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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005427
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】油性化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/898 20060101AFI20250108BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20250108BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20250108BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
A61K8/898
A61K8/891
A61K8/37
A61Q1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102384
(22)【出願日】2024-06-25
(31)【優先権主張番号】P 2023105406
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】東 竜太
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB372
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC331
4C083AC332
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC792
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD072
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083BB14
4C083CC13
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD30
4C083EE06
4C083EE07
4C083FF01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】塗布膜の保湿感を叶えながら、高いツヤ・べたつきのなさを両立した油性化粧料を得ることを課題とする。
【解決手段】次の成分(A)~(C);
(A)特定のイソシアネート化合物に基づく構造単位(1)と、特定のジメチコノールに基づく構造単位(2)と、特定のアルキレングリコールに基づく構造単位(3)とを有するシリコーンポリウレタン
(B)不揮発性シリコーン油
(C)分子量750以下のエステル油
を含有する油性化粧料とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(C);
(A)下記式(1)
OCN-R-NCO (1)
(式中、Rは炭素数2~9のアルキレン基を示す)
で表されるイソシアネート化合物に基づく構造単位と、
下記式(2)
【化1】
(式中、nは1~100の整数を示す)
で表されるジメチコノールに基づく構造単位と、
下記式(3)
HO-R-OH (3)
(式中、Rはエーテル結合を有していてもよい直鎖または分岐の炭素数2~9のアルキレン基を示す)
で表されるアルキレングリコールに基づく構造単位とを有するシリコーンポリウレタン
(B)不揮発性シリコーン油
(C)分子量750以下のエステル油
を含有する油性化粧料。
【請求項2】
前記成分(C)として、炭素数C6~18の炭化水素基を含有するエステル油を含有する請求項1に記載の油性化粧料。
【請求項3】
前記成分(C)として、分岐脂肪酸エステル油を含有する請求項1又は2に記載の油性化粧料。
【請求項4】
前記成分(B)として、フェニル変性シリコーン油を含有する請求項1又は2に記載の油性化粧料。
【請求項5】
前記成分(A)に対する前記成分(C)の含有質量割合、(C)/(A)が5~65である請求項1又は2に記載の油性化粧料。
【請求項6】
さらに成分(D)として、揮発性油を含有する請求項1又は2に記載の油性化粧料。
【請求項7】
前記成分(A)に対する前記成分(D)の含有質量割合、(D)/(A)が5~100である請求項6に記載の油性化粧料。
【請求項8】
さらに成分(E)として、煙霧状シリカを含有する請求項1又は2に記載の油性化粧料。
【請求項9】
前記成分(C)として、イソノナン酸エステル、及び2-エチルヘキサン酸エステルから選ばれる1種または2種以上を含有する請求項1又は2に記載の油性化粧料。
【請求項10】
前記油性化粧料が口唇化粧料である、請求項1又は2に記載の油性化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油性化粧料は、油分を外相として構成されるものであり、塗布膜のツヤや保湿感といった仕上がりの品質が求められる。保湿成分としては、ワセリンを代表としたペースト油剤を用いることが一般的であるが、ペースト油剤は塗布膜の透明性を落とすことでツヤが低下し、また塗布膜が重くなることで、べたつきが発生することに課題があった。そこで、これまで塗布膜の保湿感を叶えながら、高いツヤ・べたつきのなさを両立するための検討がなされてきた。
特許文献1には、ワセリンを含有する使用感及び安定性に優れた油性化粧料として、ワセリン、デキストリン脂肪酸エステル、液状油、粉体、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーンを含有することを特徴とし、具体的には、べたつき、重ね塗り時のべたつき、ぎらつき、重ね塗りのぎらつきがないという使用感の良好な、安定性の高い油性化粧料が提案されている。
また、特許文献2には、シリコーン被覆処理粉体に機能性基、特にはアルキル基を高密度で付加した処理粉体と油分を含む化粧料を用いることにより、化粧もち、二次付着防止効果に優れるとともに、きしみ感がない、のびが良好で、べたつきがなく滑らかである使用感に優れた油性化粧料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-155782号公報
【特許文献2】特開平11-60439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、特に固形または半固形状であるワセリンのべたつきを低減する点で優れていたが、皮膚の水分蒸散を抑え皮膚を保護する目的と、課題とするべたつきを改善する効果の両立を、特定の分子量のエステル油と特定の高分子ポリマーの併用により具現化するという着想はなく、透明性が低く、ツヤの点で改善の余地が見られた。
また、特許文献2の技術では、皮膜剤を多量に配合した系においても、べたつきがなく滑らかである使用感の点で優れていたが、特定の粉体によりべたつきを緩和する技術であり、塗布膜の保湿感が低く、さらに透明性やツヤの点でも改善の余地が見られた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、下記式(1)
OCN-R-NCO (1)
(式中、R1は炭素数2~9のアルキレン基を示す)
で表されるイソシアネート化合物に基づく構造単位と、
下記式(2)
【化1】
(式中、nは1~100の整数を示す)
で表されるジメチコノールに基づく構造単位と、
下記式(3)
HO-R-OH (3)
(式中、Rはエーテル結合を有していてもよい直鎖または分岐の炭素数2~9のアルキレン基を示す)
