(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005395
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】バーナ用のガス分配部品
(51)【国際特許分類】
F23L 1/00 20060101AFI20250108BHJP
F23D 14/22 20060101ALN20250108BHJP
【FI】
F23L1/00 B
F23D14/22 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024092653
(22)【出願日】2024-06-07
(31)【優先権主張番号】2023107697716
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,タオ
(72)【発明者】
【氏名】グ,ユークアン
(72)【発明者】
【氏名】ツィアヴァ,レミ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン カンペン,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】パン,ユエジン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,アイリー
(72)【発明者】
【氏名】カオ,リャン
【テーマコード(参考)】
3K019
3K023
【Fターム(参考)】
3K019BA05
3K019BB01
3K019BD07
3K023BA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バーナ用のガス分配部品を提供する。
【解決手段】本出願はバーナのガス分配部品を開示する。ガス分配部品は、酸化剤流をバーナ中へ導入するための酸化剤入口;酸化剤入口と流体接続された酸化剤入口チャネル;及び酸化剤が酸化剤入口チャネルから流出した後の酸化剤の緩衝及び拡散のための空間を提供する拡散/緩衝室であって酸化剤配送部品へ接続された拡散/緩衝室を含み、複数のスルーホールが、拡散/緩衝室に隣接した酸化剤入口チャネルの壁上に設けられる。ガス分配部品は、処理するのが容易であり、複雑な弁構造を構成する必要が無いので、製造費用を大幅に低減し、また使用及び維持するのに便利な効果を実現し、上流のガス源の圧力値要件を低減し、そして燃焼効果などへのガス源変動の影響を低減する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナのガス分配部品であって、前記ガス分配部品は:
酸化剤流を前記バーナ中へ導入するための酸化剤入口;
前記酸化剤入口と流体接続された酸化剤入口チャネル;及び
前記酸化剤が前記酸化剤入口チャネルから流出した後の前記酸化剤の拡散のための空間を提供する拡散/緩衝室であって酸化剤配送部品へ接続された拡散/緩衝室を含み、複数のスルーホールが前記拡散/緩衝室に隣接した前記酸化剤入口チャネルの壁上に設けられる、ことを特徴とするガス分配部品。
【請求項2】
前記拡散/緩衝室の実際に使用可能な酸化剤流の合計面積と前記拡散/緩衝室の全容積との比が緩衝比係数として設定され、前記緩衝比係数は10%~40%m2/m3の範囲内にある、ことを特徴とする請求項1に記載のガス分配部品。
【請求項3】
前記緩衝比率係数は15%~35%m2/m3の範囲内にあることを特徴とする請求項2に記載のガス分配部品。
【請求項4】
前記緩衝比率係数は20%~30%m2/m3の範囲内にあることを特徴とする請求項2に記載のガス分配部品。
【請求項5】
前記酸化剤配送部品の入口を部分的に阻止するバッフルが前記拡散/緩衝室と各酸化剤配送部品との接合点に設けられ得ることを特徴とする請求項1に記載のガス分配部品。
【請求項6】
前記複数のスルーホールの径は非一様的に分散されることを特徴とする請求項1に記載のガス分配部品。
【請求項7】
前記複数のスルーホールは、中央のスルーホールがより小さな径のものである一方で周辺のスルーホールはより大きな径のものであるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のガス分配部品。
【請求項8】
前記バーナは燃料入口を備え、そして前記酸化剤入口は燃料入口と連通していないことを特徴とする請求項1に記載のガス分配部品。
【請求項9】
前記酸化剤配送部品は一次酸化剤燃料配送部品、二次酸化剤配送部品及び三次酸化剤配送部品を含み;前記二次酸化剤配送部品及び前記三次酸化剤配送部品は前記酸化剤燃料配送部品の同じ側に配置され、前記二次酸化剤配送部品は前記三次酸化剤配送部品と前記一次酸化剤燃料配送部品との間に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のガス分配部品。
【請求項10】
前記一次酸化剤燃料配送部品は:
燃料が貫流する少なくとも1つの燃料供給チャネルであって、その一端が燃料ノズルを備えた少なくとも1つの燃料供給チャネル;
一次酸化剤が貫流する少なくとも1つの一次酸化剤供給チャネルであって、前記燃料供給チャネルの外壁を囲むように構築され、前記一次酸化剤供給チャネルの一端が前記燃料ノズルを囲む環状ノズルを備えた一次酸化剤供給チャネル;
二次酸化剤が貫流する少なくとも1つの二次酸化剤供給チャネルを含む前記二次酸化剤配送部品であって、少なくとも1つの二次酸化剤供給チャネルの一端が二次酸化剤ノズルを備えた前記二次酸化剤配送部品;及び
三次酸化剤が貫流する少なくとも1つの三次酸化剤供給チャネルを含む前記三次酸化剤配送部品であって、少なくとも1つの三次酸化剤供給チャネルの一端が三次酸化剤ノズルを備えた前記三次酸化剤配送部品を含むことを特徴とする請求項9に記載のガス分配部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願はバーナ用のガス分配部品に関する。具体的には、本出願は反応流体をバーナへ分配するためのガス分配部品に関する。
【背景技術】
【0002】
冶金又はガラス産業溶解炉において、酸素/燃料燃焼は、従来の空気燃焼より低い投資費用、高い燃焼効率、低いNOx排出量及び高い製品品質を有する。
【0003】
従来技術では、共通ステージ型酸素/燃料バーナは少なくとも1つの燃料チャネル及び少なくとも1つの酸化剤チャネルを有する。酸素ステージ化により、酸素の一部は方向転換され得、これにより燃焼を遅延する。バーナのノズル端はほぼ平らな燃料豊富(fuel-rich)炎を生成し、そして、ステージ型ノズルは酸化剤の一部を燃料豊富炎の上又は下から導入し、従って燃料希薄(fuel-lean)炎を生成する。
【0004】
