチングブランチは、直列に接続された第1のスイッチSW1および第2のスイッチSW2を備える。第1および第2のセル接続端子CC1、CC2の一方が、第1のスイッチSW1と第2のスイッチSW2との間に配置される。図2および図3において、ここでは、第1のセル接続端子CC1が第1のスイッチSW1と第2のスイッチSW2との間に配置されることが例示されている。第2のセル接続端子CC2が、エネルギー貯蔵素子Ccと第1のスイッチSW1との間に配置される。あるいは、第1のセル接続端子CC1が、エネルギー貯蔵素子Ccと第2のスイッチSW2との間に配置され、第2のセル接続端子CC2が、第1のスイッチSW1と第2のスイッチSW2との間に配置される(図4および図5図6および図7と比較せよ)。
【0055】
第1のスイッチSW1および第2のスイッチSW2は、トランジスタT1、T2および逆並列ダイオードD1、D2を備えるものとして例示されている。
【0056】
第1および第2のスイッチのいずれのトランジスタも、任意の適切な半導体コンポーネント(または、「半導体」)であってよい。非限定的な例として、適切な半導体コンポーネントは、炭化ケイ素金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(SiC MOSFET:Silicon Carbide Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)および他のアクティブゲート制御可能デバイス、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)、またはバイモード絶縁ゲートトランジスタ(BiGT:Bi-Mode Insulated Gate Transistor)を含むことができる。使用される半導体コンポーネントの種類は、本方法を限定するものではなく、むしろ、本方法は、電力変換器のニーズをカバーするために適した任意の半導体を組み込んだセルの動作を制御するために適用可能であってよい。第1のスイッチSW1が、エネルギー貯蔵素子またはエネルギー貯蔵素子のブランチの低電位端に接続されてよく、第2のスイッチSW2が、このエネルギー貯蔵素子またはエネルギー貯蔵素子のブランチの高電位端に接続されてよい。第1のスイッチSW1が、エネルギー貯蔵素子またはエネルギー貯蔵素子のブランチの高電位端に接続されてよく、第2のスイッチSW2が、このエネルギー貯蔵素子またはエネルギー貯蔵素子のブランチの低電位端に接続されてよい。
【0057】
スイッチSW1、SW2のダイオードD1、D2は、それぞれのトランジスタT1、T2の導通方向と逆並列に接続されてよい。さらに、ダイオードは、トランジスタ(パワートランジスタ)の一体の一部分であってよい。
【0058】
トランジスタは、この場合はコレクタからエミッタへの一方向の電流の流れを可能にする。半導体コンポーネントとしてのダイオードは、トランジスタT1およびT2が可能にする方向とは逆方向の電流の流れを可能にする。好ましくは、ダイオードは、トランジスタと同じ電力(または、電流)に耐えるように構成される。
【0059】
スイッチSW1およびSW2のトランジスタT1およびT2は、スイッチ状態を変更可能な電圧を印加する対応するプライマリゲート制御ユニットGU1およびGU2を介してアクティベートされる定常状態動作にある。第1のプライマリゲート制御部GU1は、第1のスイッチSW1内の第1のトランジスタT1のゲートに接続され、その動作を制御することができる。第2のプライマリゲート制御部GU2は、第2のスイッチSW2内の第2のトランジスタT2のゲートに接続され、その動作を制御することができる。
【0060】
セル12は、バイパススイッチBPSをさらに備える。図2および図3において、バイパススイッチBPSは、第1のセル接続端子CC1と第2のセル接続端子CC2との間に接続され、第1の接続端子CC1と第2の接続端子CC2との間の接続を閉じることができるものとして例示されている。さらに、バイパススイッチBPSは、第1のスイッチSW1がバイパススイッチBPSと並列に接続されることにより、並列スイッチSW1をもたらすように接続される。あるいは、バイパススイッチBPSは、第2のスイッチSW2がバイパススイッチBPSと並列に接続されることにより、並列スイッチSW2をもたらすように接続されてよい(図6および図7を参照)。
【0061】