で表されるアルキレングリコールに基づく構造単位とを有するシリコーンポリウレタンに、不揮発性シリコーン油と分子量750以下のエステル油を組み合わせることで、塗布膜の保湿感を叶えながら、高いツヤ、べたつきのなさ、透明性を両立した油性化粧料を見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、以下の技術を含有するものである。
[1]
次の成分(A)~(C);
(A)下記式(1)
OCN-R-NCO (1)
(式中、Rは炭素数2~9のアルキレン基を示す)
で表されるイソシアネート化合物に基づく構造単位と、
下記式(2)
【化1】
(式中、nは1~100の整数を示す)
で表されるジメチコノールに基づく構造単位と、
下記式(3)
HO-R-OH (3)
(式中、Rはエーテル結合を有していてもよい直鎖または分岐の炭素数2~9のアルキレン基を示す)
で表されるアルキレングリコールに基づく構造単位とを有するシリコーンポリウレタン
(B)不揮発性シリコーン油
(C)分子量750以下のエステル油
を含有する油性化粧料である。
[2]
前記成分(C)として、炭素数C6~18の炭化水素基を含有するエステル油を含有する[1]に記載の油性化粧料である。
[3]
前記成分(C)として、分岐脂肪酸エステル油を含有する[1]又は[2]に記載の油性化粧料である。
[4]
前記成分(B)として、フェニル変性シリコーン油を含有する[1]又は[2]に記載の油性化粧料である。
[5]
前記成分(C)に対する前記成分(A)の含有質量割合、(C)/(A)が5~65である[1]又は[2]に記載の油性化粧料である。
[6]
さらに成分(D)として、揮発性油を含有する[1]又は[2]に記載の油性化粧料である。
[7]
前記成分(D)に対する前記成分(A)の含有質量割合、(D)/(A)が5~100である請求項6に記載の油性化粧料である。
[8]
さらに成分(E)として、煙霧状シリカを含有する[1]又は[2]に記載の油性化粧料である。
[9]
前記成分(C)として、イソノナン酸エステル、及び2-エチルヘキサン酸エステルから選ばれる1種または2種以上を含有する[1]又は[2]に記載の油性化粧料。
[10]
前記油性化粧料が口唇化粧料である、[1]又は[2]に記載の油性化粧料である。
さらに、以下の発明も追加することができる。
[11]
前記油性化粧料における前記成分(A)~(C)において、90℃以上で溶融後、分光測色計・色彩計における石英丸セルに縦方向7mm厚に充填し、30℃まで冷却したものの、空のセルの測定値ブランクとの明度値L差ΔLが、50以下である[1]又は[2]に記載の油性化粧料である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油性化粧料は、塗布膜の保湿感を実現しながら、塗布膜の透明性に優れ、化粧膜が立体的に見えることによる高いツヤ、塗布後のべたつきのなさにも優れた品質を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例3、比較例2、実施例8よりNo.4原料を3質量%配合し(A)を削除したサンプル、を成分(A)~(C)までを溶解し、セルに充填し、25℃で1日静置し、上面の一部を使用したサンプルを上から撮影した画像である。
図2】実施例9~13、比較例10を成分(A)~(C)まで溶解し、セルに25℃で1日静置し、上面一部使用したサンプルを上から撮影した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、質量%の記載を以下単に「%」と記載とする場合もあるが、質量%を意味するものとし、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
【0010】
本発明に用いられる成分(A)シリコーンポリウレタンは、下記式(1)
OCN-R-NCO (1)
(式中、Rは炭素数2~9のアルキレン基を示す)
で表されるイソシアネート化合物(以下「イソシアネート化合物(1)」ということがある)に基づく構造単位と、
下記式(2)
【化2】
(式中、nは1~100の整数を示す)
で表されるジメチコノール(以下「ジメチコノール(2)」ということがある)に基づく構造単位と、
下記式(3)
HO-R-OH (3)
(式中、Rはエーテル結合を有していてもよい直鎖または分岐の炭素数2~9のアルキレン基を示す)
で表されるアルキレングリコール(以下「アルキレングリコール(3)」ということがある)に基づく構造単位とを有する。
【0011】
本発明に用いられる成分(A)は、油剤に対する相溶性に優れ、シリコーンポリウレタンゲルを形成することができる。成分(A)は、アルキレングリコール(3)に基づく分子内の親水部同士で会合することで複数のリング状のクラスター(房)を形成すると共に、イソシアネート化合物(1)及びジメチコノール(2)に基づく分子内の疎水部で油剤に接触することで、親水基会合性増粘機構を発現しており、当該機構に基づき三次元立体構造体を微細に取ることでゲル化され、また分子内の疎水性部が柔軟性と油溶性を付与し、分子内の親水部の極性基が相互作用することでゲル化力・復元力を付与しているものと推測される。本発明のシリコーンポリウレタンは、シリコーンポリウレタン5%と水95%を80℃に加温し、攪拌した際に水と分離するものであり、水溶性ではないものである。
ゲル化する油剤としては、動物油、植物油、合成油等の起源を問わず、炭化水素油、エステル油、油脂類、シリコーン油、フッ素系油類等が挙げられる。これらのうち、相溶性が高く、弾力性・復元性に富むゲルを形成し、さらに硬化して得られる膜の柔軟性や強度に優れることから、シリコーン油、炭化水素油が好ましい。具体的には、シリコーン油として、ジメチルポリシロキサン、シクロメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルトリメチコン、カプリリルメチコン、トリフルオロプロピルシクロテトラシロキサン、トリフルオロプロピルシクロペンタシロキサン等が挙げられ、炭化水素油として、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ウンデカン、トリデカン、イソドデカン、(C13-15)アルカン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0012】
本発明に用いられる成分(A)の構造単位である、下記式(1)
OCN-R-NCO (1)
において、Rは炭素数2~9のアルキレン基を表し、当該アルキレンは直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、直鎖が好ましい。炭素数2~9のアルキレン基として、例えば、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、n-ヘキシレン等が挙げられ、上記式(1)で表されるイソシアネート化合物として、例えば、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができるが、これらのうち、下記式(4)で表される1,6-ヘキサメチレンジアソシアネートが、形成されるゲルの弾力性・復元性や膜の柔軟性等の観点から好ましい。
【化3】
【0013】
本発明に用いられる成分(A)の構造単位である、下記式(2)
【化4】
で表されるジメチコノールにおいて、nは1~100の整数であり、形成されるゲルの弾力性・復元性や膜の柔軟性等の観点から、好ましくは25~75であり、より好ましくは40~75である。またその重量平均分子量は特に制限されないが、形成されるゲルの弾力性・復元性や膜の柔軟性等の観点から、1500~15000が好ましく、4000~11000がより好ましく、6000~11000がさらに好ましい。本明細書において、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値(ポリスチレン換算値)を意味する。