(特許文献1)は、再生式ガラス溶融炉の同期型酸素/燃料増強のためのシステムを開示し;当該システムの第1の二段式燃料バーナは、一次酸素とステージ化済み酸素との間の酸素の流れを割り当てるための一次酸素弁と、上側ステージ化ポートと下側ステージ化ポートとの間のステージ化済み酸素の流れを割り当てるためのステージ化モード弁とを有する。ステージ化酸素は、ステージ化モード弁を介し一次前燃焼器に隣接した上側ステージ化ポート又は下側ステージ化ポートのいずれか又は両方を介し指向的に制御及び調和され得る。このようなステージ化モード弁は多くの利点を提供し得るが、実際のアプリケーションにおいて問題(具体的には、高い処理困難性及び高い処理費用)を有する。特に、ステージ化流量が頻繁な規制を必要としないいくつかの動作条件では、このような複雑な調整弁を構成する必要性が無い。
【0005】
上記論述に基づき、上述の欠点を克服するためにより容易に処理され得るより安定したガス分配部品の市場における必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許公報第CN114667412A号明細書
【特許文献2】中国特許出願第CN202080084376.9号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、上に述べられた従来技術における技術的問題を、主に酸化剤を多段バーナ内へ導入する目的のために処理し調節するのが容易でありそして低製造費用を有するガス分配部品を提供することにより解決することを望む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本出願の第1の態様では、バーナ用のガス分配部品が提供される。ガス分配部品は、
酸化剤流をバーナ中へ導入するための酸化剤入口;
酸化剤入口と流体接続された酸化剤入口チャネル;及び
酸化剤が酸化剤入口チャネルから流出した後の酸化剤の拡散のための空間を提供する拡散/緩衝室であって酸化剤配送部品へ接続された拡散/緩衝室を含み、ここでは、複数のスルーホールが、拡散/緩衝室に隣接した酸化剤入口チャネルの壁上に設けられる。
【0009】
更に、拡散/緩衝室の実際に使用可能な酸化剤流の合計面積と拡散/緩衝室の全容積との比が緩衝比係数として設定され、この比は5%~50%m2/m3、好適には10%~40%m2/m3、より好適には15%~35%m2/m3、そしてより好適には20%~30%m2/m3の範囲内にある。実際に使用可能な酸化剤流の合計面積は、拡散/緩衝室により酸化剤配送部品へ運ばれる実効酸化剤流の通路の面積である。この係数を設定する目的は、低吸気圧条件に適応するために酸化剤の流速を制御しそして緩衝効果を実現することである。
【0010】
更に、酸化剤配送部品の入口を部分的に阻止するバッフルが拡散/緩衝室と各酸化剤配送部品との接合点に設けられ得る。これらのバッフルは、各酸化剤配送部品へ運ばれる酸化剤の流量を、酸化剤分配比を調節するように制限し得る。
【0011】
更に、複数のスルーホールの径は非一様的に分散される。
【0012】
更に、複数のスルーホールは、中央のスルーホールがより小さな径のものである一方で周辺のスルーホールはより大きな径のものであるように構成される。中央のスルーホールは酸化剤入口からより短い距離におけるスルーホールである。
【0013】
更に、バーナは燃料入口を備え、そして酸化剤入口は燃料入口と連通していない。すなわち、燃料と酸化剤とを混合するためのいかなる構造も設けられない。
【0014】
更に、酸化剤配送部品は一次酸化剤燃料配送部品、二次酸化剤配送部品及び三次酸化剤配送部品を含み;
二次酸化剤配送部品及び三次酸化剤配送部品は一次酸化剤燃料配送部品の同じ側に配置され、そして二次酸化剤配送部品は三次酸化剤配送部品と一次酸化剤燃料配送部品との間に配置される。
【0015】
更に、一次酸化剤燃料配送部品は:
燃料が貫流する少なくとも1つの燃料供給チャネルであって、その一端が燃料ノズルを備えた少なくとも1つの燃料供給チャネル;
一次酸化剤が貫流する少なくとも1つの一次酸化剤供給チャネルであって、燃料供給チャネルの外壁を囲むように構築され、そして一次酸化剤供給チャネルの一端が燃料ノズルを囲む環状ノズルを備えた一次酸化剤供給チャネル;
二次酸化剤が貫流する少なくとも1つの二次酸化剤供給チャネルを含む二次酸化剤配送部品であって、少なくとも1つの二次酸化剤供給チャネルの一端が二次酸化剤ノズルを備えた二次酸化剤配送部品;及び
三次酸化剤が貫流する少なくとも1つの三次酸化剤供給チャネルを含む三次酸化剤配送部品であって、少なくとも1つの三次酸化剤供給チャネルの一端が三次酸化剤ノズルを備えた三次酸化剤配送部品を含む。
【0016】
本出願において提供されるガス分配部品は以下の利点を有する:
1.ガス分配部品は処理するのが容易であり、複雑な弁構造を構成する必要が無いので、処理及び製造費用が大幅に低減される。
2.酸化剤入口チャネル及び拡散/緩衝室の構成は、酸化剤が酸化剤配送部品に流れ込む前に酸化剤の完全拡散を強化し、酸化剤の流速を効果的に低減し、従ってこのステージにおける酸化剤の圧力損失を著しく低減する。現在一般的に見られる既存純酸素バーナではこの処理工程における酸化剤の圧力損失は約5KPa~20KPaである一方でこの処理工程における圧力損失は本出願では1KPa未満である。従って、上流酸素源の圧力要求は大幅に低減され得る;例えば、現場酸素製造のためのVSA装置の場合、加圧ポンプの負荷が低減され得る又は加圧ポンプを設ける必要が無い。
3.複数のスルーホールの径は非一様的に分散されるように構成され;流速は、酸化剤入口からより短い距離に在るスルーホール(すなわち中央のスルーホール)においてより速いので、面上の様々な位置における酸化剤流速はより良く割り当てられ得;安定した酸化剤流速は下流の炎安定性にとって好都合である。
4.ガス分配部品はより広い範囲の酸化剤分散調節を有する;様々な段階の酸化剤供給チャネル間の酸化剤の分散は大きな範囲を介し調節され得る。(一例として、二次酸化剤分配比の調節の範囲は全酸化剤の1%~80%に達し得る。この性質は、様々なタイプの燃料の変更(例えば、天然ガスから水素へ、バイオマスガスへ、又は天然ガスと水素の混合燃料への切り替え)への、及び酸化剤特性又はその変種の変化(例えば、酸素温度の変化(室温から摂氏約500度までの予熱されること;又は酸素の酸素純度の変化)への適応を可能にする。必要とされる燃焼効果は条件の上述の主要変化が発生する場合に依然として実現され得る。
【0017】
本出願の利点及び精神は本出願及び添付図面の以下の詳細説明から更に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、バーナのガス分配部品の3D略図を示す。
【
図2】
図2は、酸化剤入口及び酸化剤入口チャネルの略図を示す。
【
図3】
図3は、ガス分配部品と酸化剤配送部品の入口との略図を示す。