バイパススイッチBPSは、機械的なスイッチとして実現されてよい。バイパススイッチBPSは、セルが故障したときにセル全体をバイパスするように制御されてよい。バイパススイッチBPSを追加することにより、セルが故障しているにもかかわらず、コンバータの使用を継続することが可能になり得る。
【0062】
図4および図5に示されるように、セル12は、第1および第2の両方のスイッチSW1、SW2のトランジスタT1、T2がオフにされたときに、第1および第2のセル接続端子CC1、CC2の間のアーム電流を、負のアーム電流Iva-に関してはバイパススイッチBPSと並列に接続された第1のスイッチSW1の第1のダイオードD1を介し、正のアーム電流Iva+に関しては第2のスイッチSW2のダイオードD2を介して導くように構成される。
【0063】
代案として、図6および図7に示されるように、セル12は、第1および第2の両方のスイッチSW1、SW2のトランジスタT1、T2がオフにされたときに、第1および第2のセル接続端子CC1、CC2の間のアーム電流を、負のアーム電流Iva-に関してはバイパススイッチBPSと並列に接続された第1第2SW2の第2のダイオードD2を介し、正のアーム電流Iva+に関しては第1のスイッチSW1のダイオードD1を介して導くように構成される。
【0064】
図4および図5から分かるように、正のアーム電流Iva+がセル12を通って流れているときにバイパススイッチBPSが閉じられると、エネルギー貯蔵素子Ccから大きな放電電流が流れ得るが、負のアーム電流Iva-がセル12を通って流れているときにバイパススイッチBPSが閉じられる場合、エネルギー貯蔵素子Ccからそのような大きな放電電流は流れ得ない。この状況は、図6および図7に示される代案については反対になる。
【0065】
したがって、セル動作およびセル放電の上記の洞察に照らして、上述の方法が提供され、この方法は、電圧型コンバータ10のアームに配置されたセル12の動作を制御するための方法であり、前記セル12は、上記で説明したようなセル12である。本方法は、図11に概略的に示されており、
セル12における所定の故障タイプの検出時に、基本周波数の1周期における前記アームの平均電流および電圧型コンバータの動作モードに応じて、所定の循環電流を前記アームに注入するステップS1と、
アーム電流が負のアーム電流方向Iva-である時間期間を検出するステップS2と、
前記時間期間内に閉じるようにバイパススイッチBPSを制御するステップS3と
を含む。
【0066】
バイパススイッチBPSを前記時間期間内に閉じるように制御することにより、バイパススイッチBPSは、常にアーム電流がバイパススイッチBPSと並列に接続されたスイッチSW1、SW2のダイオードD1、D2を介して第1の接続端子CC1と第2の接続端子CC2との間を流れているときに閉じる。上述したように、セル12の構成に応じて、このダイオードは、第1のダイオードD1または第2のダイオードD2のいずれであってよい。これにより、バイパススイッチBPSが閉じる瞬間に、バイパススイッチBPSを通って大きな放電電流が流れることが防止される。これにより、セル・バイパス・コンポーネントのストレスが低減され、バイパススイッチBPSをより小さい電流に合わせた寸法にすることが可能になり(もはやMAの短絡電流に耐える必要がなくなり)、したがってバイパススイッチBPSの複雑さおよびコストが低減される。
【0067】
所定の故障タイプは、第1のスイッチSW1および/または第2のスイッチSW2の制御の喪失、ならびに/あるいはローカルセル制御基板内の故障を含むことができる。制御の喪失は、通信の喪失を含むことができ、すなわちスイッチは動作可能であるが、スイッチと通信することができないことを含むことができる。制御の喪失は、動作の不具合を含むことができ、すなわちスイッチとの通信は可能であるが、スイッチがもたらされた命令に従って動作しないことを含むことができる。
【0068】
所定の故障タイプを、アーム電流の分析によって検出することができる。アーム電流の前記分析は、基本周期の1周期または他の適切な期間における前記アームのアーム電流の平均を決定することと、測定された平均アーム電流が予想される平均アーム電流から逸脱していないかどうかをチェックすることとを含むことができる。
【0069】
本方法は、
-電流センサによって測定されたアーム電流測定値を提供するステップS4と、
-アーム電流測定値からアーム電流のアーム電流方向を決定するステップS5と
をさらに含むことができる。
【0070】
これにより、アーム電流およびアーム電流方向の特定の測定をもたらすことができる。これは、他の測定を介したアーム電流およびアーム電流方向の推測に依存するよりも正確であり得る。