【0014】
本発明に用いられる成分(A)の構造単位である、下記式(3)
HO-R-OH (3)
で表されるアルキレングリコールにおいて、Rはエーテル結合を有していてもよい直鎖または分岐の炭素数2~9のアルキレン基を示し、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、形成されるゲルの弾力性・復元性や膜の柔軟性等の観点から下記式(5)で表されるエチレングリコールが好ましい。
【化5】
【0015】
本発明に用いられる成分(A)の製造方法は特に制限されるものではないが、イソシアネート化合物(1)と、ジメチコノール(2)とを反応させて下記式(6)で表されるポリウレタンプレポリマー(以下「ポリウレタンプレポリマー(6)」ということがある)を得て、次いで、このポリウレタンプレポリマー(6)と、アルキレングリコール(3)とを重付加反応させる方法が挙げられる。
【化6】
上記式中、R及びnは前記と同じ意味であり、Rは炭素数2~9のアルキレン基を表し、nは1~100の整数を表す。またmは1~7の整数を表し、形成されるゲルの弾力性・復元性や膜の柔軟性等の観点から、1~3が好ましく、1~2がより好ましい。
【0016】
本発明に用いられる成分(A)において、イソシアネート化合物(1)と、ジメチコノール(2)とを反応させてポリウレタンプレポリマー(6)を得るにあたって、イソシアネート化合物(1)に対するジメチコノール(2)のモル比(ジメチコノール(2)/イソシアネート化合物(1))は、形成されるゲルの弾力性・復元性や膜の柔軟性等の観点から、0.5~0.875であることが好ましく、0.5~0.75であることがより好ましく、さらに0.5~0.67であることが好ましい。ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は2000~30000であることが好ましく、4000~20000であることがより好ましく、4000~15000がさらに好ましい。
【0017】
上記ポリウレタンプレポリマー(6)にアルキレングリコール(3)を重合させることにより下記式(7)で表される本発明のシリコーンポリウレタンが得られるが、その重量平均分子量は、形成されるゲルの弾力性・復元性や膜の柔軟性等の観点から、10000~300000が好ましく、20000~200000がより好ましく、30000~100000がさらに好ましい。またシリコーンポリウレタンの重量平均分子量が100000未満の場合は、アルキレングリコール(3)に対するジメチコノール(2)のモル比(ジメチコノール(2)/アルキレングリコール(3))は、4以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1以下であることがさらに好ましい。これに対し、シリコーンポリウレタンの重量平均分子量が100000以上の場合は、上記モル比(ジメチコノール(2)/アルキレングリコール(3))が6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましく、下限値は1以上であることが好ましい。最も好ましい重量平均分子量とモル比の組み合わせは、重量平均分子量30000~100000であり、アルキレングリコール(3)に対するジメチコノール(2)のモル比(ジメチコノール(2)/アルキレングリコール(3))が0.3~0.7である。
【化7】
上記式中、R、R、n及びmは上記と同じ意味である。rは1~3の整数を表し、1~2が好ましく、1がより好ましい。またsは1~50の整数を表し、2~10が好ましく、5~10がより好ましい。
【0018】
本発明に用いられる成分(A)の好適な態様として下記式(8)で表されるものが例示される。
【化8】
【0019】
本発明に用いられる成分(A)は、イソシアネート化合物(1)と、ジメチコノール(2)と、アルキレングリコール(3)とを重合反応させたのち、アルコールを反応させて得ることもできる。アルコールは、反応を停止させるためのものであり、特に限定しないが、炭素数C2~10のアルコールが好ましく、炭素数2がより好ましい。この場合の各成分のモル比は前記と同様にすればよい。
【0020】
本発明に用いられる成分(A)は、前述のシリコーンポリウレタンゲルとして、油性化粧料に配合することも可能である。当該シリコーンポリウレタンゲルは、油剤中でシリコーンポリウレタンを重合するか、予めシリコーンポリウレタン及び油剤を混合することで得ることができる。例えば、油剤中において、イソシアネート化合物(1)とジメチコノール(2)を反応させてポリウレタンプレポリマー(6)を得て、次いで、このポリウレタンプレポリマー(6)とアルキレングリコール(3)とを重付加反応させることによって、シリコーンポリウレタンゲルが得られる。
また、ジメチコノール(2)と、アルキレングリコール(3)とを仕込んで均一に混合し、イソシアネート化合物(1)を投入して反応させることによって、シリコーンポリウレタンゲルを得ることもできる。
【0021】
本発明に用いられる成分(A)は、例えば、INCI(International Nomenclature for Cosmetic ingredients)(化粧品成分の国際命名法の略)名称として、Bis-Hydroxyethoxypropyl Dimethicone/Glycol/HDI Copolymerが挙げられるが、特に限定するものではない。
【0022】
本発明に用いられる成分(A)の含有量は、特に限定されないが、固形分換算で下限として、0.5%以上が好ましく、1.0%以上がより好ましく、2.0%以上が更に好ましく、上限として、6.0%以下が好ましく、5.0%以下がより好ましく、4.0%以下がさらに好ましい。範囲としては、0.5~6%が好ましく、1.0~5.0%がより好ましく、2.0~4.0%がさらに好ましい。この範囲であれば、塗布膜の保湿感と化粧膜が立体的に見えることによる高いツヤと、塗布後のべたつきのなさもより一層向上するため好ましい。
【0023】
本発明に用いられる成分(B)不揮発性シリコーン油は、常圧で260℃以上の沸点を有するものである。ジメチルポリシロキサン等の直鎖状シリコーン油のほか、フェニル変性シリコーン、カプリリルメチコン、等の置換基を有する不揮発性変性シリコーン油が挙げられる。シリコーン油の動粘度としては、とくに限定しないが、25℃において下限は6mm/s以上が好ましく、上限は、5000mm/s以下が好ましく、1000mm/s以下がより好ましく、400mm/s以下がさらに好ましい。市販品としては、KF-96A-6CS(信越化学工業社製)、シリコーンSH556FLUID、SS-3408(東レ・ダウコーニング社製)、シリコーンKF-56(信越化学工業社製)等が挙げられる。一種または二種以上を組み合わせて配合することも可能である。中でもフェニルトリメチコンやジフェニルジメチコン等のフェニル変性シリコーンは、化粧膜が立体的に見えることによる高いツヤと、塗布後のべたつきのなさをより一層向上させるため好ましい。
【0024】
本発明に用いられる成分(B)の含有量は、特に限定されないが、油性化粧料全量に対し、下限としては、1%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましい。上限としては、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。範囲としては、1~30%が好ましく、3~20%がより好ましく、5~10%がさらに好ましい。この範囲であれば、塗布膜の保湿感と、塗布後のべたつきのなさがより一層向上するため好ましい。