【
図5a-5b】
図5a-5bは、拡散/緩衝室と酸化剤配送部品の接合点におけるバッフルの略図を示し、
図5bは方向C-Cにおける
図5aの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面へのキー:酸化剤入口チャネル-101、酸化剤入口-102、拡散/緩衝室の外壁-103、燃料入口チャネル-104、燃料入口-105、酸化剤供給導管-106、フローガイド隔壁-201、ボルト-301、一次酸化剤燃料配送部品-302、二次酸化剤配送部品-303、三次酸化剤配送部品-304、拡散/緩衝室-401、バッフル-501。
【0020】
本出願の技術的解決策が以下の添付図面を参照して明確且つ完全に説明される。明らかに、説明される実施形態は本出願の実施形態の一部であってすべてではない。本出願の実施形態に基づき、創造的努力無く当業者により取得されるすべての他の実施形態は本出願の保護の範囲内に入るものとする。
【0021】
本出願の明細書では、以下のことが説明されなければならない:「上側」、「下側」、「左」、「右」、「垂直方向」、「水平方向」、「内側」、及び「外側」などの用語により指示される方位的又は位置的関係は、添付図面において示される方位的又は位置的関係に基づいており、そして「参照されるデバイス又は要素が特定方位を有しなければならない又は特定方位で構築又は操作されなければならない」ということを指示又は暗示することなく本出願の説明を容易にするように意図された単純化された説明に過ぎなく、従って本出願の制限と解釈されてはならない。加えて、用語「第1」、「第2」、及び「第3」は記述的目的だけを果たしており、従って相対的重要度を指示又は暗示するものと解釈されてはならない。
【0022】
本出願の明細書では、別途明確に言明又は定義されない限り以下のことが説明されなければならない:用語「取付けられた」、「一緒に接続された」及び「接続された」は広い意味で解釈されるべきである;例えば、これらは、固定的に接続されるということを意味する可能性があるが、また着脱可能に接続される又は一体的に接続されるということを意味する可能性がある;これらは機械的に接続されるということを意味する可能性がある;これらは一緒に直接的に接続されるということを意味する可能性があるが、また中央媒質を介し一緒に間接的に接続されるということを意味する可能性がある;そして、これらは2つの要素間の内的連通を意味する可能性がある。当業者は、特定状況に従って本出願における上記用語の特定意味を解釈し得る。
【0023】
別途明確に指示されない限り、本明細書において定義される各態様又は実施形態は任意の他の態様又は実施形態と組み合わせられ得る。特に、指示される任意の好ましい又は有利な特徴は指示される任意の他の好ましい又は有利な特徴と組み合わせられ得る。
【0024】
本明細書で使用されるように、表現「の周囲に」又は「を囲む」は、環状形状が形成されるということを本質的に意味し、「内側リングは一定の間隙が内側層と外側層との間に存在するように外側リング内に囲まれる」ということを実質的に意味する。この間隙は環状間隙であってもよいし非環状間隙であってもよい。本明細書で使用されるように、これは、一次酸化剤供給チャネルが燃料供給チャネルの周辺の一部(例えば1/2超)を囲む又は一次酸化剤供給チャネルが燃料供給チャネルの全周囲を囲むということを意味する。後者のケースは、一次酸化剤供給チャネルが円周方向において燃料供給チャネルの周囲を完全に囲むように配置されるということを意味するものと解釈され得る。燃料ノズル及び環状ノズルの設計は同様なやり方で理解され得る。
【0025】
本明細書で使用されるように、表現「ステージ化」は、燃料と酸化剤とを異なる時にそして異なる位置において混合させこれにより低窒素酸化物排出と溶融物質表面近くのガス雰囲気の制御とを実現することを可能にするということを意味する。ステージ化の意味は、酸化剤が、燃料ノズルから離間された別のノズルを介し異なる比率又は流速で供給され得るということである。例えば、二次酸化剤及び三次酸化剤のステージ化が95%である場合、これは、酸化剤の残りの5%が一次酸化剤燃料配送部品へ燃料と共に供給されるということを意味する。
【0026】
本明細書で使用されるように、表現「燃料」は、互いの代わりに使用され得る又は組み合わせで使用され得る気体燃料、液体燃料又は固体燃料を意味する。気体燃料は、天然ガス(主としてメタン)、プロパン、水素又は任意の他の炭化水素化合物、及び/又は硫黄含有化合物であり得る。固体又は液体燃料は主として、炭素含有及び/又は炭化水素及び/又は硫黄含有形式のいずれかの化合物であり得る。固体燃料は石油コークス、石炭粉末、バイオマス粒子又は別の化石燃料から選択され得、そして固体燃料は通常、配送のための配送風を形成するために搬送気体(空気又は二酸化炭素など)を必要とする。液体燃料は液化炭化水素又はコールタールから選択され得る。当業者は、必要に応じ気体、液体又は固体燃料が導入されるやり方を判断し得る。この点に関していかなる制限も課すことは本発明の意図ではない。本明細書に提示されるデータのうちのいくつかは燃料として天然ガスを使用するが、その結果は他の燃料(例えば水素、他の気体燃料)にとって好適であると考えられる。
【0027】
本明細書で使用されるように、表現「酸化剤」は空気又は酸素豊富空気などの酸化剤で構成され得る。酸化剤は、少なくとも50%、好適には少なくとも80%、より好適には少なくとも90%そして最も好適には少なくとも95%のモル酸素濃度を有する酸化剤で構成されることが好ましい。これらの酸化剤は、容量で少なくとも50%の酸素(低温空気分離プラントにより生成される99.5%純酸素など)、又は真空圧スイング吸着プロセスにより生成される非純粋酸素(容量で88%以上)、又は任意の他のソースにより生成される酸素を含む酸素豊富空気を含む。
【0028】
本明細書における酸素含有燃料の使用は、溶融操作における窒素を削減し、そしてNOx及び粒子排出を標準規格未満まで低減し得る。酸素/燃料バーナの使用は、様々な炎運動量、溶融カバレッジ率及び炎放射特性を実現し得る。燃焼室では、窒素の主ソースは、空気漏れ、真空圧スイング吸着又は圧力スイング吸着装置から供給される低純度酸素、燃料(例えば天然ガス)中の窒素、又は加熱処理炉内に詰められた溶解原材料中に含まれる窒素である。
【0029】
本明細書で使用されるように、燃料供給チャネル、一次酸化剤供給チャネル、二次酸化剤供給チャネル及び三次酸化剤供給チャネルは、略環状チャネルであり得、そして入口及び出口領域を有し得る。軸流方向に対し垂直な面の断面から見ると、略環状チャネルの各々は環状であることが好適であるが、この形状は非環状であってもよい。
【0030】
(特許文献2)は燃料燃焼のためのバーナとその燃焼方法とを開示しており、その開示内容及びその全体を本明細書に援用する。