【0071】
アーム電流の分析に代え、あるいは組み合わせて、所定の故障タイプを、セルの特性を感知するように構成された1つ以上のセンサによって検出してもよい。
【0072】
所定の循環電流を、コンバータがインバータモードで、随意により0.2PU電圧以上の電力レベルで動作している場合に注入することができる。しかしながら、前記電力レベルは非限定的な例であり、他の電力レベルが適切であり得る。例えばコンバータが整流器モードで動作している場合など、そのようでない場合には、所定の循環電流の注入を省略することができる。前記アームへの前記所定の循環電流の注入は、バイパススイッチが閉じられる前に実行されてよい。前記所定の循環電流を注入することにより、エネルギー貯蔵素子Ccが高すぎるレベルまで充電されることを制限または防止することができる。セル故障中であっても充電レベルを満足できるレベルに保つことによって、セル・バイパス・コンポーネントのストレスを低減することができる。
【0073】
図9に示されるように、電圧型コンバータの1つの相の循環電流の制御は、アーム電流基準および測定された循環電流を入力として有する比例型レギュレータを使用することを含むことができ、これは次に、電圧型コンバータのシステム制御部から生成された対応する相の電圧基準に加算することができるデルタ電圧を出力として与える。
【0074】
前記時間期間内に閉じるようにバイパススイッチBPSを制御する前記ステップS3は、
-バイパススイッチBPSを閉じるようにバイパススイッチBPSに制御信号を送信するステップS31と、
-制御信号の伝送時間およびバイパススイッチBPSの閉鎖時間を補償するように制御信号のタイミングを決定するステップS32と
を含むことができる。
【0075】
図2および図3に示されるように、バイパススイッチBPSは、バイパス制御ユニットBPCおよびバイパス点火ユニットBPFによって閉じるように制御されてよい。さらに、1つ以上の遅延ユニットDおよび補助ゲート制御ユニットAUX GUがセル12の動作を制御するために使用されてよい。
【0076】
バイパス制御ユニットBPCは、バイパススイッチBPSの作動信号である制御信号を供給または生成する。バイパス制御ユニットBPCによって発せられる制御信号は、論理信号であってよい。バイパス制御ユニットBPCによって発せられる制御信号は、バイパススイッチの作動信号であってよい。
【0077】
非限定的な例として、制御信号は、補助ゲート制御ユニットAUX GUの動作をトリガするためにも使用されてよい。制御信号を、補助ゲート制御ユニットAUX GUに供給することができ、補助ゲート制御ユニットAUX GUは、制御信号の受信に基づいて、第1のスイッチSW1の第1のトランジスタT1のゲートにゲート制御信号を印加する。ゲート制御信号は、第1のスイッチSW1をオフにすることができる。
【0078】
また、バイパス制御ユニットBPCからの制御信号を、バイパス点火ユニットBPFによってバイパススイッチBPSに制御電圧を印加するために、遅延ユニットDを介してバイパス点火ユニットBPFへと分岐させることができ、遅延ユニットDは、バイパス点火ユニットBPFへの制御信号のデリバリに遅延を導入する。したがって、バイパススイッチBPSの作動も、補助ゲート制御ユニットAUX GUによって実行される動作に対して遅延させることができる。制御信号は、セル故障または所定のセル故障タイプの検出に応じてバイパススイッチBPSを閉じるために提供される。バイパス点火ユニットBPFは、制御信号に基づいてバイパススイッチBPSを動作させるように構成される。非限定的な例によれば第1のスイッチSW1の第1のトランジスタT1のゲートに接続される補助ゲート制御ユニットAUX GUは、少なくともバイパススイッチが閉じられていないままである限り、セル故障の検出時に、第1のスイッチSW1の第1のトランジスタT1を導通させることができるゲート制御信号を印加するように構成される。
【0079】
セル故障の検出時に、バイパス制御ユニットBPCは、アーム電流方向が所望の方向にあり、すなわち並列スイッチがダイオードを介してアーム電流を導いているときにバイパススイッチBPSが閉じるように、遅延後にバイパススイッチBPSの点火を引き起こすことができる。
【0080】
バイパススイッチを制御するためのこれらの制御要素は、第1のスイッチSW1に関連して説明されているが、セルが、代わりに(図6および図7に示されるように第2のスイッチSW2がバイパススイッチBPSと並列に接続される場合に)補助ゲート制御ユニットAUX GUが第2のスイッチSW2に接続されるように構成されてもよいことを理解されたい。