【0025】
本発明に用いられる成分(C)は、分子量が750以下のエステル油である。エステル油とは、一価あるいは多価の脂肪族アルコールと、飽和または不飽和の高級脂肪酸とのエステル化反応による化合物であればよい。具体的には、例えば、ミリスチン酸イソプロピル(Mw:270.5)、イソノナン酸イソノニル(Mw:284.5)、安息香酸アルキル(C12~C15)(Mw:290)、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(Mw:290.4)、パルミチン酸イソプロピル(Mw:298.5)、オレイン酸エチル(Mw:310.5)、イソノナン酸イソトリデシル(Mw:340.6)、コハク酸ジオクチル(Mw:342.5)、ネオペンタン酸イソステアリル(Mw:354.6)、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(Mw:356.6)、デシルテトラデカノール(Mw:354.7)、パルミチン酸オクチル(Mw:368)、エチルヘキサン酸セチル(Mw:368.6)、ジカプリン酸PG(Mw:384.6)、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル(Mw:408.6)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(Mw:412.7)、トリエチルヘキサノイン(Mw:470.7)、リンゴ酸ジイソステアリル(Mw:639.1)、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル(Mw:640.9)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル―2(Mw:709)などが挙げられ、一種または二種以上を組み合わせて配合することも可能である。また、分子量は500以下のエステル油がより好ましく、分子量が360以下のエステル油がさらに好ましい。これらの範囲であれば、塗布膜の保湿感と透明性がより一層向上し、擦り合わせたときのべたつきのなさも向上するため好ましい。また、炭素数C6~18の炭化水素基を有するエステル油がより好ましく、炭素数C6~14の炭化水素基を有するエステル油がさらに好ましい。これらの範囲であれば、塗布膜の透明性が一層向上するため好ましい。また、炭化水素基は直鎖よりも分岐が好ましく、特に、イソノナン酸エステル、及び2-エチルヘキサン酸エステルから選ばれる1種または2種以上がより好ましい。この構造であると、塗布膜の透明性が一層向上するため好ましい。
【0026】
本発明に用いられる成分(C)の含有量は、特に限定されないが、油性化粧料全量に対し、下限としては、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましい。上限としては、50%以下が好ましく、45%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。範囲としては、5~50%が好ましく、10~45%がより好ましく、20~40%がさらに好ましい。この範囲であれば、塗布膜の保湿感と透明性、塗布後のべたつきのなさがより一層優れるためより好ましい。
【0027】
また、成分(A)の含有質量に対する、成分(C)の含有質量割合、(C)/(A)が、5~65の範囲であると、化粧膜が立体的に見えることによる高いツヤと、塗布後のべたつきのなさをより一層向上させるため好ましく、7~40の範囲がより好ましく、9~15の範囲がより好ましい。
【0028】
また成分(A)および成分(B)および成分(C)を混合後、90℃以上に加熱し、分光測色計・色彩計SE7700(日本電色工業株式会社社製)における石英丸セル(直径35mm)に深さ方向7mm厚に充填し、30℃まで冷却したものの、目視評価において底面の色情報が見える透明性があるものが好ましく、空のセルの測定値ブランクとの明度値L値の差ΔLが、50以下であるものが好ましく、30以下であるものがより好ましく、20以下であるものがさらに好ましく、10以下がよりさらに好ましい。この範囲であると、塗布膜の透明性の点で好ましい。
【0029】
本発明には、さらに成分(D)として揮発性油を用いてもよい。揮発性油とは、常圧において、260℃未満の沸点を有するものである。揮発性シリコーン油、揮発性炭化水素油、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒が挙げられるが、とくに限定しない。揮発性シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン等の直鎖状シリコーン油のほか、メチルトリメチコン等の分岐状シリコーン油、シクロペンタシロキサン等の環状シリコーン油、カプリリルジメチコンが挙げられる。揮発性炭化水素油としては、イソドデカン等の炭化水素が挙げられる。市販品としては、KF-96L-2CS(信越化学工業社製)、シリコーンTMF-1.5(信越化学工業社製)、KF-995(信越化学工業社製)、ISODODECANE(IMCD(INEOS OLIGOMERS))等が挙げられる。成分(D)は、1種または2種以上を組み合わせて配合することも可能である。中でもイソドデカン等の炭化水素油は、塗布膜の透明性をより一層向上させるため好ましい。
【0030】
本発明に用いられうる成分(D)の含有量は、特に限定されないが、油性化粧料全量に対し、下限としては、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましい。上限としては、60%以下が好ましく、55%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましい。範囲としては、5~60%が好ましく、10~55%がより好ましく、20~50%がさらに好ましい。この範囲であれば、塗布膜の保湿感と透明性がより一層向上するため好ましい。
【0031】
また、成分(A)の含有質量に対する、成分(D)の含有質量割合、(D)/(A)が、5~100の範囲であることが塗布膜の透明性と、塗布後のべたつきのなさをより一層向上させるため好ましく、7~60の範囲がより好ましく、9~20の範囲がより好ましい。
【0032】
本発明には、さらに、成分(E)として煙霧状シリカを用いてもよい。一次粒径が50nm以下の煙霧状シリカが好ましい。そのような煙霧状シリカとして、例えば、市販品としてAEROSIL 200、AEROSIL 300、及びAEROSIL 380S(以上、日本アエロジル社製)を挙げることができ、並びに、表面処理を施したものとして、AEROSIL R-972、AEROSIL R-974、及びAEROSIL R-976S(以上、日本アエロジル社製)等が挙げられる。また、これらの煙霧状シリカは必要に応じ1種又は2種以上を用いることができる。また、比表面積(BET法による)が130&#12316;300m/gである煙霧状シリカが、塗布膜の保湿感を一層向上させるため好ましい。
【0033】
本発明に用いられる成分(E)の含有量は、特に限定されないが、化粧料全量に対し、下限としては、0.1%以上が好ましく、0.3%以上がより好ましく、0.5%以上がさらに好ましい。上限としては、5%以下が好ましく、4%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。この範囲であれば、塗布膜の保湿感と透明性により優れ、化粧膜が立体的に見えることによる高いツヤと、塗布後のべたつきのなさもより一層向上するため好ましい。