【0031】
図1は、バーナのガス分配部品の3D略図を示す。酸化剤は酸化剤入口102を介し酸化剤入口チャネル101に入る。
図1、4に示すように、スルーホール305が拡散/緩衝室に隣接した酸化剤入口チャネル101の壁上に設けられ;酸化剤はこれらのスルーホール305を通って拡散/緩衝室401へ分散される。拡散/緩衝室401の外壁103は拡散/緩衝室へ着脱可能に接続される。一例として、ボルト301が接続のために使用され得る。着脱可能接続は、オペレータがバーナの部品を迅速に洗浄することを可能にし、従って、「塵により引き起こされる遮断をクリアするためにバーナ全体の部品が分解する必要がある」などの従来技術における問題を克服する。
【0032】
拡散/緩衝室から流出する酸化剤は各酸化剤配送部品へ誘導される。いくつかの例示的説明では、スルーホールは一様に分散され得る。いくつかの例示的説明では、スルーホールは、中央のスルーホールが小さい径のものである一方でその周縁におけるスルーホールは大きな径のものであるように分散され得る。このような分散は、酸化剤循環断面全体の単位面積当たりの拡散/緩衝室から流出する酸化剤がより均一となるように酸化剤が周辺のスルーホールを介し貫流する実効面積を増加し得、従って、酸化剤配送部品における酸化剤の分散がより均一となることと炎がより安定となることとを保証する。
【0033】
独立緩衝タンクが従来技術におけるバーナにおいてセットアップされ得るが、独立緩衝タンクはしばしば、緩衝タンクの下流に位置するバーナから極めて遠いので、緩衝タンクの緩衝/平滑化効果が弱められる。更に、複数のバーナを緩衝タンクの下流に接続する必要性に起因して、各緩衝タンクに対する緩衝効果は異なり、バーナの位置とパイプラインレイアウトとにより影響される。上述の拡散/緩衝室の構成は酸化剤流に対する緩衝効果を保証し得る。
【0034】
一例として、
図2に示すように、複数のフローガイド隔壁201が酸化剤入口チャネル101内に配置される。フローガイド隔壁201は酸化剤入口の中心軸の方向に対しほぼ平行に配向される。フローガイド隔壁は酸化剤を誘導し入口チャネル内に向け得る。
【0035】
図3に示すように、酸化剤配送部品は一次酸化剤燃料配送部品302、二次酸化剤配送部品303及び三次酸化剤配送部品304を含む。二次酸化剤配送部品及び三次酸化剤配送部品は一次酸化剤燃料配送部品の同じ側に配置され、二次酸化剤配送部品は三次酸化剤配送部品と一次酸化剤燃料配送部品との間に配置される。これに応じて、酸化剤入口は主入口と等価であり、酸化剤を一次酸化剤燃料配送部品302、二次酸化剤配送部品303及び三次酸化剤配送部品304へ別々に配送する。
【0036】
燃料は燃料入口105を介し燃料入口チャネル104へ配送され、そして、次に、燃料入口チャネルは燃料流を燃料供給チャネルへ運ぶ。一次酸化剤流の一次酸化剤供給チャネルは、燃料供給チャネルの外壁を囲み得、そして燃料供給チャネルと同軸である。
【0037】
燃料供給チャネルは好適な材料(例えば、高温耐性金属又はセラミック)で形成された燃料導管であり得る。燃料導管の開始端は、ガス分配部品全体へ着脱可能に接続されるが、またそれと一体的に形成される可能性がある。燃料導管の出口端は燃料ノズルへ接続される。酸化剤供給チャネルは特殊材料(例えば高温耐性金属又はセラミック)で形成された酸化剤供給導管であり得るが、また、バーナブロック内に形成された形状適合室又はチャネルである可能性がある。一例として、二次酸化剤配送部品303は3本の酸化剤供給導管106を含む。
【0038】
全酸化剤は次の3つのストリームへ分割され得る:一次酸化剤ストリーム、二次酸化剤ストリーム及び三次酸化剤ストリーム。一次酸化剤ストリームは燃料ノズルを囲み、そして、その体積流量は、全酸化剤のうちの非常に小さな割合(好適には20%未満若しくは10%未満又は5%若しくは約2%~5%未満)を占める。残りの酸化剤は二次酸化剤ストリーム及び三次酸化剤ストリームとして使用される。これはそれぞれ、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は更には少なくとも70%の好ましいステージ化割合に等価となる。これは、十分な量の酸化剤が、二次酸化剤供給チャネル又は三次酸化剤供給チャネルを貫流する、又はステージ化の目的のために2つの供給チャネル間で分散されるということを意味する。これは、NOxの生成を低減するだけでなくまた、加熱される材料の溶融面の近くのガス雰囲気を制御するための容量を著しく増加させる。処理状況に従って酸化又は還元を選択的に行うように、溶融面に近い大気を制御することができるために、バーナの動作が好都合に切り替えられ得るということが望ましい。この目的のため、一次酸化剤供給チャネル、二次酸化剤供給チャネル及び三次酸化剤供給チャネル内の酸化剤流量が酸化剤ステージ化制御機構により独立に制御され得る。
【0039】
一次酸化剤ストリームが零であるということは理想的ではないということが指摘されるべきである;これは、一次酸化剤供給チャネル内の空隙又は真空を生じることになり、高温腐食性炉ガスが吸引されるようにし、バーナを非常に速く破壊しそして炎不安定性を引き起こすことになる。加えて、一次酸化剤ストリームが非常に小さければ、炎安定性もまた低下することになり;そして気体燃料と酸化剤との混合の状態は悪化することになり、実用の炎を実現することを難しくする。いくつかの状況では、二次酸化剤ストリーム又は三次酸化剤ストリームは零に近くてもよく;この場合、バーナは、二段階バーナに実質的に近付く又はそれに等価であり、そして、対応燃焼効果及び特徴は当業者の知識に従って予測及び調節され得る。
【0040】
本出願の技術的解決策は、操作、処理及び製造の便宜のために弁などの複雑な設計を省略するが、それにもかかわらず各酸化剤配送部品内への流量を調節するための簡単な調整機構を提供する。
図5a及び5bに示すように、方向C-Cにおける断面図は、バッフル501が拡散/緩衝室と各酸化剤配送部品との接合点に設けられ得るということを示す。バッフルは、酸化剤配送部品の入口を必要に応じ阻止し得、これにより、各酸化剤配送部品へ運ばれる酸化剤の流量を制限する。
【0041】
従来技術は、例えば酸素ステージ化弁などを提供することにより、酸化剤流のステージ化割合を調節する多種多様なより精密な方法を含む。しかし、弁は、より高い処理及び製造費用を有し、そしてまた、酸化剤入口チャネル内のより大きな空間を占めるので、逆に、より速く且つより便利なステージ化制御を要求するシナリオにおける使用には不適である。
【0042】
本出願の内容は好ましい実施形態を介し詳細に上に提示されたが、上記説明は本出願を制限するものと見なされるべきでないということが理解されるべきである。当業者は、上記内容を読んだ後本出願に対する様々な修正及び置換を理解することになる。従って、本出願の保護の範囲は添付特許請求の範囲により定義されるものとする。
