(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005402
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】塗装ハンドル
(51)【国際特許分類】
B05C 21/00 20060101AFI20250108BHJP
B05B 15/80 20180101ALI20250108BHJP
【FI】
B05C21/00
B05B15/80
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096350
(22)【出願日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】112123819
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522490273
【氏名又は名称】李 翊豪
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】李 翊豪
【テーマコード(参考)】
4D073
4F042
【Fターム(参考)】
4D073AA01
4D073BB03
4D073CA30
4F042AA01
4F042AB00
4F042DF05
4F042DF11
4F042DF31
4F042FA19
4F042FA29
(57)【要約】
【課題】ユーザがモデル作業の状況に応じて重さを自由に調整可能な塗装ハンドルを提供する。
【解決手段】底部台座20及び上部台座を備え、底部台座20は、ケーシング22と、ケーシング22の自由端に設けられた開口24と、ケーシング22内に設けられて開口24に連通している収容空間とを有し、上部台座は、底部台座20に取り外し可能に覆設される載置台32を有する。載置台32がケーシング22に当接した場合では、載置台32にモデル等の物品を載置させて塗装作業を行うことができる。載置台32が取り外されている場合では、塗装ハンドル10の重量を自由に調整できるように、収容空間内に液体又は固体を充填することができる。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部台座、上部台座及び指掛け部を備えた塗装ハンドルであって、
前記底部台座は、ケーシングと、前記ケーシングの自由端に設けられた開口と、螺旋構造となっている第1連結部と、前記ケーシング内に設けられて前記開口に連通している収容空間と、を有し、
前記上部台座は、載置台と、前記載置台の下方に固設されて対応の螺旋構造となっている第2接合部であって、前記第1連結部から取り外して分離することができ、また、前記載置台が前記ケーシングに当接し且つ前記収容空間を封止するように、前記第1連結部と連結することができる第2接合部とを有し、前記載置台は、その頂面と、前記ケーシングとの間に位置する環状部を有し、
前記指掛け部は前記環状部に嵌装され、
前記底部台座は、前記ケーシングに当接した前記載置台に物品を直接且つ安定的に載置できるように、台において自立可能であり、
前記収容空間は、前記底部台座の重さを変更して前記載置台に物品が載置された際の全体の重心の位置を調整できるように、液体又は固体を充填可能である、塗装ハンドル。
【請求項2】
前記第1連結部は前記開口の外側に固設され、
前記第2接合部は前記載置台の内側に設けられている、請求項1に記載の塗装ハンドル。
【請求項3】
前記第1連結部は前記ケーシングの内側における前記開口に隣接する部位に設けられ、
前記第2接合部は少なくとも部分的に前記載置台の外部に突出している、請求項1に記載の塗装ハンドル。
【請求項4】
前記ケーシングはその内側に少なくとも一つの突出ブロックを有している、請求項1に記載の塗装ハンドル。
【請求項5】
前記少なくとも一つの突出ブロックは、前記ケーシングの内底面に設けられている、請求項4に記載の塗装ハンドル。
【請求項6】
前記ケーシングは、その外側に位置する外底面と、前記外底面から上方に延出した第1下層部と、前記第1下層部から上方に延出した第2下層部と、前記第2下層部から上方に延出した第3下層部とを有している、請求項1に記載の塗装ハンドル。
【請求項7】
前記第1下層部は、前記外底面に接する第1下輪郭部と、正多角形の第1上輪郭部とを有し、
前記第2下層部は、前記第1下層部の前記第1上輪郭部に接する第2下輪郭部と、第2上輪郭部とを有している、請求項6に記載の塗装ハンドル。