【0034】
本発明の油性化粧料は、上記の成分(A)~(E)の他に、通常化粧料に使用される成分、例えば、粉体、多価アルコール、紫外線吸収剤、前記成分(B)及び前記成分(C)以外の油性成分、界面活性剤、繊維、アルコール類、前記成分(A)以外の油性固化剤、水溶性高分子、保湿剤等の水性成分、水、糖類、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。特に、水、及び水性成分は、とくに限定しないが、0%でもよく、2%未満が好ましく、5%未満がより好ましく、10%未満がさらに好ましい。
【0035】
本発明には、以下の成分(E)以外の成分(F)粉体を含有してもよい。成分(F)粉体は、通常化粧料に使用するものであればいずれのものも使用でき、無機粉体でも有機粉体でも、色相は特に限定はしない。例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の金属酸化物や、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、黒色401号、褐色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色203号、青色205号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、黄色4号、黄色5号、黄色202号(1)、黄色202号(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、橙色205号、橙色402号、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号(1)、赤色105号(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号(1)、赤色231号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機色素が挙げられる。またタルク、マイカ、セリサイト、成分(E)以外のシリカ、合成金雲母、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、硫酸バリウム等の白色無機体質粉体等、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂の有機高分子樹脂粉体、金属石鹸粉体、N-アシルリジン等の有機低分子性粉体、アクリルデンプン、コメデンプン等のデンプン粉末、ナイロン粉末、ガラス末、シルク粉末、セルロース粉末、デキストリン粉末等の天然有機粉体、シリコーン粉末、ポリメチルメタクリレート粉末、ポリスチレン粉末、ウレタン粉末等が挙げられる。これらの中でも、金属酸化物もしくは有機色素が好ましく、酸化鉄、赤202号、赤201号が好ましく、赤202号がより好ましい。
また、本発明に用いられうる成分(F)は、リン脂質、アミノ酸、アミノ酸誘導体、セラミド、デキストリン誘導体、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩、フッ素化合物、界面活性剤等の通常公知の処理剤により表面処理を施して用いても良い。成分(F)の含有量は、とくに限定しないが、含まれなくてもよく、含まれる場合0.005~60%が好ましく、0.1~50%がより好ましく、1.0~30%がさらに好ましい。
【0036】
また、さらに、本発明には、成分(G)多価アルコールを含有してもよい。多価アルコールとは分子内にヒドロキシル基を2つ以上有する構造をもつものである。例えば、通常化粧料などに用いられるものであれば特に限定されないが、具体的には、メチレングリコール、グルコール(エチレングリコール)、プロピレングリコール、プロパンジオール(1,3-プロパンジオール)、ジエチレングルコール、メチレンプロパンジオール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,2-シクロペンタンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、イソペンチルジオール、アミノエチルプロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブトキシジグリコール、リプロピレングリコール、エチルヘキサンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、1,10-デカンジオール、エクオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、1,2,6-ヘキサントリオール、フィタントリオール、ソルビトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。中でも、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、グリセリン、トリプロピレングリコールが好ましく、ジプロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオールがより好ましく、ジプロピレングリコールがさらに好ましい。成分(G)の含有量は、とくに限定しない。
【0037】
本発明の油性化粧料は、外層が油相であるものであり、固形状でも、半固形状でも、液状でもよい。粘度も特に限定はしない。さらに水を含んでいてもよく、水の種類は特に限定せず、含有量もとくに限定しないが、0%でもよく、0.01~15%含んでいてもよく、上限は特に限定しない。
【0038】
本発明の油性化粧料の製造方法は特に限定されず、上述した成分を混合することにより作製すればよい。常法により製造することができる。例えば、成分(A)、(B)、(C)並びに必要に応じて成分(D)、(E)、(F)、(G)及び任意成分を、成分(A)の融点以上の温度(例えば、90℃)で加熱した後、混合して得ることができる。成分(D)を添加する場合においては、高温で製造中に蒸発する恐れもあり、適宜最適な温度で随時添加してもよい。混合方法も限定されず、均一に分散させることができる通常の手法を採用すればよい。例えば、ローラーミル、ビーズミル、ジェットミル、高圧ホモジナイザー等の分散機・装置、ディスパー、ハイローター、パドルミキサー、プロペラミキサー等の簡易な分散機を使用することができる。
【0039】
本発明の油性化粧料は、形状、容器は特に限定されず、ペンシル状、スティック状、アプリケーター容器、メッシュ容器、ジャー容器、チューブ容器、ガラス容器、ディスペンサー容器、金皿容器、樹脂容器など、とくに限定しない。
また、アイテムとしては、口紅、リップグロスなどの口唇化粧料、ファンデーション、コンシーラー、アイライナー、アイカラー、ほほ紅等のメイクアップ化粧料や、スキンケア化粧料、とくに限定しないが、化粧オイル、バーム、しわ改善剤、消炎剤、美白剤、保湿剤等でもよい。また、日焼け止め化粧料、頭髪化粧料でもよい。特に、本発明の油性化粧料は、日常的に動きの多い部位であり柔らかい部位に、滑らかに塗布する必要がある際、または一定の化粧膜を維持する際に効果をより発揮する。特に、アイメイク化粧料や凹凸補正化粧料、外観審美性のある透明化粧料、口唇化粧料において好適に用いられる。その中でも、特に口唇化粧料がより好ましい。
【0040】
なお、以下の発明を追加することもできる。
[12]前記成分(B)として、フェニル変性シリコーン油を含有する[3]に記載の油性化粧料である。