【符号の説明】
【0043】
101 酸素剤入口チャネル
102 酸素剤入口
103 拡散/緩衝室の外壁
104 燃料入口チャネル
105 燃料入口
106 酸化剤供給導管
201 フローガイド隔壁
301 ボルト
302 一次酸化剤燃料配送部品
303 二次酸化剤燃料配送部品
304 三次酸化剤燃料配送部品
401 拡散/緩衝室
505 バッフル
【手続補正書】
【提出日】2024-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナのガス分配部品であって、前記ガス分配部品は:
酸化剤流を前記バーナ中へ導入するための酸化剤入口(102);
前記酸化剤入口と流体接続された酸化剤入口チャネル(101);及び
前記酸化剤が前記酸化剤入口チャネル(101)から流出した後の前記酸化剤の拡散のための空間を提供する拡散/緩衝室(401)であって酸化剤配送部品(302,303,304)へ接続された拡散/緩衝室(401)を含み、複数のスルーホール(305)が前記拡散/緩衝室(401)に隣接した前記酸化剤入口チャネル(101)の壁に設けられる、ことを特徴とするガス分配部品。
【請求項2】
(a)前記拡散/緩衝室(401)から前記酸化剤配送部品(302,303,304)までの酸化剤の全有効流量断面積と(b)前記拡散/緩衝室(401)の全容積との比が緩衝比率係数として設定され、前記緩衝比率係数は10%~40%m2/m3の範囲内にある、ことを特徴とする請求項1に記載のガス分配部品。
【請求項3】
前記緩衝比率係数は15%~35%m2/m3の範囲内にあることを特徴とする請求項2に記載のガス分配部品。
【請求項4】
前記緩衝比率係数は20%~30%m2/m3の範囲内にあることを特徴とする請求項3に記載のガス分配部品。
【請求項5】
前記酸化剤配送部品(302,303,304)の酸化剤入口を部分的に阻止するバッフル(501)が前記拡散/緩衝室(401)と各酸化剤配送部品(302,303,304)との接合点に設けられることを特徴とする請求項1に記載のガス分配部品。
【請求項6】
前記複数のスルーホール(305)の径は非一様的に分散されることを特徴とする請求項1に記載のガス分配部品。
【請求項7】
前記複数のスルーホール(305)は、中央のスルーホール(305)がより小さな径のものである一方で周辺のスルーホール(305)はより大きな径のものであるように構成されることを特徴とする請求項6に記載のガス分配部品。
【請求項8】
前記ガス分配部品は燃料入口(105)を備え、前記酸化剤入口(102)は燃料入口(105)と連通していないことを特徴とする請求項1に記載のガス分配部品。
【請求項9】
前記酸化剤配送部品(302,303,304)は一次酸化剤燃料配送部品(302)、二次酸化剤配送部品(303)及び三次酸化剤配送部品(304)を含み;前記二次酸化剤配送部品(303)及び前記三次酸化剤配送部品(304)は前記一次酸化剤燃料配送部品(302)の同じ側に配置され、前記二次酸化剤配送部品(303)は前記三次酸化剤配送部品(304)と前記一次酸化剤燃料配送部品(302)との間に配置される、ことを特徴とする請求項8に記載のガス分配部品。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のガス分配部品を含むことを特徴とする多段バーナ。
【請求項11】
前記一次酸化剤燃料配送部品(302)は:
燃料が貫流する少なくとも1つの燃料供給チャネルであって、その一端が燃料ノズルを備えた少なくとも1つの燃料供給チャネル;及び
一次酸化剤が貫流する少なくとも1つの一次酸化剤供給チャネルであって、前記燃料供給チャネルの外壁を囲むように構築され、前記一次酸化剤供給チャネルの一端が前記燃料ノズルを囲む環状ノズルを備えた一次酸化剤供給チャネル;を備え、
前記二次酸化剤配送部品(303)は、二次酸化剤が貫流する少なくとも1つの二次酸化剤供給チャネルを含み、前記少なくとも1つの二次酸化剤供給チャネルの一端が二次酸化剤ノズルを備え;
前記三次酸化剤配送部品(304)は、三次酸化剤が貫流する少なくとも1つの三次酸化剤供給チャネルを含み、前記少なくとも1つの三次酸化剤供給チャネルの一端が三次酸化剤ノズルを備えたことを特徴とする請求項9に記載のガス分配部品を含む請求項10に記載された多段バーナ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願はバーナ用のガス分配部品に関する。具体的には、本出願は反応流体をバーナへ分配するためのガス分配部品に関する。
【背景技術】
【0002】
冶金又はガラス産業溶解炉において、酸素/燃料燃焼は、従来の空気燃焼より低い投資費用、高い燃焼効率、低いNOx排出量及び高い製品品質を有する。
【0003】
従来技術では、共通ステージ型酸素/燃料バーナは少なくとも1つの燃料チャネル及び少なくとも1つの酸化剤チャネルを有する。酸素ステージ化により、酸素の一部は方向転換され得、これにより燃焼を遅延する。バーナのノズル端はほぼ平らな燃料豊富(fuel-rich)炎を生成し、そして、ステージ型ノズルは酸化剤の一部を燃料豊富炎の上又は下から導入し、従って燃料希薄(fuel-lean)炎を生成する。
【0004】
(特許文献1)は、再生式ガラス溶融炉の同期型酸素/燃料増強のためのシステムを開示し;当該システムの第1の二段式燃料バーナは、一次酸素とステージ化済み酸素との間の酸素の流れを割り当てるための一次酸素弁と、上側ステージ化ポートと下側ステージ化ポートとの間のステージ化済み酸素の流れを割り当てるためのステージ化モード弁とを有する。ステージ化酸素は、ステージ化モード弁を介し一次前燃焼器に隣接した上側ステージ化ポート又は下側ステージ化ポートのいずれか又は両方を介し指向的に制御及び調和され得る。このようなステージ化モード弁は多くの利点を提供し得るが、実際のアプリケーションにおいて問題(具体的には、高い操作困難性及び高い操作費用)を有する。特に、ステージ化流量が頻繁な規制を必要としないいくつかの動作条件では、このような複雑な調整弁を構成する必要性が無い。
【0005】
上記論述に基づき、上述の欠点を克服するためにより容易に操作され得るより安定したガス分配部品の市場における必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許公報第CN114667412A号明細書
【特許文献2】中国特許出願第CN202080084376.9号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、上に述べられた従来技術における技術的問題を、主に酸化剤を多段バーナ内へ導入する目的のために操作し調節するのが容易でありそして低製造費用を有するガス分配部品を提供することにより解決することを望む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本出願の第1の態様では、バーナ用のガス分配部品が提供される。ガス分配部品は、