【0081】
さらに、補助ゲート制御ユニットAUX GUが随意であり、任意の実施形態から削除されてもよいことを理解されたい。
【0082】
制御信号のタイミングを決定する前記ステップ32は、
-アーム電流のアーム電流方向が、バイパススイッチBPSを閉じるべきアーム電流方向に対して反対方向に流れている時間期間中に、バイパススイッチBPSへと制御信号を送信するステップS321
を含むことができる。
【0083】
例えば、セル12を、アーム電流が負のアーム電流方向に流れているときにバイパススイッチBPSが閉じられるように構成されるように構成されてよい。負のアーム電流方向は、第2のセル接続端子CC2から第1のセル接続端子CC1に向かう方向であってよく、正のアーム電流方向は、第1のセル接続端子CC1から第2のセル接続端子CC2に向かう方向であってよい。その場合、アーム電流が正のアーム電流方向に流れているときに制御信号を送信することができる。
【0084】
これにより、制御信号は、アーム電流の流れが所望のアーム電流方向に変化するとすぐに、バイパススイッチBPSに好都合に到達して作動させることができる。これは、セル故障の検出時により応答性の高い解決策をもたらし、電圧型コンバータの性能を改善することができる。
【0085】
本方法は、
-アーム電流の波形に基づき、アーム電流方向が正のアーム電流方向Iva+から負のアーム電流方向Iva-に変化する時点に対応する第1のゼロ交差時点tz1、およびアーム電流方向が負のアーム電流方向Iva-から正のアーム電流方向Iva+に変化する時点に対応する第2のゼロ交差時点tz2を推定するステップS33と、
-バイパススイッチが第1のゼロ交差時点tz1よりも早く閉じることがなく、かつ第2のゼロ交差時点tz2よりも遅く閉じることがないように、バイパススイッチBPSを閉じるための制御信号を送信するステップS34と
をさらに含むことができる。
【0086】
図10が、アーム電流Ivaの波形例を示している。ここでは、アーム電流が正から負に極性を変化させるときの第1のゼロ交差時点tz1に対応する第1のゼロ交差点P2が示されている。ここでは、アーム電流が負から正に極性を変化させるときの第2のゼロ交差時点tz2に対応する第2のゼロ交差点P4も示されている。これらの点は、前記時点tz1、tz2の前の1つ以上の時間区間における変化率に関してアーム電流の波形を分析することによって推定することができる。一例として、ゼロ交差時点を、変化率が実質的に一定である時間区間Δt1、Δt2に基づいて近似することができる。図10において、第1の時間区間は、ほぼ時点tsから始まるΔt1であり、第2の時間区間は、ほぼ時点teから始まるΔt2である。これにより、ゼロ交差時点を確実かつ迅速に推定することができる。しかしながら、ゼロ交差時点を他の方法によって近似してもよいことを理解されたい。
【0087】
制御ユニットおよびゲート制御ユニットを、ハーフブリッジセルに関連して上述した。本明細書に記載の原理を、フルブリッジセルにも同様に適用できることを理解されたい。この場合、直列接続された第3および第4のスイッチと、第3および第4のスイッチを制御するための第3および第4のプライマリ制御ユニットとを備える第2のスイッチングブランチが存在でき、第2のスイッチングブランチは、エネルギー貯蔵素子または複数のエネルギー貯蔵素子を備えるエネルギー貯蔵ブランチと並列に接続され、第2のセル接続端子は、第3のスイッチと第4のスイッチとの間に設けられる。この場合、第2のスイッチングブランチのスイッチのうちの1つに接続され、所定のセル故障タイプの検出時に、少なくともバイパススイッチが閉じられないままである限り、第2のスイッチングブランチのスイッチのうちの1つを導通させるゲート制御信号を印加するように構成された第1のさらなるセカンダリゲート制御ユニットが存在することが可能である。さらに、第2のスイッチングブランチのスイッチのうちの他方に接続され、故障の検出時に、少なくともバイパススイッチが閉じられないままである限り、第2のスイッチングブランチのこの他方のスイッチを導通させるゲート制御信号を印加するように構成された第2のさらなるセカンダリゲート制御ユニットが存在してよい。両方のさらなるセカンダリゲート制御ユニットの動作は、バイパススイッチの作動信号によってトリガされてもよい。
【0088】