【請求項8】
前記第2上輪郭部は正多角形であり、
前記第3下層部は、前記第2下層部の前記第2上輪郭部に接する第3下輪郭部を有している、請求項7に記載の塗装ハンドル。
【請求項9】
前記第1下輪郭部の角部と、前記第1上輪郭部の少なくとも一つの角部との間に接続線が形成されており、
前記第2下輪郭部の角部と、前記第2上輪郭部の少なくとも一つの角部との間に接続線が形成されている、請求項7に記載の塗装ハンドル。
【請求項10】
前記外底面は正六角形である、請求項7に記載の塗装ハンドル。
【請求項11】
前記第1上輪郭部は正六角形である、請求項10に記載の塗装ハンドル。
【請求項12】
前記第1下層部は、前記外底面の六つの辺にそれぞれ接する六つの第1三角面と、隣接する二つの前記第1三角面にそれぞれ接する六つの第1逆さ三角面とを有し、
前記第2下層部は、前記第1逆さ三角面のそれぞれに接する六つの第2三角面と、隣接する二つの前記第2三角面にそれぞれ接する六つの第2逆さ三角面とを有し、
前記第3下層部は、前記第2逆さ三角面のそれぞれに接する六つの延伸面を有している、請求項11に記載の塗装ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗装ハンドルに関し、特に全体の重さを調整可能な塗装ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
モデル愛好家の多くは、組み立てや色塗りなどのモデル作業を行う際にモデルを載せるためのペインティングハンドルを使うので、良いペインティングハンドルはモデル作業に欠かせない。しかし、市販のペインティングハンドルの多くは軽すぎるため、重いモデルや重心が高いモデルを載せると、作業台の上で容易に倒れてしまう。重いペインティングハンドルや大きいペインティングハンドルを使用すれば倒れにくくなるが、この場合、手に持ったときのユーザの負担が大きくなってしまう問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザがモデル作業の状況に応じて重さを自由に調整可能な塗装ハンドルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための本発明に係るハンドルの特徴は、
底部台座、上部台座及び指掛け部を備え、
前記底部台座は、ケーシングと、前記ケーシングの自由端に設けられた開口と、前記開口の外側に固設されて螺旋構造となっている第1連結部と、前記ケーシング内に設けられて前記開口に連通している収容空間と、を有し、
前記上部台座は、載置台と、前記載置台の下方の内側に設けられて対応の螺旋構造を有する第2接合部であって、前記第1連結部から取り外して分離することができ、また、前記載置台が前記ケーシングに当接し且つ前記収容空間を封止するように、前記第1連結部と連結することができる第2接合部とを有する点にある。
前記底部台座が台において自立した場合、前記載置台にはモデル等の物品を安定的に載置可能である。前記収容空間には液体又は固体を充填することができ、これにより、前記底部台座の重さを変更して前記載置台に物品が載置された際の全体の重心の位置を調整することができる。
【0005】
また、上記目的を達成するための本発明に係るハンドルの特徴は、
底部台座、上部台座及び指掛け部を備え、
前記底部台座は、ケーシングと、前記ケーシングの自由端に設けられた開口と、前記ケーシングの内側における前記開口に隣接する部位に設けられて螺旋構造となっている第1連結部と、前記ケーシング内に設けられて前記開口に連通している収容空間と、を有し、
前記上部台座は、載置台と、少なくとも部分的に前記載置台の外部に突出するように前記載置台の下方に設けられて対応の螺旋構造を有する第2接合部であって、前記第1連結部から取り外して分離することができ、また、前記載置台が前記ケーシングに当接し且つ前記収容空間を封止するように、前記第1連結部と連結することができる第2接合部とを有する点にある。