酸化剤流をバーナ中へ導入するための酸化剤入口;
酸化剤入口と流体接続された酸化剤入口チャネル;及び
酸化剤が酸化剤入口チャネルから流出した後の酸化剤の拡散のための空間を提供する拡散/緩衝室であって酸化剤配送部品へ接続された拡散/緩衝室を含み、ここでは、複数のスルーホールが、拡散/緩衝室に隣接した酸化剤入口チャネルの壁上に設けられる。
【0009】
(a)拡散/緩衝室から前記酸化剤配送部品までの酸化剤の全有効流量断面積と(b)拡散/緩衝室の全容積との比が緩衝比率係数として設定され、この比は5%~50%m2/m3、好適には10%~40%m2/m3、より好適には15%~35%m2/m3、そしてより好適には20%~30%m2/m3の範囲内にある。この係数を設定する目的は、低吸気圧条件に適応するために酸化剤の流速を制御しそして緩衝効果を実現することである。
【0010】
更に、酸化剤配送部品の入口を部分的に阻止するバッフルが拡散/緩衝室と各酸化剤配送部品との接合点に設けられ得る。これらのバッフルは、各酸化剤配送部品へ運ばれる酸化剤の流量を、酸化剤分配比を調節するように制限し得る。
【0011】
更に、複数のスルーホールの径は非一様的に分散される。
【0012】
更に、複数のスルーホールは、中央のスルーホールがより小さな径のものである一方で周辺のスルーホールはより大きな径のものであるように構成される。中央のスルーホールは酸化剤入口からより短い距離におけるスルーホールである。
【0013】
本発明は、また、このようなガス分配部品を含むバーナに関する。
【0014】
更に、ガス分配部品/バーナは燃料入口を備え、そして酸化剤入口は燃料入口と連通していない。すなわち、燃料と酸化剤とを混合するためのいかなる構造も設けられておらず、対応するバーナは、非予混合バーナとして当該技術分野で知られている。
【0015】
更に、酸化剤配送部品は一次酸化剤燃料配送部品、二次酸化剤配送部品及び三次酸化剤配送部品を含んでもよく;
二次酸化剤配送部品及び三次酸化剤配送部品は一次酸化剤燃料配送部品の同じ側に配置され、そして二次酸化剤配送部品は三次酸化剤配送部品と一次酸化剤燃料配送部品との間に配置される。したがって、対応するバーナは、多段バーナである。
【0016】
更に、一次酸化剤燃料配送部品は:
燃料が貫流する少なくとも1つの燃料供給チャネルであって、その一端が燃料ノズルを備えた少なくとも1つの燃料供給チャネル;
一次酸化剤が貫流する少なくとも1つの一次酸化剤供給チャネルであって、燃料供給チャネルの外壁を囲むように構築され、そして一次酸化剤供給チャネルの一端が燃料ノズルを囲む環状ノズルを備えた一次酸化剤供給チャネルを含でもよい。
【0017】
二次酸化剤配送部品は、二次酸化剤が貫流する少なくとも1つの二次酸化剤供給チャネルを含み、少なくとも1つの二次酸化剤供給チャネルの一端が二次酸化剤ノズルを備えている。
【0018】
三次酸化剤配送部品は、三次酸化剤が貫流する少なくとも1つの三次酸化剤供給チャネルを含み、少なくとも1つの三次酸化剤供給チャネルの一端が三次酸化剤ノズルを備えている。
【0019】
本発明は、また、特に炉内での溶融操作において、燃料と酸化剤との燃焼のための多段バーナの使用に関する。
【0020】
このような使用中、総酸化剤は、一次酸化剤と二次酸化剤及び/又は三次酸化剤とに分割されることが有利であり、一次酸化剤は、総酸化剤の0%超20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは2%~5%を占める。
【0021】
好ましい実施形態によれば、酸化剤は酸素である。
【0022】
本出願において提供されるガス分配部品は以下の利点を有する:
1.ガス分配部品は操作するのが容易であり、複雑な弁構造を構成する必要が無いので、操作及び製造費用が大幅に低減される。
2.酸化剤入口チャネル及び拡散/緩衝室の構成は、酸化剤が酸化剤配送部品に流れ込む前に酸化剤の完全拡散を強化し、酸化剤の流速を効果的に低減し、従ってこのステージにおける酸化剤の圧力損失を著しく低減する。現在一般的に見られる既存純酸素バーナではこの処理工程における酸化剤の圧力損失は約5KPa~20KPaである一方でこの処理工程における圧力損失は本出願では1KPa未満である。従って、上流酸素源の圧力要求は大幅に低減され得る;例えば、現場酸素製造のためのVSA装置の場合、加圧ポンプの負荷が低減され得る又は加圧ポンプを設ける必要が無い。
3.複数のスルーホールの径は非一様的に分散されるように構成され;流速は、酸化剤入口からより短い距離に在るスルーホール(すなわち中央のスルーホール)においてより速いので、面上の様々な位置における酸化剤流速はより良く割り当てられ得;安定した酸化剤流速は下流の炎安定性にとって好都合である。
4.ガス分配部品はより広い範囲の酸化剤分散調節を有する;様々な段階の酸化剤供給チャネル間の酸化剤の分散は大きな範囲に渡って調節され得る。(例えば、二次酸化剤分配比の調節の範囲は全酸化剤の1%~80%に達し得る。この性質は、様々なタイプの燃料の変更(例えば、天然ガスから水素へ、バイオマスガスへ、又は天然ガスと水素の混合燃料への切り替え)への、及び酸化剤特性又はその変種の変化(例えば、酸素温度の変化(室温から摂氏約500度までの予熱されること;又は酸素の酸素純度の変化)への適応を可能にする。必要とされる燃焼効果は条件の上述の主要変化が発生する場合に依然として実現され得る。
【0023】
本出願の利点及び精神は本出願及び添付図面の以下の詳細説明から更に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】バーナのガス分配部品の3D
概略遠近法背面図を示す。
【
図2】酸化剤入口及び酸化剤入口チャネルの
概略遠近法図を示す。
【
図3】ガス分配部品と酸化剤配送部品の入口との
概略遠近法正面図を示す。
【
図4】
その着脱可能外側壁を有しない拡散/緩衝室の
概略遠近法背面図を示す。
【
図5b】拡散/緩衝室と酸化剤配送部品の接合点におけるバッフル
を備えた拡散/緩衝室の略図を示し、
図5bは方向C-Cにおける
図5aの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図面へのキー:酸化剤入口チャネル-101、酸化剤入口-102、拡散/緩衝室の外壁-103、燃料入口チャネル-104、燃料入口-105、酸化剤供給導管-106、フローガイド隔壁-201、ボルト-301、一次酸化剤燃料配送部品-302、二次酸化剤配送部品-303、三次酸化剤配送部品-304、スルーホール-305、拡散/緩衝室-401、バッフル-501。