[13]前記成分(A)に対する前記成分(C)の含有質量割合、(C)/(A)が5~65である[12]に記載の油性化粧料である。
[14]さらに成分(D)として、揮発性油を含有する[12]又は[13]に記載の油性化粧料である。
[15]前記成分(A)に対する前記成分(D)の含有質量割合、(D)/(A)が5~100である[14]に記載の油性化粧料である。
[16]さらに成分(E)として、煙霧状シリカを含有する[12]~[15]に記載の油性化粧料である。
[17]前記成分(C)として、イソノナン酸エステル、及び2-エチルヘキサン酸エステルから選ばれる1種または2種以上を含有する[12]~[16]に記載の油性化粧料。
[18]前記油性化粧料が口唇化粧料である、[12]~[17]に記載の油性化粧料である。
[19]前記油性化粧料における前記成分(A)~(C)において、90℃以上で溶融後、分光測色計・色彩計における石英丸セルに縦方向7mm厚に充填し、30℃まで冷却したものの、空のセルの測定値ブランクとの明度値L差ΔLが、50以下である[12]~[18]に記載の油性化粧料である。
【実施例0041】
以下、本発明を実施例等により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例等に何ら限定されるものではない。
【0042】
[成分(A)の製造例1]
3Lの三口フラスコに、ジメチコノール(分子量約2000,末端水酸基価からの定量値。重量平均分子量約4000)201部と、ジメチコン(6cs)30部、ヘキサメチレンジイソシアネート33部を仕込み、均一に混合した。
70℃に制御しながらジブチル錫ジラウレート0.025部を投入し、2時間攪拌後、エチレングリコールを6部投入した。
投入終了後、70℃で16時間攪拌後、エタノール0.5部とジメチコン(6cs)40部を投入し反応を完結させた。
得られたシリコーンポリウレタンゲル中のシリコーンポリウレタンの重量平均分子量は、GPC測定(ポリスチレン換算)にて38000であった。
【0043】
[成分(A)の製造例2]
3Lの三口フラスコに、ジメチコノール(分子量約5000,末端水酸基価からの定量値。重量平均分子量約11000)214部と、ジメチコン(6cs)30部、ヘキサメチレンジイソシアネート20部を仕込み、均一に混合した。
70℃に制御しながらジブチル錫ジラウレート0.025部を投入し、2時間攪拌後、エチレングリコールを6部投入した。
投入終了後、70℃で16時間攪拌後、エタノール0.5部とジメチコン(6cs)40部を投入し反応を完結させた。
得られたシリコーンポリウレタンゲル中のシリコーンポリウレタンの重量平均分子量は、GPC測定(ポリスチレン換算)にて29446であった。
【0044】
[成分(A)の製造例3]
3Lの三口フラスコに、ジメチコノール(分子量約5000,末端水酸基価からの定量値。重量平均分子量約11000)212部と、ジメチコン(2cs)30部、ヘキサメチレンジイソシアネート21部を仕込み、均一に混合した。
70℃に制御しながらジブチル錫ジラウレート70部を投入し、2時間攪拌後、エチレングリコールを6部投入した。
投入終了後、70℃で16時間攪拌後、エタノール0.5部とジメチコン(2cs)40部を投入し反応を完結させた。
得られたシリコーンポリウレタンゲル中のシリコーンポリウレタンの重量平均分子量は、GPC測定(ポリスチレン換算)にて63793であった。
【0045】
[成分(A)の製造例4]
3Lの三口フラスコに、ジメチコノール(分子量約5000,末端水酸基価からの定量値。重量平均分子量約11000)214部と、ジメチコン(6cs)30部、ヘキサメチレンジイソシアネート20部を仕込み、均一に混合した。
70℃に制御しながらジブチル錫ジラウレート0.025部を投入し、2時間攪拌後、エチレングリコールを6部投入した。
投入終了後、70℃で16時間攪拌後、エタノール0.5部とジメチコン(6cs)40部を投入し反応を完結させた。
得られたシリコーンポリウレタンゲル中のシリコーンポリウレタンの重量平均分子量は、GPC測定(ポリスチレン換算)にて57419であった。
【0046】
[成分(A)の製造例5]
3Lの三口フラスコに、ジメチコノール(分子量約3000,末端水酸基価からの定量値。重量平均分子量約6000)220部と、ジメチコン(6cs)30部、ヘキサメチレンジイソシアネート18部を仕込み、均一に混合した。
70℃に制御しながらジブチル錫ジラウレート0.025部を投入し、2時間攪拌後、エチレングリコールを2部投入した。
投入終了後、70℃で16時間攪拌後、エタノール0.5部とジメチコン(6cs)40部を投入し反応を完結させた。
得られたシリコーンポリウレタンゲル中のシリコーンポリウレタンの重量平均分子量は、GPC測定(ポリスチレン換算)にて299825であった。
【0047】
[成分(A)の比較製造例1]
3Lの三口フラスコに、ジメチコノール(分子量約5000,末端水酸基価からの定量値。重量平均分子量約11000)345部と、ポリエチレングリコール(分子量約4000,末端水酸基価からの定量値。重量平均分子量約6000)345部と、ジメチコン(6cs)30部、ヘキサメチレンジイソシアネートを20部仕込み、均一に混合した。
70℃に制御しながらジブチル錫ジラウレート0.025部を投入し、70℃で16時間攪拌後、エタノール0.5部とジメチコン(6cs)40部を投入し反応を完結させた。
得られたシリコーンポリウレタンゲル中のシリコーンポリウレタンの重量平均分子量は、GPC測定(ポリスチレン換算)にて60000であった。
【0048】
実施例1~28 及び比較例1~10:油性化粧料(口唇化粧料)
表1~3に示す油性化粧料(口唇化粧料)(アプリケーター容器)を下記の製造方法にて調製し、a.塗布膜の透明性、b.塗布膜の保湿感、c.塗布後のべたつきのなさ、d.化粧膜が立体的に見える高いツヤについて下記の評価方法にて評価し判定した。その結果も併せて表1~3に示す。
【0049】
【表1】
*1:KSG-016F(固形分25%、ジメチコン6CS混合物、信越化学工業社製)
*2:シリコン KF-96A(6CS)(信越化学工業社製)
*6:サラコス 913(日清オイリオグループ社製)
*7:サラコス 99(日清オイリオグループ社製)
*8:MYRITOL GTEH(BASF社製)
*12:イソドデカン(IMCD(INEOS OLIGOMERS)社製)
*15:AEROJIL R972(日本アエロジル社製)
*16マイクログラス メタシャイン MT1080RR(日本板硝子社製)
*17:HELIOS R100R(トピー工業社製)
*18:FLAMENCO SPARKLE RED 420J(BASF社製)
【0050】
【表2】
*9:サラコス 5408(TAIWAN)(日清オイリオグループ社製)
*10:ハイマレート DIS(高級アルコール工業社製)
*11:KLEAROL WHITE MINERAL OIL(SONNEBORN,LLC社製)
*13:シリコーン TMF-1.5(信越化学工業社製)
*14:KF-995(信越化学工業社製)
*19:MファインオイルCCT-1(ミヨシ油脂社製)
【0051】
【表3】
*3:KF-50-1000cs(信越化学工業社製)
*4:KF-54 信越化学工業社製)
*5:シリコン KF-56(信越化学工業社製)
【0052】
(表1~3の製造方法)(NO.記載のないものは、含まれないものとする。)
A.成分(1)~(20)、成分(21)~(25)を均一に100℃にて溶解する。
B.成分(30)、成分(31)~(37)を混合分散する。
C.AにBを加え、100℃にて混合する。
D.Cを10℃~60℃にて均一にロールミルにて混合分散する。
E.Dに成分(26)~(29)、成分(38)~(40)を加え80℃にて加熱分散混合する。