前記底部台座が台において自立した場合、前記載置台にはモデル等の物品を安定的に載置可能である。前記収容空間には液体又は固体を充填することができ、これにより、前記底部台座の重さを変更して前記載置台に物品が載置された際の全体の重心の位置を調整することができる。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、ユーザはモデル作業の様々な状況に応じて塗装ハンドルの重さを自由に調整することができる。これにより、塗装ハンドルが作業台において容易に倒れること、塗装ハンドルを手に持った時の負担が増加することなどを回避することが可能になり、モデル作業時の作業性が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の好ましい実施形態の塗装ハンドルを示す斜視図である。
【
図2a】本発明の好ましい実施形態のハンドルを示す分解図である。
【
図2b】本発明の他の実施形態のハンドルを示す分解図である。
【
図3a】本発明の好ましい実施形態のハンドルを示す分解図である。
【
図3b】本発明の他の実施形態のハンドルを示す分解図である。
【
図4a】
図1の4-4線に沿った好ましい実施形態の断面図である。
【
図4b】
図1の4-4線に沿った他の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、好ましい実施形態を用いて本発明の技術的思想及び特徴を説明する。
図1、
図2a、
図3aに示すように、本発明の好ましい実施形態の塗装ハンドル10は、底部台座20と、底部台座20に取り外し可能に覆設された上部台座30と、上部台座30に設けられた弓型の指掛け部40とを備えている。塗装ハンドル10は、モデル(図示せず)の組み立てや色塗り等のモデル関連作業をユーザが行う際にモデルを載置するためのものである。
【0009】
図2aに示す実施形態のように、底部台座20は、作業台(図示せず)に自立可能なものであり、ケーシング22と、ケーシング22の自由端に設けられた開口24と、開口24の外側に固設されて螺旋構造となっている第1連結部34と、ケーシング22内に設けられて開口24に連通している収容空間26と、を有している。上部台座30は、載置台32と、載置台32の下方の内側に設けられて対応の螺旋構造を有する第2接合部35と、を有している。第2接合部35は、第1連結部34から取り外して分離することができ、また、載置台32がケーシング22に当接し且つ収容空間26を封止するように、第1連結部34と連結することができる。載置台32には、指掛け部40を嵌装させるための環状部321が設けられている。指掛け部40は、モデル関連作業が容易に行われるようにユーザが指を掛けるためのものである。他の実施形態において、指掛け部40は必要に応じて省略してもよい。本実施形態において、上部台座30は、その上に物品を安定的に載置可能である。収容空間26には液体又は固体を充填することができ、これにより、底部台座の重さを変更して載置台に物品が載置された際の全体の重心の位置を調整することができる。
【0010】
図2bに示す別の実施形態では、底部台座20は、作業台(図示せず)に自立可能なものであり、ケーシング22と、ケーシング22の自由端に設けられた開口24と、ケーシング22の内側における開口24に隣接する部位に設けられて螺旋構造となっている第1連結部34と、ケーシング22内に設けられて開口24に連通している収容空間26と、を有している。上部台座30は、載置台32と、少なくとも部分的に載置台32の外部に突出するように載置台32の下方に設けられて対応の螺旋構造を有する第2接合部35と、を有している。第2接合部35は、第1連結部34から取り外して分離することができ、また、載置台32がケーシング22に当接し且つ収容空間26を封止するように、第1連結部34と連結することができる。載置台32には、指掛け部40を嵌装させるための環状部321が設けられている。指掛け部40は、モデル関連作業が容易に行われるようにユーザが指を掛けるためのものである。他の実施形態において、指掛け部40は必要に応じて省略してもよい。本実施形態において、上部台座30は、その上に物品を安定的に載置可能である。収容空間26には液体又は固体を充填することができ、これにより、底部台座の重さを変更して載置台に物品が載置された際の全体の重心の位置を調整することができる。
【0011】
図4a、
図4bに示すように、ケーシング22はその内側に三つの突出ブロック221を有している。三つの突出ブロック221は、ケーシング22の内側の底面である内底面220に設けられている。また、
図3a、