【0026】
本出願の技術的解決策が以下の添付図面を参照して明確且つ完全に説明される。明らかに、説明される実施形態は本出願の実施形態の一部であってすべてではない。本出願の実施形態に基づき、創造的努力無く当業者により取得されるすべての他の実施形態は本出願の保護の範囲内に入るものとする。
【0027】
本出願の明細書では、以下のことが説明されなければならない:「上側」、「下側」、「左」、「右」、「垂直方向」、「水平方向」、「内側」、及び「外側」などの用語により指示される方位的又は位置的関係は、添付図面において示される方位的又は位置的関係に基づいており、そして「参照されるデバイス又は要素が特定方位を有しなければならない又は特定方位で構築又は操作されなければならない」ということを指示又は暗示することなく本出願の説明を容易にするように意図された単純化された説明に過ぎなく、従って本出願の制限と解釈されてはならない。加えて、用語「第1」、「第2」、及び「第3」は記述的目的だけを果たしており、従って相対的重要度を指示又は暗示するものと解釈されてはならない。
【0028】
本出願の明細書では、別途明確に言明又は定義されない限り以下のことが説明されなければならない:用語「取付けられた」、「一緒に接続された」及び「接続された」は広い意味で解釈されるべきである;例えば、これらは、固定的に接続されるということを意味する可能性があるが、また着脱可能に接続される又は一体的に接続されるということを意味する可能性がある;これらは機械的に接続されるということを意味する可能性がある;これらは一緒に直接的に接続されるということを意味する可能性があるが、また中央媒質を介し一緒に間接的に接続されるということを意味する可能性がある;そして、これらは2つの要素間の内的連通を意味する可能性がある。当業者は、特定状況に従って本出願における上記用語の特定意味を解釈し得る。
【0029】
別途明確に指示されない限り、本明細書において定義される各態様又は実施形態は任意の他の態様又は実施形態と組み合わせられ得る。特に、指示される任意の好ましい又は有利な特徴は指示される任意の他の好ましい又は有利な特徴と組み合わせられ得る。
【0030】
本明細書で使用されるように、表現「の周囲に」又は「を囲む」は、環状形状が形成されるということを本質的に意味し、「内側リングは一定の間隙が内側層と外側層との間に存在するように外側リング内に囲まれる」ということを実質的に意味する。この間隙は環状間隙であってもよいし非環状間隙であってもよい。本明細書で使用されるように、これは、一次酸化剤供給チャネルが燃料供給チャネルの周辺の一部(例えば1/2超)を囲む又は一次酸化剤供給チャネルが燃料供給チャネルの全周囲を囲むということを意味する。後者のケースは、一次酸化剤供給チャネルが円周方向において燃料供給チャネルの周囲を完全に囲むように配置されるということを意味するものと解釈され得る。燃料ノズル及び環状ノズルの設計は同様なやり方で理解され得る。
【0031】
本明細書で使用されるように、表現「ステージ化」は、燃料と酸化剤とを異なる時にそして異なる位置において混合させこれにより低窒素酸化物排出と溶融物質表面近くのガス雰囲気の制御とを実現することを可能にするということを意味する。ステージ化の意味は、酸化剤が、燃料ノズルから離間された別のノズルを介し異なる比率又は流速で供給され得るということである。例えば、二次酸化剤及び三次酸化剤のステージ化が95%である場合、これは、酸化剤の残りの5%が一次酸化剤燃料配送部品へ燃料と共に供給されるということを意味する。
【0032】
本明細書で使用されるように、表現「燃料」は、互いの代わりに使用され得る又は組み合わせで使用され得る気体燃料、液体燃料又は固体燃料を意味する。気体燃料は、天然ガス(主としてメタン)、プロパン、水素又は任意の他の炭化水素化合物、及び/又は硫黄含有化合物であり得る。固体又は液体燃料は主として、炭素含有及び/又は炭化水素及び/又は硫黄含有形式のいずれかの化合物であり得る。固体燃料は石油コークス、石炭粉末、バイオマス粒子又は別の化石燃料から選択され得、そして固体燃料は通常、配送のための配送風を形成するために搬送気体(空気又は二酸化炭素など)を必要とする。液体燃料は液化炭化水素又はコールタールから選択され得る。当業者は、必要に応じ気体、液体又は固体燃料が導入されるやり方を判断し得る。この点に関していかなる制限も課すことは本発明の意図ではない。本明細書に提示されるデータのうちのいくつかは燃料として天然ガスを使用するが、その結果は他の燃料(例えば水素、他の気体燃料)にとって好適であると考えられる。
【0033】
本明細書で使用されるように、表現「酸化剤」は空気又は酸素豊富空気などの酸化剤で構成され得る。酸化剤は、少なくとも50%、好適には少なくとも80%、より好適には少なくとも90%そして最も好適には少なくとも95%のモル酸素濃度を有する酸化剤で構成されることが好ましい。これらの酸化剤は、容量で少なくとも50%の酸素(低温空気分離プラントにより生成される99.5%純酸素など)、又は真空圧スイング吸着プロセスにより生成される非純粋酸素(容量で88%以上)、又は任意の他のソースにより生成される酸素を含む酸素豊富空気を含む。
【0034】
本明細書における酸素含有燃料の使用は、溶融操作における窒素を削減し、そしてNOx及び粒子排出を標準規格未満まで低減し得る。酸素/燃料バーナの使用は、様々な炎運動量、溶融カバレッジ率及び炎放射特性を実現し得る。燃焼室では、窒素の主ソースは、空気漏れ、真空圧スイング吸着又は圧力スイング吸着装置から供給される低純度酸素、燃料(例えば天然ガス)中の窒素、又は加熱処理炉内に詰められた溶解原材料中に含まれる窒素である。
【0035】
本明細書で使用されるように、燃料供給チャネル、一次酸化剤供給チャネル、二次酸化剤供給チャネル及び三次酸化剤供給チャネルは、略環状チャネルであり得、そして入口及び出口領域を有し得る。軸流方向に対し垂直な面の断面から見ると、略環状チャネルの各々は環状であることが好適であるが、この形状は非環状であってもよい。
【0036】
(特許文献2)は燃料燃焼のためのバーナとその燃焼方法とを開示しており、その開示内容及びその全体を本明細書に援用する。
【0037】
図1は、バーナのガス分配部品の3D略図を示す。酸化剤は酸化剤入口102を介し酸化剤入口チャネル101に入る。
図1、4に示すように、スルーホール305が拡散/緩衝室に隣接した酸化剤入口チャネル101の壁上に設けられ;酸化剤はこれらのスルーホール305を通って拡散/緩衝室401へ分散される。拡散/緩衝室401の外壁103は拡散/緩衝室へ着脱可能に接続される。一例として、ボルト301が接続のために使用され得る。着脱可能接続は、オペレータがバーナの部品を迅速に洗浄することを可能にし、従って、「塵により引き起こされる遮断をクリアするためにバーナ全体の部品が分解する必要がある」などの従来技術における問題を克服する。