F.Eを80℃以下で攪拌しながらアプリケーター容器に充填し、油性化粧料(口唇化粧料)を得た。
【0053】
(評価方法)
下記の評価項目について各々下記方法により評価を行った。
【0054】
(評価項目)a.塗布膜の透明性
評価項目aついて、各試料について化粧料専門パネル10名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記5段階判定基準により判定した。
また、下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価観点)
評価項目a.塗布膜の透明性については、各試料を皮膚または口唇に塗布した直後に、皮膚や口唇などの底色が透けて見えるかを目視で評価した。
(絶対評価基準)
(評点):(評価)
6 :非常に底色が透けて見える
5 :底色が透けて見えやすい
4 :やや底色が透けて見えやすい
3 :どちらでもない
2 :やや底色が見えにくい
1 :底色が見えにくい
0 :全く底色が見えない
(5段階判定基準)
(判定):(評点の平均点)
AA :5.5点を超える :最も良好
A :5点を超える5.5点以下 :非常に良好
B :3.5点を超える5点以下 :良好
C :2点を超える3.5点以下 :やや不良
D :2点以下 :不良
評価AA、A、Bにおいては、全体として均一に分散、又は溶解し、下の色が透けて見える状態であったが、評価C、Dにおいては、均一に溶解しない、白濁または沈降するものがあり、下の底色が透けて見えない状態であった。
また、実施例3、実施例9~13、比較例2、8、10において、成分(A)~(C)までの成分を、90℃以上に加熱し、分光測色計・色彩計SE7700(日本電色工業株式会社社製)における石英丸セル(直径35mm)に縦方向7mm厚に充填し、30℃まで冷却したものと、空のセルの測定値をブランクとし、その明度値L値の差ΔLを測定し確認した。図1、または図2に、充填後、表面を指で触ってみた参考画像を示す 。
【0055】
(評価項目)b.塗布膜の保湿感
評価項目bについて、各試料について化粧料専門パネル10名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記5段階判定基準により判定した。
また、下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)(評価観点)
評価項目b.塗布膜の保湿感については、各試料を口唇や皮膚に塗布した直後と30分後を比較し、保湿感を感じるかどうかを評価した。
(絶対評価基準)
(評点):(評価)
6 :非常に保湿感を感じる
5 :保湿感を感じる
4 :やや保湿感を感じる
3 :どちらでもない
2 :やや保湿感が少ない
1 :保湿感が少ない
0 :非常に乾燥感を感じる
(5段階判定基準)
(判定):(評点の平均点)
AA :5.5点を超える :最も良好
A :5点を超える5.5点以下 :非常に良好
B :3.5点を超える5点以下 :良好
C :2点を超える3.5点以下 :やや不良
D :2点以下 :不良
【0056】
(評価項目)c.塗布後のべたつきのなさ
評価項目cについて、各試料について化粧料専門パネル10名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記5段階判定基準により判定した。
また、下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)(評価観点)
評価項目c.塗布後のべたつきのなさについては、各試料を皮膚、または口唇に塗布した直後に、皮膚、指、又は口唇を擦り合わせ、べたつきを感じるかどうかを評価した。
(絶対評価基準)
(評点):(評価)
6 :べたつきが全くない
5 :べたつきがかなり少ない
4 :べたつきが少ない
3 :どちらでもない
2 :ややべたつきを感じる
1 :べたつきを感じる
0 :非常にべたつきを感じる
(5段階判定基準)
(判定):(評点の平均点)
AA :5.5点を超える :最も良好
A :5点を超える5.5点以下 :非常に良好
B :3.5点を超える5点以下 :良好
C :2点を超える3.5点以下 :やや不良
D :2点以下 :不良
【0057】
(評価項目)d.化粧膜が立体的に見える高いツヤ
評価項目dについて、各試料について化粧料専門パネル10名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記5段階判定基準により判定した。
また、下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)(評価観点)
評価項目d.化粧膜が立体的に見える高いツヤについては、各試料を皮膚又は口唇に塗布した直後に、表面において化粧膜が立体的に見える高いツヤが確認できるかどうかを評価した。立体的に見えるとは、細かいしわや微視的な凹凸が目立たず、表面が平滑な膜に見える状態であり大きな皮膚形状の凹凸に沿ってつやを感じることを指す。
(絶対評価基準)
(評点):(評価)
6 :非常に立体的に見えるツヤがある
5 :立体的に見えるツヤがある
4 :やや立体的に見えるツヤがある
3 :どちらでもない
2 :立体的に見えるツヤは少ない
1 :立体的に見えるツヤがない
0 :ツヤが全くない。
(5段階判定基準)
(判定):(評点の平均点)
AA :5.5点を超える :最も良好
A :5点を超える5.5点以下 :非常に良好
B :3.5点を超える5点以下 :良好
C :2点を超える3.5点以下 :やや不良
D :2点以下 :不良
【0058】
表1、2、3の結果から明らかなように、本発明の実施例1~28の油性化粧料は、比較例1~10の油性化粧料に比べて、塗布膜の保湿感を実現しながら、塗布膜の透明性に優れ、化粧膜が立体的に見えることによる高いツヤ、塗布後のべたつきのなさにも優れたものであった。また、実施例12の、成分(A)~(C)を、90℃以上に加熱し、分光測色計・色彩計SE7700(日本電色工業株式会社社製)における石英丸セル(直径35mm)に縦方向7mm厚に充填し、30℃まで冷却したものの、空のセルを測定値ブランクとし明度値L値の差ΔLを測定したところ、ΔL値は、14.02であり、塗布膜の透明性が良好であった。
成分(A)を含まない比較例1では、塗布膜の透明性が低く、油剤を保持できないため保湿感も低く、ツヤも満足できるものではなかった。また、成分(A)がないため塗布後のべたつきが発生するものであった。
成分(A)を含まずに、(水添ポリブタジエン/グリコール/HDI)コポリマーを配合した比較例2は、塗布膜の保湿感と化粧膜が立体的に見えることによる高いツヤに関しては満足がいくものであったが、塗布後のべたつきのなさに関してはやや不良であった。
成分(A)を含まずに、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、ジメチコンまたは、製造比較例1を配合した比較例3または4は、塗布膜の透明性が低く、化粧膜が立体的に見えることによる高いツヤも満足できるものではなく、塗布後のべたつきのなさも不十分であった。
成分(B)を含まない比較例5では、シリコーン油がないため塗布後のべたつきのなさが満足できるものでなく、塗布膜の保湿感も満足できるものではなかった。
成分(C)を含まない比較例6または7または8または9または10は、塗布膜の透明性が低く、成分(A)とゲルを形成できないものもあり、保湿感も低く、ツヤも満足できるものではなかった。また、塗布後のべたつきが発生するものであった。図2の比較例10にその状態を示す。
【0059】
実施例29:油性アイシャドウ
成分 (%)