以上は本開示の実施形態を対象としているが、本明細書で説明される発明概念から逸脱することなく、他の実施形態およびさらなる実施形態を考案することができる。しかしながら、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-09-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧型コンバータ(10)のアームに配置されたセル(12)の動作を制御するための方法であって、前記アームは、前記電圧型コンバータ(10)における電流相に関連付けられており、前記セル(12)は、
第1のセル接続端子(CC1)と、
第2のセル接続端子(CC2)と、
直列に接続された第1のスイッチおよび第2のスイッチ(SW1、SW2)を備えており、前記第1および第2のセル接続端子の一方(CC1)が、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間に配置され、前記第1および第2のスイッチ(SW1、SW2)の各々は、トランジスタ(T1、T2)および逆並列ダイオード(D1、D2)を備えている第1のスイッチングブランチと、
前記第1および第2のセル接続端子(CC1、CC2)の間に接続されたバイパススイッチ(BPS)であって、前記第1のスイッチ(SW1)または前記第2のスイッチ(SW2)が前記バイパススイッチ(BPS)と並列に接続されるように接続されたバイパススイッチ(BPS)と
を備え、
前記セル(12)は、前記第1および第2の両方のスイッチ(SW1、SW2)の前記トランジスタ(T1、T2)がオフにされたときに、前記第1および第2のセル接続端子(CC1、CC2)の間のアーム電流を、前記アーム電流の負のアーム電流方向(Iva-)に関しては前記バイパススイッチ(BPS)と並列に接続された一方の前記スイッチ(SW1、SW2)の前記ダイオード(D1、D2)を介して、前記アーム電流の正のアーム電流方向(Iva+)に関しては前記第1および第2のスイッチ(SW1、SW2)のうちの前記他方のスイッチ(SW1、SW2)の前記ダイオード(D1、D2)を介して導くように構成され、
前記方法は、
-基本周波数の1周期における前記アームの平均電流および前記電圧型コンバータの動作モードに応じて、前記セル(12)における所定の故障タイプの検出時に、所定の循環電流を前記アームに注入すること(S1)と、
-前記アーム電流が前記負のアーム電流方向(Iva-)である時間期間を検出すること(S2)と、
-前記時間期間内に閉じるように前記バイパススイッチ(BPS)を制御すること(S3)と
を含む、方法。
【請求項2】
所定の循環電流を前記アームに前記注入すること(S1)は、前記コンバータがインバータモードで、随意により0.2PU電圧以上の電力レベルで動作している場合に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
所定の循環電流を前記アームに前記注入すること(S1)は、前記バイパススイッチが閉じられる前に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記負のアーム電流方向は、前記第2のセル接続端子(CC2)から前記第1のセル接続端子(CC1)への方向である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記正のアーム電流方向は、前記第1のセル接続端子(CC1)から前記第2のセル接続端子(CC2)への方向である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
-電流センサによって測定されたアーム電流測定値を提供すること(S4)と、
-前記アーム電流測定値から前記アーム電流のアーム電流方向を決定すること(S5)と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記時間期間内に閉じるように前記バイパススイッチ(BPS)を前記制御すること(S3)は、
-前記バイパススイッチ(BPS)を閉じるように前記バイパススイッチ(BPS)に制御信号を送信すること(S31)と、
-前記制御信号の伝送時間および前記バイパススイッチ(BPS)の閉鎖時間を補償するように前記制御信号のタイミングを決定すること(S32)と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記制御信号の前記タイミングを決定すること(S32)は、
-前記アーム電流の前記アーム電流方向が前記正のアーム電流方向(Iva+)である時間期間中に前記バイパススイッチ(BPS)に前記制御信号を送信すること(S321)と、