【0038】
拡散/緩衝室から流出する酸化剤は各酸化剤配送部品へ誘導される。いくつかの例示的説明では、スルーホールは一様に分散され得る。いくつかの例示的説明では、スルーホールは、中央のスルーホールが小さい径のものである一方でその周縁におけるスルーホールは大きな径のものであるように分散され得る。このような分散は、酸化剤循環断面全体の単位面積当たりの拡散/緩衝室から流出する酸化剤がより均一となるように酸化剤が周辺のスルーホールを介し貫流する実効面積を増加し得、従って、酸化剤配送部品における酸化剤の分散がより均一となることと炎がより安定となることとを保証する。
【0039】
独立緩衝タンクが従来技術におけるバーナにおいてセットアップされ得るが、独立緩衝タンクはしばしば、緩衝タンクの下流に位置するバーナから極めて遠いので、緩衝タンクの緩衝/平滑化効果が弱められる。更に、複数のバーナを緩衝タンクの下流に接続する必要性に起因して、各緩衝タンクに対する緩衝効果は異なり、バーナの位置とパイプラインレイアウトとにより影響される。上述の拡散/緩衝室の構成は酸化剤流に対する緩衝効果を保証し得る。
【0040】
一例として、
図2に示すように、複数のフローガイド隔壁201が酸化剤入口チャネル101内に配置される。フローガイド隔壁201は酸化剤入口の中心軸の方向に対しほぼ平行に配向される。フローガイド隔壁
201は酸化剤を誘導し入口チャネル内に向け得る。
【0041】
図3に示すように、酸化剤配送部品は一次酸化剤燃料配送部品302、二次酸化剤配送部品303及び三次酸化剤配送部品304を含む。二次酸化剤配送部品及び三次酸化剤配送部品は一次酸化剤燃料配送部品の同じ側に配置され、二次酸化剤配送部品は三次酸化剤配送部品と一次酸化剤燃料配送部品との間に配置される。これに応じて、酸化剤入口は主入口と等価であり、酸化剤を一次酸化剤燃料配送部品302、二次酸化剤配送部品303及び三次酸化剤配送部品304へ別々に配送する。
【0042】
燃料は燃料入口105を介し燃料入口チャネル104へ配送され、そして、次に、燃料入口チャネルは燃料流を燃料供給チャネルへ運ぶ。一次酸化剤流の一次酸化剤供給チャネルは、燃料供給チャネルの外壁を囲み得、そして燃料供給チャネルと同軸である。
【0043】
燃料供給チャネルは好適な材料(例えば、高温耐性金属又はセラミック)で形成された燃料導管であり得る。燃料導管の開始端は、ガス分配部品全体へ着脱可能に接続されるが、またそれと一体的に形成される可能性がある。燃料導管の出口端は燃料ノズルへ接続される。酸化剤供給チャネルは特殊材料(例えば高温耐性金属又はセラミック)で形成された酸化剤供給導管であり得るが、また、バーナブロック内に形成された形状適合室又はチャネルである可能性がある。一例として、二次酸化剤配送部品303は3本の酸化剤供給導管106を含む。
【0044】
全酸化剤は次の3つのストリームへ分割され得る:一次酸化剤ストリーム、二次酸化剤ストリーム及び三次酸化剤ストリーム。一次酸化剤ストリームは燃料ノズルを囲み、そして、その体積流量は、全酸化剤のうちの非常に小さな割合(好適には20%未満若しくは10%未満又は5%若しくは約2%~5%未満)を占める。残りの酸化剤は二次酸化剤ストリーム及び三次酸化剤ストリームとして使用される。これはそれぞれ、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は更には少なくとも70%の好ましいステージ化割合に等価となる。これは、十分な量の酸化剤が、二次酸化剤供給チャネル又は三次酸化剤供給チャネルを貫流する、又はステージ化の目的のために2つの供給チャネル間で分散されるということを意味する。これは、NOxの生成を低減するだけでなくまた、加熱される材料の溶融面の近くのガス雰囲気を制御するための容量を著しく増加させる。処理状況に従って酸化又は還元を選択的に行うように、溶融面に近い大気を制御することができるために、バーナの動作が好都合に切り替えられ得るということが望ましい。この目的のため、一次酸化剤供給チャネル、二次酸化剤供給チャネル及び三次酸化剤供給チャネル内の酸化剤流量が酸化剤ステージ化制御機構により独立に制御され得る。
【0045】
一次酸化剤ストリームが零であるということは理想的ではないということが指摘されるべきである;これは、一次酸化剤供給チャネル内の空隙又は真空を生じることになり、高温腐食性炉ガスが吸引されるようにし、バーナを非常に速く破壊しそして炎不安定性を引き起こすことになる。加えて、一次酸化剤ストリームが非常に小さければ、炎安定性もまた低下することになり;そして気体燃料と酸化剤との混合の状態は悪化することになり、実用の炎を実現することを難しくする。いくつかの状況では、二次酸化剤ストリーム又は三次酸化剤ストリームは零に近くてもよく;この場合、バーナは、二段階バーナに実質的に近付く又はそれに等価であり、そして、対応燃焼効果及び特徴は当業者の知識に従って予測及び調節され得る。
【0046】
本出願の技術的解決策は、操作、処理及び製造の便宜のために弁などの複雑な設計を省略するが、それにもかかわらず各酸化剤配送部品内への流量を調節するための簡単な調整機構を提供する。
図5a及び5bに示すように、方向C-Cにおける断面図は、バッフル501が拡散/緩衝室と各酸化剤配送部品との接合点に設けられ得るということを示す。バッフルは、酸化剤配送部品の入口を必要に応じ阻止し得、これにより、各酸化剤配送部品へ運ばれる酸化剤の流量を制限する。
【0047】
従来技術は、例えば酸素ステージ化弁などを提供することにより、酸化剤流のステージ化割合を調節する多種多様なより精密な方法を含む。しかし、弁は、より高い操作及び製造費用を有し、そしてまた、酸化剤入口チャネル内のより大きな空間を占めるので、逆に、より速く且つより便利なステージ化制御を要求するシナリオにおける使用には不適である。
【0048】
本出願の内容は好ましい実施形態を介し詳細に上に提示されたが、上記説明は本出願を制限するものと見なされるべきでないということが理解されるべきである。当業者は、上記内容を読んだ後本出願に対する様々な修正及び置換を理解することになる。従って、本出願の保護の範囲は添付特許請求の範囲により定義されるものとする。
【符号の説明】
【0049】
101 酸素剤入口チャネル
102 酸素剤入口
103 拡散/緩衝室の外壁
104 燃料入口チャネル
105 燃料入口
106 酸化剤供給導管
201 フローガイド隔壁
301 ボルト
302 一次酸化剤燃料配送部品
303 二次酸化剤燃料配送部品
304 三次酸化剤燃料配送部品
401 拡散/緩衝室
505 バッフル
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】