図3bに示すように、ケーシング22は、正多角形の外底面225と、外底面225から上方に延出した第1下層部226と、第1下層部226から上方に延出した第2下層部227と、第2下層部227から上方に延出した第3下層部228とを有している。第1下層部226は、外底面225に接する第1下輪郭部2261と、正多角形の第1上輪郭部2262とを有している。第2下層部227は、第1下層部226の第1上輪郭部2262に接する第2下輪郭部2271と、正多角形の第2上輪郭部2272とを有している。第3下層部228は、第2下層部227の第2上輪郭部2272に接する第3下輪郭部2281を有している。
【0012】
図3a、
図3bに示すように、第1下輪郭部2261の角部と、第1上輪郭部2262の少なくとも一つの角部との間に接続線が形成されており、第2下輪郭部2271の角部と、第2上輪郭部2272の少なくとも一つの角部との間に接続線が形成されている。異なる下層部の輪郭部間の複数の角部を結び接続線が形成されたことで、塗装ハンドル10は、複数の層を有し且つ角度が互いに異なる複数の平面を有する組み合わせ構造となっており、ユーザが塗装ハンドル10を手に持った際に、これらの平面及び角部が手のひら及び指における多くの部位に当たるので、滑りにくくなる効果が得られる。
【0013】
上述した二つの実施形態において、外底面225は正六角形である。第1下層部226は、外底面225の六つの辺にそれぞれ接する六つの第1三角面226aと、隣接する二つの第1三角面226aにそれぞれ接する六つの第1逆さ三角面226bとを有している。第2下層部227は、第1逆さ三角面226bのそれぞれに接する六つの第2三角面227aと、隣接する二つの第2三角面227aにそれぞれ接する六つの第2逆さ三角面227bとを有している。第3下層部228は、第2逆さ三角面227bのそれぞれに接する六つの延伸面228aを有している。
【0014】
上記構成によれば、重いモデルや重心が高いモデルの組み立てや色塗り等の作業に塗装ハンドル10を使用する場合では、上部台座30を外して収容空間26内に水などの液体や砂などの固体を入れた後に上部台座30を装着することで塗装ハンドル10全体の重量を増やせば、モデルを載置した塗装ハンドル10は作業台で倒れにくくなる。一方、軽いモデルや重心が低いモデルであって塗装ハンドル10を重くする必要がない場合には、収容空間26内の液体や固体を取り出して塗装ハンドル10全体の重量を減らせば、塗装ハンドル10を手に持った際のユーザの負担が軽減することになる。すなわち、ユーザはモデル作業の様々な状況に応じて塗装ハンドル10の重さを自由に調整することができるので、モデル作業時の作業性が格段に向上する。また、上述したように特殊な多層構造となっているケーシング22はユーザが手に持った際に手のひらにフィットするので、握りやすくて滑りにくいという効果が得られる。更に、収容空間26内に水など液体が充填された場合には、ケーシング22をペインティングブラシの洗浄道具として使用することもできる。すなわち、収容空間26内にペインティングブラシを入れて顔料を水で落とすことが可能である。それに加えて、突出ブロック221にペインティングブラシを擦って顔料を落すこともできるので、ペインティングブラシの効率的な洗浄が可能になる。
【0015】
本発明の要旨から逸脱しない範囲で塗装ハンドル10の構造を変化させてもよい。例えば、突出ブロック221をケーシング22の内側の他の部位に設けてもよく、また、突出ブロック221の数を必要に応じて増減させてもよい。場合によっては突出ブロック221を省略してもよい。ケーシング22の外底面225は円形、不規則形、多角形又は正多角形等の他の形状であってもよく、ケーシング22の下層部の数は必要に応じて異なってもよい。各下層部の構造は必要に応じて異なる構成を有してもよい。このような容易に想到しうる構造上の変更は、すべて本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0016】
10 塗装ハンドル
20 底部台座
22 ケーシング
220 内底面
221 突出ブロック
225 外底面
226 第1下層部
226a 第1三角面
226b 第1逆さ三角面
2261 第1下輪郭部
2262 第1上輪郭部
227 第2下層部
227a 第2三角面
227b 第2逆さ三角面
2271 第2下輪郭部
2272 第2上輪郭部
228 第3下層部
228a 延伸面
24 開口
26 収容空間
30 上部台座
32 載置台
321 環状部
34 第1連結部
35 第2連結部
40 指掛け部