(1)ポリエチレンワックス(融点90℃)*19 6
(2)カルナバロウ(融点85℃)*20 0.5
(3)キャンデリラロウ(融点72℃)*21 1
(4)製造実施例1 inジメチコン(6CS)シリコーンポリウレタン
(30%)固形分換算 3
(5)ジフェニルジメチコン(粘度 400mPa・s)*4 7
(6)ジメチコン(6CS)(製造実施例1由来) 7
(7)ジメチコン(粘度20mPa・s) 6
(8)トリイソステアリンポリグリセリル―2(粘度550mPa・s) 5
(9)ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル
(粘度12500mPa・s) 10
(10)イソノナン酸イソトリデシル*6 20
(11)トリエチルヘキサノイン*8 20
(12)バニリルブチルエーテル 0.1
(13)イソドデカン*12 残量
(14)セルロース末 0.2
(15)オリーブ果実油 0.1
(16)ホホバ種子油 0.1
(17)ゴマ種子油 0.1
(18)赤色202号 1.5
(19)黄色4号 1.0
(20)青色1号 0.5
(21)赤酸化鉄 0.5
(22)黄酸化鉄 0.5
(23)黒酸化鉄 0.5
(24)トリイソスアリン酸ポリグリセリル-2(2%表面処理)
雲母チタン(干渉色:青色、平均粒子径 40μm) 6.0
(25)雲母チタン(干渉色:赤色、平均粒子径 20μm) 1.0
(26)トコフェロール 0.1
(27)マイカ(平均粒子径 20μm) 0.2
(28)l-メントール 0.5
(29)トリプロピレングリコール 0.4
*19: LIPWAX A-4(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*20: TOWAX 1F-6 (東亜化学製)
*21: 精製キャンデリラワックス SR-3 (日本ナチュラルプロダクツ製)
【0060】
A.成分(1)~(4)を均一に100℃にて溶解する。
B.成分(8)~(25)を混合分散する。
C.AにB及び成分(26)~(29)を加え、100℃にて混合する。
D.Cを10℃~60℃にて均一にロールミルにて混合分散する。
E.Dに成分(5)~(7)を加え80℃にて加熱混合する。
F.Eを100℃以上にて攪拌しながら金皿容器に充填する。
G.Fを-10℃にて冷却し油性アイシャドウを得た。
【0061】
実施例29の油性アイシャドウは塗布膜の透明性はC評価と劣るものの、塗布膜の保湿感としてはAA評価を実現しながら、化粧膜が立体的に見えることによるツヤとして評価A、塗布後のべたつきのなさとして評価Aと優れた品質であった。
【0062】
実施例30:油性コンシーラー
成分 (%)
(1)合成ワックス(融点80℃)*22 5
(2)ミツロウ(融点 63℃)*23 1
(3)コメヌカロウ(融点 78℃)*24 0.5
(4)イソステアリン酸デキストリン 1
(5)製造実施例5 inジメチコン(6CS)シリコーンポリウレタン
(30%)固形分換算 3
(6)(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン 0.2
(7)ジフェニルジメチコン(粘度1000mPa・s)*3 20
(8)ジメチコン(6CS)(製造実施例5由来) 7
(9)ジメチコン(粘度 100) 10
(10)ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10
(粘度4500mPa・s) 17
(11)リンゴ酸ジイソステアリル(粘度2500mPa・s) 10
(12)イソノナン酸イソトリデシル*6 5
(13)イソノナン酸イソノニル*7 5
(14)トリエチルヘキサノイン*8 15
(15)バラ果実油 1
(16)ジステアラルジモニウムヘクトライト 0.5
(17)ジメチルシリル化シリカ 0.4
(18)チャ花エキス 0.1
(19)オリーブスクワラン 0.1
(20)カニナバラ果実油 0.1
(21)マカデミアナッツ油 3
(22)ホホバ種子油 1
(23)ラウロイルリジン(2%表面処理)赤酸化鉄 0.7
(24)ラウロイルリジン(2%表面処理)黄酸化鉄 0.4
(25)ラウロイルリジン(2%表面処理)黒酸化鉄 0.1
(26)ラウロイルリジン(2%表面処理)酸化チタン 0.5
(27)シリカ(球状、平均粒子径 10μm) 1
(28)ジプロピレングリコール 0.4
(29)イソドデカン*12 残量
*22:CIREWAX80 (CIREBELLE社製)
*23:WHITE BEES WAX (三木化学製)
*24:ライスワックス SS-I(ボーソー油脂社製)
【0063】
A.成分(1)~(6)を均一に100℃にて溶解する。
B.成分(8)~(28)を混合分散する。
C.AにBを加え、100℃にて混合する。
D.Cを10℃~60℃にて均一にロールミルにて混合分散する。
E.Dに成分(29)を加え80℃にて加熱混合する。
F.Eを100℃以上にて攪拌しながら金皿容器に充填する。
G.Fを-10℃にて冷却し油性コンシーラーを得た。
【0064】
実施例30の油性コンシーラーは塗布膜の透明性はC評価と劣るものの、塗布膜の保湿感としてはAA評価を実現しながら、化粧膜が立体的に見えることによるツヤとして評価A、塗布後のべたつきのなさとして評価Aと優れた品質であった。
【0065】
実施例31:油性棒状口紅
成分 (%)
(1)(エチレン/プロピレン)コポリマー(融点95℃) 7
(2)キャンデリラロウ(融点 72℃)*21 1.5
(3)エチルセルロース 0.5
(4)製造実施例2 inジメチコン(6CS)シリコーンポリウレタン
(30%)固形分換算 3
(5)ジメチコン(粘度20mPa・s) 10
(6)ジメチコン(6CS)(実施例2由来を含む) 7
(7)フェニルトリメチコン(粘度22mPa・s)*25 5
(8)イソノナン酸イソトリデシル*6 5
(9)トリエチルヘキサノイン*8 15
(10)トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2
(粘度550mPa・s) 10
(11)テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2
(粘度750mPa・s) 5
(12)(VP/ヘキサデセン)コポリマー(粘度10700mPa・s)10
(13)サンショウエキス 0.05
(14)レシチン 0.5
(15)イソドデカン*12 残量
(16)マイカ(平均粒子径 15μm) 3
(17)タルク(平均粒子径 5μm) 3
(18)青色1号 0.05
(19)赤色202号 1
(20)赤色226号 1
(21)ポリ乳酸(球状、平均粒子径 15μm) 1
(22)精製水 0.01
(23)ヒアルロン酸Na 0.1
(24)ジプロピレングリコール 0.4
(25)イソヘキサデカン 8
*25:DOWSILSH 556 Fluid (東レダウ社製)
【0066】
A.成分(1)~(4)を均一に100℃にて溶解する。
B.成分(5)~(14)、(16)~(25)を混合分散する。
C.AにB及び成分を加え、100℃にて混合する。
D.Cを10℃~60℃にて均一にロールミルにて混合分散する。
E.Dに成分(15)を加え80℃にて加熱混合する。
F.Eを100℃以上にて攪拌しながらゴムモールド(12Φ)容器に充填する。
G.Fを-10℃にて冷却し、繰り上げ容器に挿し油性棒状口紅を得た。
【0067】
実施例31の油性アイシャドウは塗布膜の透明性はC評価と劣るものの、塗布膜の保湿感としてはAA評価を実現しながら、化粧膜が立体的に見えることによるツヤとして評価A、塗布後のべたつきのなさとして評価Aと優れた品質であった。
図1
図2