-前記アーム電流の前記アーム電流方向が前記負のアーム電流方向(Iva-)であるときに閉じるように前記バイパススイッチを制御することと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
-前記アーム電流の波形に基づき、前記アーム電流方向が前記正のアーム電流方向(Iva+)から前記負のアーム電流方向(Iva-)に変化する時点に対応する第1のゼロ交差時点(tz1)、および前記アーム電流方向が前記負のアーム電流方向(Iva-)から前記正のアーム電流方向(Iva+)に変化する時点に対応する第2のゼロ交差時点(tz2)を推定すること(S33)と、
-前記バイパススイッチが前記第1のゼロ交差時点(tz1)よりも早く閉じることがなく、かつ前記第2のゼロ交差時点(tz2)よりも遅く閉じることがないように、前記バイパススイッチ(BPS)を閉じるための制御信号を送信すること(S34)と
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の故障タイプは、前記第1のスイッチ(SW1)の制御の喪失、前記第2のスイッチ(SW2)の制御の喪失、および/またはローカルセル制御基板の故障である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記セルは、ハーフブリッジセルまたはフルブリッジセルである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記電圧型コンバータ(10)のそれぞれのアームに配置された少なくとも2つのセル(12)に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記電圧型コンバータ(10)の同じアームに配置された少なくとも2つのセル(12)に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
求項1~13のいずれかに記載の方法を実行するための手段を備える制御ユニット。
【請求項15】
複数のセル(12)と、請求項14に記載の制御ユニットと、を備えるモジュラー・マルチレベル・コンバータ(MMC:Modular Multilevel Converter)などの電圧型コンバータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
所定の故障タイプは、セル故障を示し得るセルのそれぞれの特性を感知するように構成された1つ以上のセンサによって検出され得る。所定の故障タイプは、アーム電流分析によって検出され得る。一例として制御の喪失は、スイッチと制御ユニットとの間の通信の喪失、またはスイッチの故障、または制御ユニットの故障を含み得る。所定の故障タイプは、任意のセル故障であり得る。所定の故障タイプは、第1のスイッチングブランチの故障、例えば第1のスイッチまたは第2のスイッチあるいはその両方の故障であり得る。セルが第2のスイッチングブランチを備える場合、所定の故障タイプは、第2のスイッチングブランチの故障、例えば第3のスイッチまたは第4のスイッチあるいはその両方の故障であり得る。所定の故障タイプは、セルの動作を制御する任意の制御ユニットの故障であり得る。所定の故障タイプは、2つ以上の要素間の接続における故障であり得る。所定の故障タイプは、これらの故障のいずれかであってよく、これらの故障の任意の組み合わせを含んでもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
代案として、図6および図7に示されるように、セル12は、第1および第2の両方のスイッチSW1、SW2のトランジスタT1、T2がオフにされたときに、第1および第2のセル接続端子CC1、CC2の間のアーム電流を、負のアーム電流Iva-に関してはバイパススイッチBPSと並列に接続された第2のスイッチSW2の第2のダイオードD2を介し、正のアーム電流Iva+に関しては第1のスイッチSW1のダイオードD1を介して導くように構成される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
制御信号のタイミングを決定する前記ステップS32は、
-アーム電流のアーム電流方向が、バイパススイッチBPSを閉じるべきアーム電流方向に対して反対方向に流れている時間期間中に、バイパススイッチBPSへと制御信号を送信するステップS321
を含むことができる。
【外国語明細書】